社会主義における技術的進歩の計画化に関する若干 の原則について : 東独における技術的進歩の計画 化(1)
その他のタイトル On some Principles of Planning of Technical Progress in Socialism
著者 木村 雄二郎
雑誌名 關西大學經済論集
巻 12
号 4
ページ 354‑367
発行年 1962‑10‑20
URL http://hdl.handle.net/10112/15466
東独においては現在︑ い
る︵
例え
ば︑
技術的進歩の計画化に関する若干の原則について
ー 東 独 に お け る 技 術 的 進 歩 の 計 画 化 一 社会主義的国際分業が進展すると共に︑個々の社会主義国における経済発展の相互依存関係はますます強化さ
れ︑それと同時にその主要な要因としての技術的進歩の相互援助関係もますます拡大しつつある︒社会主義国とし
ての東独も当然この一環としての役割を負っている︒同時に東独はいうまでもなく︑社会主義と資本主義との接点
であり︑この特殊な位置は︑そこにおける今日の経済発展の性格と方向を規定する︱つの大きなモメントとなって
一方
にお
ける
ソ連
との
共同
体の
形成
︑他
方に
おけ
る Bo nn er U lt r a s
の攻勢︶︒したがって︑技術的進歩の計
画化の問題についてもこの点に対する考慮が払われなければならない︒
この技術的進歩の計画をめぐる広汎にして精力的な論議が進められている︒
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の第二十二回大会における決議に沿うものであるが︑同時に
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の中央委員会第九回総会の決定にもと
ずいて作成された計画
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Technik'~9成果が思わしくなく、
社会主義における
論 文
関西大学﹃経済論集﹄第十二巻第四号
したがってその一九六三年度計画作成の準備た 木
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めにこの計画の作成の方法と︑
その
内容
︑
それの実現の組織と国家指導の問題を中心として︑再検討が進められて
本稿は東独における技術的進歩の計画化に関する考察の一部であるが︑
四
ここでは主として社会主義における技術
的進歩の計画化一般にあてはまるところの若干の原則的な問題を簡単に列挙するに止めるC
一︑技術的進歩は︑資本主義におけると社会主義におけるとにかかわりなく社会の物質的生産力を発展させるため
の主たる要因であり︑科学と技術の労働を発展させ︑その成果を生産に導入することによって労働生産性を絶えま
なく向上させることは︑国民経済の一そうの飛躍を保証するための主要な課題である︒しかし︑この技術進歩の方
法とその利用の性質と形態は︑当然その社会組織の異なるに照応して異なっている︒資本主義におけるよりは社会
主義における方がその進歩と利用の可能性は大きい︒即ち︑資本主義においてはその生産の無政府性に照応して技
術進歩の無政府性が存在する︑と同時にその技術は企業相互間における︱つの秘密として︑個々の企業において市
場での競争に勝利を収めるための道具として用いられる︒この技術的進歩の成果は︑生産手段の私有に基いて私的
に所有されるが故に︑ いるのである︒
これは労働の強化と結びつき︑利潤を上昇せしめるという保証のもとでのみ行なわれ︑
その
保証のない場合には新技術の導入は原則として人為的に阻止される傾向がある︒これと反対に︑社会主義において
は︑技術的進歩は国民経済発展計画の︱つの環として計画的に行なわれ︑同時にそれの成果は生産手段の社会的所
有に照応して社会的に所有されると共に労働の軽減︑生産物の低廉化に役立つ︒このことは技術的進歩が労働者の
社会
主義
に淑
ける
技術
的進
歩の
計画
化に
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原則
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いて
︵木
村︶
関西大学﹃経済論集﹄第十二巻第四号
利益と直接的に連がることを自明とするが故に︑それに対する関心を呼び起し︑労働者の側における下からの技術
進歩の開発︑提案の素地を形造る︒更に技術をめぐる企業間の関係は全く開放的であり相互援助的である︒
社会主義は技術的進歩に関するかかる体制的優位の基礎の上に︑科学技術労働を組織的に発展させ︑
を生産に導入し︑労働生産性の向上と生産の発展のテンポを計画的に促進させることによって︑国民経済における
二︑
加え
て︑
技術の役割を充分に実現せしめる無限の可能性を持つといえよう︒
この関係は単に一国においてのみ適てはまるものではなく︑社会主義諸国との相互の関係においても
