• 検索結果がありません。

1) "Liquid Chromatography with Crown Ether-Containing Mobile Phases (I,)" z. 2) flif (Alf 6 ; T. Nakagawa, A. Shibukawa, A. Kaihara, T. Itamochi, H. T

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "1) "Liquid Chromatography with Crown Ether-Containing Mobile Phases (I,)" z. 2) flif (Alf 6 ; T. Nakagawa, A. Shibukawa, A. Kaihara, T. Itamochi, H. T"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

論文特集 「最新の化学分離法」

(日 本 化 学 会 誌,1986,(7),P.1002∼1010) ◎1986TheChemicalSocietyofJapan

ク ラ ウ ンエ ー テ ル の 分 子 認 識 能 を利 用す る ア ミ ノ酸 と

ペ プ チ ドの逆 相 高 運 液 体 ク ロマ トグ ラ フィー

イ オ ン対 ク ロマ トグ ラ フィー との 比 較

(1985年11月28日 受 理)

中 川 照 眞*・ 澁 川 明 正 ・ 貝 原 徳紀

・田 中

18-ク ラ ウ ン-6を 移 動 相 に 含 む 逆 相 系 高 速 液 体 ク ロマ トグ ラ フ ィー に お け る種 々 の ア ミノ酸,対

応 す

る ア ミン,お

よ び ペ プチ ド類 の 保 持 挙 動 と分 子 構 造 との 関 係 を 調 べ,従

来 の イ オ ン対 逆 相 ク ロマ トグ ラ

フ ィー と比 較 し た 。

18-ク ラ ウ ン-6を 移 動 相 に 添 加 す る こ とに よ り,α-位 や β-位 の 炭 素 の 級 数 が 低 い ア ミノ酸 ほ ど大 き

な 保 持 値 の 増 加 率 を 示 し,ロイ

シ ン と イ ソ ロイ シ ン な ど の よ うに,イ

オ ン対 モ ー ドで は 分 離 しに くい 疎

水 性 の 類 似 した ア ミ ノ酸 を 短 時 間 で 容 易 に 分 離 す る こ とが で きた 。 ま た,側

鎖 に ア ミノ基 を 有 す る リシ

ンで は ほ か に く らべ て キ ャパ シ テ ィー フ ァク タ ーの 増 加 率 は い ち じる し く大 きか っ た 。 ア ミ ノ酸 と そ れ

に 対 応 す る ア ミン との 問 の 保 持 値 の差 は,イ

オ ン対 法 に く らべ て 大 とな った 。 また プ ロ リンは イオ ン対

法 で は 保 持 値 の 増 加 を示 した が,本

法 で は 逆 に減 少 した 。 ペ プ チ ドの保 持 はN末 端 残 基 の ア ミノ酸 の 構

造 を 強 く反 映 した 変 化 を 示 した 。N末

端 残 基 の β-位炭 素 に 枝 分 か れ が あ る ペ プ チ ドで は,18-ク

ラ ウ ン

-6と

の 会 合 定 数 が 小 さ く,会 合 に と もな う保 持 値 の 増 加 率 も小 さ い こ とが わ か った 。 こ の よ

うに,18-ク ラ ウ ン-6は

ア ミノ基 周 辺 の 立 体 構 造 を よ り強 く認 識 す る能 力 を もつ の で,従

来 法 で は 困 難 で あ っ た

微 妙 な 分 離 が 可 能 とな り,ペ プ チ ドや タ ンパ ク質 の新 しい 分 離 分 析 へ の 応 用 が 期 待 され る 。

1緒 言 逆 相 系 高 速 液 体 ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー(以 下,HPLCと 略 記 す る)に よ る イ オ ン性 試 料 物 質 の分 離 は,イ オ ン対 ク 獄マ トグ ラ フ ィー の 開 発 に と も な っ て 大 き な進 歩 を とげ,多 く の応 用 例 が 報 告 され た3)◎ こ の方 法 で は,移 動 相 に 添 加 され た 対 イ オ ン と の 間 の イ オ ン対 形 成 に と も な っ て,イ オ ン性 試 料 物 質 の 固 定 相 へ の 保 持 が 選 択 的 に増 加 す る こ とを 利 用 して い る◎ そ の増 加 の程 度 は 対 イ オ シ の 疎 水 性 の 強 さや 濃 度 お よび 移 動 相 のpHな ど に 依 存 す る。 そ の 保 持機 構 は,H◎rvathら に よっ てsolvophobictheoryに 基 づ い て 説 明 され て い るa,。

京都大 学薬 学部薬 品分析 学教 室,606京

都 市 左 京区 吉田

下 阿達 町

1)

"Liquid

Chromatography

with

Crown

Ether-Containing

Mobile Phases (I

•,)"

z.

2) flif

(Alf 6

; T. Nakagawa,

A. Shibukawa,

A.

hara,

T. Itamochi,

H. Tanaka,

J. Chromatogr.,

353,

399(1986).

3)

M. T. W. Hearn,

ed., "Ion-Pair

Chromatography

;

Theory

and Biological

and Pharmaceutical

Applica.

tion",

Chromatographic

Science

Series,

Vol. 31,

Marcel

Dekker,

Inc., (1985).

4)

C. Horvath,

W. Melander,

I. Molnar,

P. Molnar,

al. Chem., 49, 2295(1977).

一 方 ,ク ラウ ンエ ーテル は,Pedersenに よ る発 見5》以 来,多 数 の類 縁 化 合 物 が 合 成 さ れ,興 味 あ る 性 質 が 明 らか に され て い る 。 と くに,ア ル カ リ金 属 イ オ ンや ア ル カ リ土 類 金 属 イオ ン,お よ び ア ンモ ニ ウ ム な ど のハ ー ドな陽 で オ ンを そ の 空 孔 内 に 取 り込 み, ヨ ,い わ ゆ る ホ ス ト=ゲ ス ト包 接 化 合 物 を 生 成 す る 性 質 は,溶 媒 抽 出, 膜 輸 送,イ オ ン選 択 電 極 ク ロマ トグ ラ フ ィー な ど多 くの 分 析 化 学 の分 野 で利 用 さ れ て い る6》。 液 体 ク ロ マ トグ ラ フ ィーへ の 応 用 に お い て は,ク ラ ウ ンエ ー テ ル を 固 定 相 と して 用 い る方 法 と移 動 相 の添 加 物 と して利 用 す る方 法 が 行 な わ れ て い る 。Cramら は,キ ラ ル な 場 を もつ ク ラ ウ ンエ ー テ ル を 液 体 ク ロ マ トグ ラ フ ィー の 固 定 相 や 移 動 相 と して 用 い る こ と に よ っ て,第 一 級 ア ミン,ア ミ ノ酸 お よび そ の エ ス テ ル 類 の 光 学 分 割 に成 功 した7》◎Blasiusら は,種 々 の ク ラ ウ ンエ ー テ ル ボ リ マ ー を 固 定 相 と して,共 通 の 対 イ オ ン を もつ 一 連 の ア ル カ リ金 属 や ア ル カ リ土 類 金 属 の 陽 イ オ ン の分 離 を 行 な う と と も に,陰 イオ

5) C. J. Pedersen, J. Am. Chem. Soc., 89, 7017(1967).

