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Outsourcing from Evolutionary Economics Perspective: The Impact of Economic Change and Technology

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Academic year: 2021

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博士論文審査報告書

氏名 ファン シーピン ケビン

Name: Huang, Shihping Kevin

「発展経済学の見通しからのアウトソーシング:経済的変容及び技術の影響」

Outsourcing from Evolutionary Economics Perspective: The Impact of Economic Change and Technology

1 本論文の構成と概要

本博士論文は、企業のアウトソーシング行動を、従来の Transaction Cost TheoryやCore

Competence Theoryなどの企業の収益やリスクから解き明かす議論に対して、新たに技術

の発展と技術革新という視点を加味して理論の再構築を試みるものである。そして、この 理論的展開を実証するものとして、本博士論文は、スポーツ器具のゴルフ産業を取り上げ て、そこでの企業のアウトソーシング行動を分析している。ゴルフ産業を取り上げるのは 300年以上の長い生産の歴史を有し、それ故に技術進歩の歴史をたどりやすく、しかもアッ センブリー産業であるゴルフクラブと非アッセンブリー産業で素材産業に近いゴルフボー ル生産を包み込んでいるため、上記の理論的考察に適合的だからである。こうした意味で、

本論文は、理論的切口の斬新さと取上げた産業のユニークさが注目される論文である。

以下簡単に構成と各章の内容を紹介しておこう。

第1章 序章

第2章 アウトソーシング:その重要性と実行 第1節 アウトソーシングとその重要性 第2節 アウトソーシングの実行 第3章 アウトソーシングのリスクと利益

第1節 利益 第2節 リスク

第4章 アウトソーシングの理論的基礎 第1節 協調的側面

第2節 競争的側面

第5章 Evolutionary Economicsの諸局面 第6章 Industry Evolutionary Theory

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第7章 アウトソーシング分析の統合的枠組 第8章 ケーススタディと適応

第1節 背景

第2節 アクリル酸塩産業 第3節 ゴルフクラブヘッド産業 第9章 結論

序章は、冒頭紹介した本論文の問題設定、主要学説紹介、本論文の全体構成と本論文の 狙い、目的、課題が提示され、本論文の目的が技術革新からのアウトソーシング分析にあ ることが明示される。

第2章 アウトソーシング:その重要性と実行、では、産業レベルと国家レベルの両面か らのアウトーソシングの重要性、その実行の必要性が分析される。従来のアウト ソーシング理論が、企業レベルでの分析に集中していたのに対して、産業、国家 両面から分析した点に新しさをもつ。

第3章 アウトソーシングのリスクと利益、ではアウトソーシングのもつ 2 面性―リスク と利益が検討される。リスクとしては、供給者へのコントロール力、技術ノウハ ウ、生産物の品質優位の喪失の危険性などがあり、利益としては、専門化の推進、

コスト節減、マーケット情報のキャッチ・アップスピードの加速化、企業間連携 の強化などがある。

第4章 アウトソーシングの理論的基礎、ではアウトソーシングでの近年のリスクと利益 理論に関する補強を試みる。従来の議論ではアウトソーシングにおける協調的側 面と競争的側面の分析が不十分であったが、ここではそれを軸にアウトソーシン グを検討する必要性を強調する。

第5章 Evolutionary Economics の 諸 局 面 、 で は ア ウ ト ソ ー シ ン グ 分 析 に お け る Evolutionary Economicsの重要性を指摘し、Evolutionary Theoryをアウトソー シングに適応することを提唱する。そのためにEvolutionary Theory の諸要素の 分析が展開される。

第6章 Industry Evolutionary Theory、では枠組の統合を目指して、産業レベルでのアウ ト ソ ー シ ン グ を 説 明 す る た め Technology S-Curve モ デ ル 、Dynamics of

