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禾穀類の根鞘に関する研究 IV 根鞘と合成胚軸との境界について-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川大学蕗学部学術報告 2

禾穀類の根鞘に関す る研究

Ⅳ 根翰と.合成胚軸との境界について

野 田 愛 三,林 甚太郎

Studies on the coleor・hiza of cereals

ⅣOntheborderbetweencoleorhizaandme予OCOtyl

Aiz6NoDA andJintar6HAYASHI.

(Thelst Laboratory of Crop Science)

(ReceivedJuly20,1959)

東研究は禾穀類の棍鞘について既報(7 ̄11)の中で形態的研究を待った部分の補遺とする・ 1.実験材料及び方法 東学附属農場産の童と.して1957年産のものを材料とし,多数品種を取扱ったものがあったが当他力に親増される品 種を中心として各々1晶榎のみ.の場合をとり上げた 外胚莫(Epibla$t)をもつ稲,小変および竜爪稜で限鞘は胚盤(Scutellum)の外側で外胚襲と接しており,その 境界は既報で絵詞したので外胚葉のない大麦,ライ麦,玉萄黍,萄黍,唐人稗,黍,稗,および粟について棍鞘と合 成胚軸(Mesocotyl)と.の境界を求めんとした 毯子休眠期(完生胚)と発芽初期(猥鞘が槙被を破って外に現われ棍報が凡そ駿大の伸長をして,畦子供がこれを 破らない時期)に胚を取り出しFarme工’s fluidで固定した. 固定後常法により,パラ■アイソ切片を作り染色の上級威した・ 2… 結果及び考察 禾穀類の胚および芽生の研究は古くから盛んに.行われておりSARGANTおよびARBER(1915)(14),AvERY(1930) (1)などは今倍よく参考とされている. 近時胚の形態学的研究も長足の進歩が見られているが特に末次勲(1949/→1953一)〈1さ ̄1りの稲および麦類品種の胚の 発育に関する研究,草類の胚についての鮎EDER(1957)(13)の研究等は注目すべきものといえよう・ 然しながら胚の発育経過および完成胚において末次熟ま限鞘と外胚葉およびVentralscaleとの境界は明らかな らず胚盛の一・部であると考察されているn Reederは限鞘が胚盛と分かれている位際を胚分類の一甚準とされている が棍鞘と胚盤との境界は明らかに・されていない 板鞘と胚盛との境界は輩者等の研究で漸次明らかにされて来た処であるい胚の研兜で器官の研究は多数行われてい るが棍鞘についてはTROUGHTON(195フ)r19)の述べられているように研究が少ない・ 西村(1922)√6)は粟および2瞳の牧骨について棍鞘に注目され粟の棍鞘宅を測讃して,そのもつ生理的作用を推定 されている∴棍鞘の発生学的研究では.ToIIANSEN(.1950)r2)は胚の発生経過で踵手取が分化し,まわりの組織が摂 鞘に発達するとの考えに対し,PA芭Ⅹ0V(1951)(12)ほ種子撮は横堀から内生的に・できるので第1穣子根の変体である との独自の見解が持たれているようである.玄では胚の発育を取扱っていないのでこの点に威いては論及し得ない 取掛ま西村(1922)によりその生理的働きが推定されたが,笠署等も形態的研究と平行して実験な行った・棍鞘組 織の蓼透荘の比較的高いこと,棍鞘組織の平均吸水力も高いこと,中性緩衝液で中性赤の根鞘えの溶透の迅速なこと で棍鞠が吸水作用をなしているものと考えた,P32を発芽初期限鞘に塗布すると24時間後,小麦の場合芽および根え かなりの急が見られることなどを実証した「他の実験からも限鞘は発芽に際し,最初に出現して主と.して瞳子供の生 育を助長する作用を行うものと考察しているものである 合成胚軸(Mesocotyl)は胚軸(Hypocotyl)と区別され,胚軸に他の器官が合体したものと考察され禾穀類の場 合ほ合成胚軸が軌、られることが多いい然し作物によっては胚軸を用いられている場合もあるが茨では全部の作物に 対し合成胚軸として取扱った Mesocotylの暗動こおける伸長程度から作物を分瀕した浜田秀夫(19:33)(3)の研究あり,稲ゐ弊履髄係について 同氏(4)の発表および水島字三郎等(1939)(5)の論議のあ ったことはこの部分の認接が強められた処である

