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ヴェネツィアの「絵になる」都市的空間デザインに関する研究-カナレットが描いた絵画にみる都市景観- [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)ヴェネツィアの「絵になる」都市的空間デザインに関する研究 - カナレットが描いた絵画にみる都市景観 福田 太郎. 1. 研究の背景と目的. 総延長は約 45km にも達し、中でも本島中央部には総長.  都市の景観は都市固有の歴史的背景や地理環境、経済. 約 4km、平均幅員 55m の大運河( Canal Grande, Canalazzo). 状況、モラルといった社会的諸行動の表層として存在し. が逆 S 字型に貫流している。ヴェネツィアの運河は自然. ている。故に都市の景観は多様であり、その評価もまた. 条件による必然的結果として生まれた「残余」であり、こ. 千差万別である。よって我々は歴史を経て評価される著. れらは主要街路であると同時にコミュニティ境界として. 明な風景画に景観評価基軸を求め、これによる都市景観. 機能していた。地区内に捩じれた橋が多いのは、個々に. 分析 を進めてきた。一方、ヴェネツィアは世界に類を. 完結した都市構造を有する島々を事後的に連結した為で. 見ない水の都として知られ多くの画家によって描かれて. ある。さらに、様々な狭隘街路や運河沿い街路、大小の. いるが、それらの構図は18世紀のヴェネツィア風景画家. 運河や光り溢れる広場により、陰陽織り成す迷路状の都. であるカナレット( 1697-1768) の描いた絵画に影響を受け. 市空間が構成されている。地区内には車はおろか自転車. ている。また、カナレットの絵画は視点操作の手法によ. さえも一切通らず、船と徒歩が交通手段となっている。. り、各部分を構成的に描画していることに特徴がある。. 3. 研究の方法.  以上により、本研究では( 1)「絵になる」構図・視対象・.  文献調査及び現地調査によって絵画と実景の同定を行. 視点場の空間的特性を明らかにする( 2) ヴェネツィアに特. い、視点場を決定した。このうち本研究のサンプルとし. 徴的な景観技法を抽出し、それぞれに必要な空間的諸条. て 32 ケ所の視点場( のべ 69 枚の絵画) を採用した。その. 件を明らかにする( 3) 複数の視点が連続・共有されること. 後、サンプル毎の各種空間データの抽出、平立断面図の. による連続シーン景観の在り方を探る、ことを目的とし. 作成、壁面構成率の算定等を行い、分析を進めている。. ている。これらの検討により、地区計画レベルでの景観. 4. 景観類型別にみた視点場及び視対象の特性. とりわけ水辺景観の設計に対し示唆を得たいと考える。. 4.1 シンボリックな建造物の景観の特性. 2. ヴェネツィアの地勢と沿革.  絵画内に水景の描かれるものと描かれないものに大別.  対象地は、ヴェネツィア市内の歴史的都心地区( centro. される。前者の視点場は運河沿いの街路や広場であり、. storico) であり、東西約 4.5km、南北約 2.3km、面積は約. それらは視点場コード 6、8、24、31( 図 1、2) である。後. 520ha の範囲である。118 の島と 176 の運河、409 の橋に. 者の視点場は広場の辺縁部であり、画角が75.5 度と非常. よって構成されている。都市内に張り巡らされた運河の. に大きい。主な視対象は、シンボリックな教会や公共建. 1). 凡例. 凡例. 3. 視線方向 ※番号は景観類型. 1. 視点場. 1. ※数字は視点場コード. サン・ミケーレ島 Isola di S.Michele. 単独視点の視点場 複数視点の視点場 絵画内に水景が描かれる視点場. 新運河通り運河 Canale delle Fondamenta Nuove. 2. 主な視対象 カンナレージョ運河 Canale Cannaregio. 4. 3. 2. (1: シンボリック、2: 河川とまちなみ、3: 港湾). 2. 3. 5 20. 大運河 Canale Grande 1. 19. 2. 21 22. 23 24. 18. 2. 6. 1. 12 1 2. 1. 7. 2. 17. 1. 1. 16 15. 31 32. 1. 2. 30 29 28 26 25 27. 1. 8. 13 12. 14 11. 10. サン・マルコ湾 Bacino S.Marco. 2. サン・マルコ運河 Canale di S.Marco. サン・マルコ広場付近. 2 2. サン・マルコ広場付近. 2 3. 1. 31. 3. 2. 3. 1. 32. 30 29 28 25 27. ジュデッカ運河 Canale della Giudeccca 26. ジュデッカ島 Isola della Giudeccca 0 100 300. 1. マッジョーレ島 Isola di S.Giorgio Maggiore. 9. 1 3. N 500. N. 3. 0 100. 1000M 3. 図 1 視点場の分布状況. 3. 300. 500. 1000M. 3. 図 2 視点場からの視線方向、景観類型、視点数. 1-1.

