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CHEMOTHERAPY
JULY 1980Cefadroxi1に
関 す る 薬 理 学 的 研 究
第1報
一 般 薬 理 作 用
荒谷 春 恵 ・河 野 静 子.建 石 英 樹
広島大学医学部薬理学教室
山
中
康
光
大分医科大学薬理学教室
新経 ロセ フ ァ ロス ポ リン系抗 生 物 質Cefadroxilの 一 般薬 理 作 用 に つ い て 検 討 した 。1)Cefadroxilを マ ウス に4,000mg/kg経 口投 与時,ether麻 酔 の増 強,Pentobarbital睡 眠 時 間 の 延 長,pentetrazolに 対 す る痙 攣 防 御 効果,鎮 痛 作 用,筋 弛 緩作 用 は 認 め られ な か った 。
2)Cefadroxilの 自律 神 経 系 に 及ぼ す 影 響 をin situお よびin vitroで 試 験 した と ころ,100mg/ kg投 与 時 に は,血 圧 、呼 吸,ECGに 影 響は 認 め られ な か った 。500μg/m1以 上 の 濃 度 に お い ては, invitroで 刷 出臓 器 へ の抑 制 作 用 が 認 め られ た。 3)Cefadroxilを ラ ヅ トに100mg/kg宛7日 間 投 与時,尿 量 お よび尿 中電 解 質 排 泄 に 影 響 を及 ぼ さな か った 。 は じ め に 新 し い 半 合 成cephalosporim系 抗 生 物 質 で あ るcefa-droxi1はFig.1に し め す 化 学 構 造 式 を 有 す るcephalexin のhydroxy1体 で,白 色 ∼ 黄 色 の 無 味,特 異 臭 の あ る 結 晶 性 粉 末 で あ る 。 水 に や や 溶 け に く く(13mg/ml),通 常 の 有 機 溶 媒 に は ほ と ん ど 溶 け な い 。cefadroxilは 数 少 な い 経 口剤 で あ り,そ の 抗 菌 像 は グ ラ ム 陽 性 菌 お よ び グ ラ ム 陰 性 菌 の 広 領 域 の 細 菌 に 抗 菌 作 用 を し め し,概 し て,cephalexinお よびcephradineの そ れ に 類 似 し,
ま た, Enterobacter cloacae, Escherichia coli お よび Klebsiella pneumeinae 産 生 の β-1actamaseに 対 して 強 い 抵 抗 性 を し め す こ と が 述 ペ ら れ て い る1),2),3)。
Fig. 1 Chemical structural formula of cefadroxil
と こ ろ で,cefadroxi1の 毒 性 に つ い て は,LD60は 経 口 投 与 した 際,マ ウ ス お よ び ラ ッ ト-10g/kg以 上,な ら び に イ ヌ-0.5g/kg,皮 下 注 射 で は 、 マ ウ ス お よ び ラ ヅ ト-8g/kg以 上,腹 腔 内 注 射 で は,マ ウ ス お よ び ラ ッ ト-6g/kg以 上 で あ り,cephalexinやcefradineに 比 らべ 毒 性 は 低 い 。 亜 急 性 な らび に 慢 性 毒 性 は ラ ッ トお よ び イ ヌ な ど に お い て,一 般 症 状,血 液 学 的 検 査,血 液 生 化 学 的 検 査,尿 検 査 お よ び 病 理 学 的 検 査 の う ち,cefadroxilの きわ め て 大 量 の 投 与 で 体 重 の 増 加 抑 制,摂 水 量 お よび 尿 量 増 加, 尿 比 重 低 下 な ど を し め す も の も あ る が,い ず れ も き わ め て 軽 度 で あ る 。 さ ら に,催 奇 形 試 験 に つ い て も 検 討 さ れ,認 む べ き 影 響 は な か っ た と 報 告 され て い る1),2),8)。 ま た,一 般 薬 理 作 用 に つ い て も 長 谷 川 ら4)に よ っ て報 告 さ れ て い る 。 私 ど も はcefadroxi1入 手 の 機 会 を 得 た の で,そ の 薬 理 学 的 検 討(一 般 薬 理 作 用 お よ び 生 体 内 動 態)を 行 な い, 第1報 で は 一 般 薬 理 作 用 に つ い て 検 討 し,cephalexin な ど の 構 造 類 似 の1,2化 合 物5),6)の そ れ と 比 較 し,以 下 に 述 ペ る 結 果 を 得 た 。 実 験 材 料 1.供 試 動 物 体 重20∼30gの 健 常ddY系 雄 性 マ ウ ス,体 重2.0∼ 3.0kgの 健 常 雄 性 ウ サ ギ,体 重250∼3009の 健 常Har-tley系 雄 性 モ ル モ ッ ト,体 重160∼200gの 健 常Wistar 系 雄 性 ラ ッ トな ら び に 体 重170∼1909の 健 常 非 妊 雌 性 ラ ッ トお よ び 自 家 妊 娠(第16∼19日)のWistar系 ラ ツ ト を 用 い た 。 H.供 試 薬 物
