Title
家系
Author(s)
三村, 悟郎; 石本, 祥二郎; 梶原, 敬三; 宮川, 俊作
Citation
琉球大学保健学医学雑誌=Ryukyu University Journal of
Health Sciences and Medicine, 1(1): 73-83
Issue Date
1978
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/2264
琉大保医誌1 (1) : 73-83, 1978.
黄色腫を伴なったTypeⅡa Hyperlipoproteinemia
の2家系
琉球大学保健学部 第-内科 三 村 悟 郎 水俣市立病院 循環碁科石 本 祥二郎
大牟田済生会病院内科梶 原 敬 三・宮 川 俊 作
現在, essential Familial hypercholesterolemea (E. F. H.)は,血清Cholesterol値の上昇が家族的 に見られる疾患と考えられており, Fredricksonl'21 の分類(1965年)に従うとTypel!であり, WHO31 の分類ではTypellaに属する。このE.F. H.はし ばしば黄色塵(xanthoma)を伴なうことが特徴的であ る4)。 E.F.H.が黄色庫を伴なうことは, Rayers) (1836年)によって初めて報告され, AddisonとGull61 (1850年)がこの点について記述し,その家族性発生は, Starting (1882年) , Mackenzieサ(1882年)によっ て報告されている Xanthomaと脂質との関連性は, Quinquard9'(1878年)によって推定され, 1914年に Schmidt lO'が初めてxanthomaを有する患者のCho-lesterolを測定し,両者の関連性が認められるように i^SS E.F.H.の頻度は,非選択的な患者集団から4.5% の比率で認められるとAdlersberg"> (1951年)は報 告し, Schaeferら121(1958年)は男女共250人のなか から12%にE.F.H.が見られると述べている。皮膚や 鹿に出現するxanthomaの頻度は, E.F.H.の頻度の IAから1/4ということが, Thanhauser") (1950年)に よって報告されている。最近Glueckら14)は(1971年), 18000.人の新生児のCholesterolの測定から, E.F.H. の頻度は,約0.95」と推定している Boyd15> (1969 午)の集計ではE.F.H.のうち, xanthomaのある場 合の頻度は23.8^であり,ない場合の頻度は63.2J&で あり, E.F.H.の鍋l/4にxanthomaが出買すると述べ ている。人種的にはxanthomaの頻度はユダヤ人に高 く,日本人では頻度は少ない。われわれが熊本県内の 皮膚科の専門医に問い合わせた調査の結果では,僅か に5家系しか発見できなかった。熊本県における仝世 73 帯数450,000中5世帯であるから,その頻度は極めて 低いことが考えられる。このうち虐黄色塵は3家系で ある。 xanthomaを有するE.F.H.ほ,一般に動脈硬化症, 特に冠動脈疾患に早期にかかり易いことが既に多くの 研究者によってみとめられている。したがって狭心症 や急死が若年期に報告されている。 E.F.H.の遺伝性は,最初wilks16) (1868年) , Poensgen")(1883年)らによってみとめられ,その後 Fasold181 (1932年)によって報告され,本症の遺伝性 は現在多くの研究者によりみとめられている。本症の 遺伝形式については,現在まで3つの考え方がある. 1つほ不規則な優性遺伝であり,黄色腰のない高コレ ステロール血症の場合は,ヘテロ接合体の場合にお こると考えられている( Wilkinsonら191, 1948年; Adlersbergら". 1949年; HirschhornとWilkin-son21', 1957年; Epsteinら22) 1959年) 0 一方,高コレステロール血症のみの場合も黄色塵を 有する高コレステロール血症の場合も共にヘテロ接合 体による単純優性遺伝を推定している研究者もいる (MUller 1939年; StecherとHersh , 1949年; Kornerup 1950年; Alvord, 1949年; Harris-Jones ら, 1955年, Leonard, 1956年; Wheeler2" , 1957 午)0 また10歳以下の発病の場合はホモ接合体の場合にお こり,それ以後の発病はヘテロ接合体の時におこると 考えている者もいる(Schettlerら30), 1966年) 0 今回,われわれは熊本県における黄色鷹を伴なう家 族性高コレステロール血症の2家系について, 2, 3 の検討を行なったので報告する。
