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I 第一次大戦後の信用状取引の混乱 1.イギリスの隆盛期

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(1)

信用状に基づく輸出荷為替手形の買取りについて

信用状に基づく

輸出荷為替手形の買取りについて

福島昌則

目      次

序に代えて

1.第一次大戦後の信用状取引の混乱 2.信用状統一規則の制定

3.書類の信用状条件一致 4.信用状受益者の留意事項 5.問題点と解決策

おわりに

序 に 代 え て

最近,全国銀行協会連合会において,「外国向為替手形取引約定書ひな型」

が制定された。本約定書ひな型の検討は昭和39年5月から東京為替全(旧甲 種外国為替公認銀行で構成)で開始され,昭和49年9月から全国銀行協会連 合会に引継がれて足かけ20年の検討を経て漸くひな型制定に漕付けたもので ある。

(1)

本論においては,この約定書ひな型制定の機会をとらえ,信用状取引にお ける輸出荷為替取引に焦点をしぼり,信用状統一規則の成長過程とその変遷 をさぐり,問題点を指摘のうえ今後の展望を試みることとする。

I 第一次大戦後の信用状取引の混乱 1.イギリスの隆盛期

19世紀はじめのナポレオン戦争の結果、世界金融の中心地であったアムス

(2)

経営と ~X:

i 丙 テルダムはその地位をロンドンに奪われるに至った。当時のイギリスは産業 革命により急増した工業生産物の版路を広く海外に求めることとなり,イギ リス商人の海外雄飛時代を迎えることとなった。同時にイギリス商人の中に は苔結した資本の投資対象のーっとして商業信用状に基いて振出された手形 に注目する者が出てここに手形引受業者であるところのマーチャント・バンカ ー ( m e r c h a n tb a n k e r ) が誕生し手形引受業務が発展することとなった。

(~)

これらの業者の子によって,旧未使用されてきた旧式の信用状(旅行信用 状的なもの)が逐次改正されて現今の商業信用状に発展せしめられることと なり, 1 9 世紀半ばに至ってポンド為替 ( s t e r l i n gb i l l ) が国際通貨の地位を確 保するとともに信用状に基く手形引受業務も発展し,ロンドン金融市場ひい てはイギリスの隆盛期を迎えることとなった。

2 .   アメリカの興隆

1 9 1 4 年第一次大戦勃発とともに従来イギリス,フランス, ドイツを通じて 物資を得ていた諸国は, ヨーロッノぐからの供給の道を失い,これをアメリカ に求めることとなった。同時にイギリス,フランス. ドイツの主要交戦国も アメリカからの供給を求めることとなり,ここにおいてアメリカは世界の中 心市場として華々しく登場することとなる。しかしながらアメリカの売手と しては,国外の買手の信用状態も不明であり,世界情勢は刻々と変化し,か っ為替相場の変動によるリスクも増大するといっ状況の下において,輸出商 品がアメリカの港を出るまでに米ドルにより代金を回収する方途を希望する ことは当然であった。この希望を満たす手段として脚光を浴びたのがアメリ カ国内で漸く一部に用いられはじめていた商業信用状であった。

商業信用状の利用が急、増したが,輸出業者はこの # j l J 皮を十分に理解するい とまもなく,銀行もこのような外国貿易業務にうとしそのため契約内容の 不備,書式の不完全等により極々の紛争が生起し裁判所を賑わすこととなっ

た。しかるに裁判所自体これを判断するに足る法律知識の4í~備がないという

のが当時の状況であった。

とはいいながら戦争の激化に伴なってアメリカ産物に対する需要は増大し,

そのために物価は高騰の一途を辿ったため買主側が売買契約を解除すること

(3)

信用状に基づく輸出荷為祥子形の買取りについて 3  (3) 

もなく信用状取引は紛争の種を蒔きながらも一応順調に行なわれていた。

第一次大戦の期間(1 914 年 7 月‑1918 年1 2 月) 4 年 6 か月のアメリカの商 品輸出は 2 2 , 974 百万ドノレに達しているが年平均 5 , 1 0 3 百万ドルである

O

大戦 前の 1 8 年 6 か月間(1 896 年 ‑1914 年 6 月)の商品輸出は 3 2 , 1 2 8 百万ドルで年 平均 1 , 736 百万ドルでありこれに対し一挙に 3 倍に達している。大戦中の年 平均 5 , 1 0 3 百万ドルといっ輸出額は第一次大戦後の 1 9 3 0 年の3 , 9 2 9 百万ドル,

( 4 )   1 9 4 0 年の 4 , 1 2 4 百万ドルに比較しでも莫大な輸出額と云えるであろう。

3 .   第一次大戦後の信用状取引の混乱

平和到来とともに戦時中に高騰した物価は下落しはじめ輸入業者は損失軽 減のために,売買契約の破棄等を目論み,或は信用状取引において些細な書 類上の不備をもって支払を拒む等の挙に出て紛争が表面化しアメリカの裁判 所は多忙を極めるに至った。

争訟を裁く裁判所においては,恰好の先例に恵まれずやむなく旅行信用状 の理論でもって対処せざるを得ず当初は現実離れの判決が行なわれたが,そ の後の努力によって漸く商業信用状関係の原則を習得するに至った。この混乱 の過程において,外国貿易関係各社(貿易会社,船会社,保険会社,銀行等) から商業信用状の統ーを要望する声が高まり, 1 9 2 0 年初頭に組織された銀行商 業信用会議 (TheB a n k e r ' s  Commercial C r e d i t  C o n f e r e n c e ) によって信用 状の統一的な取扱いならびに用語の解釈を定めた R e g u l a t i o n sA f f e c t i n g  E x ‑

