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公的介護保険における要介護認定の諸問題

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公的介護保険における要介護認定の諸問題 松 村 直 道

はじめに       する公費負担を高め,これまで放置されてきた老 人口高齢化の急速な進展,医療保険財政の構造  人の在宅医療にたいして,老人訪問看護ステーショ 的な危機そして国家財政における累積赤字の膨   ンによるサービスを強化した点はよいが,翌92年 張を背景に,高齢者の介護保障が「公的介護保険」  に創設された一般病床の転換による療養型病床群 として具体化しつつある。      の設置は,国が一方的に現在の一般病床を過剰で 本稿では,介護保険をめぐる様々な課題のうち,  あると決めつけ,地域保健計画策定という媒体を 介護ご一ズのある高齢者を介護サービスへと結合  もちいて,強制的な病床の転換,結果としての医 し判別する手続きである,いわゆる要介護認定に  療職員の削減,医療費の節約を意図したものであ ついて,現段階における課題や問題の所在を具体   り,是認しがたい。

的に論じてみたい。       福祉八法改正の中で義務づけられた,市町村で 本題に入る前に,介護保険構想の展開過程,そ  の老人保健福祉計画の策定は,上意下達的な方法 こでの基本的問題,要介護認定の仕組みと手続き  で,行政主導の作文である場合が多い。しかし,

について,触れておきたい。      曲がりなりにも社会調査の方法を用いて,サービ スの当事者である高齢者のニーズ調査が実施され,

1 介護保険構想の展開過程       それを前提にして必要なサービスの総量が計算さ 高齢者の保健福祉サービスの基盤整備を推進す  れ,民意を反映した形でのサービス実施計画が,

るため,在宅や施設の福祉事業について,平成11  初めて策定されたことの意義は大きい。

年度を目標とする高齢者保健福祉推進十ケ年戦略    94年の細川内閣による21世紀福祉ビジョンの策 いわゆるゴールドプランが1989年に策定された。  定は,年金・医療・福祉の給付構造を,従来の5・

この計画は,当時の最大の政治的懸案であった  4・1から5・3・2へと転換し,福祉サービス 消費税法の国会での通過と引き替えに登場したも  水準を向上させようと意図した。同年末の新ゴー のであり,成立の当初から必ずしも本格的な保健  ルドプランの策定も,旧計画の水準を全国の福祉 福祉計画の議論を前提にしたものではなかった。  ニーズ調査に基づいて,底上げしようというもの しかし,北欧の介護サービス水準の数十分の一と  であり,きわめて革新的なものであった。しかし,

いう当時の劣悪な介護環境を考えると,介護サー  バブルの崩壊による税収減の中で計画の実施は困 ビスの社会化に向けての議論の出発点が設定され  難になりつつある。

たという意味では大きな意義があった。       以上のような,90年代前半の高齢者保健福祉計 翌年の福祉八法改正は,在宅福祉サービスの推  画の計画的検討,その内実の空洞化というプロセ 進,福祉サービスの市町村への一元化という意味  スの中で,介護保険構想は登場してくる。

では評価されるが,財源保障をめぐって国の責任   94年9月の,社会保障制度審議会・社会保障将 を地方自治体に転嫁するものであり,さらに住民   来像委員会の第2次報告は,社会保障制度の中で,

負担を結果的に強化したという点は批判されねば  年金や医療に比べて制度化が遅れている高齢者介 ならない。      護の支援方法について,財源を保険料に依存した 1991年の老人保健法の改正は,老人医療費に対  社会保険方式による制度の導入を提言している。

(2)

提言は,税方式よりもこの方法の方が,国民が権  事ができずに第2次中間報告として,新たな制度 利として利用し,世間体等を気にする必要がない  の下での主な論点を提示し,さらに,4月の最終 からベターであると述べている。        報告でも統一的な見解には至らずに,検討項目ご

確かにそうしたメリットはあるが,現在の国民  とに対立する意見を提示した。

健康保険をめぐる保険料の高騰,利用者負担の上    こうした結果は,短期間での,様々に対立する 昇の中で,制度を利用できないまたは実質的に制  国民的な利害関係,さらには高齢者介護の現状に 限されている高齢者の存在を考えると,第2次報  ついての事実認識の相違を軽視した必然的な帰結 告の案は安易といわざるをえない。この案は翌年  である。他方,対立した意見の開示は,介護保険

7月の勧告の中で,より明確に提言され,その後   をめぐる議論がいかに多く,深刻な問題を内包し の介護保障をめぐる議論に,強固な枠をはめる結  ているかを,明らかにする結果となった。

果となった。まったく同時期に提案された,厚生   分裂したままの老人保健福祉審議会の最終答申 省の老人保健福祉審議会の中間報告は,医療と福   (以下「最終報告」と略す)は,どのようにして 祉に分断されている現在の介護制度を再編成し,   厚生省の事務当局による介護保険制度案大綱(以 新たなシステムの確立が必要であると述べている。  下「大綱」と略す)として具体化したのだろうか。

