干渉ブラウン運動とランダム行列
長田博文
名古屋/東北/東京大学集中講義
2013
年12/6/
月–12/10/
金平成
28
年5
月19
日概 要
目 次
0 序 2
1 序 5
2 配置空間・点過程・相関関数 5
3 Gibbs測度・行列式測度 9
4 東北大学談話会:H25/6/17/月 13
5 干渉ブラウン運動 13
5.1 独立な場合
. . . .
135.2 干渉があるとき
. . . .
135.3 対数ガウスとランダム行列
. . . .
155.4 N粒子系の確率微分方程式と常定分布
. . . .
155.5 1次元Bulkスケーリング
. . . .
175.6 1次元ソフトエッジスケーリング
. . . .
175.7
ρ
ˆの意味. . . .
186 準備 19 6.1 配置空間
. . . .
196.2 密度関数
. . . .
196.3 確率点場(RPF)の3つの範疇:Poisson/周期/Strict Coulomb
. . . .
206.4 ポテンシャルとハミルトニアン
. . . .
211
2
7 Airy,Sine,Ginibre RPF 23
7.1 DRPF
. . . .
237.2 GinibreRPFの定義
. . . .
247.3 N粒子系
. . . .
247.4 N粒子系のSDE表現
. . . .
257.5 DetRPFのPalm安定性
. . . .
257.6 unlabeled diffusion
. . . .
268 small fluctuationとquasi Gibbs性 26
9 26
10 26
11 26
12 26
13 26
0
序2013
年に、3回集中講義をする機会に恵まれた。•
名古屋大学 :2013/4/22–26「干渉ブラウン運動とランダム行列について」
•
東北大学:2013/6/17–21「干渉ブラウン運動」
•
東京大学:2013/10/15–18
「Dynamical rigidity stochastic Coulomb systems in infinite-dimensions」
このノートは、これらの講義に基づいている。集中講義で話した結果は、その後、いくつか の論文として出版されたり、preprintとして
math arXive
に掲載されている。今後、更に、継 続して、複数の論文として出版する予定である。このノートは、全く未完成なので、講義ノートのコピーも掲載する。未整理なノートなの で、興味を持たれた方は、対応する論文を参照していただきたい。この講義ノート自体は、今 後、時間をかけて、整理していく予定である。
この一連の講義の、前半は、「対称性をもつ無限次元確率微分方程式の新理論」について講 演したものである。この結果は、千葉大学の種村さんとの共同研究だが、すでに、2編の論文
3
として出版しまた、2
編のpreprint
をmath arXive
に長い論文を掲載している。今後も、引 き続き、継続していく。上記の新理論は今後時間をかけて、発展させていくつもりである。関係して、九州大学の白井先生と
Ginibre
点過程のdichotomy
の論文、院生の本田君とBessel
干渉ブラウン運動の論文を書き出版した。後半の東大での講義では、以上に加えて「クーロン干渉ブラウン運動の力学剛性」を論じた ものである。この結果は、今後いくつかの論文として出版し、世に問う予定である。現時点で も、相転移現象など、興味深い結果が見つかっている。筆者の研究の中心的テーマの一つで ある。
この時の剛性の証明(Ornstein trapping)の証明には、バグがあり、その部分は、講義中、
難破した。尚、Ginibre干渉ブラウン運動の劣拡散性のレベルの剛性は、現時点では、証明が 完成し、論文作成中である。「
Ornstein trapping
」という、より強い力学剛性は、今後、何ら かの形(定式化)で、証明し発表していく予定である。元々の主張は、バグがあったが、非常 に興味深い事実が見つかっている。2007
年にも東京大学で集中講義をする機会に恵まれた。実は、その時、「Ginibre
干渉ブラ ウン運動の劣拡散性」を最終日に講義したのだが、それの証明にバグがあった。以来、証明 の完成まで7
年の月日を費やした。また、相転移予想は、その年の、7
月のSPA
で総合講演 する際に、思いついたことである。元々、「Ginibre干渉ブラウン運動の劣拡散性」をSPA
講 演の主題にするつもりだった。最後の念押しに、証明を見直していて、バグを見つけてしまっ た。修正する時間がないし、苦し紛れに、周期環境の中のクーロン干渉ブラウン運動粒子の挙 動を考えることで、相転移を発見した。これは、本来の、無限粒子系である、Ginibre干渉ブ ラウン運動のtoy
モデルなのだが、結果自体が鮮やかで面白い。この2007
年の失敗は、2013 年の講義で、Ginibreの力学剛性を講義したかった理由でもあるのだが、再び返り討ちにあっ てしまった。ともかく、今は、完成している。集中講義では、いつも新しい話をしたいと思う。しかし、大抵こんな状態の集中講義になる ので、本当に聞いてくださる学生諸君には申し訳ない。とはいえ、私の最近の論文のほとんど が、集中講義がきっかけで書き上げている。幸い、間違うごとに新しい現象が見つかり、研究 が進展していく。(屁理屈と言い訳だが)、どうかご容赦願いたい。
