1
激動期を生き凌いだ詩人
―ヘンリー・ヴォーンの全自作詩試訳完了
森 田 孟
本 誌 前 号 の 最 後 で 取 り 上 げ た「 執
し念
つ深
こい 運 命 」[
三 四
―三 七 ]( [ 続 小 考 ( 七 )
M・ 六
33―thoulightEssence
に「 君 」( ) と 語 り か け な が ら、 突 如 パ ウ エ ル に 視 点 ) に 到 り、 一 個 の〈 純 粋 存 在 〉( ) と な っ て 天
’.hatesthebestInheritanceformetheEmpyrean)、と挑戦する。 〈運命〉 り、 軽 や か に 飛 翔 し て〈 最 高 層 の 〉 光(
Thyれ る の が 私 に と っ て の 最 良 の〈 遺 産 〉 に な る の だ( 自分の〈魂〉の火は洗練されて、何もなくなった状態とな
subject) で あ る 自 分 自 身 を 貶 む、 と 揚 言 し、 「 君 」 に 憎 ま 星、木星、土星へと放出してゆく。そうして縺れが解けた
ruinthyう( )とする〈運命〉に、 「君」 (〈運命〉 )の臣下(
―を、それぞれ順に、地球、月、水星、金星、太陽、火
fallそ の 詩 は、 ま ず、 自 分 を 降 伏( ) さ せ よ う、 滅 ぼ そ 術、 情 愛、 誇 り、 向 う 見 ず と 無 遠 慮、 強 欲、 魔 術 と 詐 欺 支えあるまい。 向けて、自分を構成しているもの
―土、能力、緻密さと
’cananalyseallthatsmanのだけでなく、彼の全作中の代表作の一篇と見做しても差 ( … )。 そ れ で、 宇 宙 へ と 視 線 を
HenryVaughan, 162195ン (
―) の最後の詩集 『タレイアー』 ねる」存在なので、人間を構成している全てを分解できる
Icanexpireパウエルに向けて書かれた形の力作で、ヘンリー・ヴォー え 始 め る。 「 私 」 は「 息 を 引 き 取 れ る( ) = 死
42Fancy]) は、 長 年 の 年 長 の 親 友 が ら、 自 在 に 視 点 の 動 く〈 空 想 〉( ) が「 私 」 を 捉
youが 移 っ て「 あ な た 」( ) と 呼 び 掛 け る。 そ う こ う し な
2
使や精霊と一緒に「私」は暮らすことになる。と、空想が 展がってゆく。 他 方、 「 あ な た 」 パ ウ エ ル を、 土 星 の 領 域 に 休 ま せ る の は、 「 私 」 の、 そ れ も「 暗 い〈 想 像 力 〉」 (
mydarkImagination) だ と 逑 べ て、 〈 空 想 〉 と〈 想 像 力 〉 と が さ り 気なく識別されているのは注目されよう。その両者を詳細 に 区 別 し て み せ た 後 の( 一 八 一 七 年 ) コ ウ ル リ ッ ジ
*へ と 繋 がってゆくだろうか。
*S.T.Coleridge, Biographical Literaria, ed.
1962 , 1907. FirstEdition
[ ]) 第四、一〇、一三章など参照。
EssaysbyJ.Shawcross, 2 vols.OxfordUniversityPress,(
& Aesthetical「 私 を 賢 く す る の は 貧 困 だ 」(
’Tispovertythatmakesmewise;) と か、 「〈 空 っ ぽ 〉 に 匹 敵 す る〈 祝 福 〉 は な い 」 (
ThereisnoBlessingtoanEmptiness !)などの警句めい た 文 の 幾 つ か と 共 に こ の 作 品 は、 〈 運 命 〉 と 格 闘 す る 夢 想 に現代の読者をも深々と惹き込んでゆく秀作であった。 この詩が、質・量共に見事な蔵書を世界に誇るボドリー 卿 の 図 書 館 を 讃 え る 詩[ 続 小 考 ( 一 )
21―
というのも心憎い 技 と言うべきだろう。人に〈空想〉を促
わざ 24] の 次 に 配 置、 を 讃 え た「 パ リ ン ゲ ニ ウ ス 」( 前 号 、[ 続 小 考 ( 七 ) 歌の詩の直前に、そして、やはりヴォーンが感心した著書 は、先行の書籍類に他ならないのだから。その、図書館讃 し、 〈 想 像 力 〉 を 駆 使 さ せ る 原 動 力 の 重 要 な 一 部 に な る の
30―
行の二行連句、四二行の作品。 の最初の一篇で、軽妙な社会批評の詩である。一〇音節詩 この詩集に収録されている、同じ人物に関連する三作品 の直後に現れるのが、次の作品である。
33])
著者も共にロンドン在住中の リュシマコ ス
(((
へ
To Lysimachus, the Author being with him
in London
会わなかったね リュシマコス、昨日は、ぼくたち あの綺麗な〈空気〉をそのままに吸い込んだし、 ぼくたち自身もそのままだったが、あの装った〈 伊達男た
ち 〉の 諂
へつらいざまと、一歩ごとに交わし合う何かしらの〈お世辞〉
たらたらぶりときたら?
