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論 文

斜張橋の基本設計用エキスパートシステムの構築

杉山俊幸 鷲見健一 平石敏明

(平成8年8月31日受理)

Development of Expert System for Preliminary Design of

Cable-stayed Bridges

ToshiyukiSUGIYAMA KenichiSUMI ToshiakiHIRAISHI

       Abstract   An attempt to develop the eXpert system fbr preliminary design of cable−stayed bddge, intO which the i】【1formation and knowledge obtained from the eXisti皿g researches regarding to the cable−stayed bridges, has been made. If only total length and bl℃adth of bridge a1℃input into this system, thell the appmpriate types of cable system, pylon and main girder which are obtained from the past accomplisimentS are suggested. A皿d the mugh total steel weight, axiaHbrce of pylon, non−linear bending moment of main 9irder, critica1 wind speed for flutter, etC. are indicated. A sdlematic perspective of the suggested cable−stayed bridge can be also shown on a display迂the user requests it 1 はじめに  斜張橋は、鶴見つばさ橋、横浜ベイブリヅジ、本四 連絡橋岩黒島橋・櫃石島橋等の完成に伴い,その形態 の美しさ,構造力学的な効率の良さなどから,近年特 に脚光を浴びている橋梁形式である。斜張橋は長径間 の橋梁に非常に適しているが,その反面、高次の不静 定構造であるため構造解析の困難さという問題を抱え ていた.しかし現在ではこの問題も,コンピュータに よる構造解析の進歩発展により高精度の解析が可能に なってきたことで解決されている.また,最近では, ①高強度の材料の開発 ②軽量の鋼床版構造の開発 ③ケーブルを架設時にも利用する張り出し架設工法の 開発と大型架設機械の導入 などにより,斜張橋はま すます長大化し,多種多様な形式のものが設計・架設 されてきている.  斜張橋の設計は,通常の桁橋等の設計と比較して, *土木環境工学科、Depa血e皿t of Civil a皿d EnVironmen−  tal Engi皿ee亘皿9 1)ケーブルの張り方や主塔の形状など形態が多様で設  計の自由度が大きい 2)断面形状の決定に耐風安定性等の動的な性状を考慮  する必要がある 3)断面力の算出や部材設計の際に,塔・主桁・ケーブ  ルの架設方法,主桁の閉合方法等の架設条件を考慮  する必要がある など検討項目が多いのが特長である.そのため,斜張 橋の設計においては,構造特性や耐風安定性・施工性 などを踏まえて形式・支間割・断面形状等を総合的に 判断することが重要となってきている1).この総合的 な判断は,斜張橋の設計・施工に精通した熟練技術者 に委ねられることが多いが,こうした技術者でさえも, どのような形式・断面形状を有する斜張橋を選定すれ ばよいのかに関して確固たる自信を必ずしも持ち合わ せていないのが実状であろう.  設計分野へのエキスパートシステムの導入が試みら れるようになってきている最近では,斜張橋の設計の ように専門家の知識・経験がかなり必要とされる分野 にはエキスパートシステムの構築が極めて有用である

