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高水分小麦の乾燥調製法に関する研究 学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 農 学 ) 盧

  

大 新

学 位 論 文 題 名

高水分小麦の乾燥調製法に関する研究 学位論文内容の要旨

  国 内 産 小 麦 の6090は 北 海 道 で 生 産 さ れ て お り , お も に 麺 用 小 麦 粉 の 原 料 と し て 利 用 さ れ て い る 。 北 海 道 に お け る 小 麦 収 穫 時 期 は 比 較 的 降 雨 量 が 多 く , 降 雨 を 受 け る と , 小麦に穂発芽が発生し,ロ―アミラーセ゛の活性が高まり,アミロク゛ラム最高粘度が低下する。こ の ような 状態の小 麦を「 低アミロ 小麦」 と呼ぷ。 低アミロ 小麦を 原料とした小麦粉で製造した 麺は粘弾性を欠くため商品価値が大きく低下する。

  低 ア ミ ロ 小 麦 の 発 生 を 未 然 に 防 止 す る た め に , 収 穫 時期 に 降 雨が 予 想 され る と ,小 麦 の 水 分 が 比 較 的 高 く て も 収 穫 が ー 斉 に 行 わ れ , そ の 後 の 小 麦 乾 燥 調 製 工 程 に 大 き な 負 荷 が か か る 。 乾 燥 機 へ の 負 荷 を 低 減 さ せ る た め に , 小 麦 を 一 定 水 分 ま で 乾 燥 し , こ れ を 一 時 的 に 貯 留 し , 小 麦 の 収 穫 が 終 了 し た 後 に 仕 上 乾 燥 を 行 う 乾 燥 法 式 を 「 半 乾 貯 留 ニ 段 乾 燥 方 式 」 が 一 部 の 地 域 に 導 入 さ れ て い る が , 技 術 的 に 解 決 し な け れ ぱ な ら な い 多くの問題点を持っている。

  低 ア ミ ロ 小 麦 な ど 品 質 の 悪 い 小 麦 を 選 別 除 去 す る た めに , 北 海道 の 小 麦乾 燥 調 製施 設 で は 多 種 類の 選 別 機を 組 み 合わ せ て 構成 さ れ る選 別 シ ステ ム が 設 置さ れ て いる 。 こ の選 別 シ ステム の選別特 性は不 明確であ り,よ り高品質 で,かっ 品質の ハ゛ラツキの小さい小麦を調 製するための技術を確立する必要がある。

  乾 燥 調 製 施 設 に 搬 入 さ れ る 小 麦 の 量 は 天 候 な ど の 影 響 に よ り 大 き く 変 動 し , か つ 水 分 は 広 範 囲 に わ た っ て 変 動 す る 。 こ の 変 動 に 対 応 で き る 施 設 を 設 計 す る 場 合 , 荷 受 部 お よ ぴ 乾 燥 部 の 処 理 方 式 や 能 カ の 決 定 が 最 も 大 き な 課 題 とな る 。 、収 穫 期 間中 の 小 麦の 最 大 入 荷 量 に 対 応 可 能 な 各 種 装 置 の 導 入 が 必 要 と な る が , こ の 場 合 は 施 設 の 建 設 費 と の関係を十分考慮する必要がある。

  本 研 究 は 半 乾 貯 留 二 段 乾 燥 方 式 お よ び 穂 発 芽 粒 の 選 別 除 去 方 式 を を 確 立 す る と と も に 小 麦 の 共 同 乾 燥 調 製 施 設 の 設 計 指 針 と 合 理 的 な 運 営 方 法 を 提 示 す る こ と を 目 的 と し て実施されている。

本論文の内容は以下のとおりである。

1

章研究の背景,これまでの研究事例を述べている。

2

章高 水 分小 麦の 乾燥貯留条 件と品質

(2)

@ 高水 分 小 麦 の 品 温 と 品 質 と の 関 係 : 小 麦 の 水分 ,加 熱温 度お よぴ 加熱 時間と 品 質 と の 関 係 を 明 ら か に し た 。 品 質 は 小 麦 水 分 が 高 い ほ ど 大 き く 低 下 し た 。

@ 一次 乾 燥 の 通 風 温 度 が 小 麦 の 品 質 に 与 え る 影響 :高 水分 小麦 の一 次乾 燥条件 と 品質 との関 係を 明ら かに する こと を目 的と して 基礎 実験 を行 った。 品質の測定結果 か ら考 察 し て , 半 乾 貯 留 ニ 段 乾 燥 方 式 に お け る一 次乾 燥の 通風 温度 は40〜50℃ が 適していることを述べている。