3
何と不思議な 途方もない〈 図形 〉を連中は描いたこ と
(((
か 〈両脚〉と〈両腕〉で、ぼくらの全く知らなかった 類
たぐいのも
のだ エウクレイデ ス
(((
やアルキメデ ス
(((
では。それにその全て 学識に富む行で 〈 詩 〉 でも 〈 散文 〉 で も
(((
ないものはない? 何と大量の〈 レース編み 〉がそこにはあったこ と
(((
か、何と
〈 黄 金
(((
〉が 豊かな〈 痕 跡
(((
〉を残していたことか、おまけに敢 え
(((
て その誇らし気な 物 を値踏みまでしてその〈 粧
めかし屋ども 〉を 嘲笑した様ときたら、彼らの誇りの一部だったもので? 連中が我らを目指して大胆にも呼びかけた有様ときたら まるで我々は彼ら皆の〈召使い〉で 我らそのものを軛で
繋いで 彼らの〈 椅子駕 籠
(10(
〉と〈豪奢〉の担ぎ手にすべく過酷な運
命で そこへ送られてきた哀れな〈 人間ラバた ち
(11(
〉みたいでは? あらゆる野心の中でもこれは最小のものではなかっ た
(12(
ので その 意
ドリ向
フトが 人間を獣に変えたのだった。 どのような無茶な話し合い を
(13(
あの〈 英雄たち 〉は受け
入れたのか? この〈 貴婦 人
(14(
〉は彼らの〈友人〉だった、だから大変な
〈 支
ロード配者 〉なのだ。 どれ程多くの〈 血 〉がその中にあったの か
(15(
?分るだろう 彼はベヴィスとそのアランデ ル
(16(
に由来したのだ モーグレ イ
(17(
はまだ彼が身につけていた だから彼なら為し
遂げただろう それでもって彼の 古
いにしえの〈祖 先
(11(
〉よりも多くの偉業を。
ぼくの〈友人〉はこれに驚くだろうか? それは何だろ うね君には、君はもっと名門の〈家系〉を提出できるし 全く真実のところ 君の血縁の〈魂〉を支持できるの だ
(19(
よ どこかの明るい〈 星 〉とか〈 ケルビム 〉に対してね?。 これらがやたら気前のよい 気 分
(20(
のうちにその夜を 同じ罪を犯しながら過ごすと 彼らは光を追い払い 君の習熟した 倹約 が彼 女
(21(
を利用するが、他方彼女 は
(21(
自らの炎立つ〈大型 本
(22(
〉を君に顕に示す、 すると分離された個々の 空
(23(
とそれぞれの明るい〈ランプ〉 を注意深く思いを凝らし眼を見張って眺めながら 君は
〈大自然〉の最大の閉ざされた部屋部屋からぱっと
〈天界〉に姿を現して、そこで〈星々〉と話を交わす。
個人の秘め事 でしか〈 暗くなら 〉ないような
4
無邪気な 幸せな 夜 は うまくいってくれよ、 そして偽りの世界の 栄光 だけは免れながら それにも伴うあの 弱点 は 全て避けてくれよ! 彼ら の
(24(
不正入手と不正授与の賞讃を聞いても苛立たずに 君の最も暗い夜な夜なはこの上なく明るい昼日中を凌いで
輝くのだ。 [
M
・六三二
―三三]
訳注 (
の 能 力 を、 報 復 の よ う に し て 主 張 す る も の[ し、 想 像 力 に よ っ て も っ と 豊 か な 生 活 を 送 れ る 作 者 自 身 ド ン の〈 伊 達 男 〉 の 馬 鹿 気 た 尊 大 さ へ 作 者 の 思 い を 劇 化 の 社 会 批 評 の 責 任 を 作 者 自 身 が 負 お う と す る も の。 ロ ン
1) 正 体 不 明。 全 く の 想 像 上 の 人 物 の 可 能 性 が 高 い。 こ の 詩
用 し た 筆 名 の 典 型 で、 こ れ は 特 に オ リ ン ダ[ 続 小 考 ( 二 ) 当 時 流 行 の フ ラ ン ス の 伝 奇 物 語 類 を 賞 讃 す る 人 々 が 採 四]
Ma・ 二 九
47・ 訳 注(
6
) 参 照 ] の 文 学 仲 間 が 装 っ た[
実際、双生児の弟トマスだったかも知れない[ 六
―五七]
RA・ 六 五
H・ 将軍(三六一?
―二八一 こ の 人 物 の 正 体 は 不 明 だ が、 こ の 名 前 の マ ケ ド ニ ア の
3]
BC
]が実在する。 (
WhatDiagramsLegsandArms2
) … … 伊 達 男 た ち の 気 障
きざな気取った立ち居振舞いへの諷刺表現。 (
( 者、主著『幾何学原本』 。 ン ド リ ア の 数 学 者・ 教 育 者、 ユ ー ク リ ッ ド 幾 何 学 の 大 成
Euclid3) エ ウ ク レ イ デ ー ス、 紀 元 前 四 世 紀 頃 の ア レ ク サ
( デース、シチリアの数学者・博物学者。
Archimed Archimedesc.217212 B.C.4) = (
―) ア ル キ メ ー とはヴォーンの時代、交換可能だった[ や 図 形 へ の 機 智 表 現。 尚、 疑 問 符(?) と 感 嘆 符(!)
Whose learned linesProze5) … 数 学 者 た ち が 例 証 す る 数 字
(
Ma・二九五]
行の見せびらかしの証[
WhatstoreofLacewasthere6) レースは贅沢品なので流
(
RA・六五七]
Goldthegoldlace7
) = [
(
Ma・同]
2OEDtraceSb
や、平たい襞織り( )[
3Traces1
) 長 衣 な ど を 調 整 す る た め の 金・ 銀 糸 で 編 ん だ 紐
(
RA・同]
( [同] 事 実 上 彼 ら が 道 徳 面 で 劣 っ て い る こ と の 判 断 に な る も の 黄 金 は、 粧 し 屋 た ち が 互 い の 値 打 ち を 量 る 尺 度 な の で、
/ butwithallmadeboldTomeasuretheproudthings9)
diadys)「豪奢な椅子駕籠」 [同]
10SedansandStatepompoussedans.hen
) = 二 詞 一 意(
‘sedan’
は 二 本 の 棒 の 上 に わ た し て 乗 せ た、 囲 り を 覆 い 閉 ざ し た 椅 子 で、 前 後 に 一 人 ず つ の 二 人 で 運 ぶ。 重 要
5
人 物 の 乗 物 と さ れ た。 イ ン グ ラ ン ド に は 一 六 三 五 年 頃 に 導入され、二世紀余り使用された[
(
Ma・二九六]
( 気持を示している表現[同]
11Men-mules
) セ ダ ン を 運 ぶ 人 々 へ の 負 担 に 賛 成 し か ね る
( け入れたことを軽蔑した評言[同]