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との認識が多くの橋梁技術者の間で高まってきている, しかし,この斜張橋の設計に関する実用的なエキスパ ートシステムは,今のところ構築されていない.著者 らは,このようなシステム構築を目的として,過去の 実績に関するデータベースの作成を開始し,これを利 用して,ある支間長に対しどのような吊面形式や主塔 形状などが採用されているか等の傾向を既に探ってき ている2).  本研究では,これまでに得られている情報をシステ ムに組み込み,橋長や幅員などを入力すると過去の実 績に基づいた,力学的な制約条件を満たす斜張橋の形 式選定とその概算鋼重の算出ができ,さらに、簡易算 定法を利用して主桁・主塔等に生じる断面力を算出し、 基本設計における静的検討を実施した後、耐風安定性 の検討がある程度行えるような,いわゆる斜張橋の設 計経験がない技術者を対象とした斜張橋の基本設計に 関する学習用エキスパートシステムの構築を試みるこ とにする.  なお、本来ならば耐震性の検討も基本設計の段階で 実施しなければならないが、パソコン容量やソフトの 機能上の制約から、現時点ではシステムへの組み込み を試みていない。 2.本システムの特徴  本研究では、図1に示されている斜張橋の基本設計 までのプロセス3)に基づいて、以下のことが行える斜 張橋の基本設計用エキスパートシステムの開発を試み た。 構造形式案の作成 x間割・ケーブル形式・塔形式・主桁断而 コ鵠工との関係・使用材料  などの検討  構造形式の選定 T略浪計の実施後、力学・煩硯・経済性 I殻の厩易・維府管理・工朋などの検討    静的検討 x間艮・ケーブル配置・塔形状・主桁断而 ネどの溺*形式・基本寸法の随定 h的悶姐の傭出 耐風安定性 @風洞実験 耐震性 ョ的応答解情   全性         全性日O      NO @ o‘      ol 基本構造形式の決定 図1 斜張橋の基本設計までのプロセス 1)ユーザーが橋長・幅員・径間割といった斜張橋の設  計に最低限必要な橋の規模に関する情報を入力する  と、システムが最もふさわしい橋梁形式を選定する  だけでなく、ユーザーが必要とする場合には、ケー  ブル形式にはどういったものがあるのか、橋の規模  によってどのような主桁断面が適しているのかなど  を、説明用画面で図を織りまぜながら解説を加え、  ユーザーの理解を助けるようにする。 2)外部プログラムの組み込みにより、文献4)∼7)で提   , 間‖  間or 間 揶(車線数・車線幅・中央分離帯幅・歩道幅)  、 、、 、  、 乏 1に    の    示       No E処こ 示 か Yes 主径間長規 ’ @大規模:400m以上 @中規模:200∼400瓜 @ノ、    ・ 2 吊面数は      No Yes   中央分離帯>O 幅員く20または ヤ線数く4車線 両方の可能 があるため ?[  一ワ’ .選択肢.11面吊1 F.2面量」 のロ  の の    示 .選択肢..__lA型,H型‘門型 堰D独立型、逆x型 ’式 間         間         泌 る  ψ式 示 口せの可  の   ロ の可  の ”式 示 ‘●・◆●・●●…  ,」 選択肢      声 茶茶fジ型”11ラジアル型1:ハープ型 : 選択肢 演^吾形霜制11箱桁  1:2箱桁  :13室箱桁 ll2主桁  ll.閉艇面主桁」

