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簡易熱流体潤滑理論にもとづく軸受最高温度の時刻歴

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Academic year: 2021

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(1)

1. は じ め に 産業用の回転機械は近年,大型化,高速化の傾 向が進んでいる.これに伴い,それを支えるすべ り軸受の運転条件は過酷になってきている. 軸受パッドは,鋼製の裏金に,異物埋収性に優 れた軟質合金のホワイトメタルがライニングされ た構造をしている.ホワイトメタルは低融点材料 であるため,回転機械の高速化に伴い油膜のせん 断発熱が大きくなりすぎると,潤滑面が軟化し, 溶融や表面流動による軸受面の損傷が最小油膜厚 さ位置の付近で生じるおそれがある.このため, 設計の段階で軸受最高温度の高精度な予測が求め られる. しかし,潤滑油の粘度が一様であるとする等粘 度流体潤滑モデルではこのような要求を満たすこ とはできず,これに替え,油膜内の三次元的な温 度と粘度の分布を考慮する熱流体潤滑(Thermo-Hydrodynamic Lubrication,以下 THL)モデルが 適用されるようになっている.最新の THL モデ ルを用いると,定常運転時のすべり軸受面の温度 を高精度で予測することができる1) 回転機械は,回転開始後,定常回転速度に達す るまでの間,必然的に加速する.加速に要する時 間(以下,加速時間)を十分に大きく確保できる 場合は,加速時の温度上昇に伴う熱膨張が徐々に “トライボロジスト”第 66 巻 第 5 号(2021) 384~396 原稿受付 2020 年 11 月 16 日 掲載決定 2021 年 2 月 6 日 J-STAGE 早期公開日 2021 年 3 月 19 日 学術論文 : 九州工業大学 情報工学部(〒820-8502 福岡県飯塚市川津 680-4)

School of Computer Science and Systems Engineering, Kyushu Institute of Technology(680-4, Kawadu, Iizuka‒shi, Fukuoka 820-8502)

Corresponding author:E‒mail: [email protected]

畠中 清史*

Time History of Maximum Bearing Temperature Based on a Simplified

Thermohydrodynamic Lubrication Theory

Kiyoshi HATAKENAKA*

Key Words : journal bearing, cylindrical bearing, thermohydrodynamic lubrication theory, transient analysis, maximum bearing temperature

An overshoot phenomenon of bearing temperature in hydrodynamic journal bearings may be observed during a sudden start-up experiment. This phenomenon implies that the maximum bearing temperature in acceleration operation may exceed the predicted one which can be predicted accurately by applying a state-of-the-art steady-state thermohydrodynamic lubrication (THL) model. This paper presents the maximum bearing temperature including the one during acceleration operation by using a simplified THL model that is newly proposed for a transient THL analysis. It is found that the overshooted temperature can be qualitatively predicted by using the transient THL model that incorporates properly the interaction between the motion of journal center and the viscous dissipation, even if it is a simple model. Next, the transient temperature during slow acceleration operation and also those toward higher dimensional steady-state journal rotational speed are calculated and they are found to be in qualitative agreement with the measurements. The oil film characteristics such as oil film pressure, temperature and thickness after reaching the steady-state equilibrium do not depend on the value of initial journal eccentricity ratio in the transient analysis. However, when the values are different, the characteristics immediately after starting rotation change largely. In the case of the value 1.00, it is found to give a prediction that agrees qualitatively with the characteristics measured in the experiment.

(2)

進む2)ため,ジャーナルと軸受の間に形成される すきまの寸法変化を見込んで定常 THL モデルを 適用すれば,運転中のすべり軸受面温度の予測が 適正にできる. ところが,回転機械の中には,ガスタービンの ような急起動を特徴とする運転形態をとるものも ある.このような回転機械では,ジャーナル,軸 受およびハウジングの熱膨張に時差が生じる.油 膜のせん断発熱の一部は,ジャーナル表面を通過 してジャーナル内部に流入し,その温度を上昇さ せながら,軸受すきまを狭める方向にジャーナル を熱膨張させる.また,残りの一部は,潤滑面を 通過して軸受内部に流入し,その温度を上昇させ ながら軸受を熱膨張させる.しかし,これらの熱 膨張が生じる際,ハウジングにはまだ十分な熱量 が伝っていない.このため,ハウジングの熱膨張 は大きくはならず,軸受の熱膨張は軸受すきまを 狭める方向に進む.その結果,軸受すきまが消失 して,軸受によるジャーナルの抱きつきが起こり, 回転機械が破壊に至る危険性が高まる.