6) I. M. Kolthoff, Anal. Chem., 51, 1 R(1979). ; M.

sio, H. Noguchi,

Anal. Lett., 15, 1197(1982). ; T.

Shono, Bunseki Kagaku, 33, E 449(1984).

7)

L. R. Sousa, D. H. Hoffman, L. Kaplan, D. J. Cram,

J. Am. Chem. Soc., 96, 7100(1974). ; G. Dotsevi,

Y. Sogah, D. J. Cram, ibid., 97, 1259(1975). ; G. Dot-

seiii, Y. Sogah, D. J. Cram, ibid., 98, 3038(1976).

(2)

ンの 分 離 や 有 機 化 合 物 の分 離 も行 な っ た8)。 ま た,ク ラ ウ ンエ ー テ ル ボ リマ ー を コ ー テ ィ ン グ した シ リカ ゲ ルや,ク ラ ウ ン エ ー テ ル の モ ノ マ ーや ポ リマ ーを 共 有 結 合 した シ リカ ゲ ル を 固 定 相 と し て,ア ル カ リ金 属 塩 類 の分 離 も行 なわ れ て い る9>。 木 村 らは,首 飾 り状 の ポ リーあ る い は ビス クラ ウ ン エ ー テ ル を 共 有 結 合 さ せ た シ リカ ゲル を 固 定 相 とす るHPLCに よ っ て,ア ル カ リお よ び ア ル カ リ土 類 金 属 塩 類 を 分 離 した 鋤 。 井 川 らは,ク ラ ウ ンエ ー テ ル の ポ リア ミ ド型 樹 脂,あ る い は,そ れ を コ ー テ ィ ン グ した シ リ カ ゲ ル 固 定 相 を ア ル カ リ金 属 塩 類 の分 離 に 応 用 した 掛。 ま た,木 村 ら は,疎 水 性 の 強 い直 鎖 ア ル キ ル 基 を 置 換 基 に もつ ク ラ ウ ン エ ー テ ル をODS(オ ク タ デ シル シ ラ ン化)固 定 相 に ダ イ ナ ミッ ク コ ー テ ィ ン グ し,ア ル カ リ金 属 塩 類 を 分 離 した12》。 一 方 ,DelphinとHorwitzは,ク ラ ウ ン エ ー テ ル 溶 液 を 移 動 相 とす る イ オ ン交 換 ク 霞マ トグ ラ フ ィー に お け る ア ル カ リ金 属 の保 持 機 構 を 研 究 し13),BrugmanとKraakは,移 動 相 中 に カ リウ ム イ オ ン と ク ラ ウ ン エ ー テ ル を 同 時 に添 加 し,ス ル ホ ン酸 類 の 順 相 分 離 を 行 な った14)。 ま た,Wiechmannは,ク ラ ウ ン エ ー テ ル 溶 液 を 移 動 相 とす る逆 相 系HPLCに よ る生 体 ア ミ ン類 の 分 離 に つ い て 報 告 した1%こ れ ら の 研 究 は,主 と して 無 機 陽 イ オ ン の分 離 を 目的 と して 行 なわ れ た も の で あ っ て,有 機 陽 イ オ ン(ア ンモ ニ ウ ム)に つ い て の系 統 的 な 研 究 は 行 な わ れ て い なか っ た ◎ 一 方 ,著 者 らは,プ ロ トン付 加 した ア ミノ基 が,18一 クラ ウンー

8) E. Blasius, K. -P. Janzen, M. Keller, H. Lander, T.

Nguyen-Tien,

G. Scholten, Talanta,

27, 107(1980). ;

E. Blasius, K. -P. Janzen, W. Adrian,

W. Klein,

H.

Klotz,

H. Luxenburger,

E. Mernke,

V. B. Nguyen,

T. Nguyen-Tien,

R. Rausch, J. Stockemer,

A. Tous-

saint, ibid., 27, 127(1980).

9) E. Blasius, K. -P. Janzen, W. Klein, H. Klotz, V. B.

Nguyen, T. Nguyen-Tien,

R. Pfeiffer, G. Scholten,

H. Simon, H. Stockemer,

A. Toussaint,

J. Chroma-

togr., 201, 147(1980). ; E. Blasius, K. -P. Janzen, Pure

Appl. Chem., 54, 2115(1982).

10) K. Kimura, M. Nakajima, T. Shono, Anal. Lett., 13,

741(1980).; M. Nakajima, K. Kimura, T. Shono, Anal.

Chem., 55, 463(1983). ; M. Nakajima,

K. Kimura, T.

Shono,

Bull.

Chem. Soc. Jpn., 56, 3052(1983). ;

M. Nakajima,

K. Kimura,

T. Shono, J. Liq.

matogr., 7, 2115(1984).

11) 4/11

' t'Ekft,

3-*10--.4, 29, 580(1980);

M. Igawa,

K. Saito, J. Tsukamoto,

M. Tanaka,

Anal. Chem., 53, 1942(1981) ; M. Igawa, K. Saito, M.

Tanaka,

T. Yamabe,

Bunseki Kagaku,

32, E 137

(1983).

12) K. Kimura,

E. Hayata,

T. Shono, J.

Chem.

Soc.,

Chem. Commun., 1984, 271.

13) W. H. Delphin, E. P. Horwitz, Anal. Chem., 50, 843

(1978).

14) W. J. T. Brugman, J. C. Kraak, J. Chromatogr ., 205,

170(1981).

15) M. Wiechmann, ibid., 235, 129(1982).

