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親の養育態度と子どもの発達

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

親の養育態度と子どもの発達

著者 杉村 健, 藤田 正

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

15

ページ 119‑126

発行年 1979‑03‑23

その他のタイトル A Study of Child―rearing and Development.

URL http://hdl.handle.net/10105/6408

(2)

       *

親の養育態度と子どもの発達

       **

杉 村 健 ・ 藤 田 正

    (心理学教室)

 幼児期は、その後の発達の基礎をなしているといわれており、この時期における親の養育態度 が人格形成に大きな影響を及ぼすことが、多くの研究で明らかにされている。一般的にいって、

幼児前期(3歳頃まで)では、家庭における親の養育が子どもに強く影響するが、幼児後期では、

それに加えて保育園や幼稚園における保育・教育が影響を与えるようになる。このような養育や 保育の問題について、親がどのような意見をもっているかを知ることは、幼児の保育・教育を考

えていく上で必要なことである。

 幼児教育に関する母親の意見については、杉村ら(1974)が、①将来、どのような子どもに なってほしいか、②保育園や幼稚園ではどのような保育内容が大切と思うか、③家庭と国と のしつけの分担はどうあるべきかなどについて調査した。また、杉村と藤田(1977)は、①母 親がどのような養育態度であるか、②発達のとの領域に価値をおいているか、③親子の対話

はどのような状態であるかなどについて調査している。

 本研究においては、標準化された発達検査(津守と磯部、19651遠城寺、1977)で扱われてい る6つの発達の領域と、マッカーシー認知能力診断検査(小田ら、1977)で査定される5つめ能 力の側面をとりあげた。本研究の目的は、発達の領域と能力の側面のそれぞれについて、①親 からみて進んでいると思うものと遅れていると思うもの、②家庭で重視しているものと、保育 園や幼稚園で力を入れてほしいものについて調べ、①全体としてどのような傾向があるか、

②男児の親と女児の親および、⑨へき地の親と平坦部の親でどのような違いがあるかを検討す ることである。

方       法

頭査対象  調査対象は奈良県吉野郡上北山村、    表1 調査対象の内訳 下北山村および奈良市内の保育園、幼稚園に在籍

している幼児の親253名である。その内訳は表1 のとおりである。

    男児の親 女児の親 合 計 へき地   82   75   157 平坦部   47    59   96

129      124     253

* AStudyofCh出一rearingand庇velopment.

‡}@Takeshi Sugimura and Tadashi Fuj辻a

  (Department of Psychology,N ara University of Education,N ara)

(3)

       表2 調査内容

(発達の領域について)

I 下にあげた身体発育、運動、知識・理解、言語、生活習慣、社会牲は、いず   れも子どもの大切な発達の領域です。

   1.身体発育(身長、体重などの発育     )    2.運   動(からだのこなし、手先の器用さなど)

   3.知識・理解(ものごとを知る、わかるなど   )

   4.言 語(話す、聞く、読むなど   )    5.生活習慣(食事、排便・排尿、衣服の脱着など)

   61社会性(対人関係、集団参加など  )

 問1 1〜6を比べてみて、あなたのお子さまの進んでいると思われる面は     どれですか。番号にOをつけて下さい。(いくつでもよい)

      1.     2.     3.     4.     5.     6.

 問2 1〜6を比べてみて、あなたのお子さまの遅れていると思われる面は     どれですか。番号にOをつけて下さい。 (いくつでもよい)

      1.     2.     3.     4.     5.     6.

 問3 1〜6の中で、あなたの家庭において今、特に気をつけて養育して     いらっしゃる面はどれですか。2つ選んで番号に○をつけて下さい。

      1.     2.     3.     4,     51     6.

 問4 1〜6の中で、保育所や幼稚園で特に力を入れてやってほしいと思     う面はどれですか。2つ選んで番号にOをつけて下さい。

      1.     2.     3.     4.     5.     6.

(能力の側面について)

皿 幼児はさまざまな能力をもっていますが、マッカーシーという心理学者は、

  次の5つを区別しています。

   1.言語能力(表現したり、理解する能力      )    2.知覚能力(ものを見て、模倣したり、推理する能力)

   3.数量能力(数を扱ったり、理解する能力     )    4.言己憶能力(言葉や数などを記憶する能力     )    5.運動能力(大まかな運動や細かい手先の連動   )

 問1 1〜5を比べてみて、あなたのお子さまの進んでいると思われる能力     はどれですか。番号に○をつけて下さい。 (いくつでもよい)

      1.     2.     3.     4.     5.