原則として妥当する︒資本主義諸国の間では技術的進歩は一般的にいって封鎖的であり︑世界市場の獲得をめぐる
斗争において利用されるに対して︑社会主義諸国の間においては開放的であり相互援助的である︒社会主義的国際
ず︑この面からも︑技術の急速なる発展が要請される︒技術的進歩を推し進めることなしには︑
としての社会主義が︑資本主義体制との経済競争において勝利することは不可能である︒
しか
し︑
それの成果
この︱つの共同体
このように社会主義における技術的進歩の可能性とその必要性が強調されているにも拘らず︑それが充
分計画的に組織され実現されているとはいえない︒以下で取扱われる東独もまたその一例である︒
三︑東独においては今日までに技術的進歩に関係する一連の重要な決定が行われ︑科学技術労働の改善のための諸
方策が講じられてきた︒例えば︑
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tと産業部門における
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設立︑ならびに計画
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の採用等がそうである︒勿論︑
進歩のための成果であり︑またそれのための基礎であった︒しかし︑ 分業の組織と発展は最近とみにその必要性を強調され︑
これらのものは過去における東独の技術的
こうした諸方策の実現は決して充分とはいえ 各国はその分業の一環としての役割を果さなければなら 四四
357
四五
つま
下から上への課題の形成と蒐 技術発展の主要方向についての明確なものをもたず︑そのことによって各研究所における科学技術労働の合理的 当初は科学技術労働の集中的利用によって︑それの国民経済的利用効果を最大限に保証する目的で導入され︑技
術的進歩の計画における新しい段階の初りだとされたところの技術的進歩のための計画ら
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の実現
︱二五の計画テーマのうち実現されたのは︱ニニにすぎず︑機械化︑オートメ化の五七の計画のうち
ニ四だけが着手され︑また完了すべき三五の計画のうち一七だけが完了したにすぎない等といった結果を示してい
そ ま た 計 画
: F o r s c h u n g u ud E n t w i c k l u n g
"
における五六八の課題のために約二億四千万マルクが準備されて
( 1 )
いたが︑第m半期の終りまでに一億二千七万マルク︑約半分と少しが要求されたにすぎない︒この計画が何故かよ
うな結果に終っているかについてその理由を一々挙げる余裕はないが︑決定的な欠陥は従来の諸々の決定が︑科学
な協業を実現しえなかったという点にある︒国家機関は︑科学技術的課題の確たる構想ーーー例えば︑どの部門にお
いて新生産が取入れられるべきか︑どの部門が機械化され︑オートメ化さるべきか等のーをもたず︑その結果︑
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は一ケのの適確な指令にもとずいて作成されたものではなくて︑
集︑それの単なる選択という過程によって生れたものであった︒つまり︑国民経済発展の方向や重点に対する明確
な認識なしに行われた課題の集合にすぎなかったと言えよう︒国家機関の活動は︑課題の査定とその承認︑重復せ
る労働の排除︑中央計画にとって最重要な課題の選択に限定されていたが故に︑計画に偶然性と主観性が持ち込ま
れた︒このような状況のもとでは︑現存の科学技術能力と大衆のイニシャチプは︑国民経済的重点に対して︑
りその目標に対して正しく向けられることができなかったからであり︑更にまた︑
社会主義における技術的進歩の計画化に関する若干の原則について︵木村︶
このことによって︑科学と生産
は︑
例え
ば︑
なか
った
︒
関西大学﹃経済論集﹄第十二巻第四号
との有機的な結合が不充分な形でしか行われなかったという点にある︒計画の作成・課題の設定にさいして︑科学
と生産の間の緊密な協業が欠けていることは︑
( 2 )
礎を欠くことを意味するからである︒
(1
)
He rb er t E mm er ic h; . . Fu r d i e d i e
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Pl an nu ng e d s t ec hn is ch en Fo r t sc h i tr t e s" ,
̀ ̀ S oz i a li s t is c h e P la n w ir t s ha f t "
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1962
(2
)
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e gf t i ed Wikarski,
