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The Study on Fatal Traffic Accidents in a Local City, Choshi, Chiba Prefecture

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- 47 -

地方都市銚子市における交通死亡事故に関する考察

The Study on Fatal Traffic Accidents in a Local City, Choshi, Chiba Prefecture

嶋村 宗正 Munemasa SHIMAMURA

千葉県で2番目に市制をしいた銚子市は近年人口減少が進み,2015 年現在 65 歳以上の人口比率が

33.6%と全国平均 26.6%よりも高くなっている.しかし,水揚げ量日本1の漁港を持ち,生鮮食品の生産地と

してそれらの荷を運ぶ物流は従来同様重要な役割を担っている.一方,物流の中心をなす自動車交通におい て人口1万人あたりの死者数が全国平均よりも高い値になっていることが多い.千葉県 54 市町村の人口構 成,社会経済面,車両数などをもとに死亡事故の発生率を説明するモデルを探ったところ,銚子市における 人口減少,高齢層の人口構成率の高さ,さらに人口あたりの車両数の多さなどが死亡事故率(人口 1 万人あ たりの死亡事故件数)の高さに関係があることが確認できた.

Ⅰ.緒論

銚子市は,巨大市場である東京から約 100km 離れてい るものの,東北と東京間の物資の中継地,魚介類あるい は農産物の産地として発展してきた

1)

.特に,昭和初期 までは穀物や干鰯あるいは味噌・醤油類の産地,中継地 として大いに発展し,千葉県内で千葉市についで2番目 に市制に移行した都市であった.戦後,1963 年(昭和 38 年)に住民基本台帳で 95,000 人に達した人口は高度 成長期になると若者の流出を起こし 2016 年(平成 28

年)には 64,990 人まで人口が減少した.それでも,銚

子市漁港は顕在で 2018 年も年間水揚げ量日本一

2)

をほ こり,さらにキャベツなど野菜類の出荷も堅調である.

このような都市の物流を支えるものは今も昔も輸送機 械であり,江戸時代から明治時代にかけては船,明治後 期から昭和 30 年代までは鉄道が使われ,以後現代では 自動車が人や物資の移動用道具となっている.

自動車による輸送は,ドアツードアである快適性,時

連絡先:嶋村宗正 [email protected] 千葉科学大学危機管理学部航空技術危機管理学科 Department of Risk and Crisis Management for Aviation Technology, Faculty of Risk and Crisis Management, Chiba Institute of Science

(2020 年 9 月 30 日受付, 2020 年 12 月 23 日受理)

間によらないという利便性,運転免許さえ取得すれば利 用できるという簡便性などを備えており,他の輸送用道 具に対して現在でも圧倒的なシェアをもっている.

ところで,自動車交通は負の産物として交通事故を誘 発し,その被害は直接的な人身傷害や物的損害だけでは なく交通渋滞など経済的な損失も伴い,一般市民の生活 を脅かしている.このような交通事故の問題を踏まえ て,市町村別交通事故死者数データが公表されている

3)

.このデータによると,2015 年の銚子市における人口 1 万人あたりの死者数は 0.73 人と全国平均 0.30 人を超 えている.

千葉県全体の交通事故の問題は文献 4 でも指摘されて いるが,銚子市における人口 1 万人あたりの死者数が全 国平均を超えるという問題について,死亡事故発生に及 ぼす背景を探ることは,他の都市についても交通問題を とらえる手段ともなり,交通安全対応を図る上から重要 と考えられる.そのため,銚子市および近郊の都市との 比較を行い,銚子市では 65 歳以上(以下,高齢層とい う. )の人口構成率が高いこと,人口あたりの人対車両 死亡事故件数が全国値の4倍ほど高いこと,車両単独死 亡事故件数も全国値の約 2 倍高いこと等が指摘された

5)

.また,同時にシートベルト未着用運転者の問題

6)

踏切における一時停止が守られていないなど交通マナー

(2)

- 48 - の問題も指摘された

5)

.このような先行研究を踏まえ,

本報告書では千葉県の市町村における交通事故の発生率 を人口構成,社会経済面,車両数などの観点から説明す るモデルを検討し,銚子市における死亡事故率の高さに ついて考察することとした.

Ⅱ.分析方法 1.分析内容

交通事故の発生は,人・車・交通環境の中で人間がお かす認知・判断・操作のエラーの結果ととらえる

7)

こと が多いが,この人間の問題については地域の文化,経 済,道路交通環境などが複雑に絡み合っていると考えら れる.このような観点から取り組み,産業・経済の発展 により交通事故数も増加するとした報告

8)

があるが,近 年このような観点での報告例はほとんどない.

そこで,銚子市に環境や文化が近いと考えられる千葉 県の市町村の社会経済要因を考慮したリスク分析を行 い,銚子市の特徴を考察する.

問題提起のきっかけは人口1万人あたりの死者数であ ったが,本報では交通事故リスクとして交通事故発生件 数に着目して人口1万人あたりの死亡事故数(以後,死 亡事故率という. )と人口千人あたりの人身事故件数

(以後,人身事故率という. )を用いる.

市町村単位では交通事故の発生数,特に死亡事故件数 は対象年によって大きく変動する.しかも,死亡事故件 数が1桁である場合も多い.そこで,この報告書では千 葉県内の市町村合併がほぼ一段落した 2011 年(平成 23 年)から 2016 年(平成 28 年)の 6 箇年のデータを用い て分析を行う.

この報告書で扱う主な内容は次の通りである.

