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[Lac Cultivation and Host Tree Plantation in Northern Thailand]

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(1)

東南 アジア研究 28巻 2号 1990年9月

北 タイ地方におけ るラック作 りの技術 と宿主木について

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ShinyaTAKEDA*

Thetechmiqueoflaccltuivation in northem Thailand,includingbreedingofthelacinsect(Lac -ctjTer hlCCU)and management of host tree plantations, are described. The historical changesintreespeciesused ashostarealso discussed.

Traditionauy,lacwasc山tivatedonwildhost trees. Sincetheintroductionoftheraintree

(SbmaneGSaman)atthebeginningofthiscentury,

lachasbeencultivatedinhosttreeplantations. Today,mostlocalpeoplebelievetheraintreeto beindigenous,asithasspreadsowidelyasa hosttreeovernorthem Thailand. Laccdtivation,hosttreeplantationandrice cultivation arecombined into an agro-forestry system inthefarm householdeconomy. Inthis Ⅰ は じ め に ラ ックとは , ラ ックカイ ガ ラム シ (学 名 -エαccZfer h2CCa, タイ名 -khrang)がその巣 を作 るために木の枝 の上に出す樹脂状の分泌 物である (以下, この樹脂状物質 な らびにそ れか ら得 られ る半製品を 「ラ ック」, ラ ック カイ ガラムシの ことを 「ラック虫」 と記 し区 別す る)。 ラッカー (lacquer)とい う語は, こ の ラ ックに由来 している。赤色染料 として, また, ニス,封蝋 ,靴墨,エボナイ トな どを *京 都 大 学 農 学 部 ;Faculty of Agriculture,

KyotoUniversity,Kitashirakawa,Sakyo-kn, Kyoto606,Japan

system,thefarmerengagesinlaccdtivationin theagriculturaloff・seasontoCam cashincomein theshortten . Inthelongten,theunstablei n-comefrom riceproductionissupplementedby selling old host trees. Lac cultivation and agnculturethuscomplementeachother.

Withtheincreasingdemandforseedlaconthe worldmarket,Thailandhasbecomeoneofthe world's leading lac producing countries since WorldWarII. Withtheboostoflacproduction,

raintreeplantationshaveincreased. Nowadays -theseplantationsareaveryimportantsourceof timberforthelocalmarket. Theraintreeplanta・ tioncanbeconsideredasan"endogenousforest plantation"inThailand. 作 る樹脂状原料 として利用で きる。 かつては コチニールl)の代用品 として もっ ぱ ら赤色染料 として利用 されたが,赤色化学 染料 であ るアニ リン (aniline)が発見 された のち染料 としての価値はほ とん どな くな って しまった。 しか し,樹脂状物質 として熱可塑 物,あるいは ワニスや光沢剤 の原料 と しての 利用法が開発 され,その重要性は現在 で も低 くない。 現在 タイは,イ ン ドとな らぷ世界的 な ラ ッ 1)cochineal。 メキシコや中米地方でサボテン に寄生するカイガラムシの一種であるコチ ニール ・エソジムシ(Dac

bbiuscoccus)の雌 を乾燥 したもので赤色染料となる。

(2)

竹田 :北タイ地方におけるラック作 りの技術と宿主木について ク生産 国であ り, タイ産 ラ ックは,世 界貿 易

市場 の約半分 を 占めてい る。産地 は北部 及 び 東 北 部 で あ る。 特 に北 タイ で は , ラ ック虫 の宿 主 未 とな る ア メ リカネ ム ノキ (学 名

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, タイ名-Chaamchuree,2)

北 タイ名-Samsaa,英 名 -Rain tree)が い た る とろ こに見 られ ,北 タイ農村 の景観 を形 作 ってい る。

タイにおけ る ラ ック作 りに関 しては,古 い も の で は

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ry -tThailand,TheMinistryofCommerceand Communications 19301に ま とまった記載 が あ る。また ,近 年 の もの で は,Tantawutthoe 【1963;19661,Subansenee【19861な どに よる 報告 があ るが,いずれ も簡 単 な概要説 明か , あ るい は ラ ッ ク作 り実 践 の技 術 普 及 書 で あ り,今 日の タイにおけ る ラ ック作 りの実態 に つ いては十 分 に記述 され て いない 。3) そ こで 本稿 では ,北 タイ地方 におけ る現在 の ラ ック 作 りの技 術 ,す なわ ち飼育 ,宿主木管理 につ いて報告 し,宿主木樹種 の利 用 の変遷 につ い て も若干考 察 したい。4) 2)富田 【1987:1761は 「ノミンコクの人はこの木 を誤 ってジャームジュリーと呼ぶ ことが多 い」としているが,ここではSmitinand【1980: 2941に従ってタイ名は Chaamchuree とし た。 3)最近,渡辺はラムパーン (北タイ)のラック 作 りについて報告 し

,

「村の暮 しと,アメリ カネムノキの林の管理の仕方に学ぶことはま だまだ多い」[渡辺 1989:96] と指摘 して いる。なお,ラックに関する研究はインドで 数多 くなされている. とくにBiharの Indian LacResearchlnstituteにおける研究の成果 から,ラック虫の生活史と宿主木の管理を適 切に組み合わせることにより,戦後 ラックの 生産技術は飛躍的に向上 したといわれる。タ イにおいては,王室林野局を中心 としてラッ ク研究 と飼育技術指導が行われている。 4)本稿で主に用いる資料は,筆者が文部省アジ ア諸国等派遣留学生 (1986年度)としてタイ 国カセサー ト大学林学部留学中に,ラムパー ⅠⅠ 飼 育 技 術 ラ ック作 りの技術 は, ラ ック虫 と宿主木 と の 「寄生 ・宿主関係」 の応用 であ り, ラ ック 虫の生活 史 に対 応 した宿 主木 の林業 的管理技 術 であ る。 そ こで まず , ラ ック虫 の生活 史を 概観 した い。 そ の後 , ラムパ ー ン県 メータ郡 77スア行政 区 フアスア村 を事例 と して,北 タイでの ラ ック作 りの実際 につ いて述べ る。 ⅠⅠ. 1 ラ ックカイ ガラム シとそ の生活 史 ラ ックを産す るカイ ガ ラム シは,イ ン ドで は14種 が記録 され てい るが ,そ の同定 には混 同が あ り,そ の多 くが

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a であ る 可能性が あ る といわれ てい る【India,Council ofScienti丘C&IndustrialResearch 1962:1]

タ イ に お け る 飼 育 ラ ッ ク虫 は ,

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であ る との記載

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】もあ るが , 一般 には

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と同定 され てい る。 幼 虫 は,赤 色 で , お よそ 0.5mmxO.25 mm の舟型 を してい る。 ?の殻 (laccell)か ら多数 の幼虫 が僻化 して,宿主木 の枝 に這 い 上 り広が る。通常 ,1頭 の ?か ら300-1,000 の幼 虫が筋化す るo幼虫 は一 度定着 す る と脚 がな くな り,そ の場所か ら動 け な くな る。定 着 して約 1週 間後 よ り幼 虫は ラ ックを分泌す る。 ラ ックを分泌す る分泌腺 は, 口と肝 門 を 除いた表 皮全面 に分布す る。 したが って幼虫 紘, 自らが分泌す る ラ ックでで きた殻 に被わ れ ,それ は幼 虫 の成長 とともに大 き くな って い く。幼 虫は , さな ぎにな るまでに3回脱皮 す る。 ♂の殻 は,ス リッパの よ うな形 を してお り, 羽化す る と,蓋 (operculum)を押 し破 って成 虫が 出て来 る。 ?は3回脱 皮す る と成熟 し,羽化後62-92 ソ県メータ郡 フアスア行政区77スア村 とそ の近隣村で行なった調査により得たものであ る。 183