◎ 半乾 貯 留 条 件 と 貯 留 可 能 日 数 : 半 乾 貯 留 中 の小 麦の 品質 変化 を知 るす ること を 目的 として 実験 を行 った 。そ の結 果, 収穫 時期 の気 温と 収穫 期間を 考慮して,25℃ の 条件 下 で 水 分19%の 小 麦 は7日 間 , 水 分16%の 場 合 は14目 間 そ れ そ れ 貯 留 する こ とが可能であることを明らかにしている。

@ 二段 乾 燥 条 件 が 小 麦 品 質 に 与 え る 影 響 : 高 水分 小麦 の一 次乾 燥と 仕上 乾燥の 乾 燥条 件と品 質との関イ系について実験を行った。一次乾燥において,初期水分が高い ほど,またー次乾燥の平均乾燥速度が遅いほど,アミロク゛ラム最高粘度が低下した。仕 上乾燥において,通風温度が55℃以上では粒の外観が劣化し,ク゛ルテン含量が減少し た。

◎乾 燥中の 通風 温度 の変 化が 小麦 の品 質に 与え る影 響: 高水 分小麦 を対象にして,

品質 を低下 させ ない こと を前 提に して 能率 的な 乾燥 法を 見出 すこと を目標として,

降温 ,昇温 およ び恒 温乾 燥方 式が 小麦 の品 質に 与え る影 響に ついて 実験を行った。

高水 分小麦 の乾 燥過 程に おい て, 半乾 貯留 二段 乾燥 方式 のー 次乾燥 をより効果的に 行う ために ,特に共同乾燥施設では荷受が集中した時の乾燥能率を高めるためには,

乾燥 速度お よび 品質 の面 から 考え て, 乾燥 初期 の通 風温 度を 高く設 定し,小麦水分 が 低 下 す る と と も に 通 風 温 度 を 低 下 さ せ る と い う 降 温 乾 燥 方 式 が 望 ま し い 。 第3章 精 選 別 工 程 に お け る 小 麦 の 品 質 向 上

@比 重 選 別 機 に よ る 小 麦 の 品 質 向 上 : 基 礎 実験 およ ぴ施 設で の調 査の 結果か ら,

比重選 別機 を用いた選別は穂発芽が原因となっている低アミロ小麦を分別することに 非常に 有効 であ るこ とが 明ら かに なっ たと して いる 。ま た,比 重選 別機の選別口の 幅と小麦品質との関係を調べるシミュレーションを試みた結果,従来の比重選別機に新し<

製品ラ イン を増設し,より品質の良い製品と通常の品質の製品を分別することで小麦 の均 質 化 が 可 能 で あ り , 北 海 道 産 小 麦 の 品 質を 向上 させ るこ とが 明ら かにし た。

◎小 麦 の 粒 厚 と 品 質 : 小 麦 の 粒 厚 と 品 質 に つい て検 討し た結 果, 穂発 芽が少 ない 場合, 粒厚 が大 きい 小麦 は品 質良 く, 粒厚 選別 によ る品 質向上 が認 められた。しか し,作 柄が 悪く ,穂 発芽 が多 く発 生し た小 麦の 場合 ,粒 厚選別 機に より小麦の品質 を向上させることは困難である。

第4章 小 麦 乾 燥 調 製 施 設 の 稼 動 実 態 分 析 お よ ぴ 最 適 施 設設 計 の 検 討

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@ 荷 受 部 : 入 荷 日 毎 お よ び 荷 ロ 毎 に 入 荷 した 小 麦 の 量 か ら

1

荷 口 小 麦 量の確 率密 度分布を求めた結果,入荷した小麦の質量分布は位相が5 のアーラン分布で近似される。

滞 荷時 間分 布と 遊休 率を 分析し た結 果, 搬送 能率 を高 くす るこ とによる滞荷時間の 低 減 効 果 が 大 き か っ た 。 今 後 建 設 が 予 定さ れる 施設 にお いて は, 滞荷 のため ,小 麦 の品 質が劣化しナょいように,荷受状況を予測して適切な搬送能カを選択すること により混乱が避けられるものと考える。