1.銚子市における交通事故発生の推移分析 2.近年における銚子市における死亡事故率,人身事

故率の全国値との比較

3.交通事故発生に影響のあると考えられる説明変数 の抽出

4.千葉県市町村,6 箇年平均死亡事故率,平均人身 事故率に関するモデル

5.千葉県市町村,6 箇年死亡事故率や人身事故率の 年間増減率に関するモデル

これらの検討に用いる適合度検定,死亡事故率や人身 事故率などの影響因子を探る分析,死亡事故率や人身事 故率の年間増減率の分析などの手法について以下説明す る.

2.交通事故発生率の適合度検定

市町村単位の死亡事故率や人身事故率は年によって大 きく変動する場合が多い.このような状態で全国値と同

じといえるかという判断についてχ

2

適合度検定

9)

を行 う.死亡事故率を例に検定方法について説明する.

まず,次のような記号で全国と銚子市の人口や交通事 故データを定義する.

a

i

:i年における銚子市の死亡事故件数

b

i

:i年において銚子市の死亡事故件数が全国値に 一致しているとした死亡事故件数

c

i

:i年における銚子市の人口

d

i

:i年における全国の死亡事故率 ここで, b

i

d

i

c

i

を用いて次のように表すことが できる.

b

i

=  d

i

c

i

(1) よって,χ

2

検定値は次のように算出される.

2

(

i i

)

2

i i

a b

 =  b (2)

今回はモデルに母数はないので,χ

2

検定値における 自由度(  )は年の数-1 である.

したがって,(2)式の値を 

2p

( )  で評価し,次の不 等式が成立すれば銚子市の事故発生件数は全国値と同等 といえない,とする.

2 2(max 1)

(3)

今回は 6 年分のデータであり, p として 5%で評価す れば, 

20.05

( )

5 =11.07

である.

3.加重回帰分析によるモデル

都市 i について交通事故の発生を説明できると考えら れる説明変数 X

ij

(j=1,2,・・・)があり,それら説明変数 と都市 i の死亡事故率が線形関係にあるとする.

すると,都市 i の事故件数 λ

i

は人口 n

i

を用いて次のよ うに表される.

0 1

i j ij i

j

X n

  

=

 

=  + 

   (4)

ここで,β

0

,β

1

,β

2

,・・・は定数である.

都市 i の観測値である事故件数 Y

i

は誤差項 u

i

を含み次 のようになる.

Y

i

= 

i

+ u

i

(5)

(3)

- 49 - この値を用いると都市 i の死亡事故率 y

i

は人口 n

i

で除 して次のように表される.

0 1

i

i j ij

j i

y X u

  n

=

 

=  +  +

   (6)

都市 i の死亡事故率を p

i

とし,死亡事故件数がポアソ ン分布に従うとすれば,都市 i における事故件数 Y

i

の誤

差項 u

i

の分散 V(u

i

)は,次のように考えることができる

10)

V u ( )

i

= n p

i i

(7) なお,p

i

,λ

i

,n

i

には次の関係がある.

i i i

p n

=  (8)

さて,式(6)を次のように書き直す.

0 0 1

i i ij j i

j

y XX  

=

 

=  +  +

   (9)

ここで X

i0

= 1 ,

i

i i

u

 = n である.

このとき,誤差項 ε

i

の分散 V(ε

i

)は,式(7)を考慮する と次のようになる.

( )

i i i

V p

 = n (10)

この分散の標準偏差で式(9)の両辺を除すと,その誤 差項の分散を 1 とすることになり,通常の最小二乗法を 適用することができる.

なお,これは次の関数における係数 β

0

,β

1

,β

2

,・・・

を最小二乗法によって求めることと同じになる.

2

0 0 1 i

i ij j

i i j

f n y X X

p  

=

 

=  − − 

 

  (11)

したがって,これは重みを

i

i

n

p

にした加重最小二乗法

による推定

11)

である.

4.死亡事故率や人身事故率の年間増減率モデル 死亡事故率や人身事故率について,6 年間の平均値と ともに年間増減率についても考察する.

そのため本節では,この死亡事故率について年毎の値 を線形回帰する方法について説明する.

都市の r 年における人口が n

r

人で,死亡事故の発生数 が x

r

件であったとする.また,r 年における死亡事故率 の平均値を ξ

r

とする.したがって,この都市における r 年の平均死亡事故発生件数を x

er

とすれば次のように 表される.

er r r

x =  n (12)

ポアソン分布に従うとした場合に r 年の確率密度 f

r

は 次のように表される

10)

!

er r

x x

er r

r

e x

f x

=

(13)

死亡事故率が1次関数的に変化するものと考えるの で,r 年の死亡事故率平均値を次のように仮定する.

0 1

r

a a r

 = +  (14)

ここで, a

0

a

1

は定数である.したがって,r 年の平均

死亡事故件数 x

er

は,次のようになる.

x

er

= ( a

0

+  a r n

1

)

r

(15)

交通事故データが m 年分あるとして,係数

a

0

a

1

を 推定するが,最尤法

12)

により求める.

尤度関数 L は次のように表される.

1 m

r r

L f

=

=  (16)

ここで,対数尤度 Y を考える.L を最大にすることと Y を最大にすることとは等価である.Y は次のように表 される.

( ) ( ) ( ( ) ( ) )

1 1

log log log log !

m m

r er r er r

r r

Y L f x x x x

= =

= =  =  − + −

(17) 式(15)を代入して,

( ) ( ( ) ) ( )

(

0 1 0 1

)

1

log log !

m

r r r r

r

Y a a r n x a a r n x

=

=  − +  + +  −

(18) ここで,Y が最大となる条件を見つけるために,次の 条件が満たされるようにする.

0 1

Y Y 0

a a

 =  =

 

(19) 以下,定式化を省略するが,フィッシャー情報量

12)

などを利用しながら,統計検定量等を得る.

5.説明変数の影響について

事故発生率 p

i

を予測するモデルが式 4 と式 8 から次 のように作られたとする.