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一︑本来︑技術的進歩は︑社会の物質的生産力発展の条件である労働対象︑労働手段
1
1物的要素の創造と発展︑お
よびそれに照応せる能力をもった労働カー人的要素の創造と発展を意味するものであり︑したがって自ら長期的性
格をもつ︒同時にそれの計画化は︑
果の実現
1
1新技術の生産への導入の計画化ー│をもつ︒前者は技術的進歩の準備段階であり︑後者はそれの実現の
段階である︒この両者は勿論不可分に結びついており技術的進歩はこの両者が有機的結合されることによってのみ
初めて経済発展の要因となりうる︒この研究開発労働が適切な時期に適切な範囲において行なわれ︑その労働階梯
が連続的に円滑に実施され︑
がって技術的進歩の計画は︑長期的計画として先ず提起されなければならない︒
二 ︑
KP
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U
その課題の解決のさいにおける社会主義的協業のための統一的な基
いうまでもなく二つの過程ーー技術の研究・開発の労働の計画化とこの研究成
そしてそれの成果ができる限り急速に生産過程に導入されることが必要である︒した
の第二十二回大会において採択された技術進歩に関するの要請に基いて︑
SE
D
の中央委員会第十四
四六
359
同時
に︑
社会主義建設の課題から生じる具体的な諸々の問題︑
d e r Z e n t r a l e n Pl an nu ng n u d Or g a
n i s a t i o n e d r
回大会及び第十五回大会は︑科学技術の長期的計画化の問題をとりあげ︑またその間に
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の閣議は
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n A r b e i t i n d e r R e p u b l i k
"
を決定し︑技術的進歩に関する原則的な視点の確立に努めた︒
四七
ここにおける第一の原則は︑技術的進歩のための長期的計画の作成ならびにそれの改善は︑それが国民経済的長
期計画との関連において把えられねばならない︑ということであった︒
者の計画の関連において実現されなければならないのであって︑国民経済の発展方向を基礎とする広い意味での科
学技術労働の計画化と組織化︑ないしはこの科学技術の発展方向に関する先見的な評価を基礎とする国民経済的課
題の設定とその計画化が必要である︒
の前提となる︒
つま
り︑
より高度な国民経済的長期計画の基礎の上により高度な技術的進歩
の計画化がなされる︒したがって︑何よりも先ず︑国民経済的長期計画の改善が技術的進歩の計画化にとって必須
この国民経済的長期計画は︑何よりも国民経済全体のないし個々の産業部門の間の比例的発展を保
証しなければならない︒この場合︑原則的にはいわゆる生産手段生産の優先的発展の法則が重要な役割を演ずる︒
この法則は機械労働によって人間労働が代置される過程であり︑したがって︑技術的進歩はこの法則において重要
な要因として結びつく︒
成︑発展から生じる諸問題に対する考慮が︑この比例性の確立のためになされねばならない︒この技術進歩の計画
はこれらの問題の計画の一部として計画化される︒いかなる経済的計画といえども︑
的過程の相互関係によって条件づけられ︑また同時に︑
業が確立されなければならない︒ つまり技術と経済と緊密な結合が︑この両
社会主義的国際分業の形
その計画化は︑すべての社会
この相互依存的な課題の実現のためには︑それに必要な協
つまり︑全体としての国民経済計画の一部として︑同じくその構成部分たる他の
社会主義における技術的進歩の計画化に関する若干の原則について︵木村︶
関西大学﹃経済論集﹄第十二巻第四号
諸々の計画︑即ち生産計画︑投資計画︑原料計画︑労働力計画︑財政計画等々との関連において︑相互補完的に計
画されなければならない︒これらは︑技術的進歩の計画そのものの実現を物質的にも資金的にも保証するものであ
り︑したがって技術的進歩の計画の側からもこれら計画との調整が必要とされるだけでなく︑これら計画の作成と
実現を支えるものとして︑技術的進歩の計画が考慮されなければならない︒又︑科学技術の長期的計画化は︑
ように国民経済の長期的計画を基礎としてのみ︑初めて本来の意味での計画
1
1科学的な計画となり得る︒
国民経済発展の法則にもとずいて形成されるべき国民経済計画の一部として行なわれる限りにおいてその技術的進
( 1 )
歩の長期的計画は合法則性をもつことができるからである︒
(1
)
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Zu r e in ig en P ro bl em en de r b es se rn P la nu ng e d s w is se ns ch af tl ic h‑ te ch ni sc he n F or t s ch r i tt s , '̀ . . Wi rt sc ha ft sw is se ns ch af t, ` ̀