(5) 

p o r t  Commercial C r e d i t s " が採用されるに至り或程度の統一化に成功した。

2. 信用状統一規則の制定

前述したアメリカの商業信用状統一運動と同時併行的に, ドイツ,フラン ス,イタリー,スエーデン,オーストリー, ノルウエー,チェコスロパキヤ,

オラン夕、,ダンチッヒの各国においてもそれぞれの統一運動が推進されていた。

しかしながら国際間の貿易取引に使用される商業信用状のような制度につ いては,条国別の統ーでは実際取引而において支障を生ずることは明らかで あり,国際的統一を要望する戸が各関係業界から高まってきた。

この段階で国際商業会議所が統一事業に来出すこととなった。即ち 1 9 2 6 年

(4)

経 営 と 帝 王

i

3 月 5日にアメリカ委員が提出した信用状規則の統一に関する勧告案の審議 を開始し,同年 1 0 月2 0 日に手形及び小切手に関する法規の統一に関する常設 委員会に対して商業信用状の統一研究を委託した。この委員会によって任命 された起草委員は統一草案を作成して, 1 9 2 7 年 2 月 7日 8日に常設委員会 会議に提出,審議ののち各国代表委貝に草案を渡し各自国の銀行協会に諮問 の上意見を回答するょっ要請した。各国からの回答を参考にして改善平案を 作成しこの草案は 1 9 2 9 年 7 月に開催されたアムステルダム会議で採択され,

1 9 3 0 年 4月 1日から効力を有すると定められた。国際商業会議所が乗出して から約 4 年間を賀したこととなる。

ところがこの規則が発効する前に, ドイツ委員から同国中央銀行協会の名 の下に別個の統一規則案を提出しこれの研究を希望する旨の申し出があり,

会議所は 1 9 3 1 年 3 月にワシントンで開催された会議に上程した。この会議に おいて「商業信用状のための銀行委員会」を組織し,同委員会に新たに信用 状統一規則の起案を委嘱した。同委貝会は銀行意見のみならず貿易業者,製 造業者等の意見を手広く蒐め鋭意草案作成に努力し 1 9 3 3 年初頭に至り漸くこ れを完成した。

これが「商業荷為替信用状に関する統一規則および慣例 J ( U n i f o r m   C u s ‑ toms and P r a c t i c e  f o r  Commercial Documentary C r e d i t s ) と題され 1 9 3 3 年 6 月 3日に国際商業会議所ウィーン会議で採択されるに至った。ここにお

(G) 

いて 1 9 2 6 年以来の国際商業会議所の努力が結実したわけである。

こののち,戦後の 1 9 5 1 年 6 月にリスボンにおいて開催された国際商業会議 所第1 3 回総会で第一次の改訂が行なわれた。

次いて; ' 1 9 6 3 年 4月のメキシコ総会において第 2 次改訂案が採択され同年 7 月 1日から実施された。この第 2 次改訂において,それまで加盟(採択)し ていなかったイギリスおよび、イギリス系の銀行が採択することとなり,ここ において統一規則が漸く世界的な規範になったことは特筆されなければなら ない。

さらに 1 9 7 4 年 1 2 月の理事会において第 3 次改訂の 1 9 7 4 年統一規則案が承認

され, 1 9 7 5 年 1 0 月 1日から実施された。この第 3 次改訂はコンテナ輸送の急

(5)

信用状に基づく輸出荷為答手形の買取りについて

j

敢な発展と複合運送書類の利用が一般化したために採られた拍=置であり現行 の統一規則でもある。

本規則を採択している銀行が発行する信用状には次の文言が挿入されるこ ととなっている。

S u b j e c t  t o   Uniform Customs and P r a c t i c e  f o r  Documentary C r e d i t s   ( 1 9 7 4   R e v i s i o n ) ,  I n t e r n a t i o n a l  Chamber o f   Commerce  P u b l i c a t i o n   No. 

(i) 

2 9 0 . "  

なお, 1 9 7 7 年 1 月 2 5 日現在, 1 9 7 4 年改訂規制の採択状況は, 1 3 7 の 固 と 属

(8) 一

領地となっている。いすれにせよ本信用状統一規則は現在におけるもっとも 権威ある国際的な信用状統一規範であることは疑いないところである。

3. 書類の信用状条件一致

ここでいう書類 ( D o c u m e n t s ) とは,いわゆる船積書類 ( S h i p p i n g Docu‑

m e n t s ) のことでありその内容は次のとおりである。 (C1  F 契約仮定) ( 1 )   絶対に必要なもの

① 商 業 送 り 状 ( C o m m e r c i a lI n v o i c e )  

②  船荷証券 ( B i l lo f  L a d i n g )  

③  保険証券 ( I n s u r a n c eP o l i c y )   ( 2 )   通常添付されるもの

①  容積重量明細書 (Measurementand Weight L i s t )  

②  包装明細書 ( P a c k i n gL i s t )   ( 3 )   特定国向に必要なもの

①  税関用送り状 ( C u s t o m sI n v o i c e )  

