• 検索結果がありません。

救急医療からみて

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "救急医療からみて"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

70巻記念号(17~18) 17

、A・小児保健の現状と課題提言

救急医療からみて

北九州市立八幡病院小児救急センター

    市 川 光太郎

臨はじめに

 近年のわが国の社会生活や社会的意識の変化は全 国民層に影響を及ぼしているといえる。それに追従 するかのように,子どもの養育環境はこの10年余り で随分と様変わりしたが,その変容と一致するかの ように,医療に対する社会的センスも変わってし まった感がある。この数十年間の小児救急医療を通

して,子どもたちの診療における,子どもたちと保 護者の考えや態度の変化には驚かされることも少な

くない。確かに,いわゆるbio-morbidityからco-

morbidities, new morbidityと言われるように子ど もたちの疾病構造も変わり,心身両面からの診療ア プローチが必要となった。このような変化自体は養 育環境が良くなった結果ではないことは明白な事実 であり,この点を小児医療関係者は再認識する必要 がある。子どもたちの健全育成を念頭に小児救急医 療の実践を行うべき時代であり,単に診療に徹して いれば良かった時代は過ぎ去ったと思われる。いか に健全育成に対して救急医療を通して支援するかが 求められているし,今後の課題であり,小児医療者 の意識改革が不可欠である。

幽小児救急医療の現状~保護者の望む理想像~

 不要不急の受診が多く,軽症であっても小児科専 門医の診療を望み,共働きや核家族などの理由によ り,完結医療を救急医療であっても強く望んでいる と医療提供側からは問題視されているのが現状であ

る。

 しかし,保護者側の現状としては,わが子の急病

はできるだけ軽症で終わらせたいという強い要望が あり,時間外・夜間受療行動変化に現れている。日 中の受診で適切な診断治療説明を受けたにもかかわ らず,夜間になると急病不安感がつのり朝まで待て ないで時間外初期救急医療を受診という受療行動が 増えていると集約できる。このような受療行動に応 えることのできる小児救急医療体制の実現が,患者 側からみた小児救急医療の理想像といえる。

 一方,意思表示ができない子どもたちの急病には それ相応の特徴があることも事実である。すなわち,

訴えが不明瞭ゆえに疾患の緊急度・重症度判断が困 難である。あるいは重症化の予知が困難であるとも いえ,さらに病勢の進行が速く,重症化しやすい特 徴もある。また,発達年齢に特徴的な救急疾患や事 故がみられることや,それらが反復しやすいこと,

流行性疾患が多いこと,養育環境などを含めた育児 方法の誤解や大人全体の無意識下における養育環境 の劣悪化などにより,容易に罹患・反復しての救急 疾患が多いこと,診断検査治療においても患児の協 力が得られにくく,その診断治療の困難1生を有して いることなどが,小児救急疾患の特殊性といえる。

これらの特殊性を十分に理解しての救急医療提供を 保護者は強く望み,このことが救急医療・時間外医 療であっても保護者が小児科専門医診療を強く望む 大きな一因と考えられ,患者からみた小児救急医療 の理想像の重要な一面ともなっている。

墜小児救急医療から見える養育環境の変化

北九州市立八幡病院小児救急センター

〒805-8534北九州市八幡東区西本町4-18-1

 小児救急医療を取り巻く環境の変化として,少子 化に伴う親の育児経験:不足や女性の社会進出に伴う 育児時間不足などに起因する急病不安・育児不安が

日常化するとともに,社会自体の24時間化など社会

Presented by Medical*Online Presented by Medical*Online

(2)

18

情勢の変化が,その受療行動を変容させてしまった 経緯があり,社会風潮自体の変化に影響受けている

といえる。

 現代のわが国の多くの保護者がわが子の発達の把 握や急病の程度,また,乳幼児の疾病罹患や事故遭 遇に影響を与える養育環境の善し悪しが評価できな くなってきている一面がある。このような保護者の 増加には少子化時代で,かつ親自身が小児期から成 人するまでより幼ない子どもたちとの接触歴がない ままで育つなどの社会構造の変化が強く影響してい る。育児の基本的知識の少ない,あるいは育児不安 の強い保護者の多くが子どもの急病・苦痛を心配す ればするほど,その受療行動は短絡的に一刻も早く 安心が欲しいという行動にならざるを得ない。自分 で工夫努力して対応するという考えではなく,より 専門家に指導を仰いだ方が好結果につながるという 考え方が,社会全般に浸透している結果と考えられ