(2)

第11巻 通巻第29啓(1959) 棍鞘と合成胚軸の境界を明らかにすることは根鞘の性状を追及する上において必要であり,この点が検討されてい るものを見出し難いのでこの追及を待った次第である. 附図によって棍鞘と合成胚軸の境界を見るに作物の種類によって休眠期から既に細胞の形状が棍鞘で長形で比較的 小形のものがある場合があり,休眠期ではこの境界が明らかでないが発芽率期に棍鞘組織の細胞か伸長が大で合成胚 軸との境界が漸次朋白となるもの,休眠期,発芽初期ともに瀾胞の形態からは区別が困難なものの3群に分れるもの と観察される.即ち次のように分けられる. 1u 休眠期から棍鞘の塵界が比較的明らかで発芽初期により明らかとなるもの, 胚塾 丁工Jue Festucoまd 大麦,ライ麦 胚塾 TIue Panicoid 萄黍,唐人稗 2・休眠期では境界が明らかでないが発芽初期で棍鞘の細胞の伸長が大であるので合成胚軸との境界が明らかとなる もの 胚塑 True Panicoid 黍,稗,粟 3.休眠期と発芽初期ともに境界が明らかでないもの 胚塑 Trtle P血icoid 玉萄黍,憩苔 諾萄黍についてTooLE(1924)(18)は合成胚軸の皮層の組静ま凝芽に際しよく膨大することが報償されておりクそ の後の多くの研究でほ胚の縦断でこの部が膨大されていることが表されているい従って発芽初期でも瞑鞘甲膨大した 細胞琶と合成胚軸との細胞の境界が区別され掛、ものと認められる小:大粒雑殻の葱茨でも某局黍と似た性状を荷つも のと観察した・種子棍は合成胚軸の下で分化するが胚軸から種子根となる移り変りの中間卿組織が存在する.然しな がら合成胚軸から桂子取が明らかに分化している外側では容踪があり,この塗絵の起点の外側の組織が板鞘の分蚊点 であると考えるべきものと考察する 以上形態鱒見地から棍鞘と合成胚軸の境界を考察した・従来限鞘は桂子棍を覆っていろ聯状の纏絨からなっている と考えられて来たがこの概念を一層明らかに・したものといい得るであろう・棍鞘と合成胚軸の琴界は細胞生理の上で も明確にする必要がある. 棍鞘の表皮細胞ほ根鞘宅として発達する場令があり,稲の板碑宅発生の生理,生態の追放,その晶瞳間変異等につ いては近く学会に発表の予定である・他の作物についても,これ等の関係を追及することなど,板碑組織細胞?持つ 性状と合成胚軸組放細胞の性状の整から,この境界も更に明らかにせらるべきものと考えられるが凍簸では形態的に 見た棍鞘と合成胚軸の境界を換討したに止めるものである. き..摘 要 休眠期および発芽初期で棍鞘と合成胚軸との境界を検討して次の結果を得た 1)限鞘と合成胚軸の境界の関係から作物を次の3群に分けた. (a)棍鞠の細胞は休眠期で長形でこの境界は休眠期から明らかであり発芽初期でより明らかとなるもの,大孝,ラ イ麦,萄黍,唐人稗 (b)休眠期では魔界が明らかでないが発芽初期で根鞘の細胞の伸長が大で境界が明らかになるもの,黍,稗,某 (C)合成胚軸の皮層の細胞の膨大が棍鞘の場合のように大であるので休眠期,発芽初期ともに境界が明らかでない もの,.玉萄委,憩環 2)棍鞘と合成胚軸との境界は榎手取が合成胚軸から明らかに分蚊した場所の外側に存在するものであろう. 引 用 文 献 (1)AvERY,G・S:βd.Cαg.891一−39し1930)小 (5)水島字三郎,山田卓‥遺伝学雑誌,15,1418 (2)JoHANSEN,DA..:Plantembryology,(1950) (1939) (3)HAMADA,H:Kyo10血Z>・UnivlSeYlB・9,7卜 (6)NISHIMURA,M:榊Jour”Bot,1,55−85(1922). 128(19:33) ぐ7)野田愛三,杯甚太郎:香川農大学術報告,7,23卜 (生)HAMADA,H:加ゎ∽.C∂rJ.5c才1月■那加り玩動こ玩勿 237ミ:1956) β,12,259:310(1937)・ (8)同上:日永作物学会貪己軋26,24【26(195フ)

