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有価証券報告書でみる スカイマーク株式会社の₁₈年 ₃ か月

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(1)

目    次

₁  はしがき

₂  割安運賃で大手に挑む

₃   ₁ 回目の危機

₄  創業以来初の黒字

₅  B₇₃₇投入

₆  B₇₃₇で効率経営を実現

₇  LCCの登場で立ち位置が曖昧に

₈   ₂ つの成長戦略

₉  裏目に出た成長戦略

₁₀ 自主再建の目処立たず

₁₁ あとがき

₁  は し が き

 日本の航空業界は,₁₉₈₅年まで,日本航空株式会社,全日本空輸株式会 社,株式会社日本エアシステム(₂₀₀₂年₁₀月に日本航空と経営統合)の大 手 ₃ 社による寡占体制にあった。社会には寡占に伴う運賃の高止まりに対 する不満がくすぶり,航空業界に革新を求める声が強かった。

 政府は,₁₉₈₆年から₁₉₉₇年にかけて,段階的に規制緩和を行い,運賃の 引き下げなど,競争を促す航空行政に舵を切った。規制緩和を受けて,大 手旅行会社株式会社

HIS

を率いる澤田秀雄氏が₁₉₉₆年₁₁月,スカイマーク

有価証券報告書でみる

スカイマーク株式会社の₁₈年 ₃ か月

政  岡  孝  宏

(受付 ₂₀₁₉年 ₄ 月 ₂₆ 日)

〈研究ノート〉

(2)

エアラインズ株式会社を創業。₁₉₆₁年 ₆ 月に設立された長崎航空株式会社

(現オリエンタルエアブリッジ株式会社)以来₃₅年ぶりに誕生した国内定期 航空会社であった。スカイマーク株式会社に社名変更するのは₂₀₀₆年₁₀月 である。

 ₂₀₀₀年 ₅ 月,東証マザーズに上場。₂₀₁₃年₁₁月に東証 ₁ 部に指定替え。

その ₁ 年 ₂ か月後の₂₀₁₅年 ₁ 月,東京地裁に民事再生法の適用を申請した

(表 ₁ )。₂₀₀₀年以降,負債総額(申請時)₁₀億円以上の航空会社の倒産事

会長 社長 年月 事  項

 ₉₆.₁₁   ₉₆.₁₁  ₉₆.₁₁ スカイマークエアラインズ(株)として東京・新宿区で設立(資本金 ₁ 億₅,₀₀₀ 万円)。

澤田 秀雄

大河原 順一 ₉₈.₈ ボーイング社から

B₇₆₇初号機を受領。

₉₈.₉ 国内線運航開始(羽田-福岡便)。

井出 隆司

₀₀.₅ 東証マザーズ上場(資本金₃₈億₈,₉₀₅万円)。

₀₀.₉ グランドハンドリング業務(地上貨客取扱業務)・飛行間整備業務の自営化。

₀₂.₈ 国際線チャーター便運航開始(羽田-ソウル間)。

井上 雅之 ₀₃.₁₀ 第三者割当増資を実施(資本金₆₆億₄,₇₉₆万円)。債務超過を解消。

西久保 愼一

₀₄.₁₁ ゼロ(株)を吸収合併。有利子負債を全額返済。

₀₅.₃ 欠損てん補を目的に減資を実施(資本金₂₁億₆,₃₁₅万円)。

西久保 愼一

普通株式 ₁ 株を₂₀₀株に分割。単位株制度を導入( ₁ 単元=₁₀₀株)。

₀₅.₁₂ ボーイング社から

B₇₃₇初号機を受領。

₀₆.₁₀ スカイマーク(株)に商号変更。

井出 隆司

₀₉.₆ 本社を東京国際空港内(東京・大田区)に移転。

₀₉.₉ 模擬操縦訓練施設(フル・フライト・シュミレーター)を本社に設置。自社施 設で訓練開始。

₀₉.₁₀ 客室乗務員訓練施設(モック・アップ)を本社に設置。自社施設で訓練開始。

機材をボーイング社の

B₇₃₇に統一。

₁₀.₁₁ 国際線用機材としてエアバス社と

A₃₈₀導入に関する基本合意書を締結。

₁₁.₂ エアバス社と

A₃₈₀  ₆ 機の購入契約を締結。

₁₂.₃

LCC登場。

₁₃.₃ 神戸空港・関西国際空港から撤退。

₁₃.₁₁ 東証 ₁ 部に指定替え(資本金₁₄₁億₈,₀₃₉万円)。

₁₄.₂ エアバス社から

A₃₃₀初号機を受領。

₁₄.₆ 羽田-福岡線で

A₃₃₀運航開始。

₁₄.₇ エアバス社から

A₃₈₀の契約解消と違約金支払いの通告。

₁₄.₁₀ 成田国際空港から撤退。

₁₅.₁ 東京地裁に民事再生法適用を申請。

₉₈.₁₂

₀₃.₁

<表

1

>スカイマーク18年

3

か月の歩み

₀₉.₅

₀₅.₆

₀₄.₁

(3)