その方法として,一定の公費負担を組み込んだ社  介護保険制度の審議の最終段階を知る上で,やや 会保険方式,すなわち公的介護保険方式が適切で  煩雑ではあるが,主要項目ごとに両者の主な内容 あるとしている。       を掲げておきたい。

96年1月,同審議会は最終報告を取りまとめる

図表1 介護保険制度の最終報告と大綱

老人保健福祉審議会最終報告 介護保険制度案大綱

(1996.4.22) (1996.6.6)

事業主体 給付主体:市町村 市町村・特別区とし,「都道府県ごとの 財政主体:市町村あるいは国等 連合組織(連合会)」が事業主体を支援

被保険者 ・65歳以上とし,若年者も費用を負担 40歳以上を被保険者とするが,給付や

・20歳以上あるいは40歳以上とする 負担面から2種類に区分

・若年者も被保険者とし,受給権発生 ・65歳以上:第1号被保険者 は65歳から ・40〜64歳:第2号被保険者

保 険料 ・一・定額+低所得者の軽減措置 ・第1号被保険者:所得段階別定額

・所得段階別の定額 ・第2号被保険者:医療保険者が医療

・定額+低率 保険料と一体的に徴収

公費負担 ・介護給付費の1/2 介護給付費総額の1/2とし,国と地

・総介護費用の1/2 方団体は介護給付実績の各1/4(都 道府県・市町村は各1/8)を負担 利用者負担 ・定率負担(1割,2割,8%) ・介護給付対象費用の1割

・施設入所の食費等は利用者負担 ・施設の食費は利用者負担

・低所得者に対する配慮を含め,医療 保険の高額療養費と同様の仕組みを 制度化

(3)

松村:公的介護保険における要介護認定の諸問題 37

老人保健福祉審議会最終報告 介護保険制度案大綱

(1996.4.22) (1996:6.6)

事業主負担 ・企業内福利厚生の一環として労使の 労使負担割合は折半 話し合いに委ねるべき

・事業主負担を法定すべき

給付対象サー

・在宅サービスについては,24時間対 ・在宅サービスについては,24時間対 ビスについ 応を視野に入れた支援体制とし,早 応を視野に入れた体制とし,早朝,

ての特記事 朝,夜間及び深夜の巡回サービスの 夜間及び深夜の巡回サービスを普及

普及を図る必要がある。

する。

・市町村による付加給付可能

介護サービ ・一閧フ要件を備え,良質な介護サー ・一閧フ要件を備え,良質な介護サー ス提供機関 ビスを安定的に提供できる機関とす ビスを安定的に提供できる機関。

ることが適当。

・施設サービス:当面,現行の事業主

・施設サービスは現行の事業主体を基

体が基本。

本としつつ,利用者本位の効率的な ・在宅サービス:民間事業や住民参加 サービス提供という観点から,サー の非営利組織などの多様な主体が参

ビス内容の性格等に応じ,できる限

加しうる。

り多様な主体の参加を求めていくこ

とが重要。

・特に,在宅サービスについては,多 様な事業主体が参加しうるような仕 組みとすることが必要。

要介護認定 ・認定は以下の手順で行われる。 ・認定は,介護認定審査会が審査した

①本人または家族からの要介護認定 結果に基づき保険者が決定する。

の申込 ・連合会,都道府県などへの委託を認

②要介護認定機関の事務担当者によ

める。

る訪問調査の実施 ・被保険者に緊急の保護が必要な場合

③要介護認定機関による要介護状況 などについては,行政の措置によっ の審査と保険者による決定 てサービス利用を確保する。

④要介護認定の見直し

・要介護認定は,保険者の責任におい

て実施される。

・保険者が共同して認定を行うことも

可能とする。

ケアプラン ・ケアプランの作成は,以下の手順で 要介護認定を受けた被保険者は,ケア

の作成

行われる。

プランの作成をケアプラン作成機関

①作成の依頼 (居宅介護支援事業者)に依頼できる。

②高齢者の状態把握 保険給付の対象サービスの1つである。

③ケアプランの作成と本人の承諾 (ケアマネジメントサービス)

④サービスの確保とケアプランの見 直し

・保険給付として位置づける。

(4)

老人保健福祉審議会最終報告 介護保険制度案大綱

(1996.4.22) (1996.6.6)

ケアプラン 保険者自身が設置運営するものの他, 市町村が設置するもののほか,在宅介 作成機関 在宅介護支援センターなどの在宅サー 護支援センター,訪問看護ステーショ ビス機関,介護施設,診療所や病院な ンなどの在宅サービス機関,介護施設,

どの医療機関が設置運営するものにつ 医療機関であって一定の要件をみたす いて,幅広く認めていくことが適当。 もの。

家族介護の 現金支給に消極的な意見と積極的な意 現金支給は当面行わない。

評価

見を併記。

保健福祉事業の一環として家族支援事

業の実施が可能。

実施時期 ・円滑かつ早期に実施 在宅サービスは平成11年4月

・段階的施行も要検討 施設サービスは平成13年が目処

2

公的介護保険をめぐる議論の経過       は負担の方法が中心になる。大綱では,高齢者は 要介護認定の問題に入る前に,ここでは介護保  所得段階別,勤労者は医療保険方式となった。