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東北概要:■授業題目:干渉ブラウン運動
■授業の目的と概要:干渉ブラウン運動とはユークリッド空間を動く無限粒子系からなる確 率力学である。この運動を表現する無限次元確率微分方程式を確率幾何的な方法で解くこと
4
を目標とする。この手法は、
Dirichlet
形式理論による無限次元確率微分方程式の一意的強解 の構成への応用である。逆に、SDEの理論を、Dirichlet形式の一意性の問題へ応用すること にもつながる。この手法は、従来不可能であったCoulomb
ポテンシャルによる干渉ブラウン 運動の扱いを可能にする。■学習の到達目標:相関関数などの配置空間の基本概念を理解した上で、点過程の対数微分
や準
Gibbs
測度と言った概念を理解する。Dirichlet
形式理論においてユークリッド空間のブラウン運動を構成する手法は、無限個のブラウン運動の構成にはそのままでは使えない。こ
れは
Lebesgue
測度の無限直積がDirichlet
形式の基礎の測度として登場するからだが、それを「consistency」を鍵に「測度のない
Dirichlet
形式」を考えてDirichlet
形式的に構成する。更にそのアイデアは発展し、無限次元
SDE
の強解の一意的構成に至るのだが、それを理解する。また
Coulomb
ポテンシャルを備えた干渉ブラウン運動の代表例である、Dyson
モデル、Airy
干渉ブラウン運動、Ginibre干渉ブラウン運動についてなじむ。■授業の内容・方法と進度予定:確率幾何・ランダム行列・確率微分方程式の古典的理論・
Dirichlet
形式論を使用する。時間があれば、Kipnis-Varadhan
の不変原理、Ginibre
点過程のPalm
測度の特異性などについても話す。■教科書および参考書:なし
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東京大学概要:d
次元ユークリッド空間内をd
次元Coulomb
ポテンシャルΨ
d で相互作用しながら運動す る無限個のブラウン運動を考える。逆温度をβ
とする。この確率力学が平行移動不変なとき には、次の無限次元確率微分方程式で記述される。(cdは正定数,c
2= 1)
dX
ti= dB
it+ β 2 lim
r→∞
∑
j̸=i,|Xti−Xjt|<r
c
dX
ti− X
tj| X
ti− X
tj|
ddt (i ∈ N )
現在、
d = 2
かつβ = 2
の時だけ、この確率力学およびその平衡分布は構成されており、それ ぞれ「Ginibre干渉ブラウン運動」、「Ginibre点過程」と呼ばれる。尚、この点過程は、非エルミート
Gaussian
ランダム行列の固有値の分布の極限である。R
dにおいてd
次元Coulomb
ポテンシャルは、Ruelleクラスのポテンシャルではない。従って、DLR方程式に基づく、従来の
Gibbs
測度の理論の外側にあった。Gibbs測度は、Poisson 点過程に近いクラスである。一方、Coulomb
ポテンシャルはその遠方での相互作用の強烈さ のために、付随する無限粒子系は全く異なる様相を見せる。この講義では、その一例としてGinibre
点過程の幾何的及び力学的rigidity
を語る。同時に無限次元確率微分方程式の強解の一般論を展開する。
———————————————
5
以下、書きかけの序章最初の章で、ガウシアンユニタリアンサンブル(GUE)の確率分布密度を計算する。この 鮮やかな結果は、ランダム行列論の出発点である。
GUE
は有限粒子系を表すが、そこから無限粒子系への極限操作をし無限粒子系を考察する には、新たに配置空間をはじめ様々な概念を必要とする。章s:12
ではその数学的準備をする。1
序s:k1
平面を
R
2およびC
で表す。平面内に無限個の粒子が分布しているとして、その幾何的およ び力学的性質を追求したい。粒子間には、
2
配置空間・点過程・相関関数s:1
空間
S
内の有限もしくは可算無限個の粒子を表す空間を設定する。Sとは粒子が動き回って いる空間で、一般的な枠組みとしてはS
をPolish
空間とする。Polish
空間とは、完備可分距 離空間と位相同型な空間である。「と位相同型な」とは持って回った言い方だが、便利である。例えば、
(0, 1)
は通所のユークリッド距離で完備距離空間とはならないが、R
と位相同型だか らポーランド空間となる。確率論は通常ポーランド空間位で設定するのが、一般性と具体性の バランスがうまくとれている。尚、ポーランド空間のボレル可測部分集合は、(部分位相の下 で)再びポーランド空間となる。ただし、この本では
S
はR
d、C
もしくは[0, ∞ )
だけが登場する。M(S)
でS
のラドン測度全体を表す。ここでラドン測度とは、可測空間(S, B (S))
上の測度 でコンパクト集合に対し有限の値を取るものである。ここでB (S)
はS
のボレル集合族(開集 合を含む最小のσ
加法族)を表す。M(S)には、漠位相(Vague topology)と弱位相(weaktopology
)という、次の2種類の位相をしばしば考える。dfn:11
定義
2.1.
