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南西諸島における甘藷害虫ゾウムシ類の防除

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1 はじめに

  甘藷 (サツマイモ、 カライモ) は中南米原産で、 中国を経て 1605 年に琉球に渡来し たのち日本全国に広がったと伝えられている。 甘藷は乾燥に強く、 痩せた土地でも生育し、

台風などの厳しい気象条件にも耐えるため、 南西諸島 (沖縄県と鹿児島県の奄美諸島)

においては、 重要な主食作物として栽培されてきた。 しかし、 甘藷の害虫であるアリモド キゾウムシとイモゾウムシが侵入し、 大きい被害を起こすようになった。 これらの害虫は甘 藷の茎や塊根 ( イモ ) に侵入して食害するが、 わずか食われただけでも塊根が強い苦み と悪臭を放つようになり、食用はもちろん家畜の餌にも適さなくなるため、沖縄方言では 「イ リムサー」 と称して恐れられてきた。

  これらの害虫に対して、 1960 年以前は輪作による被害回避が試みられた。 1960 年代 にはヘプタクロールなどの有機塩素系殺虫剤の土壌処理によって効果的に防除されてい たが、 これらの薬剤がその高い残留性によって 1970 年代に使用が禁止された後、 有効 な防除法がなかった。 これらの害虫は日本では沖縄県全域、 鹿児島県奄美諸島および トカラ列島、 東京都小笠原諸島にのみ分布するが、 他の地域に侵入することを防止する ために、発生地域からの甘藷の出荷が 「植物防疫法」 によって禁じられている。 そのため、

南西諸島は気象的には甘藷の生産適地であるにもかかわらず、 生産が低迷し、 この地 域の農業振興上で重大な問題となってきた。

  沖縄県と鹿児島県は、 ゾウムシ類の安全で効果的な防除法を見いだすとともに、 これ らの害虫を根絶することによって甘藷を未発生地に自由に出荷できるようにするための研 究開発にとりくんできた。 この報告は、 害虫防除を専門としない人々にその歩みを紹介し、

理解と協力をお願いすることを目的としている。

  本報告の2章ではこの害虫の生態・被害・分布、 3章で分布地における効果的な防除法、

4章では分布地以外で突発的に発生した場合の緊急防除法、 5章では分布地における根 絶法について、 それぞれ述べ 6 章で全体的考察を行う。

 

2 甘藷のゾウムシ類はどんな虫か−生態、被害、分布

  甘藷害虫として問題になっているゾウムシ類にはアリモドキゾウムシとイモゾウムシの2種 がある。 いずれも甘藷、 ノアサガオ、 グンバイヒルガオなどヒルガオ科の植物の茎や地下 部を餌とする甲虫である。 これらの餌となる植物を 「寄主植物」 と呼ぶ。 ゾウムシ類幼虫 に加害された塊根 ( イモ ) は、 独特の苦みと悪臭を放ち、 食用はもちろん家畜の餌にも 適しなくなる。 これは塊根が幼虫の食害に反応してイポメアマロン等のフラノテルペノイド やクマリン類を生ずるためである

南西諸島における甘藷害虫ゾウムシ類の防除

小 山 重 郎

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  アリモドキゾウムシは世界の熱帯、 亜熱帯に広く分布している。 その成虫 ( 図1左 ) は 体長 6.5mm 内外で一見アリに似ており、 頭部は黒褐色で胸と脚は赤褐色、 前翅は青、 緑、

および褐色の3系統が報告されている。 夜行性で、 雄も雌も飛ぶことができるが、 雄がよ く飛び、 海上を 2km ほど移動したという記録がある。 しかし雌はあまり移動しない。 雌は 性フェロモンを出して雄を誘引し交尾する。 雄は何回も交尾するが、 雌は交尾後フェロ モンの放出をやめるので、 交尾は1回と考えられている。 交尾した雌は、 茎の地際部や 塊根の表面に口器で孔をあけて卵を産みこみ糞で蓋をする。 雌は1日 1〜2個の卵を 3〜

4 ヶ月にわたって合計 60〜80 個産む。 孵化した幼虫は茎や塊根の内部に食いこんで発 育し、 蛹化したのち植物体の中で羽化する。 成虫は、 数日から 10 日ほどで成熟してか ら外に出る。 産卵から成熟成虫になるまでの期間は 25℃で約 40 日である。 成虫の平均 寿命は雌雄とも 100〜170 日である。  

  イモゾウムシは中南米から太平洋の島々にかけた熱帯 ・ 亜熱帯に広く分布している。

成虫 ( 図1右 ) は体長 3.5mm 内外で、 暗赤褐色であるが、 全身が灰〜灰褐色の鱗片で 覆われ、 後方に灰白色の横帯がある。 アリモドキゾウムシと同じように夜行性であるが、

飛ぶことができず、 もっぱら歩行によって移動する。 したがって移動距離も短く、 2 日間 で 20m 程度という記録がある。 アリモドキゾウムシのような性フェロモンはなく、 雄雌は音 で交信していると考えられている。 雌雄ともに何回も交尾し、 交尾後の雌は 1 日に最大5 個の卵を生涯産みつづけ、 一生で平均 260 個ほど産卵する。 幼虫の発育、 蛹化、 羽 化などの経過はアリモドキゾウムシとよく似ている。 成虫の平均寿命は 240 日である。