②  領事証明付送り状 ( C o n s u l a rI n v o i c e )  

③  原産地証明書 ( C e r t i f i c a t eo f  O r i g i n )   ( 4 )   特殊商品に必要なもの

①  検査証明書 ( I n s p e c t i o nC e r t i f i c a t e )  

(9) 

②  衛生証明書 ( C e r t i f i c a t eo f  H e a l t h )  

これらの書類は , r : ; j 為祥子形に添付されることから付属船秘書知と呼ばれ

(6)

6  経 営 と 経

j汽

ることもあるが,いずれにせよ信用状条件として必要書類およびその通数が 明記されてくる。信用状の受益者 ( B e n e f i c i a r y : 通常輸出業者)は信用状条 件に合致した書類即ちドキュメントを作成して自己の取引銀行に買取 (Ne‑

g o t i a t i o n ) を依頼する。買取を依頼された銀行は荷為替手形および、ドキュメ ントを信用状原本と厳密に照査して条件不一致 ( D i s c r e p a n c y ) がないことを 確認したうえで,手形金額が外貨建の場合は当日の為替相場で邦貨に換算し た代り金を輸出業者に支払つこととなる。為替予約を結んでいる場合は予約 した為替相場で換算する。輸出荷為替手形の買取とは,このような為替銀行 の事務手順を包括して呼ばれる用語であるが,買取依頼を行なう前に,輸出 業者は「銀行取引約定書

J

と「外国向為替手形取引約定書」を銀行に提出し ており,これが輸出取引の基本約定を形成している。

最近発表された「外国向為替手形取引約定書ひな型」において信用状条件 との関係につき第 5 条に次のとおり規定している。

「 第 5 条(外国向為替手形および付属書類の真正等)

私が賞行に提出する外国向為替手形および付属書類は,正確,真正かつ有 効であり,信用状っき取引の場合は信用状条件と一致していることを保障し ます。これを前提として取り扱ったことにより,万一損害が生じた場合には 私が負担します。」

さらに買取後に信用状条件不一致が判明する場合に備えて次の規定がおか れている。

「 第 20 条(保証状)

信用状っき外国向為替手形に関して,信用状条件との不一致等により貴行 または為替取引先等が必要と認めた場合には,私への事前の通知を省略して 信用状発行銀行,補償銀行等に保証状を差し入れることができます。この場 合に生じた損害は,私の負担とします。」

この条文の次に信用状統一規則との関連を次のとおり規定している。

「 第2 1 条(信用状統一規則等)

(7)

信用状に基づ、く輸出荷為替手形の買取りについて

この約定に定めのない事項については,国際商業会議所制定の「荷為替信 用状に関する統一規則および、慣例」および「取立統一規則」の定めに従って 取扱われることに同意します。なお,国際的な統一規則等が将来制定された

(]O) 

場合には,それらの諸規則についても同様とします

d

現行信用状統一規則においては信用状条件の遵守義務についてまず総則 ( b ) 項に荷為替信用状の定義を規定して荷為替信用状取引なるものは信用状条件 が充足されていることが大前提であるとしている。 ( b ) 項の全文は次のとおり である。

r  ( b )   For t h e  p u r p o s e s  o f  s u c h   p r o v i s i o n s ,  d e f i n i t i o n s   and  a r t i c l e s   t h e  e x p r s s i o n s documentary c r e d i t   ( s ) "   and  c r e d i t   ( s ) "   u s e d   t h e r e i n   mean any arrangement ,  however named o r  d e s c r i b e d ,  whereby a bank  ( t h e  i s s u i n g  bank) ,  a c t i n g  a t   t h e   r e q u e s t   and  i n   a c c o r d a n c e   w i t h   t h e   i n s t r u c t i o n s  o f  a c u s t o m e r  ( t h e   a p p l i c a n t  f o r  t h e  c r e d i t ) , 

i )   i s   t o   make payment t o   o r  t o   t h e  o r d e r  o f  a  t h i r d   p a r t y  ( t h e  b e ‑ n e f i c i a r y ) ,  o r   i s   t o   pay ,  a c c e p t  o r  n e g o t i a t e  b i l l s  o f  exchange ( d r a f t s )   drawn by t h e  b e n e f i c i a r y ,  o r  

i i )   a u t h o r i s e s  s u c h  payments t o   be made o r   s u c h  d r a f t s  t o   be p a i d ,  a c c e p t e d  o r  n e g o t i a t e d  by a n o t h e r  bank , 

a g a i n s t  s t i p u l a t e d  documents ,  p r o v i d e d  t h a t  t h e  t e r m s  and c o n d i t i o n s  o f   t h e  c r e d i t  a r e  c o m p l i e d  w i t h .