粒子の空間として、2種類の空間が自然に考えられる。一つは、すべての粒子を区別する場 合で、これは粒子の個数分だけ
S
の直積をとった空間である。例えば加算無限個の粒子に、順に
1, 2, 3, . . .
とラベルを付けた場合は、SNとなる。もう一つは、すべての粒子を区別しない空間で、配置空間と呼ばれる。
6
粒子を区別した場合ラベル粒子系、また区別しない場合アンラベル粒子系と呼ぶことにする。
より正確に述べる。
空間
S
内のn
個の粒子はS
nの元と扱って差し支えないが,無限粒子系の場合,一般に粒子 にラベルを付けS
∞の元として扱うと平衡状態を表現する確率測度を構成することが難しくな る.そこで個々の粒子を区別しない配置空間を導入する必要が生じる.配置空間
dfn:21
定義
2.2. Polish
空間S
上の非負整数値ラドン測度s
を配置(configuration)
といい,Sの配置 全体S
に、漠位相(vague topology)
を入れたものを配置空間という..定義から
s
はs = ∑
i
δ
si(2.1)
:12
という形をしている。ここで
{ s
i}
は集積点を持たないS
の点列で、δaは点a
に集中したデル タ測度である。{ s
i}
iはS
内のラベルを付けない可算個の粒子系を表現する.ラベル無粒子系 の表現は集合として表現するなど、異なる流儀もあるが測度として表現すると下記に説明す るように自然に位相が入るので便利である。各
A ∈ B (S)
に対してs(A)
はA
内の粒子の個数を表現し、非負整数および無限大の値をと る確率変数になる。仮定から定義からs
はラドン測度だから、コンパクト集合に含まれる粒子 数は常に有限になる.定義から、S = { s ; s = ∑
i
δ
si, s(K) < ∞ ( ∀
コンパクトK ⊂ S) } (2.2)
:21
r:11
注意
2.1. s = ∑
∞i=1
δ
1 iとする。この時
s
は(0, ∞ )
上の配置空間の元だが、[0,∞ )
上の配置空 間の元ではない。実際、閉区間[0, 1]
は[0, ∞ )
のコンパクト集合で、かつs([0, 1]) = ∞
となる。S
はPolish
空間となる.SがコンパクトならS
もコンパクトになる.S = R
dの時,Sの部分集合A
が相対コンパクトである必要十分条件は,ある自然数列{ a
r}
が存在しA ⊂ { s ∈ S ; s(D
r) ≤ a
r} ( ∀ r ∈ N )
となることであるresnick[?]
.ただしD
r= {| x | ≤ r }
.S
の漠位相について、次の事実がよく知られている。l:21
補題
2.1. A ∈ B (S)、A
上の配置空間をA
とする。獏位相のもとで次が成立する。(1) A
がPolish
空間ならA
もPolish
空間である。(2) A
が閉集合ならA
も閉集合である。(3) A
がコンパクトならA
もコンパクトである。7
1
l:22
補題
2.2. A ∈ B (S)
、A
上の配置空間をA
とする。d
をS
の距離、s
0∈ S
としB
r= { d(x, s
0) <
r }
とおく。Aが相対コンパクトである必用十分条件はある相対コンパクト集合の増大列{ K
r}
が存在しA ⊂ { s ∈ S ; s(B
r) ≤ a
r( ∀ r) } (2.3)
:22
(S, B (S))
上の確率測度を点過程(point process)
あるいは確率点場(random point field)
と いう.Poisson
点過程m
を(S, B (S))
のラドン測度とする.S上の点過程µ
は次の条件を満たす 時,強度測度m
のPoisson
点過程と呼ばれる.s(A)
はµ
の下で平均m(A)
のPoisson
分布に従う,ただしm(A) < ∞ (2.4)
:poi1
{ A
1, . . . , A
n}
が互いに素ならば,{ s(A
1), . . . , s(A
n) }
は独立(2.5)
:poi2
特に
S = R
dで強度測度m
がLebesgue
測度の時,付随するPoisson
点過程は様々な不変性 をもち,配置空間上のLebesgue
測度の役割を果たす.周期的点過程
S = R
dする。d個の独立なベクトル{ v
1, . . . , v
d}
で張られるd
次元トーラスT = { x ∈ R
d; x = ∑
di=1
α
iv
i, 0 ≤ α
i< 1 }
上の一様分布をλ
とする。写像f : T → S
をf(x) = ∑
z∈Zd
δ
x+z·vで与える。ただしv = (v
1, . . . , v
d)、 ·
はR
dの標準内積である。このと き像測度λ
f を周期的点過程という。Lebesgue
測度を強度測度とするPoisson
点過程Λ
と周期的点過程はともにR
dの配置空間 の上の平行移動不変な点過程だが、性質は両極端である。Λは最もランダムな点過程であるの に対して、周期的点過程は、本質的にd
次元のLebesgue
測度のランダムネスしか持たない、有限次元的な点過程である。
これら二つを両極端な場合として、その中間的な場合を考察していく。
相関関数・密度関数
m
をS
上のラドン測度とする.対称な局所可積分関数ρ
n: S
n→ [0, ∞ )
は(
:282.6)
を満たす時,点過程µ
のm
に対するn
点相関関数(n point correlation function)
と呼 ばれる.∫
Ak11×···×Akjj
ρ
n(x
1, . . . , x
n)
∏
n i=1m(dx
i) =
∫
S
∏
j i=1s(A
i)!