(3)

東南 アジア研究 28巻2号 時間生 き続け る ♂成虫 と交尾す る。 ?は,授 精後 もラ ックを分泌 し続け る。 ?の体 とその 殻は速やかに大 き くな り,その殻は ♂の場合 の数倍になる。 9は産卵す るまで ラ ックを分 泌 し続け る。 産卵期が近づ くと ?の体は片側に縮み,殻 の中に徐 々に空隙がで きる。 殻 の中に産み付 け られた卵 は,産卵後す ぐに僻化 し幼虫 とな る。 ⅠⅠ. 2 接種か ら収穫 まで ラ ック虫 の ライ フサ イ クルは6カ月 な の で

,1

年 に

2

回の収穫 も可能 であ るが,現在 , 北 タイでは2回の ライ フサイ クルを連続 して 利用す ることに よ り,1年 に1回収穫 してい る。す なわ ち,12-1月 に接種 され た ラ ック 虫は,5- 6月にその 1回 目の ライ フサイ ク ルを終 え,同一 の宿主木に 自家接種す る.そ して次の10-12月に収穫 され る。 北 タイにおけ る宿主木は,アメ リカネムノ キが大多数だが,表 1に示 した通 り他の多 く の種 に も接種 で きる。前年度の収穫 を終 えた ばか りの宿主木は,枝を刈 り払われ て丸坊主 とな ってい るので,同 じ木に2年続けて接種 す ることは出来ない。すなわち宿主木は隔年 利用 しか出来 ない。 もっとも最低18カ月は休 ませた方が よい といわれている。 12-1月に種 ラ ックの採種 ・接種作業 を行 う。種 ラ ック (broodlac, タイ名-theeng, 北 タイ名-an)と してな るべ く沢 山 ラ ックの 付いた きれ いな枝 を落 とし,15-18

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の長 さに切 る。5) その種 ラ ックの付 いた枝2本を 稲藁や ココヤシの葉 で 「逆 Ⅴ 字型」に左右 に振 り分け るよ うに くるみ,それ を 「や じろ 5)通常は幼虫が筋化する前に種用ラックの付着 した枝が切られる。 しか し,種用のラックは 切らずにおいて頃合を見計らって木に登 り, 幼虫が出ていたら切るという農家が 1世帯だ けあった。 ベ い」の よ うに して枝 にぶ らさげ る。この 「や じろべ い」 を タイ名 で 「mang-khrang」,北 タイ名 で 「nguang-khrang」とい う。 また こ の よ うに接種す ることを,「plooykhrang(ラ ック虫 を解 き放つ)」 とい う。 ラ ック虫は, 上 に 向か って進 ん でい く習性 が あ るので, r uang-khrang か ら枝 に這 い移 り, さらに梢 に向か って這 い上 り広が ってい く。 mang-khrang 作 りは,小量 であれば家族 労働力のみで, また作業量が多 い場合は雇用 労働力を用 いて行 うことが多い。雇主は種 ラ ックと稲藁 を用意 し,作業者は竹製 の縛 り紐 (took)を用意す る。賃金は出来高制 で,100 個 あた り10-15バ ーツである。 1人 で1日に 200個 は ど作れ る。 実際 の作業内容は,次の よ うである。 (1)稲藁 を適量掴み,端 を地面 に トン トン と当てて揃 える。 中程 の2点を 5-6

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は な して竹紐 で縛 る。 この2点 の間は枝に当た る部分 なので竹紐 を渡 して補強す る。 (2) 一本 目の種 ラ ックを竹紐 で縛 った片方 の1点の下に包み込み,端 を竹紐 で縛 る。 (3) 二本 目の種 ラックを も う片方の竹紐 で 縛 った点の下に包み込み,端 を竹紐 で縛 る。 (4) 両端 の余 った藁 を切 り落 とす。 (5) 中央上部 に軽 く切れ込みを入れ,そ こ を中心 に して約90度 に折 り曲げ る。 こ うして作 られた ruang-khrangは,家 の 高床下 に保存 され,幼虫 (tuanee)が出姶め た のを確認 して,接種 作 業 が始 め られ る。 1989年 の場合,接種作業は,1月10日ごろか らは じまって4- 5日間で終 了 した。 なお幼 虫筋化時期は, ラ ックの殻 の表面 の黄色い点 あ るいは,殻を割 ってその中の 「ツブツブ」 の様子か ら予測 され る。 宿主木の大 きさに よって異 な るが, 1本 の 木 に つ きお よそ30- 50個 は ど の mang-khrang を接種す る。接種作業は,通常 2人 1組 で行 う。 大 きな木 な ら2- 3本/日,小

(4)

竹田 :北 タイ地方におけるラック作 りの技術 と宿主木について 表1 タイにおけ るラ ック作 りの宿主木樹種名 とその適性度 学 名 タ イ 名 適性度 Acaciacatechu seesiat ++十 Aihmthustriphysa mayOm paa

++

Albiziachinensis kaangluang

+

Albiziakbbeckoides khaang

+

Albizialucidior panthae

十十十

Albiziaodwatissima kaangkheemot na Albizia♪roce和 thingthon + BuchaMnialucida mamuangkheekrataai

+

ButeamonosPeTma thongkwaao

+++

CaesalpiniadigM kamchaai + CajanuscaJan thuarae

++

Combyletum quad71angulare sakaenaa

++

Crotonspp. - + Dalbergw cochinchinsis phayuung

+++

Dalbergはmgescens chanuan

++

DiosPyrosspp. -

+

D779etesroxburghii prakham kai + FicusalbiPihl liangphueng

+++

Ficusaltissima kraang

+十

FicusdyuPacea lungkhon

+++

Ficusracemosa madueauthumphon 十十十 Moghanib macroPhylhz khaminnaang

十++

Pentacebuymanica seesiatplueak

+++

Samaneasaman chaamchuree,samsaa

+++

Schleicheraoleosa takhro

++++

Shorearoxburghii phayom

+++

Shoreasiamensis rang

+

ZiZyPhusjujuba pbutsaacheen na

ZizyPhusmauritiana phutsaa

十++

注)適性度の表示 内容は次の通 り。

+

十分使用可能

++

質の良い ラ ックが生産可能

+++

非常 に質の良い ラ ックが生産可能 ++++ 最上品質の ラ ックが生産可能 na 不明

(資料) :① TantaⅥmtthoel1963]② Thailand,TheMinistryofCommerce andCommunications[1930]な らびに,くさ プ レーの ラ ック普及セ ンターで の聞 き取 りに よる。なお学名は,Smitinand[19801に従い統一 した。 さな木な ら5- 6本/日接種 出来 る.熟練者 ることもある.6)接種作業の賃金は