例としては ₄ 社目である(表 ₂ )。

 本稿では,有価証券報告書を読み解きながら,スカイマークの誕生から 破綻までの₁₈年 ₃ か月を回顧したい。

₂  割安運賃で大手に挑む

(1) 利用者の支持を得て好発進

 スカイマークは,ボーイング社製の

B₇₆₇を ₂ 機使い,₁₉₉₈年 ₉ 月に羽

田-福岡線で運航開始(表 ₃ , ₄ )。整備や乗員の養成・訓練,グランドハ ンドリング業務(地上貨客取扱業務)はすべて全日空に委託した。

 航空業は,固定費率が高く,利益を出すことが難しい業種である。した がって,一定の機材と路線を持ち,規模のメリットを出すのが経営の基本 といえる。スカイマークは,あらゆる面で大手に劣っていた。勝負できる とすれば運賃だけ。スカイマークは,機材を

B₇₆₇に統一して整備費や乗員

訓練費を極力抑えるとともに,なるべく多くの座席を設置し,サービスを 簡素化することで安い運賃を実現。これが多くの利用者に支持され,当初

₈₀%台の搭乗率を達成した ₁︶

倒産年月 会社名 所在値 負債総額

(百万円) 倒産形態

₂₀₀₀年 ₆ 月 北海道国際航空(株)(現(株)AIRDO) 北海道   ₆,₀₀₀ 民事再生

₂₀₀₉年₁₁月 (株)エアードルフィン 沖縄   ₁,₃₀₄ 破産

₂₀₁₀年 ₁ 月 (株)日本航空インターナショナル(現 日本航空(株)) 東京 ₁,₆₂₇,₉₁₉ 会社更生

₂₀₁₅年 ₁ 月 スカイマーク(株) 東京 ₇₁,₀₈₀ 民事再生

(注)₂₀₀₀年以降,負債総額(申請時)₁₀億円以上。

<表

2

>航空会社の倒産事例

₁)「東京-福岡線,スカイマーク独り勝ち」日本経済新聞,₁₉₉₈年₁₂月 ₂ 日朝刊。

(4)

₁₉₉₉ ₁₀₂₀₀₀ ₁₀₂₀₀₁ ₁₀₂₀₀₂ ₁₀₂₀₀₃ ₁₀₂₀₀₄ ₁₀₂₀₀₅ B₇₆₇(₂)₂)₂)₃)₄)₅)₆) 便₁₄₁₇₂₁ ₂₀₀₅₁₀

< 表

3

> 期 末 の 保 有 機 材 ・ 機 数 と 運 航 路 線 数 ・ 便 数 の 推 移 (

1999

10

月 期 〜

2005

3

月 期 )

₁₉₉₉ ₁₀₂₀₀₀ ₁₀₂₀₀₁ ₁₀₂₀₀₂ ₁₀₂₀₀₃ ₁₀₂₀₀₄ ₁₀₂₀₀₅ ₉₈.₉  ④(₇₄ ⑥(₇₆ ⑥(₆₈ ⑥(₆₇ ⑦(₇₂ ⑨(₆₈⑨(₆₆ ₉₉.₄₀₂.₄  ①(₃₃  ₀₀.₆  (₆₀ 鹿 ③(₆₁ ③(₆₈ ④(₆₁④(₅₆  ①(₄₃  (₅₀₀₃.₄   ②(

₅₁

④(

₄₆④(₄₃  

②(

₄₁₀₃.₁₁運

 (

₃₈₀₅.₃  西④(₄₃  (₆₂  (₆₉  (₆₈  (₆₅  (₆₄  (₆₁ (₅₅ 便(  )

< 表

4

> 期 末 の 路 線 別 便 数 と 平 均 搭 乗 率 の 推 移 (

1999

10

月 期 〜

2005

3

月 期 )

(5)

