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WEEE指令およびRoHS指令の動向と有害物質規制の潮流

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2005.1.15 WEEE・RoHS 指令の動向と今後の対応 日本電子㈱ 松浦徹也 1.欧州の環境規制 2004 年 5 月 1 日に EU は 25 カ国に拡大された。人口は 4 億 5,000 万人となり、アメリ カの 2 億 7,800 万人をはるかに超え、GDP は 9 兆 6,500 億 US$でアメリカに並び、「大欧州 連合」が誕生した。EU はこの拡大を背景に 経済力だけでなく、各種政策の影響力を高め ており、特に先行した理念を持った環境政策 が今後世界を動かすと見られている。 典型的な事例が、電気電子機器のリサイク ルとリサイクルを妨げる有害物質の制限を目 的にした 2003 年 2 月 13 日に公布された WEEE 指令や RoHS 指令である。EU 指令は 加盟国宛の規制であり、指令を受けて各加盟 国は国内法を制定することで規制が始まる。日本企業は、EU 指令の官報を見て対応を開 始するが、EU 域内企業は国内法を待って対応することが少なくない。結果として、両指 令対応は日本が一番進んでいると言われ、各企業とも困惑をしながらも対応をしているが、 EU 域内企業は準備が一見遅れているように見える。 Directiveは国内法制定で規制開始 EU委員会 官報で公布 EU委員会 法案提案 理事会/議会で審議 Regulation ・規則 Directive・指令 国内法制定 規制・罰則 加盟国内 国民・ 企業は 国内法をチェック 日本企業 官報チェック “WEEE? RoHS? What is this?" "I will have to ask technical

people“ 対応を 急げ!

図1 EU の Directive と国内法の関係

イギリス(UK)は 7 月 30 日に WEEE 規則案、RoHS 規則案とともに、WEEE 規則 Guidance Note、RoHS 規則 Guidance Note、RoHS 規則によるリスクアセスメントや廃電気電子機 器の回収計画などを公表した。WEEE 指令及び RoHS 指令の技術的な基準などは TAC (Technical Adaptation Committee)で審議されているが、UK の Government Guidance Notes で、これまでの懸案事項がかなり明確になった。UK 国内法案をベースにした規制動 向を解説する。 WEEE&RoHS指令の詳細はTACで審議 ■Official Journal (官報)公布 2003年2月13日 ■UK Consultation(10月29日) 2004年7月30日 ■EU各国国内法公布期限 2004年8月13日 ■TAC 2004年10月22日 RoHS指令の除外が主題 ■TAC 2004年12月10日 RoHS除外等の追加Vote ■IEC測定メソッド案作成 2004年12月 ■EU委員会RoHS新除外提案 2004年12月 ■UK 製造者登録 2005年1月 ■TAC 2005年2月初旬 ■RoHS新除外インターネットコンサルテーション期限 2005年2月11日 ■カテゴリ8&9製品の適用検討 2005年2月13日まで ■WEEE リサイクル義務発生 2005年8月13日 ■RoHS 有害物質規制発効 2006年7月1日 2.最近の動向 指令(Directive)は各加盟国での国内法が 整備されて発効するが、各国の国内法を整合 さ せ る た め に 、 TAC ( 技 術 適 合 委 員 会 Technical Adaptation Committee)が頻繁に開 催され加盟国間調整が行われている。 EU 指令は加盟国の国内法に転換されて事 実上の規制が開始されるが、WEEE&RoHS 指 令では国内法公布期限は、2004 年 5 月に新 た に加 盟 し た 一部 の 加 盟 国を 除 い て 、2004 年 8 月 13 日であった。国内法の公布状況は、 図2 日程

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ギリシャが 2004 年 3 月に早々と公布したが、期限に間に合ったのはエストニアやフィン ランドなどの数カ国で、12 月までの状況でもオランダ、ポーランドなど数は少ない。 他の主要な加盟国の状況は以下である。 イタリアは 2004 年 6 月に法案公表し、2004 年末公布を目処に作業中である。ドイツは 2004 年9月に閣議決定し、国会審議中で公布は 2004 年末の予定である。フランスは 2004 年 7 月に法案(改定)を公表し、公布は 2004 年末を目指している。イギリス(UK)は 2004 年 7 月 30 日に法案を公表し、インターネットコンサルテーションを経て 2005 年第 1 四半 期に公布する予定である。 各主要国の状況をまとめると、公布期限には遅れたが、廃電気電子機器のリサイクル義 務期限(2005 年 8 月 13 日)などの施行は間に合わせるということになる。

UK は 7 月 30 日に WEEE 規則案、RoHS 規則案とともに、WEEE 規則 Guidance Note、 RoHS 規則 Guidance Note、RoHS 規則によるリスクアセスメントや廃電気電子機器の回 収計画などを公表し、パブリックコメント募集(インターネットコンサルテーション)が 行われた。 インターネットコンサルテーション結果発表(2004.12.8)では 255 通のレスポンスが あり、レスポンス者は、メーカー 76、工業会 40、産廃企業 29、リサイクル企業 29 通で 一般消費者は少な結果であった。質問は 11 項目であったが、レスポンス者が企業系であ り、また地域も England(194 通)中心ながら、11 項目の質問への多数意見は原案支持で あった。Guidance Note では従来の TAC などの論議が分かれていた適用範囲や用語の定義 などが整理されており、歓迎の言葉もあった。

