医薬品へのアクセス
サノフィ・アベンティス
マラリア
結核
睡眠病
リーシュマニア症
てんかん
ワクチン
…
Cont
ents
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医薬品へのアクセス
マラリア
結核
睡眠病
リーシュマニア症
てんかん
マラリ ア リーシュ マニア 症 睡眠 病 てんか ん ワクチ ン 結核ジャン・フランソワ・デュエック
(
Jean-François Dehecq
)
会長
世界人口の80
%は、現在、医薬品へのアクセスがほとんどないか、まったくな い状況です。 製薬業界は、この難題解決に立ち向かっていかなければなりません。 サノフィ・アベンティスでは、より多くの人々の医薬品へのアクセスを可 能にするための実践的な取り組みとして、南側諸国における公衆衛生 上、重大な課題となっている6
つの領域を特定しました。 私たちサノフィ・アベンティスグループは、これらの領域において長 年培った専門知識を有しています。 ・マラリア ・結核 ・睡眠病 ・リーシュマニア症 ・てんかん ・ワクチン また、私たちは一企業として、南側諸国における経済発展の促進も目指しており、そうした地域での存在感を最大限に拡大すべく、 努力しています。 これは製薬業界の未来を左右する問題です。この課題を解決することなしに業界の未来はありません。サノフィ・アベンティスは、 医薬品へのアクセスを改善するため、積極的な役割を果たしていきます。ロベール・セバッグ博士
(
Dr. Robert Sebbag
)
Access to Medicines
部門担当
バイスプレジデント
ヨーロッパを代表する製薬企業であり、世界をリードする企業の一社でもあるサ ノフィ・アベンティスは、どのような理由から「医薬品へのアクセス(Access to Medicines)」プログラムを発足したのでしょうか? サノフィ・アベンティスは、人々の健康を守り、患者さんのニーズに応えるべく、 努力しています。 世界人口の80
%は、医療や医薬品へのアクセス(入手機会)がなく、こ の状況は容認できるものではありません。もちろん、こうした事情の裏側 には多くの理由が存在しますが、サノフィ・アベンティスのような大規模 なヘルスケア企業は、何らかの行動を起こさなければなりません。医 薬品だけが医療政策を決定するわけではありませんが、高品質の医薬 品なしに公共医療政策を導入することは不可能です。 サノフィ・アベンティスは、世界100
カ国に約10
万人の社員を擁しています。こうした国々の多くでは、医薬品へのア クセスが限られていますが、社員から寄せられる報告に基づき、私たちは最も急を要する医療ニーズへの対応を行って きました。そのため、サノフィ・アベンティスグループは持続可能な発展と医薬品へのアクセスを、グループの戦略の根 幹に掲げています。 サノフィ・アベンティスは、南半球の多くの国に製造施設を有しています。これらの工場は、操業を継続しつつ、生産 の拡大と改善を行うことで、発展を促進し、雇用を維持しなければなりません。 このような取り組みを行うために、サノフィ・アベンティスグループはAccess to Medicines部門の設立を決定しました。 当部門は、私たちのノウハウを活用できる以下4
つの分野で構成されています。 ・研究開発 ・新たな治療法の導入と、既存の治療法の改善 ・医療における、「末端まで徹底」した情報・教育・コミュニケーションの連動 ・医薬品へのアクセス拡大を可能にする、適切な薬価方針、流通方針の策定Access to Medicines
この冊子では、私たちの経験を適切かつ有効に役立てることのできる
5
つの疾患(マラリア、結核、 睡眠病、リーシュマニア症、てんかん)について、当社の提案と取り組みを紹介しています。さらに、 世界をリードする当グループのワクチン部門も、各種プログラムや大規模な予防プロジェクトに取り 組んでいます。このようにして私たちは、治療と予防を融合させているのです。 こうした大規模な活動は、強い協力方針があってこそ実行することができるのです。私たちの パートナーは、公共・民間、また、国内・国際・多国籍組織を問わず、南側諸国で医療へのア クセス向上に努めるすべての組織です。 サノフィ・アベンティスグループは、世界中の患者さんの健康を追求し、いまだ満たされていな い医療ニーズに応えるための継続的な取り組みを行っていますが、Access to Medicines部門は、 チーム一丸となりこの取り組みに全力を注いでいます。サノフィ・アベンティスにとって、医薬品へ のアクセスを推進することはグループ戦略の一環であり、単なる企業イメージの向上手段ではなく、 グループの基本的な価値観のひとつである「連帯」を体現するものです。私たちの使命
公衆衛生上の懸念が強く、私たちが一定の専門知識を有する疾患について、 Access to Medicines部門が取り組みに向けた調整と導入を行います。 私たちの使命は、サノフィ・アベンティスグループの戦略にとって必要不可欠 な要素であり、以下3つの主要分野を対象としています。 ・優遇価格(利益を上乗せしない原価)の設定 ・既存製品の改良 ・情報・教育・コミュニケーションの連動Access to Medicines部門は、グループのオペレーションチームとも緊密に 連携しています。私たちの活動は、持続可能な発展を追求するサノフィ・アベ ンティスグループの方針と合致し、発展途上国の工場で継続的な雇用を確保 するものです。
Malaria
マラリ
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マラリアとは
マラリアはハマダラカを媒介として人に伝染する寄生虫感染症です。発熱をはじめ、多様な症状を 引き起こします。この寄生虫は「マラリア原虫」と呼ばれ、赤血球に寄生して破壊します。赤血球が破壊 されるとマラリア発作が起こり、突然の発熱、疲労感、頭痛、震え、嘔吐などの症状が現れます。重篤な発 作では激しい貧血、けいれん、昏睡を引き起こし、場合によっては死に至ります。幼い子供と妊娠中の女性は重 症になるリスクが特に高いとされています。疫学的特徴
マラリアは非常に広範囲に見られる感染症であり、アフリカのサハラ以南、南アジア・東南アジア、南米の一部など、熱帯・亜 熱帯地域の大半で蔓延しています。世界人口の3
分の1
はマラリア蔓延地域に居住していると推定されています。毎年約5
億人がマラリアを発症し、100
万人から00
万人が亡くなっています。死者の半数以上は5
歳未満の子供です。 マラリアは貧困と深い関わりがある疾患です。 • 貧困がマラリアを助長します:マラリアが蔓延するのは、ハマダラカが繁殖する地域、蚊が繁殖しやすい未 管理の水源地、ならびにマラリア感染の永続的な母体となるマラリア原虫に感染した人々が居住する 地域です。こうした状況は、アメリカ合衆国やオーストラリアなど、かつてマラリアが蔓延してい た地域では見られなくなっていますが、熱帯地方の発展途上国の多くでは今でも存在します。 • マラリアが貧困を助長します:マラリアにより多大な支出や損失が生じ(サハラ以南の 多くのアフリカ諸国では、健康関連の支出における最大の項目がマラリアとなっ ています)、就労能力や教育を受ける機会に影響を与えます。マラリアに対する
治療手段
と
戦略
今日、合併症を伴わないマラリアの治療は、アルテミシニン誘導体とマラリ