(2) 1. 2. 3. 4. 1. シンボリックな建造物の景観「サン・マルコ広場:聖堂を望む」 ( 視点場コード 32)            3. 港湾の景観の例「サン・マルコ湾:サン・マルコ小広場より望む」 ( 視点場コード 29) 2. 河川とまちなみの景観「大運河:サン・ヴィオ広場よりサン・マルコ湾を望む」 ( 視点場コード 11)     4. 祝祭の景観の例「大運河でのレガッタ」. 図 3 カナレットが描いた絵画例. 構造的船着場はさらに 4 つ. 表 1 景観類型別のカテゴリ平均値 景観類型 シンボリックな建造物の景観(12) 水景有(4) 水景無(8) 河川とまちなみの景観(13) 流軸景(11) 対岸景(2) 港湾の景観(7) 対岸景(3) 横断景(4). 画角[°]. 67.4 54.7 75.5 64.1 63.8 66.0 53.1 39.3 66.8. D/H. 視点場 L/H. 5.5 8.6 2.9 5.6 6.1 2.7 2.5 2.5 -. 4.4 5.5 3.5 3.8 3.3 7.8 -. 幅員[M]. 面積[M2]. 10.7 12.1 6.4 8.8 9.4 4.3 17.3 22.5 7.8. 5481 9305 3459 875 843 1162 3542 3542. 隣接水景 距離[M] 幅員[M]. 32.8 4.4 89.7 5.6 3.5 21.1 24.7 47.6 6.4. 高さ[M]. 16.5 21.3 6.9 45.0 45.8 39.6 34.0 34.0. 視対象 距離[M]. 25.3 18.8 30.9 28.4 27.9 36.6 31.3 32.3 30.6. に細分される( 表 3) 。分類 C. 仰角[°]. 92.6 95.2 90.9 221.8 227.0 179.5 478.4 594.7 362.1. 19.5 16.9 21.8 11.5 11.2 16.4 8.5 6.8 10.0. と D に関しては絵画中に発 見できない為、その平面図 のみを図 4 に示している。 ヴェネツィアは殆ど起伏の. ※括弧内の数字はサンプル数. 無い街であるが、これら効. 築物である。視対象までの距離が短いことが特徴で、概. 果的なレベルチェンジが適宜配されることにより、人々. ね主景となる要素は近景域である 200m 範囲内、平均で. が滞留可能となる豊かな空間を生み出している。. 92.6m に位置している。これと関連し、視対象は高仰角. 5.2 デザインボキャブラリーに基づく空間分析. であり、19.5 度となっている( 表 1) 。.  ヴェネツィアの都市景観において重要なデザインボ. 4.2 河川とまちなみの景観の特性. キャブラリー 2) として以下の 4 つが挙げられる。.  視点場コード 5 の場合を除き、大運河に面する街路や. (1)焦点(focal point). 広場が視点場である( 図 1、2) 。それらの幅員もしくは広.  主として広場( 囲い地( enclosure) ) を描いた絵画に見ら. 場の短辺方向の長さ平均は 8.8m と、狭い( 表 1) 。しかし 表 2 デザインエレメントの分類と絵画との関連. 隣接する大運河の存在により、運河が無い場合に比べD/. 名称. 分類. Hが1.15倍∼34倍に増大し、囲繞感が大幅に緩和される。. (. 公 共 特 別. 主な視対象は、運河に面する大規模邸宅である。それら. ). の屋根越しに中・遠景域に立地する教会のドーム屋根や. 広 場. (. 鐘楼が描かれ、アイストップとして大規模邸宅や橋等が. 公 共 一 般. ルーテ教会のドームとリアルト橋である。主景までの平. Piazza ピアツェッタ Piazzetta カンポ Campo カンピエッロ. ). 描かれる。これら添景としての描画頻度が高いのは、サ. ピアッツァ. Campiello. 私 的. コルテ Corte サリツァーダ. 均距離は 222m、仰角の平均は 11.5 度である。. 広 幅 員. 4.3 港湾の景観の特性. Salizada ルガ Ruga リバ.  視点場は港湾沿いの街路とサン・マルコ小広場である. 水 景 沿 い. ( 図 1、2) 。視点場の幅員や面積的規模は他の類型に比べ. Riva フォンダメンタ Fondamenta. 