財田川(香川県)で採集されたタイリクバラタナゴ-香川大学学術情報リポジトリ

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香川生物(Kagawa Seibutsu)掴:7−8,1983・

財田川(香川県)で採集されたタイリクバラタナゴ

植 松 辰 美

〒760 高松市幸町1−1香川大学教育学部生物学教室

ARec。rd。f CollectioI10f Rhodeus ocellatus(Kner)fromRiver Saita,

Kagawa Prefecture

TatsumiUEMATSU,BiologicalLaboratoヶ甘,穐culty ofEducation,Kagawa

打≠宜γβγ8宜軌 rαんα仇α£s≠ 760,J叩仇 たのは,2個体(ホルマリン標本)のみで,他 の29個体はすべて稲積橋のものである。 飼育魚の中で,最大(体長70mm)の雄と,幼 魚は,図2に示されている。前者は,氷水で麻 酔したものを,後者は,B水槽の他の魚と共に 小型プラスチック水槽(10×10×20c用)に移し た後,両者とも,1983年1月18日に撮影した。 飼育水槽中には,1982年8月11日,高瀬川下 流の三野新橋下(三豊郡三野町)で採集したヌ マガイA7もOdo7も£αね≠£αを入れてある。水槽中 で産仔された幼魚は,1982年10月6日の初認時 に体長約1cm(目測)であったが,現在(1983 年1月18日計測)では,19mmに成長している。 長田(1980)によれば,我が国でタイリクパ ラタナゴ月九odβ礼β OCβg仏土≠β(Kner)の分布 が報告されていない都道府県は,北から福島・ 山梨・香川・長崎・宮崎・沖縄の6県だけであ った。 今回,香川県下でタイリクバラタナゴが,初 めて採集確認されたので報告する。なお,学名 は,宮地ほか(1976)によった。 採集地は,財田川下流の稲箭楕(観音寺市) 南側(図1)と,本山寺橋下(観音寺市と三豊 郡豊中町の境界附近)の2地点であり,採集日 は,1982年8月10日である。採集されたタイリ クバラタナゴは,31個体中,14個体をホルマリ ン液潰標本とし,残り12個体を生物学教室に持 ち帰って飼育している。水槽中で産仔された1 個体を含め,1983年1月末現在,18個体が2偶 の水槽(A:12個体と,B:幼魚を含む6個体) で健在している。なお,本山寺橋下で採集され 図2 財田川で採集し,飼育中のタイリクバラタナ ゴの雄(上)と,幼魚(下),白線の1目盛は 1cm,撮影は1983年1月18日. 図1稲積橋南側の採集地点(矢印)・上流側を望む・ 左上方は鹿隈橋.手前コンクリート水路は竿の川 からの流れ込み. −7−

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この魚は,背びれと尻びれの基底が短かく,軟 条数も欠損している奇型魚である(図2下)。 採集個体の中で,腹びれ前縁の白帯が確認で きるものは,飼育18個体中,6個体にすぎない。 ホルマリン液清原本14個体では,白帯が確認で きない。白帯は,明瞭なものから,わずかに認 められるものまで,6個体で少しずつ異なって いる。 腹びれ前縁に白帯のないものを,バラタナゴ (ニッポンバラタナゴ)月見.0¢βJgα£≠β f。 8仇宜≠九宜(Regan)として区別しているが,上 記白帯の有無たっいての今回の結果は,これま でに記録されている香川県下のバラタナゴにつ いて,検討の必要性を示唆している。 香川県下のバラタナゴは,1953年に栗林公園 南湖(高松市)で確認された後,これまでに, 野間池・小田池・津田川・鴨部川・新川・春日 川・大束川・財田川支流竿の川などの分布地が 報告されている(植松・須永・川田,1979)。 これらのバラタナづは,腹びれの白帯が認めら 、れないことを同定の根拠にしているが,西山・ 長田(1978)は,タイリクバラタナゴでも,か なりの頻度で白帯のない個体が出現することを, 交雑実験などで明らかにしている。今回の採集 個体における白帯の発現率も,このことを支持 している。したがって,栗林公園以外の分布地 点の多くは,香川用水の影響を受けつつあった ので,記録されたバラタナゴは,白帯のないタ イリクバラタナゴであったかも知れない。また, バラタナゴであったとしても,今後,ますます タイリクバラタナゴに置き換えられるにちザい ない。 なお,このような予想される変化の検討には, 今回の稲積橋南側の採集場所(図1)が,1978 年にバラタナゴの記録された竿の川(植松′・川 田・須永,1979)の水が,財田川に流入する直 下であったことは,藍要な資料として役立つで あろう。 最後に,採集を援助された大高裕幸・小原正 嗣の両君および香川県下の淡水魚類調査の機会 を与えられた香川県自然保護課職員各位に,心 から謝意を表する。 引用文献 宮地伝三郎・川部部浩哉・水野信彦.1976。 原色日本淡水魚類図鑑(全改訂新版).保育 社,大阪 長田芳和.1980.タイリクバラタナゴ ー 純血の危機.川合禎次・川郡部浩哉・水野信 彦(編著),日本の淡水生物:147−153。 東海大学出版,東京ノ 西山孝一L・長田芳和.1978。タイリクバラタナ ゴとこッポンパラタナ:ゴ.淡水魚 4:91− 101 植松辰美・川田英則・須永菅雄。1979…第2回 自然環境保全基礎調査 動物分布調査報告書 (淡水魚) 香川県.高松,香川県。 植松辰美・須永哲雄・川田英則オ1979.香川県 の淡水魚.動物と自然 9(1):11−17. −8−

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