12Ofallambitionsmanintoabeast
) … 社 会 が セ ダ ン を 受 ない談話」 [
13blinddiscoursetalklackingindiscernment) = [弁別力の
(
RA・六五七]
( の作品の「ファイダ」になるだろうか。
14 Lady) 前 行 の「 談 話 」 で 話 柄 と な っ た 女 性 で あ ろ う。 後 勇との両方を印象づけようとしている[ の 粧 し 屋 ど も は、 自 ら の 高 貴 な 家 柄 と 闘 争 へ の 興 味・ 武 れ た か 」 と「 そ れ は 血 腥 い 争 い だ っ た の か 」 の 両 義。 そ 表 現 で、 「 彼 ら の 談 話 で は ど の く ら い 血 筋 の 自 慢 が 交 わ さ
15 HowmuchofBlood wasinit) 計画の上での故意の曖昧
(
RA・同]
た評判の騎士物語の主人公とその愛馬 [ な く と も 二 回( 一 五 六 五 年 頃 と 一 六 二 〇 年 頃 ) 出 版 さ れ
The Historie of Sir Bevis of Southampton版では、 の題で少 ン ス 語 版 が 最 初 一 五 二 〇 年 に 出 た 伝 奇 物 語 作 品 で、 英 語
, 910to the Earl of Newcastle, Underwoodsliii―)参照。フラ
Epigramヴィス卿とそのアランデルの/自国産の伝説…」 (
16BevisandhisArundel
) ベ ン・ ジ ョ ン ソ ン の「 大 胆 な ベ
Ma
・同] [
同]
RA・ (
[
17 Morglay) 字 義 通 り で は「 大 剣 」、 ベ ヴ ィ ス 卿 の 武 器
(
RA・同]
る[
11.GrandsireSirBevisfop
) = そ の 粧 し 屋( ) の 自 慢 に な
(
Ma・二九七]
教 に 改 宗「 使 徒 言 行 録 」 テ ネ の 学 者、 紀 元 五 〇 年 頃、 聖 パ オ ロ に よ っ て キ リ ス ト
DionysiustheAreopagiteオニシウス・アレオパギタ ( [ア が 天 上 に 起 源 が あ る こ と を 強 調 し た く て、 そ れ を、 デ ィ
19thySoulofkintoaCherubin
) … ヴ ォ ー ン は、 友 人 の 魂
17
・
[ 恒 星 の 領 域 を 支 配 す る ケ ル ビ ム( 智 天 使 ) と 結 び つ け る シ リ ア 地 方 の 学 者 の 偽 装 と さ れ る ]) の、 天 上 の 階 層 で は
34。 近 年 で は 五 〇 〇 年 頃 の
(
RA・六五七
―五八]
20profusemoodsprofligacy
) =
「 浪 費、 放 蕩 」[
( 五八]
RA・ 六
21herthenight) = [
Ma
・二九七] [
(
RA・同]二行前の。
な書物」
22herfiryfieryVolume) [ ] ハビングトンの 「各大空の大き
1(「詩篇)
19
・ を参照[
2「夜は夜に知識を示す」 から)
て、 本 来 備 え て い た 神 の 真 の 知 識 を 失 う こ と に な っ た エ ン ス の 宗 教 思 想 の 基 本 要 素 で あ っ た。 気 儘 な 背 信 に よ っ れ と 少 し で も 密 接 に 結 合 す る こ と、 と い う の が ル ネ ッ サ の 主 な 目 的 は、 〈 神 の 精 神 〉 を 出 来 る 限 り 十 分 に 知 り、 そ
withtheStarsこ こ か ら の 六 行( … ) 人 間 各 人 の 人 生 で
RA・同]
6
デ ン の 園 で の 罪 を 贖 う に は、 堕 落 し た 人 間 は 二 冊 の 書 物
―「 バ イ ブ ル 」 と「 自 然 と い う 書 物 」
―に 依 ら ね ば な ら な か っ た。 (「 執 念 深 い 運 命 」[ 続 小 考 ( 七 )
(
41] 訳 注 るのだ、という考えがこの詩に在る[
‘’Intelligenciesい る 〈 支 配 霊 〉 に 特 別 親 近 感 を 抱 い て い て、 「 星 の 領 域 」 に 住 ん で い て そ の 領 域 の 動 き を 制 禦 し て 魅力に富んでいた。 人間は内部に在る精神的な要素によっ も 本 質 的 に 神 に 近 い 部 分 を 表 し て い る、 と い う 点 で 特 に だ か ら、 ル ネ ッ サ ン ス の 精 神 に と っ て は 星 は 自 然 の 中 で 分 と は 異 な っ て 純 粋 で 変 化 し な い も の
―の せ い で あ ろ う。 た 一 般 的 な 宇 宙 観
―宇 宙 の 天 空 の 部 分 は 不 純 な 地 上 の 部 新 し い 科 学 の 諸 発 見 と は 矛 盾 す る に も 拘 ら ず 広 ま っ て い 書 物 〉 の 特 別 に 重 要 な 一 部 だ と 考 え た が、 そ れ は 当 時 の ヴ ォ ー ン は、 当 代 の 多 く の 作 家 同 様、 大 空 を〈 自 然 の
59)参照)
(
Ma・二九八]
離されていると言われている[ 大 空 と 我 々 と の 霊 的 な 状 態 の 違 い、 と の 両 方 に よ っ て 分
23theseparatedskies
) 大 空 は 我 々 か ら、 実 際 の 距 離 と、
(
RA・同]
24theirthefops’
) = 「粧し屋たちの」 [
Ma
・二九九]
ヴォーンが父親の要望でオックスフォードを中途で切り 上げて法律を学ぶためにロンドンに赴き、そこに滞在した の は、 お お よ そ 一 六 四 〇
―四 二 年 の ほ ぼ 二 年 間 ぐ ら い と み ら れ て い る[
は、 ギ ニ ー、 モ ー ガ ン 両 嬢 の 熱 意[ 言うのも仕方がない。ヘンリー・ヴォーンの生涯について
H・ 三 〇
―四 七 ]。 お お よ そ、 と か、 ほ ぼ、 と
う[ 師の資格を何処で何時取得したかも記録が見当らないとい 死亡年月日など、公の記録が脱落していて分らず、彼が医 生れた月日を始め、二度結婚したその年月日、最初の妻の の精査にも拘らず、不明なままの部分が少なくない。彼の
MG] や ハ ッ チ ン ソ ン