7

0

バーツ/ であれば,1日に3-10本の木に登 って接種 人 ・日, 2年 前 は50バ ー ツ/人 ・日だ った できる。接種 と収穫の両作業は,大木に登 る 6)調 査 中 の1989年 1月 に も調 査 地 と同一 郡 危険な作業で もある。墜落事故で死亡者がで (メータ郡)内で 1人が墜落死 した。 185

(5)

東南 アジア研究 28巻2号

写真1 和ang-khrang作 りに備えて集め られた種 ラ ック

(6)

竹 田 :北 タイ地方 におけ るラ ック作 りの技術 と宿主木について 写真 3 稲藁 の束 の 中程 の2点 を竹紐で縛 る 写真4 種 ラ ックを左右1本ず つ包 み ,両端 の余 った 藁を切 り落 とす 写真5 中央 上部 に軽 く切 れ込 みを入れ,そこを中心 に して折 り曲げ る 写真3- 5 mang-khrang の 作 り方 187

(7)

東南 アジア研究 28巻2号 写真6 足がか り手がか りになた 目を入れ る (1987年12月現在 ・フアスア村)0 大 きな木には,最初 の枝 までの手がか り足 がか りに,なた 目を入れ る。最初の枝 までは, 梯子 を使 うこともあるO手 の届かない枝先に は,先端 を尖 らせた竹竿 (タイ名

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, 北 タイ名

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の先に

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を突 き刺 して枝 にぶ ら下げ る。登 る前に竹竿 を木に立てかけてお き, しっか りした枝 まで た ど り着 い た ら, 竹 竿 と と も に

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の束 を引 き上げ る。そのため竹竿の 元 口の方は

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の束 を くくりつけ られ るよ うに削 ってあ る。 さて この ように して樹上 に置かれた種 ラ ッ クよ り幼虫が抜け出た後に, 3- 4月に この 188

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を回収 して抜け殻 とな った ラ ックを売 る。 この回収時に捨 て られた稲藁が 林床 で よ く見受け られ る。すでに幼虫が抜け 出てお り, しか もよく乾燥 していて シー ドラ ックの歩止 ま りが よいため,一般 の もの よ り 高い価格で取引 され る。 しか し市場価格が悪 く割が合わない年 にはその まま放置 され るこ ともある。 接種後収穫 までの1年間, ラ ック虫は放置 され る。例 えば害虫 ・天敵 の防御等の積極的 な管理はな され ない。 この期間農家は主業 の 水 田稲作に専念す る。 ラック作 りが農家 の副 業 として好 まれ る大 きな理 由は, この労働粗 放性 である。 . l l ..T

(8)

竹田 :北タイ地方におけるラック作 りの技術と宿主木について 写真7 竹竿(ma主luak)の先端に突 き刺 したmang-khrangを枝にかける ラ ック作 りの問題 点 は ,天候 (暑 季 の高温 と 日照 り) と林床 火災 で あ る。 これ に 当た る と ラ ック虫 も死ぬ し,植栽 木 も枯 れ て しま う。 ラ ック虫 が死 ん で しま うこ とを村 人 は 「逃 げ て しま う (nii)」と表 現 す る。 暑季 の暑 さか ら ラ ック虫 を保 護 す るため に,宿主 木 に は この 時期 に落葉 しな い常 緑樹 が望 ま しい。 この点 で もア メ リカネ ム ノキは適 してい る。7) ラ ック虫 が よ く繁 殖 した年 の雨季 の6- 7 月 に は , ラ ック虫 の分 泌物 が落 ちて,林床 に 生 え る草 木 の葉 が真 っ黒 に な る。 「ラ ック虫 の糞 が雨 の よ うに降 って くる」 と村 人 は表 現 す る。 キ ンカー (キ ノポ リ トカ ゲの一 種 ,学 7)タイラック協会の勝英雄によると,4loC を 越える日が2日続 くとラック虫が死んで しま い,広範囲にわたって ラック生産に大 きな被 害が出るとい う。 この理由は不明であるが, 乾燥に耐えるために木の表皮が硬 くな り,虫 が樹液を吸えな くなるためではないか と,同 氏は指摘 している。 名

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まで も黒 くな る と言 わ れ る。 ラ ッ ク収 穫 作 業 は10月 半 ば か ら始 ま る。 1988年 に は10月10日 ごろか ら収 穫 が 始 ま っ た。この時 期 は 同時 に稲 刈 りの季 節 で もあ り, 田畑 の農作 業 の方 を優 先 させ て ラ ック収穫 作 業 は 「ぼ ちぼ ち」(than maymay)や って い く。8)

1

2

月末 までには ほ ぼ終 了す る。 小規模 な場 合 は ,家 族 労働 力 だ け で収穫 作 業 を行 うのが一般 的 であ るが , 中規模 以上 の 収穫 作 業 は , 日雇 い賃払 いで行 わ れ る こ とが 多 い。 一 度 に お よそ10人 を雇 う。 1本 の木 に つ き男 1人 が樹上 に登 って枝 を切 り落 と し, 残 りの9人 が地上 で作 業 す る。地 上 では ,男 8)稲刈 りの時期に降 る雨は,「稲を傷める雨」 (fonkleengkhaao)と呼ばれ,雨の降 った後 は,みんな稲刈 りを急 ぐ。 また木が濡れてい ると樹上作業が危険なので,雨が降ると村人 は稲刈 り作業に集中 し,ラック収穫作業は後 回 しにされる。 189

(9)

東南 アジア研究 28巻2号 写真8 宿主木 の枝 にかけ られ たruang-khrang が切 り落 とされた枝 を拾 い集め約 30cm の 長 さに切 りそろえる。女がその枝か らラ ック をそ ぎ落 とす。 1人 で1日に宿主木3本は切 れ る。賃金は,樹上作業 (男)が

5

0

バ ー ツ/ 人 ・日,地上作業 の男が30バ ー ツ/人 ・日, 女 が25バ ーツ/人 ・日であ る (1988年10月現 在 ・フア ス ア村)09) 9)1988年11月にチ ェソラーイ県 で出会 った収穫 作業 では賃金 は次 の よ うであ った。 なお宿主 木は大 きな ア メ リカネ ム ノキで,生 ラ ック約 200kgの収穫予定 であ った。 樹上に男2人 (60バーツ/人 地上に男5人 (30バーツノ人 女5人 (25バーツ/人 ー ヽ1 1 日 日 日 枝を切 り落 としたその場 で, ラ ックを枝か らそ ぎ落 とす ことが多いが,家 の近 くな ら持 ち帰 って星敷地 で作業をす ることもあ る。 枝か らそ ぎ落 とした ラ ックを 「khrang

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(-生 ラ ック), または,khiikhrang(-ラ ッ ク虫 の糞 )」 (sticklac,梓梗 ) と呼ぶ。 そ の ままの状態で,取引 され る。10) 10)販売以外 に,村 中での ラ ックの用途 は,次の 2点 であ る。 (1) 刃物 の杖付け(khaomiit) (2) 桶や舟等 の水漏れ穴 をふ さ ぐ ラムパ ー ン県, プ レー県周辺 には鍛 冶屋村が 多 い。そ こで生産 され る刃物 の杖付 けに もラ ックが使われ てい る。

(10)

竹 田 :北 タイ地方におけるラック作 りの技術 と宿主木について

写真9 収穫作業。樹上 に登 り, ラ ックの付 いた枝 を切 り落 とす

写真10 星敷地 で作業す るため, ラ ックの付 いた枝 を持 ち帰 る

(11)