険をめぐる主要な議論の経過について,図表1に   公費負担の導入は極めてイデオロギー的な性格 基づいて若干の整理をしておきたい。       が強い。国家の財政赤字と社会保障の民営化を背

(1)事業主体と被保険者について        景にして,社会保険方式が採用されたとはいえ,

最終報告では,国民健康保険における一般会計  完全な社会保険方式では,国民負担が高くなり国 からの持ち出し問題を背景に,市町村代表委員が  民の合意が得られない。医療保険における社会的 財政主体になることに抵抗を示したため,事業主  入院費の費目転換等をはかるためには,介護制度 体は両論併記となっている。しかし,大綱では都  の早急な創設が必要であり,そのためには公費負 道府県ごとに財政調整のための基金・組織を設置   担が必要であったようだ。公費負担とはいえ,大 することを条件にして,市町村が給付・財政の主  綱では国と地方が折半する形になっている。

体となっている。      (3)利用者負担と事業主負担

被保険者については,介護保険をめぐる多様な   最終報告では,医療保険の当時の改正案を睨み 理解と期待を反映して,様々な要求が提案され,  ながら,議論がされたようだ。特に施設利用にお 最終答申では整理しきれていない。サービスの給   ける食費の保険からの分離案は,結果的に施設介 付対象を高齢者としながらも,被保険者の保険料   護の利用費をかなり高め,その結果として低所得 負担を下げるには,青壮年を含めて被保険者の範  の人は重介護サービスを受けにくくなることが懸 囲を広く考える必要がある。しかし,それでは青  念される。

壮年層の合意が得られるかが問題となる。      事業主負担は,老人保健制度への拠出制度の現 大綱では,最終報告との折衷案という形で,被   状を背景にして,実業界からの強い反対があった 保険者は40才以上,実質的なサービス対象は65才  が,国民全体で介護制度を支えるという論拠の下 以上となった。      で,医療保険と同じ仕組みで合意を見ている。

(2)保険料と公費負担       (4)給付サービスとサービス提供機関

最終報告では,国保の保険料を念頭において,   最終報告では従来の在宅福祉サービスに加えて,

低所得層の負担問題が議論されている。具体的な  リハビリテーション,訪問看護,グループホーム,

金額は,サービスの量や質と関わるので,ここで  医学的管理,ケアマネジメント,従来の福祉施設

(5)

松村:公的介護保険における要介護認定の諸問題       39

入所サービスに加えて,老人保健施設,療養型病   問題である。

床群が,それぞれ追加された。これは厚生省が従   (8)重層的で柔軟なシステムをめぐって 前から提案していたもので,医療機関内での治療   厚生省の,介護保険実施にあたっての基本的な 医療に接続する,保健・医療・福祉分野での介護  考え方として,サービスの全国的なミニマムを前 を一体的に捉えて,介護保険の対象にしようとす  提にしながらも,地域の特色に応じて市町村が実 るものであり,措置制度下にある老人福祉サービ  施し,国や県,医療保険者が重層的に支え合うと スの解体を意味する。       いっている。地域の実情に応じたサービス提供,

提供機関については,最終報告・大綱共に,民   地域のサービス水準に即した負担という柔軟なシ 間事業者や住民参加型組織の算入を提唱している  ステムも必要であるといっている。

が,サービスの量と質の両面において,供給が間    しかし,こうした柔軟性は,現実的には,家族 に合うか否か懸念が大きい。      介護重視の風土があるのでサービスの整備を低水

(5)要介護認定とケアプランの作成       準にし,その結果保険料も安くするといった,安 要介護認定は,市町村が設置する審査会で行な  かろう悪かろうの結果を招きかねない。介護の社 い,それに対して意義申し立ての権利もある。ケ  会化の理念が市町村で堅持されるような配慮が必 アプランは,要介護の段階に応じて,その範囲内  要である。

で被保険者の要望にしたがって行なわれる。要介

護の内容については,次節で詳細に議論する。   3 要介護認定の仕組みと手順

(6)家族介護の評価と実施時期      高齢者が保険給付の申請を行ない,要介護認定 家族内介護者のいる世帯への現金給付について   と要介護区分の決定がなされた後,本人の意向に は,①当然の権利として賛成,②介護を女性に固  よりサービス計画の作成を自ら行なったり,然る 定化するものとして反対,③財源難の立場からの  べき機関に依頼したりするわけであるが,その前 反対等,様々であったが,大綱では現金給付は採   半の申請から認定までの過程をフローチャートに 用されていない。これは制度の実施後も論争の中  示すと図表2のようになる。

心課題になろう。      被保険者から市町村に出された申請に対して,

実施の時期については,ドイッの介護保険を参  市町村職員が訪問調査を実施し,平行してかかり 考にして,最初に在宅サービス,次に施設サービ  つけ医の意見聴取が行なわれる。これらの資料に スという2段階方式が最終報告・大綱でとられた  基づき介護認定審査会が判定基準に基づいて要介 が,96年秋,平成12年4月蘭始で一本化された。   護か否かの決定を行ない,当該市町村はこれを実