◎ 乾燥 部:小麦収穫期の前半において,水分が高い小麦を貯留ヒ゛ンにて予備乾燥す る こと によ り小 麦の 水分 と質量 が減 少す る同 時に 乾燥 機の 処理 能カが増え,予備乾 燥 の効 果が 顕著 に現 れる 。収穫 期の 後半 にお いて ,小 麦が 低い 水分で大量に入荷さ れ た時 ,予 備乾 燥時 の乾 燥速度 が低 下し ,入 荷量 に対 応で きな い場合がある。この 場 合, 半乾 小麦 の安 全貯 留期間 を考 慮し た上 で, 一次 乾燥 の終 了水分を高くするこ と によ って乾燥機の乾燥能カを向上させ,乾燥機の最適運転化が図られる。従って,

今 後建 設す る小 麦用 の大 型共同 乾燥 施設 の設 計に 当た って は, 収穫期間中の入荷状 況 およ び半 乾小 麦の 貯留 可能日 数を 予測 して ,小 麦の 一次 乾燥 の適切な終了水分を 選 択す るこ とに よっ て乾 燥機の 最適 運転 条件 を確 立す る必 要が ある。その結果,予 備 乾燥 のための貯留ヒ゛ンの数を減らすことが可能になり施設全体の規模縮小と建設 費の低減が実現できる。

◎ 選別 部: 穂発 芽粒 を選 別除去 して 高品 質な 製品 を調 製す るた めに,比重選別機の

導 入が 必要 にを るが ,従 来の比 重選 別機 を改 善す るす るこ とに よって,実需者の要

望 す る 品 質 に 合 っ た 製 品 を 供 給 す る こ と が 可 能 に な る こ と を 明 ら か に し た 。

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学位論文審査の要旨 主査    教授    伊藤和彦 副査    教授    松田従三 副査   助教授   川村周三

学 位 論 文 題 名

高水分小麦の乾燥調製法に関する研究

  本 論 文 は , 総 頁 数193, 図71, 表67, 弓I用 文 献176を 含 む5章 か ら な る 和 文 論 文 で あ り,別に5編の参考論文が添えられている。

  国 内 産 小 麦 の60%以 上 が 北 海 道 で 生 産 さ れ て お り , 主 に 麺 用 小 麦 粉 の 原 料 と し て 利 用 さ れ て い る 。北 海道 に おけ る小 麦( 秋ま き小 麦) の収 穫時 期は 比較 的降 雨量 が 多く ,穂 発 芽の発生がおきやすい。穂発芽が生じるとローアミラーセ゛の活性が高まり,アミロク゛ラム最高粘 度 が 低 下 し , 製 麺 適 性 を 失 う 。 こ れ を 回 避 す る 目 的 で , 降 雨 が 予 想さ れる 場 合, 小麦 水 分 が 比 較 的 高 く て も (30%以 上 ) 収 穫 が 一 斉 に 行 わ れ , こ れ が 共 同 乾 燥 調 製 施 設 に 搬 入 さ れ る こ と に よ っ て 乾 燥 調 製 工 程 に 大 き な 負 荷 を 与 え て い る 。 今 後, 北海 道 産小 麦の 品 質 向 上 を 図 る 目 的 で 現 在 の 小 麦 の 収 穫 期 間 ( ほ ぼ2週 間 ) は 更 に 短 縮 さ れ る こ と が 予 想 さ れ る 。 こ れ に 対 応 す る た め に , 施 設 へ の 負 荷 の 平 準 化 を 目 的 に 半乾 貯留 二 段乾 燥方 式 が 十 勝 地 方 に 導 入 さ れ て い る が 解 決 し な け れ ぱ な ら な い 多 く の 技 術的 問題 点 を抱 えて い る 。 さ ら に , 穂 発 芽 粒 の 除 去 技 術 も 未 完 成 で あ る 。 こ の よ う な 背 景を 考慮 し て, 本研 究 は , 半 乾 貯 留 ニ 段 乾 燥 方 式 お よ び 穂 発 芽 粒 の 選 別 除 去 方 式 を 確 立 する こと 並 びに 小麦 の 共 同 乾 燥 調 製 施 設 の 設 計 指 針 と 合 理 的 顔 運 営 方 法 を 提 示 す る こ と を 目 的 と し て い る 。