東南アジア研究 28巻2号 写真11 ラックを枝か らそぎ落 とす 宿 主 木 が ア メ リカネ ム ノキの場 合 ,

5

年 生 で 1-2kg/本 ・年 ,15年 生 で 100-150kg/本 ・年 の ラ ックが生産 で きる。11) 1987年 には, フアス ア村 に ラ ック虫飼育業 組 合 が で き,現在 約60人 の組合員 が い る。現 時点 で は まだ組 合 と して の活動 は始 め られ て い な い。 後 述 す る ア ンケー ト調 査 に よる と, 組 合 全体 で年 間約 70ton の ラ ックを生産 し てお り,組 合 員 1戸 当た りの年 間平 均生産量 は 1,150kg であ る。 また宿主 木 1本 当た り の平 均産 出量 は,51.4kg/本 ・年 であ る。 ラ ッ クの生 産 量 は 年 に よ る変 動 が 大 きい ll)村人は,大きな木で 100-200kg/本,小 さな 木で 40-50kg/本の産出があるとい う。 7 7スア村の村長の家では,かつて大木 2本か ら4万バーツの売上げがあった。その年の庭 先価格は70-100バーツ/kgであったので,1 本の木で 200kg以上の収穫があった計算に なる。 写真12 収穫後の宿主木 (アメ リカネムノキ) 表2 ラック農家庭先価格の変動 年 度 ラック農家庭先価格・(パー ツ瓜g) 1984 80 1985 50 1986 30-40 1987 20-25 注)各年度 ともフアスア村での収穫期 (10-12 月)の価格。 1988年11月のチ ェソラーイ県での聞き取 りで は,1987年で 16バーツ/kg,1988年で 7.25バー ツ/kgであった。 (204頁 の図 6参照 )。 農家庭 先価格 も年 ・月 に よ って大 き く変 わ る。 た だ しここ数 年 は , 一 方 的 な低下 傾 向に あ る。 特 に1988年 は庭先 価 格 で

8

バ ー ツ/kg と安値 だ った (表 2

)

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(12)

竹田 :北タイ地方におけるラック作 りの技術と宿主木について ん とか損 は しないが儲 け には な らな い」 とい う。12)

宿 主 木 の 管 理

. 1

土地利用 と宿主 木園 の構造 77ス ア村 の土地利 用 を図 1に示す。 同村 は284戸 か らな り,村 人 は 水 田稲 作 とラ ック 作 りを生 業 と してい る。村 の中を メ-チ ャー ソ川 が流 れ てお り,そ の左 岸 は広 大 な ア メ リ カネ ム ノキ園 とな ってい る。13) また各戸 の星 敷地 内に もア メ リカネ ム ノキが植栽 され てお り,ラ ック虫 の宿主木 と して利 用 され てい る。 農地 は,水 田 (naa),畑 (rai),園地 (suan) と

3

つ に分類 され る。 ア メ リカネ ムノキが ま とま ってあ る場合 には,最後 の園地 に分類 さ れ 「ア メ リカネ ム ノキ園」(suantonsamsaa)

と呼ばれ る。 しか し, ア メ リカネ ム ノキが ど の よ うな土 地 に生 え て い る の か と尋 ね る と 「フア ライ ・プ ライ ナ ー (huarai plaainaa)

であ る との答 えがか え って くる。 直訳すれ ば 「畑 の頭 水 田の終 り」であ る。実 際 には, す でに 占有 (coongwai)した土地 の内,畑や 水 田の周縁部 で まだ農地 と して利用 していな いか , あ るいは利 用 で きない部分 であ る。14) 宿主 木 園内の立 木 の樹 冠投影 図 を図

2

に示 12)例えば S氏は,次のようにい う。「価格がな ぜ このように変動するのかは知 らないが,そ れは常に市場次第(ruangtlaat)だ。政府に保 証価格を設定 してほ しい。kg 当た り最低15 バーツは欲 しいo」 13)川沿いでアメリカネムノキが沢山育 っている 土地はティー ・ポーン(tiipoong)あるいはテ ィー ・ゴーク(tiingook)と呼ばれる.アメリ カネムノキは,パーペ (paapae)と呼ばれる 乾燥 フタバガキ林 よりも川沿いの方がよく育 つ

0

14)77スア村からの出作 り焼畑地においても同 様である。陸稲を 1年間作付け し,翌年には そこに隣接 してアメリカネムノキが植栽 され ている。 す。 立木密度 は 138本 /ha,最大樹 高 は 25m であ る。 ア メ リカネ ム ノキは,樹 高 はそれ ほ ど高 くな らないが ,大 きな傘 状 の樹冠 を もつ のが特徴 であ る。 そ のため立 木密度 は,高 く な い。 一 方 ,胸 高 断面 積 合 計 は,45.62m2/ haであ った。 ラ ック作 りのため に長 年 にわた って繰 り返 し枝 打 ちをす るので,例 えば

N0.6

の よ うに 胸高 直径 が大 きいのに ,樹 高や クローネ幅 は それ ほ ど大 き くない個 体 がみ られ る。

. 2

宿 主 木 の保 有 ・所 有 と ラ ック接 種 頻度 す で に述べ た よ うに ラ ック虫飼育 の宿主木 は, もっぱ らア メ リカネ ム ノキであ る。 それ は,水 田の畦 に単木 で植 え られ て いた り,川 沿 いの土 手 に あ った り,あ るいは ま とま って 植 え られ 宿主 木 園を形 成 してい る。 宿主 木園 も含 め農地 の土地保有 ・所有 関係 には ,(丑土地証書 の ない もの と,② nos03 を所持す る もの とが あ る。15)土地証 書 な しで も,地域維持税 を納 め てい る場合 もあ るが , これ は土 地 の権利 の発生 消滅 とは関 係 ない。 土地証 書 が ない場 合 で も,実質的 な土地保有 者 は確 定 してお り,村 内 に 「無 主地」はない。 川 の土手 ,道路脇 や寺 の境 内等 の公有地 に あ る宿主 木は ,株所 有 の形態 を とる。 それ以 外 に, フア ライ ・プ ライ ナ ーに2- 3本植 え られ てい る場 合 も,土地所 有意識 よ りも株所 有意識 の方 が強 い よ うに思われ る。 フアス ア村 におけ る各 ラ ック生産 世帯 の宿 主木 の所有規模 は,単株 か ら大宿主 木園 にい た る まで様 々であ る。一般 農家 各戸 は,小規 模 なが らも各 々ア メ リカネ ム ノキの株 を持 っ 15)nos03とは,土地利用済確認証書である。 農地には,土地所有証書(chanoodthiidin)は 未だ発行されていない。また po bo tho 5 (phaasiibammngthongtii)とは,地域維持税 である。 193

(13)

東南 アジア研究 28巻2号

コ 農

メ リ カ ネ ム ノ

キ園

森 林

ここ=

河 川

図1 77 ス ア村 の土地 利 用

0

500m I l l I l I N t

(14)