の祝婚歌である。 讃 え た 詩 と「 執 念 深 い 運 命 」
―に 続 い て、 親 し い 従 兄 弟 へ
しつこ次 に、 先 刻 触 れ た 既 に 見 た 二 篇
―ボ ド リ ー 卿 の 図 書 館 を い作品であろう。 風俗を諷刺して間然する所がない。如何にもこの作者らし し屋」の「伊達男たち」を代表にして当時の首都の世情・ ア ル キ メ デ ス に ま で 言 及 し て 内 容 を 膨 張 さ せ な が ら、 「 粧 卿なる人物の登場する騎士物語ばかりか、ユークリッドや ロンドン在住中、と標題にあるこの作品だが、ベヴィス
H・ 一八一
―九四 ]。肖像画の類も皆無である。
7
ホワイトホールのⅠ・モーガン 殿
(((
へ、その突然の旅と
引き続いての結婚について
To
Ⅰ. Morgan of White-Hall Esq; upon his sudden
Journey and succeeding Marriage
そうし て
(((
我らの寒い荒涼とし た
(((
あらゆるものに活気の
なくなる〈世界〉から 彼の暖いインド亜大 陸
(((
へと 明るい太陽が退いてゆく。 そこはあの
〈黄金〉と香料の地方で 芳香 が彼の巡 行
(((
を、 喜び が彼の〈両眼〉を、満たす。 それらは改めて活気づいて戻ってくると 火を
〈 紅 玉 の 〉〈 水晶の 〉日に と
(ルビー((
運び込む、 そして証明するのだ
ら 更に働きかけられると ここでの 人間 によりは感覚の 〈 光 〉はもっと温和な〈風土〉でな
ない〈 石 〉の方に。
し か し あ な た は 輝 く
(((
定めだった人らしく取り込むのだ 〈 光 〉と〈 熱 〉の両方を、 〈 愛 〉と〈 慧智 〉は紡がれていっ て一本の糸 と
(((
なり、それとしっかり結びつけるのだ その 同じように明るい〈祝福〉を子孫に、 それはこうして伝えら れ
(((
て
〈王冠〉の〈
宝石 〉のように あなたの〈 名前 〉と共に 永遠にあなた自身のものへと降
りてくる。
私が死ねば 悪意か無視が生れ その最悪のものが私の 亡
ダスト骸 に反映させられるだろう (というのも
から、唯、人々が余りにも 嫉妬した り 軽蔑した ような名は 〈 詩人たち 〉はまだ名前を何ら残さなかった
別だが) あなたはそのどちらで も
(10(
ない(それに どういう 状態 の方
が優れているのか? 〈 健康 〉のような正当な〈名声〉は 欠ける ことも 増える こ
ともないのだか ら
(11(
) 時代が〈完全な〉ままで あなたの惑星の〈火〉同様 常に染み一つ無く輝いていると分った後まで。 単独で輝くものはない。あなたの美しい〈 愛しい人 〉が 加わっ て
(12(
あなたの輝きを引き立て祝福するのだ。 あの明るい〈 結合 〉 か
(13(
ら人々が 彼女とあなたを 取り巻いている〈 星 座
(14(
〉を見ることが出来るまで。
そのように二本の芳しい〈 薔薇の芽 〉が〈 乙女の寝床 〉
から まずそっと覘き見て頬を赫らめ それから口付けし 頭を
8
くっつけ合う、 遂には年ごとの祝福が自らの蓄えを増やして あの二本が二十と二本以上まで数えられるようになり その美しい〈 盛
バンクり土 〉は(天国の気前のよい報奨金で〈冠
を授けられて〉 ) 選り抜きの〈 才
スウィーツ士 〉と〈 美
ビューティーズ人 〉で溢れかえる、 遂には時が、 〈 花々 〉のように〈 家族 〉を遠くまで広げな
がら 彼らを〈 花の冠 〉を求めて最上の人々へと赴かせ る
(15(
。 そうなれば最近の子孫が(もし偶然か、何か 弱々しい〈 木
エー霊
コー〉が、殆ど全く消えて声が出ないまま 彼らに告げてくれるならだが、その〈 詩人 〉が誰だったか
どのように 彼 は 生 き て あ な た を 愛 し た の か も、 あ な た は 御 存 知 だ が ) 真直ぐ私の墓まで〈 花々 〉と 香辛料 を 〈 光 〉 と〈 讃 美 歌 〉 共 々 届 け て く れ る だ ろ う、 そ し て〈 捧 げ物 〉としてそこで こう真実を明言してくれるだろう、
〈 愛 〉 が
(16(
(昔は 盲目だ と非難されていて更に悪い〈犯罪〉を招くものだっ た
(17(
、もし心が直せなければだが)あなたのために私の中に 彼の〈 眼 〉を両方共見出して 全てを予言して見てくれた
のだと。 [
M
・六三七
―三八]
訳注 (
ズ・ ウ ェ ン )。 彼 の 結 婚 の 日 付 は 知 ら れ て い な い[
‘’Neuaddwenト ホ ー ル 」 の ウ ェ ー ル ズ 語 な ら ( ノ イ ア ニ ュ ー ト ン の ア ス ク 川 の 対 岸 )
―に 住 ん で い た。 「 ホ ワ イ
‘’WhiteHillズ 語、 英 語 化 す れ ば )
―ヴ ォ ー ン の 居 住 地
LlandettyWenallt,( ) の ウ ェ ナ ハ ト ゥ(
―こ の ウ ェ ー ル リ ー・ ヴ ォ ー ン の 従 兄 弟 で、 近 隣 の フ ラ ン デ テ ィ
JohnMorgan, ?16991) ジ ョ ン・ モ ー ガ ン(
―) は、 ヘ ン
( 一七、二二二]
H・ 二 語[
So2) 太 陽 と こ の 詩 と の 類 比 が す ぐ 続 く こ と を 先 取 り す る
(
Ma・三一四]
の障害だと信じていた[ 慮 し な が ら、 イ ギ リ ス の 風 土 の 荒 涼 さ が 詩 や 哲 学 の 成 功
ourcold, rudeWorld3) 教養人は地中海地方の文化度を考
(
RA・六六四]
て お り、 ギ ア ナ( 「 執 念 深 い 運 命 」[ 続 小 考 ( 七 )
Indies4) 当 時 は、 東 西 イ ン ド 諸 島 と イ ン ド を 漫 然 と 指 し
33―
九 四 行 目 ) や ア メ リ カ( 「 あ る 悲 歌 」[ 続 小 考 ( 四 )
42]
19―21
] 一 七 行 目 ) 同 様、 そ の 神 秘 の 雰 囲 気 か ら、 表 現 し 難
9
い 富 や 美 と 結 び つ い て い た。 古 代 神 話 の 理 想 郷 エ ー リ ュ シオンになっていた[
(
Ma・三一四
―一五]
官 な ど の、 視 察 旅 行、 巡 行、 行 幸 」[
progressroyalprogressorprocession5) = 「国王、政府高
[
Ma・ 三 一 五 ]
(
RA・同]