Conway-JONESand LEOPARD3)は,ティルティン

グパッドジャーナル軸受の回転速度を数十~120 s の短い加速時間で定常速度に到達させる実験を 行い,回転開始直後からの軸受パッドの温度を, 定常速度に達して以降,しばらくの間,実測する とともに,ハウジングに設置した変位計の測定 データをもとに軸受すきまの減少量の見積もりを 行った(Fig. 1).それによると,定常速度が小さ い場合(2 または 3 krpm)は,軸受すきまの減少 量は小さく,軸受パッドの温度は静的平衡状態に あるときの温度に向けて徐々に増大していった. 定常速度が大きい場合(5 krpm)は,定常速度に 達して以降も軸受すきまは減少を続け,抱きつき 現象に起因する軸受パッドの表面流動が生じた. 定常速度がそれらの中間(4 krpm)の場合は,定 常速度に達して以降,しばらくの間は軸受すきま は減少を続けたが,ハウジングの熱膨張が進むに つれてそれは回復に向かった.しかし,軸受パッ ドの温度は,引き続き増加を続け,静的平衡状態 にあるときの温度をいったん上回った後,その温 度に向けて徐々に低下していった. このような温度のオーバーシュート現象は,加 速運転中の軸受最高温度が THL モデルによる予 測値を上回る可能性があることを示唆する.非定 常解析への適用が可能な THL モデルを新たに構 築して,加速中を含めた軸受最高温度の予測を適 正に行うことができなければ,軸受設計段階にお ける安全裕度は低下する. THL モデルを応用した非定常解析は数多く行 われている4~9) PASCOVICIら4)は,軸受とジャーナルの間に形 成される同心油膜を対象とし,一定のジャーナル 回転速度のもとでジャーナルの熱膨張の影響を考 慮して簡易エネルギー方程式を解き,油膜温度が 時間に対して単調に増加を続けることを示した. KHONSARI and WANG5)は,THL モデルによる非

定常解析を一定の偏心率とジャーナル回転速度の もとで行い,真円軸受の油膜温度が初期温度から 単調に増加して数十 ms の後には定常温度に達す ることを示した. MONMOUSSEAUら6)は,無負荷のティルティン グパッドジャーナル軸受が急起動する場合の軸受 温度を,ジャーナル,軸受パッドおよびそのピボ ットの変形を考慮した非定常 THL モデルにより 解析した.MONMOUSSEAUら7)は,さらに,ジャー ナルとハウジングの熱伝導方程式を追加して非定 常 THL モデルを改良した.KUCINSCHIら8)は,こ の理論モデルの解法に有限要素法を適用して真円 軸受を対象とする非定常解析を行い,軸受パッド

温度について KUCINSCHIand FILLON2)による実験

59

Fig. 1 Time history of shaft rotational speed, bearing temperature and loss of radial clearance (This graph is conceptual and made by the author, based on Ref.(3))

(3)