ア ミ ン,ジ ア ミン,β 一ラ ク タ ム 系 抗 生 勿 霧 生 理 活 性 を 有 す る カ テ コ ラ ミ ン類,お よび,ア ミノ酸 や ペ プ チ ド類 な ど,種 々 の ア ミ ノ化 合 物 の分 子構 造 と保 持 挙 動 と の 関 係 を 系 統 的 に 調 ぺ,そ れ に 影 響 を お よぼ す 種 々 の 因 子 に つ い て 基 礎 的 な 検 討 を 加 え て き た2》16ト20》。 こ の 方 法 で は,ク ラ ウ ンエ ー テ ル との 会 合 に と も な っ て ゲ ス ト 陽 イ オ ン の 疎 水 性 が 増 大 し,固 定 相 へ の 保 持 が 増 加 す る こ と を利 用 して い る ◎ こ の増 加 の 程 度 は 移 動 相 のpHや ク ラ ウ ンエ ー テ ル の 濃 度16}あ る い は 会 合 体 の 安 定 性17}に依 存 す る ◎ こ の 点 で は 疎 水 性 陰 イ オ ン を 用 い る逆 相 系 イ オ ン対 ク ロマ トグ ラ フ ィー と似 て い る が,ク ラ ウ ン エ ー デ ル と ゲ ス ト との 相 互 作 用 は イ オ ン対 ク ロマ トグ ラ フ ィー に お け る イ オ ン間 相 互 作 用 に く ら べ て,げゲ ズ ト分 子   の ア ミ ノ基 周 辺 の 立 体 構 造 の 影 響 を よ り強 く受 け る の で,は るか に選 択 性(分 子 認 識 能)の 高 い 分 離 分 析 が 可 能 とな る 』 ま た,ク ラ ウ ン エ ー テ ル 側 の 構 造(環 孔 径 や 置 換 基 な ど)20》,あ る い は 移 動 相 中 の ほ か の 添 加 塩 の 種 類 や 濃 度 鋤 も,ゲ ス ト物 質 の 保 持 値 に 影 響 す る ◎ さ ら に,ク ラ ウ ンエ ー テ ル 自身 は 電 荷 を も た な い た め,生 成 した 錯 陽 イ オ ンは 共 存 す る対 陰 イ オ ン と イ オ ン対 を 形 成 す る 。 した が っ て,ク ラ ウ ン エ ー テ ル と通 常 の 陰 イ オ ン性 イ オ ン 対 試 薬 を 同 時 に 移 動 相 に添 加 す る こ とに よ っ て,両 者 の 相 乗 効 果 が あ らわ れ,応 用 性 が 一 層 広 が る ユ9》。 今 回 は,18一 ク ラ ウ ンー6を 移 動 相 添 加 物 とす るHPLCに お け る種 々 の ア ミ ノ酸 お よび 対 応 す る ア ミ ン の 保 持 挙 動 とそ の構 造 と の 関 係 を,通 常 の イ オ ン対 逆 相 法 の 場 合 と比 較 しつ つ,ク ラ ウ ン エ ー テ ル の もつ 分 子 認 識 能 力 の 特 徴 を 調 べ た ③ さ らに,ペ プ チ ド 類 に つ い て も,保 持 挙 動 を 両 方 法 の 間 で 比 較 し,18一 ク ラ ウ ンー6 と試 料 ペ プ チ ドと の 会 合 定 数 な どを 評 価 した ◎ 2理 論 18一ク ラ ウ ンー6は,プ ロ トン付 加 した ア ミノ 基 と の 間 に ホ ス トザ ス ト包 接 イ オ ンを 生 成 す る が,中 性 の ア ミ ノ基 との 相 互 作 用 は い ち じ る し く 弱 い ◎ した が っ て,18一 ク ラ ウ ンー6溶 液 を 移 動 相 とす る逆 相 液 体 ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー に お け る ゲ ス トア ミ ノ化 合 物 の保 持(キ ャパ シ テ ィー フ ァ クタ ー,の は,図1に 示 した 平 衡 モ デ ル に よ っ て 表 わ さ れ る 。 図1のSお よ びSHは,中 性 お よ び プ ロ トン化 した ア ミ ノ化 合 物 を表 わ し,Cお よ びLは,そ れ ぞ れ18一 ク ラ ウ ン ー6お よ び 疎 水 性 固 定 相 リガ ン ド(ODS)を 表 わ す ◎ ま た,K8は 移 動 相 中 で の ゲ ス ト物 質 の ア ミ ノ基 の プ ロ ト ン解 離 定 数 で あ り,KCSHは 移 動 相 中 で のCとSHと の 会 合 定 数 で あ る 。KLS,K総H,K総SH,お よびKLCは,そ れ ぞ れ,S,SH,CSH,お よびCとLと の結 合 定 数 を 表 わ す 。K総SHは,固 定 相 に保 持 さ れ たCと 移 動 相 中 のSH と の会 合 定 数 で あ り,K総Hは,固 定 相 に保 持 され たSと プ ロ ト

16) T. Nakagawa, H. Mizunuma,

A. Shibukawa , T. Uno,

J. Chromatogr., 211, 1(1981).

17) T. Nakagawa, A. Shibukawa,

T. Uno, ibid., 239, 695

(1982).

18) T. Nakagawa,

A. Shibukawa,

T. Uno, ibid ., 254, 27

(1983).

19) T. Nakagawa,

A. Shibukawa , H. Murata, ibid., 280,

31(1983).

20) T. Nakagawa, H. Murata,

A. Shibukawa , K.

mi, T. Tanaka, ibid., 330, 43(1985).

(3)