環境総局でも Guidance Documents を作成しているが、UK は Guidance Note とは整合 が取れていると表明している。

WEEE 指令及び RoHS 指令の技術的な基準などは TAC で審議されているが、UK 国内法 案の Government Guidance Notes で、これまでの懸案事項がかなり明確になった。この Guidance Notes は UK DTI(経済産業省)のもので TAC の Guidance Document とは相違 する場合は、それに従うと記述がある。

3. WEEE 指令

2003 年2月 13 日に、EU で廃電気電 子 機 器 指 令 ( Waste Electrical and Electronic Equipment:WEEE 指令)と 有 害 物 質 使 用 制 限 指 令 ( Restriction of Hazardous Substances: RoHS 指令) が公布された。 WEEE 指令の目的は、第1条に明確に されているが廃電気電子機器の予防であ る。この目的のために、リユース、リサ イクルをすることができるように、第 4 条(設計、生産)、第 5 条(分別回収)、第 6 条(処理)や第 7 条(再生)が要求されている。 このリユース、リサイクルのフローを支援するために、第8条(生産者費用負担制度)、第 WEEE指令とRoHS指令の条項関係 (使用) 廃棄 分別 処理 (処理) 選別 特別処理 一般廃棄 物 WEEE 6条 ANNEXⅡ WEEE 7条 WEEE5条分別回収 WEEE 10条 情報提供 WEEE2条 定義 再生 WEEE 11条 処理施設への情報提供 設計・生産 WEEE4条 製品設計 埋め立て処分等 RoHS 上市制限 RoHS 4条

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9 条(B2B 製品の費用負担)、第 10 条(消費者への情報公開)や第 11 条(処理施設への 情報提供)などの仕組みがある。 WEEE 指令は本文が 19 条、付属書(ANNEX)が 5 文書で構成されている。 RoHS 指令は有害物質を含有した製品を市場に入れないための指令である。 RoHS 指令は、WEEE 指令によるリサイクルが容易になるように、また、埋立てや償却 処分されるときに、ヒトと環境に影響を与えないように電気電子機器に有害物質の非含有 とさせることを目的としている。 この目的のために、特定有害物質と期限が第4条(予防)で決められ、第 5 条(科学及 び技術進歩への適応)で最大許容濃度の設定や適用除外の決定、第 6 条(見直し)で RoHS 指令の適用範囲(第 8 分類製品群と第 9 分類製品群)の見直しなどが要求されている。 第 4 条の適用除外は付属書に具体的に記述されている。RoHS 指令は、本文が 11 条、付 属書が 1 文書の少ない文書で構成されている。 UK

UKGovernmentGovernmentGuidance NotesGuidance Notes2004.7.302004.7.30

範 囲 外 AC1000v、DC1500v以下 No Annex に表示された10製品群に分類されるか 特定除外製品か 軍事用・家庭用照明器具・フィラメント電球・ 大型固定工具・移植用及び感染医療製品 Main Powerは電気であるか 電気が第一機能に必要であるか 別タイプの設備 or 固定設置のPartsか No Yes No WEEE規則の範囲 No Yes 3.1 WEEE 規則案の適用範囲 WEEE 規則の範囲に包含されるかどう か 確 認 す る た め の Decision Tree が UK Government Guidance Notes の ANNEX に 用意された。 Decision のポイントは次である。 適用製品は ANNEX のカテゴリーに該 当し、かつ交流 1,000 ボルト、直流 1,500 ボルトを超えない定格電圧で使用すること を意図された電気電子機器で、次の各号に

定める廃電気電子機器に適用されない。 図4 WEEE 規則 Decision Tree ・ANNEX のカテゴリーに該当しない種類の製品の一部である電気電子機器 ・武器、弾薬および軍需物質 ・フィラメント電球 ・家庭用照明器具 ・大型定置工業用ツール ・埋め込み医療機器および汚染医療機器 ・電気が主電源ではない製品 例:ガスヒーティングシステム用の電気サーモスタット ・主要機能の遂行に電気電子構成部品を必要としない製品 例:メロディグリーティングカード、電子メロディ電報 ・別種の機器または別種の固定装置の一部である電気電子機器アイテム 例:カーラジオ

ま た 、 用 語 の 定 義 と し て 、「 一 般 家 庭 排 出 廃 電 気 電 子 機 器 ( WEEE from private households)」とは、一般家庭排出廃電気電子機器およびその性格と数量のために一般家 庭排出廃棄物に類似する商業・工業・公共機関・その他の発生源から排出される電気電子 機器」とされた。一般家庭排出の定義が広がっていることに留意する必要がある。

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WEEE 指令(規則)の適用範囲に入るかどうかが話題を呼んでいるが、EU の廃棄物の 理念は、電気電子機器に限らず廃棄物の削減にあり、「廃棄物指令(75/442/EEC)」が定め られている。同指令で特別な廃棄物はそれぞれ別指令を定めることを許しており、電気電 子機器は WEEE 指令、廃自動車は ELV 指令、廃電池は廃電池指令が制定されている。 このような点を踏まえて、WEEE 指令の適用範囲外であっても、何らかの規制があるの で、基本理念を理解し時期を見極めながら準備しておくことが肝要である。 3.2 生産者登録と処理費用