  両種とも幼虫による被害は似ていて、 区別することが難しい。 被害は図2にしめしたよ うに地際部の茎 ( 左 ) と塊根 ( 右 ) にあらわれ、 ひどく食われると塊根の内部がスポンジ 状になる。

  図 1 左:アリモドキゾウムシ成虫、右:イモゾウムシ幼虫(安田慶次氏撮影)

図 2 ゾウムシ類による甘藷の被害。左:地際部の茎の被害。右:塊根の被害(安田慶次氏撮影)

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  これらのゾウムシ類はもともと南西諸島にはいなかった。 アリモドキゾウムシは 1903 年に 沖縄で最初の記録があるが、侵入はそれ以前と考えられている。 その後、島伝いに北上し、

1915 年に鹿児島県の与論島で発見された。 現在の分布北限はトカラ列島である。 しかし、

後で述べるように、 鹿児島県本土、 高知県に何回も侵入し、 そのつど緊急防除によって 根絶されてきた。 イモゾウムシは 1947 年に沖縄本島中部の勝連町 ( 現 : うるま市 ) で発 見され、 現在では奄美大島以南に分布している ( 図 7)。

  これらのゾウムシ類の被害が甚大であるところから、 分布地域がさらに拡大しないように、

両種が既に分布している地域からの生の甘藷など、 ヒルガオ科植物の移動は 「植物防疫 法」 によって厳しく規制されている。

   

3 ゾウムシ類の防ぎ方 - 要防除被害水準にもとづく総合的防除

  ゾウムシ類の被害を防ぐ方法は、 1960 年以前は輪作 (例えば、 サトウキビのあとに甘 藷を栽培するなど) による被害回避が主であった。 1960 年代に有機塩素系殺虫剤が開 発され有効であったが、 残留毒性のために使用禁止になった一方で、 その他の薬剤は ゾウムシ類に対してあまり有効ではなかった。 そこで、 効果をあげようとして多量の薬剤を 使用することが環境保全上の問題となっていた。

  沖縄県農業試験場 ( 当時 ) の安田慶次氏は、 まず、 ゾウムシ類の発生と被害の実態 をよく調べることから研究をはじめ、 最少の農薬で最大の防除効果を上げる方法を見いだ そうとした。

  最初に、 これらのゾウムシ類の発生と被害が季節的にどのように増減するかを調べた。

アリモドキゾウムシ雌は性フェロモンを放出し、 雄を誘引して交尾する。 この性フェロモン の化学構造があきらかになり人工的に合成されたので、 それを使って雄を集めるトラップ

(わなの一種)がつくられた ( 図3左 )。 一方、イモゾウムシでは、アリモドキゾウムシの性フェ ロモンのような強力な誘引源がみつかっていないので、 塊根そのものを誘引源としたイモ トラップ ( 図3右 ) をつくり、雌が産卵したあと、その塊根を保管して出てくる成虫数を数えた。

この方法はアリモドキゾウムシにも利用された。

図 3 左:アリモドキゾウムシのフェロモントラップ。上部に雨よけをつけその下にフェロモン剤 を吊るす。誘引された雄成虫は円錐形の斜面を登って中に入り、水あるいは揮発性殺虫剤で殺さ れる。右:イモトラップ。成虫は塊根に集まり雌が産卵する。塊根はネズミなどに食われないよ うに金網で囲う。( 安田慶次氏撮影 )

(4)

  また、 茎の地際部の被害 (図2左) と塊根の被害 (図2右) も調査した。

  フェロモントラップに集まるアリモドキゾウムシ雄は7〜9月の夏期に多く、 10 月から翌年 6月までの冬 ・ 春期には少ない。 イモトラップによればイモゾウムシ、 アリモドキゾウムシ は5月から 10 月に産卵が多く冬期は少ない。 したがって、 ゾウムシ類の加害は成虫がよ く活動する夏期に多い。 甘藷の植え付けは一年中おこなわれるが、 夏期に植え付けられ た塊根での被害が多い。

  甘藷の生育を見ると、 植え付け 45 日 (1.5 ヶ月 ) 後頃から葉 ・ 茎の重さが増えはじめ、

60 日 (2ヶ月) 後から急速に増加する。 一方、 塊根の重さは 75 日後頃から増えはじめ 90 日 (3ヶ月) 後から急速に増加する ( 図 4 左 )。 すなわち、 まず茎と葉が伸び、 ひき つづいて塊根が太るという生育パターンをとる。

  ゾウムシ類の加害の経過をみると、 植え付け後、 まず茎の地際部に産卵し、 そこで育っ た成虫が、 3 ヶ月後から太りだしたイモに達して産卵 ・ 加害する ( 図 4 右 )。 そこで、 ゾ ウムシ類幼虫が茎にいる植付け 60 日 (2ヶ月 ) 後から 30 日ごとに3回、 株元に農薬を散 布して茎内の幼虫を殺すことによって、 被害が塊根に及ぶことを防ぐことができた ( 図5、