0 0 1

i i ij j

j

p XX

=

= +

(20)

このとき,事故発生率に影響が強い説明変数を探る方

法が必要となる.そのため,本報では次のように考え

る.

(4)

- 50 - 説明変数 X

ij

の平均値と標準偏差を X

jAVE

X

jDEV

とす

る.この説明変数について都市 i の標準得点を z

ij

とすれ ば,都市 i の説明変数の大きさは次のように表される.

ij jAVE ij jDEV

X =X +zX

(21)

すると,説明変数の変化による事故発生率の変化は次 のように表される.

( )

1

i j jDEV ij

j

dpX dz

=

=   (22)

したがって,各説明変数について β

i

・X

jDEV

・dz

ij

の値を比 較すれば影響程度を評価できる.

Ⅲ.説明変数について

事故の発生に影響する説明変数を人口構成,社会経済 面,車両数などから抽出する.統計書から抽出可能な項 目として以下のものを選んだ.

人口の観点から年齢層別人口,就業者数,従業者数な ど,社会経済的観点から事業所数,市町村税総額や市町 村民税の大きさなど,車両数の観点から乗用車や軽自動 車の数や比率,面積的観点から可住地面積などに着目し た.

これら説明変数は市町村の人口の大小による影響を避 けるため人口で除すあるいは比率化などし,2011 年~

2016 年の平均値と年間増減率を算出する.なお,年間 増減率とは 2011 年~2016 年の各年の値を線形回帰した 傾きの値である.

基本的には 6 年間の期間,毎年のデータが入手できる ものとしたが,年齢層別データのように,限られた年の データしか利用できないものがある.また,交通事故デ

ータ

13-14)

は 12 月末現在の値,人口データ

15-17)

は 10 月 1

日現在の値,車両数に関するデータ

16-18)

は 3 月末現在 のものである.なお,車両保有台数は登録車,軽自動車 の合計であり,小型特殊や原付自転車は含まない.さら に,軽自動車に軽二輪車は含まない.

今回の分析で使用する説明変数の具体的な内容を以下 に示す.なお,以後の説明のために各説明変数に記号を 付す.年間増減率は記号にダッシュをつけて区別する.

1) 人口年間増減率(P0')

経年変化を調べる分析に利用する.2010 年と 2015 年 の国勢調査結果

16)

をもとに算出する.

2) 65 歳以上人口比(P1)

65 歳以上人口の総人口に対する割合であり,2015 年 の国勢調査

16)

による.また,年間増減率 P1'は国勢調査 結果 2010 年と 2015 年より算出する.

3) 就業者数人口比(P2)

人口に占める 15 歳以上の就業者

16)

の割合である.

2015 年の国勢調査結果による.年間増減率 P2'は国勢調 査結果 2010 年,2015 年をもとに算出する.

4) 従業者数人口比(P3)

従業者数

16)

と人口

16)

について統計データがある 2009 年,2012 年,2014 年の3箇年を合計し,除した値であ る.年間増減率 P3'はこの3箇年の比率をもとに計算す る.

5) 事業所数人口比(E1)

事業所の数

16)

と人口

16)

について 2009 年,2012 年,

2014 年の3箇年を合計し,除した値である.年間増減

率 E1'はこの3箇年のデータをもとに計算する.

6) 税総額人口比(E2)

市町村税総額

16)

と人口

16)

について 2011 年~2016 年 の値を合計し算出する.また,年間増減率 E2'は各年の 税総額人口比をもとに計算する.

7) 市町村民税の割合(E3)

普通税の市町村民税

16)

が市町村税総額に占める割合 であり 2011 年~2016 年を合計して算出する.また,年

間増減率 E3'は各年の割合の値をもとに計算する.

8) 車両数人口比(V1)

車両台数

16)

と人口

16)

について 2011 年~2016 年の値 を合計し算出する.なお,年間増減率 V1'は単年の比率 をもとに計算する.

9) 乗用車人口比(V2)

乗用自動車台数

16)

と人口

16)

について 2011 年~2016 年の値を合計し算出する.また,年間増減率 V2'は単年 の比率をもとに計算する.なお,乗用自動車にバスは含 まない.

10) 軽人口比(V3)

軽自動車台数

16)

と人口

16)

について 2011 年~2016 年 の値を合計し算出する.なお,年間増減率 V3'は単年の 比率をもとに計算する.

11) 乗用車比率(V4)

乗用自動車台数

16)

と車両総台数について 2011 年~

2016 年の値を合計し除した値である.なお,年間増減

率 V4'は単年の比率をもとに計算する.乗用自動車にバ

スは含まない.

12) 軽自動車比率(V5)

軽自動車台数

16)

と車両総台数について 2011 年~2016 年の値を合計し除した値である.なお,年間増減率 V5' は単年の比率をもとに算出する.

13) 可住地面積人口比(A1)

可住地面積

19)

と人口

16)

はそれぞれ 2011 年~2016 年 の平均値を用いて除す.

これらの説明変数について,千葉県 54 市町村の数値

を算出し,銚子市の位置づけを求めた.千葉県市町村の

(5)

- 51 - 各説明変数の平均値を 50 点として銚子市の値を偏差値 得点で表し,6 箇年の平均値については図 1 に,年間増 減率については図 2 に示す.

また,説明変数間の相関係数を表1に示す.車に関す る説明変数のように相関係数が 0.9 を超える組み合わせ もあり,回帰分析は多重共線性に留意しながら行う.

図1 説明変数(6 箇年平均値)と銚子市の位置づけ

図2 説明変数(年間増減率)と銚子市の位置づけ

Ⅳ.銚子市における人口・車両・事故の推移

交通事故の発生に人口あるいは車両数が関係する.そ こで,これらについて年次推移をみた.