₁₉₉₉ ₁₀₂₀₀₀ ₂₀₀₀ ₁₀₂₀₀₁ ₁₀₂₀₀₂ ₁₀₂₀₀₃ ₁₀₂₀₀₄ ₁₀₂₀₀₅ ₁₀ ₉,₀₆₆,₃₉₁₃,₇₃₈₁₃,₄₇₂₁₅,₄₀₂₂₂,₅₅₄₃₁,₇₇₈₁₃,₀₂₉ ₁₁,₇₃₉₆,₉₅₁₄,₃₂₂₁₂,₆₄₈₁₄,₆₀₈₂₀,₈₈₀₂₇,₉₆₂₁₁,₈₉₈ ₁,₅₄₁,₁₃₂,₃₃₁,₆₆₁,₈₆₁,₉₆₂,₄₄₁,₀₆ ₄,₂₂₁,₆₉₂,₉₁ ₈₃₁,₀₇₂₉₁,₃₇  ₆₅ ₄,₂₆₁,₇₂₂,₉₇ ₈₉₁,₁₁₅₇₁,₄₁ ₂₅ ₄,₂₅₁,₇₂₃,₀₄ ₉₈₁,₀₉₇₉₁,₃₅₁,₆₇  ₃,₈₉ ₄,₆₃ ₃,₇₇ ₃,₃₉ ₄,₄₇₉,₀₉₈,₇₄₁₃,₉₇₆ ₄₇₁,₀₈₅₅₃₇₆₄₂,₇₃₁,₁₇₂,₅₄ ₄₆₃₂ ₈₁₈₁₈₃₁,₂₆₁,₇₉₂,₄₂₃,₄₉₃,₇₉  ₃,₄₇ ₅,₉₃ ₅,₇₀ ₆,₃₁ ₇,₃₇₈,₂₈₆,₅₈₅,₅₄ ₁₂₂₁₁₈₄₉₉₈₁,₂₉₁,₄₈ ₂,₀₃₄,₀₃₃,₅₈₄,₃₄₄,₃₉₃,₄₇₂,₄₀   ₄₁₁,₃₀₁,₉₃₂,₉₂₂,₈₉ ₈₀₂,₁₆₈,₄₂ ₃,₅₈₃,₅₈₃,₈₃₃,₈₃₄,₃₉₆,₆₄₆,₆₄₂,₁₆ ₆,₁₀₇,₈₂₉,₁₄₁₀,₁₃₆₁₁,₂₂₆₁₂,₀₂₀₁₀,₆₆₆₁,₆₇ ₄₁₁,₃₀₁,₉₃₂,₉₂₂,₈₉₈₀₂,₁₆₈,₄₂

< 表

5

> 主 要 財 務 数 値 の 推 移 (

1999

10

月 期 〜

2005

3

月 期 )

(6)

(2) 大手の巻き返しで大赤字

 予想を越える利用者の反応に慌てた大手は,₁₉₉₉年 ₃ 月にスカイマーク 便の同じ時間帯の自社便に特割(特定便割引)を導入。スカイマークと同 水準に運賃を引き下げ,巻き返しにでた ₂︶ 。その結果,スカイマークの搭 乗率は一気に₆₀%台まで低下 ₃︶ 。運航開始 ₁ 年目の₁₉₉₉年₁₀月期は,コス トを回収できず,営業損益は₄₂億₂₀百万円の大赤字になった(表 ₅ )。

₃   ₁ 回 目 の 危 機

(1) 債務超過の状態で異例の上場

 ₂₀₀₀年 ₅ 月に東証マザーズに上場したが,異例の上場であった。なぜ異例 かといえば,上場直前の₂₀₀₀年 ₄ 月中間期には,₁₇億₂₆百万円の最終赤字 であったうえ,累積赤字が₇₈億₂₉百万円まで膨らみ,₁₃億 ₈ 百万円の債務 超過に陥っていたからである(表 ₅ )。債務超過の状態で上場が認められた のは,東証が ₁ 部・ ₂ 部に分かれた₁₉₆₁年₁₀月以来初めてのことである ₄︶

(2) 上場廃止を寸前回避――2003年10月期

 上場後も苦戦が続き,₂₀₀₂年₁₀月期まで赤字から脱却できなかった。累 積赤字は₁₁₂億₂₆百万円に達し, ₂ 期連続の債務超過となった(表 ₅ )。

₂₀₀₃年₁₀月期に入っても状況は好転せず,上場廃止の危機に直面した。東 証マザーズでは,債務超過が ₃ 期以上続くと上場廃止になる。その期限は

₂₀₀₃年₁₀月末であった。

 期限ぎりぎりの₂₀₀₃年₁₀月,スカイマークは₄₅億円の第三者割当増資 ₅︶

を行い,債務超過を解消した。この増資にあたって,₃₀億円を引き受けた

₂)「日航,スカイマーク対抗運賃――全日空,JAS,つのる危機感」日本経済新 聞,₁₉₉₈年₁₂月₁₂日朝刊。

₃)「空の運賃競争,旅客呼ぶ」日本経済新聞,₁₉₉₉年 ₄ 月 ₈ 日朝刊。

₄) 新興企業を対象とする東証マザーズは,赤字企業であっても成長性が認められ れば上場可能である。

₅) 増資額の半額を資本金に組入れ,残りは資本準備金とした。

(7)

