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乳幼児期における社会的コミュニケーション行動の発達構造とその個人差 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)乳幼児期における社会的コミュニケーション行動の発達構造とその個人差 keywords:乳幼児期、発達モデル、共同注意の応答と始発 行動システム専攻 税田 問題と目的. 慶昭. どのような発達的特徴を示すのかについても検討する。. 生後 9 ヵ月頃からみられる「対象に対する注意を他者と 共有する」現象は共同注意(joint attention)といわれ、乳幼. 調査方法. 児期の社会的コミュニケーション発達上重要であると考え. 乳幼児期の社会的コミュニケーション行動の発達構造を. られている。共同注意研究は、Scaife と Bruner(1975)が乳. 検討するため、コミュニケーション・言語発達に関する 26. 児の視線の後追いを報告して以来、指さしの理解、指さし. 行動項目について、生後 8∼18 ヵ月児に対する 2 ヵ月ごと. の産出、模倣、対象の提示・手渡し、ふり遊び・・・など多く. の縦断的質問紙調査(計6回)を実施し、そのうち縦断的. の行動を共同注意スキルにより説明するに至っている。特. データが揃った健常児 109 児(男児 63, 女児 46)を分析対. に、共同注意スキルは他者の注意対象の特定に関わる点で. 象とした。分析には各行動項目の初出月齢(各行動が初め. 言語発達において重要であることが指摘されており、多く. て獲得された月齢)を用いている。. の研究者がその関連性を示している(e.g. Mundy et al., 2000)。さらに、共同注意行動の出現は意図的存在としての. 研究Ⅰ. 他者理解を示すものだとも考えられている(Tomasello et. 目的)乳幼児期のコミュニケーションの発達構造をモデル. al., 1993)。. 化して捉えるため、コミュニケーション行動に関する 26 項. しかし、これらの「共同注意行動」は本当に共通した現. 目を機能的・発達的観点から分類を行う。. 象として捉えてよいのだろうか。これについて、Desrochers. 方法・結果)共同注意における他者注意の「理解」と「操作」. ら(1995)は指さし理解と指さし産出が発達的に関連しない. という両側面を明確に検討するため、共同注意指標とした. という結果から、乳幼児期の行動全般を共同注意という 1. 指さし理解・指さし産出など他者注意の「理解」 「操作」に. つの枠組みで説明することに慎重になるべきであると述べ. 関する 8 項目について因子分析を行い、予測された『共同. ており、乳幼児期のコミュニケーション行動相互の発達的. 注意への応答』『共同注意の始発』の 2 因子を抽出した。. 関連性を今一度捉えなおす必要があると思われる。. 次に、残りの 18 項目について、分散の小さな行動項目を. また、共同注意の障害がコミュニケーションに難しさを. 含むことから、クラスター分析により『二項関係』の 6 項. もつ子どもたちにおいて報告されており、特に自閉性障害. 目を分離した。続いて、残り 12 項目の因子分析により「情. 児は共同注意の障害が初めて 指摘された対象である. 動的やりとり」 「言語獲得」 「意図的やりとり」の 3 因子を. (Sigman et al., 1986)。この自閉性障害児において、Sigman. 抽出した。ただし、 「情動的やりとり」「意図的やりとり」. ら(1995)は、コミュニケーションへの応答性に比べてコミ. 因子内の項目間に獲得時期の明確な差が見られたため、獲. ュニケーションを始めようとする傾向が低いという共同注. 得時期による発達段階を明確にするためクラスター分析に. 意スキルの偏りを指摘しており、この点からも共同注意ス. よる分類を行った。結果、8 項目群に分けられ、それぞれに. キルの複数の発達過程の可能性が示唆される。もし、獲得. コミュニケーション能力・スキルが仮定された(Table1)。. 時期だけではないより詳細な行動間の連鎖が明らかにされ. 考察)8 項目群について、 『二項関係』は他者への関心、 『意. るならば、あるコミュニケーション行動において遅れをみ. 図的模倣』は他者行動への意図的・自発的な追従、 『共同注. せる子どもたちについて、個々人に合わせた療育のあり方. 意への応答』は他者注意の理解と自己の注意の調整、 『提示・. が示唆しうると思われる。. 手渡し』は対面場面での対象を介した注意理解・操作ととも. 以上の点から、本研究では乳幼児期における社会的コミ. に( 『情動理解コミュニケーション』と同じ因子であったこ. ュニケーション行動の発達構造を、共同注意の応答・始発と. とから)情動経験の得やすさ、 『共同注意の始発』は他者注. いう視点を踏まえて検討を行う。また、発達評価・早期療育. 意の意図的・自発的な操作、 『情動理解コミュニケーション』. について示唆を得るため、あるコミュニケーション行動群. は情動という他者の内的状態への気づき・理解、 『意図理解. に比較的遅れを示す子どもたちがその他の行動群において. コミュニケーション』は他者意図理解の上での行動調整、.