ヰ EE : j t P J 甚 軸 K 哲 耳 か qt ヾ g Y F 9 8 滞 寄 付 哉 抽 斗

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{ 、 / ′● 0 ○ ○ 4 I - 1- I-、\ヽヽ II 〇 一 2 I 2 ○ i ○ 5 ●。●.I-一●一■■一■■■■●●■●● ...●■●I 一一一■ ・O. 樹 種 讐 m戸 胸寓 径 ・O. 樹 種 #(m戸 胸琵 径 1 Samaneasaman 20 71 7 Samaneasaman 18 53 2 Samaneasaman 18

4

1

8 Samaneasaman 15 71 3 Samaneasaman 22 60 9 Samaneasaman 19 67 4 Samaneasaman 21 39 10 (unidenti五ed) 8 16 5 Samaneasaman 21 69 11 Samaneasaman 25 5 6 Samaneasaman 17 103 12 Samaneasaman 18 83 図2 宿主木 園の樹 冠投影図(20mx20m)

(15)

東南 アジア研究 28巻2号 写真13 水 田 と隣接 す るア メ リカネ ム ノキ宿主 木 園 てお り, また宿主木 の大所有者 は,主に賃金 雇用労働力を用 いて ラ ック作 りを している。 そ こで村全体 の ラ ック生産 の概要を知 るた めに前述の ラ ック虫飼育業魁合組合員を対象 に,簡単なア ンケー ト調査を実施 した。 内容 は,1987年度におけ る①所有株数 ,②接種株 数,③ ラ ック産 出量 ,以上 の3点 であ る。ほ ぼ全員にあた る

6

0

名 の組合員か らア ンケー ト の回答が得 られた。 所有株階層別分布 を表3に示す。20-40本 所有層が最 も多 く, また上層20%が全株数 の 52%を所有 してい る。ただ し単株所有に近 い 小規模生産農家は組合に入 っていないので, この結果は村全体 の所有株数階層別分布 を正 確 に反映す る ものではない。 また,接種株数 とラ ック生産量 との関係を 図3に示す。接種株数 1本あた りの単純平均 産 出量は

,5

1

.

4k

g/

本 であ る。 次 に

「(

所有株数)一 (接種株数 )-(休 悶株 敬)」と考 え,接種株数 と休閑株数 の差 と所 表3 所 有株 数 階層 別分布 所 有 株 数階層 (本 ) 世 帯 所 有 株 数 世 帯 数 累 横 % 所有株 数 計 累 積 % <20 13 22 170 6 20≦40 24 62 601 29 40≦60 ll 80 490 48 60≦80 0 80 0 48 80≦100 6 90 485 66 100> 6 100 900 100 合 計 60 100 2646 100

(16)

竹 田 :北 タイ地方 におけ るラ ック作 りの技術 と宿主木について

一フ

土圧

■王

(B q o o o L X)

0

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0

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1

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0

種 株艶

(

本) 図3 接種株

とラ ック

産量 との関係

0

2

0

4

0

6

0

8

0

1

0

0

1

2

0

1

4

0

1

6

0

所有株数 (

本)

図4 接種株数 と休閑株数 の差 と所有株数 の関係 197

(17)

東南アジア研究 28巻2号 有株数 の関係 を示 したのが 図 4であ る。接種 株合計は

1

,

3

4

3

本,休閑株合計 は

1

,

3

0

3

本 であ りはば同数 とな ってい る。 しか し図

4

をみ る と上下 にか な り変異が見 られ る。この こ とは, 各世帯単位 (-経営単位) では均等 な接種 を 毎年続けてい るのではな く,多作年 と少作年 があ る ことを示 してい る。 しか しそれを村 全 体 と して平均 してみ る と,前述 の よ うに接種 株数 と休閑株数 がほぼ均衡 してい る。 これ は 宿主木が隔年利用 しか で きない とい う技術上 の問題が接種株 数 を強 く規定 してい る結果 で あろ う。

. 3

宿主木 の植栽 と伐木 村人は, ア メ リカネ ム ノキを外来種 であ る とは意識 していない。祖父 ・祖母 の時代か ら す でにあ った在来種 であ る と考 えてい る。 植栽 は,天然実生苗 を移植す ることが多 い. 簡単 に手 に入 る。 水牛 の糞か ら出て きた りも す る。種 を取 って きて庭先 に まき,簡単 な苗 床 を作 ってい る世帯 もあ り, ポ ッ ト苗に して 山出 ししてい る。以前 は竹製 ポ ッ トを用 いて, 山出 しの ときには竹 を ナタで割 り移植 してい た。現在 では プラスチ ック袋 を代用 した ポ ッ トに代わ ってい る。16)宿主園所 有者 は,

1

-3

年 に1回植栽 してい る。 また萌芽更新 も行 え る。 ア メ リカネ ム ノキが老齢 木 とな りラ ック生 産 に不適 とな った り,立枯れ した場合 ,あ る いは急 な出費が あ り, まとまった現金が必要 とな った場合 には,それ を売 る。特 に稲 の出 来柄 が悪 い年 に売 る とい う。 ア メ リカネ ム ノ キの立木は, まわ りの村か ら仲 買人が買付け に来 る。今 日, アメ リカネム ノキほ,木彫 り 16)苗の仕立て方には,各人の小さな工夫 と目安 がある。たとえば

,

「紙袋のポ ットに種子3 個を入れある程度の長さ (20cm ほど)にな ったら植えに行 くC移植時にはきゅう肥を与 える」 とい う具合だ。 用材 と しての需要が特 に大 きい。17)売買 の約 束 をす る時 は,「林 の中で木 を指 さす」 だ け で,立木 の ままで売 る。大木 は, 1本 当た り 1万バ ー ツか ら

2

万バ ー ツで売 れ る。法定外 樹種 (ma主nookkotmaai)なので合法だ し,課 税対象 に もな らない。18) アメ リカネ ムノキを伐採 し,木彫 り用材 と して売 った残 りの,枝や根 の部 分 を燃料材 と してチ ェンマイ等 に売 る こともあ る。特 に タ バ コ乾煉工場 での燃料材 として需要があ る。 1立方米 (laa)当た り100バ ー ツ以上 で売れ る。 また 77スア村 には,ほぼ ア メ リカネ ム ノ キ の み を 扱 う製 材 木 工 所 が

1

工 場 あ る。19)

1

9

8

0

年 よ り操業 してお り,毎 日

1

0

-2

0

人 の作 業 員を

6

0

-1

0

0

バ ー ツ/日の 日当で雇用 してい る。梱包用 の木枠 箱

(

3

2

バ ー ツ/個),板切れ (3バ ー ツ/秩 ),柵 用棒 _(10バ ー ツ/本) な どを注文 に応 じて生産 してい る。 この よ うに村 の内外 でア メ リカネ ムノキ材 の需要 は高い。 これ に対 して, ア メ リカネ ム ノキ林 の用材林 と しての生産能 力,供給能 力 は どの よ うであ ろ うか。 ア ンケー トよ り組合員