(7)措置制度からケアマネジメント方式へ    施する。その際,被保険者は不満があれば不服審 現在の福祉サービスは,利用希望者が市町村ま  査請求を都道府県に請求することができる。

たは福祉事務所に申請し,利用の開始の有無は市    本論文で以下に議論する,要介護認定を判断す 町村が職権により決定することになっている。公  る介護認定審査会の設置案は,次のようになって 的介護保険が実施されると,利用の開始は要介護  いる。①市町村に介護認定委員会を設置する,② 判定の決定を待って,本人がサービス提供機関に  委員の定数は政令で定める基準に従い条令で制定 申し込むのが原則になる。      する,③市町村長が委員を任命する,④審査会の サービス内容の決定は従来は市町村にあり,利   共同設置・審査判定業務の都道府県委託をするこ 用者に内容の選択権はなかったが,介護保険では  とができる。

最終的な判断は本人とサービス提供機関との契約 に任されることになる。しかし,依頼に必要な情 報が本人にあり,依頼負担能力があるか否かは別

(6)

図表2 要介護認定の申請と認定     スモデル」を参考資料として作成している。そこ

申請から認定 では,①利用者本位のサービス,②予防,リハビ リテーションの重視,③総合的効率的なサービス 被 保 険 者 の提供,④在宅の重視,という考え方に立って,

合計10例のサービスモデルを提示している。この

1直接申請

指定居宅介護 x援事業者等

内8例はいわゆる「ねたきり」の高齢者であり,

u要介護」の事実認識がねたきり状態の程度を重 視して行なわれていることがわかる。

2申請代行 要介護認定をどのように行なうかは,かなり困 市  町  村 難な業務であり,従ってその基準設定のもつ意味 が非常に重要になる。この作業は96年から3年が

4調査委託 かりで精緻化されることになっている。本節では 5意見

徴収 指定居宅介護 第1次の精緻化の作業(モデル事業)の経過と問 支援事業者等 題点にふれたい。

高齢者ケアサービス体制整備支援事業の一環と 医 師 3調 査 調 査    して,要介護認定の試行が96年から開始された。

この年,全国から60市町村のモデル地域が指定さ 報告

i 被保i険者       1

れ,要介護認定については,各地域ごとに概ね 100件のケースが選定され,保健・福祉の専門家 による介護認定調査,かかりつけ医による意見書 市  町  村 の提出,これらの資料に基づいた認定審査会が開 催された。厚生省の高齢者介護対策本部の資料に 6審査・判定通知 よれば,認定審査会の委員は平均5〜6人,構成

._...____介護認定審査会一_.____...

は主に医師(34.6%)・看護婦(8.9%)・保健

・市町村に設置    ・都道府県に委託

@      ・共同設置 婦(8.9%),委員会の開催回数は3〜5回,となっ

ている。

7審査・判定結果通知 全国の調査対象者5595人のうち,49.2%は在宅 市  町  村 高齢者,他は特別養護老人ホーム,老人保健施設,

療養型病床群等の施設入所者である。本論文の最 8認定(決定) 9認定審査会意見 大の関心,そしてこの調査の目的は,厚生省が事

結果通知

﨑ロ険者証の返付

サービス種類の指定      前に設定した要介護認定・要介護ランク(一次判

定)がどれほど適切であり現実的であるか否かを 被 保 険 者 実証的に検討(二次判定)することである。

10審査請求 即ち一次判定の概念的な基準に従い,その基準 をブレイクダウンした具体的な基準枠組および 都 道 府 県

諟?ロ険審査会 その基準枠組に従って高齢者から収集され,コン sューターによって類別化された要介護の区分が,

4 要介護認定の基準設定とモデル事業 現実の生きている高齢者の福祉ニーズを十分に反 1996年,厚生省は老人保健福祉審議会の中間報   映し,適切な介護サービスに結合しているかどう 告をふまえて,「要介護高齢者等に対するサービ  かを専門家が判定する事。また一次判定と二次判

(7)

松村:公的介護保険における要介護認定の諸問題      41

図表3 一次判定と二次判定の変更関係

二次判 定

要介護

自立

1

2 3 4

5

小計

合計

減 86

自 立

?8∬ 13

2

2 85 1

1.5%

要支援

15、  確

83 9 2

2 7

605 5  610 P0,996

1 2 15趨灘

45 9 5 1 2 342 2 344

6.1%

次 要

2

1 8 113

148 34 3 15

1,177 7 1,184

Q1.2%

判 介

3

1

3

64

8ゴ

257 38 10

1,051

4

1,055

P8,996

4

2 6 127 、 .966二 316 10

1,327 6 1,333

定 23.8曳

5

1 40 173

3 976

7

983

17.6%

計 86 525 466 979

1,004

1β37

1,117

49

5,563

32

5,595

P00.0%

(%)