趨陥ラ会にる

w 図2 斜張橋の形式選択までのフローチャート 一27一

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 案されている断面力算定用簡易計算法を利用して、  主桁や主塔に生じる断面力等を算出し、静的な検討  が行えるようにする。 3)風洞実験の必要性や空力弾性振動等の耐風安定性に  関する情報の説明を組み込むと同時に、外部プログ  ラムによりフラッター限界風速を求めることによっ  て、耐風安定性の検討が行えるようにする。  なお,システムの構築には,「大創玄」(A,1,ソフト ㈱)をエキスパートシェルとして使用している.  ここで開発したエキスパートシステムは, ①初心者を対象とした知識べ一スであること, ②定量的情報支援システムの組み込みのために外部プ  ログラムへのアクセスが可能であること, ③選定した形式の概略透視図の表示ができること の3つの特徴を有している.  ①に関しては,最初から本格的なエキスパートシス テムを構築するのは容易でないことから,まずは初心 者を対象とした学習システムとして構築することとし た.なお,ここでの形式選択のプロセスは,図2に示 す通りである.吊面形式・主桁形式・主桁支持形式の 選択だけであれば,組合せ可能タイプの表2)を見れば 容易にできることである.エキスパートシステムを構 築することの特長は,形式選択のプロセスの中に様々 なルールを組み込むことができる点である.ルールの 一例を示したのが図3で,これは吊面数を決めるルー ルである.このようなルールを数多く組み込むことに より,専門家に匹敵する形式選択能力を持たせること ができる.また,なぜ選択した形式が適当なのかの理 由も表示できるようになっている.ただし,これらの ルールは、システムを実際に使用してみて不都合が生 じれば、その妥当性に関して検討を加え修正していく 必要がある.  ②の定量的情報支援システム組み込みのための外部 プログラムは,過去の実績や力学公式等から得られる 簡易式を用いて鋼重・主桁や主塔に生じる断面力など を算出し,形式選定に際しての定量的情報を提供する ものである.例えば図4は,過去のデータによるハー プタイプの斜張橋の「主径間長」と「橋面の単位面積 当たりの鋼重」との関係を示したものであるが,回帰 分析から求まる1次式を簡易式の1つとして外部プロ グラムに組み込み,選択した形式の主桁鋼重を求める ことができるようになっている.主塔鋼重や他の組合 せ可能形式の鋼重、主桁高等に関しても同様に算出で きるようになっている.  さらに、鉛直曲げ1次固有周期等の概略値と、これ らを用いて算出できるフラッター限界風速を求めるこ とも可能で、耐風安定性の定量的検討もある程度行え るようにしている。なお、断面力の算出、耐風安定性 の検討に関する情報については、次章以降で詳述する。 § ルール番号  18 もし       1)幅員 >20   または 2)車線数>4   または 3)中央分離帯の帽(m) =0 ならば       4)吊面数は’2面吊:である.       5)吊面数決定 さもなくば

      6)1面or2面

7)接合子優先順位:または 8)解説 2面吊決定 図3 吊面数の決定ルール 単位面積当たりの鋼重[tonf/m2] 1.0 0.6 0.2

100

200

300     400

    主径間長[m] 図4 主径間長vs,単位面積当たりの鋼重

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 ③の選定した形式の概略透視図の表示という機能は, 図5に示すような透視図を表示させることにより,ユ ーザーが「選定した形式がイメージ通りか」の判断が できるように導入したものである.ただし現時点では, 同じタイプの既設橋梁から得られるデータを用いて描 いた透視図を流用して表示している.現在,主径間長 や幅員など入力した設計条件を満たす透視図が表示で きるシステムとなるように改良を試みている. 3.断面力等算定のための簡易算定式の組み込み  基本設計において構造諸元を決定するにあたり、想 定された全体形状、主要部材の断面性能などについて 力学性状を吟味しなければならない。外部プログラム には、構造形式の比較検討が可能な精度を有する簡易 計算式を組み込むことにした。具体的には、現在主流 を占めるマルチケーブル斜張橋を対象に、①主桁・主 塔の軸力、②不つり合いモーメント、および、③非線 形曲げモーメントを算出することにしている。その理 由は、検討対象としている斜張橋の平面骨組を仮定し、 ケーブル配置を入力すれば、①の結果によって主桁・ ケーブルの剛比の設定ができ、②により支間長比の妥 当性が検討でき、③により非線形解析の適用の可否の 判定が可能となって、選定した斜張橋の構造特性を容 易かつ的確に把握できるためである。 3.1 主桁および主塔の軸力の算出  主桁および主塔の軸力を算出しておくことは、斜張 橋の静特性の検討、特に、主桁のケーブルに対する剛 比を決定する際に重要な役割を果たす。ここでは、文 献3)および4)に示されている部材断面力の簡易算定法 図5 概略透視図の表示 a1 1 1 1 1 1 1 |