ア治療薬の併用によって行われています(アルテミシニン・ベースの併用療法:
Artemisinin-based Combination Therapy:ACT)(出典:Guidelines OMS, 006)。
アルテミシニンはヨモギ属の植物「Artemisia annua(和名:クソニンジン)」の成分で、この抗 マラリア活性は
1970
年代から1980
年代にかけて中国で解明されました。種類のマラリア治療薬が組み合わ されているのは、どちらかの薬物に耐性を獲得するマラリア原虫の能力に対抗するためです。重度の(または合併症を伴 う)マラリアは主にキニーネの注射薬によって治療します。 しかし、マラリアとの闘いは、有効かつ高品質な医薬品で治療するだけでは十分ではありません。(特に5
歳未満の子供 と妊娠中の女性の場合には)マラリアの媒介となる蚊に刺されるのを防ぐことも必要であり、殺虫剤を浸み込ませた蚊 帳が有効です。 効果的で持続可能なマラリア予防戦略には、人的・物的資源を動員し、以下のさまざまな作業を同時に行うことが求めら れます。 • マラリアの診断 • 有効かつ安全な治療を全ての患者さんに提供 • ハマダラカとの闘い、具体的には、 ̶各蔓延地域におけるハマダラカの特徴を理解するための昆虫学的研究 ̶殺虫剤を浸み込ませた蚊帳 ̶屋内と屋外での殺虫剤噴霧 ̶幼虫生息地の破壊 ̶マラリア予防とマラリア患者さんのケアに関するコミュニティ内での認知向上 ̶(マラリア症例数、ハマダラカの移動状況などに関する)疫学・医学的データの監視システムを確立し、 人的・物的資源を最大限に活用 この「包括的な闘い」ともいえるマラリア予防へのアプローチには、必要な資源と適切な資金を動員する政治的意思決定 が欠かせません。各国政府をはじめ、世界中のあらゆる主要関係者に向けた認知向上プログラムが現在進められていま す。世界エイズ・結核・マラリア対策基金(the Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria)、ビル&メリンダ・ ゲイツ財団(the Bill and Melinda Gates Foundation)、ユニットエイド(UNITAID)など、民間・公共を問わず、多くの国 内外のイニシアチブを通じて多額の資金が集められています。サノフィ・アベンティスの
強み
サノフィ・アベンティスは数十年にわたりアフリカ諸国で事業を展開していますが、マラリアが蔓延する国々においては、 関連会社、事業所、製造施設を通じ、積極的な取り組みを行っています。サノフィ・アベンティスの製品ポートフォリオに は、マラリア治療の基礎作りに貢献した薬剤(キニーネ、クロロキン、アモジアキン)に加え、近年開発したアーテスネート とアーテメター、さらにアーテスネートとアモジアキンからなる最新の合剤が含まれています。001
年7
月には、Accessto Medicinesチーム初のプログラムとして「インパクト・マラリア(Impact Malaria)」が策定されました。このプログラム
は、サノフィ・アベンティスの専門知識と資源を活かし、マラリアと闘うことを目的としています。
サノフィ・アベンティスの
イニシアチブ
「インパクト・マラリア」の活動は、新しいマラリア治療薬の研究開発、既存製品を使用した新しい製剤と併用療法の開 発、医療における研修と情報提供、治療へのアクセスを改善する価格と流通方針の導入という、4
つの優先分野を中心と して組み立てられています。こうした活動は、マラリアが蔓延する国々において、数多くのパートナーとの密接な協力と積 極的な支援下で実施されています。 マラリアの主な病原媒介昆虫、ハマダラカ Access to MedicinesMalaria
マラリ
ア
優先分野
1
新しいマラリア治療薬の研究開発
マラリア原虫はいかなる治療法に対しても短期間のうちに耐性を獲得することが知られているため、常に新 薬が必要とされています。これは時間との競争であり、新しい耐性種の出現に一歩先んじている必要があり ます。この目的に向けた研究プログラムが大学の研究室と共同で始まり、次いでサノフィ・アベンティスグル ープの全面的な資金負担により自社の研究センターにおいて開発が進められています。モンペリエ第二大学 (Montpellier II University)のH.ヴィアル教授(Pr.H.Vial)との共同研究が003
年に開始され、マラリア 原虫のリン脂質生合成を阻害する「ビカティオニック(bicationic)」と呼ばれる化合物の開発が進行中で、 開発候補としてSAR9776
が選ばれています。また、トゥールーズのパルメド社(Palumed)のB.ムニエ博士(Dr.B.Meunier)との協力が
00
年に開始さ れ、マラリア原虫に対してつの作用機能を持つと期待される「トリオクサキン(trioxaquins)」化合物の開 発も行われています。最後に、
00
年に開始されたリール科学技術大学(Université des Sciences et Technologies de Lille:USTL)のブロカール教授(Pr.Brocard)との協力により、
4
-アミノキノリンの新しい誘導体であるフェロキン (SAR97193
)が生まれました。クロロキンに耐性のある熱帯熱マラリア原虫に対しても、フェロキンは非常 に有効で、現在臨床試験が進行中です。優先分野
2
既存製品を使用した新しい製剤と併用療法の開発
併用療法:耐性の拡大を克服する 耐性マラリア原虫の出現に対し、WHO(世界保健機関)は004
年以降、第一選択としてアルテミシニン誘導 体に異なるマラリア治療薬を組み合わせた併用療法(アルテミシニン・ベースの併用療法:ACT)を勧告してい ます。 この要求に可能な限り迅速に応えるため、サノフィ・アベンティスはアモジアキンとアーテスネートの経口薬を応 用して、一括包装(co-blister)形式にまとめた治療薬を開発しました。このアモジアキンとアーテスネートのブリ スター包装は、モロッコにあるサノフィ・アベンティスグループの工場で製造されており、ここ数年、0
カ国以上 のアフリカの国々で市販されています。 キニーネ塩注射薬に代わる投与手段 子供の重症なマラリアの治療には、臨床的な徴候が最初に現れてから可能な限り早急にキニーネ塩の注射投 与をする必要があります。治療が行われなかった場合や、治療が遅れた場合には、死に至る可能性もありま す。へき地では、(機材の不足、感染の危険などのため)注射投与は非常に信頼性に欠けます。サノフィ・アベン ティスはこの状況に対応するため、適切な設備を備えた治療機関への移送を待つ間にキニーネの直腸内投与 が可能な小児用緊急キットを開発中です。 この緊急キットを実際どこに備えるのが一番よいのかを決めるため、幾度か実地調査が行われました。 この緊急キットをさらに簡便に利用できるようにするため、すぐに使用可能な希釈済み製品の提供が007
年中 にも開始される予定です。マラリア感染の
リスク
200
3
年
アフリカ諸国での
ACT
導入
進行状況
200
5
年