検査対象ならびに方法 黄色鹿を伴なう家族性高コレステロール血症の2家 系の家族が対象であり,脂質は総コレステロール,中 性脂肪, '遊離脂肪酸,総脂質を測定した。なお,耐糖 能の異常をみるため50g経口ブドウ糖負荷試験を行な った。その他,血圧,眼底検査を行ない,安静時と負 荷時の12誘導心電図を記録した。総コレステロール, 中性脂肪はオートアナライザ上間接法により同時に定 量した。血糖の定量は同様に耳染血をオートアナライ ザーにより行い,耐楯能の判定は三村31)の診断規準に より行った。 遊離脂肪酸,燐脂質および総脂質の定量は,それぞ れDole法,和光のキット,および国際のキットを用 いて定量した。 検 査 成 績 1.脂質代謝 1) N家の脂質代謝 N家の発端者は図1に示すように21才の次男であり, 小学校1年の時限険の両側の黄色鹿に気づいたのが最 初である。その後大腿部の裏側,肘,膿関節部の黄色 厘に気がついたのは小学校4年の時である。その後
Fig.1. Pedigree of Kindred N.
Xanthomaは漸時拡大し,更に背部,大腿部裏面,肘 関節内側,指朗節部に多発している。図2は,関節に 出現した黄色贋である。子供3名中長女にも黄色鹿が みとめられた。長女の黄色庫は小学校6年頃に肘関節 と膿関節部に出現している。中学生になって大腿部に, 高校入学時に両側のアキレス鹿部の黄色腰が出現して いるO図3に大腿部裏面の黄色塵を示している。子供 3人の中,長男には黄色塵はみられなかった。
Fig. 2. Deposition of xanthomatous material in bursa of achilles
Fig. 3. Large, verrucous xanthomatous area on the back of thigh
父方の祖母の総コレステロールは386mg/100ml, 父と母の総コレステロールはそれぞれ290, 374mg /100mlであり,長女,長男,次男の総コレステロー ルはそれぞれ474, 306, 460mg/100mlであった。 総コレステロールと中性脂肪の10才以上の一般人口 中における性別,年令別平均値と標準偏差は表1 , 2 に示す通りであり,この成績からN家の仝家族の総コ レステロールはすべて高値を示していることが確認さ れる。中性脂肪の値は,この表2の値からみると仝例 共に正常範囲内にあるといえる(平均値+2標準偏差 以内)。したがってこの家系は, Familial essential hypercholesterolemiaの家系であり, Fredrickson のType n, WHOのType Ilaに属するといえる。 祖母,父,母,長女,長男および次男の遊離脂肪酸は それぞれ550, 620, 550, 940, 500, 500mEq/l であり,長女のみ高値を示している(600mEq/l以 上が異常) 0
黄色厘を伴なったTypella Hyperlipoproteinemiaの2家系
Table 1. Average Value and Standard Deviation of Total Cholesterol
S.D. - 蝣Standard Deviation
Table 2. Average Value and Standard Deviation of Triglyceride S.D. -- Standard Deviation 刺旨質についてみると,祖母,父,母,長女,長男 および次男の値は,それぞれ322, 314, 322, 413, 318, 484mg/100mlであり,全員高値を示した (220以上が異常値) 。総脂質も仝例に異常値がみと められた(800以上が異常値)。尚,甲状線機能,血 液生化学所見は全員正常であった。 2) K家の脂質代謝 図4に示すようにK家の発端者は長女であり,高校
Fig.4. Pedigree of Kindred K.