シ ェ イ ク ス ピ ア『 ジ ョ ン 王 』 Ⅲ・ ⅰ・ 陽 に は 錬 金 術 の 力 が あ る と す る 理 論 に、 示 唆 さ れ て い る。 家、 『 歴 史 文 庫 』 四 〇 巻 著 述 ]) に 由 来 す る と さ れ る、 太
DiodorusSiculus( [ 紀 元 前 一 世 紀 後 半 の ギ リ シ ャ の 歴 史 作 者 は 考 え て い た。 デ ィ オ ド ロ ス・ シ キ ュ ル ス 映 し て い る 色 を 宇 宙 の「 光 と 熱 」( 一 〇 行 目 ) の 象 徴 だ と
FireintoRubies, intoChrystalls day6) ル ビ ー と 水 晶 に 反
77―
10
「
今 日 の 日 を 荘 厳 に せ ん も の と 輝 か し い 太 陽 が / 歩 み を 留 め て 錬 金 術 士 を 務 め て / そ の 貴 重 な 眼 の 光 で 変 え よ う と し て い る / つ ま ら な い 土 く れ の 大 地 を き ら め き 輝 く 黄 金 に 」 参 照 [
Ma
・同] [
(
RA・六六四
―六五]
の人格との類似を促進する[ の 面 で 秀 で る 」 の 意 を 含 有 す る こ と で、 太 陽 と モ ー ガ ン
shine7) 字 義 通 り の「 明 る く な る 」 と、 譬 喩 で の「 人 物
(
Ma・三一六]
ア モ レ ッ ト ヘ 」[ 続 小 考 ( 四 )
Intoonethred1) 太 陽 光 線 と 糸 と の 類 推 は、 「 泣 き ぬ れ る
( 線〉のあの〈糸玉〉から/…糸の一本も」参照[同]
32] 六
―七 行 目「 〈 太 陽 光
intail’dentailedbestowed; conferred9
) (= )= 「授ける、 て の 使 用。 「 彼 の 友 人
―へ 」[ 続 小 考 ( 五 ) 与 え る 」。 土 地 を 授 け る 過 程 を 表 す 法 律 用 語 の、 譬 喩 と し
と訳注(
11] 二 行 目
2)参照[
(
Ma・同]
[
10 ‘’ ‘’bothmalicenegrect) 四 行 前 の 「 悪 意 」 と 「 無 視 」
(
RA・同]
11likeHealth, norwants, norswells
)
「肥りすぎでも痩せす
ぎでもない健康な人のように」 [
(
RA・同]
を指す[
12accessaddition; increase. ‘Love’) = 〈 愛しい人 〉は「妻」
(
Ma・三一七]
惑 星 の 出 逢 い 」[
13Conjunction
) 通常の 「合体・連帯」 の意と共に 「二つの
考 (七)
RA・ 同 ] /「 パ リ ン ゲ ニ ウ ス 」[ 続 小
30―31
]の一〇行目参照[
(
Ma・同]
ぎの褒辞[ い 星 々 の 固 ま り に 譬 え て の 言 及 は、 慣 習 に 従 っ た 凝 り す
14Constellation
) 結 婚 に よ っ て 期 待 さ れ る 子 供 た ち を 明 る
(
Ma・同]
15
thebestofheads
) 結婚の際立った伴侶[
(
Ma・同]
る説明にする[ ん で い る と し て い て、 彼 が 相 手 を 気 紛 れ に 選 ぶ と い わ れ
16’Lovecensurdblind
) … 古 典 で は キ ュ ー ピ ッ ド を 目 が 眩
(
Ma・同]
の水準に触れているのだろう[同] 政 復 古[ 一 六 六 〇 年 ] 後 の 宮 廷 社 会 内 で の、 緩 ん だ 倫 理 ら か に 傍 白 の 部 分 な の で、 そ の 意 味 を 確 定 し 難 い が、 王
17/ andwillcontractworseCrimesIfheartsmendnot
) 明
10
この従兄弟は、セントデイヴィッズ[ ウェールズのダヴェ ド(
Dyfed) 州 西 部 の 町 ] の 法 官 ウ ィ リ ア ム・ オ ー ブ リ ー 博 士(
Dr. WilliamAwbrey, chancellorofSt. Davids)の娘と 結婚した[ グロサール、ⅱ・二二二 ][
な く、 そ れ よ り 大 分 後 に[ 訳 注( 書 誌 学 上 の 証 拠 か ら、 こ の 詩 は 一 六 五 〇 年 以 前 の 作 で は
Ma・三一四 ]
われるもの[
17) 参 照 ] 書 か れ た と 思
ある。 行が九音節、六七行目が一〇音節)二行連句七四行の詩で になる。これは、八音節詩行(但し、冒頭の二行を含む六 連句、四四行の詩。続いてすぐ、リュシマコス関係の作品 という三九行目が一一音節以外は全て、一〇音節詩行二行 行 目 と、 「 真 直 ぐ 私 の 墓 ま で〈 花 々 〉 と 香 辛 料 を 届 け る 」 「 時 が〈 花 々 〉 の よ う に〈 家 族 〉 を 広 げ る 」 と い う 三 三 ことまで期待するユーモアの滲む機智が、やはり面白い。 た 」 の 子 孫 が 嘉 し て く れ て、 「 私 」 の 墓 詣 で を し て く れ る
よみも 現 れ る と こ ろ が、 ヴ ォ ー ン ら し い し、 こ の 詩 を「 あ な の念頭からいつも離れない。それがこのような祝婚の詩に 今は時代が不「完全」だという残念な思いが、この作者
Ma・同 ]。 ファイ ダ
(((
、即ち田園の美女。リュシマコ ス
(((
ヘ
FIDA: Or The Country-beauty:
to Lysimachus
もうぼくは彼女に遭ってしまった、それでキューピッドに
よっ て
(((
その若いメデューサ は
(((
ぼくの分別を失わせたのだ! ある顔が、 〈恋する人たち〉を誰も 殺
スレイ害 したことはないが、 支配力を欲しがって 尊大なまでになっている。 〈 粧し屋 〉は誰もがじろじろ見るだろうから 眠っている〈王族〉を。 しかし彼女は(美しい〈暴君〉!)嫌がるのだ 見詰めておきながら罰を受けない者がいるなんて。 彼女の慎重な〈厳しさ〉は勇気を振って耐えて 蔑むのだ ひいひい泣く涙の策略を、 あるいは溜息を、あの偽の 悲しみの武器〈一切〉を、 それは 殺
キす
ルものではなく 安堵をもたらすものだ。 また こういう〈苦難〉の際、唯一人で いるのは 君 の
(((
辛い 宿
フエ命
イトではない、 やっては来たものの去ってゆくことになるぼくは