非常に高い 高い 中程度 低い マラリアなし アーテスネート +アモジアキン アーテメター+ルメファントリン アーテスネート +スルファドキシン・ピリメタミン(SP) スルファドキシン・ピリメタミン(SP) クロロキン クロロキン +スルファドキシン・ピリメタミン(SP) 政府により採用済み、進行中、 または未展開出典:Hay SI、Guerra CA、Snow RW。「マラリアの感染リスクを負う各地域の人口」:WHO/ロールバッ クマラリア(Roll Back Malaria:RBM)との作業合意書(APW)に基づく報告書。オックスフォード、オック スフォード大学動物学科、TALAリサーチ・グループ。004年8月(M50/370/19)。 出典:RBM-AFRO 固定用量によるアーテスネートとアモジアキン の合剤:サハラ以南アフリカでの販売承認を 2007年中に予定 治療コンプライアンスを強化するため、種類 のマラリア治療薬を1つの錠剤にまとめた、固 定用量によるアーテスネートとアモジアキンの 合剤が開発されました。これは、「顧みられな い病気のための新薬イニシアティブ(Drugs for Neglected Diseases initiative:DNDi)」との 協力により行われました。DNDiとの合意に基 づき、サノフィ・アベンティスはこのマラリア治療 薬に特許を適用せず、恵まれない人々の境遇に 応じた価格体系で供給することを約束していま す。DNDiならびにサノフィ・アベンティスは、そ れぞれの専門知識と資源をこの共同プロジェク トに投入しています。 この薬剤はモロッコで製造されており、007 年月1日に販売承認を取得しました。サハラ 以南の大半のアフリカ諸国において007∼ 008年中に登録されることになっています。 Access to Medicines
I
-
医療スタッフを対象としたイニシアチブ
このイニシアチブの目的は、マラリアの診断と治療に関する最新の提言を広めることです。この活動は各国の状況に合わ せて内容が調整され、各国のマラリア対策プログラムとの協力に基づいて実施されます。サノフィ・アベンティスは、ヘルス ケアの実務担当者を対象としたACTトレーニング用ツールを各国政府の保健衛生担当省に提供しています。 最新の知識を可能な限り広く提供するため、「インパクト・マラリア」はマラリア蔓延地域の処方医を対象とした「パルト ロップ(PaluTrop)」というマニュアルの出版を行いました。執筆はアフリカとフランスのマラリア治療の権威が担当しま した。この40
ページのマニュアルは、病院のない地域で医療実務に携わる処方医と看護師を対象としています。 「インパクト・マラリア」からの資金供与により、マルセイユのサンテ・デ・ザルメ熱帯医学サービス研究所(Institut de Médecine Tropicale du Service de Santé des Armées:IMTSSA)は、これまでにアフリカの医師60
人に対して認定医 コースを提供してきました。また、IMTSSAとリバプール大学熱帯医学校(Liverpool School of Tropical Medicine)との協力により、マラリアとの闘 いに携わるあらゆる関係者を対象としたウェブサイト、www.impact-malaria.comがコミュニケーションや継続的な教育 のツールとして開設されました。
II
-
地域の人々とコミュニティを対象としたイニシアチブ
「インパクト・マラリア」では、地域住民を対象に、マラリアの予防ならびにマラリア治療薬の適性使用に関する情報提供 と教育を展開しています。
一例として、国際協力NGO、CAREカメルーン(CARE Cameroon)との協力によりカメルーンのラグド地域で実施され たパイロット・プロジェクトがあります。同地域は湖・河川・稲田に隣接しているため、マラリアの有病率が高くなっていま す。プロジェクトの一環として、マラリアが地域のコミュニティにどのように認識されているかを検証する調査が行われまし た。この調査を通じ、マラリア予防に関する適切なコミュニケーション手段を開発し、地域コミュニティ、医療施設、学校に おいて使用することが計画されました。その目的は、地域コミュニティに加え、マラリアによる合併症のリスクが特に高い
5
歳未満の子供を持つ家族の、マラリアに対する認識を向上させることです。また、マラリアの病原を媒介するハマダラカ に対策を講じるべく、ラグド地域でのハマダラカの行動を把握する昆虫学的な研究も行われました。最後に、マラリアと診 断された住民のために、サノフィ・アベンティスはACTを提供しています。優先分野
3
情報・教育・コミュニケーション
医薬品だけでは十分とはいえません。医薬品の適性使用を確実に実行していくことが必要です。「インパクト・マラリア」 プログラムには、マラリアとの闘いに携わるあらゆる関係者を対象とした、情報・教育・コミュニケーション(Information, Education and Communication:IEC)イニシアチブが含まれています。Malaria
現在、国際連帯活動(Actions de Solidarité Internationales:ASI)、予防医薬支援協会(the Agence pour Ia Médecine Préventive:AMP)という
つのNGOとの協力の下、コンゴ・ブラザビル市のマクア地域で新たなプロジェ クトも準備中です。こうしたプロジェクトのおかげで、マラリア伝染の状況が異なる地域においても、必要な資源を特 定し、マラリアに対して大きな効果を継続して挙げることができます。 ベニンでプラネットファイナンス(PlanetFinance)がその分野に精通しているNGOと協力して実施したプロジェクト は、マラリアの危険に対する認識を家族やコミュニティの間で高めるため、ヘルスケア専門家を教育担当者に育成する というものです。このプロジェクトからマラリアの予防と症状に関する情報をまとめたキットが生まれました。このキッ トは、文字を読めない人も含めて、誰もが理解することのできる絵文字を使用しています。 マラリアが蔓延する国において、包括的な対策を企画し必要な資金を得るうえで、このような経験はたいへん有用です。 最後に、サノフィ・アベンティスは、トタル社(Total)とCFAO(Compagnie Française de l Afrique Occidentale: フランス西アフリカ会社)とともに「マラリアと闘う企業のための実践ガイドブック(Practical Guidebook for the Corporate Fight against Malaria)」の作成を支援しました。すでに刊行されているこのガイドブックは、テーマご とに構成されており、社員やその家族をマラリアから保護したいと考える企業はもちろん、その企業が属するコミュ ニティが、参考にできるよう作成されています。 2 • コミュニティと家族のためのIEC公衆衛生 「マラリア対策、予防と治療」 国レベルの病院 地域の病院 コミュニティレベルの病院 保健センター、診療所 ヘルスケア実施ポイント コミュニティと家族 1 • 医療情報のピラミッド 「合併症を伴わないマラリアの ACT療法とその理由」 Access to Medicines優先分野
4
マラリア治療薬に関する価格と流通方針の導入
