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その他の腫瘍 Ⅰ. ランゲルハンス細胞組織球症 (LCH) ランゲルハンス細胞組織球症 (LCH) は 以前はヒスチオサイトーシス Xと呼ばれ レットラー シーベ病 ハンド シューラー クリスチャン病 好酸球性肉芽腫と 3 型に分類されていました それらがいずれもランゲルハンス細胞による疾患と分かり

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Academic year: 2021

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その他の腫瘍

Ⅰ.ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)

ラ ン ゲ ル ハ ン ス 細 胞 組 織 球 症 (LCH)は 、以 前 は ヒ ス チ オ サ イ ト ー シ ス X と 呼 ば れ 、 レ ッ ト ラ ー ・ シ ー ベ 病 、 ハ ン ド ・ シ ュ ー ラ ー ・ ク リ ス チ ャ ン 病 、 好 酸 球 性 肉 芽 腫 と 3 型 に 分 類 さ れ て い ま し た 。 そ れ ら が い ず れ も ラ ン ゲ ル ハ ン ス 細 胞 に よ る 疾 患 と 分 か り 、 一 括 し て LCH と 呼 ば れ 、 現 在 で は 多 臓 器 に 病 変 が お よ ぶ 多 臓 器 病 変 型 と 病 変 が 一 臓 器 だ け の 単 一 病 変 型 に 分 け ら れ て い ま す 。 ラ ン ゲ ル ハ ン ス 細 胞 は 通 常 は 皮 膚 に 存 在 し 、 外 か ら の 侵 入 物 の 情 報 を リ ン パ 球 に 伝 え る 働 き を し て い ま す 。そ れ が 、LCH で は 骨 や 皮 膚 ・ 脳 ・ 肝 臓 ・ 脾 臓 ・ 肺 ・ 造 血 器 な ど に 異 常 に 増 え て 臓 器 障 害 を 起 こ し ま す 。 わ が 国 の 年 間 発 症 数 は 40∼ 50 例 ほ ど で す 。

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多 臓 器 病 変 型 は ほ と ん ど が 3 歳 ま で に 発 症 し 、 皮 疹 、 骨 融 解( 特 に 頭 蓋 骨〈 写 真 1〉)、腫 瘤 触 知 、発 熱 、リ ン パ 節 腫 張 、 肝 脾 腫 、 中 耳 炎 、 貧 血 な ど 症 状 は さ ま ざ ま で す 。 単 一 病 変 型 は 年 長 児 に も み ら れ 、 ほ と ん ど は 骨 単 独 病 変 で す 。 写 真 1 頭 蓋 骨 にみられた多 発 性 の骨 融 解 像 (黒 矢 印 ) 診 断 に は 病 変 部 位 を 生 検 し CD1a 陽 性 の ラ ン ゲ ル ハ ン ス 細 胞 を 証 明 す る こ と が 必 要 で す 。 LCH が 「 が ん 」 な の か 、 ウ イ ル ス 感 染 な ど に よ る 免 疫 異 常:「 反 応 性 」な の か は は っ き り し て い ま せ ん 。 単 一 病 変 型 の 場 合 、 自 然 治 癒 す る こ と も あ り 、 無 治 療 か ス テ ロ イ ド 局 所 療 法 で 経 過 観 察 す る こ と が 一 般 的 で す が 、 骨 多 発 性 病 変 の 場 合 に は 抗 が ん 剤 療 法 を 行 い ま す 。 多 臓 器 病 変 型 は 死 亡 率 が 10∼ 20% と 高 く 、後 遺 症 も 70% 近 く と 多 い た め 、 ス テ ロ イ ド 剤 に 加 え ビ ン ク ア ル カ ロ イ ド ( ビ ン ク