「邦訳

( b ) ここでいう規定,定義および、各条文に使用されているホ荷為替信用状

η

ならびにホ信用状

η

といっ用語は, どのよつな名稀または表現が用いられて いても,顧客(信用状発行依頼人)の依頼によりかっその指図にしたがって 行動する銀行(発行銀行)が,信用状条件が充足されていることを条件とし て,明記されている主知と引換えにつぎのことを行なう取決めを意味する。

i )   )第三者(受益者)もしくはその指図人に対して支払を行ない,あるい

は受益者の振出したゐ f F 手形 ( b i l l so f   exchange ,  d r a f t s ) の支払,ヲ│受

(8)

8  * J :  

rF~. と経 ìi守

もしくは買取を行なうこと,または

i i )   そのような支払あるいは為替手形の支払,引受もしくは買取を他行に

(]]) 

投権すること

d

次に同規則第 7 条は書類の信用状条件一致についての銀行の照査義務につ いて規定している。全文をかかげておく。

r  ARTICLE 7 

Banks must examine a l l   documents w i t h   r e a s o n a b l e   c a r e   t o  a s c e r ‑ t a i n   t h a t  t h e y  a p p e a r e  on t h e i r  f a c e  t o  be i n  a c c o r d a n e  w i t h  t h e   t e r m s   and c o n d i t i o n s  o f   t h e   c r e d i t .   Documents which a p p e a r  on t h e i r   f a c e   t o  be i n c o n s i s t e n t  w i t h  o n e  a n o t h e r  w i l l  be c o n s i d e r e d  a s  n o t   a p p e a r i n g   on t h e i r  f a c e  t o   be i n   a c c o r d a n c e  w i t h  t h e  t e r m s  and c o n d i t i o n s  o f  t h e   c r e d i t . J 

「邦訳 第 7 条

銀行は,相応の注意をもってすべての書類を点検し,それが信用状条件と 表面上一致しているとみられるかどっかを確かめなければならない。文面上 相互に矛盾しているとみられる書類は,信用状条件と文面上一致していない

( 12) 

ものとみなされるり

前持統一規則総則 ( b ) 項の信用状条件遵守義務を負うべき者の第一は,発行 銀行に対する関係では受益者(通常輸出業者・売主)であり,またその権利 を譲り受けた善意の手形ないし書類の所持人である。伊淳氏は次のように述 べている。

「発行銀行と売主との聞の法律関係の内容を決定するにあたり, もっとも

重要なる典拠となるものは,信用状中に定められた文言である。売主が銀行

に対して信用状給付を請求するに際しては,まずその前提条件として信用状

に定むる条件を,厳格に履践することを要する。しこうして信用状に定むる

条件の意義如何は,その文言を正当に解釈することによって明らかにせられ

(9)

信用状に基づく輸出荷為替手形の買取りについて

る。これ信用状文言の解釈に関する原則を,明らかにすることを要する所以 である

d

と述べておられ,次いで「売主はこの文言を厳正に解釈して,発行 銀行の要求する条件を履践せねばならぬ。」と受益者に信用状条件を厳格に遵 守する義務があることを指摘しておられる。

さらに具体例を次のように引用しておられる。

I nS o u t h  A f r i c a n  R e s e r v e  Bank V .  Samuel  ( 1 9 3 1 ) ,  39L I .   L .   R e p .  8 7 ,  a t  p .   9 3 において, R o w l a t t 判事は云っている。「信用状の意味するところが 何であるかと云うことが,正確にわかったなら,その信用状利用者は,その文 言を字義どおりに遵守すべき義務があるのであって,次のごとくに主張する自 由を有しない。即ち〔どうせ結局においては同一になるのではないか〕とか〔余 はかくかくの意味だとも考え得たのであり,もし余が貴殿に対し,そのことを最

、(13)

初に訊していたなら貴殿は反対しなかったであろう。〕などとは主張し得ない』と:

前掲統一規則第 7 条は,これまでに述べた信用状条件遵守義務を受けて銀 行の照査義務について規定したものである。 1 9 7 4 年改訂で特徴的なことは,

書類相互間に矛盾がある場合は,これを条件不一致とみなすこととなったこ とである。したがって受益者の立場としては,各書類を作成するときに,そ れぞれ信用状条件にしたがって作成することに加えて全ての書類問に矛盾が ないことを確認する必要が生じていることに留意すべきである。

4. 信用状受益者の留意事項

前述のとおり,書類(ドキュメンツ)の信用状条件一致は,信用状取引に おける重要な基本事項であるが,本節で、は一般的に信用状受益者で、あるとこ ろの輸出業者の立場に立って, ドキュメント作成時の留意事項についてや冶 詳しく見て行くこととする。

( 1 )   為替手形

まず手形法上の必要記故事項を満たすことが大前提である。そのうえで 信用状との関連での留意項目は次のとおりである。

①  手 l f 3 の Tenor( a t   s i g h t   o r   3 0   d a y s  a f t e r  s i g h t  e t c ) が信用状のそ

れと一致すること。

(10)

1 0  

経 営 と 位

i l i

②  手形金額のアラビア数字と文字記載が相違しないこと。

③  手形金額が信用状指定の通貨であること。

④  手形金額が商業送り状 (CommercialI n v o i c e ) の金額に一致し信用 状の残高内であること。

⑤  手形に記載する信用状発行銀行名および信用状番号ならびに発行日 が信用j ーた記載のとおりであること。

⑥  手形の振出人が受益者名でかつ岩名がなされること。

⑦  手形の支払人が信用状記

I

械のとおりであること。

⑧  利息文言等は信用状どおりのものであること。

⑨  組手形の場合は複本番号と破段文句が記入されていること。

⑪  収入印紙を第一券に貼付のこと。

( 2 )   商業送り状 (CommercialI n v o i c e )  

①  原則として宛先が信用状発行依頼人であること。(伝用状統一規則 則第 32 条 a 項参照)