大きいが、水景と隣接することでさらにその開放度が増. カッレ. 長されている。主な視対象は、近景要素としての視点場. 街 路. 狭 幅 員. Calle ラモ Ramo. 近傍の建築物、中景要素としての海と船舶、遠景要素と. ソットポルテゴ. しての対岸の教会や鐘楼等である。主景までの平均距離. Sottoportego. は 478m、平均仰角は 8.5 度である。対岸景の場合、水景. Marzaria. マルツァリーア. そ の 他. との距離が 47.6m と大きいことが特徴的である。. リオテッラ Rio Tera' ピスチーナ. 5. 絵画より抽出される景観構成要素と景観技法. Pischina ヴィアーレ. 5.1 デザインエレメントに基づく空間分析. Viale.  都市を構成するデザインエレメントを、広場、街路、運 河、橋、階段( レベル差) の 5 つに分類した。また各エレ. 運 河. メントの名称には冠語が附随しており、これに応じて細 分を行った( 表 2) 。また、階段は 5 つに大別され( 図 5) 、. 1-2. 湾 状. バチーノ. 広 幅 員. カナル. 狭 幅 員. リオ. Bacino. Canale. Rio. 備考. 例. サン・マルコ広場のみ。イタリア語で いう「広場」の名を唯一冠することか らも特別な場所であることが分かる。. Piazza San Marco. サンマルコに附随する2つの広場のみ これに該当する。PI AZZAに対する「小 広場」的位置付け。. Piazzetta San Marco Piazzetta dei Leoni. ヴェネツィアにおける一般的な広場。 イタリア語でいう「空き地」の名はそ の成立の歴史的背景による。. Campo San Polo Campo Sant'Angelo Campo S.Maria Formosa. CAMPOに対する「小広場」的位置付け。 Campiello del Teatro Campiello Vendramin 街路等の余剰空間としての色合いが Campiello Barozzi 濃い。辻広場。 主に大邸宅等の中庭などで、公共領域 Corte Civran というよりは当該家族やコミュニティ Corte de l'Albero Corte Erizzo 専用の私的領域となっている。 幹線道路であるがその幅員や形態は 様々である。その成立期から鋪装され ていた街区内でも重要な路である。. Salizada San Moise' Salizada San Rocco Salizada San Polo. 幹線道路。商店街的なイメージが強く、 Ruga dei Oresi リアルト付近に多く分布する。カッレ Ruga vecchia S.Giovanni Ruga Ravano よりも大きい「道」 河岸通り。比較的大規模な運河に面す る。これと比例して街路自体の幅員も 比較的大きいものが多い。. Riva dei Schiavoni Riva del Ferro Riva di Biagio. 運河通り。一般的な中・小規模の運河 に面している。その幅員や街路長等は 様々である。. Fondamenta Nuove Fondamenta dei Mendicanti Fondamenta del Teatro. 一般的には狭隘街路、「小径」。 「Calle Larga 」というやや幅員が広い 形態等、いくつかの派生が存在する。. Calle Grassi Calle Il de l'Ascension Calle Ca' d'Oro. 性格的にはカッレと同等。本数はカッ レよりも少ない。「枝分かれ」道とし て定義される。. Ramo Grassi Ramo Il a l'Ascension Ramo Vendramin. 狭隘なポルティコ状街路。両側をマッ スに挟まれたもの、片側が広場や運河 のもの等、その様態は様々である。. Stp. de Rialto Stp. Manin stp. del Remer. 商店街通り。サン・マルコ広場とリア ルト広場を結ぶ一帯に分布。幅員は狭 いが人通りは非常に多い。. Marzaria de l Orologio Marzaria S.Zulian Marzaria S.Salvador. 運河埋め立て道路。元々運河の為、総 じて幅員が大きい。