慣行防除 )。

 

  植え付け後 75 日の被害茎率と収穫時の塊根被害率の関係を多くの畑で調べたところ、

両者に相関関係があり、 茎の被害が多ければ、 塊根の被害も多いことがわかった。 この 関係を利用して、 被害茎率が5% になったときに 「要防除被害水準」 ( 薬剤散布を必要と する被害水準 ) に達したものと判断して、 薬剤散布を行う適期防除が考案された。 この 方法によって薬剤散布回数を慣行の 3 回から 2 回に減らしても、 ほぼ同等の防除効果が 認められた (図5、 適期防除)。

図 4 左:甘藷の株当り茎・葉と塊根の重さの推移。右:ゾウムシ類の茎と塊根での被害 増加の推移(安田、1998)

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  ゾウムシ類の被害はどのような畑で多いかを調べたところ、 前作に甘藷を栽培して成虫 が残っている畑で発生が多かった。 特に被害をうけた塊根が放置されているところでの被 害が多く ( 図 6 左 )、 また野生の寄主植物であるノアサガオやグンバイヒルガオが畑の付 近にあるところでも多かった (図 6 右)。 したがって、 放置された被害塊根や野生寄主植 物などの発生源を取り除き、 深い土の中に埋めるなどして処分することによって、 被害を 減らすことができる。 アリモドキゾウムシ成虫は水だけで 7〜1 3 日間、 イモゾウムシ成虫 は水だけで 25 日間は生存できるので、 甘藷の前作はサトウキビなどにすることが望ましく、

もしそれができない場合でも、 成虫が死ぬまで2か月以上畑を休ませてから植え付けるこ とによって被害を減らすことができた。

  ゾウムシ類には天敵がいる。 一つは糸状菌ボーベリア ・ バッシアーナで、 成虫が感染 すると死亡する。 もう一つはイリムサーキバラコマユバチという寄生蜂で、 このハチはゾウ ムシ類の幼虫に卵を産み、 孵化した幼虫がゾウムシ類幼虫を食う。 このような天敵は自 然の害虫防除力として重要であることが分かった。

図 5 2つの畑、A、B における慣行防除(3 回薬剤散布)、適期防除(要防除被害水準による 2回散布)、無防除の場合の被害茎率、脱出孔茎率(新成虫が出た孔のある茎率)の推移。

各グラフ右上の数字は収穫時の塊根被害率を示す。3 回散布と2回散布で塊根被害率には有意 差がない。(安田、1998)

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  このように、 要防除被害水準にもとづく最小限の薬剤散布、 輪作、 発生源除去を組 み合わせた総合的防除が効果をあげて、 甘藷のゾウムシ類の被害を減らすことができた。

4 鹿児島県と高知県におけるゾウムシ類の緊急防除

  先に述べたように、 植物防疫法によって、 アリモドキゾウムシとイモゾウムシの寄主植物 はそれぞれ北緯 30 度以南と北緯 28 度 40 分以南の規制区域からの移動が規制されてい るが、 表1、 図 7 に示すように規制区域より北の鹿児島県と高知県でアリモドキゾウムシと イモゾウムシの突発的発生が起こった。 イモゾウムシは成虫の移動能力が低いので、 そ の発生は主に寄生された塊根あるいは苗が人為的に持ち込まれたことによるものと考えら れる。 突発的発生が認められた地域では防除区域を定めて緊急防除が行われ、 それぞ れ根絶に成功してきた。 1990 年以降の突発的発生では発生確認から根絶までの年数は 1〜8年である。  

  突発的な発生区域からゾウムシ類を根絶するには、 発生調査と防除が必要である。 調 査方法として、 アリモドキゾウムシではフェロモントラップが有効であるが、 イモゾウムシに は性フェロモンがないので、 イモトラップを用い、 塊根を保管して成虫があらわれるかどう かを調べた。 また、 採集した塊根と寄主植物を切開して、 中に幼虫や蛹がいるかどうか を調べる寄主植物調査もおこなわれた。

  ゾウムシ類を殺虫剤のみによって根絶することは不可能なので、 防除区域内の甘藷と 野生寄主植物を全て除去することによって根絶をはかった。 いわゆる兵糧攻めである。

栽培された塊根は葉 ・ 茎と共に抜き取り、 放棄された被害塊根とともに、 焼却するか土 に 5m の深さに掘った孔に埋めた。 ノアサガオなどの野生寄主植物には除草剤を散布し て枯らしたが、 もし人家や他の作物の付近でそれができない場合には全て人手で抜き取り、

塊根とともに処分した。 この作業には大変な労力を要した。

  鹿児島県指宿市では 2006 年 8 月から数ケ所でアリモドキゾウムシが発生しており、 そ の調査中の 2008 年 11 月にイモゾウムシも発見されたので、 防除は両種を対象におこな われた。 調査は市内の 798 の甘藷畑でおこなわれ、 市街地の南北 1.5km、 東西 2km の範囲の 43 の畑で発生が認められた。

  発生が確認されてから、 根絶が達成されるまでの経過を指宿市の場合を例にとって述 べる。

図 6 ゾウムシ類の発生源。左:放棄された被害塊根。右:ノアサガオ ( 安田慶次氏撮影 )