(2) 『言語コミュニケーション』は言語発達、という共通性が 窺えた。. ミュニケーション』との間接的な関連性 ③ 『意図的模倣』と『提示・手渡し』 『共同注意の始発』 『言 語コミュニケーション』における、 「コミュニケーショ. Table1 質問項目の内容と 8 項目群への分類 評定内容. 二 項 関 係. 意 模 図 倣 的 共 同 注 答意 へ の 応. 他者への発声・関心 特定の人への関心 音・名前に対する反応 ( 逆) 自閉傾向・難聴 身体接触を好む ( 逆) 触覚の過敏性 やりとり遊び なん語 音声模倣 動作模倣・他者への関 心 視線追従 視野内での指さし理解 視野外への指さし理解 注意理解時の交互凝視 ( 確認) 応答的提示・ 手渡し. 手提 渡 示 からかい行動 し ・ 自発的提示・手渡し 共 同 注 意 の 始 発 情 ニ 動 ケ ー理 解 シ コ ョミ ン ュ 意 ニ 図 ケ ー理 解 シ コ ョミ ン ュ 言 ケ 語 ー コ シ ミ ョ ュ ン ニ. 要求の指さし 要求時の交互凝視 ( 催促・確認) 叙述の指さし 叙述時の交互凝視 ( 共感) 他者の情動への気づき. 向社会的行動. 質問項目 人に向かって声を出しますか? 特定の人( お母さんなど)を見て、微笑むことがあります 名前を呼ぶと、振り向きますか? 身体接触(おんぶや抱っこ) が好きですか? イナイイナイバーなど、簡単な遊びを仕向けると喜んで 応じますか? さかんにおしゃべりをしていますか?(なん語) 音声をまねしようとしますか? お母さんのすることを見ていて、まねをしようとします か? 例)イナイイナイバー、お化粧のまね、電話のま お母さんが指さしをしないである方向を見ると、子どもも その方向を見ることがありますか? お母さんがおもちゃを指さすと、その方向を見ることが ありますか? お母さんが、子どもの後ろにあるおもちゃを指さすと、 子どもは振り返ってそれを見ることがありますか? お母さんが見たり、指さしている「もの」を見て、その後、 確かめるようにお母さんの顔を見ることがありますか? 子どもが持っているものを指さして、「 それちょうだい」と いうと、渡したり、見せてくれることがありますか? その時、子どもがお母さんをからかうように、わざとその おもちゃを引っ込めることがありますか? 子どもが自分から、おもちゃなどを差し出してお母さん に渡したり、見せてくれることがありますか? 子どもが何か欲しい「 もの」 がある時、自分からそれを指 差して要求することがありますか? その時に、確かめるようにお母さんの顔を見ることがあ るりますか? 子どもが何かに興味をもったり、驚いたとき、それをお 母さんに伝えようとして、指さしをすることがあります その時に、確かめるようにお母さんの顔を見ることがあり ますか? 誰かが、指を傷つけたり、お腹が痛いとき(またはふりを したとき)、その人の顔を心配そうに見ることがあります か? その時、なぐさめたり、いたわるような行動をすることが ありますか?. ンへの動機・意図」という共通性 などが示唆された。 言語 コミュニケーション. 意図理解 コミュニケーション. .63* * *. 情動理解 コミュニケーション. .40* *. 共同注意への 応答. 共同注意の 始発 .33*. .76* * * .38* *. .36*. .31*. .42*. 提示・手渡し .47* * .60*. .84*. 意図的模倣. 二項関係 Fig.1 乳幼児期の社会的コミュニケーションの発達モデル (RMSEA=0.058, ***p<.001, **p<.01, *p<.05) 考察)結果①について、共同注意の『応答』から『始発』 への移行は『提示・手渡し』を媒介としていた。このことか ら、 『共同注意の始発』やその前段階にあたる『提示・手渡. ふり遊び. ごっこ遊びで、おもちゃのコップにお茶を入れるふりを すると、それを飲むふりをすることがありますか?. 応答的指さし産出. お母さんが「○○はどこ?」