②  作成日付,売買契約書番号を記載すること。

③  商品名,単価,数量,荷印等信用状記載どおりであること

o

(信用 状統一規則第 32 条 C 項 ) 。

④  金額計算に相違がないこと。

⑤  合計金額が原則として手形金額と一致していること。

⑥  積載船名,船積日,船積地,陸揚地,経由地,商品名,単価,数量,

金額等の記載事項が船荷証券,保険証券等他の船積書類の記載事項と,

矛盾がないこと。(信用状統一規則第 32 条 c r 頁参照) ( 3 )   船 荷証 券 ( B i l lo f   L a d i n g )  

①  国際海上物品運送法第 7 条に定める法定記載事項が完全に記載され ていること。

②  発行者は一流船会社であることが望ましい。その代理人でも認めら れる。発行者の署名が必要で、ある。

③  訂正箇所には訂正署名が必要で、ある。

④  通常 3 通発行されるから 3 通が揃って提出できること。

(11)

信用状に基づく輸出荷為祥子形の買取りについて

11 

⑤  C l e a n  B/L  (無故障船荷証券)であること。 F o u lB/L  (故障付船 荷証券)であってはならない。(信用状統一規則第 1 8 条参照)

⑥  Through B  /L  (通し船荷証券) , T r a n s h i p m e n t  B/L  (積替船荷証 券)は,信用状で禁じられていないことが必要で、ある。(信用状統一 規則第 1 9 条,第 2 1 条参照)

⑦  P a r t i a l  Shipment  (分割船積)は信用状に禁止の記載がなければ 認められる。

⑧  定められた期間内において S h i p m e n t by  l n s t a l m e n t s   (分割船積) が信用状で指定されている場合にいずれか 1 回でも船積が行なわれな かったときはその部分を含め以後の分については無効となるから注意

を要する。(信用状統一規則第 36 条参照)

⑨  同一船舶の同一航海における複数港において数回にわけで船主切

f

行 なわれた場合は,分割船積とはみなされない。(信用状統一規則第35 条 b項参照)

⑪  On Deck Cargo B/L  (甲板積船荷証券)は避けるべきである。た だし信用状が認めている場合はこの限りではない。(信用状統一規則 第 2 2 条参照)

⑪  S h o r t  form B/L  (運送条件の一部または全部の記載を省略し他資 料参照とした形式の船荷証券)は信用状に禁止等の明示がない限り受 理し得る。(信用状統一規則第 1 9 条 b 項参照)

⑫  運賃の表示が矛盾がないこと。

F .   O .   B . 契約の場合は F r e i g h tC o l l e c t " ,  C  &  F .   C .   1 .   F . 契 約 の 場合は F r e i g h tP r e p a i d " という表示でなければならない。(信用状 統一規則第1 6 条参照)

⑬ S h i p p e d  B/L ,  On Board B/L であること。

これは現実に船積されたことの表示である。(信用状統一規則第 20 条参照)したがって R e c e i v e dB/L  (受取船荷証券)で On Board  の表示がないものは回避すべきである。

⑪ 

発行日が信用状の船干m~l 限内であり,かっ書類呈示 ml 間内であるこ

(12)

1 2  

経 営 と 経 済

と。日付が古い場合は S t a l eB/L として買取って貰えない場合があ る。書類呈示期間が指定されていない場合は発行日後 2 1 日が呈示期間

とされる, (信用状統一規則第 4 1 条参照)

⑬  貨物の記載は通常の用語でも差支えないが信用状面の記述と矛盾し ないこと。(信用状統一規則第 32 条

C

項参照)でき得れば信用状記載 どおりの表現が望ましい。

⑬  譲渡方式は荷送人の指図式 ( O r d e ro f  S h i p p e r ) でその裏書が必要 である。但し信用状に異なる指示がある場合はその指示によること。

( 4 )   保険証券 ( I n s u r a n c eP o l i c y )  

①  付保金額は通常C. I .   F . 価額の 10% 増である。

②  カバーするリスクは,信用状に要求されているとおり付保すること。

③  表示通貨は信用状表示のものと同一で、あること。(信用状統一規則 第 28 条 a 項参照)

④  日付は船荷証券の日付以後であってはならない。万一以後の日付の 場合は積出日からカバーしている旨を保険証券面で立証しておく必要 がある。(信用状統一規則第2 7 条参照)

⑤  保険区間が運送の全行程をカバーしていること。

⑥  被保険者は荷送人でかっその白地裏書が必要で、ある。

⑦  法定記載要件を充たすこと。(商法第 649 条,第 823 条参照)

⑧  もっとも大切なことは信用ある保険会社の発行したものであること である。発行者の署名は当然要求される。

⑨ I n s u r a n c e  C e r t i f i c a t e   (保険証明書)は回避すべきである。ただ し信用状がとくに許容している場合はこの限りではない

⑬  商品名,数量等は他の書類の記載と矛盾があってはならない。

( 5 )   その他の書類

その他の書類について,信用状統一規則第 33 条は次のように規定している。

「その他の書類,たとえば倉庫証券,荷渡指図書,領事送り状,原産地・

重量・品質・分析等の証明書が要求され,かつそれ以上の定めがないとき

は,銀行は,呈示されたとおりの書類を受理する

U

(13)