 間2 1〜5を比べてみて、あなたのお子さまの遅れていると思われる能力     はどれですか。番号に○をつけて下さい。 (いくつでもよい)

      1.     2.     3.     4.     5.

 問3 1〜5の中で、特に大切だと思う能力はどれですか。2つ選んで番号     に○をつけて下さい。  て下さい。

      1,     2.     3.     4.     5.

問4 1〜5の中で、保育園・幼稚園で身につけてほしい能力はどれですか。

   山番号にOをつけて下さい。

     1.     2.     3.     4.     5.

一120一

(4)

 調査内容  調査内容は、表2に示されるような発達の領域と能力の側面のそれぞれについて、

①親からみて進んでいると思うものと遅れていると思うもの、②家庭で重視しているものと、

保育園や幼稚園で力を入れてほしいものを尋ねる項目からなっている。

 発達の領域は、津守式「乳幼児精神発達診断法」(津守と磯部、1965)や遠城寺式「乳幼児分 析的発達検査法」(遠城寺、1977)を参考にして決定した6つの領域で、それぞれの内容は次の

とおりである。①身体発育(身長、体重などの発育)、②運動(からだのこなし、手先の器 用さなど)、③知識・理解(ものごとを知る、わかるなど)、④言語(話す、聞く、読むな ど)、⑤生活習慣(食事、排便・排尿、衣服の脱着など)、⑥社会性(対人関係、集団参加

など)。

 能力の側面は、マッカーシー認知能力診断検査(小田ほか、1977)で測定される5つの側面で、

それぞれの内容は次のとおりである。①言語能力(表現したり、理解する能力)、②知覚・

遂行(ものを見て、模倣したり、推理する能力)、③数量能力(数を扱ったり、理解する能力

)、④記憶能力(言葉や数などを言己憶する能力)、⑤運動能力(大まかな運動や細か一い手

先の運動)。

 手緩き  調査は1978年1ユ月4日から13日の期間にそれぞれの保育園、幼稚園で実施した。実 施に際しては、それぞれの園に出向いて調査内容を説明し、調査用紙を園児に家へ持って帰らせ て、父親または母親に記入してもらった。

結 果 と 考 察

I.発達の領域

 進んでいる領墳と連れている領域  6つの発達の領域を比べてみて、親の目からみて進んで いると思われる領域と遅れていると思われる領域をあげさせた。各領域ごとに選択率(○印の割 合)を示したものが表3である。

 ⑦全体的傾向一進んでいると思われる領域は選択率の高い順に、身体発育、運動、知識・理 解、生活習慣、言語、社会性であった。他方、遅れていると思われる領域は選択率の高い順に言 語、社会性、運動、知識・理解、身体発育、生活習慣であった。次に、領域ごとに進んでいる領 域として選択された割合と遅れている領域として選択された割合を比較してみると、身体発育は 進んでいる領域として、言語や社会性は遅れている領域として選択されていることがわかる。

 ◎男女差一男女ともに身体発育は進んだ領域として、社会性は遅れた領域として選択されて いる。男女差のみられた領域は、知識・理解、言語、生活習慣であり、このうち知識・理解と生 活習慣は女児で進んでいる領域として、言語は男児で遅れている領域とみなされている。女児で 生活習慣や言語が進んでいるという結果は、津守と磯部(1965)が発達検査作成の過程で得た結 果と一致するものである。

 ◎地域差一へき地、平坦部ともに身体発育は進んだ領域として、社会性は遅れた領域として

(5)

表3 進んでいる領域と遅れている領域(選択率)

発 達 の 領 域

身体発育  運動 知識・理解 言語 生活習慣 社会性     進んでいる

全 体

    遅れている

32,0 16,6

26,5 23.3

25,7 18,2

22,1   22−9 31,2     16.2

13,8 26.9

    進んでいる 34,1  30.2 男 児    遅れている  18,6  24.8

21,7 19.4

17,8 34,9

22,5     11,6 18,6   24.0

    進んでいる 女 児

    遅れている

29,8 14,5

22,6     29,8     26,6 21,8     16,9     27.4

23,4 13.7

16,1 29.8

へき地 進んでいる 遅れている

33,3   28−1 18,8  17.7

21,9     18,8     25,0 18−8     31,3     15.6

13,5 28−1

平坦部 進んでいる  31,2  25,5   28.0   2412   21.7 遅れている  15,3  26,8   17,8   31,2   16.6