(s(A
i) − k
i)! dµ (2.6)
:28
1混乱している。Rdならいいが、ポーランド空間だとどうしよう
8
ここで
A
1, . . . , A
j⊂ S
は互いに素な可測集合,k
1, . . . , k
jはk
1+ · · · + k
j= n
を満たす自然 数とする.s(Ai) − k
i< 0
の時は,s(Ai)!/(s(A
i) − k
i)! = 0
とみなす.次の(
:lenard2.7)を満たす時,
{ ρ
n}
n∈Nを相関関数にもつµ
は一意であるsosh.drpf[?]
.∑
∞ n=0{ 1 n!
∫
An
ρ
n(x
1, . . . , x
n)
∏
n i=1m(dx
i) }
−n1= ∞ ( ∀ A : m(A) < ∞ ) (2.7)
:lenard
µ(s(A) < ∞ ) = 1
とする.対称な非負関数σ
An: A
n→ [0, ∞ )
は(
:28d2.8)を満たす時,点過程 µ
のm
に対するA
上のn
密度関数(n density function)
とよばれる.µ
A(B) =
∑
∞ n=01 n!
∫
u−1n (B)
σ
nA(x
n)
∏
n i=1m(dx
i) (2.8)
:28d
ここで
µ
A:= µ ◦ π
−A1,ただしA ∈ B (S)
に対して,π
A: S → S
はπ
A(s) = s( · ∩ A)
を表す.更に,Bは
A
上の配置空間の可測部分集合,xn= (x
1, . . . , x
n),u
n: A
n→ S
はu
n(x
n) = ∑
ni=1
δ
xi である.定義から1 =
∑
∞ n=01 n!
∫
An
σ
nA(x
n)
∏
n i=1m(dx
i) (2.9)
:28e
この正規化による密度関数は,Janossy密度と呼ばれる.相関関数の定義から,
ρ
n(x
n) =
∑
∞ i=01 i!
∫
Ai
σ
An+i(x
n+i)
∏
i j=1m(dx
n+j) (x
n∈ A
n) (2.10)
:28f
ある定数
c
1> 0, c
2< 1
に対しsup
n∈Nsup
Anρ
n(x
n)c
n1n
−c2n< ∞
を満たせば,逆にσ
An(x
n) =
∑
∞ i=0( − 1)
ii!
∫
Ai
ρ
n+i(x
n+i)
∏
i j=1m(dx
n+j) (2.11)
:28g
次の測度の弱収束条件o.rm
[?, Lem. 11.1]
は,行列式測度に対して有効である.l:14
補題
2.3. S = R
の時,点過程µ
n, µ
の相関関数{ ρ
mn} , { ρ
m}
が(
:28h2.12) (
:28i2.13)
を満たせば{ µ
n}
はµ
に弱収束する.ここでc
1> 0, c
2< 1
である.sup
n
sup
n∈N
sup
Drn
ρ
nn(x
n)c
n1n
−c2n< ∞ ( ∀ r ∈ N ) (2.12)
:28h
n
lim
→∞ρ
nn(x
n) = ρ
n(x
n) for a.e. x
n, ∀ n ∈ N (2.13)
:28i
9
相関関数と平均・分散⟨ f, s ⟩ = ∫
S
f ds = ∑
i
f (s
i)
と表す.ただしs = ∑
i
δ
si∈ S.f ∈ C
0(S)
あるいは,より一般に積分が意味を持つ時,次が成立する.E
µ[ ⟨ f, s ⟩ ] =
∫
S
f (x)ρ
1(x)m(dx) (2.14)
:L1
E
µ[ |⟨ f, s ⟩|
2] =
∫
S
| f (x) |
2ρ
1(x)m(dx) +
∫
S2
f (x) ¯ f (y)ρ
2(x, y)m(dx)m(dy) (2.15)
:L2
Var
µ[ ⟨ f, s ⟩ ] =
∫
S
| f (x) |
2ρ
1(x)m(dx) +
∫
S2
f (x) ¯ f(y) T (x, y)m(dx)m(dy) (2.16)
:var
ここで
T (x, y) = ρ
2(x, y) − ρ
1(x)ρ
1(y)
は2cluster
関数と呼ばれる.(mehta[?]