結 果 と 良 好 に 一 致 す る こ と を 示 し た. MONMOUSSEAU and FILLON9)は,引き続き,軸受

設計変数の影響について調べ,半径すきま,給油 温度および加速時間が大きいとき,あるいは,定 常速度が小さいときには焼付きに至ることなく運 転を継続することが可能なことを示した. しかし,いずれの研究も,軸受温度のオーバー シュート現象2)を定性的に示すことはできていな い.これが,THL モデルにおいて認知されてい ない本質的な問題に起因するためであるのか,解 析条件(軸受の仕様や運転条件)が適当でなかっ たに過ぎないためであるのか,理由は定かではな い. これを受け,本研究では簡易 THL モデルを用 いて軸受温度の時刻歴を求め,そのオーバーシ ュート現象を THL モデルにより予測できるのか どうかについて調べることを目的とする.本モデ ルでは熱変形は考慮しない.軸受すきまは基準時 刻における値を保ち,変化しないとする.これに より,熱変形に伴う軸受すきまの変化とオーバー シュート現象との関与の度合い,すなわち,軸受 すきまの変化がこの現象の本質であるか否かにつ いて,明らかにできる.なお,解析対象は鉛直上 方に給油溝を有する真円軸受(Fig. 2)とした. 2. 記 号 本論文では無次元量による解析を行う.使用す る記号を以下にまとめる.無次元量の定義(有次 元量との関係)は付録 A に掲載する. :無次元エネルギー Ʀ :無次元油膜粘度の関数(B􀀽􀀽􀀰􀀰,􀀱􀀱,􀀲􀀲) :無次元油膜粘度の関数(B􀀽􀀽􀀰􀀰,􀀱􀀱) # :無次元油膜厚さ A :油膜厚さ &A :コンサリ数 G􎨰􎨰 :ジャーナルが回転開始後,定常速度に 至るまでの回転数 + :無次元油膜圧力 +> :ペクレ数 , :無次元流量 J :流量 K􎩪􎩪 :ジャーナル半径 .􎨰􎨰 :ゾンマーフェルト数 /􎩭􎩭􎩩􎩩􎩸􎩸 :混合油温度 :軸受荷重 0, 1, 2 :Ý, Ü, 5各軸方向の無次元油膜速度 3􎩪􎩪, 4􎩪􎩪:鉛直方向,水平方向の偏心率 ĕ􎩪􎩪, Ė􎩪􎩪 :鉛直方向,水平方向の偏心量 Ö :縮流比 Öǖ :時刻 èƫの計算開始時における偏心率 を暫定的に与えるための係数 ÁÝ, ÁÜ, Á5 :Ý, Ü, 5各軸方向の格子幅 Áè :時間刻み幅 Ú :偏心率(􀀽􀀽

ě

3􎨲􎨲 􎩪􎩪􀀫􀀫4􎩪􎩪􎨲􎨲) Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴 :基準時刻における偏心率(初期偏心率) Å􎩭􎩭􎩩􎩩􎩸􎩸 :無次元混合油温度 Å :無次元油膜温度 Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸 :軸受最高温度 Ý, Ü, 5 :円周方向,油膜厚さ方向,軸方向の各 無次元座標 È :軸受幅径比 à􎨰􎨰 :軸受定数 É :無次元油膜粘度 â􎨰􎨰 :無 次 元 定 常 ジ ャ ー ナ ル 回 転 速 度 (􀀽􀀽.􎨰􎨰􎐼􎐼à􎨰􎨰) è :無次元時間 èƫ :無次元離散時刻(􀀽􀀽GÁè) ñ :偏心角 Õ :ジャーナル回転速度比

(4)

í :ジャーナル回転角速度 添え字など 􀁭􀁭􀁡􀁡􀁸􀁸 :最大 􎜀􎜀G􎜐􎜐 :離散時刻 èƫ 􀁯􀁯􀁵􀁵􀁴􀁴 :油膜出口部 􀁲􀁲􀁵􀁵􀁰􀁰 :油膜破断の開始位置 􀁳􀁳􀁩􀁩􀁤􀁤􀁥􀁥 :軸受端 􀁳􀁳􀁵􀁵􀁰􀁰 :給油 􀀰􀀰 :定常 􎴃􎴃 :è に関する微分 3. 理 論 解 析 THL モデルは,三つの方程式(一般化レイノル ズ方程式,油膜のエネルギー方程式,軸受の熱伝 導方程式)と複数の代数式(油膜厚さ式,油膜温 度と粘度の関係式など)から構成される1).これ らを連立して定常解を求めるには,軸受諸元や運 転条件から算出される多数の無次元軸受設計変数 の値を指定する必要がある. これに対し,無次元軸受設計変数を四つしか必 要としない簡易 THL モデルがある.このモデル は,軸受の熱伝導方程式を除外して油膜のエネル ギー方程式の境界条件を簡素化し,ジャーナル表 面では油膜温度が一様なジャーナル表面温度に等 し い と し,軸 受 面 で は 断 熱 条 件 を 課 す. KHONSARIら10)はこれを ISOADI THL モデルと 名付けている. 本研究では,軸受温度の時刻歴を定性的に調べ ることに重点を置く.このため,本非定常解析は, 文献11)を参考にして修正を加えた ISOADI THL モデルを応用して行うことにする.なお,このモ デルは簡易 THL モデルではあるものの,静的平 衡状態にある軸受の予測温度は実測値と良好に一 致する(Fig. 3). 3.1 非 定 常