インターネット接続会社ゼロ株式会社会長の西久保愼一氏が

HIS

に代わっ て₃₅.₄₈%を出資する筆頭株主に躍り出た。

 上場廃止は回避したが,₂₀₀₃年₁₀月期は引き続き ₇ 億₉₅百万円の最終赤 字であった。

₄  創業以来初の黒字

(1) 西久保愼一氏社長就任

 ₂₀₀₄年 ₁ 月,赤字まみれのスカイマークに西久保氏が乗り込み,社長に 就任。効率経営を旗印に立て直しに取り掛かった。

 ₂₀₀₄年₁₀月期は,羽田-福岡線,羽田-鹿児島線,羽田-徳島線の増便 によって旅客数が増加(表 ₆ )。事業収益は前期比₄₀.₉%増の₃₁₇億₇₈百万 円を達成した。事業費は,不採算の羽田-青森線を₂₀₀₃年₁₁月に運休(表

₄ )し,同路線の機材や整備要員を増便用に振り向けたり,整備・運航・

サービスの体制を全面的に見直したことから大幅に圧縮された。原油価格 の上昇も事業費の削減で吸収できた。その結果,最終損益は,創業以来初 の黒字となった(表 ₅ )。

 ₁₉₉₈年 ₂ 月に運輸省(現国土交通省)に提出した定期航空運輸事業免許 の申請書によれば,運航開始 ₃ 年目(₂₀₀₁年₁₀月期)に黒字化の計画で あった。しかし,計画通りには進まなかった。運航開始から₂₀₀₃年₁₀月期 までの ₅ 年間,事業収益は増加傾向にあったが, ₅ 期連続の赤字(表 ₄ )。

赤字幅が小さくなっているのは,₂₀₀₀年₁₀月期以降,スカイマークが始発

₁₉₉₉年

₁₀月期

₂₀₀₀年

₁₀月期

₂₀₀₁年

₁₀月期

₂₀₀₂年

₁₀月期

₂₀₀₃年

₁₀月期

₂₀₀₄年

₁₀月期

₂₀₀₅年

₃ 月期 有償座席利用率

(有償旅客数/提供座席)

₆₁.₉₃

₇₀.₁₉ ₆₇.₆₀ ₆₆.₁₇ ₆₈.₄₇ ₆₂.₈₀ ₅₈.₂₈

有償旅客数 * * ₈₉₀,₄₇₉

₁,₀₇₀,₈₃₀

(+₁₈₀,₃₅₁)

₁,₅₅₃,₆₄₈

(+₄₈₁,₈₁₈)

₁,₈₉₆,₉₃₇

(+₃₄₃,₂₈₉)

₇₈₈,₈₄₄

(注)有償旅客数の( )内は対前年比増減。*は有価証券報告書に記載なし。

<表

6

>各期の有償座席利用率と有償旅客数

(8)

便割引,最終便割引,事前購入割引などで大手に対抗し,搭乗率の向上に 努めたからである。その結果,計画より ₃ 年遅れの ₆ 年目(₂₀₀₄年₁₀月期)

にやっと黒字転換を果たすことができた。

(2) 負の遺産を清算――2005年

3

月期

 ₂₀₀₅年 ₃ 月に決算を₁₀月から ₃ 月に変更。₂₀₀₅年 ₃ 月期は,₂₀₀₄年₁₁月 から₂₀₀₅年 ₃ 月までのわずか ₅ か月であるが,過去の負の遺産を清算した 特筆すべき年である。まず₂₀₀₄年₁₁月にゼロ株式会社を吸収合併 ₆︶ 。この 合併によってゼロ株式会社から受け継いだ資金₃₁億₅₉百万円の一部を使っ て,有利子負債₂₄億円をすべて返済し,利子負担の軽減を図った(表 ₅ )。

次いで,₂₀₀₅年 ₃ 月に減資を実施。資本金₄₄億₈₅百万円と資本準備金₆₁億

₈₁百万円を取り崩し,創業以来溜りに溜った累積赤字₁₀₆億₆₆百万円を一掃 した(表 ₅ )。

₅  B₇₃₇  投   入

(1) 当初

2

年間,原油価格の高騰が経営直撃

 ₂₀₀₆年 ₃ 月期は再スタートの年となった。スカイマークは,創業以来,

₆) 合併にあたり,ゼロ株式会社のインターネット関連事業をグローバルメディア オンライン株式会社(₂₀₀₅年 ₆ 月,GMOインターネット株式会社に社名変更)