Cefadroxil(CDX)(ブ リ ス トル),pentobarbital so-dium(ネ ン プ タ ー ル.大 日本 製 薬),pentetrazol(カ ル ヂ
ア ゾ ー ル 注 射 液,三 共),acetylcholine chloride(Ach) (オ ビ ソ ー ト,第 一 製 薬),adrenaline hydrochloride (Ad)(ボ ス ミ ソ,三 共),sodium bicarbonate(和 光 純 薬),atropine sulfate(Atropine)(東 京 化
成),hista-VOL. 28 S-2
CHEMOTHERAPY
63mine dihydrochloride (Hist.)(和 光純 薬), barium chloride(石 津蟹 薬)お よびprocaine hydrochloride (Procaine)(オ ム ニ カ イ γ,第 一製 薬)を そ れ ぞ れ要 に 臨 み,生 理 食 塩 水 お よび 栄 養 液 に 溶 解 し,稀 釈 お よび 懸 濁 液 と して実 験 に 用 いた 。 な お,呼 吸 、血 圧お よび 心 電 図につ い て の実 験 で はCDXを7%炭 酸 水 素 ナ トリウ ム 液 に溶 解 して用 い た(CDXの 最 高 投 与量 は100mg/kgを 限 度 とした)。 実 験 方 法 1.中 枢神 経 系 に 及ぼ す 影 響 1.麻 酔 な らび に睡 眠 増 強 作 用 a.Ether麻 酔 に 及 ぼ す影 響 体重20∼30gのddY系 雄 性 マ ウ スを 使 用 し,1群5 匹 と した 。 内容 積3.51の ふ たつ き ガ ラ ス ジ ャー に,あ ら か じめ1分 間酸 素(95%02+5%CO2)を ふ き込 んだ 後 に,1.2m1のethyletherを 入れ て 気 化 させ(7,5%蒸 気に 相 当),マ ウスを 入 れ て 麻 酔 導 入 時 間 を測 定 し,10 分後 に 一マウ スを 外に 出 し,正 向反 射 を 指標 と して回 復 時 間 を測 定 した7)。 エ ーテ ル麻 酔30分 前 にCDX250,1,000お よび4,000 mg/kgを 経 口投 与 し,麻 酔導 入 時 間 お よび 持 続 時 間 を 測定 した 。な お,対 照 群 に は生 理 食 塩 水 の みを 経 口投 与 した 。 hPemtobarbita1睡 眠 に及 ぼ す 影 響 体重25∼309のddY系 雄 性 マ ウス を使 用 し,1群5 匹 と した 。pentobarbital sodium50mg/kgを 腹腔 内投 与30分 前 にCDX250,1,000お よび4.000mg/kgを 経 口投与 し,正 向反 射 を指 標 と して睡 眠時 間 を 測 定 した 。 なお,対 照群 には 生理 食 塩 水 を 経 口投 与 した 。 2.Pentetmol痙 攣 に 及 ぼす 影 響 体重20∼309のddY系 雄 性 マ ウスを 使 用 し,1群5 匹 とした 。pentetrazol100mg/kgを 皮 下 注 射30分 前 に CDX250,1,000お よび4,000mg/kgを 経 口投 与 し,痙 攣 の発現 頻 度,発 現 時 間,一 般状 態 の時 間 的経 過 お よび 死亡 率 を観 察 した 。な お,対 照群 には 生 理 食塩 水を 経 口 投 与 した 。 3.鎮 痛 作用 体 重20∼30gのddY系 雄 性 マ ウ スを 使 用 し,1群5 匹 と した 。EDnYら の 方 法6)に 準 拠 し,等 量 のethyl formateとacetomeの 混 液 の蒸 気 で,55.0∼55.5℃ に 保 たれ た 銅板 上 に マ ウスを 置 き,後 肢 を な め る反 応 お よ び跳 躍 運動 を 疼 痛 反応 の指 標 と した 。対 照 群 に は 生 理 食 塩 水を経 口投 与 した 。 CDX250,1,000お よ び4.000mg/kgを 経 口投 与後 15,30,45お よび60分 の 疼 痛 反応 の発 現 頻 度 お よび発 現 時 間 をそ れ ぞれ2回 つ つ 測 定 した 。 II.循 環 器 に 及 ぼす 影 轡 1.ウ サ ギ 呼 吸 お よび血 圧 に 対 す る作 用 体 重2.2∼2.8kgの 健 常 雄 性 ウサ ギ をpentobarbital godium 30mg/kg(iv)で 麻 酔 後,背 位 に 固 定 し,気 管 カ ニ ュー レを 挿 入 し,呼 吸 ピ ック ア ッ プ(日 本光 電: MTR-2TI)を 介 し,な らび に 左 総 頸 動 脈 に カ ニ ュー レ を挿 入 し,血 圧 トラ ンス ジ 呂一 サ ー(日 本 光電:MPu O、5)を 介 して,多 用途 監 視記 録 装 置(日 本 光 電:RM-5)に 接 続 して,呼 吸 お よび 血 圧 を 同時 記 録 した。 