N

1 | 1 1

A】da1 fOtce of pylon

1 1 a3 1 1 I a2 1 1 a4 1 1 11d

la

Axial force of main girder a1=1800.00[司 a2=3461.54[tf] a3=4015.38[tf] a4=3192.68[t]コ a5=724.55[tf] nd==3299.99[tf] N=6960.00[tf] xs【0】=  236.00(r而) ==>  3040.24(tf.m) xs[旦=  231.00(rn) ==>  481〔}.06(tf.m) xs[2]=  226.00(m) ==>  5818.92(tf.m) xs〔3】=  221.00(m) ==>  6156、〔X∼(tF亭m) xs〔4】=  205.00(m) ==>  6001.26(tf■m) xs〔5】=  184.00(m) ==>  5305.96(tf●m) xs〔6】=  16Z.00(m) ==> 4511.34(セf唱m) xs〔7】=  136.0②(m) ==>  3716.71(tf.m) xs〔8】=  108.00(m) ==>  2789,64(tf卓m) xs〔9】=  80.0〔](m) ==>  1862.58(tf卓m) xs〔IZ]=   se.00(m) ==>   869.29(tf.m) 図6 主桁・主塔の軸力の算出例 図7 不つり合いモーメントの算出例 一29一

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を外部プログラムに組み込み、主桁・主塔に作用する 軸力を算出することとしている。図6は、計算結果の ディスプレイ表示の一例で、ケーブル配置、主塔の軸 力、主桁の軸力がわかるようになっている。なお、簡 易算定法では主桁の軸力分布は放物線となるが、ここ では、ディスプレイに表示されるラインの見易さを考 慮して折れ線近似を採用している。 3.2 側径間主桁の不つり合いモーメントの算出  最近は斜張橋の長大化が進むのに伴い、中央径間長 と側径間長の比が増大していく傾向にある。その結果 中央径間(片側半分)の死荷重と側径間の死荷重がバ ランスせず、側径間に曲げモーメント(不つり合いモ ーメント)が発生することになる。そのため、この不 つり合いモーメントを算出しておくと、設計者が、選 択したケーブル配置が適切かどうかを検討する上で大 いに役立つことになる。  本システムでは、文献5)で提案されている不つり合 いモーメントの簡易算定法を外部プログラムとして組 み込み、設計者が選択した斜張橋の側径間に生ずる不 つり合いモーメントを算出できるようにしてある。図 7は、その計算結果のディスプレイ表示の一例を示し たものである。このケースでは、側径間のケーブル配 置を主塔を軸として中央径間のケーブル配置とできる だけ対称になるようにしているため、相対的に大きな 不つり合いモーメントが側径間端支点近傍に生じてい ることが、図7より読みとれる。 3.3 非線形曲げモーメントの算出  中央径間の長大化に伴って生じるケーブルのサグに 起因する非線形挙動や、経済的な斜張橋の設計を目指 して曲げ剛性の小さな主桁断面形状を採用した場合の 幾何学的非線形性状により、主桁に生じる曲げモーメ ントが増大する6}。この曲げモーメントは非線形曲げ モーメントと呼ばれ、設計者が基本設計の段階で非線 形性の影響を考慮する必要があるか否かを判断する際 の重要な要因の1つとなる。通常、この非線形曲げモ ーメントの値は、電算機を用いた非線形解析により算 出されるが、膨大な時間を要する。  そこで本システムでは、文献6)で提案されている非 線形曲げモーメントの簡易算定法を外部プログラムに 組み込み、非線形曲げモーメントと線形曲げモーメン point(1(ゾ4) × [7]=136.0000 a=,w=, de =, ig=・, nd= 0.25  0.16  0.98  0.6 3300 hb=115.0000 △MCIM1[6]= O.86% △MglMl[6]=1155% △M!M1[6];12.41% △MぴM1[7]=O.85% △Mg!M1[7]=1056% △M!M1[7]== 11.42% P・int(1c/4) × [6]= 160.0000 図8 非線形曲げモーメントの算出例 ファイル名  HIRARI−8.KB      出力画面      エキスバートシステム間発 ==コ==コ=ココ呂工工=工冨33#3333;38333宝t3■雷3宝33吉●■−3●ヨーS皐完宝虐#客#28#SS3宮=33呂コ=コ38字・33吉呂工■■S工吉コ       ◆風洞実験{こついて        旧Tacoma橋(1940年完成、桁高:支問長=1       :350という非常にスレンダーな補剛桁をもった吊橋で       同年、風による壊滅的な不安定振動が発生し落橋した.)       の悲劇を二度と繰り返さないために、以来吊形式橋梁の動       的安定性を確保する手段として、庖洞実験が欠かせなくな       っている.        風洞実験とは、左図のように補剛桁を幾何学的に相似さ       ttたモデルを風洞中に、鉛直、ねじれの2自由度をもつコ       イルバネにょり弾性支持さtt、水平に風をあて、モデルの       挙動を調ぺる実験である. 画面を続みSSったらFIOキーを押して下さい        ESC:朴ンtrル HELP:ヘルプ     HOW印 刷阿実行全遇択肢          戻 る履 尼次へ進む 図9 風洞実験に関する説明画面