(7)

 

  初動防除として、 発生地点から半径 500m 内の 410ha を 「イモゾウムシ発生区域」 とし、

2008 年 12 月から翌年 1 月にかけて、 この区域内の全ての塊根を回収し処分した。 なお、

回収した塊根は重さをはかり、 国と県が所有者に賠償した。

  次に、 植物防疫法第 17 条に基づき 「イモゾウムシ及びアリモドキゾウムシの緊急防除 に関する省令」 が 2009 年 8 月 20 日に施行され、 緊急防除に伴う 「防除区域」 927ha で定められた防除が行われた。 それに先立ち、 国、 県、 市による 「指宿地区特殊病 害虫防除対策協議会」 や、 市を中心とする 「指宿市特殊病害虫防除対策協議会」 が 設立され、 主に住民への広報を分担した。 現場での調査や防除作業は鹿児島県病害

表 1 鹿児島県と高知県におけるゾウムシ類の突発的発生地域、 発生年、 面積および根絶年次

図 7 鹿児島県と高知県におけるゾウムシ類の突発的発生地点と年次。

   [ ] 内はイモゾウムシ、その他はアリモドキゾウムシ

鹿児島県口永良部島 鹿児島県佐多町 鹿児島県西之表市(馬毛島)

鹿児島県西之表市 鹿児島県開聞町 鹿児島県西之表市

鹿児島県中種子町 鹿児島県山川町 高知県室戸市 鹿児島県鹿児島市 鹿児島県屋久町/上屋久町 鹿児島県屋久町

鹿児島県山川町 鹿児島県下甑村 高知県室戸市 鹿児島県指宿市 鹿児島県指宿市(旧山川町)

鹿児島県指宿市

1951 年 5 月 1958 年 6 月 1959 年 11 月 1959 年 12 月 1965 年 7 月 1990 年 11 月

1993 年 9 月 1994 年 8 月 1995 年 11 月 1997 年 8 月 1997 年 12 月 1997 年 12 月 1998 年 7 月 1998 年 8 月 2000 年 10 月 2006 年 8 月 2006 年 9 月 2008 年 11 月

1978 年 1971 年 1969 年 1969 年 1995 年 ( 一部 1960ha) 1997 年 ( 一部 4660ha) 1998 年 ( 残り 630ha) 1994 年 1995 年 1998 年 1998 年 2000 年 2002 年(一部)

2004 年(残り)

1999 年 2000 年 2001 年 2012 年 2007 年 2012 年

1頭のみ採集、その後発生なし

のちに発生したイモゾウムシを含む

75ha 364ha 105ha a 7250ha

265ha a 125ha a 780ha 280ha a 1557ha a 4109ha 19ha 37ha a 927ha 3ha a 927ha アリモドキゾウムシ

アリモドキゾウムシ アリモドキゾウムシ アリモドキゾウムシ アリモドキゾウムシ アリモドキゾウムシ

アリモドキゾウムシ アリモドキゾウムシ アリモドキゾウムシ アリモドキゾウムシ アリモドキゾウムシ イモゾウムシ アリモドキゾウムシ アリモドキゾウムシ アリモドキゾウムシ アリモドキゾウムシ アリモドキゾウムシ イモゾウムシ

発生地域* 種類 発生確認年月 防除区域等面積** 根絶年 備考

*地名は発生当時のもの

**a: 緊急防除による「防除区域」面積 

(山口卓宏氏作製)

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虫防除所が中心となった 「イモゾウムシ等防除班」 が行った。 そして、 「防除区域」 内 の 1,550 地点 (寄主植物面積 36.7ha) で寄主植物を全て除去した。

  また、 指宿市は、 2010 年 2 月1日に防除区域内での甘藷やアサガオなどの寄主植物 の栽培を禁止する 「指宿市イモゾウムシ等防除条例」 を施行した。 その結果、 防除区 域内での甘藷の植栽は激減した。 そして、 アリモドキゾウムシは 2009 年 7 月、 イモゾウ ムシは 2009 年 12 月 24 日の確認を最後にいなくなった。

  その後、 1 年以上両ゾウムシが確認されなかったため、 2011 年 2 月から駆除確認調 査が行われた。 2011 年 2 月3日から 8 月 2 日まで県が 「防除効果確認調査」、 8 月 3 日から 2012 年 2 月 15 日まで国が主体の 「駆除確認調査」 が行われた。 その結果、

両ゾウムシの発生は確認されず、 アリモドキゾウムシは 2011 年 11 月 22 日に、 イモゾウ ムシは 2012 年 2 月 15 日に全ての調査を終了した。 こうして 2012 年 3 月 19 日に省令が 廃止され、「指宿市イモゾウムシ等防除条例」 も失効し、いわゆる「根絶宣言」が発せられた。