薬 物 は 右 大腿 静 脈 か らカ ー ユー レを通 じて原 則 と して0.5m1を 超 え ない よ うに 注 入 し,直 ちに 生 理 食 塩 水0,5m1を 注 入 した 。 な お,CDX100mg/kg適 用 例 で は 被 験 液 を 2ml注 入 した。 2.ウ サ ギ心 電 図 に対 す る作 用 体重2.5∼2.8kgの 健 常 雄 性 ウサ ギ を背 位 に 固 定 し, 十 分安 静 とな った後,薬 物 を 耳 静 脈 か ら注 入 し,直 後, 15秒,30秒,45秒,1分,1,5分,2分,3分,5分, 7分,10分,12分,15分,17分 お よび20分 後 の心 電 図 (第II誘 導)を 日本 光 電 心 電 計(MC-11)を 用 い て記 録 した 。 な お,そ の際 の 薬 物 量 は 原 則 と して1mlを 超 え ない よ うに した。CDX100mg/kg適 用例 では 被 験 液 を 2m1注 入 した。 3.摘 出 モ ル モ ッ ト心 房 に対 す る作 用 体 重250∼3009の 健 常Hartley系 雄 性 モ ル モ ッ トの 心 房 標 本 を常 法 に した が い 作 製 し,直 ち に混 合 ガ ス(95% 02+5%CO2)を 飽 和 させ た30℃tymde液 を 充 した Magnus槽 に懸 垂 し,そ の 自動 運 動 をFDピ ックア ヅ プ(日 本 光 電:SB-IT)を 介 して 記 録 した 。 4.血 管 に 対 す る作 用 摘 出 ウサ ギ 耳 殻 血 管 灌 流量 はKRAWKoW PISSBMSKI 法 に よ り,灌 流 液 の1分 間 流 出滴 数 を0∼10分 間 測 定 し た 。薬 物 は動 脈 に 挿 入 した カニ ュー レに 近 い ゴ ム管 内 に 過 剰 の 圧 を加 え だい よ うに,注 意 しな が ら0.5mlを 注入 し,薬 物 濃 度 は 注 入 時 の そ れ で表 示 した 。 つ ぎに,ウ サ ギ 皮膚 血 管 透 過 性 は,体 重2.5∼3.0kg の健 常 雄 性 ウサ ギ を 用 い,SOUDIの 方 法 に した が い,前 日エ バ ー ク リー ムで 除 毛 した 腹 部 に,薬 物0.1mlを ツ ベ ル ク リソ針 を 用 い,皮 内 に注 射 し,直 径7∼10mmの 丘 疹 を 作 り,直 ち に,あ らか じめ37℃ に 温 め て お いた 1%trypan blueA(Locke液 で 溶 解)の4ml/kgを 静 脈 か ら注 射 し,丘 疹 部 の 色素 透 過 開 始 時 間 お よび30分 後 の色 素 透 過 状 態 を 観 察 し,判 定 は 迫 田の 基 準 に したが い,薬 物 量 は 丘 疹総 量 で表 示 した 。 m.平 滑 筋 に 及 ぼ す影 響 1.摘 出 腸管 に対 す る作 用 体 重2,お ∼2.5kgの 健 常 雄 性 ウサ ギ を,放 血 致 死後 開
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CHEMOTHERAPY
JULY 19 80 腹 し,回盲 部付 近 の 小腸 片 を と り出 し,腸 内 容 をTyrode 液 で洗 漁 後,氷 室 に保 存 した 標 本 につ い て,MAGNUs法 に よ り,混 合 ガ ス(95%02+5%CO2)を 飽 和 した37 ℃Tyrode液 中 に 懸垂 し,そ の 自動運 動 を ア イ ソ トー ヨ ヅ ク トラ ン ス ジ ュー サ ー(日 本 光電:TD-111S)を 介 して記 録 した 。 体重250∼3009の 健 常Hartley系 雄 性 モル モ ツ トの 摘 出 回腸 に つ い て も,上 記 と同様 の手 技 に よ り,MAG間s 法 に よ り,そ の 筋緊 張 をFDピ ッ クア ヅプ(日 本光 電: SB-1T)を 介 して記 録 した 。 2.摘 出 モ ル モ ッ ト気 管 筋 に 対す る作 用 体重250∼3009の 健常Hartley系 雄 性 モル モ ヅ トの 全 気 管 を 摘 出 し,Ringer液 で十 分洗 源 後,余 分 の筋 肉 を 出来 るだ け除 き,CASTILLoら の方 法 に したが い,気 管 連 鎖 標 本 を作 り、MAGNUS法 に よ り,混 合 ガ ス(95% 02+5%CO2)を 飽 和 した37。CのRinger液 中に 懸 垂 し,そ の筋 緊張 を ア イ ソ トー ニ ヅク トラ ン スジ ューサ ー (日本 光 電:TD-111S)を 介 して記 録 した。 