75
2年の時に肘関節とアキレス鹿部の黄色腰に気づいた。 この黄色庫はN家の両人に比べると図5に示すように 著明でない。弟には黄色庫は認められない。父は59才 で虚血性心臓病で死亡し,母は52才であり,現在愁訴
Fig. 5. Tendon xanthoma in elbow-joint
はないo母の総コレステロールは, 328mg/100ml であり,長女と長男の総コレステロールはそれぞれ 428, 210mg/100mlであり,長男のコレステロー ル値のみ正常である。母,長女,長男の中性脂肪の値 は,それぞれ158, 75, 77mg/100mlであり,こ の値は正常範囲内の値であるので,本家系はEssential familial hypercholesterolemiaであることが明らか である。母,長女,長男の遊離脂肪酸の値は,それぞ れ615, 715, 470mEq/lであり,母と長女が高 値を示していた。同様に母,長女,長男の燐脂質は 278, 346, 198mg/100mlであり,母と長女が高 値を示している。母,長女,長男の総脂質は,それぞ れ822, 1,250, 550mg/100mlであり,母と長女 が高値を示している。母が高値を示した理由は,後述 のように母に軽症の糖尿病があるためと考えられる。 血液生化学,甲状線機能は3名とも正常であった。 2.糖代謝 N家の家族の50gブドウ糖負荷試験の成韓は,衰3 に示すように祖母のみ境界域であり,ほかの家族の耐 糖能は正常であった。 K家の家族の50gブドウ糖負荷試験の成績は,表4 に示しているが,母が軽症の糖尿病であり,娘と息子 の耐糖能は正常であった。黄色厘を有するN家の2名 とK家の1名の耐糖能は,現在の成績では全く正常と いえる。 3.心血管系の検査成績 表3, 4に示すようにN家の父と, K家の母の2名 に高血圧がみられた。眼底所見は高脂血症による変化
Table 3. Blood Sugar during a oral Glucose Tolerance Test of Pedigree of Kindred N.
Table 4. Blood Sugar during a oral Glucose Tolerance Test of Pedigree of Kindred K.
は全例みられなかった。尿所見としては全例尿蛋白は 陰性であった。 心血管系の変化として,冠動脈の状態を安静時と負 荷時の心電図所見から判定した。 N家の祖母の心電図 は電気軸は正常軸であり,低電位差があり,時計方向 回転がみられた。 Sv, , Rv5はそれぞれ7, 11mmであり,肥大所見 はみられない。 TⅢが2相性であり Tv4-Tv6が陰 性であり, ST下降もみられることから,心内膜下硬 塞が考えられる。本人の既往歴では胸痛発作はみられ なかった。父の心電図所見は電気軸は正常軸範囲であ り,時計方向回転がみられ, Svl Rv5ほそれぞれ 8, 18mmであり, ST, Tの変化はみられず負荷心電 図で肺性-pの所見が軽度にみとめられた。母の心電 図所見は,電気軸は正常軸範囲であり,時計方向回転 がみられるが, ST, Tの変化はみられない Svl Rv5はそれぞれ14, 17mmであった。長女の2月10日 の心電図所見は正常軸範囲であり, Svj, Rvsはそれ ぞれ15, 11mmであった STiのみが下降を示してお り,負荷によりSTォTの変化は増強せず,軽度の肺 佐一Pがみとめられた。しかし, 10月20日の心電図所 見では,図6に示すように負荷心電図でSTⅡ皿&VF の移行部下降, STv4- v6の軽度の虚血性変化がみら れた。長男の2月10日の心電図所見は正常軸範囲で, Svi, Rv5はそれぞれ12, 18mmであり, PQ時間は 0.18-0.2秒であったが, 10月27日の心電図所見は,
Fig. 6. Electrocardiogram of elder sister, three minutes after exercise
図7, 8に示すように,安静時にPQが延長し, Wenckebachの周期を呈するAV-Block 2度に進展
していた。負荷後の心電図は, AV-Block 1度に変 化している。次男の2月100の心電図所見は,安静暗 の電気軸は正常範囲内であり, Svi, Rvsはそれぞれ
黄色瞳を伴なったTypella Hyperlipoproteinemiaの2家系
Fig. 8. Electrocardiogram of elder brother, three minutes after exercise
ll, 18mmであり, ST-Tに変化はみられなかったが, 負荷後1分にはSTⅢ皿aVFV4-V6の移行部下降が著明に おこり, 3分後には図9に示すように明らかに虚血性 の変化がみとめられた。
Fig. 9. Electrocardiogram of younger brother, three minutes after exercise