とforrester[?]
では定義の符号 が違う)
.µ
がHermite
対称な核K(x, y)
から生成される行列式測度ならば,Var
µ[ ⟨ f, s ⟩ ] =
∫
S
| f (x) |
2K(x, x)m(dx) −
∫
S2
f (x) ¯ f(y) | K(x, y) |
2m(dx)m(dy)
Palm
測度・Campbell測度µ
xがx = (x
1, . . . , x
k)
で条件付けたµ
のPalm
測度とは,次 で与えられるµ
の条件付き確率のことをいう.µ
x= µ( · −
∑
k i=1δ
xi| s( { x
i} ) ≥ 1 for i = 1, . . . , k). (2.17)
:26f
µ
kがk-Campbell
測度とは,次式で定義されるS
k× S
上の測度のことをいう.µ
k(A × B) =
∫
A
µ
x(B)ρ
k(x)
∏
k j=1m(dx
j). (2.18)
:26e
3 Gibbs
測度・行列式測度ポーランド空間
S
内を運動する粒子が,自由ポテンシャルΦ : S → R ∪ {∞}
で媒質S
と相 互作用し,また干渉ポテンシャルΨ : S × S → R ∪ {∞}
で粒子間の相互作用をするとする.Ψ(x, y) = Ψ(y, x)
とする.この時,形式的なHamiltonian H
はH (s) = ∑
i
Φ(s
i) + ∑
i<j
Ψ(s
i, s
j) (3.1)
:G1
で与えられ,対応する粒子系の平衡分布は,直感的には次式で記述される.
µ(ds) = Z
−1e
−H(s)∏
i
ds
i= Z
−1e
−∑iΦ(si)−∑i<jΨ(si,sj)∏
i
ds
i(3.2)
:G2
しかし無限体積の時,例えば
S = R
dで∫
S
e
−Φds = ∞
の時,表示にLebesgue
測度の無限直 積を含むため,(:G23.2)はそのままでは正当化できない.そのためまず無限粒子系を個々の粒子
を区別しない配置空間の元として捉える.以下,無限粒子系の平衡分布を構成する二つの方法 を説明する.10
Gibbs
測度 条件付き確率を用いて(
:G23.2)を正当化する方法について述べる.以下,S = R
d,D
r= {| x | ≤ r }
とする.πr(s) = s( · ∩ D
r),π
cr(s) = s( · ∩ D
rc)
とおく.H
r(s) = ∑
si∈Dr
Φ(s
i) + ∑
i<j,si,sj∈Dr
Ψ(s
i, s
j) (3.3)
:G9
H
r,ξ(s) = H
r(s) + ∑
si∈Dr, ξj∈Dcr
Ψ(s
i, ξ
j) (ξ = ∑
i
δ
ξi∈ S) (3.4)
:G3
R
d上の点過程µ
が(Φ, Ψ)-カノニカル Gibbs
測度とは∀ r, m ∈ N
,µ-a.s.ξ
に対しµ(π
r∈ ·| π
r(D
r) = m, π
cr(s) = π
rc(ξ)) = Z
−1e
−Hr,ξ(s)1
Smr(s)Λ(ds) (3.5)
:G4
ここで
S
mr= { s(D
r) = m }
,Λ はLebesgue
測度を強度とするPoisson
点過程である.(:G43.5)
の形の条件付き確率とポテンシャルの間の関係式をDLR
方程式(Dobrushin-Lanford-Ruelle equation)
という.Ψ
は超安定かつRuelle
の意味で正則の時,Ruelle
クラスのポテンシャルというruelle2
[?].Ruelle
クラスのポテンシャルを持つGibbs
測度は,Poisson点過程に近い性質を持つクラスである.一方,d次元
Coulomb
ポテンシャルは,n≥ d − 2
の時R
nにおいてRuelle
の意味の正則性を満たさない.この時,µが平行移動不変な点過程ならば,µ-a.s.ξ
に対して(
:G33.4)の最終項が発散し,DLR
方程式に意味がつかない.従って,カノニカルGibbs
測度とならない.