ン と の会 合 定 数 で あ る 。 ま た,KL36SHは 固 定 相 に 保 持 され たSH と移 動 相 中 のCと の 会 合 定 数 で あ る◎ 包 接 イ オ ン は,共 存 す る 陰 イ オ ン とイ オ ン対 を 生 成 し 得 る が,今 回 の 実 験 で,移 動 相 の pHを 調 節 す る た め に用 い た塩 酸 に 由 来 す るCl一 はハ ー ドな 陰 イ オ ン で あ るか ら,イ オ ン対 生 成 に と も な う 々 の 変 化 は 見 られ な い19)。 した が っ て こ の モ デ ル で は,イ オ ン対 生 成 に 関 す る平 衡 は 考 慮 して い な い ◎ 図1の モ デ ル に お い て,試 料 ア ミノ化 合 物 の 々 は次 式 に よ っ て 定 義 さ れ る が, た だ し,φ は 相 比(固 定 相/移 動 相),添 字 獅 お よ びsは 移 動 相 中 お よ び 固 定 相 上 で の 濃 度 で あ る こ とを 示 す ◎A,Bは,そ れ ぞ れ 包 接 化 合 物 の生 成 や 固 定 相 との結 合 過 程 に対 応 す る混 成 定 数 で あ り,Aは 、K£§Hあ る い はK鍵H・K&・KLS・BはKeeSrtKCsH・ K認SH・KrLCあ る い はK認SH・ ム で あ る。 一 方 ,S,SHお よ びCSHと 結 合 し た 固 定 相 量([LSコ+ [LSH]+[LCSH])は,全 固 定 相 量[Ldに く らべ て 無 視 で き る ほ ど小 さ い と考 え られ る の で,つ ぎ の よ うに 近 似 され る◎ こ こ で[L]sは 遊 離 の 固 定 栢 リガ ン ド量 で あ る 。(3)式 を(2)式 に 代 入 す る と,次 式 が 得 られ る◎ この 式 は,移 動 相 中 の18一 ク ラ ウ ンー6の 濃 度 お よび プPtト ン濃 度 とk'の 関 係 を 与 え る式 であ るが,18一 ク ラ ウ ンー6の み な らず, 一 般 に ,移 動相 中 に加 え られ た添 加物 と溶 質 との相互作 用 に よっ て 々 が 変 化 す る場 合(た とえ ば イ オ ン対 剤 や シ ク βデ キ ス ト リ ンの 添 加)た 共 通 して 適 用 で き る。 こ こ で,添 加 物 の存 在 に よ る キ ャパ シ テ ィ ー フ ァ クタ ー の 変 化 率(μ ¢)を 次 式 で 定 義 す る 。 μz=k't!k'6(iは 添 加 物 の 濃 度(mm◎1・dm"3)) た だ し,k'oは 添 加 物 を 加 え な い と き([C]=0)の キ ャパ シ テ ィー フ ァ ク タ ー であ る。 通 常 の 逆 相 系 溶 離 条 件 で分 離 さ れ 難 い(k'o が 類 似 した)物 質 相 互 間 で,μ の差 が 大 き い とき,添 加 物 を 用 い る こ と に よ り,両 者 の分 離 が よ くな る こ と を示 す 。 移 動 相 中 の ク ラ ウ ン エ ー テ ル 濃 度 が 一一定 の と き,(4)式 は とな る 。 こ こ で,E=1十KLC[Cコm,F=A十B[C]m,G=1十 Kcs}i⊂Cコmで あ る。(5)式 か ら,k'と プ ロ トン 濃 度 との 関 係 は 直 角 双 曲線 で与 え られ る こ とが わ か る。 ま た,移 動 相 のpHが 十 分 に 低 く,ア ミ ノ基 が ほ ぼ 完 全 に プ ロ トン化 さ れ て い る と考 え られ る場 合 に は,(4)式 は, と な る。 『た1だし1)=K総SH・KCSH,K総SH・KLCあ る い は KL3dSH,KLkuで あ る◎ こ こ で ク ラ ウ ンエ ー テ ル と会 合 した ゲ ス トア ミノ化 合 物 の キ ャパ シ テ ィー フ ァ クタ ー一をk'CSHと す れ ば k'CSH=φ[Lr]D/KCSH(7) と な る 。(6)式 は,一 鍛 に,ゼ が[C]の 増 加 に とも な っ て増 大 し,極 大 に 達 した の ち 減 少 す る曲 線 を 与 え るが,そ の極 大 点 の 位 置 はKLCお よびKCSHの 大 き さ に 依 存 す る こ とを 示 して い る◎ す な わ ち,疎 水 性 が 強 く,ゲ ス ト と安 定 な会 合 体 を 生 成 す る ク ラ ウ ン エ ー テ ル で は,低 濃 度 の添 加 に よ っ て ゼ は 大 き く増 加 した の ち 減 少 す る◎ ま た,18一 ク ラ ウ ンー6の よ うに 親 水 性 で 安 定 な 会 合体 を 生 成 す る ク ラ ウ ンエ ー テ ル で は,比 較 的 高 濃 度 の添 加 に よ っ て 大 き な ゐ'の増 加 を与 え る 。 ま た,疎 水 性 は強 い が 安 定 な会 合体 を 形 成 しな い ク ラ ウ ンエ ー テ ル で は,万 の 増 加 は ほ とん ど 見 られ ず,高 濃 度 の添 加 に よ っ て保 持 は逆 に 減 少す る び 親 水 性 が 高 く,安 定 な会 合 体 を 生 成 しな い ク ラ ウ ンエ ー テ ル を 添 加 し た 場 合,々'は ほ とん ど変 化 しな い ◎ こ の よ うな 変 化 は,ク ラ ウ ン エ ー テル との 会 合 体 生 成 に と もな う親 水 性 の 減 少 に よ っ て,ゲ ス ト物 貫 の た'が 増 加 す る効 果 と,ク ラ ウ ン エ ー テ ル と ゲ ス ト物 質 とが 萸水 性 固 定 相 へ の結 合 を競 合 す る こ とに よ っ て た'が 減 少 す る効 果 と い う相 反 す る二 つ の効 果 のバ ラ ン ス に 依 存 す る も の と理 解 さ 瓦 る◎ した が って,極 大 点 で は両 効 果 が 釣 り合 った 状 態 に あ る も 7)と 考 え られ る。 一 方 ,試 料物 質 が クラウ ンエ ーテル と会合体 を生成 しない場合 こは,(6)式 にKCSH・O(す な わ ちD=0)を 代 入 して 得 られ る に よ っ て,々'が 表 わ さ れ る 。 3実 験 3・1試 薬 18一ク ラ ウ ンー6はMerck社 製 試 薬 を そ の ま ま使 用 した 。 ア ミ ノ酸 お よ び ペ プ チ ドは,半 井 化 学,Merck社 お よび ペ プ チ ド研3il

(4)

所 製 試 薬 を そ の ま ま使 用 した ◎ ペ ニ シ ラ ミ ンお よ び ペ ニ シ ラ ミン ジ ス ル フ ィ ドはD一 体 を 使 用 し,そ れ 以 外 の ア ミ ノ酸 お よ び ペ プ チ ドはL-・体 を使 用 した 。1一ペ ン タ ン ス ル ホ ン酸 ナ ト リウ ム,1一 ヘ プ タ ン ス ル ホ ン酸 ナ ト リウ ム,ト リ プ タ ミン塩 酸 塩 フ ェ ネ チ ル ア ミン塩 酸 塩,チ ラ ミンお よび 硫 酸 リチ ウ ム は 半 井 化 学 製 特 級 試 薬 を そ の ま ま使 用 した ◎ 3.2HPLC 装 置 は 島 津 製 作 所 製LC-3Aシ ス テ ム を 使 用 した ◎ 固 定 相 と し て,ケ ム コ社 製ODS化 学 結 合 型 シ リ カ ゲル 充 填 剤Chemco$orb 5-ODS-H(長 さ15cm,内 径4.6mm)を 使 用 した 。移 動 相 条 件 は,表1に 示 した とお りで あ る ◎ 水 お よび メ タ ノ ー ル は い ず れ も 蒸 留 後 使 用 した σ 移 動 相 のpHは 特 級 塩 酸 で 調 整 した 。 検 出 は UV200ま た は210nmで 行 な い,カ ラ ム温 度 は40℃ と した ◎ 3・3キ ャ パ シテ ィー7ア ク タ ー の測 定 試 料 物 質 を 移 動 相 と 同一 組 成 の 溶 液 に 溶 解 し,検 出 に 必 要 な 最 少 量 をHPLCに 注 入 した ◎ キ ャ パ シテ ィご フ ァ ク タ ー(le')の 値 は,fet=(tR-to)!tcに よ り 算 出 した ◎ こ こ でtR,teは,そ れ ぞ れ 試 料 物 質 お よび 非 吸 着 性 物 質(NaNO2)の 保 持 時 間 で あ る 。 3.4デ ー タ 解 析 非 線 型 最 小 二 乗 法 に よ るcurvefittingは,Basic言 語 に よ る プ ロ グ ラ ム21>e:よ り,NECPC-9801F2を 用 い て 行 な った 。 4結 果 と 考 察 4.iア ミノ 酸 の 保 持 挙 動 移 動 相(水100%,pH2.5お よび4.0)中 の18一 ク ラ ウ ンー6 濃 度 と い くつ か の ア ミ ノ酸 の 々 と の 関 係 を 図2に 示 し た 。Pre