  本研究の結果は以下のように要約される。

  1) 高 水 分 小 麦 を 半 乾 貯 留 二 段 乾 燥 方 式 を 用 い て 乾 燥 す る 場 合 , 一 次 乾 燥 条 件 は 乾 燥速度およびアミロク゛ラム特性値・ク゛ルテン含量等から考察すると小麦温度の最高温度を40〜 50℃ に 調 整 す る こ と が 適 切 で あ る と し て い る 。 半 乾 貯 留 可 能 日 数 は 小 麦 の 水 分 , 温 度 お よ び 夾 雑 物 の 混 入 程 度 に よ っ て 異 な る が ,25℃ の 条 件 下 で は 水 分16%で14日 問 , 水 分19%で7日 間 で あ る こ と を 明 ら か に し て い る 。 二 次 乾 燥 ( 仕 上 げ 乾 燥 ) 条 件 は 小 麦 水 分 が 低 下 し て い る た め 一 次 乾 燥 に 比 較 し て 品 質 の 劣 化 が 生 じに くく ,乾 燥中 の小 麦温 度 の上限値は55℃であるとしている。

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  2) 穂 発 芽 粒 の 選 別 除 去 方 法 と し て 粒 厚 選 別 法 と 比 重 選 別 法 を 取 上 げ , 基 礎 実 験 と 幕 別 町 農 協 の 既 存 の 施 設に お け る調 査 を 実 施し た 。 その 結 果 ,穂 発 芽 は熟 度 が 進ん だ 粒 厚 の 大 き い 粒 に 多 く 生 じ, 粒 厚 選別 法 は 粒 厚の 大 き い健 全 粒 から 穂 発 芽粒 を 選 別除 去 す る 方 法 と し て 不 適 で あ ると 結 論 づけ て い る 。一 方 , 比重 選 別 法は 比 重 が減 少 し た穂 発 芽 粒 お よ ぴ 未 熟 粒 を 同 時 に高 精 度 に選 別 除 去 でき る こ とを 明 ら かに し た 。基 礎 実 験の 結 果 を用いてシミュレーションを行った結果,製麺用に適した高いアミロク゛ラム最高粘度値を示す高品質 な小麦を調製する選別条件を示した。

  3) 小 麦 の 共 同 乾 燥 調 製 施 設 に は 収 穫 期 前 半 に 高 水 分 小 麦 が 入 荷 し , 後 半 に 比 較 的 低 水 分 で は あ る が 大 量 の小 麦 が 入荷 し 施 設 に大 き な 負荷 を 与 えて い る 。幕 別 町 農協 の 施 設 を 想 定 し て , 施 設 の 規模 を 最 小限 に と ど めて 負 荷 に対 応 す るた め の 設計 指 針 と施 設 の 適 切 な 運 営 方 法 を 提 示 して い る 。荷 受 け 部 の設 計 に つい て は ,入 荷 す る小 麦 量 の確 率 密 度 分布はア ーラン分 布で近 似できる ことを 確かめ, これを 用いて荷 受け部お よび搬 送装置の 設 計 を 行 う こ と に よ っ て滞 荷 時 間を 減 少 で きる と し てい る 。 施設 の 運 営に つ い ては , 収 穫 期 前 半 は 高 水 分 小 麦 を通 風 装 置を 備 え た 簡易 凝 予 備乾 燥 装 置を 利 用 して 乾 燥 し, 乾 燥 機 へ の 負 荷 を 低 減 す る 方法 , 収 穫期 後 半 に 大量 に 荷 受け す る 小麦 に つ いて は , 基礎 実 験 の 結 果 を 考 慮 し て , 半 乾貯 留 ニ 段乾 燥 方 式 にお け る 一次 乾 燥 の終 了 時 の小 麦 水 分を 従 来 採 用 さ れ て い る16%か ら19%ま で 高 め る 方 法 を 提 案 し て い る 。 こ の 方 法 を 用 い る こと に よ っ て , 施 設 全 体 の 規 模を 縮 小 する こ と が 可能 で あ るこ と を 明ら か に した 。 さ らに , 比 重 選 別 機を 用 し ヽる こ と によ っ て ,実 需 者 が望 む 品 質基準 に合った 製品小 麦を出荷 するこ とが可能であることを示している。

   以上のように,本研究は高水分小麦の乾燥調製法について多くの新しい知見を提示 しており,学術的にも実用面でも高く評価される。

   よって審査員一同は,盧大新が博士(農学)の学位を受けるに十分な資格を有する

ものと認めた。

参照

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