6

0

世帯 中

,3

0

本以上

6

0

本未満所有世帯 が

2

2

世帯

,6

0

本以上 の世帯 が

1

2

世帯 あ る。伐期 を

3

0

年 と想定すれば,香 年所有木

3

0

本に

1

本 の割合 で販売す る ことが で きる。す なわ ち,経営単位 であ る個 々の世 17)77スア村近隣で木彫 りが盛んなル ック村か ら買付けに来る人が多い。なおチェンマイ等 で売られている木彫 りの材料は,そのほとん どすべてがアメリカネムノキである。 18)ここで 「法定外樹種」 とは,森林法第 7条に よる 「禁制木」(maihuanghaam)でない樹 種を指す。チークとヤーンは 「禁制木」であ り,いかなる場所に生えていようともその伐 採には許可が必要 となる。この2樹種以外に も 多 くの 樹 種 が 勅 諭 (phraraatcha-krit sadiikaa)により 「禁制木」に加えられてい る。 19)村内には,副業としてチークの古材から建具 (扉 ・窓枠)や家具を作っている世帯もある。

(18)

竹 田 :北 タイ地 方 におけ る ラ ック作 りの技 術 と宿主 木 につ いて 写真14 アメリカネムノキのポ ット苗 帯 をみ る と,所有面 積 ・本数 ともに小規模 で あ るが ,半数 以上 の世 帯 が毎年 少 な くとも1 本 は売却 で きる可能性 を持 つ。特 に上層 の所 有本数 の多 い世 帯 は,実際 に毎年 立木 を売却 してい る。 例示す る と次 の よ うであ る。 (例

1)1

5

0

本所 有す る

S

氏 は ,毎年

4- 5

本 を売却 してい る。

3

年 に 1回植栽す る よ う に してい る。祖先 が植 えて くれ た木 に頼 って お金 を儲 け てい る とい う。 (例

2)1

0

0

本所 有す る

P

氏 は,昨年

3

0

本売 った。 木 は, ラ ック作 りに支 障 が 出ない範 囲 で売 る とい う。 (例 3)60本所 有す る M 氏 は,昨年 7本売 った。 今年 は売 らない とい う。 「最近 の よ うに ラ ック価格 が低迷 し,一方 木材価格 が高騰 してい くな ら,将来 的 には ア メ リカネ ム ノキの用材林業 を した方 が儲 か る のでは ないか」 と村 人 に質 問 してみた。す る と 「ラ ック作 りは稲作 とともに,先祖代 々か らの生業

(

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だか ら, ア メ リカネ ム ノキ用材林

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を作 る こと は な い と思 う。 お金 が ど うして もい る ときに は , ア メ リカネ ム ノキを売 るが , 出来 る限 り ラ ックを作 り続 け るつ も りだ。」 とい う答 え がか え って きた。 この答 えか らは, ア メ リカネ ム ノキ用材林 莱 -特化す る指 向は読 み取 れ ない。 しか し一 方 で,わす が な聞 き取 りか らも,過 伐傾 向が 199

(19)

東南 アジア研究 28巻2号 み られ るよ うに思える。 いずれ にせ よ, ラ ッ ク作 りとい う生業 と結びついた宿主木の植栽 ・伐採 の繰返 しとしての農民造林 は,各経営 単位 (世帯)は小規模 であるが,村全体 あ る いは地域全体 としてみ ると,そ こか ら現在か な りの量 のア メ リカネムノキ材が生産 されて い ることは間違 いない。 ここに農民造林 の安 定性 があ る といえ よ う。

北 タイにおけ る宿主木樹種 の 利用の変遷 宿主木であ るアメ リカネムノキは,外来種 であ る。それが,北 タイ全域 で広 く普及す る までの変遷 について, ラ ック生産 の変容 との 関連 で考 えてみたい。

Ⅴ. 1

北 タイにおけ るラ ック交易の来歴 北 タイは, もともと豊富 な森林産物 に恵 ま れた地方 であ る。その森林産物 は,古来 よ り 近隣地域 との交易に用 い られて きた。 また, この地方は, タイの外国交易を支 えて来た森 林産物 の生産供給地 で もあ った。 ナ- トスパ ー

[

1

9

8

7

か らラ ックとその交 易に関す る記述を断片的に拾 い上 げて見 ると 次の よ うであ る。 北 タイの もともとの交易は,中国の雲南 省や ビルマのモール メソな どとの間で行 な われ ていた。商人 は中国人のホ 一族, タイ ・ヤイ族 ,それに ビルマ人が, ラバや馬を 運搬手段 として使 い,秩,阿片,真 ち ゅ う 鍋 ,密蝋 な どを雲南か ら,綿製品をモール メ ソか ら運 び込んで売 り,塩 ,ビンロウジ, 綿 を北 タイか ら買 い入れて雲南-売 り, ラ ック,象牙 , タバ コをモール メソ-売 って いた。 [ナ- トスパ ー

1

9

8

7

:8

2

]

1

8

5

5

年 のボー リング条約以前 の輸 出商品 を調べてみれば これ ら(注 :献納 された「山 の幸」)が重要 な輸 出商品 であ った こ とが 判 る。た とえば,第

2

世王 の時代 の クロフ ォー ドの文献 では,トウガラシ,蘇芳 の木, 沈香木,獣皮 ,犀,鹿 の角,砂糖 , ラ ック な どが, タイ国の中国-の重要 な輸 出商品 であ る と記 され てい る。 . ‥ .

‥1

8

5

2

年 , タ イの重要輸 出商品は,砂糖 ,獣皮,棉 ,蘇 芳 の木,錫 ,ラ ック,その他 「山の幸」で, 米は,第

1

0

位 にす ぎず, まだ 国の重要 な輸 出商品にな っていなか った。 [同上書 :

2

8

]

1

9

世紀 の末 に,中国人がナ コソサ ワンか らタ- ク, さらに タ- クか らチ ェンマイへ と中部 タイか ら北上 し北部 での定住が増 え 始 め ると,チ ェンマイ とバ ンコク間の交易 のネ ッ トワー クが出来 あが った。重要 な交 易路 は モール メソか らクー クを経 由 してチ ェンマイに至 る陸路か ら,バ ンコクか らナ コソサ ワン, さらに ピソ川を遡 ってい く河 川交 易- と変わ った

。1

8

8

9

年 ,北 タイ-疏 入 す る商 品 の

7

0.

5%

が このル ー トを とっ た。 おそ ら く

1

9

2

2

年 のチ ェンマイ-の鉄道 開通 までは,最 も重要 なルー トだ ったのだ ろ う。 このル ー トの上を 「サ ソ リの尾」 と 呼ばれ,竿を使 う貨物船が,約

1

0

0

0

隻走 っ て いた。各隻

,2.