発生から駆除確認までには、 3 年 3 ヶ月の期間と、 述べ 13,397 人の人員を要した。

  このようなことが表 1、 図 7 に示されたすべての発生地域で行われてきたことを考えると、

一旦侵入したゾウムシ類の根絶はいかに困難な作業であるかが理解されるであろう。

5 沖縄県久米島におけるアリモドキゾウムシの根絶の成功

(1)二つの根絶法

  沖縄県においては、 ゾウムシ類の総合的防除法の開発によって被害は軽減されてきた が、 ゾウムシ類が1匹でも残っている限り、 甘藷など寄主植物の県外への移動規制はつ づいていた。 この移動規制を解くためにはゾウムシ類の根絶が不可欠であった。

  そのためには、まず根絶技術の開発が必要である。 根絶技術には 「雄除去法」 と 「不 妊虫放飼法」 がある。

  「雄除去法」 は、 強力な雄の誘引剤と殺虫剤を吸着資材にしみ込ませて野外に設置し、

これに集まる多くの雄を殺して雌の交尾の機会をうばうことによって次世代の数を減らす方 法である。 この方法は、 沖縄 ・ 奄美諸島への侵入害虫、 ミカンコミバエの根絶に利用さ れてきた ( ミカンコミバエにはメチルオイゲノールという雄の強力な誘引剤がある )。 アリモ ドキゾウムシには雌の性フェロモンがあり、 これが雄の誘殺に利用できる可能性があった。

  「不妊虫放飼法」 は、 対象害虫を人工的に大量に増やし、 これに放射線をあてて不 妊化した成虫を野外に放すものである。 不妊化された雄は野外の雌と交尾し、 その卵は 発育できないようになる。この場合、不妊化によって雄の交尾能力があまり低下しないことと、

野生の雄の数を上回る不妊雄を放すことが必要である。 不妊雄が野生雄との競争にうち かてば、 次世代の野生虫の数は減るので、 放飼を続けることによって、 最終的には根 絶が達成される。 なお、 不妊化された雌は卵を生まないので、 雄雌同時に放飼される。

この方法は、 沖縄 ・ 奄美諸島への侵入害虫であるウリミバエの根絶に利用されてきた。

  アリモドキゾウムシでは根絶のために雄除去法と不妊虫放飼法が組み合わせてとりあげ

(9)

られ、以下のような 「個体数の推定」、「抑圧防除」、「大量増殖」、「不妊化」、「放飼」、「効 果判定」、 「再侵入の防止」 の各技術が開発された。

(2)抑圧防除

  不妊虫放飼法においては、 野外にいる野生虫よりも多くの不妊虫を放さなければ効果 があがらない。 そこで、不妊虫放飼に先立ち野生虫の密度をできるだけ低下させるために、

アリモドキゾウムシの合成性フェロモンと殺虫剤を木の繊維を固めた 4.5x4.5x0.9cm の板 にしみこませた誘殺板 (図 8 下右) を野外に撒き、 集まってきた雄を殺した。 その結果、

雄の数が減ることによって雌の交尾率が低下し、 次世代の野生虫数を減らすことができた。

(3)大量増殖

  1998 年から生塊根によるアリモドキゾウムシの大量増殖が始められ ( 図 8 : 上左 )、 週 当りの雄雌合計生産匹数が 1999 年 8 月には 50 万匹、2000 年8月には 100 万匹以上となっ た。

(4)不妊化

  不妊化は成虫にガンマー線を照射することによって行われた ( 図 8: 上右 )。 試験の結果、

アリモドキゾウムシ成虫は 100 グレイ(グレイは放射線量の単位。 人間は 7 グレイのガンマー 線を浴びると 1 ヶ月以内にほぼ 100%死亡する。) の照射によって、 雄の不妊率は 97%

になり、 200 グレイで完全に不妊化されることがわかった。 しかし、 200 グレイの照射では、

野生雄との競争力が若干低下する。 そこで、 防除のはじめのうちは 100 グレイで照射し た不完全不妊虫を放し、 野生雄が少なくなってから 200 グレイの完全不妊虫を放すことと した。

(5)放飼

  不妊虫は、 あとで野生虫と区別できるように蛍光色素粉末をまぶしてマークをつけたあ と紙袋に分配し、 ヘリコプターによって空中から投下された (図 8: 下左)。 また、 地上 から放飼する場合には不妊虫をバーミキュライトとともにプラスチックカップにいれた。 調 査用のフェロモントラップで捕獲された成虫には、 アセトンとアルコールの混合液を滴下し、

色素が溶け出すかどうかを紫外線灯の下で検出して、 不妊虫か野生虫かを判断した。

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(6)効果判定

  効果判定は前にも述べたように、 主に性フェロモントラップによって成虫を検出するほ かに、 野生寄主植物であるノアサガオ、 グンバイヒルガオなどの茎を切って持ち帰り、 茎 を裂いて中にいる幼虫や蛹の有無を調べることによって行った。 この虫は、 後に述べるよ うに、 極めて局地的に分布しているため、 多くの地点で調査を行う必要があり、 たいへ んな労力を要した。