1.人口・車両数の推移

まず,国勢調査結果

16-17)

をもとに人口推移をみると 全国人口は 2000 年代まで増加するが,銚子市は 1995 年 以降減少傾向に転じている.

年齢層別のデータが示されている 1965 年(昭和 40 年)以降について,銚子市と全国値と比較し図3に示 す.14 歳以下の人口構成率をみると 1975 年まで銚子市 の方が全国値よりも高いが,1980 年以降は全国値より も低くなっている.一方,高齢層比率は全国値に比べて 高く,かつ年とともに全国値との差が大きくなってい る.若い人達が銚子市から離れ,出生数も減少し,人口 減少に繋がっているといえる.

図3 年齢層別構成率積み上げ図 銚子市と全国比較

銚子市と全国の車両保有台数について調べたところ,

全国値は 2000 年を過ぎると増加の程度が小さくなるも のの 2015 年までほぼ増加傾向となっているが,銚子市 においては 2005 年以降に減少傾向を示す.

国勢調査に基づく推計値

15,17)

を用いて,人口あたり の車両台数の推移を全国値と比較し,図4に示す.銚子 市においては,1965 年には全国値よりも高くなってい る.2016 年には 0.9 台と全国値 0.65 台に比べて車両数 人口比は高い.車両保有台数に占める軽自動車の構成率 をみると全国値は 2000 年に 28.2%であったが 2016 年に 39.5%になった.一方,銚子市も同様に軽自動車の構成 率は増加しており,かつ全国値に対してほぼ 3 ポイント 高く,2016 年には車両の 42.7%が軽自動車になってい る.

2.交通事故の長期推移

死亡事故件数に関する長期的データが入手できなかっ たため,人口1万人あたりの死者数を計算し図5に示 す. 2005 年を除いて,1996 年以降に銚子市の値は全国 値より高い.

2011 年~2016 年の 6 箇年について全国値との適合性 を評価した.自由度数 5 の 5%χ

2

値は 11.070 であり,

人口 1 万人あたりの死者数に関するχ

2

適合度統計値は

0 10 20 30 40 50 60 70

P1

P2

P3

E1

E2

E3 V1

V2 V3 V4

V5 A1

銚子 平均

0 10 20 30 40 50 60 70

P0'

P1'

P2'

P3'

E1'

E2' E3'

V1' V2' V3'

V4' V5'

銚子 平均

0 20 40 60 80 100

1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020

構成率

(%)

15~64歳

14歳以下

65歳以上

銚子 全国

(6)

- 52 -

表1 説明変数間の相関係数 (a) P1~A1

(b) P1~A1 と P0’~V5’

(c) P0’~V5’

15.974 であった.従って,有意水準 5%で銚子市の

データは全国値と異なっているといえる.

一方,入手できた 2011 年~2016 年の死亡事故件 数について死亡事故率を計算し全国値と比較し た.基本的には人口 1 万人あたりの死者数と同じ 傾向を示す.2011 年~2016 年について適合度検定 を行ったところ,χ

2

適合度統計値は 10.397 と有

意水準 5%で全国値と外れているとはいえないこと

がわかった.したがって,銚子市においては1件 の事故で複数名死亡している場合があり,このた

め人口1万人あたりの死者数については有意水準 5%で全国値と異なる結果になったといえる.

人身事故率を算出し,図6に全国値と比較し た.1990 年以降,銚子市においては全国値よりも 低くなる傾向が見られる.2011 年~2016 年の人身 事故率について適合度検定を行った.χ

2

適合度統

計値は 126.61 と銚子市における人身事故率は全国

値と同等とはいえず,有意水準 5%で異なる傾向を 示すといってもよいことがわかった.

P1 P2 P3 E1 E2 E3 V1 V2 V3 V4 V5 A1

P1 1.000

P2 -0.041 1.000

P3 -0.017 0.412 1.000

E1 0.699 0.266 0.455 1.000

E2 -0.447 0.189 0.739 -0.102 1.000 E3 -0.471 -0.249 -0.612 -0.603 -0.405 1.000

V1 0.583 0.516 0.410 0.610 -0.105 -0.642 1.000

V2 0.403 0.460 0.334 0.380 -0.101 -0.479 0.931 1.000

V3 0.737 0.432 0.311 0.723 -0.230 -0.669 0.952 0.801 1.000

V4 -0.713 -0.415 -0.290 -0.753 0.222 0.695 -0.895 -0.708 -0.971 1.000

V5 0.811 0.241 0.095 0.740 -0.393 -0.602 0.760 0.564 0.909 -0.945 1.000 A1 0.712 0.386 0.367 0.616 -0.117 -0.615 0.857 0.730 0.870 -0.783 0.698 1.000

P1 P2 P3 E1 E2 E3 V1 V2 V3 V4 V5 A1

P0' -0.788 -0.292 -0.166 -0.666 0.328 0.443 -0.729 -0.592 -0.796 0.729 -0.713 -0.760 P1' -0.448 -0.001 -0.160 -0.556 0.110 0.314 -0.226 -0.064 -0.328 0.323 -0.363 -0.399 P2' 0.404 0.506 0.362 0.506 0.072 -0.420 0.559 0.505 0.529 -0.486 0.420 0.567 P3' 0.227 0.375 0.497 0.215 0.322 -0.315 0.416 0.371 0.313 -0.240 0.099 0.438 E1' 0.269 0.035 0.107 -0.025 -0.012 -0.179 0.393 0.444 0.303 -0.185 0.102 0.476 E2' -0.114 0.332 0.479 0.093 0.312 -0.135 0.249 0.251 0.138 -0.062 -0.095 0.266 E3' -0.263 0.017 -0.022 -0.050 0.115 0.003 -0.192 -0.233 -0.204 0.120 -0.167 -0.361 V1' 0.571 0.519 0.350 0.601 -0.140 -0.524 0.876 0.817 0.826 -0.786 0.663 0.723 V2' 0.446 0.419 0.305 0.634 -0.088 -0.397 0.566 0.465 0.560 -0.589 0.498 0.438 V3' 0.636 0.427 0.197 0.514 -0.289 -0.503 0.918 0.875 0.894 -0.829 0.747 0.798 V4' 0.356 0.337 0.372 0.698 0.078 -0.497 0.384 0.139 0.483 -0.551 0.488 0.391 V5' 0.002 -0.233 -0.439 -0.424 -0.372 0.268 0.007 0.195 -0.046 0.109 -0.032 -0.023