(3)

笹川大学農学部学術報告 222(1915). 姻 末次勲‥臥本作物学会紀轟,柑,4−5(1949)小 鳩 同上:農林省農技研報償,β,1,49−8フ(’19Sl) ㈹同止:固か,4,23−48(1953) ㈹ TooLE,EH,‥Aク〝♂γ,ル〟γ劫f,9,325←350(1924)

凋 TROUGHTJON,A:Tムe under groundorgaユ1SOf

be工b左ge grasses,(1957). 4 (9)同上:同,27, ㈹ 同上:同,27, ㈱ 同上‥\同,28, ㈹ PAgROVふD. 5,(1952) ㈹ REEDER,G“R (切 SARGANT E, 52−54(1958) 229−231(1958) 17}19(1959’) :〔Russiap1951〕,」鞘βJd cγ8♪〃みSf・, :月別♂γ..ル卯,β¢′.,29,(1957)

and A】之BER A..:A乃形β∂≠.,29,161一−

R占sllm占

Morphologicalsぬdies weremade ontheborder between coleo抽iza and mesocotylof Barley,Rye, Indian corn,Job’stears,Sorghum,Pearlmillet′Common millet,Barnyard millet andItalian mi11et

Embryos,at the restingstage and after coleorhiza had broken seed coat,Were fixed and embeddedin paraffinbythe usualmethodandthe paraffinsections wezecut by aboutlO〃・thick and stained tobe

Obsel■Ved by micro3COpe

The results obtained were as follows:

1)From the relationo董the border between coleorhiza and mesocotyl,the crops examined were classifiedinto following3groups

(a)The c101eorhizacells arelong,andthe、border betweencoleorhizaand mesocotylisdistinctfrom

therestingstageand become3mOreC王earattheearlyStageofgermination

This groupincluded Barley,Rye,Sorghum and Pearlmi11et

(b)由odi$tinctborderisobservedbetweらn coleorhizaandmesocotylattherestingperiod,butthe

bofder bec・OmeS Clear as the coleorhiza cells elongates more markedly than mesocotylcells at the earlystag?Ofgermination

Comm?nmi1let,BamyardmilletandItalianmi11etfelljntothisgroup

(c)The di鏡inctt)Orderis not seen between coleC.rhizaandme3・〇COtylb・CIth at the resting stage and at the(∋arly stage o董germination,for corticaltissue ce11s o董mesっcotylelongate at the saTrle rate as the coleorhiza cells do,at the early stage of germination

The crops ofthis group wereIndian corn andJob’s tears

2)Theborderbetween coleorhizaandme3O〇OtylwouldlieOn the out side of the position wheIe

(4)

第11巻 通巻第29琴(−1959)

(5)

香川大学農学部学術報告

B

Explanation of plate

A”・uResting stage. B…nn・Early stage o董germination l・Barley.(Ⅹagawahadakano1) 2hRye,(’petkusaて) 3・lIndian corn(White dent corn) 4‥‥Job’$tearS

5 Sorghum 6PearlTpillet

7…ComTnOnmi11et 8…Barnyardrnillet(Ch6sen) 9…Italian millet

参照

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