各生産者は、2005 年1月から 2005 年 8 月 12 日までに、NCH(The National Clearing House)に登録の申請を行なわなければならい。また、2007 年 1 月 1 日からは各生産者は、 毎年 1 月 31 日までに NCH に登録を行わなければならない。 登録生産者は、NCH が前年のシェアと機器の重量から算出した WEEE(廃電気電子機 器)シェアにより年間 WEEE 処理費を割り振った費用を負担しなければならない。 将来の WEEE 処理費用負担を担保するための、資金管理制度やリサイクル保険などの規 定を検討している。 3.3 B2B 製品の処理費用 B2B 製品の費用負担は、その処理費用が多額になり生産者の負担を考慮して、2003 年 12 月 8 日に WEEE 指令第 9 条が改正され、12 月 31 日に官報で告示された。この改正を 受けて、WEEE 規則案では次のようになった。 ①2005 年 8 月 13 日前に上市した旧機器と交換を目的とした類似機器を販売する場合は、 無償引取りとする。 ②2005 年 8 月 13 日以降上市する機器は生産者が負担する。 ③2005 年 8 月 13 日前に上市した機器を代替機器の購入なしで廃棄する場合は、処理費用 はユーザーが負担する。 ④2005 年 8 月 13 日以降上市する機器の将来の処理費用については、自由にユーザーと交 渉できる。 なお、①の類似機器は一般商品を扱う流通業者にも適用されるが、類似の概念は「カセ ットプレヤーを廃棄しコンパクトディスクプレーヤーを購入する場合を含む」広い運用が される。また、ビジネスユーザーは機器の最終使用者であり、ユーザーが処理をする契約 をした場合に生産者と同様な義務が生じるので、企業ユーザーを想定している。 3.4 Eco-Design(環境配慮設計) WEEE 指令の第 4 条の要求事項は、「廃電気電子機器、構成部品、材料の除去および再 生」「再利用とリサイクルを容易にする設計ならびに生産の奨励」などである。

しかし、WEEE 規則案では、WEEE 指令第 4 条に対する規制はされていない。Guidance Note によると、エコデザインは自発的なアプローチを検討するために、産業グループで規 定を作成するとしている。ステークホルダーとの協議により、非規制手段による「light touch」アプローチによる規定実行をすると解説している。

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FRAMEWORK FOR THE SETTING OF ECO-DESIGN REQUIREMENTS FOR ENERGY USING PRODUCTS:エネルギー使用製品に対する環境設計要求事項設定の ための枠組み 2003 年 8 月 1 日提案)とは直接的にはリンクしないことが明確になった。 ドイツ国内法案では、「再使用が特別な設計仕様または製造工法によって阻止されない電 気・電子機器を上市すること」「ただし、環境保全や安全性上の観点でメリットを判断する」 となっている。 3.5 生産者スキーム規則 生産者は、廃電気電子機器処理費用の提供、割り当てられた廃電気電子機器の再生、再 生義務に関する環境遵法証明書の提出などの義務がある。これらは、「生産者環境遵法スキ ーム」のメンバーになることで、個別に実施するのではなく、スキーム全体で行うことが できる仕組みも用意された。ドイツのデュアルシステムと同じである。 スキームの設立要件、運用要件やスキーム登録要件などが決められているが、業種、業 態あるいは製品の特徴により、スキームが設立されると思われる。日本の容器リサイクル 法による飲料容器のリサイクルシステムを想像すれば概要が理解できると思う。 流通業者にも流通業者スキーム規則が用意されている。 3.6 情報及びマーク WEEE 指令第 10 条による一般家庭ユーザーへの情報提供について、WEEE 規則案では 「再使用・リサイクル・再生を促す情報」を提供するように求めている。Guidance Note では、このために、機器内の危険・有害物質、材料、構成部品の場所特定と種類が必要と している。 危険・有害物質の定義は WEEE 規則案では明確にされていないが、ドイツ国内法案(略 称 電気・電子機器法)では、「危険な物質の分類、包装及び表示に関する指令 67/548/EEC ANNEX の指定する性質を有する物質または調剤としている。 生産者は 2005 年 8 月 13 日以降に上市する製品に、ゴミ箱に車輪のついたマークを貼付 しなくてはならない。マークの意味は、一般 家庭ユーザーに廃棄時に無償で引き取ること を示すためのもので(一般家庭ユーザーにマ ークの意味を知らせる義務は生産者)、保証金 を預託する、しないに関係なく貼付する義務 が生じる。 マ ー ク の 大 き さ や 記 載 す べ き 事 項 は 、 CENELEC の標準として制定される。 一般家庭ユーザーへの情報提供義務は、流 通業者にもあり、違反すれば罰則もある。 2004 年 12 月 10 日の TAC で、小さな製品 に つ い て 、 製 品 本 体 に シ ン ボ ル マ ー ク (CENELEC の基準案ではサイズは少なくとも 5mm なければならない)を貼付できない 場合に包装部分に貼付することにするか論議された。 図5 WEEE マーク

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通常は行われることのない包装部分へのマーク貼付を義務付ければ、それが新たな環境 負荷を生むと考えられるので、取り外し可能なステッカーを使用することができるよう欧 州委員会から提言された。 また、B2B の電気電子機器についても製品が、最終的に誰に使用されるか前もって)確認 することは困難なので同シンボルは B2C と B2B の製品に適用されるとされた。 3.7 違反と罰則 違反行為は、生産者と流通業者・小売業者に分けられており、罰則も定められている。 罰則は罰金刑である。 略式判決 法定最高額以下(5,000 ポンド以下) 正式起訴による有罪判決に基づく場合は無制限 違反行為としては、次がある。 生産者登録の未登録 ①指定された WEEE 分担金の未払い ②再生義務違反 ③再生率遵守違反 ④再生率遵守報告違反 新機種に関する情報の処理施設への提供の不履行 など 3.8 上市日 上市日は、単一市場に最初に入った日とされ、EU25 ヶ国のいずれかの最初の税関に入 れた日である。RoHS 指令は EC 条約 95 条で単一市場を目的としているので、一時、店頭 に並べた日という解釈もあったが、税関に入れた日、域内企業は工場出荷日に落ち着く見 込みである。 WEEE 指令は EC 条約 175 条で制定されるので、各加盟国の実情が反映される。WEEE 指令では、電子電気機器がその国に上市された日が上市日とする意見がある。WEEE 規則 案では明確にされなかったが、上市時に将来の処理費を預託することが行われた場合に、 複数の国を通過した時に、預託金が二重三重に生産者が負担する恐れが生じる問題がある。 今後、従来と異なった視点での論議がされると思う。