信用状に基づく輸出荷為替手形の買取りについて

1 3  

信用状では,通常それぞれの書類の発行者等を指定してくるが, もし指 定されていない場合はどうするかとの問題が生ずる。たとえば原産地証明 書が要求されて発行者が明示されていない場合に,輸出業者が作成した原 産地証明書で良いのかという疑問である。通常こういう場合は,商工会議 所発行の原産地証明書を添付することが行なわれている。また領事送り状 については,当該国領事館に制定書式が備えられているのが一般的である から同書式を使用するのが望ましい。重量証明書等も権威ある機関が発行し たものが無難で、ある。なお,その他の書類についても記載内容が他の船積 書類のそれと矛盾のないよう配慮を要することが必要で、ある。

5  .問題点と解決策

信用状統一規則の制定以来半世紀を経て,大戦間期間中に混乱していた信用 状取引も徐々にこの統一規則に則った方向で秩序ある取引の確立が行なわれ てきているが,なお問題点は多々存在しているのが実情である。

本節においてはその若干部分を摘出することとする。

( 1 )   書類相互間の矛盾

1 9 7 4 年信用状統一規則において,前掲のとおり第 7 条に書類相互間に矛 盾があれば条件不一致とみなされることとなった。このことは銀行の書類 調査義務を重くすることであるとともに買取依頼人である輸出業者は,従 来以上に書類相互間に矛盾を生ずることのないよう特段の注意を払う必要 が生じたこととなる。

ところで矛盾の有無の判断基準については統一規則にも 1C C 委員会の 記録にもなんら言及されていない。ということは銀行の判断によるという

ことであり,たとえ買取銀行が矛盾なしと判断して書類を発行銀行に送付 したとしても発行銀行が矛盾ありとして支払を拒絶する場合もおこり得る。

│ 日 規 f t l J ( 1 9 6 2 年信用状統一規則)においては,第3 1 条で呈示されたまま

の書類の受理が認められていたので,これを理由にして発行銀行の支払拒

絶に抗弁する方途もあったが, 1 9 7 4 年規則では抗弁の道が閉ざされたと云

える。したがって買取銀行としては書類相互間の矛盾について,より慎重

(14)

1 4  

経 営 と 経 済

に点検する必要が生じてきたわけである。

冒頭で述べた「外国向為替手形取引約定書ひな型 J は,かかる場合に備 えて特に 1 条を設けて買取銀行のリスク回避をはかっている。念のため再 録する。

「 第 5 条(外国向為替手形および付属書類の真正等)

私が貴行に提出する外国向為替手形および付属書類は,正確,真正かっ 有効で、あり信用状っき取引の場合は信用状条件と一致していることを保障 します。これを前提として取扱ったことにより,万一損害が生じた場合に は,私が負担します。 J

即ち終局的には,輸出業務が損害を負担することとなっている。したが って輸出業者は,信用状条件については細心の注意を払って書類作成に当 る必要があるが,信用状の指図が明確で、ない場合とか,あるいは些細な矛 盾とか通常の注意力では防ぎきれないケースの発生も十分想像されるとこ ろである

O

このようなケースの際は,発行銀行もしくは発行依頼人の良識 ある判断に俣たざるを得ないというのが現状である。

〔解決策)

輸出業者としては,信用状の指図が明確で、ない場合には,明確な指図を 要求して信用状の訂正通知を求めることが肝要で、ある。さらに些細な矛盾 についても万全の注意力をもってこれの発生防止につとめること,そのた めには書類作成にあたる社員にすぐれた能力の人材をあてるという配慮も 必要で、あろう。基本的に大切なことは,信用ある取引先を大切にし些細な 書類上のケアレスミスをたてにとり支払拒絶の挙に出るような輸入業者と の取引を回避することである。市況不冴ーを理由に商品引取りを拒否するた めに書類上のアラを採し出し,これを表向をの理由として支払拒絶に出る 輸入業者は古今束西を問わず跡をたたないが,信用と実績を積み重ねた輸 入業者はこのような挙に出ることはまずあり得ない。信用状統一規則に矛 盾の有無の判断基準をもちこむことは,今後もまず不可能と考えられるこ

とから輸出業者としては矛盾の排除に特段の努力を傾注すべきである

O

(15)

信用状に基づく輸出荷為替手形の買取りについて

1 5  

( 2 )   商業送り状の宛先

信用状統一規則に次の規定がある。

「 第32 条

( a )   信用状にほかに異なる明示のない限り,商業送り状は,信用状発行 依頼人宛に作成されなければならないサ

即ち信用状発行依頼人宛とは通常買主宛といつことである。これが 原則であるが,信用状にほかに異なる記載のない限りとして例外を想 定している。

たとえば次の例がこれに該当する

O

「送り状の名宛人は普通買主であり,信用状面に f o ra c c o u n t  o f "  

と明示されているが,時には第三者を記故すべきことが要求されてい る場合がある

O

たとえば I n v o i c es h o u l d  m e n t i o n . . . ・ . . . a sa c c o u n t e e "  

で,この場合には信用状而の a c c o u n t e e と I n v o i c e 面の a c c o u n t e e が相違する。信用状面に f o ra c c o u n t  o f   ( A )  by o r d e r  o f   ( B ) "   と いうように契約の当事者たち買主 ( B ) が ( A ) を名宛人としている場 合には,送り状の名宛人は ( A ) であるが byo r d e r  o f   ( B ) " と名宛