マラリア治療薬を可能な限り多くの患者さんに届けるため、サノフィ・アベンティスは段階的な価格設定を導入してい ます。 製造コストを最適化することにより、世界中の生産現場で一貫した高い品質を保ちながら、最も安い価格水準を設定する ことを可能にしています。この価格は経済的に恵まれない人々を対象としており、利益も損失も発生しません。このような アプローチは、長期的に製造を続けるうえで不可欠です。 マラリアが蔓延する国での主な医薬品流通経路は以下のとおりです。 • 民間の薬局: サノフィ・アベンティスは、患者さんの購買力に合わせ、同一のマラリア治療薬をつの異なる価格で提供してい ます。 ̶ サノフィ・アベンティスブランドによる、対象国における通常価格での販売。̶ 「インパクト・マラリア」ブランドによる提供。CAPプログラム(Le programme de Carte d'Accès aux anti-Paludiques:抗マラリア薬アクセス・カード・プログラム)を通じ、貧困層に対して優遇価格が適用され るものです。収入が居住国の貧困線を下回っている家庭には薬局を通じてCAPカードが支給されます。これ により、たいへん購入しやすい価格で医薬品を入手することができます。卸売業者や薬局が利益を放棄し たおかげで実現しました。 • 公共の医療制度: マラリアが蔓延している国へのマラリア治療薬供給は、購買グループ、NGO、国連組織が行う入札を通じて行わ れます。サノフィ・アベンティスはこうした入札の呼びかけに応える形で、ACTを最低限の価格で提供します。購入 された医薬品は公共の医療制度を通じて病院、診療所、保健センターなどに配布されます。 サノフィ・アベンティスは、
005
∼006
年の間に、16
カ国で計1
,000
万包装以上に相当するACTを優遇価格で提供しま した。 モロッコのカサブランカ市にあるサノフィ・アベンティスグループの工場は、最新の設備を有しており、アーテスネートとアモ ジアキンの合剤によるACTの需要拡大にも、迅速に対応することができます。Malaria
マラリ
ア
4
つの優先分野を通じて、永続的な効果の期待される短期、中期、長期の活動方針を策 定しています。私たちが業務の「中核」としているのは、高品質の医薬品を開発、承認取得、生産し、誰もが手の届く価格 で販売することです。しかし、医薬品だけですべての問題を解決することはできません。こうした認識に立ち、「インパク ト・マラリア」は、マラリアに対する「包括的な闘い」という原則を推し進め、教育、情報、予防におけるイニシアチブにも関 わっています。 社内外を問わず、「インパクト・マラリア」を支援してくださる多数のパートナーの参画により、サノフィ・アベンティスはマラ リアに対する闘いにおいて重要な役割を担っています。 民間薬局によるマラリア治療薬の提供: 抗マラリア薬アクセス・カード・プログラム(CAP) このプログラムは004年以降、以下の5カ国の都市部において活動を行って います。 • ガボン:004年11月にリーブルビル市においてパイロットプログラムを実 施、006年5月にはさらに4つの都市に拡大。 • マダガスカル:004年11月に海岸沿いの3つの大都市においてパイロット プログラムを実施。 • ケニア:各州の13の都市においてパイロットプログラムが進行中(006年 月)。 • マリ:バマコ市の6つの区においてパイロットプログラムが進行中(006年 3月)。 • コンゴ、ブラザビル市:ブラザビル市とポワントノワール市において同時に パイロットプログラムを開始(006年5月)。 プログラムへの参加者:以上の地域にある650軒の薬局のうち、400軒近く が参加しています。 結果:年間で万6,000世帯以上の家族が400軒の民間薬局で「インパク ト・マラリア」カードを利用し、約4万7,000人の患者さんが優遇価格でマラリ ア治療薬を入手しました。 次のステップ:CAPクラブ 006年にブラザビル市で開催された国際医薬品フォーラムにおいて「CAP クラブ」が発足しました。 参加者:メンバー薬局、CAPプログラムのパートナー。 目的:情報交換、メディア向け広報、社会的活動の促進を通じて、薬局とCAP プログラムのメンバーによるマラリア予防活動を推進。 Access to MedicinesTuberculosis
結核
結核とは
結核を引き起こす結核菌は、感染者が咳によって空気中に吐き出した飛沫を吸い込むことによって感染します (ほんの数個吸い込むだけで感染します)。この細菌は通常、肺の感染を引き起こしますが、他の臓器(骨、髄膜、リ ンパ腺)に感染する場合もあります。結核に罹患した人が治療を受けなかった場合、一人あたり毎年平均して10
∼15
人へ 感染させる可能性があります。過去40
年間において結核が世界中に蔓延した大きな要因は、人々の移動(旅行、戦争難民、先 進工業国のホームレス)です。 結核菌に感染した人がすべて結核を発症するわけではありません。細菌が症状を発現させることなく、何年間も体内で休 眠状態でいることもあります。感染者のうち結核を発症するのはわずか5
∼10
%に過ぎません。免疫力の低下した人、 特にHIV/AIDSの患者さんでは、感染後に結核を発症するリスクが高くなります。 HIVウイルスと結核菌に同時感染した場合、どちらの病気も互いの進行を促進するため、致死的な結果を引 き起こします。結核は、HIV/AIDSの患者さんの主要な死因となっており、全世界で3
分の1
、アフリカでは40
%のHIV/AIDS患者さんの死因となっています。疫学的特徴
結核はHIV/AIDSやマラリアと並び、世界全体で最も重い感染症です。今日、世界の人口のうち結核菌に感染している人は3
分の1
にのぼり、1
秒に1
人が感染していることになります。また、毎年約800
万人が結核を発症し、00
万人が亡くなって います。 世界中の結核症例の80
%はカ国に集中しています。 サハラ以南のアフリカでは毎年00
万件を超える症例が発生していますが、この数字は同地域で流行しているHIV/AIDS によって急速に増加しています。東南アジアでは毎年300
万件近い結核が報告され、東ヨーロッパでは5
万件以上が報 告されています。 HIV/AIDSの流行と、複数の抗生物質に対して耐性を持つ病原菌の登場により、結核の影響は深刻さを増しており、 WHOは世界の健康を脅かす緊急事態であると見なしています。000
∼00
年の間に、10
億人近い人々が新たに感染、そのうち億人が結核を発症し、感染への対応が改善されなかっ た場合には3
,500
万人が死亡するとWHOは推定しています。結核に対する
治療手段
と
戦略
治療の目的は感染した臓器内に存在する細菌を破壊することです。リファンピシン、イソニアジド、ピラジナミド、エタンブ トールの4
種類の抗生物質を組み合わせて行われます。WHOは現在、これを標準治療として推奨しています。この治療法 は可能な限り早期に開始する必要があり、6
カ月間以上継続させなければなりません。 WHOは、公衆衛生の観点から見て、不完全な治療やコンプライアンスが低下した状態は、何の治療も行わない場合より も悪いと考えています。 事実、感染が完全に根絶されなかった場合、患者さんの体内では抗生物質に対して耐性を持つ細菌が現れかねません。 耐性菌の治療も可能ではありますが、はるかに長期的かつ複雑なものとなり、多くの費用がかかります。 0∼24 25∼49 50∼99 人口10万人あたりの件数 100∼299 300以上 推定値なし結核の
推定出現頻度
(全種類)
200
4
年
出典:ストップ結核パートナーシップ、WHO「結核防止へ向けたグローバル・プラン、006∼015年」。 Access to MedicinesTuberculosis
結核
適切な治療が施されない場合、耐性菌を広めるばかりか、すでに大きな懸念となっているように、多剤耐性菌の出現をも 助長する恐れがあります。 それゆえ第一選択薬の服用コンプライアンスを高めるため、固定用量による併用療法(Fixed-Dose Combinations: FDCs)が開発されました。まず、当初のカ月間に使用する4
