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平成29年度人間環境科学研究所活動報告

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Academic year: 2021

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人間環境科学 第25巻 1∼2 (2018) 平成29 年 度 人間環境科 学研 究所 活動 報告 1 人 間 環 境 科 学 研 究 所長  柳  元 和 2017年度 第1回シンポジウム 2017 年 3月 発 行 の人 間環 境 科 学 研 究 所 (以 下 、人 環 研 ) 紀 要 人 間 環 境 科 学24 巻 にお い て 、秋 元 秀 美 氏 ら が「 円板 のつ く り 出す 音 と新 し い 楽 器 の 可 能 性 一 白 由 端 円 板 にお け る 固 有 振 動 数 に対 す る 曲げ モ ーメ ン ト の理 論 的 考 察− 」 を 発 表 さ れ たこ と が契 機 とな り、 第 1 回 目 シ ン ポ ジ ウム の 内容 に つ い て 検討 が 進む こ と とな っ た。 議 論 は 2 次 元 音 階 の 不 思 議 に 及 び 、 第 1 回 シ ン ポ ジ ウム の タイ ト ルを「鐘の音を科学する」と決定した。そして同志社大学文化情報学部の柳沢英輔氏と、広島大 学 大 学 院 生 物 圈 科 学 研 究 科 の柳 井 直 樹氏 を招 い て 、 ド レ ミ フ ァ ソ ラシ ド (12 平 均 律 ) 以 外 の 音 階 と、 そ れを 利 用 し た 楽器 や 音 楽、 ま た 2 次 元音 階 の応 用 な ど につ い て、 講 演い た だく こ と と なっ た (2017 年 9月29 日開 催 )。 柳 沢氏 は 「ベ ト ナ ム中 部 高原 の ゴ ン グ 文 化 」 と題 し 、 ゴ ン グ の 制 作 ・ 演 奏 ・ 調 律 に つ い て 詳 し く 解 説 さ れ た。「 ゴン グ演 奏 に あ っ て は 、 個 人 の 芸術 性 の発 揮 よ り も 、 互 い の音 を 良 く 聞い て 、 自 ら をそのなかに調和させる協調性が必要」である。その時、「ゴングセット全体が適切な音程関係と音 色 に調 律 さ れ てい る 」 必 要 か お る。 調 律 師 は 「民 族 ご と、 村 ご と の旋 律 の多 様性 とい うゴ ン グ文 化 の 根幹 を支 え る」存 在 で あ り 、かつ て は 各 村 にい た が「現在 そ の数 は 激減 し て い る」、ま た「若 い 人 々 は スマ ホを 持 っ て お り、 ホ ップ ミュ ー ジ ッ ク に影 響 さ れて い る 」 と のこ とで あ っ た。 なお 、 ベ ト ナ ム の音 楽文 化 につ い て 、 柳 沢氏 が本 巻 に 寄稿 され て い る ので 、 ご 覧 頂 き た い 。 櫻井氏は「日本の梵鐘の音色から見る西洋と東洋の音楽の違い」について講演された。氏の元々 の研 究テ ー マ は、 球形 の果 実 を 震 わせ て 共 鳴 す る音 の 高 さ か ら、果 実 の 熟度 を 判 定す るこ と で あ る。 そ の研 究成 果 か ら、12 平 均 律 で は な い 、2 次 元 音 階 の 存 在 に 傾 倒 し 、 円板 で 構 成 さ れ る 楽 器 、 ポ リ ゴ ノ ー ラ を 開 発 され た。 ポ リ ゴ ノ ー ラ の 音 色 は 三 井 寺 の 梵 鐘 と近 似 し て い る。 ポ リ ゴ ノー ラ の解 析 結果 か ら 、 三 井 寺 の 梵 鐘 の 音 色 も理 論 的 に 説 明 で き る こ と が示 さ れ た。 こ れ は 自 然 界 の 音 に 近 く 、 整 数 倍 で ない 音 の 並 び で 構 成 さ れて い る。 楽 器 で は ゴ ン グ、 音 楽で は ジ ャ ズ や ロ ッ クが 相 当す る。 人 間 の 耳 が ど の よ うに し て 非 整 数 倍 音 を含 む 音 楽 や 自然 界 の音 を認 識 し てい る の か は 、 い ま だ解 明 さ れて い な い と のこ とで あ っ た。 柳 井 氏 の ご 紹 介 を 得 て 、 本 巻 に 声 明 に 関 す る 論 文 を 掲 載 す るこ と が で き た ので 、 ご 一 読 い た だ き たい 。 第2回シンポジウム 人 環研 で は 、 か ねて よ り 自 校 教育 につ い て 議 論 を 重 ねて き た が、 自 校 教 育 を 進 め る に あ た っ て 重 要 な 根幹 を な す 、 自校 史 に つ い て の 検討 は 遅 れ てい た。 そ こ で 帝 塚 山 学 園お よび 大 学 の 歴 史 に つ い て 詳 細 な文 献 的 検討 を行 な っ て お ら れ る 前 学 園長 、柳 澤 保 徳 特 別 客 員 教 授 を 迎 えて 、「帝 塚 山 学 園 の歴 史 に学 ぶ : 大 学 に焦 点 を 当て て 」 を 開催 す る 運 び と なっ た(2018 年 2 月22 日開 催 )。 柳 澤 氏 は、「自 校 史 教 育 は 学 園 の こ れ ま で を 語 る も の 」、「自 校 教 育 は 学 園 の 今 とこ れ か ら を 語 る も の」 と簡 潔 に 整 理 し て お く こ と が有 用 で あ ろ うと提 案 さ れた 。 そ の上 で 、 自校 史 教育 にあ っ て は