(7)久米島の概要

  アリモドキゾウムシの根絶防除はまず、 久米島で開始された。 久米島は沖縄本島那覇 市の西方約 100km にある面積約 6000ha の島である ( 図 9)。 島の北部と南東部に標高 300m 前後の二つの山があり森林で覆われている。 耕作地は西部と東部および中央南部 にあり、 主な作物はサトウキビで、 その他サトイモ、 花卉、 水稲、 パイナップル、 柑橘 が栽培されている。 甘藷はほぼ全域で自家用として小規模に栽培されてきたが、 島の西 部で経済的な栽培が行われており、 アリモドキゾウムシの根絶達成が目前となった 2009 年頃からは急速に増加した。

(8)アリモドキゾウムシの分布と発生消長

  島の全域にフェロモントラップを 60〜80 個設置して、 季節消長をしらべたところ、 捕獲 数は 8〜10 月の夏場に多く、 冬季はこの 20 分の1と少なかった。 またフェロモントラップ を 100〜150m 間隔で密に設置し、 翌日または 2 日後に捕獲数をしらべる方法で、 対象 地域を順次変えながら分布状況を調査した。 その結果、 図 9 左に示すように、 分布地 域はきわめて局地的に偏っていた。 寄主植物は島のほぼ全域に生育しているが、 寄主 植物があっても全く捕獲されない地域もあった。 このような偏りは雌成虫の移動能力が低

図 8 上左:アリモドキゾウムシの甘藷塊根による増殖、上右:ガンマー線照射、

   下左:放飼された不妊虫、下右:誘殺板 ( 沖縄県病害虫防除技術センター撮影 )

(11)

いことによるものと考えられた。

  生息地で共通していたのは、 寄主植物のノアサガオの大きい群落があることであった。

ノアサガオは湿地を好み、 池や谷間に多い。 のちに明らかになったが、 今は森林でも、

かつて水田のあった場所にはノアサガオが多く、 その一部の地域にアリモドキゾウムシが 生息していた。

 

 

(9)個体数の推定と抑圧防除

  個体数の推定は、 標識再捕法 (一定数の印をつけた成虫を放して、 トラップで回収し、

同時に捕獲される野生虫の数と比べて、そこにいる野生虫の総数を推定する方法) によっ て行われた。 その結果から久米島全体には約 50 万匹の野生雄がいると推定された。 一方、

当時の増殖施設の生産能力は週産雄 50 万匹であった。 不妊虫放飼法では、 野生虫の 約 10 倍の不妊虫を毎週放す必要があるので、 放飼に先立って、 野生雄の数を 10 分の 1 程度に低下させなければならなかった ( 抑圧防除 )。 そのために、誘殺板が使用されたが、

一度に全島で実施するには予算不足であったため、 野生虫の多い地域を重点に、 年ご とに対象地域を移動させながら防除を行った。 対象地域は耕作地、 山林 ・ 原野の 800ha と住宅地域 200ha の合計 1000ha( 島の全面積の約6分の1 ) であった。 耕作地や 山林 ・ 原野ではヘクタールあたり誘殺板 8 枚をヘリコプターから投下し、 住宅地域では ヘクタールあたり 16 枚を人手で投げ込んだ。

  抑圧防除の結果はフェロモントラップと寄主植物調査で調べられた。 1994 年 9 月の防 除前とくらべて、 1998 年 9 月にはトラップへの成虫誘殺数は約 14% にまで減少し、 寄主 植物の寄生率は防除前の最大約 10% から 1998 年には 0.1% まで低下し、 抑圧防除の目 的を果たすことができた。

(10)不妊虫放飼

  密度抑圧後、1999 年2月に不妊虫放飼が開始された。 当初の生産は不安定であったが、

図 9  久米島におけるアリモドキゾウムシの分布。左:1994 年 9 月から 1995 年 7 月に    約 3000 個のフェロモントラップによる調査によって発生が確認された場所を黒塗    りで示す。右:2005 年 8 月から 2006 年 3 月に森林地帯を除く島のほぼ全域にフェ    ロモントラップ 717 個を設置した調査によって アリモドキゾウムシが検出された    10 地点を黒塗りで示す。( 沖縄県農林水産部、2015、より改変 )

(12)

2001 年 8 月からは週当り 50 万匹の不妊虫が継続的に放飼された。 初期の放飼では競 争力を重視して放射線量を 100 グレイにして不完全不妊虫を放したが、 2000 年 10 月か らは 200 グレイの完全不妊虫が放された。 放飼は週1回、 ヘリコプターによる航空放飼と 手撒きによる地上放飼により、 発生の多い地域を重点におこなわれた。 放飼数はしだい に増え、 最大時には週 300 万匹に達した。 防除効果があがり野生雄の数が減った 2008 年からは不妊虫の放飼は週 50 万匹以下に減らされた。

  不妊虫放飼開始後、 フェロモントラップに誘殺されるマークのついた不妊虫数はマーク の無い野生虫の 100 倍から 1000 倍に達したが、 無マーク虫の多くがマークの脱落した 不妊虫であることが明らかになった。 したがって、 この方法だけでは防除効果を正確に 判定することはできないので、 寄主植物調査によって最終的な効果判定を行った。

  そして、 寄生が認められた地点では、 寄主植物の除去と不妊虫の追加放飼を行った。

その結果、 寄生率はしだいに低下し、 2012 年 6 月からはゼロがつづいた ( 図 10)。

 

  