行列式測度
m
をS
のラドン測度,K : S
2→ C
とする.m
に対する相関関数がρ
n(x
n) = det[K(x
i, x
j)]
ni,j=1(3.6)
:det1
で与えられる点過程
µ
を(K, m)
で生成される行列式測度(determinantal measure)
という.行列式点過程,行列式確率点場とも呼ばれる.
l:det2
定理
3.1 (
shirai-t,sosh.drpf[?, ?]). (K, m)
が(
:det-a3.7)–(
:det-c3.9)
を満たす時,(K, m)
で生成される行列式測度µ
が一 意に存在する.また(
:det-a3.7)と (
:det-b3.8)を満たす K
が,行列式測度を生成するための必要十分条件 は(
:det-c3.9)である.
K(x, y) = K(y, x) (K
はHermite
対称)(3.7)
:det-a
K
はL
2(S, m)
上,局所trace
クラス作用素(3.8)
:det-b
0 ≤ K ≤ Id (つまり Spec(K) ⊂ [0, 1]) (3.9)
:det-c
ここで
Kf(x) = ∫
S
K(x, y)f (y)m(dy)
.(
:det-b3.8)
はK
を任意のコンパクト集合A
に制限した時,K
がL
2(A, m)
上のtrace
クラスになることを意味する.11
空間S
の可測部分集合A
上の配置空間をS
Aと表す.S
Aを自然にS
の部分集合とみなす.行列式測度
µ
のS
Aへの制限は,再び行列式測度になる.実際,µが(K, m)
で生成される行 列式測度の時,像測度µ ◦ π
A−1は(K
A, m
A)
で生成される(A
上の)
行列式測度となる.ただ しK
A(x, y) = 1
A(x)K(x, y)1
A(y), m
A(dx) = 1
A(x)m(dx).また Palm
測度も行列式測度で ある.l:det3
定理
3.2 (
shirai-t[?]). (K, m)
が(
:det-a3.7)–(
:det-c3.9)を満たすとし,µ
を(K, m)
で生成される行列式測度とする.この時,点
a ∈ S
で条件付けたPalm
測度µ
aは(K
a, m)
で生成される行列式測度になる.ただし
K
aは次式で与えられる.K
a(x, y) = K(x, y) − K(x, a)K(a, y)
K(a, a) (3.10)
:det-palm
核関数の重要なクラスは
R
の直交多項式で与えられる.w: R → [0, ∞ )
とする.{ p
m}
nm=0−1を
monic(最高次の係数が 1)
な多項式の列でp
mはm
次多項式,また測度wdx
に対して直交するとする.この時
K
(n)(x, y) = { w(x)w(y) }
12n−1
∑
m=0
p
m(x)p
m(y)
∫ p
m(t)
2w(t)dt (3.11)
:poly
とおくと,K(n)は定理l:det2
3.1
の条件を満たし,(K(n), dx)
で生成される行列式測度が存在する.次の和公式は
n → ∞
を計算する鍵となるforrester[?].
l:cd
定理
3.3 (Christoffel-Darboux
の公式).K
(n)(x, y) = ∫ { w(x)w(y) }
12p
n−1(t)
2w(t)dt · p
n(x)p
n−1(y) − p
n−1(x)p
n(y)
x − y (3.12)
:cd1
(
:cd13.12)から直ちに対角成分の表示を得る.
K
(n)(x, x) = w(x)
∫ p
n−1(t)
2w(t)dt · { p
′n(x)p
n−1(x) − p
′n−1(x)p
n(x) } (3.13)
:cd2
測度の対数微分・準
Gibbs
測度 無限体積Gibbs
測度をCoulomb
ポテンシャルに拡張する ために2
つの概念を導入する.以下S = R
d,µ
はS
上の点過程とする.• d
µ= (d
µm)
m=1,...,dが次の条件を満たす時,µの対数微分というo.isde[?]:
d
µ∈ { L
1loc(µ
1) }
d(3.14)
:26l
∫
S×S
d
µf dµ
1= −
∫
S×S
∇
xf dµ
1( ∀ f ∈ C
0∞(S) ⊗ D
◦). (3.15)
:26m
ただし
∇
xf = (
∂f(x,s)∂xm
)
m=1,...,d,µ
1は(
:26e2.18)
で定義された1-Campbell
測度,D
◦はS
上の局 所的かつ滑らかな関数全体である.対数微分は,直感的にはd
µ= ∇
xlog µ
1であり,一つの12
粒子
x (tagged particle)
が,他の無限個の粒子s = ∑
δ
siからどのような力を受けるかを表現 している.µが(Φ, Ψ)-カノニカル Gibbs
測度ならば,d
µ(x, s) = −∇
xΦ(x) − ∑
i
∇
xΨ(x, s
i) (3.16)
:26n
DLR
方程式(
:G43.5)と異なり,この表記は Ψ
がCoulomb
ポテンシャルでも無限粒子系に対して 意味を持ちうる.sine点過程やGinibre
点過程の場合を後で計算する.• µ
が次の条件を満たす時,(Φ, Ψ)-
準Gibbs
測度というo.rm[?]