1.5% 9.4馬 8.4% 17.6% 18.0% 24.0覧 20.1覧 0.9垢 100.0覧

変更

メ数

18 38 203 124 326 471 358

1,538

定が相違する時,その原因を明らかにし,判定基

?フ精緻化のための意味ある情報を収集するのが

ランク

ы№フ合計変更した 軽介護マ更の割合 重 介護マ吏の割合

モデル事業の主たる目的である。

自   立

17.4% 一% 17.4%

以下では図表3により,一・次判定と二次判定の   要 支援

17.8 2.5 15.3

変更関係を分析したい。       要介護 1

22.3 4.9 17.4

図表3から各ランクごとに,一次判定と二次判   要介護 2

25.9 10.3 15.6

定での変更した割合,および軽介護への変更,重   要介護 3

35.3 6.4 28.9

介護への変更の割合を整理すると以下のようにな   要介護 4

34.6 10.1 24.5

21.7 21.7

この整理から明らかなことは,5595人の調査対

(平均) 27.6 10.2

17.5

象者のうち,1537人,実に27.6%が,専門家によ

り,一次判定の判定結果が誤っていると認定され  護認定が3や4の介護層での重介護への変更が目 たことを示している。一次判定の判定手続きにど  立つ。即ち,国が当初設定した判定手続きは,ラ のような誤りがあったのか。そのことを二次判定  ンクの認定が厳しすぎること,とりわけ重介護層 による修正結果から見ると,軽介護への変更の平  で厳しかったように思われる。

均値が10.2%なのに対して,重介護への変更の平   それではどのような根拠により,認定審査会は 均値が17.5%であることから,認定審査会では厚  判定を変更したのか。介護対策本部資料によれば 生省が設定した判定手続きを,重介護の方向によ  主な根拠は「介護上の判断による」,「判定基準に

り強く変更していることがわかる。とりわけ要介  よる」,「かかりつけ医の意見書による」,「特記事

(8)

項の記載内容による」となっている。       護認定の諸問題を具体的に検討したい。

これらの「変更根拠」の意味内容は多分にあい

まいであるが,筆者なりに理解すると次のように  5 要介護状態の判定結果から見た介護判定の諸 なる。「介護上の判断」とは,調査票に記載され   問題

た様々なニーズの総体を,それに対応した介護水   97年度に実施された2回目のモデル事業の検討 準との関係で専門的見地から判断ずると,コンピュー  に先立ち,96年度のモデル事業で指摘された判定

ターにインプットされた「ニーズの集合に基づく」  基準のあいまい性について,具体的に触れておき 判定手続きとは相違するという事であり,機械集  たい。

計の限界を暗示している。      96年度のモデル事業では,ADLを主体にした

「判定基準による」とは,調査票に記載された  71項目の判定項目が調査票に組み込まれ,4段階 情報から直接に判断すると,「ニーズの集合に基  の自立度(自立,見守り,一部介助,全介助)を つく」判定手続きとは相違するという事であり,  示す選択肢に従って調査員が評価し,その得点結 ここでも機械集計の限界が暗示されている。付言  果を厚生省が設定したプログラム(内容は未公開)

するなら,判定基準の基になる要介護ランクの定  に従って分析し,6段階の要介護状態区分へと判 義があいまいであることにも問題があるようだ。  定している。

医師の意見書や調査員の特記事項による変更は,   71の個々の判定項目は,介護との関係で当然の 調査票の記載内容や調査の方法に問題があり,基  ことながら同じウェイとをもたないし,所与の情 本調査の判定1青報とは別の専門情報により,判定  報から自立度を4つのレベルに判定する調査員の が変更されたことを示している。        「判断基準の世界」,プログラムの根拠も問題にな 厚生省の整備検討委員会は,96年度の要介護認   る。ここではこれらについて議論する資料がない 定のモデル事業の問題点を取りまとめているが,  ので,高齢者介護対策本部が資料として作成した 主な事項は以下のとうりである。        「調査結果の具体例」の中から,6段階ごとに10

① 1回の調査,聞き取りという調査方法では  人の事例を選び,各人の「単純得点分布」を検討 状況を十分に把握できない。         したい。ここでの得点は煩雑さをさけるため,

②調査員の質の向上,複数の調査員による調  自立を0点,見守りを1点,一部介助を2点,全 査の必要。       介助を3点として計算した。

③調査票の様式の改正,マニュアルの必要性。

④ ADLについて,「できる」のに「してい 調査対象者の得点(要介護度の合計)分布

ない」場合への対応。       状態区分

⑤かかりつけ医の意見書に,記入マニュアル      要 支 援

16  10   7   5   8   9  11  11  18  10

が必要。

      要介護 1⑥調査員等を認定審査会に同席させる。

20  10   7   9  22  17  10  12  13  29

⑦要介護状態区分ごとの説明を改善し,判定   要介護 H

39  37  36  22  34  25  24  24  26  34

基準を明確化する。       要介護 皿

44  76  48  69  46  64  66  56  68  76

⑧要介護状態区分の境界がわかりにくく,痴   要介護IV

89  69  72  59  71  54  67  55  50  65

呆が低く判定されている。       要介護 V

92  82 104  97  93  89  86  86  61  84

初年度における要介護認定の試行的な作業の経 状態区分ごとの各ケースの得点分布を要約する 過と反省は次年度にどの様に継承されたのだろう  と,次のようになる。

か。次節ではA自治体の事例を参考にして,要介   要支…援:5〜18点  要介護1:7〜29点

(9)