(11) 駆除確認調査

  寄主植物調査の結果から、 防除は順調にすすんでいるものと判断された。 そこで、

2002 年 4 月に久米島イモゾウムシ等防除協議会を設立し、 久米島をアリモドキゾウムシ 防除地域に指定し、県条例によって久米島への甘藷の持ち込みを制限するとともに、空港、

図 10 久米島の寄主植物調査によるアリモドキゾウムシの寄生率の推移。

   ( 沖縄県農林水産部、2015) 縦軸は対数目盛り。

(13)

港での取締まりを開始した。 2002 年 1 月以降、 寄生植物から全く検出されなくなったので、

久米島ではアリモドキゾウムシが根絶されたものと判断し、 2002 年 7 月31日に沖縄県は 国 (農林水産省那覇植物防疫事務所) に対して、 「駆除確認調査」 を申請した。

  1回目の駆除確認調査は 2002 年 9 月から実施されたが、 開始直後の 10 月に島の南 東部に位置するアーラ南海岸 ( 図9右 ) の急峻な海岸林から採取したノアサガオから野生 虫が発見された。 ここは、 これまで調査が行われていなかった場所であった。 そこで、

あらためて海岸部を調べたところ、 ヘリコプターから放飼された不妊虫が強風のため海岸 部に落ちていないことがわかり、 放飼方法が改善された。 また、 山間森林地帯の放棄水 田においてノアサガオが繁茂し発生源となっていることがわかった。 久米島は文字通り「米 ( くみ ) 島」 で 1960 年代までは、 山奥の谷間に多くの水田があったが、 1973 年の大干 ばつを契機にサトウキビ畑に転換あるいは放棄された。 深い森林の道無き道をかきわけて、

水田跡地のノアサガオ群落を探しだし、 これを持ち帰って寄生の有無を調べ、 もし寄生 されていれば不妊虫を放すという地道な努力が重ねられた。

  2005 年 8 月から 2006 年 3 月に森林地帯を除く島のほぼ全域にフェロモントラップ 717 個を設置した調査によって、 10 カ所の残存地点が明らかになった ( 図9右 )。 これらのう ち7カ所は林の中のノアサガオ群落での残存虫であり、 3カ所は集落内の甘藷畑あるいは ノアサガオ群落で、 島外からの被害甘藷の持ち込みによる一過性のものと考えられた。

  2 回目の駆除確認調査は 2010 年 7 月 23 日に申請され、 同年 8 月9日から 12 月 17 日まで行われた。 ところが、 開始直後の 8 月 17 日に住宅地のトラップで持ち込みによる 発生があり、 また標高 100m の斜面の水田跡地のノアサガオ群落で幼虫が検出された。

徹底した寄主植物の除去、 誘殺板の散布、 不妊虫の放飼によって 2011 年 8 月を最後 にアリモドキゾウムシは発見されなくなった。 2011 年 10 月に久米島空港付近のトラップで 1匹の誘殺があったが、 これはなんらかの形で島外から侵入した個体であると判断された。

  3 回目の駆除確認調査は 2012 年 6 月 18 日から開始され、 12 月 28 日までおこなわ れた結果、 島外からの寄生塊根の持ち込みによる発生事例を除き発生を認めなかったの で、 久米島での根絶が確認され、 根絶宣言が出されたのである。

  防除開始からの 19 年間で調査した寄主植物の茎の総延長は 1,400km で、これは青森—

鹿児島間の距離に匹敵する。 蛍光色素検査をした雄成虫は 650 万匹、 放飼した不妊虫 数は 4 億 6000 万匹、 総事業費は 45 億円にのぼり、 この事業に従事した人員は延べ 10 万人を越えた。

(12)再侵入の防止

  2002 年に実施された最初の駆除確認調査から根絶達成まで、 10 数年という長い年月 を要したのは、 立ち入り困難な山間部に野生虫がしつこく残っていたことに加え、 アリモ ドキゾウムシが寄生した寄主植物が島外から度々持ち込まれたことによる。 再発生が記録 されている8例のうち、 5件の発生源はいずれも食用または苗として沖縄本島から郵送や

(14)

船で持ち込まれた甘藷であった ( 表2 )。 そのため、 久米島への旅行者や住民への説明 が行われた。 成虫がフェロモントラップに誘殺されると、 まわりにトラップを増設し、 住民 からの聞き取りを行った。 発生源がつきとめられると、 塊根などに殺虫剤を散布し、 誘殺 板を配置して緊急防除を行い、 トラップへの誘殺がなくなるまで、 これをつづけた。 この ように根絶事業においては再侵入警戒調査と誘殺時の対策は極めて重要である。

6 考察

  南西諸島は日本に侵入する外来害虫の通路となってきたため、 害虫防除の上で日本 の他の地域よりも不利な点をかかえている。

  その一つは、 侵入害虫の防除法がよくわかっていないことである。 そのためには、 ま ずその害虫の生態と被害の実態をよく研究する必要がある。 甘藷のゾウムシ類でそのよう な研究が行われた結果、 輪作や発生源の除去をもとに、 被害を極力少なくした上で、 「要 防除被害水準」 にもとづき最小限の薬剤によって被害を防ぐことができるようになった。 こ のように薬剤を減らすことは、 人畜への危害をへらし、 天敵を温存することによって、 被 害を少なくするという総合防除の観点に立つものとして評価される。 なお、 この研究はゾ ウムシ類の防除法を求める多くの甘藷栽培農家の協力によってなしとげられたものである。