21) K. Yamaoka, Y. Tanigawara,

T. Nakagawa,

T. Uno,

J. Pharm. Dyn., 4, 87(1981),

(5)

を 除 くす べ て の α一ア ミ ノ 酸 に お い て,18一 ク ラ ウ ン ー6の 濃 度 の 増 加 に と も な っ てfe'は 増 大 し,pH4.0で は3∼5mmol・dm-3 で,ま た 、pH2.5でち は 約10mmol・dmne3でぴ 最 大 値 に 達 し た ◎ し かヌ し,ガ の 値 お よび そ の増 加 率(μ)ば ア ミノ酸 め 種 類 た 依 存 し ま て 変 化 した ◎す な わ ち,ノ ルバ リン(以 下norValと 略 記 す る) ヨ く ま やLeuは,Va1やIleに く ら べ て 大 きfsk'お よ び4の 値 を 与 え たoま た,同 じ ア ミ ノ 酸 で は,pH2・5で のk' 、の 値 は,pH4・0 で の 値 よ り大 と な っ た が,こをな れ はpH2.5で は カ ル ボ キ シ ル 基 の 解 離 が 搾 制 さ れ た た め で あ る と考 え られ る 。一 方,?roで は,18一 ク ラ ウ ンー6の 添 加 に よ.って,pH4;Oお よ びpH2.5で,と も に k'は 減 少 した 。 こ れ は,前 に述 べ た よ うに,48一 ク ラ ウ ンー6と 第 二 級 ア ミン で あ るProと は 会 合 体 を 形 成 せ ず,む しろODS固 定 相 との 結 合 を 競 合 す るた め で あ る と理 解 され る◎ そ こ で こ の よ うな 々4)変 化 と ア3ノ 酸 侮 分 子講 造 との 関 係 を 調 べ る た め に,pH4.oに お け る μ5(=k'5/1e'o,5mmol・dm"-3 18一 ク ラ ウ ンー6を 添 加 した とき のk'の 増 加 率)とpH2。5に お け る μ三〇(=た'1。/k'o)を求 め,各 ア ミ ノ酸 側 鎖 のRekkeガ 定 数(Xf) に 対 して プ ロ ッ ト し,図3(b)お よ び(a)に 示 した 。Rekker 定 数 は,水/1一 オ ク タ ノー ル 系 に お け る分 配 定 数 か ら算 出 さ れ る 疎 水 牲 の 指 標 で あ るが22>,・こ こ で は,Glyの 値 を 基 準(Xf=O) と し て表 わ した 。 また,18一 ク ラ ウ ンー6の 添 加 効 果 と,イ オ ン 対 効 果 と を 比 較 す る た め に,pH2.5の 移 動 相(水/メ タ ノ ー ル =9/1)にo.2mmol・dm-3の1一 ヘ プ タ ン 冬 ル ホ ン 酸 ナ ト リ ウ ム (以 下C7と 略 記 す る)を 加 え た と き の 各 ア ミ ノ酸 のle'増 加 率 μe,2(=k'o.2/1e'o)を測 定 しs、そ れ を 、Rekker定 数 に 対 して プPtッ   ま ト して 図3(c)に 示 した ◎ こ こ で,C7は18一 ク ラ ウ ンー6に く ら ぺ て 疎 水 性 が 強 い の で,両 効 果 を比 較 す る の に適 した 々 を 与 え る よ うに 考 慮 して 移 動 相 溶 媒 の 組 成 お よび 添 加 濃 度 を 設 定 し た 凸

22) R. P. Rekker,

"The Hydrophobic Fragmental Cons.

tant",

Elsevier, Amsterdam (1977) p. 301,

図3(a),(b)に 示 した μ一Σア の プ ロ ッ トか ら,ど ち ら の 移 動 相 で も,18一 ク ラ ウ ンー6の 添 加 に と も な うk'の 増 加 率 は側 鎖 の疎 水 性 に 依 存 す る の で は な く,む しろ 飴 位 お よび β一位 炭 素 の 級 数 に 依 存 す る こ とが わ か る。 す なわ ち,α 一位 の炭 素 が 第 二 級 で あ るGlyは,第 三 級 で あ る ほか の ア ミノ酸 よ り μ が 大 き く,ま た,β 一位 の炭 素 が 第 一 級 あ るい は 第 二 級 で あ るSer,Ala,Cys, Met,norVal,Leuは 第 三 級 で あ るThr,Val,Ileよ り大 き な μ を 示 した ◎ こ れ は,α 一位 炭 素 や β一位 炭 素 の 級 数 が 低 い ほ ど,ア ミノ 基 と18一 ク ラ ウ ンー6と の相 互 作 用 に お よ ぼ す 側 鎖 の 立 体 障 害 が 小 さ くな る た め だ と 考 え ら れ る 。 ま たValの β一位 炭 素 に 一SH基 が 置 換 した ペ ニ シ ラ ミンや ペ ニ シ ラ ミン ジ ス ル フ ィ ドで は,18一 ク ラ ウ ンー6に よ る 々 の増 加 効 果 がValよ りさ ら に 小 さ くな り,さ き に 述 べ た 競 合 に よ る ん'の減 少 効 果 と釣 り合 っ て,々 は 見 か け 上,ほ と ん ど変 化 しな か っ た も の と考 え られ る。 一 方,移 動 相 にC7を 添 加 した 場 合(図3(c))に は,Cys, Pro,ペ ニ シ ラ ミン以 外 の ア ミノ酸 の μo.2値は,a一 位 の 炭 素 や β一 位 の炭 素 の級 数 に 関 係 な く,側 鎖 の 疎 水 性(冴)が 強 く な る と と も に,単 調 に 増 加 す る傾 向 を 示 し 疎 水 性 の類 似 し たValと