松村:公的介護保険における要介護認定の諸問題      43

要介護H:22〜39点  要介護皿:44〜76点   かかりつけ医意見書の記入マニアルの作成,調査 要介護IV:50〜89点  要介護V:61〜104点   項目の定義,調査方法,選択肢の判断基準の明示

等である。

これらの得点分布から,判定プログラムには,   調査項目も,31領域75項目へと改善・増加して ある特定の項目が重み付けされていることが推察  いる(注D。

される。しかし,状態区分ごとの得点分布は相互   A自治体における介護認定審査の中間資料によ にかなり重複していることがよくわかる。判定委   ると,調査対象者88人(在宅47人,施設41人)の 員会において,状態区分間の境界があいまいであ  内,二次判定で変更された件数は18件,20.5%で るとの指摘の背景には以上のような事実がある。  あり,前年度の全国平均の変更率27.6%に比較す 次に,97年度のモデル事業について,前年の問  るとかなり低くなっており,認定基準をめぐる改

題点がどのように改善され,どのように審査が実  善がかなり進んだことを示している。       5

{されたのか。残された課題は何か等について検   一次判定を基準にした変更率は,自立25.0%,

討する。       要支援14.3%,要介護116.6%,要介護133.3%,

97年度のモデル事業は,図表4の「モデル事業  要介護皿25.0%,要介護IV 8.5%,要介護V8.3%

の流れ」にしたがって作業が実施されている。   であり,要介護1と皿の階層での変更が多いよう だ(注2)。自立層はケースが少ないので判断を留保 図表4 モデル事業の流れ       する。

鮫辮棚定       これらの変更の方向を見ると,重介護への変更

墾勇票書       は4ケース,軽介護への変更は14ケースとなって

@ ↓騨…一…一一一画場皆票卸響灘禦灘簾物 目量する      ラムが前年の批判をふまえて柔軟化した事が考え

介護齪鞭     かかりつけ医の槻  られる。この傾向は在宅生活者,施設入所者の両

ォ    1 方に見られる。

介護サービス調査票

@       それでは次に判定変更の背景について,考察し       かかりっけ医

      意見書   たい。擬混鯛董   畠本講管   韓記事項

18ケースの主な変更理由のうち,調査票の特記 刷輔.ンピ。一ター      事項を根拠とするものは10件,かかりつけ医の意

に誉戴欝県       見書に基づくものは12件であり,前者の変更は主 に身体動作の領域,後者の変更は主に精神疾患・

モデル介護隠窪審査会

(傑徳醜唱径の鞭経鵬)        痴呆等の心身の状態についての記述を根拠にして

審査・鵯定に鵡霊,

@      変更されている。調査票のうち,基本調査に示さ れた身体動作の数量的・集合的情報は,かなり現

自立

璽琴擬   璽介弊:〜v) 開査     象的な情報であり,これに対して特記事項の文章 厚生省老人保健福祉局長から,各都道府県知事  化された情報は全体的・総体的なものであり,専 への通知「平成9年度高齢者介護サービス体制整  門家の視点から価値の高い情報として,判断の素 備支援事業の実施について」によれば,前年の問  材にされたようだ。

題点の改善策がかなり克明に盛られている。例え   身体動作の領域が,要介護Hの前後のランクで ば,審査会資料の事前配布と十分な審査時間の確  変更理由として重視されたのに対し,心身状態を 保,調査員の会議への同席,介護サービス調査票・  始めとする医師の意見書は,要介護m以上のラン

(10)

クで主に重視されているようだ。要介護IH以上の  ようだ。また,調査の趣旨が十分に理解できない 階層では,身体的なADLの状態と共に心身の状  まま,調査に協力したものもいたという。これら 態がランクの決定要因になる。しかし,前年から  は介護保険についての市民情報が不足しているこ の項目修正にもかかわらず,心身状態については  とに由来すると思われる。

あまり変化がなく,認定審査会では痴呆の状態を   (3)介護認定調査の方法と内容について 重視した結果,一次判定に批判的な判定結果になっ   項目の定義等の工夫はされたが,調査員の判断 たものと思われる。      が重要な意味をもつことを考えると,調査の方法 や判断基準についてのいっそうの明確化が必要て 6 モデル介護認定審査から見た要介護認定の諸  あろう。チェック漏れや判断の偏りを防止するた

課題      めの2人体制も考慮されたい。

介護認定の問題について,次のような指摘があ   内容については,痴呆状態が介護水準をかなり る。「認定が公平に行なわれるかどうかは国会審  左右することを考えると,もっと重視してもよい 議でも論議となった。厚生省が実施したモデル事  だろ。