3.摘 出 ラ ヅ ト子 宮 に 対 す る作 用 体重170∼190gの 健 常Wistar系 雌 性 ラ ッ トお よび 体 重210∼2409の 自家妊 娠Wistar系 ラ ヅ トを 放 血致 死 後,子 宮 を摘 出 し,Ringer-Locke液 中 に入 れ,氷 室 に 保 存 し,そ の 小片 をMAGNUS法 に よ り,混 合 ガ ス(95% 02+5%CO2)を 飽 和 した30℃ のRinger-Locke液 中 に 懸垂 し,そ の 自動 運 動 を ア イ ソ トー ニ ヅ ク トラ ンス ジ ュ ーサ ー(日 本光 電:TD-111S)を 介 して 記 録 した。IV.骨 格 筋 に 及 ぼ す影 響(Sedative-ataxie seore) KOUZMANoPFら の方 法9)に 準拠 した 。 直 径0.95cm, 長 さ39.4cmの 木 の 棒 を垂 直 に 立 て,体 重22g前 後 の 健 常ddY系 雄 性 マ ウ スを 上 か ら降 させ,つ づ い て45。 に 傾 斜 した45cm四 方 の金 網 の上 にマ ウス を置 い て,そ の状 態 か らscoreを 測 定 し,筋 協 調 運 動 障害 お よび 筋麻 痺 作 用 の指 標 と した。 V.ウ サ ギ 角 膜 お よび 結 膜 に 及 ぼす 影 響 健 常 雄 性 ウサ ギを 固 定 箱 で 固 定 し,薬 物 を0.2m1点 眼 し,1分 間 よ く作 用 させ た後,余 分 の 薬 液 を ガ ーゼ で ぬ ぐい と り,10分 まで は2分 間 隔,お よび10∼20分 まで は5分 間 隔 で 角 膜 反 射 を 指 標 と して,麻 酔 作 用 を 検討 し,同 時 に結 膜 の 充 血 お よび 浮 腫 な どの 有 無 を 観察 し た 。 VI.尿 中 電解 質 の 排 泄 お よび 尿 所 見 に 及 ぼす 影 響 体 重160∼200gの 健 常Wistar系 雄 性 ラ ッ ト採 尿 ケ ージ 内に ,あ らか じめ3∼4日 間 飼 育 し,尿 量 が ほ ぼ 一 定 した 後,CDX25,50お よび100mg/kgを1日1回7 日間 経 口投 与 した 。 体 重 の測 定 お よび 蓄尿 の採 取 は 、 毎 日一 定 の時 刻 に行 な い,同 時 に 毎 日の新 鮮 尿 に つ い て, ウ ロ ラ ブス テ イ ック ス(Ames社)を 用 い,pH,ブ ドウ 糖,蛋 白,潜 血,ケ トン体 お よび ウ ロ ピ リノー ゲ γを測 定 した 。 また,採 取 した蓄 尿 を,50∼500倍 に稀 釈 して, 焔 光 光 度 計(日 立:FDF+1)を 用 い て,Naお よびKの 濃 度 を 測 定 した。 実 驗 成 績 1.中 枢 神 経 系 に 及 ぽ す 影 響 1.麻 酔 な らび に睡 眠 増 強 作 用 a.Ether麻 酔 に 及 醸 す 影 響 マゥス にCDX250,1,000お よび4.000mg/kgを 経 口投 与 した場 合,麻 酔 導 入時 間 はほ とん ど変 らず,麻 酔 持 続時 間(麻 酔 か らの 回 復時 間か ら10分 を 差 し引い た値) は,Table1に しめ す よ うに,対 照 群 が127.8秒 に 対 し, CDX投 与 群 が97.8∼180.8秒 で あ り,麻 酔 増強 作用 を しめ さな か った 。 hPentobarbita1睡 眠 に及 ぼ す 影 響 マ ウ スにCDX250,1.000お よび4,000mg/kgを 経 口投 与 した 場 合,Table1に しめす よ うに,pentobarbital に よ る睡眠 時 間 は対 照 群 で は69.2分 に対 し,CDX投 与 群 で は69.7∼76.4分 であ り,睡 眠時 間 に影 響 を 与 えなか った 。
Table 1 Effect of cefadroxil on ether anesthesia and pentobarbital sleep in mice
n=5
2.Pentetrazol痙 攣 に 及 ぼ す 影 響
マ ウ ス にCDX250 ,1,000お よ び4,000mg/kgを 経 ロ投 与 し た 場 合,Table2に し め す よ う に,痙 攣 の 発 現 頻 度,発 現 時 間 お よ び 死 亡 率 は,ほ と ん ど 対 照 群 と変 ら
Table 2 Effect of cefadroxil on pentetrazol convulsion in mice
VOL. 28 S-2
CHEMOTHERAPY
65Table 3 Effect of cefadroxil on pain response in mice
Rates are expressed as No. of depressed f No. of tested.