:ある自然数の増大列{ b
r}
と測 度の列{ µ
mr,k}
が存在し,各r, m ∈ N
に対しµ
mr,kが次を満たす:µ
mr,k≤ µ
mr,k+1( ∀ k), lim
k→∞
µ
mr,k= µ( · ∩ S
mbr
) weakly, (3.17)
:qg1
更に
∀ r, m, k ∈ N
とµ
mr,k-a.e. s ∈ S
に対して,c
−11e
−Hbr(x)1
Smbr
(x)Λ(dx) ≤ µ
mr,k,s(dx) ≤ c
1e
−Hbr(x)1
Smbr
(x)Λ(dx). (3.18)
:qg2
ここで
c
1はr, m, k, π
{|x|>br}(s)
に依存する正定数,更にµ
mr,k,s(dx) = µ
mr,k(π
{|x|≤br}∈ dx | π
{|x|>br}(s)). (3.19)
:qg4
Λ,S
mbr,
H
br(x)
はGibbs
測度の節で定義されている.カノニカル
Gibbs
測度は準Gibbs
測度である.Lebesgue測度を基礎の測度にする行列式測 度はすべて準Gibbs
測度であると期待されるがまだ証明されていない.Yoo
yoo.05[?]
により核K
が0 ≤ K < 1,つまり固有値 1
を持たない時,行列式測度がGibbs
測度であることが示されている.しかしランダム行列に関係するものは無限体積において
1
を固有値として含む.尚,sine 点過程やGinibre
点過程については,準Gibbs
性が示されている.µが(Φ, Ψ)
準Gibbs
測度 であり,(Φ,Ψ)
が上半連続ならば自然なDirichlet
形式を用いてµ
可逆な拡散過程が構成でき るo.rm[?]
.13
4
東北大学談話会:H25/6/17/
月s:4
e
µ
β(dx) = 1 Z
∏
∞ i=1e
∑∞i=1βlog|xi−xj|∏
∞ k=1dx
k(4.1)
:41
5
干渉ブラウン運動s:5
5.1
独立な場合s:51
d
次元空間S = R
d内の粒子を考える。以下ではS = R ,S = R
2の場合が多い。S
内の∞
個の粒子をX
t= (X
t1, ...) ∈ S
N とする。1粒子系は、ブラウン運動をB
tとすると、オルン シュタイン・ウーレンベック過程として、dXt= dB
t− X
tdt
により定義する。N 粒子系は(B
1t, B
t2, ...B
tN)
をB
0n= s
n∈ S
を満たす独立なN
個のブラウン運動として、N 個のオルン シュタイン・ウーレンベック過程dX
ti= dB
ti− X
tidt(i = 1, 2, ..., N ) (5.1)
:51
を考え、N 個の直積
(X
t1, X
t2, ..., X
tN)
により定義する。自由ポテンシャルによる干渉Φ : S → R ∪ ∞
がある場合はdX
ti= dB
ti− 1
2 ∇ (dX
ti)X
tidt (5.2)
:52
により定義できる。干渉が無い場合は
N → ∞
は易しい。5.2
干渉があるときs:52
干渉
Ψ : S →R ∪ ∞
について考える。干渉Ψ
の例として以下の3
つを上げておく。ex1:hard core
Ψ =
∞ if | x | < R 0 otherwise
(5.3)
:53
ex2:Lemard Jone’s 6-12 potential
Ψ
6.12(x) = 1
| x |
12− 1
| x |
6(5.4)
:54
14
ex3:Coulom potential
Ψ
d(x) =
− log | x | if d=2
1
2−d
| x |
2−dd > 2
(5.5)
:55
N
粒子系X
N= (X
N,1, ..., X
N,N)
について、次の微分方程式を考える。dX
tN,i= dB
ti− 1 2
∑
N j̸=i∇ Ψ(X
tN,i− X
tN,j)dt (iin N ) (5.6)
:56
この微分方程式を
N → ∞
のときに解くことを考える。これは無限次元の干渉ブラウン運動 を考えていることになる。しかし、N= ∞
のときは係数のリプシッツ連続性が確認できない ことや確率微分方程式の形が非自明であることが問題である。N = ∞
として考えた確率微分 方程式はdX
t∞,i= dB
it− 1 2
∑
∞ j̸=i∇ Ψ(X
t∞,i− X
t∞,j)dt (i ∈ N ) (5.7)
:57
となる。具体的に
Ψ
d(x)
が2
次元Coulomb
ポテンシャルの場合を考えるとd ≤ 2,0 < β < ∞
として,dX
tN,i= dB
it+ β 2
∑
N j̸=iX
tN,i− X
tN,j| X
tN,i− X
tN,j|
2dt (i ∈ N ) (5.8)
:58