8/1962
一︑
第二
に︑
この技術的進歩の計画の作成と実現のための組織の確立の問題であるC
れの導入に関する指導の組織が形成され︑
ばならないのであって︑各企業・各産業部門から成る国民経済からの要求と︑ つまり上からの技術研究とそ
そして下からは技術的進歩に対する全人民の大衆運動が展開されなけれ
それに対する国家からする指導調整
先づ国民経済的な見通しを立て︑また各々の場合における科学的に正しい決定を行なうことは︑ との結びつきが適切に行なわれる必要がある︒
そこにおける科
学技術の役割に対し正当にして適確な評価を行なうことを前提とする︒そのためには︑個々の科学者の判断に訴え
四八
この
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り︑
361
表における 利用にとって︱つの本質的な前提である︒(19 る ︒
四九
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及び各産業部 国家指導はこのことによってのみ︑
るだけでは充分ではない︒全社会の発展にとって重要な決定はあらゆる側面を考慮し同時に主観から自由でなけれ ばならず︑したがって︑出来る限り大きな集団での協議を必要とする︒
第二に︑決定は︑研究所や実験所や企業における研究者や労働者のイニシャチプにもとずいて行なわれることに よってのみ︑この決定の重要性が理解され︑実行され︑そして最大の効果をあげることが可能である︒それは単なる 中央国家機関と研究機関との間の協業だけでなく︑他の組織︑特に労働組合や技術関係機関の参加が必要である︒
また︑今日︑生産がますます近代科学の技術的応用の場となりつつあるが故に技術的進歩の実現にとって生産力発
ける発展のテンポをおくらせることを意味する︒したがって︑ 展の課題と科学技術労働の課題との分離は、直ちに科学における•生産における・したがって労働生産性向上にお
この両者の有機的な結合が︑国家指導のあらゆる分 野において︑あらゆる科学技術機関と企業において確立されなければならない
C
中央からの指令と企業や科学機関 の課題との間の︑国家計画における課題と科学者ならびに全勤労者の創造的なイニシャチプとの間の有機的結合を 保証し国民経済的課題の協働的解決を保証するところの科学技術労働の統一的組織は︑科学技術労働の国民経済的 現在東独において存在する科学技術の計画提案とそれの指祁・調整を行なう機関・研究所・並びにそれの過程は
図表の通りであり︑最高機関たる中央計画委員会において案は最終的に調整される︒この計画作成の組織自体は︑
現在殆んど完全に近いが︑問題はそれらの機能が充分果されているかどうかである︒
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と
社会主義における技術的進歩の計画化に関する若干の原則について︵木村︶
一そう科学的基礎を持つこととな
る最高機関であり︑技術的進歩の原則的諸問題を考慮し︑閣議に対し国民経済的な諸々の計画案を提示する︒ 生産的労働との緊密な結合を実現する機関である︒
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は ︑
計画作成におけ を指導する︒
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は約九〇あり︑企業における科学技術労働を指導し︑それと
t 大学研究所とアカデミー研究所の各課題を調整するところの約一三0こ
に及ぶ
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その他
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によって指導される︒
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門の科学技術研究所は︑科学技術に関する基礎研究ないしその応用
9, ぃ .I 関西大学﹃経済論集﹄第十二巻第四号
研究に従事し︑その活動は内閣の
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王 魂 五 er be rt l l: m m er i c h,
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363
案︑等々が含まれなければならない︒ 国民経済的に重要な課題の解決に対し︑決定的に影響を及ぽすところの︑科学的・長期的研究の主要問題
( 2 )
重要な技術の導入の実験的段階において見出されるところの︑すぐれて国民経済的な問題﹂