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リ ス チ ン ・ ビ ン ブ ラ ス チ ン ) や メ ソ ト レ キ サ ー ト 、 シ ト シ ン ア ラ ビ ノ シ ド 、 6 メ ル カ プ ト プ リ ン な ど に よ る 多 剤 併 用 全 身 抗 が ん 剤 療 法 を 1 年 程 度 行 い ま す 。 わ が 国 で は 日 本 LCH 研 究 会 に よ る 治 療 研 究 が 行 わ れ て い ま す ( http://www.jlsg.jp)。 肝 浸 潤 や 造 血 障 害 が あ り 、 初 期 治 療 に 反 応 が 不 良 な 例 は 急 速 に 進 行 し 死 亡 率 は 高 く 、 造 血 幹 細 胞 移 植 を 必 要 と す る こ と も あ り ま す 。 一 旦 病 状 が 改 善 し て も 半 数 が 再 燃 し ま す 。 た び た び 再 燃 し 慢 性 に 経 過 す る 例 も あ り ま す 。 再 燃 例 で は 、 尿 崩 症 や 低 身 長 、 難 聴 、 運 動 失 調 、 不 随 意 運 動 、 性 格 変 化 、 学 習 障 害 、呼 吸 障 害 、肝 障 害 な ど の 後 遺 症 を 残 す こ と が あ り ま す 。 こ れ ら の 後 遺 症 は LCH 発 症 後 数 年 を 経 て で て く る 場 合 も あ り ま す 。 急 速 進 行 例 以 外 は 、 生 命 予 後 は 良 好 な の で 、 じ っ く り 病 気 と つ き 合 う 覚 悟 で 長 期 に 適 切 な 治 療 と 経 過 観 察 を 受 け る こ と が 重 要 で す 。 LCH の 情 報 交 換 を 目 的 に LCH 患 者 会 が 活 動 し て い ま す ( http://www7a.biglobe.ne.jp/‾lchkanjakai)。

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Ⅱ.内分泌腫瘍

1 . 甲 状 腺 が ん 小 児 の 甲 状 腺 が ん は ま れ で 、 わ が 国 の 年 間 発 症 数 は 数 名 以 下 で す 。 中 学 生 の 女 児 に 多 く み ら れ ま す 。 頚 部 に 放 射 線 照 射 を 受 け た 方 に は 高 頻 度 に 発 症 し ま す 。 表 面 不 整 で 硬 い 無 痛 性 の 甲 状 腺 の 腫 瘤 で み つ か る こ と が ほ と ん ど で す 。声 が れ 、喘 鳴 、咳 が み ら れ る こ と も あ り ま す が 、 自 覚 症 状 に 乏 し い こ と が 多 く 、診 断 時 に す で に 80% の 例 に 頚 部 リ ン パ 節 転 移 が 、 1/3 の 例 に 肺 転 移 が み ら れ ま す 。 診 断 に は 、穿 刺 細 胞 診 が 必 要 で す 。ほ と ん ど が「 乳 頭 が ん 」 で「 濾 胞 が ん 」や「 髄 様 が ん 」は ま れ で す 。「 髄 様 が ん 」に は RET 遺 伝 子 の 変 異 が あ っ て 家 族 性 に 発 生 す る 例 が あ り 、 褐 色 細 胞 腫 に 副 甲 状 腺 過 形 成 や 多 発 性 神 経 腫 を 伴 い 、 多 発 性 内 分 泌 腺 腫 症 と 呼 ば れ ま す 。 治 療 は 外 科 的 切 除 で す 。 甲 状 腺 全 摘 出 と 頚 部 リ ン パ 節 郭 清 が 薦 め ら れ ま す が 、 声 帯 麻 痺 や 上 皮 小 体 機 能 低 下 症 な ど の 合 併 症 が 高 頻 度 に 起 こ り ま す 。 肺 転 移 の あ る 例 は 甲 状 腺 全 摘 出 後 、 よ う 素 131 に よ る ア イ ソ ト ー プ 療 法 を 行 い ま す 。 甲 状 腺 が ん の ほ と ん ど は 甲 状 腺 刺 激 ホ ル モ ン( TSH)に よ り 増 殖 す る た め 、 甲 状 腺 ホ ル モ ン を 投 与 し TSH を 抑 制 す る 必 要 が あ り ま す 。 頚 部 リ ン パ 節 や 肺 転 移 が 多 い に も か か わ ら ず 生 命 予 後 は 良 好 で 、 長 期 生 存 率 は 90% 以 上 で す 。 2 . 褐 色 細 胞 腫 ク ロ ム 親 和 性 細 胞 由 来 の 腫 瘍 で 極 め て ま れ で す 。 発 症 は