P0' P1' P2' P3' E1' E2' E3' V1' V2' V3' V4' V5'

P0' 1.000

P1' 0.196 1.000

P2' -0.489 -0.400 1.000

P3' -0.294 -0.048 0.430 1.000

E1' -0.418 0.145 0.166 0.514 1.000 E2' -0.143 0.067 0.036 0.353 0.407 1.000

E3' 0.302 -0.086 -0.162 -0.206 -0.436 -0.202 1.000

V1' -0.767 -0.196 0.619 0.422 0.410 0.223 -0.113 1.000

V2' -0.591 -0.204 0.535 0.277 0.123 0.116 0.115 0.829 1.000

V3' -0.798 -0.160 0.512 0.297 0.481 0.224 -0.273 0.912 0.584 1.000

V4' -0.364 -0.344 0.304 0.111 -0.211 0.150 0.171 0.342 0.597 0.208 1.000

V5' 0.017 0.290 -0.189 -0.202 0.323 -0.032 -0.327 -0.058 -0.391 0.251 -0.681 1.000

(7)

- 53 - 図4 人口1人あたりの車両保有台数推移

図5 人口 1 万人あたりの死者数推移,銚子市 と全国との比較

以上のように,銚子市において死亡事故率は高 い傾向を示すが人身事故率は全国値よりも低いこ とが特徴である.

3.銚子市における近年の交通事故発生状況 銚子市および全国の人身事故件数について,

2013 年(平成 25 年)から 2015 年(平成 27 年)3 年間のデータを交通事故総合分析センターから入 手

5)

し,銚子市の特徴が表れると考えられる事故 類型別,事故発生時間帯別,通行目的別の分析結 果について示す.銚子市の事故件数は 665 件,全 国では 1,739,774 件であった.

(1)事故類型別・年齢層別構成率

図7のように人身事故の事故類型別構成率を見 ると,人対車両事故が 17.7%と全国平均 9.9%の約 2 倍になっている.

事故に関与した第 1 当事者と第 2 当事者につい て高齢層の比率を調べると,銚子市では 22.0%と全 国値 16.5%よりも高い.

図6 人口 1 万人あたりの人身事故件数推移,

銚子市と全国との比較

図7 事故類型別事故件数構成率

(2)事故発生時間帯別構成率

図8のように人身事故の事故発生時間帯別構成 率をみると,銚子市では 10-11 時あるいは 14-15 時の時間帯で事故発生の割合が全国値に比べて高 いことが特徴である.

図8 時間帯別事故件数構成率 0.0

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

1940 1960 1980 2000 2020

台数(台)

銚子 全国

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

1940 1960 1980 2000 2020

1万人あたりの死者数(人)

全国 銚子市

0 2 4 6 8 10

1940 1960 1980 2000 2020

千人あたりの人身事故件数(件)

全国 銚子市

9.9 17.7

86.7 80.0

3.4 2.1

0 20 40 60 80 100

全国 銚子

構成率(%)

人対車両 車両相互 車両単独 その他

0 4 8 12 16 20

構成率(%)

時間帯

銚子 全国

(8)

- 54 -

(3)通行目的別構成率

人身事故の通行目的別構成率を図9に比較し た.第1当事者と第2当事者を合計し不明を除外 した.通行目的は業務,通勤・通学等,飲食・買 物,訪問,送迎とし,これら以外をその他にまと めた.

全国値では,その他の区分の割合が高いが,銚 子市においては,飲食・買物の構成率が 35.3%と高 いことが特徴である.

図9 通行目的別構成率(第1当事者と第 2 当 事者の合計)

(4)死亡事故について

銚子市における 2013 年~2015 年の死亡事故件数 は 13 件であった.うち 8 件が人対車両事故であっ た.交通事故の第1当事者は自動車である場合が 多い.そこで,自動車が第1当事者である事故に ついて年齢層別に人口あたりの件数を図 10 に比較 した.なお,銚子市の年齢層別データ

17)

は住民基 本台帳によった.16-24 歳の死亡事故件数は 3 件で あるが,全国値に比べて高い.

図 10 年齢層別人口あたりの事故件数(第1当 事者が自動車の場合)

Ⅴ.事故発生率に及ぼす要因分析

事故発生に及ぼす人口構成,社会経済面,車両 数などの影響を評価した.死亡事故件数は千葉県 警察本部交通総務課より入手し,人身事故件数は 千葉県統計年鑑

16)

によった.なお,死亡事故は一 般道路のみである.

1.平均死亡事故率について

分析で使う死亡事故率は,死亡事故件数と人口 についてそれぞれ 2011 年~2016 年 6 箇年を合計し 除した値である.

都市 i の死亡事故率ξ

i

が次のように説明変数で 仮定できるとして,加重最小二乗法による回帰分 析を実施した.

0 1

i j ij

j

  X

=

= +

(23)

多重共線性が疑われるため説明変数 V2~V4 を除 き,t 値が小さい説明変数を除外しながら影響の強 い説明変数を抽出する縮小法で分析を行った.回 帰モデルの選択方法として F 値を用い,説明変数 の選択方法としては 5%t値を用いた.