11
唯じっと見ているだけで苦しめられるのだから。
彼女の額から足まで注目しよう あらゆる魅力に富む〈 恋人たち 〉がそうし よ
(((
うとしてそこ
にいる。 〈 頭 〉は、 〈 機智 〉が風変りな物語の中で 翳らせた あるいは豊かな色彩を使って 画筆 が真物 を
(((
真似て描いた あのあらゆる栄光で 飾られていた。
彼女の〈 髪 〉は奇妙な〈 髷
(((
〉に 〈 結い上げ 〉られて 絹の〈 網 〉のようにみえたが それで(彼は〈 成り行き任 せ
(((
〉だったから) 〈 愛 〉の〈 神
(10(
〉が彼女を虜にして ひどく陽気な〈翼〉でばたばた煽って 彼女の髪をすっかり〈巻き毛〉にし〈輪〉にする。
きらきら光る〈星々〉よろしく彼女の〈 両眼 〉は 見詰める者を悉く 甚だ甘美な光へと招き寄せるが すると褐色の アーチ型の 〈 雲 〉が 二
ふた片
ひらばかり 上に現れて、顔を顰めて彼らを護る。
こういう彼女の明るく輝く〈眼〉の光線の下に 美女の豊饒な 淡紅色 の〈 寝台 〉が横たわる。 淡紅色、それは雷光のようにやってくるが 見詰められる程留まってはいないで 彼女の〈肌〉の〈 百合の花 〉から去ってゆく 今まで同様美しく、そして走り続ける、 白い 昼日中と〈 深紅色の 〉〈暁〉とが交わ る
(11(
、 素早い(艶のない 化粧 を蔑む) 〈 挨拶 〉のように。
どのような〈 珊瑚 〉なら彼女の〈 唇 〉に譬えられるか? 何 し ろ 彼 女 の は 温 か で ふ く よ か で 和 ら い で 震 え て い る の だ 、 もし敢えて〈 赤い色 〉で張り合うにしても こちらのは 生きている が あちらのは 死んでいる 。
彼女の粒揃いの〈 歯 〉(上、下)は 〈 大きさ 〉が全て同じで〈 滑らか 〉だ。 そこに 隙のない制 禦
(12(
と畏怖の下に (それこそ〈 処
おとめ女 の〉 〈暴君の〉法なのだが) 籠に入れられて不機嫌な〈 ムネアカヒ ワ
(13(
〉のように、留ま
っているのが 彼女の〈 舌 〉であり、強力な呪文を解く〈 鍵
(14(
〉。
彼女の〈 肌 〉は、平穏で明るいせいで 白 のかかった 濃厚な 紺碧 を示す時の天国のようで、 心臓ならさこそと思われるよりもっと柔らかな 感触 で
12
咲き開いたばかりの〈 薔薇 〉のように甘美な〈 息づき 〉ぶ
りだ。
この〈 岬 〉と〈 大海原 〉との 間
(15(
に、 ということは 豊饒で花咲き充ちる〈 平原 〉に 横たわる の が 彼 女 の 美 し い 〈 首 〉 で 、 肌 理 細 か く 細 っ そ り し て い る の で
(穏やかに)君の喜ぶ様が見ものだが
それが彼 女
(16(
を
屈服させる。
これが君を彼女の〈 心臓 〉に導くが、それはぎゅっと摑
まれると 真白な〈 寒冷 紗
(17(
〉の〈 敷布 〉の間で激しく鼓動する、 それで初めのうちは大いに悩んでいるようにみえるが、 気高く扱われて 安堵するに到る。
ここで新雪で造られた二箇の〈 玉 〉のよう な
(11(
彼女の〈 乳房 〉を
〈愛〉の天然の
枕 が育てる、 そしてその各々から〈 薔薇の芽 〉が〈覗き出る〉のを 美しい〈 幼な児 〉が吸いながら、眠りにつく。
さあ、ねえ、吾が〈 禁欲 家
(19(
〉さん、 〈 美人 〉を 見ても〈 優
みやび雅 な人 〉に逢っても悉く顰め面をして 汚らわしい と叫ぶなんて! 尤も君自身はあらゆる 粗野な汚れた暗 礁
(20(
には知られているのだが。 君なら見ることが出来るのでは? このような 例 に、 〈 甘美なもの 〉と 至福 に充ち満ちた例に、 姿形 は甚だ稀な
君なら誓ってみせないだろうか 彼女は魔女なのだ と
21(〈 魂 〉は大いに豊かな例に、
(
。 [
M
・六三八
―四〇]
訳注 (
ンは、思うさま彼女を賞讃できる[
Fida1) リ ュ シ マ コ ス の 恋 人、 全 体 の 虚 構 の せ い で ヴ ォ ー
‘faithful’
という意味[
Britannia’s Pastorals, i, 3, etc.)に出てくる名で、 「忠実な」
Browne’sファイダは、 ブラウンの 『ブリタニアの牧歌』 (
RA・六六五]
(
M・七五八]
Lysimachus2
) 前掲作訳注(
[
, “”56JonsonHowhesawherド を 訪 れ た の だ か ら 」(
―) こ と、 「 私 は 愚 か ど こ ろ で は な か っ た / 走 っ て キ ュ ー ピ ッ
AndbyCupidstupid( 3 ) … ジ ョ ン ソ ン の 次 の 一 節 と 比 較 の
1)参照。
(
Ma・三一八]
を伝えるのに採用した[同] に 変 っ た。 ヴ ォ ー ン は 軽 い 気 持 で フ ァ イ ダ の 美 し さ の 力 そ の 髪 は く ね り 纏 わ る 蛇 で、 そ れ を 見 詰 め た 者 は 皆、 石
Medusa4) ギ リ シ ャ 神 話 の 女 性 ゴ ル ゴ ン 三 姉 妹 の 一 人。
13
(
thyLysimachus’5
) = [
RA
・
六六五] (
[
’‘’todottoplagueobserversortheonlookers6) = 懲らしめる」 [
RA・ 六 六 六 ] 「( 見 物 人、 観 察 者、 見 詰 め る 人 々 を )
(
Ma・同]
thetruetheoriginal7
) = 実際の「頭」 、 現物[
(
Ma・同]
curiousSetts/ AndTwists1
)
マ リ ア 」[ 小 考 ( 四 ) 『 燧 石 』 所 収 の「 マ グ ダ ラ の 認識[ と 比 較 の こ と。 婦 人 の 髪 は 恋 人 の 心 を 捕 え る 罠 だ と い う 巻 〉、 〈 地球儀 〉、 艶かしい怒り〈 巻き髪 〉に結ったのか?」 い方の描写 「…その玩具 [彼女の髪] を/手入れして 〈 渦
14] 一 七
―一 八 行 目、 髪 の 色 々 な 結
(
RA・同]
(
hitvIII 22 Hit or miss)
‘atrandom; athaphazard; happygolucky’ OEDらめに」 ( 「 運 を 天 に 任 せ て、 成 り 行 き 任 せ で、 投 げ 遣 り に、 で た 踊」 [同]
’playdatHitt orMissacountrydance9) [
]= 「 田 舎 の 舞