ず,全 例,間 代 性 痙罎 が発 現 した 。 したが っ て、CDX はpentetrazo1痙 攣 に対 し,防御 効 果 を しめ さ なか った 。 3.鎮 痛 作 用 マ ゥスにCDX250,1,000お よび4,000mg/kgを 経 口投与 した 場 合,Table3に しめ す よ うに,疹 痛 反 応 の 発現 頻 度 お よび発 現 時 間 は,ほ とん ど対 照 と変 らず 鎮 痛 作 用は認 め られ な か った 。 II.循 環 器 に 及 ぼす 影 響 1.ウ サ ギ呼 吸 お よび 血 圧 に対 す る作 用 a.単 独作 用 pentobarbitalsodiunnで 麻 酔 した ウサ ギ の大 腿 静 脈 か ら,7%炭 酸 水 素 ナ トリウ ム液 に 溶 解 したCDX1∼100 mg/kgお よ び7%炭 酸水 素 ナ トリウ ム液 を適 用 した際 の総 頸動 脈 血 圧 の 消長 は,Fig。2に しめす よ うに,CDX 1∼100mg/kg適 用例 では3.9∼9.7mmHg(平 均 血 圧) の軽度 の血 圧 上 昇 がみ られ た が,7%炭 酸 水 素 ナ ト リウ ムのみ で も同様 に4.8mmHgの 血圧 上 昇が み られ,CDX は 血圧 に対 し,ほ とん ど 影 響 を与 え なか った 。 な お, CDXは 溶 解 性 の点 か ら,そ の 適 用量 は100mg/kgを 最 高限 度(炭 酸 水素 ナ トリウム の適 用 量:50,9∼59,6mg/ kg)と した 。 さ らに 。 同時 に 記 録 した呼 吸 に 対 し,CDX お よび7%炭 酸 水素 ナ トリウ ム液 は いず れ もほ とん ど影 響を 与 えな か った 。 b定Achお よびAd感 受 性 に 及ぼ す 影 響
Ach1μ9/kgお よびAd2μ9/kg適 用 時 のpe就obar定 bitalsodium麻 酔 ウサ ギの 血 圧 の 消長 は,Fig.3,4お よび5に しめす よ うに,Achで は42.9mmHg下 降 し, Adで は36.OmmHg上 昇 した が,CDX201ng/kg前 処 置 に よ りAchお よびAd感 受 性 に は ほ とん ど変 化 は み られな か った 。 2.ウ サ ギ心 電 図 に対 す る作 用 7%炭 酸 水 素 ナ トリウ ム液 に 溶 解 したCDXO.5∼100 mg/kgお よび7%炭 酸 水 素 ナ ト リ ウ ム 液 を 適用 した 際 の無麻 酔 ウサ ギ の心 電 図(第 皿誘 導)は,い ず れ の場 合 も各棘 波 お よび波 形 、PQ間 隔,QRS間 隔 に ほ とん ど変
Fig. 2 Effect of cefadroxil
and 7% sodium
bicarbonate on the blood pressure and
respiration
of the rabbit
66
CHEMOTHERAPY
JULY1980Fig. 3 Effect of cefadroxil on the blood pressure and respiration
of the rabbit
(Sensitivity
to acetylcholine)
Fig. 4 Effect of cefadroxil on the blood pressure
and respiration
of the rabbit
(Sensitivity
to adrenaline)
Fig. 5 Effect of cefadroxil of the blood pressure of the rabbit
(Sensitivity
to acetylcholine
and adrenaline)
VOL,28 S-2
CHEMOTHERAPY
67Table 4 Effect of cefadroxil on heart rate of rabbit
化 は み ら れ ず,心 拍 数 に 対 し て もTable4に し め す よ う に,ほ と ん ど 影 響 を 与 え な か っ た 。 な お,7%炭 酸 水 素 ナ ト リ ウ ム 液 も心 電 図 お よ び 心 拍 数 に 対 し,ほ と ん ど影 響 を 与 え な か っ た 。CDXは 溶 解 性 の 点 か ら,そ の 適 用 量 は100mg/kgを 最 高 限 度(炭 酸 水 素 ナ ト リ ウ ム の 適 用 量:50∼56mg/kg)と し た 。 3.摘 出 モ ル モ ッ ト心 房 に 対 す る 作 用 CDX10-6∼5x10-3g/mlTyrode液 適 用 時 の 摘 出 モ ル モ ッ ト心 房 の 自 動 運 動(振 幅 お よ び 拍 動 数)は,Fig.6 に しめ す よ うに,5x10-4g/ml以 下 の 濃 度 適 用 例 で は ほ とん ど 影 響 を 与 え な か っ た 。10-3g/ml以 上 の 濃 度 適 用 例 で は 濃 度 に ほ ぼ 比 例 し て 振 幅 は 減 少 し た が.拍 動 数 に は ほ と ん ど変 化 は な か っ た 。 こ の よ うな 作 用 はTyrode 液 で 洗 滌 す る と速 や か に 回 復 した 。 な お,振 幅 抑 制 作 用 はFig.7に し め す よ うに,atropine10-4g/mlの 前 処 置 に よ っ て 影 響 され な か っ た 。 4.血 管 に 対 す る 作 用 a.摘 出 ウ サ ギ 耳 殻 血 管 灌 流 量 CDX10-6∼2x10-2g/ml Locke液 適 用 時 の 摘 出 ウ サ ギ 耳 殻 血 管 灌 流 量(1分 間)は,Fig.8に し め す よ うに. 適 用 前58.9滴/分 に 対 し,10-6∼2×10-2g/mlの 濃 度 適 用 例 で は58.9∼60.0滴/分 で あ り,ほ と ん ど変 化 は み ら れ な か っ た 。 な お,CDXは 溶 解 性 の 点 か ら,そ の 適 用 濃 度 は2×10-2g/mlを 最 高 限 度 と し た 。 b.ウ サ ギ 皮 膚 血 管 透 過 性 CDX0.1∼1,000μg Locke液 適 用 時 の 色 素 透 過 度 を, 対 照 と し てLocke液,さ ら に,Hist.10μgお よ びAch 1μgの そ れ と比 較 した 。Fig.9に し め す よ う に,CDX 0.1∼1.000μg適 用 例 で は 色 素 透 過 開 始 時 間 お よ び30分 後 の 色 素 透 過 度 はLocke液 と 同 程 度 で あ り,CDXは 皮 膚 血 管 透 過 性 に 対 し 影 響 を 与 え な か っ た 。 III.平 滑 筋 に 及 ぼ す 影 響 1,摘 出 腸 管 に 対 す る作 用 a.単 独 作 用 i.摘 出 ウ サ ギ 腸 管 CDX10-7∼5×10-3g/ml Tyrode液 適 用 時 の 摘 出 ウ サ ギ 腸 管 の 自 動 運 動(振 幅 お よ び 筋 緊 張)は,Fig.10に し め す よ うに,10-3g/ml以 下 の 濃 度 適 用 例 で は ほ と ん ど 変 化 は み ら れ な か った 。2×10-3g/ml以 上 の 濃 度 適 用 例