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4.RoHS 指令の概要 RoHS 指令と WEEE 指令は提案当初が一つの指令案であった。医療用デバイス(分類 8) と監視及び測定機器(分類 9)の適用時期は 2005 年 2 月 13 日までに、適用時期の見直し が EU 委員会によって行われる。現状のまま適用除外を続けるか、具体的に施行日を決め るかについて検討が開始された。この検討に向けて日本企業もロビー活動を開始している。 最近の情報では、適用時期の提案準備が十分でなく、提案が遅れる見込みである。 4.1 適用範囲 分類 8 及び 9 は別として、WEEE 指令同様 に RoHS 指令の適用範囲が論議されている。 特に、ANNEX の用途による除外の追加申請 がロビー活動の大きな目的として行われてい る。UK の RoHS 規則案とその Guidance Note によると、WEEE 規則案同様に RoHS 規則案 でも Decision Tree が用意されている。 この中で、2006 年 7 月 1 日以前に上市し た機器の修理、能力拡大、アップグレードの ためのパーツが新しい除外項目である。電気 電子機器の廃棄する理由の中に、物理的に壊 れていないが、性能が古くなって使用できないといったものがある。この除外は、このよ うな廃電気電子機器の性能向上をさせることで、延命を図るためのものである。12 月 10 日の TAC の報告では、EU 委員会も Guidance Document を作成しているが、この条項は、 EU 委員会の Decision を RoHS 規則案で先取りしたものといわれている。

UK

UKGovernmentGovernmentGuidance NotesGuidance Notes2004.7.302004.7.30

範 囲 外 AC1000v、DC1500v以下 No Annex に表示された8 製品群に分類されるか 大型固定工具・Annexの用途除外・新規除外7項目 2006.7.1前上市品の修理・能力拡大・ アップグレードのためのスペアパーツ Main Powerは電気であるか 電気が第一機能に必要であるか 対象製品カテゴリに含まれない製品のPartsか No Yes No RoHS規則の範囲 No Yes 国家安全保障・軍事目的製品であるか Yes

図6 RoHS 規則 Decision Tree

4.2 特定有害物質

2006 年 7 月1日以降上市する電気電子機器に対して、鉛・水銀・カドミウム・六価ク ロム・PBB(ポリ臭素化ビフェニル)・ PBDE(ポリ臭素化ジフェニルエーテル)を非含 有(not contain)とすることが要求されている。

特定有害物質は、中国版 RoHS 法は同じであり、鉛・水銀・カドミウム・六価クロムの 金属 4 物質は ELV(廃自動車令)と同じあり、また、PBB 及ぶ PBDE は USA カリホルニ ア州やメイン州でも制限されている。

包装材規制では、EU も Connecticut 州、Maine 州、Massachusetts 州など北東部の 8 州 でも鉛・水銀・カドミウム・六価クロムの金属 4 物質の濃度合計が 100ppm 以下と同一の 規制をしている。RoHS 指令の特定 6 物質は世界共通禁止物質になってきている。 4.3 特定有害物質の最大許容濃度 RoHS 指令の最大許容濃度値は 2003 年 12 月に欧州委員会から Decision (案)として、 次の値が公開された。 鉛、水銀、6 価クロム、PBB、および PBDE については、均質材料の重量比で最大 0.1%、 カドミウムについては、均質材料の重量比で最大 0.01%であった。

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最大許容濃度は重金属については、ELV 指令と同値であり、TAC 内では大きな異論はな かった。

また、RoHS 指令では ELV 指令にあった非意図的添加(not intentionally introduced)と いう条件は付けられてなく産業界は歓迎している。

TAC あるいはロビー団体から均質物質(homogeneous materials)の定義について、多 くの異論がだされ、決定が遅れた。2003 年 6 月の TAC で科学や技術の進歩により変化す ような事項は Decision に入れないとして、均質物質や機械的分離などの用語の定義は、 Guidance Document に盛り込むことになった。

Decision から法的強制力のない Guidance Document に定義が移ることによる加盟国間 での差異の恐れを指摘する意見も出されたが、欧州委員会から法的解釈の問い合わせ時な どの回答の基本文書とする意向の表明で合意が得られた。 この合意により、欧州委員会は Decision 案を 2004 年 9 月に欧州環境理事会に提出した。 提案を受けた理事会は 3 ヶ月以上採択をしない場合は、提案が承認されたとみなされる 規定になっている。理事会は Decision 案の採択の正式な回答は示していないので、2004 年 12 月には自動的に採択されることになる。