[ 想 の 面 と を 合 せ 持 っ て い た ] の 大 気 の 精 を 強 く 示 唆 す る 設 し た と さ れ る。 密 教 的 神 秘 主 義 の 面 と 当 時 の 改 革 的 思
Rosenkreuz者。 伝 説 上 の 人 物 ロ ー ゼ ン ク ロ イ ツ( ) が 創 紀 ド イ ツ に 起 こ り ヨ ー ロ ッ パ に 広 ま っ た 精 神 運 動 の 共 鳴
Rosicrucianピ ッ ド の 描 写 は、 「 薔 薇 十 字 会 員 」( )[ 十 七 世
10TheGodofLoveCurlsandRings
) … こ こ か ら の キ ュ ー
Ma
・三一九] (
の こ と。 シ ェ イ ク ス ピ ア「 ソ ネ ッ ト 」
11 LikeswiftSalutesCrimsonMorne) … 「挨拶」 とは 「接吻」
る[ い 光 に 呑 み 込 ま れ る ま で の、 太 陽 光 線 の 状 態 を 考 え て い は、 早 朝 の 鈍 い 赤 色 が 過 ぎ 去 っ て か ら 真 昼 の 炎 え 立 つ 白
’noonと は、 積 雲 で 曇 ら さ れ た「 昼 日 中 」 で、 ヴ ォ ー ン
‘awhiteに 接 吻 し た り …」 、 あ る い は「 白 い 昼 日 中 」 て き た も の だ 輝 か し い 朝 が … / 黄 金 色 の 顔 で 緑 の 牧 場
33番「 幾 た び も 見
(
RA・同]
怖」させる故に、暴君性を帯びている[ 奪 い 取 り た い 志 望 者 を「 隙 の な い 制 禦 」 下 に お い て「 畏
12closerestraintTyrantlaw
) … 処 女 で あ る こ と は、 そ れ を
(
RA・同]
( 要点は、この鳥が歌をうたう鳥だということ[同]
13 Linnet) ア ト リ 科 ベ ニ ヒ ワ 属 の 小 型 の 鳴 鳥。 こ の 直 喩 の 人の声を開け閉めする鍵が、その舌[
14theKeytopotentspells
) 強 力 な 魅 惑 の 源 で あ る そ の 婦
みられることの指摘は、読者には有難い。 当 代 の 他 の 詩 人 た ち に 類 似 の イ メ ー ジ、 表 現、 発 想 が
Randolph, “NecessaryObservations”( )[同] に 恥 を か か せ、 自 ら の〈 破 滅 〉 を 語 る こ と に な ろ う 」 「 そ の〈 舌 〉 は、 も し〈 歯 〉 の 垣 根 を 壊 せ ば / 他 の 人 々
, “. . .”ClevelandToMrsKTうとする その舌の監禁に」 ( ) 比 較 の こ と。 「 あ な た が 閉 ざ す 唇 は ど う し て も 同 意 / し よ
‘HerequalTeeth’四 五 行 目 の か ら こ こ ま で、 次 と
Ma・三一九]
14
(
( まで[同]
15BetwixtthisHead-landandtheMain
) 彼 女 の 頭 か ら 胴
16hertheneck) = (前行の) [
( 示している。 「 首 」 が 彼 女 全 体 を 表 す〈 提 喩 〉 で あ る こ と を 自 ず か ら
RA・六六六]
( くは木綿布。
17Lawn
) 無 地 ま た は 捺 染 し た 極 く 薄 地 の リ ン ネ ル、 も し
man”)参照[
Herrick,“TheDescriptionofaWo芽 の よ う に み え る 」( ル ビ ー を 頭 に 戴 い て / 雪 か ら 生 え て き た 気 紛 れ な 薔 薇 の び が 居 座 る 二 個 の 球 体 を 保 ち / そ れ は 二 個 の 華 麗 な 丸 い 女 の 胸 は( 美 人 の 玉 座 が ぴ っ た り の 場 所 だ が ) / 愛 と 悦
11HereliketwoBallssleeps
) … こ こ か ら の こ の 四 行、 「 彼
(
Ma・三二〇]
19myStoic
) 一、 リ ュ シ マ コ ス を 指 す だ ろ う[
の[ で の 主 題 の「 大 胆 な 」 展 開 を 半 ば 気 紛 れ に 正 当 化 す る も 二、 そ う で は な く、 一 般 に 禁 欲 的 な 精 神 の 人。 こ の 行 ま
H・ 八 八 ]
[ 三、 愛 と 美 へ の 無 関 心 を 公 言 し た 禁 欲 的 な 哲 学 者 た ち
Ma・三二〇]
( そういう作品だから、この詩は大変面白いのである。 一、 の リ ュ シ マ コ ス で、 二、 と 三、 を 代 表 さ せ て い る。
RA・六六六]
い る 砂 堆。 譬 喩 と し て、 罠 に か け る よ う な も の。 ベ ン ロ
20shelfe
) 不 注 意 な 水 夫 を 待 ち 伏 せ す る、 水 面 下 に 隠 れ て 六五二] )参照[
, BenlowesTheophilaか ら 脇 へ 逸 ら す た め に 」( の 序 文[ 一 ウ ズ の「 そ れ 故 君 を 思 慮 に 欠 け る そ の よ う な 悪 徳 の 砂 堆
(
RA・同]
”mutualloveoftheirMajesties
) と比較のこと [
“, HabingtonToCastaraUponthe践 す る だ ろ う 時 」( が 彼 の 信 仰 か ら 彼 の 宗 派 の / 教 義 を 取 り 去 り、 愛 を 実 / 彼 な ら 聞 け そ う だ 彼 ら の 眼 の 言 葉 を / 異 端 の 者 た ち ビ ン グ ト ン の「 禁 欲 家 は、 安 易 な 情 熱 を 悉 く 避 け る の で
21SaynowmyStoicsheisawitch
) … この最後の八行、ハ
Ma
・同]
この作品は、とマリラは言う、ヴォーンの通常の詩の書 き 方 と は 殆 ど 全 く 異 な っ て お り、 主 題 が 単 に 慣 習 (
Conventionality) に 依 っ て い る こ と と、 形 式 の 軽 さ (
lightnessofform)の点で彼の愛の詩の大半からも掛け離 れていると。そして、 王党派詩人(
CavalierPoets)[ チャー ル ズ 一 世 の 宮 廷 に 集 っ た 一 群 の 英 国 詩 人、
Herrick, Carew,Lovelace, Suckling, etc.