Fig. 6 Effect of cefadroxil on the isolated atrium of the guinea pig
Fig. 7 Effect of cefadroxil
on the isolated atrium of the guinea pig
(Pretreated
with atropine)
68 CHEMOT HERAPY JULY1980
Fig. 8 Effect of cefadroxil on Ow rabbit ear vessels
Fig. 9 Effect of cefadroxil on permeability of the rabbit skin vessels
Fig. 10 Effect of cefadroxil on the isolated intestine of rabbit
VOL.28 S-2
CHEMOTHERAPY
69 で は,濃 度 に ほ ぼ 比 例 し て 振 幅 は 減 少 し た が,筋 緊 張 に は ほ と ん ど 影 響 を 与 え な か っ た 。 こ の よ う な 作 用 は Tyrode液 で 洗 源 す る と速 や か に 回 復 し た 。 ii.摘 出 モ ル モ ッ ト腸 管 CDX10-6∼5×10-89/mlTyrode液 適 用 時 の 摘 出 モ ル モ ッ ト腸 管 の 筋 緊 張 は,Fig.11に し め す よ う に,ほ と ん ど変 化 は み られ な か っ た 。 b.1,2薬 物 と の 併 用 作 用 Fig12お よ び13に しめ す よ う に,Hist.5xl0-9g/ml の モ ル モ ヅ ト腸 管 の 筋 緊 張 の 上 昇 はCDX10-4お よ び 10-5g/m1の 前 処 置 に よ り,ほ と ん ど 影 響 さ れ な か っ た が,し か し な が ら,Hisし2×10-8g/m1適 用 の 場 合 に は, CDXlr5g/m1の 前 処 置 で は ほ と ん ど 影 響 さ れ な い が, CDX10-4お よ び10-8g/mlの 前 処 置 で は,そ れ ぞ れ28 %お よ び29%抑 制 さ れ た 。 Fig、13に しめ す よ う に,Ach5xm-10お よ び10-9g/ mlな らび にbarium chloride 5×10-6g/mlの モ ル モ ッ ト腸 管 の 筋 緊 張 の 上 昇 は,CDX1r4お よび10-Sg/ml の 前 処 置 に よ り,ほ と ん ど 影 響 され な か っ た 。 以 上 の よ うに,CDXは 摘 出 ウ サ ギ 腸 管 に 対 し,2× 10-8g/m1で 自 動 運 動 を 抑 制 し た が,筋 緊 張 に は 影 響 を 与 え.な か っ た 。 摘 出 モ ル モ ッ ト腸 管 に 対 し て は 影 響 を 与 え な か っ た 。 つ ぎ に,1,2薬 物 と の 併 用 作 用 で はAch お よ びbariumchlorideと は 拮 抗 し な か っ た が,Hist. と は 拮 抗 作 用 が 認 め ら れ た 。 2.摘 出 モ ル モ ヅ ト気 管 筋 に 対 す る 作 用 CDX10-6∼2×10-39/mlRinger液 適 用 時 の 摘 出 モ ル モ ッ ト気 管 の 筋 緊 張 は,Fig.14に し め す よ う に,10-49/Fig. 12 Effect of cefadroxil on the isolated intestine of the guinea pig
(Combination
with histamine)
Fig. 13 Effect of cefadroxil on the isolated intestine of the guinea pig
(Combination
with histamine, acetylcholine
or barium chloride)
Histamine (5•~10-9g/ml)(2•~10-8g/ml) Acetylcholine (5•~10-10g/ml)(10-9g/ml) Barium chloride (5•~10-6g/ml)
70
CHEMOTHERAPY
JULY 1980 Fig. 14 Effect of cefadroxil on the isolated trachea of the guinea pigVOL.28 S-2
CHEMOTHERAPY
71 m1以 下 の濃 度 適 用例 では ほ とん ど変 化 は み られ な か っ た が,10-8∼2x10-3g/mn1の 濃 度 適 用 例 では 筋 緊 張 の 低 下 がみ られた 。 この よ うな作 用 はRinger液 で 洗 源 す る と速 やか に 回復 した 。 3.摘 出 ラ ッ ト子 宮 に対 す る作用 a.摘 出 ラ ッ ト非妊 子 宮 CDX 10-8∼5x10-39/ml Ringer-Locke液 適 用時 の 摘 出ラ ッ ト非 妊 子宮 の 自動 運動(振 幅 お よび 筋 緊張)は, Fig.15に しめ す よ うに2x10-4g/m1以 下 の 濃 度 適用 例 では ほ とん ど変 化 はみ られ な か っ た。5x10-4g/m1以 上 の濃 度適 用例 で は 濃 度 に ほ ぼ 比 例 して 振 幅 は 減 少 した が,筋 緊 張 には ほ とん ど影 響 を与 え なか った 。 この よ う な作用 はRingem-Locke液 で 洗 漁す る と速 や か に 回復 し た。 肱 摘 出 ラ ッ ト妊 娠 子 宮 CDX10-6∼2x10-8g/ml Ringem-Locke液 適 用 時 の 摘 出 ラ ヅ ト妊 娠 子宮 の 自動 運 動(振 幅 お よび筋 緊 張)は, Fig16に しめす よ うに,10-4g/m1以 下 の 濃 度適 用 例 で はほ とん ど変 化 はみ られ な か った 。5×10-4g/m1以 上 の 濃 度適 用例 では振 幅 は 減 少 した が,筋 緊 張 に はほ と ん ど 影 響を 与 えな か った 。 この よ うな 作 用 はRinger-LockeFig. 16 Effect of cefadroxil on the isolated pregnant uterus of the rat