  もう一つの問題は、 侵入害虫が、 南西諸島にのみ分布している場合、 日本の九州以 北への伝播を防ぐために、 「植物防疫法」 によって寄主植物の移動が規制されるというこ とである。 甘藷栽培にとって気象的条件が恵まれているにもかかわらず、 ゾウムシ類がい るために出荷できないことから、 甘藷の生産活動が低下した。 この問題は、 突発的発生 がおこった鹿児島県本土、 高知県においても同じであった。

  鹿児島県と高知県では、 発生確認と同時に緊急防除がおこなわれたが、 そのために は寄主植物の徹底的除去と自治体の条令による甘藷の栽培禁止という厳しい措置がとら れ、 生産者、 住民の協力が決定的役割をはたした。 それぞれの地域での緊急防除は 成功したが、 そこに至るまでの関係者の努力は並大抵のことではなかったであろう。

  侵入害虫がすでに定着している南西諸島では、 寄主植物の移動規制を解くためには、

根絶防除が必要である。 この地域では、 1993 年までに、 野菜 ・ 果樹の侵入害虫である ミカンコミバエとウリミバエの根絶を達成したという実績があるが、 甘藷のゾウムシ類につい

表 2 発生源が特定された再発生事例 地区名

兼城 ※ 具志川 銭田 仲泊 2010 仲泊 2012

発生源 内容 塊根 塊根(3.7kg)

塊根(4.5kg)

塊根 塊根(1.6kg)

移出元 沖縄本島北部 沖縄本島那覇 沖縄本島西原 沖縄本島那覇 沖縄本島読谷

手段 郵送 持込み(船)

持込み(船)

持込み(船?)

持込み(船)

寄生虫数 幼虫

0 118 13 72

0 47 1 67

1 10 3 86

※発生源の塊根はすぐに焼却処分されたため寄生虫数不明

(沖縄県農林水産部 .2015)

(15)

ては、 虫の生態も異なり、 新たな挑戦となった。 本報告では沖縄県久米島のアリモドキ ゾウムシ根絶の成功のみを紹介したが、 奄美群島の喜界島でもアリモドキゾウムシの根絶 防除が現在進行中である。 またイモゾウムシについては沖縄県津堅島で根絶防除が進行 している。

  これらのゾウムシ類がミバエ類と大きく異なる点は、 成虫の移動性が比較的低いというこ とであろう。 ミバエ類においては高い移動性があるため不妊虫をまばらに放飼しても自力 で野生虫に近づく可能性が高い。 しかし、 移動性の低いゾウムシ類の場合には、 もしま ばらに放飼した場合には、 不妊虫が自力で野生虫に接近する可能性が低い。 そこで、

多数のフェロモントラップや寄主植物調査によって野生虫の分布をきめ細かく調べた上で、

野生虫のごく近くまで誘殺剤や不妊虫を人為的に運んでやる必要があった。 これが、 大 量増殖の困難性と共に根絶成功までにミバエ類より多くの人手や時間が必要であった一 つの要因であると思われる。 また、 一旦根絶された地域に、 寄生された寄主植物が持 ち込まれることも根絶を遅らせた。 この点から、 生産者、 住民にゾウムシ類根絶防除の 意義を周知徹底して、 協力を求めることが不可欠であった。

  これまで、 長期間にわたり困難なゾウムシ類防除を粘り強くすすめ、 突発的発生地や すでに定着した地域での根絶成功に導いてこられた全ての人々の努力に対し、 心からの 敬意を表したい。 今後は、 これまでの経験を生かして、 アリモドキゾウムシの根絶地域を さらに拡大すると共に、 残されたイモゾウムシの根絶技術を確立することが期待される。

  7 謝辞

  本報告執筆のための資料収集に協力され、 原稿を校閲していただいた、 佐渡山安常、

鈴木芳人、 豊里哲也、 原口大、 本間淳、 松山隆志、 守屋成一、 安田慶次、 山口卓 宏の各氏に深く感謝する。

8 主な参考文献

  沖縄県農林水産部 (2015) 久米島におけるアリモドキゾウムシ根絶の記録。 66 頁   鹿児島県病害虫防除所 (2012) 鹿児島県指宿市におけるイモゾウムシ根絶のあゆみー       イモゾウムシ等緊急防除事業実績書。 128 頁

  松山隆志 (2013) 久米島におけるアリモドキゾウムシの根絶防除。 植物防疫所病害虫       情報 100:7-8

  山口卓宏 (2009) 奄美群島におけるアリモドキゾウムシの生態と根絶防除に関する研究。

      鹿児島県農業開発総合センター報告 ( 耕種部門 )3:73-146

  安田慶次 (1998) イモゾウムシ ・ アリモドキゾウムシの総合的管理に関する研究。 沖縄       県農業試験場研究報告 21:2-80 

参照

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