死亡事故率を説明できるモデルの1例は,P1,

P2,V1 の組み合わせである.このモデルの予測値

と観測値との相関を図 11 に示す.死亡事故率と説 明変数は全て正の関係であった.なお,正の関係 とは,説明変数が大きくなると死亡事故率も大き くなる関係をいい,負の関係とは死亡事故率が小 さくなる関係をいう.

加重回帰分析としての F 値は 300,R

2

値は 0.815 であった.なお,F

0.05

(3,50)は 2.790 であり,有意

水準 5%で説明変数の組み合わせは意味があるとい

える.また,各説明変数のt値も有意水準 5%を満 たしている.

図 11 死亡事故率に関する観測値と予測値との 相関(P1,P2,V1 モデル)

19.5 35.3

0 20 40 60 80 100

全国 銚子

構成率(%)

飲食・買物 通勤・通学 業務 訪問 送迎 その他

65歳 以上 25-64

歳 16-24

0.0 2.0 4.0 6.0

8.0 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

人口千人あたりの人身事故件数 人口1万人あたりの死亡事故件数 銚子 全国

3件 8件

2件

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

観測値

予測値

銚子

全国

(9)

- 55 - 2.平均人身事故率について

人身事故率に関する分析についても死亡事故率 と同様人身事故件数と人口について 6 箇年をそれ ぞれ合計し除した値である.加重最小二乗法の縮 小法による回帰分析を実施した.

その結果,人身事故率を説明できるモデルの1 例は,P3,V1,A1 の組み合わせであった.このモ デルによる予測値と観測値との相関を図 12 に示 す.説明変数の P3 と V1 については人身事故率に 対して正の関係,A1 は負の関係である.

加重処理されたモデルの F 値は 783.2,R

2

値は 0.950 であった.なお, F

0.05

(3,50)は 2.790 であ り,有意水準 5%で説明変数の組み合わせは意味が あるといえる.

図 12 人身事故率に関する観測値と予測値との 相関(P3,V1,A1 モデル)

3.死亡事故率の年間増減率について

本節では,2011 年~2016 年の 6 箇年について,

死亡事故率の年間増減率と説明変数の年間増減率 との関係を調べる.

全国値で見ると 6 箇年に死亡事故率,人身事故 率とも減少している.一方,銚子市は人身事故率 が減少するものの,死亡事故率は年と共に増加す る傾向にあることが示された.

表2 死亡事故率と人身事故率の年間増減率 銚子市 全国 死亡事故率 0.0261 -0.0106 人身事故率 -0.473 -0.309

なお,死亡事故率の年間増減値についてはその 分布が不明であり,正規分布にしたがうと仮定し て重回帰分析を行った.多重共線性の疑われる

V1’~V5’の中で V1'を除外し,縮小法に基づき,

説明変数を抽出した.

モデルの一つは,P0',P3',E2',E3',V2',

V5'等の組み合わせであった.モデルによる予測値 と観測値との相関を図 13 に示す.なお,死亡事故 率の年間増減率に対して,全ての説明変数は負の 関係であった.

F 値は 7.058,R

2

値は 0.474 であった.なお,

F

0.05

(6,47)は 2.299 であり,有意水準 5%で説明変 数の組み合わせは意味があるといえる.

図 13 死亡事故率年間増減率に関する観測値と 予測値との相関(P0',P3',E2',E3',V2',V5'

の組み合わせによるモデル)

4.人身事故率の年間増減率について

人身事故率について 6 箇年の年間増減率につい て,回帰モデルの存在を調べた.

多重共線性が懸念される V1’~V5’の中で V1' を除外し,縮小法により説明変数の組み合わせを 探ったが,モデルが有意水準 5%で有意となる組み 合わせは見つからなかった.

Ⅵ.考察

1.死亡事故率に及ぼす影響

銚子市の死亡事故率は 0.530 と千葉県市町村平 均値 0.479 や全国値 0.311 よりも高い.

6 箇年平均の死亡事故率に関する千葉県市町村モ デルによれば, 65 歳以上人口比(P1),就業者数人 口比(P2),車両数人口比(V1)などの説明変数で 構成され,これらの説明変数と死亡事故率は正の 関係であった.千葉県市町村の中で銚子市の P1,

P2,V1 などの値は平均より高い.これらの中で,

銚子市の死亡事故率を高める要因を調べたとこ ろ,車両数人口比(V1)の影響が大きく,ついで 0

1 2 3 4 5 6

2 3 4 5 6

観測値

予測値 銚子

全国

-0.5

-0.4

-0.3 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2

0.3

0.4

-0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 0.3

観測値

予測値 銚子

全国

(10)

- 56 - 65 歳以上人口比(P1)の影響が大きいことがわか った.

また,死亡事故率の年間増減率の分析によれ ば,銚子市は 0.0261 であり,千葉県市町村平均-

0.0037,全国値-0.0106 などと減少傾向であるのに

対し増加傾向を示している.

死亡事故率の年間増減率に関するモデルは,人 口年間増減率(P0'),従業者数人口比(P3'),税 総額人口比(E2'),市町村民税の割合(E3'),乗 用車人口比(V2'),軽自動車比率(V5')などで構 成され,これらの説明変数は年間増減率に対して いずれも負の関係であった.銚子市の位置づけを 見ると,P0',E2',V5'は平均よりも低く,P3',

E3',V2'は高くなっている.これらの中で,銚子 市の年間増減率を高める要因を調べたところ,人 口年間増減率(P0')や軽自動車比率の増減率

(V5')などであった.

銚子市のような人口減少が進む地方都市におい ては高齢層の比率が高くなり,車両数人口比が高 くなる傾向がある.したがって,死亡事故率自体 が高くなる傾向になることが確認された.