Table 5 Effect of cefadroxil on paralytic action in mice
* Score 3 according to the method of KAUZMANOFF , et al. 9)
Table 6 Effect of cefadroxil on cornea reflex in the rabbit
液 で洗 源 す る と速 や か に 回 復 した。 IV.骨 格 筋 に 及 ぼ す 影 響 CDXの1,000∼4,000 mg/kgを マ ウ スに経 口投 与 し た 際 の 筋 協調 運 動 障 害 お よび筋 麻 痺 作 用 は,Table 5に しめ す よ うに,ま った く認 め られ な か った 。 V.ウ サ ギ 角膜 お よび 結 膜 に及 偲 す 影 響 CDX 10-3∼10-2 g/ml生 理 食塩 水 を1分 間 角膜 お よび 結 膜 に 作用 させ た 際,局 所 麻 酔 作 用 はTable 6に しめ す よ うに ま った くみ られ ず,ま た,結 膜 に も充血,浮 腫 な どの 刺 激作 用 は とん ど認 め られ な か っ た 。 なお,CDX は 溶 解 性 の点 か ら,そ の適 用 濃 度 は10営2g/m1を 最 高 限 度 と した。 VI.ラ ッ ト体重,尿 量,尿 中 電 解 質排 泄 量 お よび 尿 所 見 に 及 ぼ す 影 響 体重160∼2009の 健 常Wistar系 雄 性 ラ ヅ トを1群5 匹 と し,対 照 群 お よびCDX 25∼100 mg/kgを1日1回 7日 間 にわ た り経 口投 与 した もの に つ い て,1回 適 用 時 お よび7日 間 連 続 適用 時 の 体 重 の 変 化,尿 量,尿 中 電 解 質 排 泄 量 な らび に尿 所 見 に つ い て検 討 した 。 1回 適 用群 では,体 重 は対 照 群 では6,49増 加 した の に 比 べ,CDX適 用群 では0.5∼2.19の 増 加 に 留 ま った 。 Table 7に しめす よ うに,尿 量 は6.17∼7.90 m1/day, 尿 中Na排 泄 量 は0.726∼0。783 mEq/day,尿 中K排 泄 量 は1.486∼1,952mEq/dayで あ り,適 用 前 に 比 ぺ,尿 中 Naお よびKの 排 泄量 が や や 減 少 の傾 向を しめ した が, 対 照 群 も同様 の傾 向で 適 用 群 との間 に 差 は み られ な か っ
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CHEMOTHERAPY
JULY 1980Table 7 Urinary excretion of electrolytes and urinary findings in the rat applied per as cefadroxil once a day for 7 days
Urinary findings: pH6.0•`7.0
protein 25-60 mg/100ml ketone body 0-5 mg/100m1
glucose
negative
urobilinogen
0.5-1.0 11/100011
Occult blood
negative
*Maximum levels are indicated in the maximum decrease or increase during the drug administration as well as that applied time in parenthesis.
た 。 つ ぎ に,7日 間 適 用 群 で は,体 重 の 消 長 は 対 照 群 で 44.Og増 加 し た の に 対 し,CDX適 用 群 で は37.8∼38.8g の 増 加 で,や や 成 長 の 抑 制 が み ら れ た 。7日 間 で の 最 大 増 減 幅 は,尿 量 は-0,97∼2,30m1/day,尿 中Na排 泄 量 は-0.303∼0.222mEq/day,尿 中K排 泄 量 は-0,482 ∼0 .241mEq/dayで,そ れ ぞ れ1∼2日 をpeakと し て 減 少 し,そ の 後 徐 々に 適 用 前 値 に 回 復 し た 。 一 方 ,尿 所 見 で は,pH:6.0∼7.0,蛋 白:25∼60mg/ 100m1,ケ トン 体:0∼5mg/100m1,ウ ロ ピ リ ノ ー ゲ
Table 8 Pharmacological effects of cefadroxil
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CHEMOTHERAPY