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小・中 学 生 に 多 く み ら れ ま す 。副 腎 髄 質 に で き る こ と が 多 く 、 カ テ コ ー ル ア ミ ン を 大 量 に 分 泌 し ま す 。 小 児 の 場 合 半 数 近 く は 家 族 性 で 、 神 経 線 維 腫 症 、 ヒ ッ ペ ル ・ リ ン ド ウ 病 、 多 発 性 内 分 泌 腺 腫 症 な ど に 伴 い 常 染 色 体 優 性 遺 伝 の 形 式 を と り ま す 。 子 ど も の 診 断 が 契 機 と な り 、 親 に 同 じ 腫 瘍 が 見 つ か る こ と が あ り ま す 。 高 血 圧 ・ 発 汗 ・ 頭 痛 ・ 心 悸 亢 進 、 高 血 糖 、 ふ る え な ど の 症 状 が 、 多 く は 持 続 的 に 発 作 的 に み ら れ ま す 。 診 断 は 、 血 中 や 尿 中 の ア ド レ ナ リ ン ・ ノ ル ア ド レ ナ リ ン ・ ド ー パ ミ ン な ど の カ テ コ ー ル ア ミ ン が 高 値 の 時 は 容 易 で す 。 画 像 検 査 と し て MRI と MIBG シ ン チ が 、部 位 診 断 と 転 移 の 有 無 の 検 索 に 有 用 で す 。 30% の 例 は 両 側 の 副 腎 に 病 変 が み ら れ ま す 。 20% の 例 は 副 腎 以 外 の 交 感 神 経 節 な ど の ク ロ ム 親 和 性 細 胞 か ら 異 な る 場 所 に 発 生 し ま す 。 ま た 、 10% に ク ロ ム 親 和 性 細 胞 以 外 の 肝 臓 ・ リ ン パ 節 ・ 肺 ・ 骨 な ど に 転 移 が み ら れ 、 悪 性 褐 色 細 胞 腫 と い わ れ ま す 。 外 科 的 摘 出 が 唯 一 の 治 療 で 、 抗 が ん 剤 や 放 射 線 療 法 は 有 効 で は あ り ま せ ん 。 カ テ コ ー ル ア ミ ン の 過 剰 分 泌 が あ る た め 、 手 術 に 際 し て 急 激 に 血 圧 が 変 動 す る 危 険 が あ り 、 細 心 の 注 意 が 必 要 で す 。 全 摘 出 不 能 例 や 転 移 例 の ほ と ん ど が 3 年 以 内 に 死 亡 し 、 予 後 は 不 良 で す 。全 摘 出 で き て も 30% の 例 は 再 発 し ま す 。多 く は 副 腎 以 外 の 部 位 で 、 手 術 後 数 年 以 上 経 て か ら 再 発 す る 場 合 も あ る た め 、 長 期 の 経 過 観 察 を 要 し ま す 。 家 族 内 に 同 じ 腫 瘍 の 方 が な い か 、 検 索 す る こ と も 重 要 で す 。