4.4 homogenous material と mechanically disjointed

最大許容濃度は重量比である。測定対象が装置全体なのか、その構成部品単位なのかが 問題になっている。

Guidance Note による「homogenous material 均質材料」の定義を紹介する。

均 質 材 料 の 定 義 は 、 機 械 的 に 別 々 に 分 離 ( mechanically disjointed ) で き な い 材 料 (material)としている。これまで、「homogenous material means a unit」であったが、 今回定義文が「homogenous material means a material」に変更になった。均質材料とし て、「プラスチック、セラミック、ガラス、金属、合金、紙、ボード、樹脂、コーティング」 などが例示され、それぞれが最大許容濃度の規制を受けると説明している。一方、電気ケ ーブルは、機械的プロセスによって別々の材料に分離されるので、分離された被覆や芯線 などのそれぞれが規制対象になると説明している。 「mechanically disjointed」の定義は、ねじを外す、切断、粉砕、研削、研磨といった機 械的作業による材料の分離であるが、今回の定義では、「de-soldering」が削除されている。 はんだを外すことは、機械的分離には含めないようである。 「homogenous material」の説明の中で、ガイダンスノートでは均質物質の説明として3 つ例示した。 ①プラスチックカバーは、他種材料でコーティングされていないまたは他種材料が接着さ れていない1種類だけの材料からなる場合に「均質材料」となる。 最大許容濃度はこのプラスチックに適用される。 ②非金属の絶縁材料によって覆われた金属線から成った電気ケーブルは力学的プロセスに より異材質を切り離されるので電気ケーブルは、「均質材料」ではない。 この場合、最大許容濃度はそれぞれの分離された材料に適用される。 ③半導体パッケージには、プラスチック成形材料、リードフレームの錫の電気メッキコー ティング、リードフレーム合金、および金ボンディングワイヤなどの多くの均一材料が

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電子部品は複数のMaterialsの構成品 ピン 銅にメッキ 鉛 内部ワイヤー 端子 IC 樹脂 含まれる。 例示の①と②は理解できる内容であるが、 ③は厳しい事例でインターネットコンサルテ ーションでも賛否の意見が出ていた。 完成後の電子部品や IC は、部品メーカー以 外はその構成材料、構造の知識がなく、最大 許容濃度を遵守しているかの検査は困難とな る。 環境汚染防止の観点からは、要求内容は当 然であり、サプライヤーからの遵法宣言によ る評価しかないことになる。 図7 homogenous material 4.5 測定法 RoHS 規則案では、測定法は指定されなく、 Guidance Note で次を示した。 ①生産者は最大許容濃度以下(非含有)の遵 守証明するために適切な分析法を採用する。

Standard RoHS Test Procedure 案

Screening 携帯型EDXRF

Screening Inspection Analysis 有意 Cr Br Pb Hg Cd 税関検査官 税関検査技術者 公的分析機関 吸光光度計 吸光光度計 FT-IR ラマン分光光度計 提訴 GC-MS デスクトップ EDXRF ICP ②分析基準は、上市する製品量、供給者との 関係、使用禁止物質のリスクの存在とその 物質の環境への潜在的影響による。 ③生産者は、使用する分析法の限界を必ず理 解し、考慮に入れなければならない。 遵法測定はこれまで、税関を想定した分析 法が、EU 委員会に日本が積極的に提案とし てきた。税関検査は、迅速、廉価そしてなにより、非破壊検査が必要として、蛍光 x 線分 析をメインとしたスクリーニング検査を主張した。税関では、測定対象が多様であること を考慮して、携帯型蛍光 x 線装置で測定し、グレー製品を非破壊測定装置で判定するもの である。判定に不服がある場合は、サンプルの破壊を伴う湿式分解法(公定法)で精密に 測定する3段方式の提案であった。 図8 税関での測定手順 サプライチェーン内での測定は、セットメ ーカーの出荷検査を除いて、携帯型蛍光 x 線 装置で分析する必要性は少ない。サプライチ ェーン内の遵法分析法として、EICTA((欧州 情報通信工業協会)が、迅速法として蛍光 x 線分析を精密法として ICP などの湿式法の2 段方式を TAC に提案し、前後して、IEC にも この提案がされた。この IEC 案の骨子となる 蛍光 x 線分析法と ICP 分析法の確立を日本が 担うことになり、分析工業会が中心になりとりまとめを行っている。測定法のドラフトは 2004 年 12 月に発表された。 測定方法案 有意 Cr Br Pb Hg Cd Visible Spectrophotometer FT-IR EDXRF GC-MS ICP 図9 IEC 測定の測定方法