(6)

norVal,LeuとIleは 同 程 度 の た'増 加 率 を示 した 。 ま た ,Pro の 々 は,18一 ク ラ ウ ン6を 添 加 した場 合 に は 減 少 した の に 対 し て,C7を 添 加 した 場 合 に はCysと 同 程 度 の増 加 率 を 示 した 。 こ の よ うに,通 常 の イ オ ン対 ク ロマ ト グ ラ フ ィー で は,試 料 物 質 の 分 子 構 造 に 対 す る認 識 性 が 低 く,試 料 物 質 の 疎 水 性 を 一 様 に増 強 す る傾 向 が あ る の で,18一 ク ラ ウ ン・-6を用 い た 場 合 に く らべ て ア ミ ノ化 合 物 相 互 間 の選 択 的 分 離 が 困 難 で あ る。 一 衷2に 各 移 動 相 条 件 に お け る疎 水 性 の 類 似 した3組 の ア ミ ノ酸 (LeuとIle,norValとVal,CysとPre)の 分 離 係 数(α)を 示 した 。 さ き に 述 べ た(図3(c)〉 タ うに,C7添 加 時 に は 疎 水 性 の類 似 した ア ミノ酸 は 同 程 度 の 々 増 加 を 示 す た め,.そ の α値 は 添 加 前 とほ とん ど変 わ ら なか っ た 。 そ れ に 対 し て,18一 ク ラ ウ ン喝 を 添 加 した 場 合 は,そ の ア ミ ノ基 周 辺 の 分 子 構 造 の 相 違 を 反 映 して,移 動 相 のpH(2.5,4.0)に よ らずa値 が 大 き くな っ た ◎ 讐 ・ 、 図4に これ ら6種 類 の ア ミノ酸 の ク ロ マ トグ ラ ム を 示 し た 。 18一ク ラ ウ ンー6添 加 前(a)は,Leuと1 ,le,Valと 導orVa1, ProとCysめ 分 離 が不 十 分 で あ っ た が,10mm◎1・dm-318一 ク ラ ウ ンー6添 加(b)に よ り,こ れ ら6種 の ア ミノ酸 を 完 全 に分 離 す る こ とが で き た 。 な お,こ の と き の 移 動 相 に は,テ ー リ ジ グ 防 止 の た め20 mmo1・dm-3の 硫 酸 リチ ウ ム を 添 加 した が,リ チ ウ ム イ オ ン は18一 ク ラ ウ ンー6と の 相 互 作 用 が 弱 い の で,18一 ク ラ ウ ンー6に よ る保 持 増 強 効 果 に は 影 響 を与 え な い19》◎ 表3に ・ 各 移 動 相 条 件 に お け る3種 類 の塩 基 性 ア ミ ノ酸 の キ ャ パ シテ ィー フ ァ ク タ ー を 示 した 。Lys ,Arg,Hi$は,α7ア ミ ノ基 以 外 に,側 鎖 に そ れ ぞ れ ア ミ.ン基,グ ア ニ ジ ノ基 イ ミダ ゾ リンレ基 を 有 す るが,C7添 加 時 の キ ャパ シ テ ィー フ ァ ク タ ー は い ず れ も 同 程 度 の値 で あ る こ とか ら,C7陰 イ オ ン と これ ら の 置 換 基 との 相 互 作 用 に 大 き な差 は な い と考 え ら れ る 。 これ に 対 して,18一 ク ラ ウ ンー6を 移 動 相 に添 加 した 場 合 に は,Lysのkiが ほ か の ア ミ ノ酸 よ り顕 著 に 大 き くな っ た 。 これ は ,Lysの2個 の ア ミ ノ基 が と も に18一 ク ラ ウ ンー6と の 結 合 に 関 与 し得 る の に 対 し て,グ ア ニ ジ ノ蒸 や イ ミダ ゾ リル 基 と18一 ク ラ ウ ンー6と の 相 互 作 用 が 弱 い た め で あ る と説 明 され るb こ の よ うに,18一 ク ラ ウ ンー6を 逆 相 系HPLCの 移 動 相 に 添 加 す る こ とに よ っ て,ア ミ ノ酸 の 保 持 は,そ の カ ル ボ キ シル 基 の 解 離 状 態 に か か わ らず,通 常 の イ オ ン対 ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー に く ら べ て,ア ミ ノ基 周 辺 の 分 子 構 造 を よ り強 く反 映 し た 変 化 を 示 し た 。, 4.2ア ミ ノ酸 と対 応 す る ア ミ ン の 保 持 挙 動 の 比 較 3種 の 芳 香 族 ア ミ ノ酸(Tyr,Trp,Phe)お よ び そ れ ら に 対 応 す る ア ミン に つ い て,移 動 相 にC7を 添 加 した と き のkt変 化 を 調 べ,既 報21で 報 告 した18一 ク ラ ウ ンー6添 加 時 の だ 変 化 と比 較 した ◎ 表4に,10mmol・dm』318一 ク ラ ウ ンー6お よび0.2mmol・dm舳3 C7を 移 動 相 に 添 加 した とき の キ ャパ シ テ ィー フ ァ ク タ ー(結o, た'。の と未 添 加 時 の キ ャパ シテ ィ ー フ ナ ク タ ー(ゐ ㌔),お よび, キ ャ パ シ テ ィー フ ァ ク タ ー の 増 加 率(μ10,Pte.2)を 示 した ◎C7ま た は18一 ク ラ ウ ンー6の どち らを 添 加 した と き に も,ア ミノ酸 よ り 対 応 す る ア ミン の方 が 大 き い μ を 示 し,そ の 結 果,両 者 の溶 出 順 序 の 逆 転 が み ら れ た 。 しか し,ア ミ ノ酸 の μ菰。は そ の μ聰 とほ ぼ 同程 度 で あ る の に 対 し,ア ミン類 で は μユ。がPte.2よ り顕 著 に 大 き く,こ の こ とは,通 常 の イ オ ン対 試 薬 に く らべ て18一 ク ラ ウ ンー6 を 添 加 した 方 が ア ミノ酸 とア ミ ン との 分 離 が 一 層 効 果 的 に 行 な わ れ る こ とを 示 し て い る ◎ 4.3ペ プ チ ド類 の 保 持 挙 動 Pro・Gly・Ala,Val,Ile,お よびLeu残 基 か らな る11種 の ジペ プチ ド,お よ び2種 の ト リペ プ チ ドにつ い て,移 動 相 の18_ ク ラ ウ ンー6濃 度 とk'と の 関 係 を 調 べ た 。 図5に 結 果 の 一 部 を 示 した 。Leu-Gly-・GlyやIle--Gly-Glyの よ

(7)