14,0 26.1

選択されている。地域差のみられたのは、運動、知識・理解、言語、生活習慣であり、このうち 運動と生活習慣は平坦部よりもへき地でより進んだ領域として、知識・理解や言語はへき地より も平坦部でより進んだ領域とみなされている。へき地では、運動が進んで言語が遅れているとい

う結果は、杉村(1978)がへき地の幼児に実施したマッカーシー認知能力診断検査の結果と一致 するものである。

 養育、保育上の口視点一6つの発達領域を比べてみて家庭で重視している領域と保育園や幼 稚園で力を入れてほしい領域をあげさせた。その結果が表4である。

    表4 家庭で重視している領域と園で重視してほしい領域(選択率)

発 達 の 領 域

身体発育 運動 知識・理解 言語 生活習慣 社会性      家庭で   27.7

全 体

     園 で    1.6

17,4 34.0

3719

447

33,6     41,9 39.6    7.5

33,6 62.5

     家庭で   27.1   19.4 男 児

     園で 0,8 33.3

41,1 48−1

32,6     41,9     29,5 41.9      9,3     56.6

     家庭で   28,2  15.3 女 児

     園で  2,4 34.9

34,7      34,7      41,9 41,1     36.3      5.6

37,9 68.5

へき地 家庭で  28,1  11,5   37.5

圓で  2,0 30,2 49.O

36,5     46,9     33,3 34.4       8,3      63.8

平坦部 家庭で   27.4 圓 で   1.3

21,0 36.3

38,2     31,8     38,6 42,0     42.0     7.0

33−8 61.8

一122一

(6)

 ⑦全体的傾向一家庭で重視している領域として選択率の高い順に、生活習慣、知識・理解、

言語、社会性、身体発育、運動であった。他方、保育園や幼稚園の保育で重視してほしい領域と して選択率の高い順に社会性、知識・理解、言語、運動、生活習慣、身体発育であった。次に、

領域ごとに家庭で重視している領域として選択された割合と、保育園や幼稚園で重視してほしい 領域として選択された割合を比較したところ、身体発育や生活習慣はどちらかといえば家庭で重 視している領域であり、社会性や運動はどちらかといえば保育園や幼稚園で重視してほしい領域 であった。また、知識・理解や言語は家庭でも、保育園や幼稚園においても重視すべき領域であ るとされている。

 ◎男女差一男女ともに身体発育と生活習慣は家庭で重視している領域であり、社会性と運動 は男女とも保育園や幼稚園で重視してほしい領域とみなしており、男女差は認められなかった。

男女差のみられたのは言語で、男児において保育園や幼稚園で重視してほしい領域とされている。

 ◎地域差  へき地、平坦部ともに身体発育や生活習慣は家庭で重視している領域であり、字十 会性や運動は保育園や幼稚園で重視してほしい領域であった。地域差のみられたのは知識・理解 と言語で、へき地では知識・理解を、平坦部では言語を家庭よりも保育園や幼稚園で重視してほ しい領域としている。

 以上の結果から、養育や保育上家庭で重視している領域と保育園や幼稚園で重視してほしい領 域とが分かれていることが明らかになった。つまり、身体発育や生活習慣は家庭で、社会性や運 動は保育園や幼稚園で重視してほしい領域であり、知識・理解や言語は家庭でも、保育園や幼稚 園でも重視すべき領域であるという考え方である。これは、家庭や保育所がそれぞれもっている 養育上の機能をよく理解した妥当な考え方を示しているように思われる。

lI.能力の側面

進んでいる側方と遅れている側面一5つの能力を比べてみて、親の目から見て進んでいると

表5 進んでいる側面と遅れている側面(選択率、

能 力 の 側 面

言語 知覚 数量 言己憶 運動

    進んでいる 24.9 全 体    遅れている  17.8

25.3      7.1     18−2 18,6     43.9      2713

    進んでいる 17,8  23.3   7.8 男 児    遅れている  19,4   17,8   46.5

    進んでいる 32,3  27.4 女 児    遅れている 16,1  19.4

    進んでいる 25,0  27.1 へき地    遅れている 24,0  20.8

    進んでいる 24,8  24.2 平坦部

    遅れている 14.O   17.4

32,0 22.9 14,7     38,0 26,4     19.4 6,5     21,8     25,8 41,1     28−2     26.6 4,2      13,5      36,5