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測定方法は規制物質毎に定性、定量分析に分けて、前処理手順などが詳細に記述されて いる。これから、さらに標準にするための審議などを行い、2005 年末には標準案が出て決 着すると思われる。 12 月 10 日の TAC で、生産者が RoHS 指令を遵守していることを証明できる方法に関 する議論が交わされ、欧州標準の策定も論議された。その中で、この基準作りに向けて加 盟国と一緒に何らかのパイロット作業を行う意向を持っている企業も名乗りをあげている という紹介もあった。欧州委員会は、生産者は策定された基準などを遵守しなければなら ない主たるステークホルダーなので、こうした課題に直接参加することを歓迎すると述べ た。しかし、IEC で遵法標準の策定が進められていることは知られているが、欧州標準策 定機関は欧州委員会が正式に彼らに要請するまでは何ら関連する作業を開始しないと受け 止められている。 4.6 コンプライアンス証明 UK 法案によると、生産者は 2006 年7 月1日以降上市する新電気電子機器につ いて、特定有害物質の非含有証明技術文 書を執行当局に求めに応じて提出しなく てはならない。 UK ではコンプライアンスの基礎とし て、「自己宣言」を認めるとし、当局は市 場での遵法状況を確認するために、テス ト購買をして検査するとしている。 Guidance Note でコンプライアンス・ フローが示された。これによると、自己 宣言証明書の有効期間は1年であり、それを超えると再評価(Reassess)が求められる。 見直し(Review)でなく再評価(Reassess)であることに留意しなくてはならないであ ろう。 Compliance Flow Component/Material 1年以内 評価 禁止物質が 高リスクで存在 further action 再評価 適合証明は? 新規部品 新規供給者 証明入手 高リスク Component/material 供給者への資料請求 使用前分析 無作為分析(各バッチ) 無作為分析 自己宣言の信頼性 疑問 Take no further action Y N 有 N Y 無 Y N N N N Y Y 図9 遵法証明フロー 同時に、自己宣言の信頼性、自己宣言者の信頼性や対象製品(material)のリスクなど が、加味されて運用する仕組みとなっている。大型の電気電子機器になると数千点の電子 部品が構成されているので、それらの全てが RoHS 指令の対象になる。Guidance Note に よれば、電子部品は複数の「material」の構成品とされるので、RoHS 指令による非含有証 明は構成材料毎に行わなければならない。電子部品の構成材料の特定有害物質の測定はセ ットメーカーではできなく、調達先に特定有害物質の含有量証明をも求める必要が出てく る。このため、サプライチェーン全体で共通フォーマットによるデータ授受が模索されて いる。基本はサプライチェーンの上流から順次下流ユーザーにデータを渡していくことに なるが、方式としては「自己宣言」になる。 「自己宣言」は 2003 年 11 月の TAC で UK が提案した方式で、RoHS 規則案でも UK で は自己宣言を遵法の基本としている。日本では、グリーン調達は各企業独自に制定するこ と か ら 一 歩 進 ん で 、 業 界 標 準 化 が 進 行 し て い る 。 JGPSSI(Japan Green Procurement Survey Standardization Initiative グリーン調達調査共通化協議会)は、含有化学物質の自

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己宣言と日米欧のグローバルスタンダード化を狙いとしたが「グリーン調達調査共通化ガ イドライン」を発行し、製品含有化学物質の報告手順や様式を公開した。最大許容濃度や 測定方法が明確でない部分もあるが、現状では電気・電子業界とその周辺業界の SCM (Supply Chain Management)のデファクトスタンダードになりつつある。自己宣言で はサプライチェーン内で次々と渡していく測定値の信頼性が問題となる。ISO17025 認定 の信頼のできる分析機関を利用するか、自社測定の場合は GLP(Good Laboratory Practice) 原則に基づいた管理をすることが今後求められてくると思う。 自己宣言の受け止め方はいろいろと思うが、遵法における自己宣言は自己責任宣言の意 味合いがある。自己宣言は Self-declaration の訳であるが、Responsibility(応答性 問い 合わせに応える)Transparency(透明性 情報の道筋の公開)Uncertainty(不確実性 統 計用語)などが背景にあり、自己ですべて責任を取るという宣言である。自己流で宣言し、 何かあれば経営責任を取るという意味ではない。 4.7 違反と罰則 RoHS 規則案による違反行為は、次項の不遵守である。 ①特定化学物質の最大教養濃度以上の含有 ②非含有証明技術文書の提出 ③非含有証明技術文書の保管(4 年間) 罰則は WEEE 規則案と同じで、罰金刑である。 略式判決 法定最高額以下(5,000 ポンド以下) 正式起訴による有罪判決に基づく場合は無制限 違反摘発に対して当然ながら次項を証明することで抗弁ができる。 ①法遵守のために、あらゆる合理的な手段を講じている ②法遵守のために、相当な注意をはらった しかし、裁判所の許可により、次項が考慮される。 ①他者の行為または不遵守 ②他者の提供による情報に依存 また、法遵守違反が取締役などの上級管理者が関与している場合は、法人も罰則が適用 される。 4.8 サプライチェーンマネジメント 自己宣言では、文書管理、記録管理などの ISO9001 や ISO14001 に代表されるマネジメ ントシステムと運用管理や製品含有化学物質濃度のパフォーマンスの両面の管理が必要と なる。 当局から製品に特定化学物質が含有しているとして摘発を受ければ、セットメーカーが 抗弁を行うことになるが、裁判で採用できるサプライヤーからの遵法証明(非含有証明) ではなくてはならない。 コンプライアンス証明のためには ①自ら測定する ②分析機関に測定依頼する

