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衝撃波管を用いた内耳爆傷マウスモデルの開発検討

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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨

1 申 請 者

防衛医科大学校 木村 栄子

2 論文題目

衝撃波管を用いた内耳爆傷マウスモデルの開発検討

3 論文の内容の要旨(博士:2,000字程度)

(1) 目的

内耳爆傷は爆傷の中でも最も頻度の多い後遺症であり、難聴や耳鳴など の後遺症が大きな問題となっている。我々は先行研究で内耳特異的衝撃 波曝露モデルである Laser-induced shock wave (LISW) モデルにより、内 耳 爆 傷 の 耳 鳴 は 内 耳 有 毛 細 胞 の 求 心 性 神 経 終 末 の 障 害 で あ る

「synaptopathy」が関連することを明らかにした。一方、圧縮空気を用い て衝撃波を発生させる衝撃波管は爆傷の代表的疑似モデルであるが中耳 経由の衝撃波曝露により高率に鼓膜穿孔が生じて内耳特異的評価が難し く、エネルギー調整の難しさから有毛細胞の減少も高率に発生すること が問題であった。本研究の目的は衝撃波管を用いて鼓膜損傷や有毛細胞 減少のないマウスモデルを作成し、正確な synaptopathy の評価を実現す ることで内耳爆傷の治療研究に応用可能なマウスモデルを作成すること である。

(2) 対象並びに方法

本研究の衝撃波管群の陰性対照群を衝撃波曝露のないControl群とし、陽性対 照群を内耳特異的曝露であるLISW群に分けて対照研究を行った。本研究には 小型の衝撃波管を使用し、最大圧を25 kPaに設定した軽度爆傷モデルを作成 した。対照群であるLISWはQ-YAG レーザーをレーザーターゲットに照射す ることで発生する衝撃波で、レーザー出力を2.0 J/cm2に設定した。衝撃波曝 露前、曝露1、7、14、28 日後に鼓膜所見を細径内視鏡で確認し、電気生理学 的検査である聴性脳幹反応 (Auditory brainstem response; ABR)の閾値にて聴力 閾値を評価し、ABR I波の振幅にて内耳の求心性神経の活動電位を評価し、歪 成分耳音響放射 (Distortion product otoacoustic emissions: DPOAE)の閾値にて外 有毛細胞機能評価を実施した。28 日後に解剖を行い、組織学的には内外有毛 細胞および有毛細胞求心性神経終末のシナプスリボン、シナプス後受容体、

らせん神経節、外有毛細胞の聴毛について評価を行った。

(3) 成績

ABR の閾値は衝撃波曝露1日後に著明に低下するも7 日後以降は回復し、28

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日後には低周波数優位に軽度難聴が残存する傾向にあった。ABR の I 波の振 幅は衝撃波管群では全周波数に有意に低下を認め、回復傾向に乏しく28日後 においても 8.0 kHz 以外の全周波数で有意な低下が残存した。また、DPOAE は衝撃波管群では低下を認めなかった。陽性対照群のLISW群では同様の変化 が高周波数帯で認められた。組織学的検討において衝撃波管群では LISW 群 と同様に有毛細胞の減少とらせん神経節の減少を認めず、求心性神経終末の シナプスリボンの減少とorphan ribbonの出現を認め、synaptopathyが観察可能 であった。Synaptopathyは衝撃波管群で全周波数に、LISW群で高周波数優位 に変性が観察され、ABR I 波の振幅低下を認めた周波数帯と一致した。外有 毛細胞の聴毛障害も観察され、衝撃波管群では低周波数優位に、LISW群では 高周波優位に障害が観察された。

(4) 考察

本実験の衝撃波管モデルは爆風の曝露を軽減し、衝撃波の曝露時間が短縮さ れたモデルであるために鼓膜穿孔が生じなかったと考えられた。また、本モ デルは衝撃波の単回曝露であるため複数回曝露である他研究の衝撃波管モデ ルに比べて実際の爆傷の状況に近似したモデルであり、さらに有毛細胞減少 を認めず他研究のモデルよりも再現性の高い snaptopathy モデルが作成可能で あった。有毛細胞やらせん神経節の脱落を認めない本モデルでは内耳の求心 性神経の活動電位を示すABR I 波振幅の減少がsynaptopathyの減少と関連し、

正確なsynaptopathyの生理学的評価が可能であった。また、外有毛細胞の聴毛

障害はABR の閾値上昇と関連しており、内耳爆傷の軽度難聴の原因となるこ とも明らかになった。

(5) 結論

本研究において鼓膜穿孔と有毛細胞減少のない衝撃波管マウスモデルが作成 可能であり、組織学的に再現性の高い synaptopathy を認めた。また、衝撃波 管で外有毛細胞の聴毛障害を認め、聴毛障害が内耳爆傷の聴力障害の原因と なることが判明した。本衝撃波管モデルは内耳爆傷の耳鳴の原因となる

synaptopathyに対する正確な評価が可能であり、今後の内耳爆傷後遺症の病態

解明や治療法開発において有用なモデルになり得ると考えられた。

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