Innovation モデルの統合が検討される。この両モデルを統合してアウトソーシン

グを説明することに本論文のユニークさがある。

第7章 アウトソーシング分析の統合的枠組、ではアウトソーシングの新理論を模索して、

Evolutionary Theory のアウトソーシングへの適応が試みられる。まず技術革新

の段階を確定する指標として①経済変化、② Technology S Curve の結果、③

Dominant Design,④産業と技術革新の段階があり、それに⑤産業の特殊性、⑥

実行の可能性が加わって、最終的にアウトソーシングへの選択の可否が決定され

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るとした。

第 8 章 ケーススタディと適応、ではアウトソーシング理論のゴルフ産業での検証が行わ れる。まず①なぜゴルフ産業なのか、②ゴルフ企業分析、③ゴルフボールと化学 素材産業、④特許状況などの分析を通じて、ゴルフクラブやゴルフボールを含む ゴルフ産業の技術的発展過程を辿りゴルフ産業の現状の技術を確定している。そ してゴルフ産業が、技術的には成熟段階に達しており、それゆえに30年前では 考えられなかったことだが、アウトソーシングが活発に実施されている事を証明 している。

2 本論文の評価

以上が本論文の簡単な概要であるが、本論文は、従来のアウトソーシング理論が、その 結果だけに着目している点の不十分さに着目し、なぜアウトソーシングが生れるかを考え る場合の原因に留意し、技術レベルの重要性を指摘した。さらにアウトソーシングと産業 の発展レベルに着目し、技術革新が起る時期と段階を確定し、Evolutionary Economicsと アウトソーシングの関連に言及したのである。そして産業の成長段階と成熟段階を区分し、

おなじ産業でもアウトソーシングがおこる時期と段階に相違があることを指摘した。そし て、上記の理論的フレームワークをゴルフ産業に適用し、その技術的発展段階を確定し、

アウトソーシングの段階的変化を跡付けたのである。

従来ともすればアウトソーシングの結果だけに注目し、その基底にあるアウトソーシン グに動く企業の動因に関して見過ごしてきた既存理論に対して批判を加えた点は注目に値 する。また、アウトソーシングの多様性に着目し、その原因を多様性の中から検討し、同 一産業にあってもその技術発展のレベルによってアウトソーシング戦略に相違が現れる点 を指摘した点は、理論的な新しさを提示した点で注目に値する。

以上のことに注目すると本論文は理論的に一定のレベルに到達していると判断する事が できる。また特定産業に着目し、これに分析のメスをいれ、理論的実証を試みた点も積極 的な姿勢として評価できる。

ただいくつかの難点を指摘すれば、理論的提示には見るべきものがあるが、その実証過 程で不十分さが残ることである。本論文では、ゴルフ産業が取り上げられている。ゴルフ 産業はこれまであまり取り上げられてこなかった、という意味でユニークさをもつが、産 業の特殊性を考慮すると、その他の産業へも実証分野を広げるべきではないかと考える。

たとえば、一国の主要産業である機械や電機電子産業、もしくは21世紀をリードする IT 産業などで、本論文で実施されたと同様の考察がなされるならば、一層説得力をもった論 文に仕上がるのではないだろうか。

またアウトソーシング理論をより豊富化するためには、成熟段階に達した技術レベルで

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もアウトソーシングされる場合もされない場合も想定される。そうした相違を考慮のなか に入れるなら、こうした行動を説明する際、「ゲームの理論」などの応用も考慮される必要 が出てこよう。

またアウトソーシングを考える場合製造業と非製造業では違いがあるし、同じ製造業で も「すり合わせ」産業と「組合せ」産業では、アウトソーシングがもつ意味には違いがあ る。さらに国家レベルで考えた場合には、アウトソーシングする側とされる側が国境を越 えてなされる場合には、雇用や所得を含めた新たな問題を考える必要が出てこよう。こう した問題を考慮に入れたアウトソーシング理論の豊富化は、これからの課題であろう。

3 結論

以上、課題はいくつか残されているが、上記の理由から我々審査委員会は 2006 年 5 月 17 日開催の博士論文審査会において、満場一致をもって本論文を博士論文として認め、本 論文に博士号(学術)を授与することとした。

主査 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授 文学博士 小林英夫 印 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授 経済学博士 阿部義章 印

早稲田大学商学学術院教授 商学博士 江夏健一 印

早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授 相葉宏二 印

参照

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