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2 日本 の 近 現 代 史 の 中 で 「大 学 」 を 見つ め る とい う作 業 が 必 要 に な るだ ろ うし 、 私 立 大 学 の建 学 の理 念 を理 解 す る こ と が重 要 に なろ うと話 さ れた 。幸 い 帝 塚 山学 園 に は 貴重 な 幾 つ か の資 料 が 存 在 す る。 星晨 (創 立40 周 年 記念 誌 )、 学 園五 十 年 史 、 松 毬 ( 創 立60 周 年 記 念 )、 学 園 七 十年 史 な ど で あ る。 柳 澤 氏 はこ れ ら の資 料 か ら数 々 の引 用 を さ れ な が ら、 山本 藤 助 、 庄 野 貞一 、 森 磯 吉 3 名 の 創始 者 が い か な る 理 念 の も と に 学 園 そ し て 大 学 を 創 り 上 げ て 来 た の か を概 括 さ れ た。 そ れ を 踏 ま えて 帝 塚 山 大 学 の 自 校 教 育 に つい て 、 学 生 た ち の 「居 場 所 」 の 確 認 と 帰 属 意識 の醸 成 が 必 要 な こ と 、 学び の場 で あ る 自 大 学 の こ と を 、 良 い 面だ けで な く 短 所 も 含 め て 、 知 る ・ 考 え る 機 会 を 提 供 す る こ と の意 味 につ い て 語 ら れ た。 さら に 自 校 教育 にあ た っ て 、 そ れ に 携 わ る 大 学 教職 員 が 自 校 史 ・ 自 校 理 解 を 深 め るこ と に 大 き な 意 味 か お り 、 大 学 教職 員 全員 が 、 自 ら の 言 葉 で 、 自 校 につ い て 学 生 や 社 会 に 向 け て 語 る機 会 を 増 や し て い か な け れ ば、 今 後 の発 展 は あ り えな い こ と を示 唆 され た 。 講 演 後 の フ リ ー デ ィ ス カ ッシ ョン で は 、 実 学 と 教 養 に つ い て 熱 心 な議 論 が 交 わ さ れ た 。 現 在 、 即 戦力 の養 成 とい う意 味 で の 専 門 教育 は、 多 く の 大 学 で 実 行 で きて い る と は 言 え ない 状 況 にあ る。 そ れ は本 学に あ っ て も 同様 で あ る。複 雑 な 様 相 を 呈 す る21 世 紀 の社 会 にあ っ て 、実 学や 専 門 教 育 の 意 味す る と こ ろ は 何 か 、 必 ず し も 明 ら か に な っ てい る とは 言 え ない 。 こ の よ うな 時 代 に あ っ て こ そ 、 帝 塚 山 学 園 の 出発 点 で あ る「国 家・ 社 会 の腦 託 に こ た え る有 為 の人 材 の育 成 」とい う理念 に つい て 、 改めて問い直さればならないのではなかろうか。すなわち社会の負託にこたえる、教養人育成の意 味 を 再発 見 す るこ とで あ る 。 教養 の今 日的 な 意 味 の検 討 と 、 実 学 と の 関 連 性 を 明 確 に す る 作業 を 、 引 き 続 き 行 うこ と を 約 束 し て 、 シ ン ポジ ウ ム を 終 えた 。 その勉の活動 そ の 他、 所 員 の 学術 活 動 につ い て 列 挙し て お く (下 線 部 が人 環 研 所 員 ). ● 安 川 あ け み 、安 井 伸 郎 . 紫 タマ ネ ギ 外皮 を 用い た染 色 と 界 面 活性 剤 添加 の影 響 . 日本 繊 維 製 品消費科学会2017年年次大会、京都女子大学、2017年6月 ● 安 藤 太 朗 、 岩 下 秀 文、 安 井 伸 郎 他. リ ンガ ー とな る官 能 基 を も つ ホ スフ ィ ン の one-pot光 化 学合 成. 第54 回化 学 関 連 支 部合 同 九 州 大 会 、北 九 州 国 際 会議 場、2017 年 7月 ● 元 根 朋 美 、大 久保 純 一 郎 、柳 元 和 . 開 放 制 教 職 課 程 で の 教 育 実 習 準備 にお け る 自 校 教 育 の役 割 . 日本 教育 晴報 学会 第33 回 年 会、芦 屋 大 学、2017 年 8月 ● 安 藤 太 朗 、 岩 下 秀 文 、安 井 伸郎 他 . 官 能 基 を も つ ジ ア リ ー ル ホ スフ ィ ン の 光反 応 に よ る 合 成 . 第44 回 有 機 典 型 元 素 化 学 討 論 会 、 東 京 工 業 大 学 、2017 年12 月 なお本巻に収載されている「車いす利用者からみた観光地のバリアフリーの現状と課題に関する 研究 一近鉄奈良駅周辺の事例− 」および「サービス付き高齢者向け住宅における共用空間の利用実 態について」の2編は、人環研例会にて口演発表された内容を論文化したものである。

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