5

トンの貨物 を債載 し, チ ェンマイ ・バ ンコク ・チ ェンマイ間の往 復に,

2

,

3

ヵ月の時間を要 した。しか し, チ ェンマイか ら搬 出 され る商品は,ラ ック, 阿仙薬 , タイ茶 (ミエ ソ),安息香樹 ,象 牙 ,阿片 ,獣 の角 と獣皮 ,蜜蝋 ,火薬原料 な どの 「山の幸」 であ り,基本的な生産物 であ る米は輸 出商品でなか った ことは,症 目すべ きであろ う。 [同上書 :

8

3

]

以上 だけか らで も

,

「交易 国家」 タイを支 えて きた北 タイの森林産物 の中で,ラ ックが, 古 くよ り重要 な位置 を占めて きた ことがわか

(20)

竹 田 :北 タイ地方 におけ る ラ ック作 りの技術 と宿主木につ いて る。 さて,天然宿主木 を利 用 していた 当時 は, 地方 に よって宿主 木樹種 が異 な り,産地 毎 に ラ ックに特色 があ った。1930年 ごろの各産地 の ラ ックに つ い て は , 次 の様 な記 載 が あ る

【Thailand,TheMinistryofCommerceand Communications 1930:236-237]

(手 チ ェンマイ ・ラ ック : これ は シ ャム ・ラ ックの中の最上 品 で大変注 意 深 く収穫 され , ごみや木 くず の混 入がほ と ん どない。約90%が チ ェンマイ県 内で採 集 さ れ た もので,主 にButeamonospermaとア メ リカネ ム ノキか ら得 られ る。 そ の他 は, ビル マのチ ェ ソ トゥソとチ ェソラーィ, メ-ホ ン ソソの一部 で作 られ た ものであ る。 (診 チ ェソラーイ ・ラ ック : チ ェンマイ ・ラ ックに較 べ少 しごみや木 くず の混 入 が 見 られ る。 主 に 「国外 県 」,す なわ ち チ ェソ トケン, シプ ソソバ ソナ ー (シーサ ンバ ソナ ー), エ ソナ ン, ル ア ンプ ラ/ミンか ら供給 され る。 チ ェソラーイ県 内産 は約10% にす ぎな い。 県 内産 ラ ックが Butea mono -spermaか ら得 られ るのに対 して

,

「国外県」 産 ラ ックは,Ficusspp.,DalberBiaspp. ,Bu-teamonosberma,Cajanuscajanか ら得 られ た

ものであ る。 チ ェソラーイ ・ラ ックは,直接 か あ るいは ラムパ ー ン, プ レー, ウタ ラデ ィ ッ トを介 してバ ンコクに送 られ る。 バ ンコク 市場 では ラムパ ー ン ・ラ ックとして知 られ る. (ヨ ラムパ ー ン ・ラ ック : 県 内産 ラ ックは ,半 分 に 満 た な い。 そ れ は Albizzialucidaか ら得 られ る。 ラムパ ー ン ・ ラ ックの多 くは, チ ェ ンラーイか らの国外産 ラ ックであ る。 そ の他 , ラムプー ソ,チ ェン マイ,チ ェソラーイの一部 の地域産 ラ ックも ご くわず か供給 され る. ラムパ ー ン ・ラ ック は,バ ンコクに直送 され る。 ④ プ レー ・ラ ック : チ ェ ンマイ ・ラ ックと同品質 であ る。 ごみや 木 くず の混 入 はわず か で,市場価格 は高 い。 県 内産 が

7

5

% で,残 りは ナ - ソや チ ェソラー イの一部 で作 られ た ラ ックであ る。他 の県 と 比較す る と同県 の生産 量 は非常 に少 な く,全 国生産量 の約

5

%

を産 す るにす ぎない。 (9 ウタ ラデ ィ ッ ト ・ラ ック : この県 で の ラ ック作 りは未 だ試験 的 な段 階 に す ぎない。 同県 は, ナ - ソ産 ラ ック (宿主木 はAlbizzialucidior)や ル ア ンプ ラバ ン,バ ク ライ産 ラ ック (主 な宿主木 は Cajanuscajan) の中継 市場 であ る。 ⑥ コラー ト ・ラ ック : ごみ や木 くず の混 入 が多 く,品質 は最 も劣 る。 コラー ト,ウボ ン,ロイニ ッ トを結ぶ地域産 , ウ ドン地域産 の ラ ックで,そ して少 し以前 は 「仏領 イ ン ドシナ

産 も含 んで いた。 コラー ト ・ラ ックは , 主 に Combretum quadran -guhzreか ら得 られ ,それ 以外 に も Dalbergia spp.,Ficusspp.,ZizyPhusjujuba,Cajanus cajanも少 し利 用 され る。 以上 の記載 よ り1930年 代 当時 の ラ ックの交 易流通経路 を ま とめ る と図5の よ うにな る。 これ よ り,バ ンコク市場 がそ の広大 な後 背地 よ り供給 を受 け ていた のが理 解 され る。

Ⅴ. 2

宿 主木樹種 の利 用 の変遷 1870年 代 に チ ェ ンマ イ を 訪 れ た D.

∫.

Edwaresは,「チ ェンマイには, ラ ックを産 す る虫 を 飼 育 で き る木 が5な い し6種 類 あ る。 そ の中で も 『tonthong』が最 も適 してい る と言われ てお り,その木 は あ り余 るほ どあ る」と報 告 してい る 【Edwares 1874]。この

「tonthong」は,ButeamonosPeymaと推 定 さ れ る。,

一方 ,南 米原産 の ア メ リカネ ム ノキは,19

世紀後半 に東 南 ア ジアに持 ち込 まれ た。 シ ン ガ ポ ー ル に は1876年 に 導 入 さ れ て い る

(21)

東南 アジア研究 28巻2号

(22)

竹田 :北タイ地方におけるラック作 りの技術と宿主木について 【Burk

i

l

l 1935:9421。 また1900年 に営林局長 が初 め て ビルマか ら タイに移 植 した [富 田 1987:176] といわれ ている。 1930年 ごろには,「チ ェンマイ産 の ラ ック は,主に

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7

1

0

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とアメ 1)カネム ノ キ か ら 得 ら れ る 」 と の 記 載 が あ る 【Thailand,TheMinistryofCommerceand Communications 1930:236]。つ ま り当時は, 従来 の

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rmaを用いた天然宿主 木に よる生産か ら,今 日普通 に見 られ る,ア メ リカネムノキを用いた植栽木に よる生産-の過渡期にあ ったわけである。 「森 の中に散在す る天然宿主木に依存す る 限 り,施業効率は悪 く,獣害 ・虫害を受け易 く, さらに収穫期に入 って盗難 に会 うことが ある。 この点,植栽宿主木の方がは るかに有 利 であることは,今や ラ ック飼育者 に認識 さ れ てい る」【ibid・.・2331とい うように主 にアメ リカネムノキを用いた宿主木の植栽が始め ら れた。 しか し当時は まだ天然木での生産 も多か っ た。各地 の天然宿主木樹種 についてはすでに

Ⅴ.1

で述べた通 りであ る。そ こでは,地域 ごとに異な る森林 タイ プと対応 した天然宿主 木が用い られていた。 1930年 ごろに,北 タイで植栽 されていた宿 主木は ア メ リカネ ムノキ とキマ メ

(

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n)

である.いずれ も外来種 であることが 注 目され る。 アメ リカネムノキの植栽は,チ ェンマイ を中心 に,今や広 く行われてい る。 この木 は,簡単に植 え られ,成長が早 い と言われ てい る。成長は,特 に土壌 に影響 され る。 土壌が砕け易 く(friable)新鮮 (fresh)であ れは,5年以内に利用 で きる。枝 の成長が 大変早 いので,毎年利用す ることがで きる。 土壌が悪 く乾燥 していた ら, ラ ック虫を接 種 で きるよ うにな るまでに10年 以上かか る 場合 もあ り, さらに収穫後2- 3年休 ませ る必要があ る。 この木か らは平均 25-45 catties の ラ ックが収穫 で きる。 チ ェンマ イでは,5- 6年生 の木で 15-100catties, 9-10年生 の木で 50-200catties の収穫 があ る。時 には15年生以上 の木か ら 5-7 piculsの ラ ックが収穫 で きることもある。 しか しなが ら,15年生以上 の木はめ ったに 見 ることはない。20)【ibid.:233-2341 15年生以上 の木は まれであるとい う記述か らも,当時,アメ リカネムノキの導入か らま だ年 月の浅か った ことがわか る。 また,キマ メの植栽 に関 しては