となり,特に
d = 1
の場合はdX
tN,i= dB
it+ β 2
∑
N j̸=i1
X
tN,i− X
tN,jdt (i ∈ N ) (5.9)
:59
で与えられる。d
= 1
の場合はDyson model
になっており,d= 2
の場合にはGinibre model
になっている。自由ポテンシャルをΦ :S →R ∪ ∞
とすると57
dX
tN,i= dB
it− 1
2 ∇ Φ(X
tN,i)dt + β 2
∑
N j̸=i∇ Ψ(X
tN,i− X
tN,j)dt (i ∈ N ) (5.10)
:510
で与えられる。例として
,Φ(x) = x
2,Ψ(x) = log | x |
の場合はdX
tN,i= dB
ti− X
tN,idt + β 2
∑
N j̸=iX
tN,i− X
tN,j| X
tN,i− X
tN,j|
2dt (5.11)
:511
となる。
15
5.3
対数ガウスとランダム行列s:53
R
N の確率測度m
をm
Nβ(dx) = 1 Z
∏
N i<j| x
i− x
j|
βexp { − β 4
∑
N k=1| x
k|
2} dx
N= 1
Z exp {− (β
∑
N i<j− log | x
i− x
j| ) − β 4
∑
N k=1| x
k|
2} dx
N(5.12)
:512
と定める。β
= 2
の場合はGaussian unitary ensemble
である。N× N
行列M = (M
ij)
が 以下の:5131
から3
を満たすとする。1.
tM
ij= M
ji(Hermite) 2. { M
ij}
i<=jは独立3. M
ii=
L
N (0, 1) :
平均0,
分散1
の正規分布(i = j) M
ij=
L G1+√
−1G2
√2 ここで
G
1=
L
G
2≃ N (1), G
1⊥ G
2(i < j )
このとき
m
Nβ(dx)
はM
の固有値(λ
1, ..., λ
N)
の分布になる。変数変換するとMehta Random Matirices
になる。また、semi-circle lawにより1 N
∑
N i=1δ
λN i /√N
⇒ σ(x)dx, σ(x) = 1 2π
√ 4 − x
2|
(−2,2)(x) (5.13)
:514
が従う。これは弱収束である。
i.i.d
のときの大数の法則と異なるのはinteraction
の強さが影 響していることによる。5.4 N
粒子系の確率微分方程式と常定分布s:54
まずブラウン運動の場合を考える。
B
をd
次元ブラウン運動とする。ε
dx(f, g) =
∫
Rd
D [f, g] dx (5.14)
:515
ただし
D [f, g] = 1 2
∑
d i=1∂f
∂x
i∂g
∂x
i= 1
2 ∇ f ∇ ˙ g (5.15)
:516
である。次に
(B
1, ..., B
N)
をN
次元ブラウン運動としてε
dx(f, g) =
∫
(Rd)N
D [f, g] dx
N(5.16)
:517
16
ただしD [f, g] = 1 2
∑
d n=1∇
nf ∇ ˙
ng (5.17)
:518
である。ここで
operatorδ
N/2
についてε
dx(f, g) =
∫
(Rd)N
D [f, g] dx
N= −
∫
(Rd)N
1
2 δ
Nf gdx
N(5.18)
:519
であることから、δN
/2
はブラウン運動のgenerator
となる。同じものをlog gas
について考 える。m
Nβ(dx) = 1 Z
∏
N i<j| x
i− x
j|
βexp { − β 4
∑
N k=1| x
k|
2} dx
N= 1 Z exp { β
∑
N i<jlog | x
i− x
j| − β 4
∑
N k=1| x
k|
2} dx
N(5.19)
:520
とすると、
ε
mNβ(f, g) =
∫
SN
D [f, g] m
Nβdx
N=
∫
SN
1
2 δ
Nf g + 1
2 ∇
Nf ∇ ˙
Nm
Nβgm
Nβdx
N(5.20)
:521
であるため、generatorは
L
N= 1 2 δ
N+ 1
2
∑
N i=1∇
ilog m
Nβ∇ ˙
i(5.21)
:522
となる。第二項は以下のように書くことができる。
∇
ilog m
Nβ= β
∑
N j̸=ix
i− x
j| x
i− x
j|
2− β
2 x
i(5.22)
:523
従って確立微分方程式は
dX
N,i= dB
i− β
4 X
tN,idt + β 2
∑
N j̸=iX
tN,i− X
tN,j| X
tN,i− X
tN,j|
2dt (5.23)
:524
となる。