とたずねると、指さしをするこ とがありますか?. ることが示唆される。また、 『提示・手渡し』は他者注意の. 言語模倣. ことばを1∼2語正しくまねますか?. 理解・操作を含むものであるが、 『共同注意の始発』に比べ. 有意味語の獲得. 意味のあることばを3語以上いえますか?. て共有対象を他者に直接示すことで、子どもにとって「共. 対象対応語の使用. 絵本などを見て1つのものの名称がいえますか?. 有対象を触覚的に捉えられる」 「他者注意の対象への移行を. し』においても他者の注意を追従・理解するスキルが関連す. 研究Ⅱ. 空間的につかみやすい」などの利点が考えられる。さらに. 目的)研究Ⅰのコミュニケーション能力・スキルを潜在変数. 共同注意の『応答』から『始発』への移行と同じく、 『提示・. とし、共分散構造分析による社会的コミュニケーションの. 手渡し』の下位項目間においても「応答的」から「自発的」. 発達構造の検討を行う。その際、以下の潜在変数間の関係. という提示・手渡し行動の発達段階もみられた(Wilcoxon. 性を仮説とした。. の順位検定, z=-5.481, p<.001)。. ① 『共同注意への応答』から『共同注意の始発』への移行 において、媒介となる段階が存在する ② 先行研究より、 『共同注意への応答』・『共同注意の始発』 とも、言語獲得と直接的な関連を示す. このコミュニケーションの自発的行動への移行について、 『意図的模倣』の背景にある「コミュニケーションへの動 機と意図」が関係しているのではないかと思われる。Bates ら(1989)は社会的やりとりと表出言語における社会的モチ. 方法・結果)研究Ⅰの 8 項目群のコミュニケーション能力・. ベーション・社会的行動の始発という共通性を指摘してい. スキルを潜在変数、各項目の初出月齢を観測変数とし、共. るが、結果③のように、 『意図的模倣』と、続く『提示・手. 分散構造分析による発達モデルの比較・検討を行った。. 渡し』 、 『共同注意の始発』 、 『言語コミュニケーション』が. 結果、採択されたモデル(Fig.1)から、 ① 『共同注意への応答』と『共同注意の始発』における『提 示・手渡し』を媒介とした発達過程 ② 『共同注意への応答』・『共同注意の始発』と、 『言語コ. コミュニケーションへの自発的関与という共通した発達背 景をもつ可能性を示唆するものである。 同時に、子どもが対象に対する大人の新奇な反応を模倣 を通して学習するように(Tomasello, 1995)、他者意図とと.

(3) もに、その行動を自らの身体図式を通して積極的に取り込. 他者注意を理解するだけでなく、他者注意の操作が言語表. み、自己の行動として獲得していく過程が推察される。そ. 出において重要であることが窺える。どちらの結果も比較. の過程の初期での模倣においては、必ずしも他者の意図を. 的早い段階からその遅れの兆候が見出せる様子が窺えるが、. 理解していなくても他者の行動を模倣しているという可能. 両分析の Low 群の子どもたちが重複していることが考えら. 性も指摘されているが(Baldwin, 1995) 、いずれにせよ、1. れ、コミュニケーションスキルそれぞれの発達的特徴につ. 歳前後からの行動・音声のレパートリーの多様化における 1. いては十分に明らかにされなかった。. つの要因として模倣による学習は重要性をもつだろう。 また、発達モデルでは、 『言語コミュニケーション』と共. 研究Ⅳ. 同注意の『応答』と『始発』とは直接的な関連性を示さず、. 目的)研究Ⅲで捉えきれなかったコミュニケーションスキ. むしろ前述の例のような、他のスキルを介した間接的な関. ルそれぞれの発達的特徴について、獲得時期という発達段. 連がみられた。ただし、本研究の言語獲得は単語レベルの. 階と共同注意の機能的側面から検討する。. 調査であったが、より高月齢での形容詞や動詞、二語文の. 方法)各コミュニケーションスキルの発達的特徴を明らか. 