47,9     31,3     15.6 8−9     21,0     29,3 41,4      24,8     27.4

(7)

思われる能力と遅れていると思われる能力をあげさせた。その結果が表5である。

⑦全体的傾向一進んでいると思われる能力は選択率の高い順に、運動、知覚、言語、記憶、

数量であった。他方、遅れていると思われる能力は選択率の高い順に、数量、記憶、運動、知覚、

言語であった。次に、それぞれの能力ごとに進んでいる能力として選択された割合と遅れている 能力として選択された割合を比較したところ、運動は進んでいる能力として、記憶や数量は遅れ ている能力として選択される傾向があった。

 ◎男女差一男女ともに数量は遅れている能力であった。男女差のみられた能力は、運動、記 憶、言語であり、男児では運動は進んでいる能力とされ、記憶は遅れている能力とみなされてい

る。また、女児では言語は進んでいる能力であるとみなされている。ことような結果は従来の結 果と一致している。

 ◎地域差一数量はへき地でも、平坦部でも遅れていると思われる能力であった。地域差のみ られたのは言語、運動、記憶などの能力であり、言語は平坦部で進んでいる能力として、運動は へき地で進んでいる能力とみなされている。また、記憶はへき地で遅れている能力とみなされて

いる。杉村(1978)は、マッカーシー認知能力診断検査によりへき地の幼児の認知能力及び運動 能力を測定した。その結果、へき地の幼児は標準化に用いた標本と比べて、知覚一遂行能力と運 動能力は遅れはなかったが、言語能力、数量能力および記憶能力においては標準化標本よりも劣 っていた。本研究は、親の目からみた子どもの発達の状態をたずねたものであったが、結果は実 際に子どもの能力を査定した杉村の結果とほぼ一致するものといえる。

 査育、保育上の口視点一5つの能力を比べてみて家庭で重視している能力と保育園や幼稚園 で力を入れてほしい能力をあげさせた。その結果が表6である。

妻6 家庭で重視している側面と園で重視してほしい側面(選択率)

能 力 の 側 面

言語 知覚数量 記憶 運動

     家庭で 全 体      園 で

81,4     27,3 54,2     34.8

     家庭で  79.1 男 児     園 で   60−5      家庭で  8319 女 児     園 で   47.6

19−4     25,7     34,8 37,2     17,0     50.6 25,6    22,5     30−2

31,8    42,6     14.O 29,O     16,1     21,0 37,9    31,4     20.2

     家庭で   82,3   19.8 へき地     園で 幽.8 33.3

     家庭で   80,9   31,8 平坦部     園で 59,9 35.7

32,6 49.6 37,1 51.6 20,8     35,4    28,1 42,7     22,9     41.7 18−5     19.7     3&9 33,8     13,4     56.1

 ⑦全体的傾向一家庭の養育で重視している能力として選択率の高い順にあげると言語、運動、

知覚、記憶、数量であった。他方、保育園や幼稚園の保育で力を入れてほしい能力として選択率 一124一

(8)

の高い順にあげると言語、運動、数量、知覚、記億であった。次に、能力ごとに家庭で重視すべ き能力として選択された割合と、保育園や幼稚園で力を入れてほしい能力として選択された割合 を比較したところ、言語はどちらかといえば家庭で重視すべき能力であり、運動や数量はどちら かといえば保育園や幼稚園で力を入れてほしい能力であった。また、知覚や記億は家庭でも、保 育園や幼稚園でも力を入れてほしい能力であるとされている。

 ◎男女差一言語は男女とも家庭で重視している能力であった。また、数量や運動は男女とも 保育園や幼稚園で重視してほしい能力であった。男女差のみられたのは、記憶と知覚で、女児で

は知覚は保育園で、男児では記憶は家庭で重視すべき能力であるとみなされている。

 ◎地域差一言語はへき地でも平坦部でも、どちらかといえば保育園や幼稚園よりも家庭で重 視している能力であり、運動や数量などの能力は、どちらかといえば家庭よりも保育園や幼稚園 で重視してほしい能力であった。地域差のみられたのは知覚と記憶で、へき地では知覚は保育園 や幼稚園で、言己憶は家庭で重視すべき能力であるとされている。