73 ン:0.5∼1.0 Ehrich単 位/100m1,糖 お よび 潜 血 は 陰 性 で あ り,対 照群 お よびCDX適 用 群 に 差 は み られ な か った 。 総 括 お よび 考 察 新 しい半 合 成cephalosporin系 抗 生物 質(経 口剤)で あ るCDXの 一 般薬 理 作 用 を検 討 し,上 述 の 成績 を 得 た 。 まず,中 枢 作用 お よび そ の最 小 作 用 重(MED)は, Table8に しめ す よ うに,マ ウ スにCDX4参000mg/kg まで の経 口投 与 は,ether麻 酔 を 増 強 せず,pemtobarbital 睡 眠時 間 を延 長 しなか った 。 また,鎮 痛作 用 も認 め ず, pemtetrazol痙 攣 に対 し,防 御 効果 を 示 さな か った 。 し たが って,CDXは 中枢 神経 系 に 対 し,認 む ぺ き影 響 は な く,長 谷 川 ら4)による報 告 と一 致 して い た 。 つ ぎに,自 律 神 経 系等 に 対 す る作 用 お よび そのMED は,Table9に しめす よ うに,摘 出モ ル モ ッ ト心 房(10-8 g/ml)お よび 気管 筋(10-39/ml),摘 出 ウサ ギ腸 管(2× 10-8g/ml)な らび に 摘 出 ラ ヅ ト非妊 子 宮 お よび 妊娠 子 宮 (5×10-4g/ml)で そ れ ぞ れ抑 制 作 用 を認 め た 以 外 は,ウ サ ギ血圧,呼 吸お よび心 電 図(100mg/kg),ウ サ ギ皮 膚 血 管透 過性(1,000μg),摘 出 ウサ ギ耳 殻 血 管 灌 流(2× 10-2g/ml),摘 出 モル モ ヅ ト腸 管(5×10-8g/ml),マ ウ ス骨 格筋(4,000mg/kg)お よび ウサ ギ角 膜 に対 し,影 響 を与 えな か った 。 以上 の よ うなCDXの 作 用 の うち,摘 出 心臓 抑 制 作 用 はatropineに よ って拮 抗 され な か った 。 一 方,平 滑 筋 に対 しては腸 管,気 管 お よび 子宮 を抑 制 した 。 そ の際, Achお よびbarium chlorideに 対 し,ほ とん ど拮 抗 作 用を しめ さなか ったが,軽 度 な が ら抗 ヒ ス タ ミソ作 用 が み られた 。 この よ うにCDXは 生体 位 で は認 む べ き影 響 はな か った。 この よ うなCDXの 作 用 を長 谷川 ら4)に よる報 告 と比 較 す る と,作 用 は 同一 で あ り,私 ど もの 実験 で作 用 の認 め られ た摘 出 モル モ ッ ト心房(抑 制-10-89/ml)お よ び 気管 筋(抑 制-10-8g/ml),摘 出 ウサ ギ腸 管(抑 制一 2×10-ag/ml)な らび に摘 出 ラ ツ ト非 妊 お よび 妊 娠 子宮 (抑制-5×10-4g/ml)は,適 用 薬 物 濃 度が よ り高 い こ とに よる もの と考 え られ る。 上 述 のCDXの 作用 お よび そ のMEDをcephalexin な どの構造 類 似 の1,2化 合 物5),6)のそれ と比 較 す る と, Table10に しめ す よ うに,作 用 は 呼吸,心 電 図 お よび 血 管 を除 き ほ とん ど同一 であ る。 つ ぎに,MEDは 生体 位 では 他 の もの よ り大 量 であ り,摘 出臓 器 で は 同 一 程度 で あ った。 これ を特 にcephalexinと 比 較 す る と,気 管 筋 で同 一で あ り,非 妊 子 宮 でCDXが 強 い(2倍)の を 除 き,MEDは いず れ も大 で あ った 。 と ころで,CDXのMICは,Staphyloooecusepider-74
CHEMOTHERAPY
JULY 1980midisで は1.56μg/ml, Streptococcus pyrogenes で は 0.19•`0.39 ƒÊg/ml, Klebsiella pneumoniae で は12.5μg/ ml,ま た,ヒ トにCDXの500mgを 経 口投 与 した時 の 最 高血 中濃 度 は11.70∼21、20μg/mlと 報 告 され て い る 1),2),3)。 これ らと上 述 のMEDを 比 較 す る と,MEDは い ず れ も100∼2,600倍 で は るか に 高 濃 度 で あ り,し た が って,臨 床 応 用 が経 口適 用 で あ る こ とを 考 慮 に 入 れ る と,CDXは 臨床 応 用 に 際 して,安 全 性 は 非 常 に高 い と 考 え られ る。 CDX25∼100mg/kgを1回 お よび7日 間連 続 適 用 し た ラ ッ トの体 重 の 増 加度,尿 量,Naお よびK排 泄量 な らび に 尿所 見 では,い ず れ も対 照 群 お よびCDX適 用 酪 に 比 べ ほ とん ど変 化 は な か った 。
引
用 文
献
1)
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2)
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J. XIMENES
& J. P.
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pharmacology
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Agents
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4) 長 谷 川 嘉 成, 銭 藤 紀 生, 森 田 真 応 行: Cefadroxil の 一 般 薬 理 作 用 。Jap. J, Antibiotics 32 (12): 1356∼1371, Dec. 1979 5) 荒 谷 春 恵, 山 中 康 光, 河 野 静 子, 建 石 英 樹:ce, phradineに 関 す る 薬 理 掌 的 研 究, 第1報, 一 般 薬 理 作 用 。Chemotherapy 23: 19∼28, 1975 6) 峰 下 饒 雄, 上 田 元 彦, 松 村 彰 一, 沢 井 守 泊, 木 本 定 利, 宇 野 攻, 繰 茂 栄 一, 塩 見 輝 雄: Cephalo-glycinお よ びDeeacetylcephaloglycinの 薬 理 一 般 作 用 。Chemotherapy 18: 45∼52, 1970
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9) TisLow, R. F.: Evaluation of sedative-hypnotics in the course of psychopharmacological testing. in selected pharmacological testing methods. vol. 3, ed. by A. Burger, p. 421, Marcel Denker, Inc., N. Y., 1968