使用などにおいては、注意の共有対象(あるいはその性質). にするため、発達モデル上最終的な段階にあたる『言語コ. のより正確な特定、ジェスチャーによる意思表示という点. ミュニケーション』と『意図理解コミュニケーション』ス. から、今回とは違った発達的関連が見出せるかもしれない。. キル、そして、これらのスキルと研究Ⅲで関連が見られた 最も初期の段階にあたる『共同注意への応答』と『意図的. 研究Ⅲ. 模倣』スキルという 2 つの組について、一方のスキルにの. 目的)他者とのコミュニケーションに難しさを示す子ども. み遅れを示す子どもたち、あるいは両方のスキルに遅れを. たちがどのような段階に困難性を示すのかについて示唆を. 示す子どもたちを抽出し、どちらにも遅れを示さない子ど. 得るため、 『言語コミュニケーション』あるいは『意図理解. もたちと U 検定による各項目群の遅れ得点の比較を行った。. コミュニケーション』の遅れについて発達的前段階にあた. また、他者注意の「理解」と「操作」という共同注意の機. る項目群においてもその兆候がみられるかを検討する。. 能的側面を示す『共同注意への応答』と『共同注意の始発』. 方法)以下の手順により、項目群ごとに子どもたちの「遅. スキルの組についても同様な比較を行った。. れ得点」を算出する。. 結果). ① 26 の項目ごとに初出月齢が「平均初出月齢+SD」以下. 1.『言語コミュニケーション』と『意図理解コミュニケーシ. のときは 0、以上のときは 1 と点数化 ② 8つの項目群ごとに下位項目の得点を合計:遅れ得点(0 ∼2・3・4 点). ョン』スキル ① 『言語コミュニケーション』のみ遅れ群: 『言語』以外 に、『情動理解』に遅れ(p<.05). 遅れ得点が中央値以下の(遅れが少ない) High 群・中央値. ② 『意図理解コミュニケーション』のみ遅れ群: 『意図理. より大きい(遅れが多い)Low 群とし、 全対象児(109 児)を 『言. 解』以外に、 『共同注意の始発』 『情動理解』に遅れ(p<.05). 語』では High 群(67 児)・Low 群(42 児)、 『意図理解』では. ③ 「言語・意図理解」遅れ群: 『二項関係』を除くすべての. High 群(88 児)・Low 群(21 児)に分類してノンパラメトリッ. 行動項目群に遅れ(p<.05). ク分析(U 検定)により各項目群の遅れ得点を比較した。. 2.『意図的模倣』と『共同注意への応答』スキル. 結果). ④ 『意図的模倣』のみ遅れ群: 『意図的模倣』以外に、 『共. 1.『言語コミュニケーション』の遅れ ⇒『意図的模倣』、『提示・手渡し』、『共同注意の始発』 『意図理解』の段階にも遅れ(p<.05) 2.『意図理解コミュニケーション』の遅れ ⇒『意図的模倣』 、『共同注意への応答』 、 『提示・手渡し』 、 『共同注意の始発』、『情動理解』の段階にも遅れ(p<.05). 同注意の始発』に遅れ(p<.05) ⑤ 『共同注意への応答』のみ遅れ群: 『共同注意への応答』 以外に、 『二項関係』 、 『共同注意の始発』 、 『意図理解コ ミュニケーション』に遅れ(p<.05) ⑥ 「意図的模倣・JA 応答」遅れ群: 『提示・手渡し』を除く すべての行動項目群に遅れ(p<.05). 考察)結果 1・2 から、より高月齢に獲得されるコミュニケ. 3. 『共同注意への応答』と『共同注意の始発』スキル. ーションスキルの遅れはその他のより低月齢での多くのス. ⑦ 『共同注意への応答』のみ遅れ群: 『共同注意への応答』. キルとの発達的関連があることが示唆された。また、結果 1. 以外に、『意図理解コミュニケーション』に遅れ(p<.05). より、 『言語コミュニケーション』の遅れが共同注意の『始. ⑧ 『共同注意の始発』のみ遅れ群: 『共同注意の始発』以. 発』と関連する一方『応答』と関連を示さなかったように、. 外に、 『意図的模倣』 『意図理解コミュニケーション』に.