今日ではそのほと んどが幹線道路として機能している。. Rio tera' de la Carita' Rio tera' S.Leonardo Rio tera' S.Silvestro. 水溜まりを埋め立てた道路。この為そ の幅員や形態は様々であが、多くは幹 線道路として機能している。. Piscina del Forner Piscina San Samuele Piscina San Moise'. 主として並木道。都市中心部にはほと んど見られず、建築物の建て込んでい ない郊外に多く分布している。. Viale Trieste Viale di Sant'Elene Viale quattro Novembre. 運河の結節点に位置し面的に広がる湾 状の水景であり、その規模は大小様々 である。. Bacino di San Marco Bacino S.G.Maggiore Bacino Orseolo. 本島地区全体の骨格となる広幅員の運 河。現在では水上バスの航路となるな ど、水上の幹線街路となっている。. Canale Grande Canale Giudecca Canale di Santa Chiara. 島内に網の目のように広がっているほ とんどの運河。かつての教区境界であ りコミュニティ境界であった。. Rio dei Mendicanti Rio dell'Arsenale Rio di San Polo. ※サンプル数が少数のものに関しては分類の除外としている。 また、網かけを行っているエレメントはカナレットの絵画中に描かれるものである。.

(3) れる。焦点はカンパニーレであり、建築高さは 96.8m で. の建築高さは 55.7m、直径は 27.5m で、運河流軸から 14. ある。焦点は、後背に象徴的な建造物を伴い、決して広. 度、近景と中景の変化点に位置している( 図 9) 。. 場の中心には置かれず、視点から見て広場短辺方向を凡. 7.3 祝祭行事による景観演出. そ 8:2 の割合で分割する地点に配されている( 図 6) 。.  カナレットは祝祭行事の風景も多く描いている。都市. (2)偏向(deflection). における祝祭の効用は、 ( 1) 日常と非日常のコントラスト.  主として運河をパースペクティブに描いた絵画に見ら. を生み出し、それぞれの状態における独自性や象徴性を. れる。距離幅員比( 視線距離 / 幅員) が 10 前後で、アイス. 相対的に高める、 ( 2) 形だけでなく「使いこなされた」空. トップ( 閉塞家屋( block house) ) が視線軸に対し120度から. 間を生み出し、都市・地域の持続的環境に対する恒常的. 160 度の振れ角を持つことが条件である。フォスカッリ. 意識を植え付ける、 ( 3) 祭りを通し地域固有の景観意識・. 邸までの距離は 810m、距離幅員比は 9.8 であり、壁面ラ. 愛着意識を醸成する、 ( 4) 的確な運営により経済上の収益. インは視線軸から 118 度左奥に振れている( 図 7) 。. が見込める、等がある。図 3 の例は、レガッタの一場面. (3)切断(truncation). が描かれており、日常における都市のメインストリート.  主として港湾を描いた絵画に見られる。前景と後景と. が舞台背景兼観客席となり、 視線の錯綜が起こっている。. の間に広大で均一な中間領域が存在し、 その水陸比( 水面 距離 / 陸面距離) が概ね 2.5 以上で、主たる視対象の見込. サン・マルコ聖堂 Basilica San Marco. 2次壁面. 角が10度近傍となることが条件となる。図8の例はサン・ 69m. マルコ小広場とマッジョーレ教会が切断関係にあり、水. カンパニーレ Campanile. 14m. 陸比は 2.8、見込角は 8 度である。. 12°. 視点. 視点 1次壁面. (4)丸屋根(domes). 133m. m. 184.  主として運河をパースペクティブに描いた絵画に見ら. 視覚的かつ平 面的に視点場 と直接面する 住宅や教会等 のファサード. 視点場 N. 0. れる。街並みのラインからドーム直径と同程度の引きを. 50. 100. 200 m. 図 6  「焦点」の例. もって配されること、距離景がちょうど変化する地点に. 図 10 1次・2次壁面の概念. 