種類の主要薬剤が単一の錠剤にまとめられています。さら に、少なくとも次の4
カ月間用に、種類の薬剤がやはり単一の錠剤にまとめられています。 こうして、毎日服用しなければならない錠剤の数が大きく削減されました。 治療期間を通して患者さんの管理と観察を行うことで、服用コンプライアンスの改善につながります。国際的なレベルで結核に有効とされているのは「直接監視下短期化学療法(Directly Observed Treatment Short-Course:DOTS)」戦略です。 DOTSでは患者さん以外の「DOTSサポーター」と呼ばれる人が、患者さんが医薬品を日々服用しているかを注意深く監 視します。 結核と診断された後、医療スタッフ、コミュニティのケアワーカー、またはトレーニングを受けたボランティアが患者さんを 直接観察し、処方された用量の結核治療薬を治療期間中に服用しているかを確認します。 治療開始から
カ月後、および治療終了時に喀痰の検査を行い、結核が治癒したことを確認します。 患者登録・疾患通知システムにより、治療期間を通じて疾患の追跡が可能になります。また、治癒した患者さんの割合を 検証できるため、プログラムの成功度も知ることができます。 この戦略が正しく行われた場合、今後10
年間、何百万件という発症や死亡例を防止できると予想されています。サノフィ・アベンティスの
強み
歴史的にサノフィ・アベンティスは、リファンピシンを製造した最初の企業であり、現在においてもこの結核治療に必ず使 用される同成分の主要な生産企業となっています。サノフィ・アベンティスグループでは、あらゆる結核治療薬の開発・製造 を行い、多くの国へ出荷しています。この経験を活かし、サノフィ・アベンティスでは最近、結核との闘いに対する貢献を新 たに見直しました。 最適化・産業開発プログラムを開始することで、製品範囲を拡大し、より適した製品を最低限の価格で提供するととも に、より多くの患者さんへ医薬品を提供できるようにしたのです。 南アフリカで使用されている DOTSのイラ スト4
種類の薬剤の混合薬、第二段階用に種類の混合薬を提供してい ます。 この結核プログラムの目標は、結核との闘いの一環として、結核が蔓延した国の保健当局に対し、高品質の結核治療薬に 加え、その国に合わせたサポート体制を提供することです。サノフィ・アベンティスの
イニシアチブ
サノフィ・アベンティスは、アメリカの疾病対策予防センター(Center for Disease Control and Prevention:CDC)、結 核治療薬開発のための世界同盟(The Global Alliance for TB Drug Development:TB Alliance:GATB)、エイズ・結核 への迅速な対応へ向けた共同体(Consortium to Respond Effectively to the AIDS/TB Epidemic:CREATE)、ロンド ン大学セントジョージ病院医学校(St George's Hospital Medical School London)など、数々の国際的機関と提携し、 以下のような戦略のもと、結核治療の発展と改善を行っています。 • 潜伏性・活動性結核の治療において、既存の薬剤であるリファペンチンの開発を、単独使用・他の薬剤との併用 の両面で継続しています。有効性を最大限に確保しながら、治療期間を短縮し、薬剤服用回数を削減するのが目 的です。 • 抗生物質のポートフォリオを系統的にスクリーニングし、結核菌に有効な新しい製品を開発しています。特に、標 準的な薬剤に対して耐性を獲得した結核菌が対象です。 • 外部パートナーとの提携も視野に入れた新薬の研究を行っています。 サノフィ・アベンティスによるこの新しい研究開発プログラムは、WHO後援の世界的な「ストップ結核(STOP TB)」プロ グラムに加え、結核の蔓延を防止し、
015
年までに発生件数を減少させるという国連「ミレニアム・サミット」の目的に則 したものとなっています。 DOTSセン ター開所 式に出席 した ジャン・フラ ンソワ・デ ュエック。( 005年、南 アフリカ ) 「結核フリー(TB Free)」プログラムについて 年間40万件の新しい症例が報告され、1日あたり平均して175人が死亡している南アフリカ は、結核の影響が最も深刻な国です。 南アフリカの「結核フリー」プログラムはサノフィ・アベンティス、ネルソン・マンデラ基金 (the Nelson Mandela Foundation)、南アフリカ政府保健省との協力で導入されました。 このプログラムは結核に関する意識の向上を目的としており、最初の症状が出現した時点で 診断を受けることの重要性、患者さんの治療コンプライアンスを直接監視するDOTSサポー ターの支援活動について、啓発活動を行っています。 このプログラムの目標は、新しいセンターを9つ(各州に1つ)開設し、最終的には全国で万 人のDOTSサポーターを育成し、治療期間中はサポーター1人につき約10人の患者さんを監 視させることです。 Access to MedicinesSleeping
Sickness
睡眠病
:
アフリ カトリパノソ ーマ症(HAT
)睡眠病とは
HATは、貧困と関連が深い、複雑かつ致死的な病気です。HAT(Human African Trypanosomiasis:アフリカトリパノソーマ症)、別名「睡眠病」は、熱帯地方の伝染病の中で、最
も複雑でありながら最も顧みられていない病気のひとつです。ツェツェバエに刺されることによって伝染するこの病気は、主に 西部・中部アフリカに蔓延し、別種であるローデシアトリパノソーマは東アフリカに分布しています。 睡眠病は、事前スクリーニングによって治療の有効性が決まるため、早期の診断が重要とされます。治療効果や回復の可能性 も高い初期の段階では、症状も一般的に軽く非特異的です。このため患者さんの多くは、トリパノソーマ原虫が脳まで侵 入し、病気が進行するまで治療を受けないのです。神経異常が極めて深刻化し、睡眠パターンにも障害が発生すること から、この病名が付けられました。 この病気は急速に回復不可能な昏睡にまで進行し、最終的に患者さんは死亡します。この神経異常段階(第二 段階)での治療は複雑かつ危険で、結果も見込めません。 治療されずに放置された場合、病気は長期にわたり苦痛を伴うものとなり、死に至ります。 睡眠病の主な媒介生物であ るツェツェバ エ
疫学的特徴
1995
年、WHOはこの疾患に罹患している患者数を約30
万人と推定しました(参考文献:WHO Series of Technical Reports N°881)。001
年版の報告書(WHO/CDS/CSR/ISR/2000.1、WHOレポート:流行の可能性がある感染症に関する全 世界的調査)では、感染のリスクにさらされている人々の数を6
,000
万人とし、そのうち何らかの監視の対象となっている 人はわずか400
∼500
万人に過ぎないと推定しています。006
年、WHOは発症例数を7
万件と推定しました。この改善は、WHOの努力に加え、各国やNGOの取り組みによるも のです。WHOが中心的な役割を果たすことができたのは、以下に述べるように、001
年以降、サノフィ・アベンティスの 貢献が主な要因となっています。私たちの活動の
きっかけ
:
2001
∼
2006年
001