に分割譲渡。この分割譲渡によって₁₅億₆₃百万円の移転利益を得た。

₂₀₀₆年

₃ 月期 ₂₀₀₇年

₃ 月期 ₂₀₀₈年

₃ 月期 ₂₀₀₉年

₃ 月期 ₂₀₁₀年

₃ 月期 ₂₀₁₁年

₃ 月期 ₂₀₁₂年

₃ 月期 ₂₀₁₃年

₃ 月期 ₂₀₁₄年

₃ 月期

(機数) 機 材

B₇₆₇ (₆) 同 (₆) 同 (₄) 同 (₂) A₃₃₀ (₂)

B₇₃₇ (₂) 同 (₄) 同 (₆) 同 (₉) 同(₁₂) 同(₁₈) 同(₂₆) 同(₂₉) 同 (₃₁)

(₈) (₁₀) (₁₀) (₁₁) (₁₂) (₁₈) (₂₆) (₂₉) (₃₃)

路線数 ₅ ₄ ₄ ₆ ₈ ₂₂ ₂₇ ₂₅ ₃₀

往復便数/日 ₂₈ ₂₈ ₂₉ ₃₀ ₃₅ ₅₄ ₆₂ ₇₈ ₈₈

(注)₂₀₁₁年 ₃ 月期~₂₀₁₄年 ₃ 月期については決算説明会資料より作成。

<表

7

> 期末の保有機材・機数と運航路線数・便数の推移(2006年

3

月期〜2014

3

月期)

(9)

₂₀₀₆ ₂₀₀₇ ₂₀₀₈ ₂₀₀₉ ₂₀₁₀ ₉₈.₉  ⑨(₆₈ ⑩(₆₄ ⑩(₇₆⑩(₇₇⑩(₈₅ ₀₂.₄  鹿④(₅₇ ₀₆.₄₁₀.₂ ₀₃.₄ ②(₅₇  ④(₄₂ ₀₆.₄ ②(₂₁ ₀₅.₃  西④(₃₁ ₀₆.₃ ₀₆.₂  ⑦(₈₉ ⑦(₇₄ ⑧(₇₈⑤(₇₇ ⑥(₈₁ ₆₃₀₆.₄  ⑨(₅₅ ⑧(₇₈ ⑧(₇₇ ⑧(₈₀ ₀₆.₉  ₆₅₇₅ ③(₇₄ ③(₈₂ ₆₅₇₇₀₈.₄   ②(₅₅ ②(₆₃ ₀₉.₃  ₄₇₄₈ ₇₄₇₉ 便,( ₂₀₁₁

< 表

8

> 期 末 の 路 線 別 便 数 と 平 均 搭 乗 率 の 推 移 (

2006

3

月 期 〜

2010

3

月 期 )

(10)

ボーイング社製の中型機

B₇₆₇(₂₆₂席~₃₀₉席,座席数は機体ごとに異な

る)を使ってきたが,同じボーイング社製の小型機

B₇₃₇(₁₇₇席)に順次

更新することとし,₂₀₀₅年₁₂月に ₂ 機を受領(表 ₇ )。

 B₇₃₇は,B₇₆₇に比べてリース料が安いだけでなく,燃費が良く,着陸料 も安い。客室乗務員も

B₇₆₇の ₆ 名に対して ₄ 名で済む。経済効率が良いの

で,搭乗率さえ確保できれば,増益が見込めるはずである。

 ₂₀₀₆年 ₂ 月,羽田-神戸線で運航開始。搭乗率は ₂ 月と ₃ 月の最初の ₂ か月で平均₈₉%を記録。ドル箱の羽田-福岡線を₁₀%以上上回る好成績を あげた(表 ₈ )。しかし,原油価格の高騰(表 ₉ )が経営を直撃 ₇︶ 。これが 響いて,結局,赤字に転落した(表₁₀)。

 翌₂₀₀₇年 ₃ 月期は,事業収益が増加したものの,原油価格の高騰で燃料 費がさらに上昇したのに加えて,B₇₆₇の返却に伴う整備費の増加や

B₇₃₇

の導入によるリース料の増加などで事業費がかさみ, ₂ 期連続の赤字と なった(表₁₁)。

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110

1996年1997年1998年1999年2000年2001年2002年2003年2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年

(ドル)

<表

9

>原油価格の推移(ドル/バレル)ドバイ

出所:International Energy Agency, “Energy Prices & Taxes”.