位置するよう視点をとり、街路( 運河) 軸に対し15度から. 景 超近. 25度の範囲で捕らえることが条件となる。サルーテ教会. 直角. 平行. A. C. B. D. 62m. フォスカッリ邸 Ca' Foscari. 水景へのアプローチ. 視点. 55m. 近景. 表 3 構造的船着場の分類. 近景. 中景. 118°. 810m. N. 0. 100. 200. 500. 図 4 船着場C(左)とD(右). m. 図 7  「偏向」の例 562m. 視点. 建築物の玄関・基壇. 79m. 段状護岸. 8°. 109m. 416m. 0. 100. 200. マッジョーレ教会 S. Giorgio Maggiore. 400. N. 37m. m. 構造的船着場A. アーチ橋. 図 8 「切断」の例 流軸. 景. 中景. 近. 平 凸 面 形 態 凹. 1次壁面の屋 根越しに可視 である鐘楼や ドームなどの ファサード. サルーテ教会 S.Maria della Salute 27.5m. 構造的船着場B. モニュメント・井戸の基壇. 視点. 14°. 超近. 352m 景. 近景 N. 0 複合パターンその1. 50. 100. 250 m. 複合パターンその2. 図 9  「丸屋根」の例. 図 5 デザインエレメント「階段」のパタン. 1-3.

(4) 6. 視点移動の要因とその景観的効果の考察. といった要因以外に、周囲の建築物に比し見込壁面線長. 6.1 距離別1次壁面構成率の特徴. が大きくなること、100m近傍で望むこと、が条件となる。.  主景が位置する距離範囲においては、概ね絵画内に描. 1 次壁面と 2 次壁面の定義は図 10 に示す通りである。. かれている壁面構成率の値が絵画外のそれを上回ってい. 6.2 2次壁面構成要素の分布特性. る( 表 4) 。また、主景の分布は 100m 近傍を中心に集積し.  単独視点においては、2 次壁面構成要素の分布にばら. ていることが分かる。これより、建築物が主景として描. つきが見られるが、描かれる範囲は概ね90度内に収まっ. かれるには、その象徴的なファサードや形態、建築背景. ている。これに対し、複数視点の場合は視線中心線付近. 表 4 視点からの距離別1次壁面構成率. に集積し、その分布範囲も概ね45度内と、狭い範囲に収. 視点場 コード. 6 7 15 17 18 24 32 2 3 10 11 12 13 16 21 23 1 4 9 25 26 27 8a 8b 19a 19b 28a 28b 30a 30b 5a 5b 14a 14b 22a 22b 29a 29b 31a 31b 31c 20a 20b 20c. 0-25M 絵画内 絵画外. 0 2 2 34 0 4 0 15 0 0 1 3 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2. 25M-50M. 50M-75M. 75M-100M. 内. 内. 内. 10 20 25 22 23 14 10 26 7 4 7 19 24 9 4 13 4 18 26 43 0 4 20 10 38 35 16 5 10 16 9 15 7 7 4 11 13 17 9 9 9 5 10 14. 外. 9 18 26 28 9 12 4 6 0 7 0 5 23 3 2 7 0 0 0 0 5 1 0 14 35 11 7 0 7 0 0 3 0 0 0 0 0 4 0 0 0 1 0 0. 11 4 6 9 14 2 13 30 0 5 9 16 5 1 0 14 9 17 28 2 10 11 29 19 21 30 39 28 5 17 19 15 0 14 2 7 29 29 8 10 11 4 12 0. 外. 13 16 12 7 14 5 7 0 6 0 0 19 11 4 18 9 1 0 0 0 3 7 0 7 3 9 1 2 5 0 1 4 0 0 13 10 0 5 11 0 1 3 1 4. 8 0 0 0 1 18 5 12 6 4 21 18 0 7 12 1 11 18 30 0 17 13 16 24 3 9 18 32 14 16 14 16 13 30 16 27 24 27 8 16 14 21 13 10. 