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3 . 副 腎 皮 質 が ん 副 腎 皮 質 の 腫 瘍 で 、極 め て ま れ で す 。発 症 年 齢 は 10 歳 未 満 、 3∼ 4 歳 に 多 く み ら れ ま す 。偏 側 肥 大 や 泌 尿 生 殖 器 異 常 、べ ッ ク ウ ィ ズ ・ ビ ー デ マ ン 症 候 群 に 合 併 し 発 症 す る こ と が あ り ま す 。 小 児 の 副 腎 皮 質 が ん で は 、 ほ と ん ど が 副 腎 皮 質 ホ ル モ ン 、 即 ち 、 糖 質 ス テ ロ イ ド 、 電 解 質 ス テ ロ イ ド 、 男 性 化 ス テ ロ イ ド を 分 泌 し ま す 。 糖 質 ス テ ロ イ ド 過 剰 分 泌 に よ り 満 月 様 顔 貌 ( ム ー ン フ ェ イ ス )、中 心 性 肥 満 、顔 面 紅 潮 な ど の ク ッ シ ン グ 症 候 群 の 症 状 、 電 解 質 ス テ ロ イ ド 過 剰 分 泌 に よ り 高 血 圧 、 男 性 化 ス テ ロ イ ド 過 剰 に よ り 多 毛 や 思 春 期 早 発 症 が み ら れ ま す 。 5 歳 以 下 の ク ッ シ ン グ 症 候 群 の 80∼ 90% は 本 腫 瘍 が 原 因 と い わ れ ま す 。 診 断 は 、MRI や CT に よ る 画 像 検 査 、血 中 コ ル チ ゾ ル や 尿 中 17-OHCS、17-KS な ど の 副 腎 皮 質 ホ ル モ ン の 上 昇 、摘 出 腫 瘍 の 病 理 検 査 に よ っ て な さ れ ま す 。 10% 近 く は 両 側 性 で す 。 腎 や 近 傍 の 血 管 や 腸 間 膜 へ の 浸 潤 や 、 肺 ・ 肝 ・ リ ン パ 節 ・ 骨 な ど へ の 転 移 が み ら れ る こ と も あ り ま す 。 治 療 は 腫 瘍 の 完 全 摘 出 し か な く 、 エ ト ポ シ ド や シ ス プ ラ チ ン な ど の 抗 が ん 剤 、殺 虫 剤 DDT の 誘 導 体 で あ る o,p’ -DDD( ミ ト タ ン ) が 使 わ れ ま す が 、 有 効 性 は 高 く あ り ま せ ん 。 完 全 摘 除 で き た 例 で は 長 期 生 存 も 期 待 で き ま す が 、 局 所 浸 潤 や 転 移 の あ る 例 の 予 後 は 極 め て 不 良 で す 。 長 期 生 存 例 は 20% 足 ら ず で 、 半 年 以 内 に 3/4 の 例 が 死 亡 し ま す 。

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Ⅲ.Frantz(フランツ)腫瘍

膵 臓 に で き る 腫 瘍 で 、 膵 乳 頭 嚢 胞 腫 瘍 、 膵 固 形 嚢 胞 腫 瘍 、 膵 胎 児 型 腫 瘍 と も 呼 ば れ ま す 。20 年 余 り 前 に 概 念 が 確 立 さ れ 、 最 近 報 告 が 増 え て い ま す 。10 歳 代 に 多 く ほ と ん ど が 女 性 で す 。 腫 瘍 の 圧 迫 に よ る 上 腹 部 痛 が 主 症 状 で す が 、 無 症 状 で 腫 瘤 が 偶 然 に 発 見 さ れ る こ と や 、 腫 瘍 皮 膜 が 破 裂 し て 血 清 腹 水 を 伴 う 急 性 腹 症 で 発 見 さ れ る こ と も あ り ま す 。 画 像 検 査 で は 、 腫 瘍 は 厚 い 被 膜 を も ち 境 界 明 瞭 で 、 内 部 は 造 影 さ れ ず 不 均 一 で 、 充 実 性 の 部 分 と 嚢 胞 状 の 部 分 が 混 在 し ま す 。 周 囲 へ の 浸 潤 が な い 場 合 は 、 完 全 摘 出 が 可 能 で 再 発 す る こ と は な く 、 ほ ぼ 完 治 し ま す 。 し か し 、 周 囲 に 浸 潤 し た 例 や 肝 転 移 が み ら れ る 例 は 完 全 切 除 が 不 能 な た め 、 放 射 線 療 法 が 行 わ れ ま す が 、 予 後 は 不 良 で す 。 ( 森 本 哲 京 都 府 立 医 科 大 学 附 属 病 院 小 児 科 )

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財 団 法 人 が ん の 子 供 を 守 る 会 発 行 : 2 0 0 7 年 7 月

〒111-0053 東京都台東区浅草橋 1-3-12 TEL 03-5825-6311 FAX 03-5825-6316 nozomi@ccaj-found.or.jp この 疾 患別 リ ー フレ ッ トは ホ ーム ペ ー ジ から も ダウ ン ロ ード で きま す(http://www.ccaj-found.or.jp)。

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