一方, K家の母の心電図所見をみると,電気軸は正 常範関内であり, Svlf Rv6ほそれぞれ7,21mmで あったが, STnm aVFVsVeに軽度の下降がみられたが, 負荷心電図をとっていなかったので,負荷後の所見の 推定はできなかった。娘の心電図所見は異常はみとめ られなかった。すなわち電気軸は正常範囲内であり, svi , Sv5はそれぞれ9, 19mmであった。眼底には Iipemia retinalisの所見は, N家, K家のいずれに もみとめられなかった。なおTypeHaを明らかにす るため, Disk電気泳動によるリボ蛋白を検討した成 績では, K家の母のみにpre -β-lipoproteinがみと められたが,これは糖尿病の存在するためと考えられ る。 pre-/ -lipoproteinの%は11.1%であったO 総括ならびに考接
わが国におけるEssential Familial
hyperchol-77 esterolemia (E.F.H.)の頻度に関する報告はなく, したがって黄色庫,特に虎黄色塵を有するE-F.H.の 頻度も不明であるが,欧米に比べてそq)頻度の低いこ とは推定される。熊本県における健黄色腫を有する E.F.H.の家系は,われわれの調査では僅かに3家系 であり,黄色庫の患者は3家系で4名にすぎない0本 論文においては精査が終了した2家系について報告し たわけである。熊本県の全世帯数は45万世帯であるか ら,仝世帯数に対する頻度は0.0007 %と極めて低頻 度であることがわかる Xanthoma stritum 2例を 入れると,その頻度は0.001&となる Glueckらが 新生児のコレステロールの測定から E.F.H.の頻度 が約0.9^(14/1800)と推定しているOこの14人のう ち, 3人の家族に虚黄色厘がみられているので,黄色 庫の頻度は0.17#(3/1800)ということになり,日本 の頻度の約240倍になる。このように黄色庫の頻度に 著しい差異が日米間にあるのは,単に人種の問題では なく,環境因子,特に脂肪の摂取量が一つの大きな因 子ではないかと考えられる E.F.H.のうち,黄色鹿 の出現する場合には,コレステロール値が一般に高い 場合であるとの報告が多い。 日本における黄色庫でコレステロール値を記載した 症例をできるだけ集計したところ, 37症例となった。 この37症例をコレステロール値を50mg/100ml区切 りで図示したのが図10である。黄色塵を有する症例は, 1例を除いては250mg/100ml以上のコレステロー ル値を示している。
Fig. 10. Relation between Xanthoma Tendinosum and Total Cholesterol in Japan.
PiperとOrrild32'によると,黄色庫はコレステロー ル値が400-450mg/100mlと著しく高値を示す場 合にみられる。黄色庫の出現するコレステロ-ルの値 は日本人の方が欧米人に比べて低いといえる。黄色腫 のある場合はホモ接合体によっておこるとWilkinson らは推定している。本症の遺伝形式については,既に
一部を三軒3)lが述べているが,その詳細に関しては別 に述べる予定である。 黄色庫を伴なうE.F.H.の心血管系合併率は, PiperとOrrild (1956年)の12年間の追跡調査では 20%が冠動脈閉塞で死亡し,平均死亡年令は47.2才で ある。 Epsteinらによると45才以上で17%が心臓病に 罷患しており, Framinghamの同年令の催患率4.6 %に比べて有意に高いことが義されている Schettler ら (1957年)は欧米の文献上約600人のH.F.H.の 患者を調査し, 50&以上は狭心症に催患し,約10%は 突然の心臓死であったと述べている。
N. I. H.のClinical centerでは, 20才以下のType
l Ⅱ 117人のうち1人が冠動脈疾患であり, 20-29才で は20%が冠動脈疾患になると報告している35)。本熟こ おける本症の心血管系の合併の報告は,高橋36)の昭和 42年の統計によると22例中7例であり,剖検例でも高 度の心血管系の異常がみとめられている36) 37㌧ 心血管系病変は臨床的に狭心症38)39)40!動脈硬化症 状41)42-としておこるとされ,その他頻脈42)43)心雑 音44)45)弁膜症45)46)47)心筋障害41)47)大動脈弓症候 群44)末梢循環不全47)なども報告されている。心臓の 病変は,弁膜,心内膜にも黄色腫様病変がみられる。 冠動脈には狭窄ないし閉塞,血栓形成がみとめられ, このような場合には心筋硬塞37)40)牌艦形成32)50)戟 化51)心尖動脈癖51)52)が形成される。大動脈および大 分枝にも高度のアテローム像がみられ36)しばしば濃 癖や血栓形成を伴い,時に大動脈癖を形成する症例も ある52) また,肺動脈にも及び肺性心の原因となるし46)48) 四肢の動脈の狭窄性変化も報告されている48)。心血管 系の病変は黄色庫の部分現象として考えられるように なった EngelbergとNewman53) (1943年)は臨床 的に高コレステロール血症,皮膚・鹿黄色贋,冠不全 の三大徴侯をあげて,本症を動脈硬化症から独立して 考えている。