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③サプライヤーの提出資料を利用する などの選択肢がある。コンプライアンス証明は、リスクマネジメントの一環であり、 ①高リスク部品 ISO17025 認定の信頼のできる分析機関を利用して測定する 自社で裁判時の資料と成りえる測定をする(ISO17025、GLP の仕組みの導入) ②一般リスク部品 サプライヤーの非含有証明を受入時に検査する の対応となる。 セットメーカーは構成部品の有害物質含有量の集計をするので、信頼性のあるデータの 要件としては、「データの不確かさの表示」が不可欠であり、前処理の的確性や標準試料の 選択も大きな管理項目となる。 非含有証明はセットメーカーの調達基準を元に行われるが、多くの調達基準は測定法、 サンプリング法、前処理法などは明確に記述されていない。 非含有管理は、マネジメントとパフォーマンスの両面管理であり、サプライヤー管理は 従来の第二者監査、外注指導手法では十分でなく、法規制や含有化学物質測定の技術面の 管理も必要となる。 日本では、自己宣言が曖昧になりがちであるので、ISO9001・ISO14001 の第三者監査 または取引関係者(委託者)による第二者監査で、マネジメント状況と技能状況を監査し、 非含有証明の信頼性を確保すること が考えられている。 サプライチェーンの中には、中小 零細企業も多くあり、ISO14001 の 認証を求めるのが困難な場合が想定 される。このような状況を踏まえる と、ISO14001 と同様に昨今有名に なってきているエコステージ、KES やエコアクション 21 なども有力な システムになる。 こ と に 、 エ コ ス テ ー ジ に は 、 ISO14001 と同様の管理項目にオプ ションとして、化学物質管理、グリーン調達管理やエコ商品管理項目が用意されており、 RoHS コンプライアンスの仕組みに有効と思う。 自己宣言の仕組みイメージ メーカー メーカー メーカー 自己宣言 自己宣言 自己宣言 自己宣言 検査 検査 検査 検査 分析機関 分析機関 分析機関 分析機関 新たな審査基準 新たな分析基準 デ ー タ 信 頼 性 確 保 ISO17025 GLP 自主測定 GLP ISO17025認定 分析機関 測定依頼 測定依頼 EMS審査機関 EMS審査機関 エコステージ 評価機関 管理 ISO14001 エコステージ 支援 図10 自己宣言のイメージ

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4.9 欧州委員会の新たな除外提案

2004 年 12 月に欧州委員会は RoHS 指令 ANNEX の新たな追加事項案を公開した。新追 加事項として 22 事項の用途が示されて、2005 年 2 月 11 日を期限とするインターネット コンサルテーションが実施された。

1.Lead in tin whisker resistant coatings for fine pitch applications,

2.Lead bound in glass, crystal glass, lead crystal or full lead crystal in general,

3.Chromium (also in oxidation state (VI)) and Cadmium as colouring batch addition each form up to a content of 2 % in glass, crystal glass, lead crystal or full lead crystal used as decorative and / or functional part of electric or electronic equipment,

4.Solders containing lead and/or cadmium for specific applications, 5.Hexavalent chromium (CRVI) passivation coatings,

6.Lead in lead oxide glass plasma display panels,

7.Lead in connectors, flexible printed circuits, flexible flat cables,

8.Lead oxide in lead glass, bonding materials of magnetic heads and magnetic heads, 9.Cadmium as doping material in avalanche photodiodes (APDs) for the optical fiber

communication systems, 10.Lead in optical isolators,

11.Lead in sheath heater of Microwaves,

12.Cadmium pigments except for applications banned under Directive 91/338/EEC amending Directive 76/769/EEC relating to the restriction on the marketing and use of certain substances,

13.High Intensity Discharge (HID) lamps for professional U.V. applications, containing lead halide as radiant agent,

14.Discharge lamps for special purposes containing lead as activator in the fluorescent powder (1% lead by weight or less),

15.Discharge lamps containing lead in the form of an amalgam, 16.Mercury free flat panel lamp,

17.Special purposes Black Light Blue (BLB) lamps, containing lead in the glass envelope, 18.Low melting point alloys containing lead,

19.Galvanised steel containing up to 0.35% lead by weight and aluminium with an unintended lead content up to 0.4% lead by weight in electrical and electronic equipment,

20.Lead in solder and hexavalent chromium in surface treatment, in parts recovered from production printers and copying equipment, sold, rented or leased or otherwise returned from professional users other than private households, originally put on the market before 1 July 2006, and reused for the same purpose within the original manufacturer's closed loop system until 1 July 2011. In this context a closed loop system means a system whereby the equipment remains the property of the manufacturer or is subject to

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other contractual arrangements and is returned to the manufacturer either when the contract expires or at end of life,

21.Cadmium sulphide photocells,

22.Applications of lead, mercury, cadmium, hexavalent chromium, PBBs and PBDEs in electrical and electronic equipment in the aeronautic and aerospace sectors that requires high safety standards.

この中で、特にクロメート処理(6 価クロムによる防錆皮膜)は、多くの製品に古くか ら採用されている処理方法であるので、今回の提案が注目される。インターネットコンサ ルテーションのクロメート処理の除外に関する質問は、

代替物の存在(Do feasible substitutes exist in an industrial and/or commercial scale?) その制限(Do any restrictions apply to such substitutes?)

コ ス ト 、 利 益 や 難 点 な ど ( What are the costs and benefits and advantages and disadvantages of such substitutes.)

である。この設問は 22 の除外事項共通の質問である。 これら質問のバックデータは、詳細に用意されており、除外提案の根拠もまた公開され ている。クロメート処理に関連する詳細文書では、質問に答えることができるように、定 性的記述だけでなく、定量的評価もされている。 文書の中では、クロメート処理は防錆処理として優れている説明、便益として延命によ る廃電気電子機器の削減、クロメート皮膜の厚さは 0.2 マイクロ以下で総量は 2003 年度 の EU の総量は 25 トンという微量であることなどが記述されている。 また、代替処理技術の開発は 2006 年 7 月に間に合わなく、ステンレス使用などはコス トが合わないなど記述されている。 この背景は、RoHS 指令第 5 条 1 項の「その物質の代替によって引き起こされる環境、 健康および/または消費者の安全への負の影響がそれらの環境、健康および/または消費 者の安全の便宜を上回りそうな場合は、当該材料と構成部品を第 4 条(1)の規定から除外す る」により、同条 2 項により広くステークホルダーの意見を求めている。 RoHS 指令の除外申請はロビー活動の一環として、誰でもできるが、上記のような論理 的根拠の説明文書が必要である。