これら三つの課題は、科学・技術研究の方向を示すものであり、技術一般の基礎研究ー~技術の国民経済的研究
ー技術導入にさいしての研究︑という段階的な研究が含まれている︒就中
Cの段階においては︑新技術の生産へ
の導入にとって必要とされる方策の研究︑それによってもたらされる国民経済的利益の提示︑労働プログラムの立
社会主義における技術的進歩の計画化に関する若干の原則について︵木村︶ c b 究に関する主要問題 にa 国家指導の問題を考えるにさいしては︑先ずもって︑の不可分な結合︑
五
それと
F
Aとの関係が取上げられねばならない︒この両者
それらの協業は国民経済計画改善のための基本前提である︒
FA
及びそれに属する諸機関︵諸専
門家
グル
ープ
︑諸
委員
会︑
諸研
究連
合︑
Ne
nt ra le Arb ei ts kr ei se
)は︑それ自体技術的︑国民経済的課題解決にさいしての︑
科学者︑党及び国家の代表と生産の代表との協業の︱つの表現であり︑技術発展の主要方向決定の基礎と課題解決
のための労働の基礎を形成する︒SPKは
F A
の労働が︑国民経済発展の諸問題︑特にその長期的計画にもとず
いて決定されるよう指令すると共に︑
属する諸機関を指導する︒ そこにおいて解決さるべき課題の設定を義務づける︒
FA
はそれに基き︑更
V o l k s w i r t s c h a f t s r a t
とその他の中央国家機関との協業によって設定された課題を考應して︑活動し︑それに
二︑これら研究施設・機関においてなされる技術研究は次の三つの基本的課題を与えられる︒
自然の新しい合法則性の発見を保証し︑そして技術的進歩の発展に対する前提を形成するところの基礎研
の増加と共に増加する︒原子エネルギーの応用は現在︑主としてこの電気エネルギーを作り出すことに役立つ︒ ならない︒勿論ここにおいて作成される提案は︑長期的例えば十年といった︑期間にわたるものであることは出来ない︒年々惹起される一連の新しい国民経済的問題によって︑或いは古くなり︑或いは却って進歩のための足枷となるからである︒このことからして︑ つまり各産業部門・各企業からの基本的な提案がなされなければ
ここにおける提案は計画としてよりもむしろ方向としての提案と考えられる
ペきである︒この方向と目標を定めるに当っては︑国民経済の発展方向ないしその具体化たる国民経済的長期計画
を基礎としてそこから導き出されなければならない︒勿論この方向は各々の産業部門において異なり︑またその部
( 3 J
門独自の技術問題が存在するが︑基本的にはこの方向は以上の線に沿って原則的に決定することができる︒
四︑現在︑技術進歩は大ざっぱに言ゥて五つの方向において行なわれる︒
産における化学の全般的応用︑電化︑原子エネルギーの応用︑並びに技術の規格統.ーがそれである︒機械化の過程
において機械労働による手労働の代置は進み︑オートメ化された生産においては人間は生産過程を監督すれば足り
るようになり︑・化学の生産への全般的応用は︑原料部門における化学製品の質的・量的増加その他の産業部門への
化学的生産方法の侵透によって特徴づけられる︒生産の電化は︑機械化・オートメ化の進行︑電気化学的生産過程
規格統一ないし標準化は︑最新技術の利用ならびに生産物の品質向上について有用である︒機械部品の規格化︑原
料の規格化︑生産物の種類︑型による規格化等がそれに含まれる︒勿論︑これらの主たる方向は︑相互補完的であ
る︒例えば機械化︑オートメ化は電気エネルギーなしには行なわれえないように︒
五︑ところで技的術進歩の計画は先にのべたように本来的に長期的計画でなければならぬが︑しかし︑かかる長期 ︑技術的進歩の計画化のためには︑下からの︑
関西大学﹃経済論集﹄第十二巻第四号
つまり機械化とオートメーション化︑生
五
365
社会主義における技術的進歩の計画化に関する若干の原則について︵木村︶
⑨全企業的性格をもつ改良案と発明工夫の導入の計画 ⑧品質発展の計画 m標準化の計画 ⑥古い方法での生産の廃止の計画 固古い生産物の生産の廃止の計画 を見てみよう︒そこには次の一0のテーマが含まれている︒ 的視点から把えられた計画課題を実現するための︑︑ し ︑
︐
それを企図するところの年次計画は決して軽視されてはならなこの長期計画と年次計画との調和のとれた結合とその組織が確立され︑
要である︒この年次計画は︑長期的計画の部分的実現の計画である限り︑
①新しい生産物の生産への導入の計画1長期的課題
⑨新しい方法の生産への導入の計画ーー長期的課題
③新しい生産物の生産への採用の計画1年次課題
④新しい方法の生産への採用の計画ーー'年次課題
五
つ
これを正確に機能せしめることが必
それは長期的計画に比して一そう具体化
された計画であるといえよう︒したがってそれは国民経済的長期計画の一環としての技術的進歩の長期的計画の︑
部分的実現の計画という性格をもち︑同時にその実現の場である各々の産業部門ないし企業の相違を考慮して︑
まりそれら個々の部門の特殊性に応じて作成されなければならない︒
六︑最後に東独における技術進歩の計画︑
. .