業では一次と二次の判定で三割近い誤差がでた。   ADL項目の「できる」については,在宅と施 認定は要介護か否かだけでなく,保険給付額を決  設ではADL支援環境がかなり異なるため,同様 定づける介護のランクにまで及ぶため,症状が同  に考えて良いかどうか疑問が残る。例えば,在宅

じでもランクが違ったりすれば,利用者から不満  における布団生活と施設での手すり付きのギャッ が出るのは必死である。」(97年12月10日朝日新聞)  ジベット生活では,「寝返りについて」の自立度

以上のような不安は96年のモデル事業で発生し  を同様に考えることはできなであろう。

ており,97年の第2次モデル事業,それをふまえ   (4)かかりつけ医の意見書について

た98年の全市町村での試行によって,是正されね   かかりつけ医といっても数か月以上も当該患者 ばならない。実質的には97年のモデル事業で,問  に接していないケース,往診をしていないために 題点の克服が必要である。それでは実際はどうで  医師が家庭の状況を把握していないケース,医療 あったのか。前節のA自治体での試行をふまえて,  機関内での投薬や診療情報が中心で,介護につい 要介護認定をめぐる具体的な作業レベルでの諸問  ての記述が少ない等の傾向があったようだ。こう 題について整理したい。       した事実は,医療の専門分化が進む中で,在宅医

(1)一次判定資料について       療や保健・福祉との連携が必ずしも進んでいない 前年での批判にもかかわらず,「要介護状態区  ことの証左と思われる。

分等」にみる要介護の区分はわかりにくい。様々   (5)認定審査会での判定の根拠について なADLの状態や身体症状の羅列,前後のランク   認定審査会では,一次判定に反映されていない との相対的な相違の記述がされている。しかし,  医師の意見書や調査書の特記事項の情報のみを根 こうした情報が要介護認定の客観的な判断材料に  拠にして,判定を実施することになっている。し はなっていないようだ。      かし,前年での問題指摘にあるように,「地域性」

さらに,同じような調査結果にもかかわらず,  の考慮が必要であり,専門家自身の経験も生かさ 一次判定では異なる結果が出てきている,という  れる必要があるだろう。その際,全国平等という 疑問もある。判定基準のプログラムが開示される  理念との均衡が問題になるが,二次判定基準の明 べきだろう。       確化と共に,保健・福祉・医療面での「地域性」

(2)介護認定調査の対象者について       が加味されて良いだろう。

調査対象者100ケースの選定の際,実験台には   以上,要介護認定をめぐる具体的な諸問題につ なりたくないとの理由で拒否したケースがあった  いて,モデル事業を素材にして97年12月現在での

(11)

松村:公的介護保険における要介護認定の諸問題      45

状況を整理してみた。98年度に全国の市町村で,  16,移     乗:

要介護認定の作業が実施され,2千年からはそれ  17,ア.尿   意:

が具体化されることになる。現時点では,モデル    イ.便   意:

事業という形で,いわば机上の議論がされている  18.排尿後の後始末:

が,来年度は具体的な業務を前提にした作業とい  19.排便後の後始末:

うことになる。      20.浴槽の出入り:

介護実施の時点では,介護認定の申請件数は膨  21.洗     身:

大な数に上り,その認定調査,医師の意見書作成,  22.ア.口腔清潔:

そして膨大な申請ケースを人材面・時間面で限ら    イ.洗   顔:

れた認定審査会で処理できるのか,問題は多い。    ウ.整   髪:

本論文はそうした事態への課題提起である。      エ.つめ切リ:

23.食 事 摂 取:

(注1)      24.ア.ボタンかけはずし:

1.視      力:      イ.上衣の着脱:

2.聴      力:       ウ.ズボン等の着脱:

3.麻輝の右無       工.靴下の着脱:

左上肢:       25.居室の掃除:

右上枝:       26.薬 の 内 服:

左下肢:       27.金銭の管理二 右下技:       28.意思の伝達:

その他:       29.拒示への反応:

4.関飾可動域制限       30.ア.日課の理解:

肩関節:      イ.年齢等を答える:

肘関節:      ウ.短期記憶:

股関節:      エ.名前を答える:

足関節:       オ.季筋の理解:

その他:       カ.場所の理解:

5.ア.じょくそう:       31.ア.神忘れがひどい:

イ.皮膚疾患:       イ.ぼんや り:

6.  片手胸元持ち上げ       ウ.被  害  的:

エ,作    話:

7.嚥      下:       オ.幻視・幻聴:

8.寝   返   り:      カ.感情不安定:

9.起きあがり:      キ.昼夜逆転:

10.雨足つく座位保持:       ク.暴言・暴行:

11.つかない座位保持:       ケ.同じ話・不快音:

12.立ち上がり:       コ.大声をだす:

13.雨足での立位保持:       サ.介護への抵抗:

14.片足での立位保持:       シ.俳    徊:

15.歩     行:      ス.落ち着きなし:

(12)

セ.一人で戻れない:       せつ」という)の間接的な介護を必要とする場合が要 ソ.目が離せない:      介護状態区分1よりも増加する。また,「両足がつかな タ.収 集 癖:       い状態での座位保持」が不安定で,「起き上がり」も自 チ.火の不始末:       力では困難な状態であり,何かにつかまる必要がある ッ.物や衣類を壊す:       場合状態区分1より多い。社会生活の上では「薬の内 テ.不潔行為:       服」,「金銭の管理」に何らかの援助を必要とする場合