2.人身事故率に関する考察

6 箇年平均人身事故率については,銚子市は 3.55 と千葉県市町村平均 3.52 並であるが,全国値 4.71 よりも低い.なお,年間増減率では銚子市は- 0.473 と千葉県市町村平均-0.211,全国値は-0.309 に対し,減少傾向が大きい.

千葉県市町村の人身事故率モデルは従業者数人 口比(P3),車両数人口比(V1),可住地面積人口 比(A1)の組み合わせであった. P3 と V1 につい ては人身事故率に対して正の関係,A1 は負の関係 であった.銚子市の千葉県市町村の位置づけをみ ると,P3 と V1 は平均よりも高く,A1 は低い.し たがって,人身事故率は千葉県市町村平均よりも 大きな値になってもよいが,ほぼ平均値並であっ た.

人身事故率に対して P3 や V1 が正の関係,A1 が 負の関係であることが理解できる.しかし,千葉 県の市町村平均が全国値よりも 25%も低いが,この 理由については今後の課題である.

3.銚子市の人口推移と事故に関する考察 出生中位,死亡中位とした総務省の人口推定

20)

をもとに 1990 年から 2015 年は現状値,2016 年~

2065 年まで推測値とした人口構成推移を図 14 に示 す.少子化と平均寿命の長寿化により高齢層の比

率が増加し,2060 年にはほぼ飽和し 40%近くにな る.

この図の中に 1990 年から 2015 年の銚子市の値 を重ねるが,銚子市の 1990 年を全国値の 1998 年 にあわせてプロットした.銚子市の高齢層の増加 は全国値に比べて進み方が早く,また高齢層の比 率について銚子市は約8年,全国に先んじている ととらえることができる.また,高齢層の比率で いうと,2015 年の銚子市の値は 33.6%であり,全 国推定値の 2037 年の値に匹敵し,全国に 22 年進 んだ状態であることがわかる.

図 14 人口構成率の現状及び推計 高齢者については,歩行者

21)

や運転者

22-23)

など の観点から死亡事故の増加が指摘されている.し かし,高齢者の比率が高い都市における人身事故 率の低さにふれた報告は見あたらない.地方都市 では,大型ショッピングセンターへの集約化,脆 弱な公共インフラと,多くの住民が車での移動を 余儀なくされているところが多い.通院が必要な 高齢者にとって足の確保は特に重要である.車で の移動が増えれば交通事故が増えてもおかしくな い.しかし,図 9 から推測されるように銚子市で は多くの住民は飲食・買物,訪問,送迎など目的 を限定して行動をしており,トリップ数が増えて いないのではないだろうか.このため図 10 にみら れるように人口千人あたりの人身事故件数が全国 値よりも低くなっていると考えることができる.

高齢者の比率が高くなったときに懸念されるこ とは歩行者死亡事故

21)

の増加である.4-3-4 節で 指摘したように銚子市においても死亡事故の約 6 割が歩行者事故であった.

銚子市では図 4 に見るように一人に約 0.9 台の 車が普及している.また,高齢者は軽自動車を利 用することが多く

24)

,高齢になったときに乗用車 から軽自動車への乗り換えはあっても軽自動車を

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

1990 1994 1998 2002 2006 2010 2014 2018 2022 2026 2030 2034 2038 2042 2046 2050 2054 2058 2062

構成率(%)

銚子 全国

65歳以上

15-64歳

14歳以下

(11)

- 57 - 保有し続けるであろう.一方,図 2 にみた乗用人 口比の増減率(V2')は 0.0027 と千葉県市町村の 平均値-0.0002 を大きく超え,一人あたりの乗用車 の数は増える状態にある.この乗用車を利用する ユーザはおそらく高齢者以外であり,このユーザ に 24 歳以下(以下,若年層という.)の住民もい るだろう.若年層については深夜・早朝の事故,

車両単独事故など重大事故に関係する問題

25)

が指 摘されている.図 10 にみられる若年層の死亡事故 率の高さに関係しているのではないだろうか.

銚子市の高齢層比率は 2015 年で約 34%と人口の 全体の3分の1にしかすぎない.また,銚子市の 死亡事故件数は少なく統計的な信頼性を欠いてい る.したがって,上述の解釈については今後検討 が求められる.

4.分析の課題について

銚子市内には高速道路がないことから,死亡事 故については一般道路における死亡事故として分 析を行った.しかし,人身事故件数には高速道路 の事故が含まれており,信頼性の課題を含んでい る.

説明変数の中には,毎年のデータが入手できな いものもある.これも統一的な評価がしにくくな っている理由の一つと考えられる.

交通事故を社会面からとらえる上ではトリップ 数など実際の車の動きを取り入れることが求めら れる.現在,交通量が測定された交通センサスデ ータ

26)

を利用できるが特定の日にちの特定の測定 場所のデータであることなど,その利用方法につ いては今後検討を要する.

経済的な説明変数がモデルに入っているが,経済 的要因によりどのように交通事故の発生に関係す るかについての考察はできていない.これらの説 明変数のあり方については今後も議論を進める必 要がある.

Ⅶ.まとめ

銚子市において人口1万人あたりの死者数をみ ると全国平均を超えることが多い.また,人口1 万人あたりの死亡事故件数でみても全国値を超え ることが多い.

このような銚子市における交通事故発生率の要 因を調べるため,千葉県内の 54 市町村の人口構 成,社会経済面,自動車数,面積などを考慮しな がら事故発生リスク予測モデルを導いた.

事故発生リスクとして 2011 年-2016 年 6 箇年の 死亡事故率(人口 1 万人あたりの死亡事故件数),

人身事故率(人口千人あたりの人身事故件数)と した.