Grabener, Bradchl 54)(1960年) , Schettlerら55) ち(1959年) , Kardiovaskuほres Syndromとして いる。 Thanhauserら56)ち(1937年)本症を動脈硬化 症と区別して, Xanthomatosis of the arterial
intima and endocardiumとしている。黄色腰に伴 う心血管系病変の組織学特徴として,動脈内膜,中膜, 外膜に及ぶ泡沫細胞が主要所見であり,血管に発生し た黄色庫ともいうべき,とも表現されている。したが って黄色庫の部分境象と見なすのが妥当と考えられる (高橋ら, 1967年)。われわれの2家系のうち, N家 の子供3名中,黄色腰を有する長女と次男の2名に心 電図上虚血性の所見を認めたことは興味あることとい える。 さらに黄色庫を有しない長男にA-V block 2度 の所見がこの半年間に出現したことは,高コレステロー ル血症がその原因であるかどうかの断定は困難である が,少くともこの半年間にA-V brockを招来する 疾患には罷患していないことから,高コレステロール 血症との何らかの関連性が推定される。現在,食事療 法と脱コレステロール剤の投与を行っているので!今 後コレステロール値と心電図所見との関連性について 検討を続ける予定である。 黄色庫は高コレステロール血症により惹起されたも のであるので,本症の成因究明は高コレステロール血 症の究明にあるといえる。 血中のコレステロールが増加する機序は,コレステ ロールの生合成の増加,排他の遅延の二つの原因が考 えられるが Thanhauser57) (1958年)はコレステロー ルの合成と排港の不均衡によるものであると述べてい る。コレステロールの代謝に最も主要な役割を演ずるの は肝臓であるが,形態学的変化はみとめられていない。 肝におけるコレステロールの膿汁酸に転化する過程の 障害も考えられている。また高コレステロール血症は 燐脂質あるいは中性脂肪の障害が原因であると考え, lipogenic HypercholesterolemiaとFriedman581 は称している。 藤原ら (1965年)は黄色腰の患児の肝臓では, β-hydroxy-methyl glutaryl CoAとmevalonic
acidとの闇の反応系に先天的な酵素異常があるため, 外因性コレステロールによるFeed backが障害され ているためと推定している。 Gee 61) (1959年)らも黄色庫の患者に14C-acetate を投与して,コレステロールの合成が正常に比べて元 逢していることを同様にみとめている。最近の研究で は, BrownとGoldstein62> (1976年)は, E.F.H. の患者の培養したFibroblastには, Low density
lipoprotein (LDL)のreceptorが欠除しているこ とを報告している。 packardら'(1976年)は apo LDLの合成の元 進とその異化の減退が高コレステロール血症の原因の 一つと考えている。一方Nikkilaら (1976年)は, コレステロール値とreceptorの欠除の程度とはうま く平行しないことから,肝臓のHepatic lipase ac-tivityの低下がE.F.H.の高コレステロール血症の成 因の一つであろうと推定しているo上述の報告から高
黄色厘を伴なったTypeHa Hyperlipoproteinemiaの2家系 コレステロール血症の原因は,コレステロールの合成.I 元進,肝および末梢における処理機構の欠陥と考えら a.る。これらの機構の異常がもし単独に存在すれば, E.F.H.の遺伝機構は単一の因子によるものと考えら れるが,この点に関しては今後E.F.H.の家族につい て,多方面からコレステロールの生合成,処理機構に ついての検討が必要と考えられる。三村は 般人口 中のコレステロールの分布叔大略正規分布を示すこと と,黄色庫の同胞のコレステロールの平均値が,その 両親のコレステロールの平均値と有意差のないことか ら,氏.F.H.の遺伝機構もpolygeneにより支配され てい`る可能性を推定している E.F.H.の遺伝機構の 解明は,今後生化学的および遺伝学的見地から再検討 が必要である。 ま+^+と めl 黄色腰を有する家族性高コレステロール血症の2家 系につき検討し,下記の成績を得た。 1) N家の祖母,父母,娘,長男,次男の総コレス テロール値はそれぞれ386, 290, 374, 474, 306, 460mg/100mlであり,全員が高コレステロール血 症であった。