年の時点において、アベンティス社(現サノフィ・アベンティス)は睡眠病に有効な主たる医薬品(ペンタミジン、メラ ルソプロール、エフロールニチン)を製造していました。 • 疾患の第一段階においてはペンタミジン(00
mg)の筋肉内注射 • 第二段階においてはメラルソプロールとエフロールニチンの静脈注射 当時アベンティス社は、このような複雑な病気の治療において、医薬品は不可欠なものの、それだけでは十分ではないこと を認識していました。そのため、001
年5
月、WHOとの合意書に署名し、以下の分野に対して5
年間で,500
万ドルの出 資を約束しました。 • 必要量の医薬品を製造し、提供 • 疫学的発展の状況に従ってWHOの活動を支援し、睡眠病に対する監視および予防プログラムを強化 • 薬剤が生産現場から患者さんの手元に届くまで、薬剤の経路監視においてWHOを支援 • 新たな監視ツールの研究開発を喚起すべくWHOを支援 Access to MedicinesSleeping
Sickness
睡眠病
:アフ リカトリパノ ソーマ症( HAT)成果
こうした最初の協力によって、001
∼006
年の間、サノフィ・アベンティスは、3
万本以上のペンタミジン、4
万本以 上のメラルソプロール、0
万本以上のエフロールニチンを製造し、WHOへ寄贈、国境なき医師団(Médecins sans Frontières:MSF)の物流ネットワークを通じて睡眠病が蔓延する国へ配布されました。 この財政的な支援と医薬品の寄付を通じ、各国の睡眠病対策プログラム活動は強化されました。WHOのトレーニング を受けたフィールドスタッフは300
人を超えました。このスタッフ強化と睡眠病対策プログラム活動に対する技術・財政 上の支援を通じ、スクリーニングと治療を受けた人々の数も大幅に増加しました。5
年間の協力を通して1
,400
万件近い診断が行われました。この活動は、睡眠病の蔓延防止に大きく貢献し、11
万人近 い人々の命を救うことができました。さらに、疫学的な状況にも変化を及ぼし、睡眠病の撲滅までも視野に入ってきま した。こうした成果に基づき、トリパノソーマ症研究・抑制のための国際科学会議(the International Scientific Council for Trypanosomiasis Research and Control)は、アジスアベバで開催された第
8
回会議(005
年9
月)において、睡眠 病の撲滅プログラム開始をWHOに対して勧告しました。睡眠病は公衆衛生における大きな問題ですが、撲滅の可能性 があると考えられるようになったのです。 (参考文献:サノフィ・アベンティスプレスリリース、006年10月10日) HAT診療での腰椎穿刺 ス ク リ ー ニ ン グ を 受 け た 人数 新 し い 症例件数 スクリーニングを受けた人数と アフリカトリパノソーマ症と 新たに診断された件数1997
∼2005
年19
次なるステップ
:
2006
∼
2011
年
001
∼006
年の間、サノフィ・アベンティスとWHOの協力は、睡眠病との闘いにおいて大きな成果を挙げました。これ を受けて、サノフィ・アベンティスグループの経営陣はWHOの活動に対し、支援を継続すべきであると判断し、006
年10
月10
日に合意が交わされました。 最初の協力で学んだ経験から、サノフィ・アベンティスは、さらに5
年間、睡眠病に対する予防活動を支援することとしまし た。また、リーシュマニア症、ブルーリ潰瘍、シャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)など、他の顧みられない熱帯病にも 支援を広げていきます。 この協力と、合計,000
万ユーロ(,500
万ドル)にのぼる資金供与により、WHOの方針を支援することが可能になりま す。トレーニングプログラムの維持と開発、各国のプログラムをスクリーニングと治療という面から支援することで、顧みら れない熱帯病との闘いをより統合しようというものです。 写真提供: WHO(006年10月) WHOと サノフィ・アベンティスの 新たな協力 2006∼2011年 新たな合意書 の調印(006 年10月10日)。サ ノフィ・アベンティ スの会長、ジ ャン・フランソ ワ・デュエッ クと、 WHOの事務 局長代行、A. ノルドストロ ム博士 Access to MedicinesLeish
man
iasis
リーシ
ュマニ
ア症
リーシュマニア症とは
リーシュマニア症はサシチョウバエの咬傷が媒介する寄生虫病です。この病気は非常に複雑で、6
つの型があります。内臓に寄生する内臓リーシュマニア症(Visceral leishmaniasis:VL)が最も重症 です。治療が行われなかった場合、通常は年以内に死に至ります。さらに、一部の症例では寄生虫が皮膚 にも広がります(カラアザール後遺皮膚病変)。最も一般的なのは皮膚リーシュマニア症です。通常、顔面、腕、 脚に潰瘍が発生します。この潰瘍は自然に治癒しますが、重い身体障害を生じ、外観を酷く損なうほどの瘢痕を残し ます。皮膚粘膜型ははるかに重篤な症状を引き起こします。上気道の粘膜を侵し、鼻、口、咽喉部の柔組織を破壊し、激 しい変形を引き起こします。汎発性皮膚リーシュマニア症は、自然治癒せず慢性的な瘢痕を皮膚に残します。最後に、再発性 皮膚リーシュマニア症は治療後に発生する再発型です。 (参考:「WHOとサノフィ・アベンティスの新たな協力 006∼011年」に関するパンフレット)疫学的特徴
リーシュマニア症はアフリカ、中央および南アメリカ、アジア、ヨーロッパの4
大陸88
カ国で流行しています。 WHOによれば、およそ3
億5
,000
万人がリーシュマニア症発症の危険にさらされています。現在リーシュマニ ア症に罹患しているのは主としてへき地の貧困地域に居住する1
,00
万人で、毎年150
∼00
万人が罹患 しています。この疾患により数千人が死に至り(うち70
%は子供)、さらに数千人以上に重い障害が 残ります。6
カ国で50
万人(新しい症例の約5
%に相当)が、(治療しなかった場合は死に至 る)内臓リーシュマニア症を患っており、毎年5
万人以上がこの病気で死亡してい ます。カラアザールに罹患した人々の大半(90
%)はバングラデシュ、ブラ ジル、インド、ネパール、スーダンに居住しています。150
万人(新しい症例の75
%に相当)が皮膚リーシュマニア症を患っており、患者さんの大 半(90
%)はアフガニスタン、アルジェリア、サウジアラビア、ブラジル、イラン、ペルー、スーダン、 シリアの8
カ国の住民です。 皮膚粘膜リーシュマニア症の症例のうち90
%はボリビア、ブラジル、ペルーの3
カ国に集中しています。リーシュマニア症に対する
治療手段
と
戦略
現在のところワクチンや予防薬は存在しません。現時点で可能な自己防衛策は殺虫剤を浸み込ませた蚊帳や、DDTな どの殺虫剤の使用です。また、保有宿主となり得る動物(犬や小型のげっ歯類)についても検査と監視が必要です。 この疾患の治療は5
価アンチモン(アンチモン酸メグルミンとスチボグルコネートナトリウム)が現在でも第一選択薬と されています。第二選択薬としては、アムフォテリシンB、リポソーマルアムフォテリシンB、イセチオン酸ペンタミジン、 パロモマイシン、ミルテフォシンがあります。 サノフィ・アベンティスはアンチモン酸メグルミンとペンタミジンを販売しています。WHOは、すべての型のリーシュマニア 症に対し、両医薬品が非常に重要な第一選択薬、第二選択薬であるとしています。 多くの人々がリーシュマニア症に苦しんでいる国々では、治療手段も高価であることから、国の公衆衛生関連予算の大き な負担となります。 これこそ、サノフィ・アベンティスが治療に対する姿勢を強化した理由のひとつなのです。サノフィ・アベンティスの