る。ことわが子の急病においては子どもの的確な治 療はもちろんのこと,保護者の不安感も解消して欲 しいとの要望が強く,この両者が得られないと保護 者の満足が得られない状況となっている。

 一方,大人中心の生活スタイルや便利第一主義の 生活が浸淫して,わが国の子どもたちの養育環境は 劣悪化し,それに気付いていない保護者が多い。こ の点をいかに保護者に理解してもらい,子どもたち の成長,思春期から成人期への長期の健全な成育を 見据えた子育てをする努力や対応を社会全体で配慮

し,支援する社会を構築しなければ,真の健全で平 和な社会は得られないであろう。つまり,目の前の 便利さや都合良さではなく,長期的視点に立っての わが子を健全に育てる責務の再認識や教育啓発が必 要な時代ともいえ,大きな課題が保護者側にも存在

している。

臨社会活動としての小児救急医療の実践

 わが国の保護者に過度の急病・傷病不安があるも のの,わが子の急病はできるだけ軽症で終わらせた

小児保健研究

いという強い要望が,時間外・夜間受診行動の増加 に結びついている。実際に,小児救急医療は,社会 医学的救急医療の要素が強く,多くの軽症例からよ

り緊急度の高い患児を見抜き,かつその重症化の予 知を行うこと,そして軽症で終わらせることなど医 療の本質を担っている。この考えを基本とした医療 を行うことが医療提供者に求められている。現在の 状況は応急診療を中心とした医療提供側の考えと急 病不安の強い保護者の考えに乖離が生じているとい える。この点を解消したうえでの医療提供が不可欠 であり,より成熟した小児救急医療を行う必要が ある。単に身体的主訴や傷病を治せば,小児救急医 療の目的が終了するわけではないことを医療提供側 が気付くべきである。すなわち,小児救急医療とい う社会活動が,子どもたちの健全育成に直結する必 要があり,それを行うことがまた医療者のモチベー

ションを高めることになるであろう。

 すなわち,子どもたちの急な傷病の多くは生活リ ズムの変調から起こっているといえ,その点を保護 者と共有して,子どもらしい基本的な生活を行う重 要性を保護者と子どもたち自身に指導していくこと

も救急医療における小児保健的課題といえるであろ う。いかに家族機能・家庭機能の大事さを認識して もらい,子どもたちの健全育成に不可欠であること を医療側が救急医療を通して積極的に啓発するかが 重要課題と考える。

臨最後に

 小児救急医療の現場は養育環境の歪みが最も顕著 に表れ,感じられる部分である。小児保健という観 点に立てば,養育環境の劣悪化は大きな問題であり,

この改善が大きな課題である。その実践は子ども傷 病への的確な対応と保護者の不安に同調することで あり,家族・家庭機能への支援が,子どもたちの健 全育成の第一歩と考えられ,救急医療からみた,現 在のわが国の小児保健の課題に対する提言である。

Presented by Medical*Online Presented by Medical*Online

参照

関連したドキュメント

が作成したものである。ICDが病気や外傷を詳しく分類するものであるのに対し、ICFはそうした病 気等 の 状 態 に あ る人 の精 神機 能や 運動 機能 、歩 行や 家事 等の

全国の緩和ケア病棟は200施設4000床に届こうとしており, がん診療連携拠点病院をはじめ多くの病院での

 中世に巡礼の旅の途上で強盗に襲われたり病に倒れた旅人の手当てをし,暖かくもてなしたのがホスピスの

在宅の病児や 自宅など病院・療育施設以 通年 病児や障 在宅の病児や 障害児に遊び 外で療養している病児や障 (月2回程度) 害児の自

・石川DMAT及び県内の医 療救護班の出動要請 ・国及び他の都道府県へのD MAT及び医療救護班の派 遣要請

脳卒中や心疾患、外傷等の急性期や慢性疾患の急性増悪期等で、積極的な

日本全国のウツタインデータをみると、20 歳 以下の不慮の死亡は、1 歳~3 歳までの乳幼児並 びに、15 歳~17

・沢山いいたい。まず情報アクセス。医者は私の言葉がわからなくても大丈夫だが、私の言