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物理数学及び演習
I (2014年度 前期) 定期試験問題
2014年
8月
4日
以下で,表記
A~ = (Ax, Ay, Az)は、空間に固定した右手系の直交直線座標系
O-xyzに対するベクトル
A~の
x,y,z成分がそれぞれ
Ax,A
y,A
zであることを意味します.図の長さや角度は正確ではありません.単位は【5】以外は省 略してあります.
【1】直交直線座標系についての座標が次のように与えられた点
A∼Eがある:
A : (0,1,0), B : (1,2,2), C : (0,2,0), D : (0,0,2), E : (2,2,2). 1.
点
Aにある物体
Pを、点
Bに向かって大きさ
√6
の力
F~Bで引っ張り,点
Eに向けて大きさ
3の力
F~Eで引っ 張る.この物体
Pにさらに力
F~を加えると力がつりあって物体
Pが静止した.
F~を求めなさい.
2.
等速度運動をしている物体
Qが時刻
t= 0に点
Aを通過し,時刻
t= 2に点
Bを通過した.任意の時刻
tにお ける物体
Qの位置ベクトルを書き表しなさい.
3. 3
点
C, D, Eを含む平面を
Hとする。H の方程式を求めなさい.
4.
物体
Qが平面
Hを横切る時刻を求めなさい.
【2】
x軸を回転軸として,そのまわりに自由に回転できる円板がある。図に示す ように,円板の
~r1 =( 0,2,1
)
の位置に力
F~1 = (0,4,3 )
を加え,
~r2 = (0,−1, −1 )
の位置に力
F~2= (0,−5,−2 )
を加えた.この円板に働く原点 の回りの力のモーメントを求めなさい.また,この円板は
x軸のまわりに,
時計回りに回り始めるか,反時計回りに回り始めるか,あるいは静止したま まかを答えなさい.
x y
z
ᤨ⸘࿁ࠅ
ᤨ⸘࿁ࠅ
rr1
rr2
F2
r
F1
r
【3】質量
m= 1の物体が
x軸上を運動している.時刻
tに物体にはたらく力
(のx成分) は
Fx(t) = {
0 ; (t≤0
または
t≥3) 2 ; (0< t <3)である. 時刻
t= 0で物体は原点
x= 0を通過し、時刻
t= 0での速度
(のx成分) は
vx(0) = 7であった.
1.
時刻
t= 3での物体の速度
vx(3)と位置
x(3)を求めなさい.
2.
時刻
t= 6での物体の速度
vx(6)と位置
x(6)を求めなさい.
【4】時速
40 kmは秒速何
mか。小数点以下
1桁まで求めよ。
【5】点
Oを座標系の原点にとり,z 軸を鉛直上向きにとる.点
Oから
hの高さにある点
Aから,
質量
mのボールを、初速度の大きさ
v0で水平面と
θ= π6
の角度に投げる.ただし、重力加 速度の大きさを
gとし、空気抵抗は無視する。x 軸は水平にとり,ボールは
x-z平面内を運動 するとする.
1.
投げた後、(地面に落ちるまでの) 時刻
tにおけるボールの位置を求めよ。
2.
ボールが地面に落ちる時刻と、落下点の位置を求めよ。
【6】
x軸上で原点を中心に単振動を行う物体
Pを考える.時刻
t = 0で物体
Pは原点を通過し、
その後、初めて原点を通過した時刻は
t= 4であった。時刻
t= 1の物体
Pの座標
(x座標) は
x(1) = 2√2
であった。この物体の任意の時刻
tでの
x座標
x(t)を求めなさい.