5 3 28 0 34 0 10 0 9 3 5 0 10 18 12 15 3 0 0 0 5 5 4 0 0 3 0 4 5 4 3 2 0 0 11 8 1 0 1 0 0 3 11 22. 外. 100M-125M 内. 5 0 0 0 0 8 0 13 18 29 13 11 0 11 11 0 14 12 9 0 13 14 8 4 0 0 3 21 7 13 9 11 22 8 13 15 12 5 20 20 17 14 16 10. 外. 5 15 0 0 5 0 10 0 10 13 5 0 14 9 7 8 4 0 0 0 4 7 8 10 0 0 10 0 14 8 5 6 0 0 11 0 0 0 1 4 0 3 7 10. 125M-150M 内. 12 0 0 0 0 11 0 0 12 9 11 7 0 5 11 0 5 9 6 0 11 10 6 0 0 0 5 9 0 2 8 12 30 14 8 21 6 13 21 13 17 10 5 6. 4 13 0 0 0 0 15 0 7 4 3 0 7 7 0 13 5 0 0 13 4 2 0 4 0 0 0 0 12 7 4 5 0 0 9 0 0 0 0 5 0 1 5 8. 外. 150M-175M 内. 5 0 0 0 0 11 0 0 8 6 9 2 0 6 9 0 6 7 1 26 3 10 7 0 0 0 1 0 0 0 7 3 10 9 0 1 6 0 22 15 18 11 9 0. 外. 5 7 0 0 0 0 5 0 5 4 4 0 0 6 0 12 6 0 0 0 4 1 0 7 0 0 0 0 9 7 7 5 4 3 5 0 0 0 0 1 0 3 4 5. まっている。これより、2 次壁面構成要素を画面中心に. 175M-200M. 3 0 0 0 0 6 0 0 6 4 4 0 0 5 5 0 10 9 0 16 4 4 2 0 0 0 0 0 0 0 3 0 2 5 0 0 9 0 0 7 13 9 1 8. 内. 外. 4 0 0 0 0 0 21 0 1 4 4 0 0 6 0 7 8 0 0 0 3 4 0 0 0 0 0 0 9 9 9 4 8 5 8 0 0 0 0 0 0 2 0 0. 2 0 0 0 0 7 0 0 3 4 4 0 0 3 8 0 14 8 0 0 13 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5 5 0 0 0 0 0 0 0 9 5 3. 見るように視点移動が行われる傾向があることが分かる。. 6.3 視点移動のパタン  以上により、視点移動のパタンは 4 つに類型化するこ とができる( 図 12) 。即ち、まず全体像を構成しこれに 1 次壁面を付加するⅠ型と 2 次壁面を付加するⅡ型、異な る1 次壁面同士を描くⅢ型、1次壁面に2次壁面を付加す るⅣ型、である。これらの効果的複合により、1枚の絵画 中に奥行き感やパノラマ感をもたらしている。これらの 法則に基づき視点が確保されることにより、より「ヴェ ネツィアらしい」 景観体験が得られるものと考えられる。. 7. 総括  本研究では、4章において( 1) ヴェネツィアの典型景観 は3つに分類することができ、視点場は「都市的空間」に 位置していること、 ( 2) 視点場は運河等の水景に隣接する ことにより、D/H( L/H) が 3.0 以上の開放度の高い空間と. ※数値の単位は%、視点を中心として25m範囲毎に絵画内及び絵画外の総壁面線長を百分率で表したもの。 主景が位置する範囲に網かけを行っている。. なっていること、が明らかになった。  5 章では、 ( 1) 公共空間上に多様な性格を持ったデザイ ンエレメントが混合・重複して配され、魅力ある都市空 間を生んでいること、 ( 2) ヴェネツィアの都市景観で重要. 0 25 50. 100. 0 25 50. 200. 100. (M). 200. な 4 つのデザインボキャブラリーと、それぞれに要求さ. (M). れる空間的諸条件、 ( 3) 景観的観点に止まらない、祝祭行 事の都市にとっての重要性、が明らかになった。 [単独視点による絵画] 凡例. :鐘楼 :ドーム :大規模邸宅 :橋 (白抜き:絵画内に描かれるもの、黒塗り:絵画内に描かれないもの). [複数視点による絵画].  