対リーシュマニア症プロジェクト
このプロジェクトは以下のつのイニシアチブから構成されています。 • アンチモン酸メグルミンを優遇価格で提供 • WHOと協力して病気の管理を改善 サノフィ・アベンティスは多くの国でアンチモン酸メグルミンの生産と販売を行っています。この製品を可能な限り多くの患 者さんに提供するため、生産を1
カ所に集約するという合理化が005
年に開始されました。薬剤の生産は最終的にブラ ジル・スザノの拠点に集約され、結果として、薬剤を段階的価格で提供し、世界中のより多くの患者さんに届けられるよう になりました。006
年10
月10
日、WHOと調印した新たな5
年協定の一環として、サノフィ・アベンティスによる寄付(640
万ドル)の5
%はリーシュマニア症対策にのみ使用されることとなりました。 サノフィ・アベンティスの目的は、WHOと協同で行う情報・教育・コミュニケーション(IEC)のイニシアチブ、ならびにサノ フィ・アベンティスグループの関連会社と現地国(たとえば中南米)当局との協力活動を通じて、この顧みられない疾病と の闘いに積極的に取り組んでいくことです。 Access to MedicinesEpilepsy
てんか
ん
てんかんとは
てんかんは、ニューロンと呼ばれる脳細胞の機能異常によって引き起こされる神経学 的な障害です。この脳細胞の機能異常は突然の過剰な放電によって発生し、発作として現れま す。てんかん発作は大脳皮質内の一部またはすべてのニューロンの機能異常と関係があり、常に突然 発生し、通常は短時間のうちに終わります。放電の発生した脳の領域によって症状は異なります。 てんかん発作には以下の種類があります。 • 両方の脳半球が関与した全身的な発作:このような発作が発生した場合、患者さんは通常、突然意識を失って、けいれ んを起こします。このけいれんは時として非常に激しく、患者さんは倒れた際にケガをする恐れがあります。通常、発作は1
分から分程度ですが、数秒で終わる場合もあります。 • 一部または局部的発作:脳の一部に異常活動が発生した場合に起こります。身体のごく一部が影響を受けるにとどまります。 記憶や意識の障害として現れる場合もあります。 一度発作が起こったからといって、その人がてんかんに罹患しているとは限りません。発作が比較的頻繁に繰り返され、 一定の期間にわたる場合には、てんかんと判断されます。 てんかんは外傷、遺伝的要因、出産時の脳への損傷、感染症、脳血管障害、代謝異常などによって引き起こされる ことがあります。しかし、症例の半数以上は原因不明とされています。てんかんが遺伝することはまれです。疫学的特徴
偏頭痛を除くと、てんかんは、地理的・民族的・社会的境界を超えて、世界で最も広範 な神経学的疾患です。世界人口の約5
%が生涯に1
度は発作を起こし、0
.5
∼1
% はてんかんに罹患します。5
,000
万人以上がてんかんを発症し、その85
%はてんかんが広く蔓延する発展途上国 に居住しています。 発展途上国における新しい症例の報告は人口10
万人あたり49
∼190
件とされ、発症は乳幼児と高齢 者に多く見られます。地域によっては、けいれんを伴う発作は悪霊が原因とされ、患者さんが医師ではな く、ヒーラーや悪魔払いの祈祷師のもとに送られ、診断や治療が行われることなく社会の片隅で暮らす場合も あります。 てんかんと診断された子供と成人の大半は、現在の薬により治療が可能です。しかし、発展途上国に住むてんかん患者さ んの大半(80
%)は治療を受けていません。時として、治療可能な医療機関や医薬品へのアクセスを欠いているため、診 断さえ行われない場合があります。これは患者さんとその家族に、身体的、心理的、社会的、経済的に深刻な結果をもた らしています。 (参考文献:WHO「005年度版世界てんかんケア」)サノフィ・アベンティスの
強み
サノフィ・アベンティスグループは世界で最も広く使用されている種類のてんかん治療薬を製造しています。1
つは、60
年 以上にわたって市販されているフェノバルビタールです。そして、40
年近く前にてんかん治療に革命をもたらし、数百万人 のてんかん患者さんの命を救ったバルプロ酸ナトリウムです。 フェノバルビタールとバルプロ酸ナトリウムはWHOの必須医薬品リストにも含まれ、てんかん患者さんの治療に使用さ れる基本的な治療薬となっています。この長い伝統と、数々の継続的な教育プログラムを通じた神経学領域への深い関 与がきっかけとなり、マルセイユに拠点を置く新たなNGO、サンテ・シュド(Santé Sud)は、004
年にサノフィ・アベン ティスグループと出会いました。私たちの
取り組み
サノフィ・アベンティスグループは、このようなイニシアチブの推進に確固たる意思をもって取り組み、NGOや大学研究機関 との提携に基づき、あらゆるヘルスケアの専門家を対象として質の高いトレーニングを長期的に提供しています。これは、使 用可能なてんかん治療薬の中から最善の処方を行えるよう、必要な情報を医師に対して確実に伝える手段でもあります。 この確固たる意思は、サノフィ・アベンティスが以下の各機関と交わした合意にも反映されています。• フランス、リモージュのINET(Institut d'Epidemiologie neurologique et de Neurologie Tropicale:伝染病・ 熱帯性神経学研究所):カンボジア初のてんかん対策協会を設立
• サンテ・シュド:マリで実施中のプログラムを
年延長し、同様の共同プロジェクトをマダガスカルにおいて3
年間 実施• KAWE(Kenyan Association for the Welfare of Epileptics:ケニアてんかん福祉協会):実施中のトレーニン グプログラムを発展させ、ケニア国内でのてんかん治療薬の供給状況を改善 サノフィ・アベンティスの活動を通じて、地方におけるてんかん患者さんの治療改善に不可欠な環境を特定することができま した。 • 医療スタッフの存在は必須 • 医療コミュニティに対し、てんかんに関する教育を拡大することが必要 • 不可欠な医薬品について品質と流通を保証し、患者さんやその家族にとって購入可能な価格で提供しなければな らない 以上のパイロット的なイニシアチブに基づき、サノフィ・アベンティスは他のパートナーとの協力の下、この活動をさらに広げ ていきたいと考えています。 サンテ・シュドは、医学の発展に寄与することを目的として最貧国で活動するNGOです。 この組織は、マリのへき地への医療拡大を目指す開業医を対象に、トレーニングと開業 プログラムの開発を支援しました。 地方において、てんかんを治療する全国的なプログラムは存在しなかったため、サンテ・ シュドは「地域医師協会(Association des Médecins de Campagne)」との協力 の下、プログラムを立ち上げることを決定しました。6人の医師がトレーニングを受け、
RARE(Recherch-Action en Reseausur l Epilepsie:てんかん研究行動ネットワーク)