( 14) 

人 ( A ) の下に付記する

U

ただしこの場合においては,信用状回の by o r d e r  o f..."の文言は必ずしも買主を指すとは限らないという意見も ある

O

即ち,買主の委託により第三者が決済実務を担当する場合でこ の場・合の信用状而の表示は byo r d e r   o f ‑ ( I m p o r t e r ,  a p p l i c a n t )  and  f o r  a c c o u n t  o f   buye r . "  

〔解決策〕

このような混乱のもとは, l i i j i 0 の信用状統一規則第 32 条 ( a ) 項の規定で

あり,これを次のとおり改訂することにより il~乱を回避することが可能

であろう。

「商業送り状は,信用状発行依頼人 ( t h ea p p l i c a n t  f o r  t h e  c r d i t ) ま

( 15) 

たは勘定主 ( a c c o u n t e e ) 宛に作成されていなければならない。」

( 3 )  

r~~dl~ 付加山凶E券 (Foul

B/L) 

c .   I .   F . 取引において,デ己主は商業送り 1 : 九 保 険 証 券 と と も に , 無 故 障

(16)

1 6  

経 営 と 経 済

の流通可能船荷証券 ( c l e a nn e g o t i a b l e  b i l l   o f   l a d i n g ) を買主に提供する 義務がある。

輸出業者(売主)が,荷為替金融を受けるために,銀行に買取依頼を行 う場合には,銀行は無故障の船荷証券を要求する。この取引が信用状に基 くもので,信用状面に特段の記載がない限り故障付船荷証券では買取り要 請に応えては貰えない。

1 9 7 4 年信用状統一規則には次の定めがある。

「 第 1 8 条

( a )   無故障積出書類 ( c l e a ns h i p p i n g  d o c u m e n t s ) とは,物品および/

またはその包装に暇庇のある状態を明らかに示している付加条項また はただし書き ( n o t a t i o n ) のついていないものをいう。

( b )   銀行は、このような付加条項またはただし書きのついている積出書 類を拒絶する。ただし,信用状が当該条項またはただし書きを許容す る旨を明らかに示しているときは,このかぎりではない

d

船積時の実情としては,本船の一等航海士が貨物の状態,包装のあり さまをチェックして本船受取書 ( m a t e ' sr e c e i p t ) にさインをするが, この 場合に個数不足はもちろんであるが,包装状況不良,一部破損等があれ ばその旨をメイツ・レシートに付記 ( r e m a r k ) する。これはそのまま船 荷証券に転記されるので故障付船荷証券となる。

包装の一寸した破れで貨物自体にはなんら損傷がない場合でもレマー クがついた船荷証券は F o u lB/L であり銀行は買取りに応じてはくれ ない。

そこで,輸出業者は荷送人として船会社に対し,補償状 ( L e t t e ro f  I n ‑ d e m n i t y ) を差入れて,レマークをを付けない CleanB/L の 交 付 を 受

けるという慣行が行なわれている。荷送人が船会社(運送人)に差入れ る補償状の趣旨は,万一レマークを付された暇杭が原因となり,運送中 に貨物の損害が生じ,運送人が荷受人に損害を賠償したときは,荷送人 が責任を持ち運送人に賠償額を補償するというものである。

ところが, 1 9 5 7 年に Brown J  e n k i n s o n 事件

i

Brown  J  e n k i n s o n   & 

(17)

信用状に基づく輸出荷為替手形の買取りについて

1 7  

C o . ,  L t d .   V P e r c y  D a l t o n  ( L o n d o n )  L t d . ,  ( 1 9 5 7 )   2  L l o y d ' s  Rep 1  J 

判決が下り,包装・貨物の暇庇が明らかであるにもかかわらず,補償状 引換えに C l e a nB/L を発行した場合には,その補償状は無効で、あると され,船会社側が衝撃を受けるという事態になった。

当然のことながら船会社側は補償状引換えによる C l e a nB/L の発行 について再検討を行ない,このような C l e a nB/L の発行に慎重になっ たことは云うまでもない。

〔解決策〕

本判決のもととなった事例は,被告 P e r c yD a l t o n による 1 0 0 樽のオ レンジ・ジュースのロンドンからハンブルク、、への輸出であり,既に埠頭 におかれていたときに樽の多くは古いつえに,さらに若干もれていたと いうことである。航海中に相当のもれが生じ荷受人は船会社に損害賠償 を請求し,船会社は被告に補償を要求,これが拒絶されて系争事件とな

( 16) 

ったものである。

事例としては,補償状引換えに C l e a nB/L を発行するケースではな かったと思われるが,輸出業者としては,貨物・包装の完全性に意をそ そぎ,補償状差入れの場合でも貨物に損害が生ずるおそれのある状態で の船積みは行なわないという配慮、が必要で、ある。また船会社側としても,

補償状差入れによる C l e a nB/L の発行については,荷送人の信用状態,

従来の仕振り,破損の程度等について十分に検討したうえで C l e a nB jL  発行の可否を決断するという慎重さが望まれる。

お わ り に

輸出関係貿易実務は,市場調査にはじまり,取引先の選定,商談,契約,

輸出商品の製造・購入,輸出信用状の入手,船積,付保,輸出為替手形・付 属船積書類の作成,銀行への買取依頼,代り金受領をもって終了する。

信用状取引の発達によって,貿易取引は円滑・に行なわれるようになったが,

その過程においては,大戦間期間におけるょっに信用状文言の解釈等による

系争が多発し相当の混乱を生じた時期があったこと既述のとおりである。

(18)