,

「この木 の植栽は もっぱ ら payab地方21)で行われて い る。 この木は簡単に植 え られ,ア メ リカネ ムノキ とは異 な り,土壌 に対す る選好性がな い。新鮮 (fresh)で砕け易 く (friable)石灰に 富む土壌が,キマ メには良い とされ る」 【ibid.: 2341 と書かれ てお り,キマ メを用 いた 2つ の方式が記載 されてい る。それは, ビルマ方 式 とルア ソプラバ ン方式 と呼ばれ,つ ぎの よ うであ る【ibid.:234]. ① ビルマ方式 : 「payab地方 で普及 している。 キマ メほ 3-4年間植 え付け られ る0 4メー トル間隔 で植 栽 され,植栽後2- 3年 で接種 で きる。手入 れが艮けれは,1ライ当た り約 2piculsの収 穫があ る。」 ② ルア ンプラバ ン方式 : 「チ ェソラーィ, プ レ-, ウタラデ ィッ トで は, この方式が普及 してい る。 2メー トル間 隔 でキマ メを植 え,6-10ヵ月以内に ラ ッ ト 虫が接種 され る。2回 ラ ックが収穫 された後 , 20)catty-0.6kg.100catties-1picu1-60kg

o

スティックラックの取引は,以前は「picd」 建てであった。 21)西北タイ。現在のメーホンソン県,チェンマ イ県,ラムプーソ県を指す0 203

(23)

東南 アジア研究 28巻2号 刈 り払 われ , また新 しい キ マ メが植 え られ る。」 この

2

つの方式 の比較は さてお き,注 目さ れ るのは宿主木の伐期が

3-4

年 と短 く, ア メ リカネムノキ と較べて, よ り労働集約的な 管理が な されてい る点であ る。す でに述べた よ うに農家に とっての ラック作 りの大 きな魅 力はその労働粗放性 にある。 ア メ リカネムノ キに較べ てキマ メが普及 しなか った1つの理 由は この点にあ るのではないか と考え られ る。 ⅠⅤ・ 3 近 年 の ラ ック生産 量 の動 向 と用 材 としての宿主木需要 戦前には, タイ産 ラ ックのほ とん どはステ ィックラ ックとして まず イ ン ドへ輸 出 され, そ こで精製加工 された後「イ ン ド・セ ラ ック」 と して再輸 出 され ていた。 しか し戦後 ,「ア メ リカにおけ る ラ ック需要は, レコー ド盤 の 製造 が塩化 ビニルに変わ ると共 に, フロア ・ ワックスが中心 とな り, この用途 のためには セ ラ ックよ り,再加工 し易い シー ドラ ックの 方が適 していたので, シー ドラ ックの輸 出に 移行 した。 この シー ドラ ックの需要が増 えた

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OO L X) ことが, タイの ラ ック輸 出が急激 に増加す る 契機 とな った」 [東部酒精 ニス工業協 同組合

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]。 す なわ ち精 製 加工 しては じめ て得 られ る 「セ ラ ミック」か らよ り原料 に近 い 「シー ド ラ ック」-の需要 の変化が, タイの ラ ックに 直接輸 出-の道 を開 き,今 日の タイ ラ ック産 地 の形成 に結 びついたのである。 タイでは,戦前 ,戦後を通 じた ラ ック輸 出 市場 の需要増大 を経 て, ラ ック作 りに適 し, 何 よ りも 「手間」 のかか らないアメ リカネム ノ車の植栽が増加,累漬 し,その園地が拡大 して きた と考 え られ る。 図6に タイの ラ ック生産量 と輸 出価格 の推 移 を示す。 ラ ック生産量は,天候に大 き く左 右 され るため,年次変動が大 きい。 一万

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年 ごろ までは,生産量 の年次変 動 にかかわ らず価格はほぼ安定的に推移 して きたが,それ以降は乱高下を繰 り返 してい る。 これ は ,「従来 の流通機構 に 『投機的 買付け 者』が参入 し, さらに産地間屋 ,集荷業者 , 農民 まで もが 『思惑買 い』を行 うよ うにな っ た」 [同所]ため ,生産量 の変動 が価格 に敏

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図6 タイのラック生産の推移

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竹田 :北タイ地方におけるラック作 りの技術と宿主木について 感 に影 響 を及 ぼ して い る もの と思 わ れ る。 ラ ックの売 買 が ,投 機 の対 象 とな って い るの で

ある。

す で に蓑 2で しめ した よ うに, ラ ックの農 家庭 先 価 格 は , この5年 間一 方 的 に低 落 し続 け て い る。 そ れ に対 して木 材需 要 が ます ます 高 まる中 で ,宿 主 木 の伐 木 が進 ん で お り, 今 後 の ラ ック生 産 に与 え る影 響 が懸 念 され る。

む すび に か えて 農 閑期 の副 業 と して村 の まわ りの森 の中 で 自然 に大 き く依 存 しつ つ行 われ て きた ラ ック 作 りは , ア メ リカネ ム ノキ とい う外 来 早 生樹 の導 入 に よ り, 1つ の農 林 複 合 シス テ ム と し て完 成 され た。 そ こに お い て稲 作 と ラ ック作 りは ,1年 間 の生 業 サ イ クル の中 で労働 力 を 季節 補 完 的 に利 用 して短 期 所 得 を 実現 して い るば か りで な く, 同時 に長 期 的 な稲 作 の所 得 不安 定 性 を過 熱 宿 主 木 の販 売 に よ って補 って い る。ラ ック生産 の宿 主 木 は ,稲 不 作年 の 「保 険」 と して機 能 して い る と もい え よ う。 戦 後 の シー ドラ ック需 要 の高 ま りを契 機 と して , タイ の ラ ック輸 出 は急 激 に増 加 した。 そ して ラ ック生 産 の拡大 と と もに ア メ リカネ ム ノキ の林 が い た る ところに仕 立 て られ , そ の林 は ,木 材需 要 の増 加 の 中 で北 タイ木彫 り 用 等 の用 材供 給 源 とな って い る。これ は

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「森 林 問題 」 に直面 し 「植林 」 の必要 が 叫 ばれ る タイ の 中 で の 内発 的 な 「林 業 」 の一 形 態 と し て評 価 で きるの で は な いだ ろ うか。 謝 辞 本研究を進め るにあた り, タイ ラック協会副会 長の勝英雄氏 と王室林野局林産物研究部のWanida Subansenee氏か ら有益な ご助言をいただいた。

また カセサー ト大学林学部のChoobKhemnark副 学部長,Pongsak Sahunalu助教授 には,数 々のご 教示をいただき,さらに京都大学農学部の森田学名 着教授,渡辺弘之教授には,草稿に対 して コメン ト をいただいた。 ここに深 く感謝の意を表 したい。 参考文献お よび資料 Burkill,I.H.1935.ADi'ctionaryoftheEconomic Produk:tSOf theMahly PeninsuhZ.London: CrownAgents;reprinted.1965.

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図 5 1 930 年当時のラックの交易流通経路

参照

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