6 章では、 ( 1) 絵画内で建築物が主景として描かれるに. :視線中心線 (図中の原点が視点の位置に対応している). は、絵画中に描かれない周囲の建築物( 壁面) との相対的. 図 11 2次壁面構成要素の平面分布. な優位関係が必要となること、 ( 2) 視点移動のキーワード. 主となる視点 (視点a). は「構図の全体構成をおこなう」 「1 次壁面を効果的に見 る」 「2 次壁面を効果的に見る」の 3 つであり、これらの 相乗効果により、画面に奥行き感が付加されたり、視線 の誘導が行われたりすること、 ( 3) これら複数の視点場が. 全体像の構成. 1次壁面を見る. 相互補完的役割を担いつつ連続することにより、魅力あ. 2次壁面を見る. る連続シーン景観を生むこと、が明らかになった。 NONE. (. 視従 点と bな 、る c視 点. NONE. NONE. 全体像の構成. Ⅰ. ). 参考文献 1) 萩島哲:風景画と都市景観 - 水・緑・道・まちなみ - 、理工図書、1996 2) G・カレン:都市の景観、北原理雄訳、鹿島出版会、1975 鹿島出版会、 1986 3) 陣内秀信:ヴェネツィア- 都市のコンテクストを読む- 、 4) C・ベック:ヴェネツィア史、仙北谷茅戸訳、白水社、2000 5) J.G.Links: Canaletto、Phaidon、1994 6) Venice Portrait D’ Une Ville -Atlas Aerien-、Gallimard、1990. Ⅲ. 28SM 29HA 30SM 1次壁面. 22RC 20RC. Ⅱ. 08SM. 05RC. 14RC. NONE. 19. 31SM. NONE. Ⅳ. SM 2次壁面 ※SM: シンボリックな建造物の景観、RC: 河川とまちなみの景観、HA: 港湾の景観. 図 12 視点移動のパタンと視点場との関係. 1-4.

(5)

図 1 視点場の分布状況 図 2 視点場からの視線方向、景観類型、視点数1. 研究の背景と目的 都市の景観は都市固有の歴史的背景や地理環境、経済状況、モラルといった社会的諸行動の表層として存在している。故に都市の景観は多様であり、その評価もまた千差万別である。よって我々は歴史を経て評価される著明な風景画に景観評価基軸を求め、これによる都市景観分析1)を進めてきた。一方、ヴェネツィアは世界に類を見ない水の都として知られ多くの画家によって描かれているが、それらの構図は18世紀のヴェネツィア風景画家であるカナレッ
表 1 景観類型別のカテゴリ平均値 図 3 カナレットが描いた絵画例 表 2 デザインエレメントの分類と絵画との関連 1-2築物である。視対象までの距離が短いことが特徴で、概ね主景となる要素は近景域である 200m 範囲内、平均で92.6m に位置している。これと関連し、視対象は高仰角であり、19.5 度となっている( 表 1) 。4.2 河川とまちなみの景観の特性 視点場コード 5 の場合を除き、大運河に面する街路や広場が視点場である( 図 1、2) 。それらの幅員もしくは広場の短辺方向の長さ平均は 8.
図 9  「丸屋根」の例図 8  「切断」の例図 7 「偏向」の例図 6 「焦点」の例 図 10 1次・2次壁面の概念図 5 デザインエレメント「階段」のパタン表 3 構造的船着場の分類図 4 船着場C(左)とD(右) 1-3れる。焦点はカンパニーレであり、建築高さは 96.8m である。焦点は、後背に象徴的な建造物を伴い、決して広場の中心には置かれず、視点から見て広場短辺方向を凡そ 8:2 の割合で分割する地点に配されている( 図 6) 。(2)偏向(deflection) 主として運河をパースペクティブ
表 4 視点からの距離別1次壁面構成率 図 12 視点移動のパタンと視点場との関係図 11 2次壁面構成要素の平面分布 1-46. 視点移動の要因とその景観的効果の考察6.1 距離別1次壁面構成率の特徴 主景が位置する距離範囲においては、概ね絵画内に描かれている壁面構成率の値が絵画外のそれを上回っている( 表 4) 。また、主景の分布は 100m 近傍を中心に集積していることが分かる。これより、建築物が主景として描かれるには、その象徴的なファサードや形態、建築背景 といった要因以外に、周囲の建築物に比し見込

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