]の流れへのヴォーンの興味を反映す る も の で、 彼 が『 燧 石 』 の 序 文 ( 一 六 五 五 年 ) で 後 悔 す る よ う に 述 べ た 自 ら の「 最 大 の 愚 行 」(
greatest follies)( [ 小 考 (四)
23
])の見本かと[
マリラにずい分低い評価をさせた要因(彼の見解どおり
Ma・三一七
―一八 ]。
15
だとして)そのものが、筆者には彼のとは真反対の評価を させる。ヴォーンは、彼らしくないとマリラに見做される よ う な 書 き 方 も 現 に 出 来 た 詩 人 な の で あ り、 そ れ こ そ が ヴォーン らしさ ヽ ヽ ヽ であって、イメージ、表現、発想、更には 主題に、慣習に依っていると看られるような部分が仮りに 少なからずある(とは筆者は必ずしも見做さないが)から といって、その作品 全体 ヽ ヽ が慣習の域に留まるわけでないの は言うまでもない。 俗謡めいた感じを惜しまず出しながら、一二行目の「殺 すものではなく安堵をもたらす」 「それ」 (九行目の「慎重 な〈厳しさ〉 」)も備えたファイダの(それも、リュシマコ ス な ら、 と い う と こ ろ が 憎 い な あ )「 魔 女 」 と も 言 え る ( に 相 違 な い ) 絶 大 な 魅 力 を 活 写 し て 余 り あ る、 諧 謔 と 諷 刺の香料を振りかけた軽妙な名品ではあるまいか。 マ リ ラ 自 身 も、 語 句 に 施 し て く れ て い る 註 釈( 訳 注 に 適 宜 紹 介 ず み ) か ら は、 先 刻 の 総 括 の 評 言 ほ ど こ の 作 品 を、 低く評価しているとはみえないけれど。 こ の 作 品 に つ い て ハ ッ チ ン ソ ン は、 『 燧 石 』 と は 調 和 し な い 唯 一 の 詩 で あ り、 ヴ ォ ー ン 自 身 が「 無 益 な〈 詩 〉」 (
idlePoems) だ と 厳 し く 非 難 し た( 『 燧 石 』 の 序[
M
・ 三 八 八] [ 小考 (四)
る[ く出来ており、彼の他の愛の詩より遥かに生気に満ちてい らにもっと自由を認めようとしたからだろうがなかなか良 集から除去した一篇だろうと逑べるが、同時に、詩人が自
20] )ものの例と見做したせいでか初期の詩
続いて、ファイダがもう一篇に登場する。 けた作者だから、 『燧石』を生み出せたとも言えよう。
H・ 八 八 ] と、 正 当 に も 褒 め て い る。 こ う い う 詩 も 書
見捨てられたファイダ
Fida forsaken
愚かだった 私は! 血を信ずるなんて 立派なことをし、それから最善を果して膨れ上っている時
のなどのを、 そして偽物、忘れっぽい人間などを、 我らの真物の〈神〉以上に〈 牧
パ神
ン〉を信頼する な
(((
んて、 あのような膨れ上りは浮腫にまで到り、 あれ程立派なものが この上なく卑しいものに向か う
(((
。
だから欺かれて生きよう! そしてファイダよ そのよう
16
に
(((
生きることで 忠節を無効にしよう。 何故なら間違った生き方で賢くなる人もいるだろうから、 その一方死は、これ見よがしの〈不正行為〉を窒息させ、 欠陥のあるもの を篩い分けて
最も値打ちのない精神を隠すのだが。 〈 窓 の鎧戸 〉で
ブラインドそれでも君は 隠すのに出来る限りのことをするがいい 劣った樹の果実は 見つけられ る
(((
だろう 最初は彼の暗い心の中で、今度は忌々しくも 彼の顔の中で生じたあの悪辣な罪のせいで、 それであの、 生
いのち命 が棲んでいる筈の〈眼〉が、 〈死〉と〈地獄〉の穴のようにみえるのだ。
血は、その豊かな 紫色 が ムーア 人
(((
の中に在る 信頼を示して確認すると 彼の中に 心の真暗闇を 顕
あらわに示し、 〈 インク 〉に変身して彼の信義心の無さを書こうとする。 唯、血の付いた彼の唇は 赤く みえるが、 まるで彼らが言ったことを恥じているみたいだ。 それから、彼は黒ずんだ肌の持ち主な の
(((
で 自らの内部の地獄の影が 彼をもはや光に晒さないのだ、 しかし 君自身の〈 墓碑銘 〉はこのように書かれている。 ここに 破裂して 逝って 顧みられることなく 横たわるは ファイダの 心臓! おお十分に報われ た
(((
! [
M