₇)「原油価格の高騰による燃料費の上昇」という文言が有価証券報告書に記載さ れたのは,₂₀₀₄年₁₀月期が初めてである。

(11)

₂₀₀₆ ₂₀₀₇ ₂₀₀₈ ₂₀₀₉ ₂₀₁₀ ₂₀₁₁ ₂₀₁₂ ₂₀₁₃ ₂₀₁₄ ₃₅,₆₉₅₃₉,₇₂₆₅₀,₃₇₃₄₂,₃₁₇₄₁,₄₅₈₅₈,₀₂₄₈₀,₂₅₅₈₅,₉₄₃₈₅,₉₇₅ ₃₅,₂₆₈₄₂,₄₄₉₄₄,₀₉₄₄₂,₂₂₆₃₅,₉₁₉₄₄,₀₅₁₆₁,₆₄₂₇₇,₄₆₃₈₅,₁₃₄ ₂,₂₉₂,₄₅₃,₀₅₂,₆₃₂,₃₉₂,₇₇₃,₃₃₃,₈₀₃,₃₄ ₁,₈₇₅,₁₇₃,₂₂₂,₅₄₃,₁₄₁₁,₁₉₆₁₅,₂₈₄₄,₆₇₂,₅₀ ₁,₁₇₄,₉₁₂,₇₅₂,₃₈₂,₉₅₁₀,₉₆₉₁₅,₇₄₇₈,₀₉ ₄₀  ₇₀₄,₉₄₂,₆₂₂,₀₄₂,₆₂₆,₃₂₇,₇₀₃,₇₇₁,₈₄ ₁₈,₄₁₇₁₈,₄₇₉₁₈,₄₁₆₁₇,₈₉₀₂₀,₄₈₃₃₇,₃₅₇₆₇,₇₃₇₇₄,₂₃₀₇₈,₇₇₁ ₂,₅₄₁,₁₉₁,₄₈₃,₀₆₇,₅₀₁₆,₄₁₃₃₀,₆₄₈₂₃,₁₅₅₇,₀₆ ₃₂₄₁₁,₀₇₁₈₂,₄₆₁₀,₉₀₉₁₇,₂₄₈₂₆,₄₄₀ ₃,₇₉₈,₃₃₈,₂₀₆,₆₇₅,₆₆₇,₅₆₁₁,₀₁₃₁₈,₃₇₀₁₉,₇₅₆  ₅,₅₄₁₁,₅₆₅₈,₈₅ ₉,₁₆₉,₀₈₁₉,₉₉₈₂₄,₈₅₄₂₇,₄₀₆₃₄,₀₈₂ ₁,₄₈₂,₃₆₂,₅₃₂,₄₅₃,₄₄₅,₀₁₇,₅₇₁₀,₂₇₃₁₂,₆₈₀ ₂,₆₂₁,₆₁₂,₄₀₂₈₈₂₁,₆₀₄,₅₉₆,₀₇ ₅₀  ₈,₄₂ ₆,₉₁₉,₅₆ ₈,₇₂₁₁,₃₉₂₁₇,₃₆₀₄₂,₈₈₃₄₆,₈₂₄₄₄,₆₈₉ ₂,₁₆₄,₂₀₄,₂₀₄,₇₇₄,₇₈₄,₉₅₁₄,₁₇₀₁₄,₁₇₇₁₄,₁₈₁ ₁,₆₇₃,₉₆₁,₃₄₃,₃₈₂,₆₂₈,₂₅₁₅,₂₅₉₁₉,₀₃₇₁₆,₈₂₇ ₈,₄₂₆,₈₅₉,₄₈₈,₅₉₁₁,₂₃₀₁₇,₂₀₅₄₂,₆₄₁₄₆,₄₃₄₄₄,₂₃₂

< 表

10

> 主 要 財 務 数 値 の 推 移 (

2006

3

月 期 〜

2014

3

月 期 )

(12)

< 表

11

2007

3

月 期   営 業 利 益 増 減 分 析

₂₀₀₆ ₂₀₀₇ ₂₀₀₈ ₂₀₀₉ ₂₀₁₀ ₂₀₁₁ ₂₀₁₂ ₂₀₁₃ ₂₀₁₄ ₅₈.₄₆₃.₃₇₆.₂₇₄.₄₇₈.₅₈₁.₉₇₉.₄₆₉.₂₆₈.₅ ₂,₂₈₈,₀₀₂,₉₁₂,₇₀ ₆₂₄,₇₀₀)₃,₆₈₀,₂₀ ₇₆₇,₅₀₀)₃,₀₇₁,₇₅ ₆₀₈,₄₄₆)₃,₁₉₈,₈₀ ₁₂₇,₀₄₆)₄,₃₅₈,₉₁ ₁,₁₆₀,₁₀₇)₆,₀₈₉,₆₅ ₁,₇₃₀,₇₄₅)₆,₅₇₀,₄₇ ₄₈₀,₈₁₉)₆,₅₆₈,₅₁ ₁,₉₆₄)  