説明変数として,人口としては 65 歳以上の人 口,就業者数,従業員数,社会経済面では事業所 数,市町村税総額,市町村民税など,自動車では 乗用車数,軽自動車数などに着目し,人口で除し た値あるいは比率を用いた.

事故発生リスク予測モデルとして次のものが挙 げられた.

死亡事故率のモデルは,65 歳以上人口比(P1),

就業者数人口比(P2),車両数人口比(V1)などで 構成され,これらの説明変数の値が高いほど死亡 事故率は高くなる.

人身事故率のモデルは,従業員数人口比(P3),

車両数人口比( V1),可住地面積人口比(A1)など で構成され,P3,V1 が高いほどあるいは A1 が低い ほど人身事故率は高くなる.

銚子市の死亡事故率は千葉県の市町村の中で平 均値より高く,その要因をモデルでいえば,車両 数人口比や 65 歳以上人口比が高いことなどの影響 と考えられる.死亡事故率について年間増減率の 分析を加えたところ,銚子市の人口年間増減率や 軽自動車比率増減率の低さなどが年間増減率の高 さに関係していることがわかった.

2015 年の銚子市の人口構成は我が国の 2037 年付 近を表しており,高齢層の比率は高いがその増加 代が減少している状態である.このような状況が 死亡事故率の高さに反映されているといえる.

千葉県の人身事故率は全国値よりも低い.千葉 県市町村モデルの考え方が全国値に対する差異を 説明できるかどうかについては,今後,考察が求 められる.

地方都市においては多くの住民にとって移動手 段の確保が重要である.高齢者比率の高い社会で は歩行者事故の問題が指摘されるが,若年層によ る死亡事故も懸念される場合がある.自動車が安 全に利用されるような環境整備,高齢者が安心し て交通社会を過ごすことができるインフラ整備な どを進める必要があろう.

謝辞

交通事故データの収集にあたって,銚子市警察

署交通課,千葉県警察本部交通総務課事故統計

係,交通事故総合分析センターなどの協力をいた

だいた.銚子市のデータ収集にあたっては銚子市

企画課統計係に協力いただいた.また,銚子市の

交通事故データの分析は卒業研究として神田雅之

君に取り組んでもらった.

(12)

- 58 - データ収集,分析などにご協力をいただいた皆 様方に感謝の意を表します.

参考文献

1) 銚子市史,図書刊行会,1956.

2 ) 水産庁,水産物流通調査,産地水産物流通調査,漁 港別品目別上場水揚量・卸売価格,

http://www.market.jafic.or.jp/

3) 交通事故総合分析センター,全国市町村別交通事故 死者数,Itarda Information No.113,2015.

4) 中山邦文,総合的な交通死亡事故防止対策の推進に ついて~「交通事故死者数アンダー170」の達成に向 けて,月刊交通, pp.77-85 , 8 月号, 2014 . 5) 神田雅之,銚子市における交通事故実態の分析,

2017 年度千葉科学大学卒業研究論文, 2018.

6) 石川知樹,銚子市内におけるシートベルト着用と携 帯電話使用有無の調査,2008 年度千葉科学大学卒業 研究論文,2009.

7) 松永勝也,1.8 節,交通事故防止の人間科学,ナカニ シヤ出版,2002.

8) 加来照俊他,交通事故と社会経済要因との関連に関 する研究:多変量解析による考察,北海道大学工学部 研究報告,83,1-13,1977.

9 ) 廣津千尋,「第 5 章 適合度検定」,東京大学教養学 部 統 計学 教 室 , 基 礎 統 計学 Ⅲ 自 然科 学 の 統 計 学,

1991.

10) 松原望,「第 6 章 確率分布」,東京大学教養学部 統計学教室,基礎統計学Ⅰ 統計学入門,1991.

11) 縄田和満, 4.3.3 節,TSPによる計量経済分析入門,

朝倉書店,1997.

12 ) 廣津千尋,「第 4 章 最尤法」,東京大学教養学部 統計学教室,基礎統計学Ⅲ 自然科学の統計学, 1991.

13 ) 交通事故総合分析センター,交通統計,平成 5 年版

~平成 29 年版.

14) 交通事故総合分析センター,交通事故統計年報,平 成 23 年版~平成 28 年版.

15) 総務省,統計で見る日本,人口推計,長期的系列デ ータ,年齢(各歳),男女別人口(各年 10 月 1 日現在)

-総人口,日本人人口(平成 12 年~27 年).

16) 千葉県,千葉県統計年鑑,平成 23 年~平成 29 年.

17) 銚子市,銚子市統計書,~平成 29 年度版

18) 国土交通省,自動車輸送統計調査(年報),~平成 29 年

19) 国土地理院,全国都道府県市区町村別面積調,~平成 28 年

20) 国立社会保障・人口問題研究所,日本の将来推計人 口(平成 29 年推計),表 1-1 総数,年齢3区分(0~14 歳,15~64 歳,65 歳以上)別総人口及び年齢構造係数:出 生中位(死亡中位)推計より,2017.

21) 交通事故総合分析センター,高齢歩行者の道路横断 中の事故,Itarda Information No.118,2016.

22) 三井達郎,人的要因からみた長寿ドライバーの交通 事故の特徴,第 12 回 交通事故調査・分析研究発表会,

2009 .

23) 西田泰,高齢運転者による交通事故の増加要因と事 故対策,自治体法務研究,夏,pp.6-10,2017.

24) 日本自動車工業会,軽自動車の使用実態調査報告書 改訂版,2018 年 7 月,p105,2018.

25) 交通事故総合分析センター,若者事故,Itarda Information No.8,1996.

26) 国土交通省,平成 27 年度全国道路・街路交通情勢調

査 一 般 交 通 量 調 査 集 計 表 ,

https://www.mlit.go.jp/road/census/h27/index.html

参照

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