1 8  

経 営 と 経 済

その経験と反省から 1 9 3 3 年 6月にはじめて信用状統一規則が採択され,信 用状取引の航法装置的存在となり,その後数次の改訂が行なわれ,今日に至

り,現行の 1 1 9 7 4 年統一規則」と稿されるものになっている。

また統一規則の採択国も 1 9 6 2 年の改訂時にイギリスが漸く採択し,はじめ て世界的ルールとしての地位を確立し爾来2 0 年を経過している。

第二次大戦後,通信・運送技術の飛躍的発展により,これに対処するため にほぼ1 0 年おきに統一規則の改訂が行なわれて来ており, 1 9 7 4 年改訂の現行 規則も再検討が行なわれ, 1 9 8 3 年 6 月2 1 日に 1.  C.  C.  (国際商業会議 所)理事会は「信用状統一規 R I J 1 9 8 3 年改訂」を採択し, 1 9 8 4 年 1 0 月 1日から の施行を決定した模様である。

1 1 9 8 3 年改訂」の主要動機は,複合運送の急速な進歩とコンビュータ導入 による銀行・貿易関係者の事務面の変化であるといわれている。改訂内容の 詳細は今後逐次発表され, 1 9 8 4 年 1 0 月 1 日の施行に間に合うよう広く P Rされ ることと思われるが,わが国全銀協の採択前の執筆現時点てすま細部不明のた めこれ以上の言及を差控えたい。

ともあれ冒頭で述べたわが国における「外国向為替手形取引約定書ひな型」

が2 0 年の歳月をかけて 1 9 8 3 年(昭和 5 8 年) 4 月1 3 日に全銀協から発表され,

同時期すなわち 1 9 8 3 年 6月2 1 日に「信用状統一規s.

1

J 1 983 年改訂」がI.c.c.

により採択され統一規則も世界的ルールとなってほぼ20 年を経過している。

いずれにせよ,内外ともに輸出関係を含む貿易ルールの基本事項が統一化 の実を結びつつあるという状況にさしかかっており,円滑な貿易取引の推進 に貢献するであろつことは疑いないところである。

輸出業務に携わる者としては 「外国向為替手形約定書ひな型」および I { 言用状統一規則 1 9 7 4 年改訂 J (現行), 1 信用状統一規則 1 9 8 3 年改訂 J ( 1 9 8 4   年 1 0 月 1日以降)の関係条項に十全なる注意をはらい,いやしくも D i s c r e p ‑ a n c y   (信用状条件不一致)による代り金受領不能という事態を惹起するこ

とのないよう, 日々研鎖に努めることにより,貿易取引の発展に貢献し,ひ いては地域社会,さらにはわが国の発展に寄与し得るものと思料する。

(終)

(19)

信用状に基づく輸出荷為替手形の買取りについて 1 9  

参考文献

( 1 )   松本貞夫「外国向為替手形取引約定書ひな型制定の経緯とその概要等について」手 形研究,経済法令研究会, 1 9 8 3 年 6 月号, p  1 1 。

( 2 )   金融制度研究会「イギリスの金融制度」日本評論社, 1 9 5 9 年

p

5 。 ( 3 )   伊津孝平「商業信用状論」有斐問, 1 9 5 3 年

p

2 0

( 4 )   篠原三代平「経済大国の盛衰」東洋経済, 1 9 8 2 年 ,

1 1 。 ( 5 )   伊津孝平「商業信用状論」有斐閣, 1 9 5 3 年 ,

2 8 。 ( 6 )   1  b i d .   p  3 0

( 7 )   東京銀行貿易課「貿易と信用状」実業之日本社, 1 9 8 1 年 ,

5 3 。

( 8 )  

小峯登

' 1 9 7 4 年信用状統一規則(上 ) J 外国為替貿易研究会, 1 9 8 0 年 , p  3 4 。 ( 9 )   浜谷源蔵「貿易実務」同文館, 1 9 8 1 年 ,

1 3 9

(

1

0)  昭和

58

4

1 3

・昭

5 8 通業第 4 号全銀協業務部「外国向為替手形取引約定書ひな型」

経済法令研究会, 1 9 8 3 年 6 月号, p  48  &  p  56 。

( 1 1 )  

小峯登

' 1 9 7 4 年信用状統一規則(上 ) J外国為替研究会, 1 9 8 0 年 , p  7 1 。 (

1 2 )   1  b i d .   p  3 5 4 。 (

1

3) 

伊深孝平「商業信用状論」有斐閣, 1 9 5 3 年 , pp  336‑338 。

D a v i s   The Law r e l a t i n g  t o   Commercial L e t t e r s  o f  C r e d i t "   3  r d  e d ,  p .   8 3 .   (

1 4 )   東京銀行貿易課「貿易と信用状」実業の日本社, 1 9 8 1 年 ,

1 7 7 。 (

1

5)  小峯登・舟木凌

' 1 9 7 4 年信用状統一規則(下 ) J 外国為替貿易研究会, 1 9 8 0 年 ,

3 7 4 。

(

1 6 )   1  b i d . ,  p  67 。

(以上)

参照

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