うにN末 端 残 基 に ア ミノ 基 を も つ ペ プ チ ドは,18一 ク ラ ウ ンー6と の会 合 体 生 成 に とも な い,そ のk'は 増 加 した が,Pro-Valお よび Pro-Leuで は,18一 ク ラ ウ ンー6と 会 合 し うるN末 端 ア ミ ノ基 を も た な い た め,さ き に述 べ たPro単 独 の場 合 と同 様 に,ゼ の 減 少 が み られ た 。 っ ぎ に,18一 ク ラ ウ ンー6添 加 に よ る 各 ペ プ チ ドのk'変 化 率 と そ の ア ミノ酸 残 基 の 種 類 と の関 係 を検 討 した ◎図6(a)に,9種 の ジペ プ ヂ ドに つ い て,10mmol・dm"318一 ク ラ ウ ンー6添 加 時 の kt変 化 率(μ 三◎)をC末 端 ア ミ ノ酸 残 基 のRekker定 数(Xf)の 順 に プ ロ ッ トし,同 一 のN末 端 残 基 を もつ 一 連 の ジペ プ チ ドの 値 を 実 線 で結 ん で 示 した 。 ま た,図6(b)に は・ こ の μIo値 をN 末 端 ア ミノ酸 残 基 のXfの 順 に プ ロ ッ ト し 同 一 のC末 端 残 基 を もつ 一 連 の ジ ペ プ チ ドの値 を 実 線 で結 ん で 示 した 。 ま た,比 較 の た め,O.2mmol・dm-3のC7を 添 加 した と き の各 ペ プ チ ドの キ ャ パ シテ ィー フ ァ クタ ー を 測 定 し,そ の 変 化 率(μo、2)を 求 め たQ図 7(a)お よ び(b)に,Pto.2をC末 端 残 基 あ る い はN末 端 残 基 の Σア に対 して プ ロ ッ トし,同 一N末 端 残 基(a),お よ び 同 一C末 端 残 基(b)を もつ 一 連 の ジ ペ プ チ ドの値 を 実 線 で 結 ん で 示 し た ◎ っ ぎ に,C末 端 カ ル ボ キ シ ル 基 の解 離 状 態 はN末 端 ア ミ ノ基 と ヂ 18一 ク ラ ウ ンー6と の会 合 体 形 成 に 影 響 を 与 え ず,か つ,移 動 相 の pHが 一 定 な ら18一 ク ラ ウ ンー6を 添 加 して もそ の 解 離 状 態 は 変 化 しな い と考 え て,11種 類 の ペ プ チ ドのk'vs・18一 ク ラ ウ ンー6濃 度 の デ ー一タ に 非 線 型 最 小 二 乗 法 を 用 い て(6)式 を あ て は め,各 パ ラ メ ー タ ー の最 適 値 を 評 価 し た 。 ま た(7)式 か らk'CSHを 計 算 し た 。 こ の 操 作 を 行 な うに あ た っ て,ま ず,図5に 示 したPro-VaI とPro-・Leuの デ ー タ に,非 線 型 最 小 二 乗 法 に よ る同 時curve fitting法 を 用 い て(8)式 を あ て は め,KLcの 値(20.9mol-1・dm3) を あ らか じ め 求 め た 。 図5の 曲 線 は こ の よ う に し て 得 ら れ た 最 適 曲 線 で あ る 。 表5にk'◎,k'CSH,お よ びK◎SMの 値 を 示 し た ◎ k'eSHlk'oは,18一 ク ラ ウ ン ー6と の 競 合 に と も な うk'の 減 少 効 果 を 無 視 し た と き の 々 最 大 増 加 率 で あ り,イ オ ン 対 ク 冒 マ ト グ ラ フ

(8)

イー の 理 論 的 取 り扱 い の さ い に 定 義 され た 保 持 増 強 因 子(enhan-cementfactorS))に 相 当す る値 で あ る◎ C7添 加 時 に は,N末 端 残 基 が 共 通 した 一 連 の ジ ペ プ チ ド(図 7(a))に?い て も またC末 端 残 基 が 共 通,した 一 連 の ジペ プ チ ド (図7(b))に つ い て も,C末 端 残 基 あ る い はN末 端 残 基 側 鎖 の 疎 水 性 が増 す に つ れ,ざ き の ア ミ ノ 酸 の 結 果(図3(c))と 同 様 に,μo.2の 値 は 単 調 に 増 加 した ◎ 一 方 ,18一 クラウ ンー6を 添 加 した場合 に は,N末 端 残 基 が 共 通 した 一 連 の ジ ペ プ チ ドで は(図6(a)),C末 端 残 基 の Σf値 が 増 す に つ れ μ1G値 が 増 加 した ◎ しか し,図7(a)(b)の6本 の実 線 の傾 き は 同 程 度 で あ る の に対 し,図6(a)で は,N末 端 残 基 が Ala一の 場 合,Val一 やLeu一 に く らべ,そ の 実 線 の 傾 き が 大 き く, C末 端 残 基 の ア ミノ酸 の 構 造 の違 い を よ り強 く反 映 して い る 。 さ ら に,C末 端 残 基 が 共 通 した一 連 の ジ ペ プ チ ドの μ10と Σfと の 関 係(図6(b))は,図7(b)の よ うな 単 調 な 増 加 関 係 を 示 さ ず,さ き に 述 べ た ア ミノ酸 単 独 の 場 合 と 同様 に,N末 端 がAla一 や Leu一 で あ る ジペ プ チ ドは,Val一 やIle一 で あ る ジ ペ プ チ ドに く ら

べ て大 き い μ憩 値 を 示 した ◎ ま た,表5か らわ か る よ うに,N末 端 がAla一 やLeu一 で あ る ペ プ チ ドのk'CSH/k。1やKCSHは,Val一 やIle一 の場 合 に く ら べ て 大 き く,ア ミノ基 近 傍 の β一位 炭 素 に 枝 分 か れ が あ る と,包 接 陽 イ オ ンが 不 安 定 と な り,さ らに,包 接 に と も な う疎 水 性 の 増 加 の程 度 も小 さ く な る こ とが わ か っ た 。β一位 炭 素 が 第 一 級 や 第 二 級 で あ る 場 合 に く ら べ て,β 一位 炭 素 が 第 三 級 で あ る ア ミ ノ酸 や,そ の ア ミノ酸 をN末 端 に有 す る ペ プ チ ド類 の μ が 小 さ い(図3(a) (b),図6(b))の は,こ の 二 つ の効 果 が 重 な り合 っ た た め で あ る と説 明 で き る◎ つ ぎ に 同 じア ミ ノ酸 残 基 か ら な るAla-Va1とVa1-Alaお よび Ala-LeuとLeu-Alaに つ い て,各 移 動 相 条 件 で の 分 離 係 数 を 求 め て 表6に 示 した 。 一 般 に,ア ミ ノ酸 組 成 が 同 じで も そ の 配 列 が 異 な るペ プ チ ドは 異 な っ た 保 持 値 を 示 す こ とが 知 られ て お り,表6で,2組 の ジ ペ プ チ ド間 の分 離 係 数 は,18一 ク ラ ウ ンー6やC7無 添 加 の と き,す で に 十 分 大 き な 値 を 示 し て い る ◎ こ の 移 動 相 にO.2mmol・dm鳳3 のC7を 添 加 した と き,そ れ ぞ れ 同 程 度 の 々 増 加 を 示 し,そ の 結 果,分 離 係 数 は添 加 前 とほ ぼ 同 じ値 を 示 したQ--fi,18一 ク ラ ウ ンー6添 加 に よ るkt増 加 率 はC末 残 基 の 疎 水 性 の 強 さ に 依 存 す る た め,Ala-LeuとLeu-Alaの 分 離 係 数 は,18一 ク ラ ウ ンー6添 加 に よ り1。94倍 増 加 した ◎ ま た,Ala-ValとVal-Alaの 分 離 係 数 は,N末 端 残 基 に 対 す る構 造 認 識 の寄 与 も加 わ り,2.4倍 増 茄 し た 。 図8に4種 の ペ プ チ ドの ク ロ マ ト グ ラ ム を 示 した 。 移 動 相 に 添 加 物 を 加 え な い 場 合(図8(a)),Lys-AlaとHis-Ala,お よ び, Ile-Gly-GlyとLeu-Gly-Glyは そ れ ぞ れ 相 互 に 分 離 さ れ な か っ た 。 ま た,こ の 移 動 相 にO.75mmol・d市3の1一 ペ ン タ ン ス ル ホ ン酸 ナ トリ ウ ム を 添 加 した 場 合(図8(b))に も,同 程 度 にktが 増 加 し,こ れ ら4種 の ペ プ チ ドの 完 全 分 離 は で き な か っ た 。 そ れ に対 し,5mmol・dm-3の18一 ク ラ ウ ンー6を 添 加 した 場 合 (図8(c))に は,N末 端 残 基 の β一位 炭 素 の 級 数 の 違 い や,Lys 側 鎖 の ア ミ ノ基 の 存 在 に よ り,4種 の ペ プ チ ドを 図8(b)と 同 程 度 の 時 間 で 完 全 に分 離 す る こ とが で き た 。 な お,Lysを 含 む ペ プ チ ドは,Lys残 基 の結 合 位 置 に か か わ ら ず 側 鎖 の ア ミ ノ基 の た め,18一 ク ラ ウ ンー6添 加 に よ り,大 き な 々 増 加 を 示 す2)。 こ の こ と 鳳Lys残 基 に 着 目 した ペ プ チ ド類 の 選 択 的 分 離 分 析 法 の 可 能 性 を 示 唆 して い る。 5結 論 18一ク ラ ウ ンー6を 移 動 相 に 含 む 逆 相 系HPLCに お け る ア ミノ