と呼ばれるネットワークへと組織されました。サンテ・シュド、フランス人の神経科医ボ ランティア、そしてサノフィ・アベンティスの支援により、6人の医師は1,000人以上のてん かんの患者さんを治療し、その一部には 利益を上乗せしない原価 の優遇価格でバルプ ロ酸ナトリウム(200mg、500mg)が投与されています。
Vaccines
ワクチ
ン
サノフィパスツールを通じて、サノフィ・アベンティスはワクチン生産の主要なリーダーとなっています。数多く のパートナーとともに、サノフィパスツールは数十年にわたって最貧国へのワクチン供給や適切な投与を促進する プログラムに関わってきました。この哲学はサノフィパスツールの企業戦略に完全に組み込まれ、その存続を保証して います。 しかしながら、ワクチンと医薬品の世界は本質的に異なります。方針の設定であれその実施であれ、ワクチンへのアクセスと医薬 品へのアクセスでは、プロセスが大きく異なります。「医薬品へのアクセス」よりもはるかに複雑な「ワクチンへのアクセス」
予防接種は世界中で何百万という命を救っていますが、一方毎年3
,000
万人の新生児がワクチン接種の機 会に恵まれず、300
万人がワクチンで予防可能な疾患により死亡すると推定されています。したがっ て、ワクチンへのアクセスは極めて重要な課題ですが、これは次の3
つの理由により、医薬品へ のアクセスと異なります。 経口ワクチンによるポリオ予防接 種医薬品とは大きく異なる許認可、製造、流通プロセス
ワクチン製造業者の数は医薬品製造業者よりもはるかに少なくなっています。さらに、ワクチン市場は医薬品市場のわず か%を占めるに過ぎません。 他の生物学的製剤と同様、ワクチンに対する許認可は製造プロセスに基づいて行われます。そのため、次の点について 留意が必要です:ワクチン許認可の申請書類には製造プロセスと機器をすべて記載する必要があるため、「ジェネリッ ク」ワクチンは不可能なこと。各ワクチンは特定の製造業者が製造すること。国連機関を通じて提供される各ワクチンは WHOによる認可あるいは「事前承認」が必要なこと。 このような複雑なプロセスが存在するため、新しい製造施設を使用してワクチンを市場に提供できるようになるまで、 約5
年が必要となります。ワクチンの製造サイクルは10
∼カ月と非常に長くなりますが、複雑なワクチンでは、より 長期にわたる場合もあります。このため、製造業者が需給変動に対応できる能力も大きく限定されます。ワクチンは 安価で最低限の利益しか生まない場合が多いという現状では、多くの製造業者が生産を取り止めています。ユニセフ (UNICEF)は数年前まで製品ごとに7
∼8
社の製造業者を頼りにワクチンを入手していましたが、現在まで残っている 業者はわずかです。 「ワクチンへのアクセス」は30年以上にわたる課題 最貧国におけるワクチンへのアクセスという問題は、世界保健総会(World Health Assembly:WHA)が予防接種拡大計画
(the Expand Program on Immunization:EPI)を策定した 1974年以降、国際社会における懸念事項となっています。 世界の他のワクチン製造企業と同様、サノフィパスツールは長 年にわたって「スライド価格」を実施してきました。このシステ ムでは、途上国へのワクチン販売が低価格で実施されます。各 関係者の協力に基づき、EPIが対象とする6種の疾患について子 供に予防接種を施す場合、費用は30米ドル未満となります。こ のうち、ワクチン自体のコストは約5%となっています。 Access to Medicines
Vaccines
ワクチ
ン
GAVI
パートナーシップ
1990
年代初頭までは世界中で同じワクチンが使用されていました。つまり、先進国では高い価格で、途上国では所得に 合わせた価格でワクチンが供給されていたのです。その後、複雑な技術を必要とするワクチン(無細胞百日咳ワクチン、肺 炎球菌結合ワクチン、インフルエンザ菌b型ワクチン)や混合ワクチンが登場しました。こうした新しいワクチンは、従来よ りもはるかに多額の開発製造コストを要するため、次第に富裕国の需要や財力に合わせたワクチン生産へとつながる一 方、最貧国に対しては、彼らの限られた財力で購入できるような価格では提供できなくなってきています。ビル&メリンダ・ゲイツ財団、世界銀行(the World Bank)、WHO、ユニセフ、ワクチン製造業者によって、
000
年、GAVI(Global Alliance for Vaccines and Immunization:ワクチンと予防接種のための世界同盟)が設立されました。この主 たる目的は、最新のワクチンへのアクセスにおいて先進国と途上国の間で広がる格差に歯止めをかけることです。サノフィ パスツールは、安価なワクチンの供給、ワクチン接種の基盤の整備、途上国に深刻な影響を及ぼす疾患を対象とした研究 開発の促進というGAVIのビジョンに賛同しています。
サノフィパスツール:さまざまなレベルにおける関与
• 国際的機関へのワクチン供給 創立者の意思と伝統を忠実に守るべく、サノフィパスツールは長年にわたり最貧国へのワクチン供給に積極的に賛同して きました。たとえば005
年には、4
億回接種分以上のワクチンをユニセフに寄付しています。1
億,000
万回接種分のワクチンをアフリカ諸国に提供してきました。005
年には、3
億5
,000
万回接種分以上の 経口ポリオワクチン(OPV)を供給しました。004
∼005
年には、1
型OPVを記録的な速さで製造し、登録しました。こ れは、南アジアとエジプトにおけるポリオ撲滅の最終段階でWHOから要請を受けたものです。 黄熱:北半球で黄熱の予防接種を受けるのは一般に旅行者のみです。 しかし、黄熱が蔓延する国での使用拡大へ向け、サノフィパスツールは黄熱ワクチンの複数回投与製剤を開発しました。 サノフィパスツールは、ユニセフへの主要なワクチン供給者であり、現在アフリカで発生している伝染病に迅速に対応する 予備としての役目を果たす「備蓄」を行っています。 黄熱予防接種キャンペーンの実施や、流行の発生防止へ向けた各国の活動を支援するため、サノフィ・アベンティスとサノ フィパスツールは予防医薬支援協会(AMP)の活動を支援しています。たとえば、006
年1
月、マリ・バマコ市でAMPと WHOが共同開催した会議では、西アフリカ諸国における黄熱ワクチンの使用について議論され、西アフリカ諸国8
カ国 から50
人の参加者を集めました。サノフィ・アベンティスとサノフィパスツールがこの会議に賛同したのは、ワクチンを供給 するだけでなく、ワクチンの必要な国において適切な使用を促進したいという両社の希望を反映したものです。 • EPIVAC 購入可能な価格でワクチンを供給することは必須です。しかし、予防接種関連費用の大半は、ワクチン自体の価格から生 じるものではありません。製造地点から予防接種を受ける人々のところまでワクチンを輸送する際には、適切な温度の 下で保存しなければなりません。ワクチン接種は適切な無菌操作を要するほか、地域の疫学的な状況に応じて適切な年 齢層に対して行う必要があります。したがって、ワクチンの適切な使用に関して医療スタッフをトレーニングすることはき わめて重要です。GAVIの定めた枠組みの下、AMPの支援を受け、サノフィパスツールはEPIVACに資金提供しています。 このEPIVACは、西アフリカで活動する公衆衛生分野を代表する人々にトレーニングを提供するプログラムで、00
年以降、