< 表

12

> 有 償 座 席 利 用 率 と 有 償 旅 客 数

営 業 収 益 の 増 減

営 業 収 益の 増 減 要 因 営 業 費 用の 増 減 要 因 営 業 費 用 の 増 減

事 業 費 販 売 費 航 空 事 業 収 入 付 帯 事 業 収 入 航 行 費 整 備 費 機 材 費 運 送 費 空 港 管 理 費 そ の 他 原 油 価 格 の 上 昇 に よ る 燃 料 費 の増 加

2007

3

月 期 営 業 利 益

+3,516

1,871

2006

3

月 期 営 業 利 益

事 業 収 益 増 加 航 空 事 業 収 入 増 加 付 帯 事 業 収 入 増 加 営 業 費 用 増 加

+1,507

62+248

139+156

+2,109

5,176 B767

の 返 却 に 伴 う 整 備 費 の増 加

B737

の 導 入 に よ る リ ー ス 料の 増 加

+4,031+4,056 +7,337

25

営 業 収 益 の 増 減

営 業 収 益の 増 減 要 因 営 業 費 用の 増 減 要 因 営 業 費 用 の 増 減

事 業 費 販 売 費 航 空 事 業 収 入 付 帯 事 業 収 入 航 行 費 整 備 費 機 材 費 運 送 費 空 港 管 理 費 そ の 他 原 油 価 格 の 上 昇 に よ る 燃 料 費 の増 加

2007

3

月 期 営 業 利 益

+3,516

1,871

2006

3

月 期 営 業 利 益

事 業 収 益 増 加 航 空 事 業 収 入 増 加 付 帯 事 業 収 入 増 加 営 業 費 用 増 加

+1,507

62+248

139+156

+2,109

5,176 B767

の 返 却 に 伴 う 整 備 費 の増 加

B737

の 導 入 に よ る リ ー ス 料の 増 加

+4,031+4,056 +7,337

25

(13)

(2) やっと軌道に乗るも,リーマンショックで

1

年足踏み

 ₂₀₀₈年 ₃ 月期は黒字転換を達成。旅客数が増加したことで事業収益が前 期比₂₆.₈%増。一方,事業費が前期比₃.₉%増に抑えられたためである(表

₁₀)。西久保氏は,やっと軌道に乗ったと思ったに違いない。しかし,₂₀₀₈ 年 ₉ 月,突然のリーマンショック。₂₀₀₉年 ₃ 月期は,旅客数が₆₀万人以上 減少した(表₁₂)ため,事業収益が前期比₁₆.₀%減。その結果,ふたたび 赤字に転落した(表₁₀)。

₆  B₇₃₇で効率経営を実現

(1) 2010年

3

月期から右肩上がりの急成長

 ₂₀₀₉年 ₉ 月,全機

B₇₃₇への切り替えを完了。₂₀₁₀年 ₃ 月期は,事業収益

がやや減少したものの,営業費用がそれ以上に減少したため,営業損益は

₃₁億₄₃百万円の黒字になった(表₁₀)。事業収益が小幅とはいえ減少したの は,旅客数が₁₁万 ₆ 千人ほど増加したものの,競争激化に伴って旅客単価 が下落したためである。営業費用が大幅に減少したのは,原油価格が沈静 化したことで燃料費が減少したり,B₇₆₇の返却が進んだことで整備費が減 少したためである(表₁₃)。

 以後,₂₀₁₃年 ₃ 月期まで, ₄ 期連続の黒字を記録した。このうち,₂₀₁₂ 年 ₃ 月期までの ₃ 期は,増収増益が続き,右肩上がりで急成長した(表₁₄)。

(2) 過去最高益を記録した2012年

3

月期

 特に₂₀₁₂年 ₃ 月期は,営業利益が₁₅₂億₈₄百万円,最終利益も₇₇億 ₅ 百万 円の過去最高を記録し,スカイマークが最も輝いた年となった(表₁₄)。新 路線の開設で旅客数が増えたため(表₁₂),事業収益は大幅に増加。一方,

運航便数の増加によって,燃料費や整備費が増加したものの,B₇₃₇への切 り替えが完了したことでコストの伸びを抑えることができた(表₁₅)。

 ₂₀₁₀年 ₃ 月期から₂₀₁₂年 ₃ 月期までの好業績は,後から振り返れば,円

高の影響が大きかったというべきであろう。燃料費やドル建てのリース料

(14)