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ファイル名  HIRARI−8.κB     出力画面      エキスバートシステム問発 8工官工工コ竃字t==3=審=3工=田3繧宣治●33雲竃3コ=ユ=●ココ写3コ3吉83工鶏●字亘工宝3宝8エエ●穗嵩工3コ3■3字工33字=3工38工33工客工        ◆翼理絵       空力弾性慌動を哩解する上で翼哩絵を知っておく        ことはrt翼である.Frandsenの成果{こしたがってX        理給について述べることとする.       左図に示すHにおいて、変形前の状態を1、変形        状態2  後の状態を2とする.状態2は鉛直変位δと回転θ       ”的風圧力を風上側1/4点        で表ずことができる.        に集豹させたときの合力をLとする. 画面を読み58ったらFL 10キーを押して下さい        ESC:裕ンtrル HELP:ヘルプ     HOW印 刷再実行全選択肢         戻 る履 歴次へ進む 図10 翼理論に関する説明画面の一例 トの比が求められるようにした。その一例として、中 央径間の1/4点での非線形曲げモーメントの算出結果 を示したのが図8である。 4.耐風安定性に関する情報およびフ   ラッター限界風速算定式の組込み 4.1 耐風安定性に関する情報  本システムに組み込んだ耐風安定性に関する情報は 以下の3つである. 1)風洞実験の必要性やしくみを図も使いながら説明す  ることにより、何のために風洞実験を行うのか、ど  のようなことを風洞実験でするのかがよく理解でき  るようにしてある(図9参照)。 2)フラッターや渦励振とはどのような振動であるのか,  また、どのようにしてそれらの振動が発生するのか  等、空力弾性振動について理解できるような説明を  組み込んである。 3)翼の状態変化の様子を図示するなどして、翼理論に  関する情報が得られるようになっている(図10参照)。 4,2 フラッター限界風速算定用外部プログラムの     組み込み  吊形式橋梁の耐風安定性を考慮する際に重要となる のがフラッター限界風速であり、翼理論によると、こ の風速での風圧力下でねじれとたわみの固有円振動数 が一致し、大振幅振動になり得る連成フラヅターが生 じる。斜張橋の基本設計においては、このフラヅター 限界風速を求め耐風安定性を評価することがしばしば 行われる1)。そこでここでは、エキスパートシステム によって決定された橋梁形式に対し、翼理論により展 開された公式を用いて、鉛直・ねじれの固有円振動数・ T(mode1−1)=4.50365(sec] T(mode1−2)=4.718330[sec]

1δH

l卜一一rl δmax ・O.938192 δH =O.286080 図11 鉛直曲げ1次モードと固有周期の表示例 ダイバージェンス限界風速を求め,Selbergの式によ りフラヅター限界風速が算出できるような外部プログ ラムを作成した。なお、鉛直曲げ1次固有周期の算定 は、文献7)で提案されている簡易算定法に基づいて算 出している。  鉛直曲げ1次固有周期とそのモード形の算出を実行 した場合の一例を示したのが図11である。画面には、 主塔が剛で主桁がスレンダーであるとしたmodel−1と, 主塔・主桁共に剛であると仮定したmodel−2の2つの ケースに関する鉛直曲げ1次モード形と固有周期が表 示されるようにしてある。  図12は、フラヅター限界風速の算出を実行して得ら 一31一