(9)

酸 の保 持 は,通 常 の イ オ ン対 法 に く らべ て,よ り強 く分 子 構 造 を 反 映 した 変 化 を 示 す ◎ す な わ ち,距 位 や β一位 炭 素 の 級 数 が 低 い α一ア ミノ酸 ほ ど18一 ク ラ ウ ンー6添 加 に よ る 々 の増 加 率 は 大 き マ ご く,ま た,対 応 す る ブ ミン の 々 は,よ り大 き な 増 加 率 を示 した 。 側 鎖 に ア ミノ基 を もつLysは,ほ か の 塩 基 性 ア ミノ酸 よ り 々 の 増 加 率 は大 き 竪 が,環 状 ア ミ ノ酸 で あ るProは ・、逆ezk'の 減 少 を 示 した 。 ま た,ペ プ チ ド類 の保 持 値 はN末 端 残 基 の ア ミ ノ酸 自   身 の 性 質 を 反 膜 じた 変 化 を 示 し た 。N末 端 残 基 の β一位 炭 素 に 枝 分 か れ が あ る ペ プチ ドで は,非 分 枝 型 の も の に く ら べ て,KCSH やk'OSHlk'oが 小 さ く な り,そ の結 果,k'の 増 加 率 が 低 くな る こ とが わ か っ たQ18一 ク ラ ウ ンー6の こ の よ うな分 子 構 造 認 識 能 力 を 利 用 す る こ とに よ っ て,疎 水 性 が 類 似 した 試 料 物 質 問 の分 離 を, 通 常 あ イ オ ン対 法 よ り短 時 間 で効 果 的 に 行 な うこ とが で き た 。

Special

Articles

on

Modern

Chemical

Separation

Reversed.

Phase

High-performance

Liquid Chromatography

of

Amino Acids and Peptides

Utilizing Molecular

Recognizing

Ability of Crown

Ether-Comparison

with Ion-pair

Chromatographyt

Terumichi

NAKAGAWA*, Akimasa

SHIBUKAWA, Atsunori

KAIHARA

and Hisashi TANAKA

Faculty of Pharmaceutical

Sciences, Kyoto University

Sakyo-ku, Kyoto-shi

606 japan

The retention

behaviors of various amino acids, corresponding

amines,

and peptides

in a reversed phase high performance liquid chromatography

with crown ether-containing

mobile phases have been investigated,

and the results were compared with those obtained

in the ion-pair reversed phase chromatography.

The capacity factors were increased by the addition of 18-crown-6 in the mobile phase

according to the association between 18-crown-6 and the protonated primary amino group

of amino acid.

The extent

of the increase varied with the configuration

around the

amino group more specifically than observed in the ion-pair chromatography ; the amino

acid bearing lower class carbon atom(s)

at a- or a-position

showed the higher extent

of the increase.

Lysine,

which has another

amino group on its lateral chain,

showed

the larger increase than histidine and arginine,

while all these basic amino acids indicated

almost the same degree of increase in the ion-pair mode.

However,

proline, which does

not have a primary amino group, showed decreased capacity factor, while it showed increased

capacity factor in the ion-pair chromatography.

The addition of 18-crown-6 caused larger

difference in the capacity factors between amino acid and the corresponding

amine than

that of the ion-pair reagent,

indicating

that the stronger hindrance

stemmed from the

carboxyl group in the association of the a-amino group with 18-crown-6.

Like amino acids, the changes in the capacity factors of peptides caused by the addition

of 18-crown-6

were significantly

dependent on the structure

of the N-terminal

amino

acid residue.

The complex formation

between 18-crown-6 and peptides with a branched

carbon atom at n-position in the N-terminal

residue caused relatively small enhancement

of the capacity factor.

The formation constant was also small.

The structure -recognizing ability of 18-crown-6 enabled the rapid and effective separation

of amino compounds which was difficult in the conventional reversed phase ion-pair

chromato-graphy.

Several examples of amino acids or peptides by the proposed technique are demonstrated.

参照

関連したドキュメント

In [1, 2, 17], following the same strategy of [12], the authors showed a direct Carleman estimate for the backward adjoint system of the population model (1.1) and deduced its

For the survival data, we consider a model in the presence of cure; that is we took the mean of the Poisson process at time t as in (3.2) to be for i = 1, ..., 100, where Z i is

As the number of firms in the triangular network increases, the Kolmogorov statistic D increases, thus allowing us to reject the null hypothesis that the copula of the counterparty

The theory of generalized ordinary differential equations enables one to inves- tigate ordinary differential, difference and impulsive equations from the unified standpoint...

We include applications to elliptic operators with Dirichlet, Neumann or Robin type boundary conditions on L p -spaces and on the space of continuous

We present sufficient conditions for the existence of solutions to Neu- mann and periodic boundary-value problems for some class of quasilinear ordinary differential equations.. We

2 To introduce the natural and adapted bases in tangent and cotangent spaces of the subspaces H 1 and H 2 of H it is convenient to use the matrix representation of

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A