O x
h
A
物理数学及び演習I (2014年度 前期) 定期試験 略解
【1】 1. −→
AB = (1,1,2),−→
AE = (2,1,2)より F~B=
√6
|−→
AB|
−→AB = (1,1,2), F~E= 3
|−→
AE|
−→AE = (2,1,2) (1)
となる.力がつりあっているので
F~B+F~E+F~ =~0 (2)
より
F~ =−F~B−E~E= (−3,−2,−4). (3) 2. 物体Qの位置ベクトルを~rQ(t)とすると,問題の条件より以下を得る
~rQ(t) =−→
OA + t 2
“−→
OB−−→
OA
”
=
“t 2, t
2+ 1, t
”
, (4)
ただしOは座標系の原点を表す.
3. 3点C, D, Eを含む平面と直交するベクトルは−→
CD×−→
CE =−4(1,−1,−1)となるので,平面Hを表す方程式は 0 = (x , y−2, z)·(1,−1,−1) =x−y−z+ 2 (5) となる.
4. 物体Qが平面Hを横切る時刻をt=t1 とすると
0 =xQ(t1)−yQ(t1)−zQ(t1) + 2 =t1
2 −t1
2 −1−t1+ 2 = 1−t1 (6) よりt1= 1となる.
【2】 原点の回りの力のモーメントN~ は
N~ =~r1×F~1+~r2×F~2= (2,0,0) + (−3,0,0) = (−1,0,0) (7) となる.N~ はx軸の負の向きを向いているので,円板はx軸の回りに 時計回り に回転を始める.
【3】 物体の加速度のx成分はax(t) =Fx(t)/mとなる.
1. 0< t≤3で
vx(t) =vx(0) + Z t
0
ax(t0)dt0= 7 + Z t
0
2dt0= 7 + 2t , 0< t≤3. (8) また,
x(t) =x(0) + Z t
0
vx(t0)dt0= 0 + Z t
0
(7 + 2t0)dt0=ˆ
7t0+ (t0)2˜t0=t
t0=0= 7t+t2, 0< t≤3. (9) 従って
vx(3) = 13, x(3) = 30. (10)
2. 3< tでは
vx(t) = vx(3) + Z t
3
ax(t0)dt0=vx(3) + Z t
3
0dt0=vx(3) = 13, 3< t . (11) また,
x(t) =x(3) + Z t
3
vx(t0)dt0=x(3) + Z t
3
13dt0= 30 +ˆ 13t0˜t0=t
t0=3= 30 + 13(t−3) = 13t−9, 0< t≤3. (12) 従って
vx(6) = 13, x(6) = 69. (13)
【4】 1h = 60 min. = 60×60 sなので
40 km/h = 40×103
60×60 m/s =100
9 m/s = 11.1 m/s. (14)
【6】 時刻t= 0にボールを投げるする。
1. ボールの位置は地面に衝突するまでは x(t) =v0cos(θ)t=
√3
2 v0 t , z(t) =h+v0sin(θ)t−g
2 t2=h+v0
2 t−g
2 t2 (15)
と表される.
2. ボールが地面に落下する時刻をt=t1 とすると,
0 =z(t1) =h+v0
2 t1−g
2 t21=−g 2
„ t21−v0
gt1
«
+h=−g 2
„ t1−v0
2g
«2
+v20
8g+h (16)
より,
t1=v0±p
v20+ 8gh
2g (17)
となるが,t1>0なので,ボールが地面に落ちる時刻は t1=v0+p
v20+ 8gh
2g (18)
となる。また,落下点の位置は x(t1) =
√3 2 v0 t1=
√3v0(v0+p
v20+ 8gh)
4g , z(t1) = 0 (19)
となる.
【6】
x(t) =Acos (ωt) +Bsin (ωt) (20)
とおいて,条件よりA, B, ωを決める.
0 =x(0) =A (21)
より
x(t) =Bsin (ωt). (22)
t>0で初めて原点を通過する時刻をt1 とすると
ωt1=π . (23)
一方,t1= 4なので,ω=π/4となる.次に x(1) =Bsin
“π 4
”
= B
√2= 2√
2, ⇒ B= 4. (24)
これより
x(t) = 4 sin
“π 4t
”
(25) が得られる。