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w−lc/lsan係(資科参照)から、 aの値を求めて下さい. v   ’ 0.500 ユcノ16= をひ25ら

治       し

主径問ケープルのバネ定数(塔より外側から) k【0】= 5.601296 k【1】= 8.063643 k【2,t 9.880008       P k【31= t2■274487 k【4】= 15.417780 k〔5】= 19.41!882 k【6]字 24.018101 k【71= 2S.166367 上記のバネ定数より、最も塔より遠い着目点(p点)における k〔0】の姐を計算垣とします. 鉛直固有円垢動散ωvは・0・108619(Hz) ねじれ固有円据動数ωtは、0.188134(HZ) ダイバージェンス限罪風速vdは、172.38(m/s) フラッター限界夙速Vfは、73.ig(m/S) 図12 フラヅター限界風速算出用外部プログラムの実行例 5.まとめ (m/s)

 70

閨 警 ↓

1;65

60

   5

7

9  11

ケーブル本数 図13 フラッター限界風速vs,    (橋長1000m、幅員20m) ケーブル本数 れる画面の一例を示したもので、どの位置のケーブル のバネ定数を計算に使用したかもディスプレイ上に表 示できるようにしてある。  本システムに組み込んだ外部プログラムを利用して フラッター限界風速を橋長1000m、幅員20mの場合に ついて算出した結果を図示したのが図13である。同図 は、ケーブル面数を2、径間割を3径間、ケーブル配置 を主塔に対し非対称とした場合で、主塔片側のケーブ ル本数を横軸に、フラッター限界風速を縦軸に取って ある。図13より、ケーブル本数の増加に伴ってフラッ ター限界風速が上昇し、また、中央径間長が長くなると フラッター限界風速が小さくなっていることから、算 出結果が常識的な傾向と一致していることがわかる。  本研究では,①過去の実績データに基づいた適用可 能な形式の選定,②各形式の構造力学的特性,形状に よる制約などの表示,③鋼重や主桁・主塔に生ずる断 面力などの定量的情報の提供,④風洞実験の必要性や 空力弾性振動等の耐風安定性に関する情報の表示とフ ラッター限界風速の算出、⑤選定した形式の概略透視 図の表示 が可能な初心者向けの斜張橋の概略設計用 エキスパートシステムを構築した.しかし,まだ大枠 を構築したにすぎず,さらに,耐震性・景観設計・施 工のし易さなどに関する知識の組み込みが必要である. そのため,今後は専門家との対話を綿密に行ってノウ ハウのルール化を進め,より実用的なシステムになる よう改良を加えていく予定である. 参考文献 1)N.J. Gimsing著,伊藤監訳,藤野,長井,杉山,中村共  訳:吊形式橋梁一計画と設計一建設図書,1990年4月, 2)杉山,保坂:斜張橋情報データベースからのエキス  パートシステム構築に必要な知識の抽出,山梨大学  工学部研究報告,第42号,pp,91−96,平成3年12月, 3)土木学会鋼構造委員会:鋼構造シリーズ5 鋼斜張 橋一技術とその変遷一,土木学会,平成2年9月. 4)長井、赤尾、佐野、井澤:3径間連続マルチケーブ  ル斜張橋の基本形状決定に関する一考察、土木学会  論文集、第362号/1−4,pp,343−352,1985年10月. 5)長井、赤尾、佐野、井澤:3径間連続マルチケーブ  ル斜張橋の部材断面力算定法の提案,土木学会論文  集、第362号/1−4、pp,353−362,1985年10月. 6)長井、赤尾、佐野、奥井:斜張橋主桁に発生する非  線形曲げモーメントの簡易算定法の提案、土木学会  論文集、第392号/1−9、pp,307−316,1988年4月. 7)長井、佐野、小松:斜張橋の曲げ1次固有周期の算  定とその性状に関する検討、構造工学論文集、Vol,  36A, pp,1115−1127,1990年3月.

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