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5.中国の規制 5.1 RoHS 法 中国では、日本の環境基本法に相当する「中華人民共和国環境保護法(施行 1989 年 12 月 26 日)」を基本にして、日本の化審法、EU の REACH 規則に相当する「新化学物質環 境管理法(施行 2003 年 10 月)(新化学物质环境管理办法)」や税関検査に適用される「中 華人民共和国輸出入商品検査法(改正 2002 年 4 月)(中华人民共和国进出口商品检验法)」 などで化学物質規制がされている。 これらの法規制の中で、注目をされているのが、EU の RoHS 指令と同じ法規制である 「電子情報製品の汚染の予防及び対策管理法(討論稿)电子信息产品污染防治管理办法(征 求意见稿)」である。同法は、4 章 25 条の比較的短い法案ながら RoHS 指令と同じような 規制内容になっている。 第 8 条 WEEE 指令第 4 条相当 電子情報製品の設計は環境と人類の健康な影響に対してそれを考慮するべきで、技術 的要求事項を前提に保証する下に、低毒、低害、容易にあるいは無害化の回収利用でき る方案を考慮しなければならない。 第 9 条 WEEE 指令第 4 条相当 電子情報製品の生産者(以下 生産者と略称する)は生産過程の中で、資源利用率の 高率化、容易な回収処理、環境保護材料と技術を採用しなくてはならない。 第 10 条 WEEE 指令第 10 条相当 電子情報製品の包装材は無毒、無害で、容易に回収して再利用できる材料を採用しな くてはならない。梱包物の上に材料の成分を明記しなくてはならない。 第 11 条 RoHS 指令第 4 条相当 生産者は電子情報製品中に次項の有害物質の含有量を徐々に減らして非含有とする 措置を取らなくてはならない。 鉛・水銀・カドミウム・六価クロム・PBB・PBDE 完全に非含有にすることができないのについては、関連規定に定める有害物質の含有 量を上回ってはならない。 情報産業省は商務省、国家品質検査総局の品質監督に立ち合って検証して、検疫総局、 国家環境保護総局、国家商工業総局が統一し電子情報製品の特定し、非含有期限を調整 して発表する。 2004 年 11 月の情報によれば、日程は次のようになっている。 2005 年 1 月 WTO TBT 協定による通告 2005 年 7 月 施行 2006 年 7 月 特定有害物質制限

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適用製品は電子情報製品に限定し、目録に品目を表示する。EU の RoHS 指令 Cat8 及 び Cat9 除外は目録で明確化するとしている。EU の RoHS 指令より範囲は狭い。

協調と整合を強調しており、EU WEEE 指令、RoHS 指令と整合される。

中国WEEE管理条例(征求意見稿) 家電リサイクル法 • 用語の定義 – 廃家電気電子製品: 修理できない機能喪 失製品 – 旧家電気電子製品: 修理テストで機能を回 復する製品 • 中古品の販売後の責 任は再生業者 • 詳細は地方自治体で 決定 • 罰則規定がある 廃旧家電電子製品 小売店 処理業者・生産者 無償回収または購入 販売 :直接消費者へは禁止 試験・補修 リサイクル マーク 中古販売 廃家電電子製品 旧家電電子製品 有害物処理基準 5.2 WEEE 条例 2004 年 9 月 30 に、EU の WEEE 指 令、日本の家電リサイクル法に似た法 案「废旧家电及电子产品回收处理管理 条例(征求意见稿)」が公表された。 この中で、第 9 条生産者責任で次が 要求されている。 家電の生産者の定義は、 ①自分のブランドを使って製品の生産 と販売する企業 ②他の生産企業のブランドに販売者のブランドを付けて販売する企業 ③家電の品物を輸入する荷受人と代理人 図11 中国 WEEE 指令のフロー とされている。 責務として ①回収と再利用がしやすい設計 ②回収と再利用ができるように、無毒無害材料の選択 ③家電製品の説明書に主要材料の成分情報の記載 ④廃家電製品の自社処理または専門処理企業への処理依頼 ⑤所在地の当局に、生産した家電の種類、生産量、販売高情報の報告 が要求されている。 なお、対象とする廃旧家電製品は、第 2 条で「テレビ、電気冷蔵庫、洗濯機、エアコン、 コンピュータを含む当局が別途示すリスト」としている。 EU WEEE 指令との違いは、廃家電と旧家電の区別をしていること、引取りが有償(有 価)、中古販売は修理者の責任となっている点である。見方によれば、EU より合理的な仕 組みとも思える。 結言 国内外共に、化学物質規制が強化されてきているが、その根源は「成長の限界」「アジェ ンダ 21 第 19 章」であり、世界共通の規制になりつつあるといえる。また、これまでは、 化学物質の危険・有害性に関しては、すべて原材料供給者にあるとして、ユーザーは化学 物質のヒトや環境への影響に関心は低かった。REACH 規則や化審法に示されているが、 川下ユーザーの化学物質無知は許されなくなってきた。 供給者はユーザーに有害化学物質の評価情報や関連情報を知らせる必要があり、これが サプライチェーン全体で次々と伝達されていくことになる。この伝達する情報の信頼性の

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確保が大きな課題になってきている。

自社製品に使用する材料・部品等に含まれる化学物質の安全・信頼性が問われてきてお り、化学物質規制法への遵法が企業の社会的責任の一つになった。

参照

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