(4) 遅れ(p<.05). 主体としての自己など、先行研究で個々に指摘されてきた. ⑨ 「共同注意」遅れ群:すべての行動項目群に遅れ(p<.05). 現象が(十分に確立されたとはいえないものの)その関連. 考察)結果 1 の分析①②より、 『言語コミュニケーション』. 性を明らかにしてきたように思われる。. のみに遅れを示す子どもたちは『情動理解コミュニケーシ. また、早期においてコミュニケーションスキルのいくつ. ョン』に、 『意図理解コミュニケーション』のみに遅れを示. かの領域にまたがって遅れを示す子どもたちが、その後の. す子どもたちは『共同注意の始発』 『情動理解コミュニケー. 発達過程においてもある程度一貫した遅れを示す様子が窺. ション』に遅れを示した。このことから、言語獲得や他者. えた。このことから、共同注意の観点からのより詳細な発. 意図理解という高月齢でのコミュニケーションにおいて情. 達評価、あるいは個々人に即した早期段階での療育という. 動体験・理解が必要とされることが示唆される。つまり、 『提. 点では、各コミュニケーション行動とその背景となるスキ. 示・手渡し』を共通の背景とした『言語コミュニケーション』. ルの機能的・発達的段階を把握することが重要である。. と『意図理解コミュニケーション』において、やりとりの. 今後課題として、質問紙調査の限界から、本発達モデル. 中での情動体験や情動という他者の内的世界への気づきが. の実証的観察研究、障害児モデルの検討、性差からの再考. 他者意図の理解や言語獲得において共通して重要であると. とともに、発達モデルから示唆される療育ターゲットへの. 考えられる。. アプローチの有効性の検証等があげられる。. 結果 2 の分析④⑤より、 『意図的模倣』のみに遅れを示す 子どもたちは『共同注意の始発』に、 『共同注意への応答』. 引用文献. のみに遅れを示す子どもたちは『二項関係』 『共同注意の始. Baldwin,D.A.(1995). Understanding the link between. 発』 『意図理解コミュニケーション』に遅れを示した。両分. joint. 析に共通する『共同注意の始発』の有意差は、他者注意の. Dunham,P.J.(Eds.) Joint Attention: its origins and. 操作においては”他者注意の理解”と”コミュニケーション主. roles in development, pp.41-60.. 体としての動機・意図”がともに不可欠であることを示すも. attention. and language.. In Moore,C.. &. Bates,E., Thal,D. Fenson,L., Whitesell,K., & Oakes,L. (1989). Integrating language and gesture in infancy.. のである。 結果 3 の分析⑦⑧より、 『共同注意への応答』のみに遅れ. Developmental Psychology, 25, 1004-1019.. を示す子どもたちは『意図理解コミュニケーション』に、 『共. Desrochers,S., Morissette,P., & Ricard,M.(1995). Two. 同注意の始発』のみに遅れを示す子どもたちは『意図的模. perspectives on pointing in infancy. In Moore,C. &. 倣』 『意図理解コミュニケーション』に遅れを示した。コミ. Dunham,P.J.(Eds.) Joint Attention: its origins and. ュニケーション主体としての『意図的模倣』と『共同注意. roles in development, 85-102.. の始発』の発達的関連、他者意図を理解した上での行動調. Mundy,P. Delgado,C.E.F., Yale,M., Messinger,D., Neal,R.,. 整における共同注意スキルの他者注意の「理解」と「操作」. & Schwartz, H.K.(2000). Responding to joint attention. という両側面の重要性が窺える。. across the 6- through 24-month age period and early. また、各結果の分析③⑥⑨より、各ペアにおける両方の スキルに遅れを示す子どもたちはその他の発達においても 一様にコミュニケーション発達に遅れを示す様子が窺えた。. language. acquisition.. Journal. of. Applied. Developmental Psychology, 21, 283-298. Scaife,M., & Bruner,J.(1975). The capacity for joint. 特に、 『意図的模倣』と『共同注意への応答』 、あるいは『共. visual attention in the infant. Nature, 253, 265-266.. 同注意への応答』と『共同注意の始発』の両スキルを複合. Sigman,M., & Kasari,C.(1995). Joint attention across. した評価がその後の発達過程の指標としての可能性をもち. contexts in normal and autistic children. In Moore,C.. うることが示唆される。. & Dunham,P.J.(Eds.) Joint Attention: its origins and roles in development, pp.189-204.. 総合考察. Sigman,M.,. Mundy,P.,. &. Ungerer,J.(1986).. Social. 本論文から、共同注意により説明されてきた社会的コミ. interactions of autistic, mentally retarded, and normal. ュニケーション発達はひとつのルートで進むのではなく、. children with their caregivers. Journal of Child. いくつかの発達過程が相互に関係しながら段階的構造を成. Psychology and Psychiatry, 27, 657-669.. していると考えられた。特に、他者注意の「理解」から「操. Tomasello,M.(1995). Joint attention as social cognition.. 作」への移行における提示・手渡し行動による媒介、模倣行. In Moore,C. & Dunham,P.J.(Eds.) Joint Attention: its. 動による学習過程とその背景にあるコミュニケーションの. origins and roles in development, pp.103-130..

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