廉黄色腫は娘,次男にそれぞれ12才と6 才の時からみとめられた。心電図所見としてほ,虚血 性の変化が祖母にみとめられ,負荷心電図で娘,次男 に同様に虚血性の変化がみとめられた。長男には黄色 庫はないが, Wenckebachの周期を呈するA-V block 2度の所見がみられた。全例耐糖能には異常はみとめ られなかった。父と祖母に高血圧の合併がみられた。 2) K家の母と娘,息子の総コレステロール値は, それぞれ328, 428, 210mg/100mlであり,母に は高血圧と糖尿病かみとめられた。父は59才の時心臓 病で死亡している。娘の腰黄色庫は17才の時に診断さ れた。心電図所見は, 3名共に正常範囲内であった。 (N家は熊本大学医学部皮膚科の共fl.陣平講師から紹介をう け, K家は藤木皮膚科医院藤木院長から紹介をうけた。両先 生に感謝申し上げる次第である。) 文 献
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黄色陸を伴なったType Ea Hyperlipoproteinemiaの2家系
The Pedigrees of Type IIa Hyperlipoproteinemia
with Xanthoma
83
Goro MIMURA
First Department of Internal Medicine, College of Health Sciences, University of the Ryukyus* Shojiro ISHIMOTO**
Department of Cardiovascular Disease, Minamata City Hospital Keizo KAJIWARA Shunsaku MIYAGAWA*** Department of Internal Medicine, Oumuta Saiseikai Hospital
Two families of essential hypercholesterolemia with tendon xanthoma were examined and the following results were obtained.
1) The total cholesterol values of the grandmother, father, mother, daughter, elder son and young-er son in the family N. were found to be 386, 290, 374, 474, 306 and 460 mg/lOOml, respectively. Namely, hypercholesterolemia was observed in all the members of the family. The tendon xanthoma of the daughter and younger son were diagnosed at the age of 12 and 6, respectively. Ischemic change was observed in the electrocardiogram of the grandmother. And ischemic findings were also seen in the exercise else electrocardiogram of the daughter and younger son. Tendon xan-thoma was not found in the elder son, but his electrocardiographic finding was second degree A-V heart block with the Wenckebach's period. Abnormal glucose tolerance was not found in any of the members. The grandmother and father had a hypertension.
2) Total cholesterol levels of the mother, daughter and son in the family K. were found to be 328, 438 and 210 mg/100ml, respectively. The father died of a cardiovascular disease at the age of 59. The daughter was diagnosed as having tendon xanthoma at the age of 17. The electrocadio-graphic findings of all the members of the family were within the normal limit.