営 業 収 益 の 増 減 営 業 収 益の 増 減 要 因 営 業 費 用の 増 減 要 因 営 業 費 用 の 増 減

事 業 費 販 売 費 航 空 事 業 収 入 付 帯 事 業 収 入 航 行 費 整 備 費 機 材 費 運 送 費 空 港 管 理 費 そ の 他

2010

3

月 期 営 業 利 益 ▲

559

3,183

859

2,543

2009

3

月 期 営 業 利 益

事 業 収 益 増 加 航 空 事 業 収 入 増 加 付 帯 事 業 収 入 増 加

営 業 費 用 減 少

+3,143

燃 料 費 の減 少

B767

の 返 却 に 伴 う 整 備 費 の減 少 ▲

299

2,749

363

475+2

237+463

リ ー ス 料 の 減 少

運 送 サ ービ ス 費 の 減 少 給 料 手 当 の 増 加 広 告 宣 伝 費 の 減 少 ▲

6,544

< 表

13

2010

3

月 期   営 業 利 益 増 減 分 析

(15)

< 表

14

> 事 業 収 益 と 営 業 損 益 ・ 最 終 損 益 の 推 移

-60-40-20020406080100120140160180 -300-200-1000100200300400500600700800900 199910月期200010月期200110月期200210月期200310月期200410月期20053月期20063月期20073月期20083月期20093月期20103月期20113月期20123月期20133月期20143月期

事業収益 (億円)

営業利益 最終損益 (億円) 96 1198 9 03 1004 11 ( )

05 3 08 9 10 1 12 3 15 1

80 60 40 20 0

事業収益 営業利益 最終損益

(16)

< 表

15

2012

3

月 期   営 業 利 益 増 減 分 析 営 業 収 益 の 増 減

営 業 収 益の 増 減 要 因 営 業 費 用の 増 減 要 因 営 業 費 用 の 増 減 事 業 費 販 売 費 航 空 事 業 収 入 付 帯 事 業 収 入 航 行 費 整 備 費 機 材 費 運 送 費 空 港 管 理 費 そ の 他

2012

3

月 期 営 業 利 益

2011

3

月 期 営 業 利 益 ・ リ ー ス機 材 の 定 期整 備 費 の 増 加 ・ 整 備 委託 料 の 増 加

+930+1,872 +16 +553+1,986

リ ー ス 料 の 増 加 給 与 手 当 の 増 加 支 払 手 数 料 の 増 加

+22,231+10,095 +18,144 11,196

・ 燃 料 費 の 増 加 ・ 空 港 利 用 料 の 増 加

+526 +2,685

+21,707 +15,284

(17)

が大幅に減少したからである。ことによると西久保氏は,こうした状況が ある程度続くと思ったのかもしれない。

₇  LCC の登場で立ち位置が曖昧に

(1) LCC との競争勃発

 ₂₀₁₂年,日本の空に

LCC(格安航空会社。Low Cost Carrier)が登場し

₈︶ 。「LCC 元年」とよばれるこの年,まず ₃ 月にピーチ・アビエーション 株式会社,次いで ₇ 月にジェットスター・ジャパン株式会社, ₈ 月にエア アジア・ジャパン株式会社(₂₀₁₃年₁₁月にバニラ・エア株式会社に社名変 更)が運航開始した。

 LCC ₃ 社は,いずれも機材をエアバス社製の小型機

A₃₂₀(₁₈₀席)に統

一し,機内サービスを簡略化して客室乗務員を少人数化したり,あるいは 旅行会社を通さないインターネット販売を中心にしたり,空港施設を簡素 化したりするなどして,コストをギリギリまで絞り込み,格安運賃でスカ イマークに勝負をかけてきた。

 LCC ₃ 社の運航開始によって,スカイマークを取り巻く事業環境は劇的 に変わった。これまで国内の格安市場はスカイマークがほぼ ₁ 社で独占し ていた。しかし,LCC の登場によって最大の強みが崩れ,その立ち位置が 曖昧になってしまった ₉︶

 もっとも,スカイマークは,このような事態をすでに₂₀₁₀年頃から予見 しており, ₂ つの対抗策を講じていた。この点については ₈ で取り上げる。

₈) LCCは,₁₉₇₀年代後半に米国の航空自由化によって登場し,欧州・アジアに

広まった。

₉) スカイマークは,サービスの簡素化と大手に比べて安い運賃を売りにしている ので,利用客の視点からみれば,LCCの範ちゅうに入るが,スカイマーク自身 は,LCCとは一線を画していたようである。

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