 以上の結果から、発達の領域の場合と同様に能力の側面においても、養育や保育上、家庭で重 視している領域と保育園や幼稚園で重視してほしい能力とが分かれていた。つまり、言語は家庭 で、運動や数量は保育園や幼稚園で重視してほしい能力であり、知覚や記憶は家庭でも保育園や 幼稚園でも重視すべき能力であるという考え方である。

 本研究では、発達の領域と能力の側面について親の日から見た子どもの発達の状態と、家庭で の養育、保育園や幼稚園での保育上重視すべき点について親の意見を尋ねた。その結果、発達の 状態については、従来子どもに実際に知能検査や発達検査を実施して得られた結果とほぼ一致す るものであった。これは、親の目からみた子どもの発達状態はある程度的確にとらえられている ことを示すものである。また、家庭や保育園、幼稚園での養育、保育上の重視点についても、発 達の領域や能力の側面のそれぞれにおいてある程度分化している。これは家庭や保育園、幼稚園 のもつそれぞれの機能に合うような養育態度であり、妥当な考え方がなされているように思われ

た。

 また、地域差については、親の意識の上でも、従来からみられているへき地の子どもの言語面 の遅れがあらわれており、これに関しては、今後、言語面についての家庭での親の養育の仕方、

保育園での保育の内容などについても検討することが必要だと思われる。

暮       約

 本研究の目的は、へき地(吉野郡上北山村と下北山村)の保育園と平坦部(奈良市)の保育園、

幼稚園に在籍している幼児の親253名に、発達の領域(身体発育、運動、知識・理解、言語、生 活習慣、社会性)と能力の側面(言語、知覚、数量、記憶、運動)のそれぞれについて、①親か らみて進んでいると思うものと遅れていると思うもの、②家庭で重視しているものと、保育園や 幼稚園で力を入れてほしいものについて調べた。主な結果は次の通りであった。

(9)

 ω 発達の領域一①全体的傾向として身体発育は進んでいる領域として、言語や社会性は遅 れている領域とみなされている。また、運動と生活習慣は平坦部よりもへき地で進んだ領域として、

知識・理解や言語はへき地よりも平坦部でより進んだ領域とみなされている。 ②養育態度につ いては、身体発育や生活習慣は家庭で重視している領域であり、社会性や運動は保育園や幼稚園 で重視してほしい領域であった。また、知識・理解や言語は家庭でも、保育園や幼稚園において も重視すべき領域であるとされてい乱

 ② 能力の側面一①全体的傾向として運動は進んでいる能力として、記億や数量は遅れてい る能力とみなされている。また、運動はへき地で進んでいる能力、記憶は遅れている能力、言語 は平坦部で進んでいる能力とされている。 ②養育態度については、言語は家庭で、運動や数量 は保育園や幼稚園で重視すべき能力であり、知覚や記憶は家庭でも、保育園や幼稚園でも重視し てほしい能力とされている。また、へき地では知覚は保育園や幼稚園で、記憶は家庭で重視すべ き能力であるとされている。

引 用  文  献

遠城寺宗徳  1977  遠城寺式・乳幼児分析的発達検査法  東京・慶応通信.

小田信夫・茂木茂八・池川三郎・杉村健  1977  マッカーシー認知能力診断検査手引   東京・日本文化科学社

杉村健  1978  へき地における幼児の認知および運動能力  奈良教育大学教育研究所紀   要、 第14号、119−125.

杉村健・今井靖親・広瀬康雄・桶本真也 一1974 幼児教育に関する母親の意見  奈良教   育大学教育研究所紀要、第10号、89−96。

杉村健・藤田正  1977  へき地と平坦部における親の養育態度  奈良教育大学教育研究   所紀要、第13号、71−84.

津守真・磯部景子  1965  乳幼児精神発達診断法一3才〜7才まで一  東京・大日

  本図書.

〔付言己〕本研究を行なうにあたり御協力を頂きました吉野郡上北山村立保育所、下北山村立池原 保育所、浦向保育所、奈良市立春日保育園、育英幼稚園の諸先生方、御父兄方に対し深い感謝を 捧げます。また、結果の整理に際しては、心理学専攻生の島恒生君、中沢新治君、井原和代さん 他の方々のお世話になった。厚く感謝します。

一126一

参照

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