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"
の一部をなす
. .
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1
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2
梯が示される︒
この計画は企業計画の一部として各年度に作成されるものであるが︑
課題とならんで各年度に実現さるべき具体的な課題とその目標がおかれ︑また該当年度において実理される労働階 (1
) Vgl•
H. Poschel/S.
Wi ka rs ki a . a . 0 . ,
(2
)
Al fr ed L an ge , a . a . 0 . , S .
84
(3
)
Vgl•
He in
z , D
ie te r Hausst
ei n/ A l fr ed L an ge , "
Die R ol le d er wissenschaftlich
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ec hn is ch en Grun
dk on ze pt io n de s ln du st ne zw ei gs b ei d er Pe ss pe kt iv pl an nu ng d es w is se ns ch af tl ic h , t ec hn is ch en F o s ts c h ri t t s, '
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︾ ,
Wi rt sc ha ft sw is
,
se ns ch af t,
"
H ef t 9
/1 96 2.
(4
) この計画に至るまでの各年における計画テーマは次の通りである︒.
一九六0
年までの計画
., Fo rs ch un g un d T ec hn ik
"
山 生 産 さ る ぺ き 生 産 物 の 構 成 と 方 法 の 生 産 へ の 採 用 の 計 画 図 標 準 化 の 計 画 一九六一年には計画の名称が今日の,.For~chung
un d E nt wi ck lu ng
"
に変更され︑前年の二つのテーマに次のものが加
えられた︒
③研究・開発の成果の生産への導入の計画ーー'長期的課題 山 技 術 的 に 古 く な っ た 生 産 物 の 生 産 の 廃 止 の 計 画
⑤ 全 企 業 的 な 性 格 を も っ た 改 良 案 と 発 明 工 夫 の 導 入 の 計 画
⑥ オ ー ト メ 化 の 計 画 Vgl•
He rb er t E mm er ic h, a. a 0 . . S . ,
21
( 4 )
暉機械化とオートメーション化の計画
関西大学﹃経済論集﹂第十二巻第四号
その中における個々のテーマには︑長期的
五四
367
体 的 に 検 討 を進めてみようと思う。
田 佐 木 鯰 高
村 江
中 藤 雄 本 執
城
筆
充 博 郎 夫 昇
者
本 本 本 本 本 紹
学 学
悶
、匹子 ,=. 子~ 介助 助
任 助 助
教 講 教 教
手 授 師 授 授
^
経済 経済 ヘ経済^
経済^
経済学 ,叫子 呂子 , 子. .,̲ 学
部 部 部 部 部
ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ
社会主義における技術的進歩の計画は︑国民経済的長期計画の基礎の上に形成され実現される︒したがって東独
におけるその計画は社会主義的国際分業の形成•発展と国内経済発展をめぐる複雑にして旭大な課題を考慮するこ
とによって諸々の技術計画案が調整され︑作成される必要があり︑科学技術労働の計画化と組織化︑
生産への導入は︑社会主義的協業の完全な利用にもとずいて行なわなければならない︒
以上に挙げた諸々の原則的な問題は︑これに尽きるものではなく︑以下︑
社会主義における技術的進歩の計画化に関する若干の原則について︵木村︶
五五 それの成果の
これらの問題の各々について︑より具