ト.異食行動:      も多い。

ナ.迷惑な性的行動:       「清潔・整容」,「食事摂取」,「衣服岩脱」,「排せつ」,

「入浴」等の行為のうち,最小限2つの分野で,少なく

(注2)       とも毎日1回は介護が必要とされる場合等である。

要介護状態区分等と状態像         [要介護状態区分3](重度の介護を要する状態)

[要支援状態」(要介護状態とは認められないが社会的    日常生活を遂行,する能力の・中では,「入浴」,「排

支援を要する状態)      せつ」,「衣服済脱⊥「清潔・整容」等の行為に対して 日常生活の活動の際に,残存能力を保持し向上させ   の部分的又は全面的な直接介護を必要とする場合が要 る必要が認められる場合,失われた能力を取り戻すよ  介護状態区分2よりも増加する。また,「両足がついた

うな支援が必要な場合等をいい,そのための器具・器   状態での座位保持」が不安定で,「起き上がり」,「寝返

械の使用の指導が必要な場合等も含まれる。       り」も自力ではできず,何かにつかまる必要がある場

日常生活を遂行する能力は基本的に備わっているが,  合が要介護状態区分2よりも多い。社会生活の上では,

「両足・片足での立位保持」に不安定さがみられ,「口   「薬の内服」,「金銭の管理」について介助が必要な場合 腔清潔」・「洗顔」・「整髪・洗髪」・「つめ切り」   が多く,「暴力・暴言」,「介助への抵抗」,「昼夜逆転」

(以下「清潔・整容」という。),「浴槽の出入り」・   等の問題行動が見られる場合もある。これらの問題行

「洗身」(以下,「入浴」という。),ボタンのかけはずし」  動がある場合には,「両足での立位保持」,「歩行」が自

・「上衣の着脱」・「ズボン等の上下」・「靴下の着   立している等身体の機能水準は高いが,社会生活を遂

脱」(以下,「衣服着脱」という。)等の行為に関して,   行する能力はかなり低い。

毎日ではないが週に数回程度の介護が必要とされる場    「清潔・整容」,「食事摂取」,「衣服着脱」,「排せつ」,

合等である。       「入浴」等の行為のうち,最小限3つの分野で,少なく

[要介護状態区分1](生活の一部について部分的介   とも毎日2回は介護が必要とされる場合等である。

護を要する状態)       [要介護状態区分4](最重度の介護を要する状態)

日常生活を遂行する能力の中では,「入浴」に関連す    日常生活を遂行する能力は,かなり低下しており,

る能力に若干の低下がみられ,「立ち上がり」,「両足・   「入浴」,「排せつ」「衣服着脱」,「食事摂取」,「清潔・

片足での立位保持」,「歩行」に不安定さが見られるこ   整容」の全般にわたって部分的あるいは全面的な介護

とがある。また,「物忘れ」などが見られることがある  が必要である。植物状態で意思疎通が全くできない人

が,それ以外に問題行動はほとんどない場合も多い。   も含まれる場合がある。また,「起き上がり」,「立ち上

「清潔・整容」,「衣服着脱」,「居室の掃除」,「薬の   がり」ができない場合が要介護状態区分3よりも多い。

内服」,「金銭の管理」等の行為のうち,最小限1つの   その他に,「食事摂取」の部分的な介護が必要で「尿意」

分野で,少なくとも毎日1回は介護が必要てある場合   がなく「知的能力」が全般的に低下している場合や,

等である。       「食事摂取」の部分的な介護と「入浴」の全面的な介護

[要介護状態区分2](中等度の介護を要する状態)    が必要で「知的能力」が著しく低下している場合等も

日常生活を遂行する能力の中では,「入浴」の直接介   含まれる。

護,「排尿後の後始末」,「排便後の後始末」(以下,「排    「清潔・整容」,「食幸摂取」,「衣服着脱」,「排せつ」,

(13)

松村:公的介護保険における要介護認定の諸問題      47

「入浴」,「寝返り」,「起き上がり」等の行為のうち,複

数の分野で,少なくとも1日に3回〜4回は,異なる

時間に,介護が必要とされる場合等である。

[要介護状態区分5】(過酷な介護を要する状態)

日常生活を遂行する能力は,著しく低下しており,

生活の全般に渡って部的又は全面的な介護が必要であ

る。とくに,「嚥下」に障害がある場合は,自力での摂

取が困難なため,必要な介護度が増加する傾向がみら

れる。また,自力での「寝返り」,「座位保持」はほと んどできない場合が多い。

「清潔・整容」,「食事摂取」,「衣服着脱」,「排せつ」,

「入浴」,「寝返り」,「起き上がり」,「立ち上がり」,「立

位保持」,「歩行」等の行為のうち,複数の分野で,少

なくとも1日に5回以上は,異なる時間に,介護が必

要とされる場合等である。

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