ISOADI THL

モ デ ル の 概 要 油膜内で発生する圧力 + の分布は,DOWSONの 一般化レイノルズ方程式(1)を解いて求める. Ă ĂÝ

􎜢􎜢

#􎨳􎨳"􎨰􎨰

􎜂􎜂

Ă+ĂÝ

􎜒􎜒􎜲􎜲

􀀫􀀫􀀴􀀴È􀀱􀀱􎨲􎨲 Ă Ă5

􎜢􎜢

#􎨳􎨳"􎨰􎨰

􎜂􎜂

Ă+Ă5

􎜒􎜒􎜲􎜲

􀀽􀀽.􎨰􎨰

􎜢􎜢

#􎴃􎴃􀀫􀀫ÕĂÝ 􎜀􎜀#"Ă 􎨱􎨱􎜐􎜐

􎜲􎜲

(1) 式(1)に対し,油膜の入口部と出口部および軸受 端において油膜圧力が大気圧に等しいとする境界 条件を与える.また,円周方向に生じる油膜破断 に対しては,レイノルズ境界条件を適用する. 式(1)に与える油膜厚さ # は,真円軸受の場合, # 􀀽􀀽􀀱􀀱􀀫􀀫3􎩪􎩪􀁣􀁣􀁯􀁯􀁳􀁳 Ý􀀫􀀫4􎩪􎩪􀁳􀁳􀁩􀁩􀁮􀁮 Ý (2) ジャーナル回転速度比 Õ は,回転開始後,G􎨰􎨰回 転するまでの間に正弦波状に 0 から 1 まで加速し, それ以降は定常速度を維持するように与える (Fig. 4).すなわち, Õ􀀽􀀽

􎝅􎝅

􀀱􀀱 􀀲􀀲

􎜢􎜢

􀀱􀀱􂈒􂈒􀁣􀁣􀁯􀁯􀁳􀁳

􎜂􎜂

􀀴􀀴Gè􎨰􎨰

􎜒􎜒􎜲􎜲

􎜀􎜀􀀰􀀰􂉤􂉤è􂉤􂉤􀀴􀀴åG􎨰􎨰􎜐􎜐 􀀱􀀱 􎜀􎜀è􀀾􀀾􀀴􀀴åG􎨰􎨰􎜐􎜐 (3) この場合,è 􀀽􀀽􀀰􀀰~􀀴􀀴åG􎨰􎨰の間にジャーナルは 􀀲􀀲åG􎨰􎨰 􀁲􀁲􀁡􀁡􀁤􀁤だけ回転する. また,式(1)中の "􎨰􎨰􎜀􎜀Ý􎜐􎜐,"􎨱􎨱􎜀􎜀Ý􎜐􎜐は, 61

Fig. 3 Excursion of bearing temperature along the center line(Comparison of ISOADI THL prediction with measurement12)at steady-state equilibrium)

Fig. 4 Variation of journal rotational speed ratio with respect to time

(5)

􎨰􎨰􎜀􎜀Ý􀀬􀀬Ü􎜐􎜐􀀽􀀽

ě

ǘ 􎨰􎨰 􀀱􀀱 É =Ü (􀀴􀀴.􀁡􀁡) 􎨱􎨱􎜀􎜀Ý􀀬􀀬Ü􎜐􎜐􀀽􀀽

ě

ǘ 􎨰􎨰 Ü É =Ü (􀀴􀀴.􀁢􀁢) 􎨲􎨲􎜀􎜀Ý􀀬􀀬Ü􎜐􎜐􀀽􀀽

ě

ǘ 􎨰􎨰 Ü􎨲􎨲 É =Ü (􀀴􀀴.􀁣􀁣) として, "􎨰􎨰􎜀􎜀Ý􎜐􎜐􀀽􀀽 􎨲􎨲􎜀􎜀Ý􀀬􀀬􀀱􀀱􎜐􎜐􂈒􂈒 􎨱􎨱􎜀􎜀Ý􀀬􀀬􀀱􀀱􎜐􎜐 􎨲􎨲 􎨰􎨰􎜀􎜀Ý􀀬􀀬􀀱􀀱􎜐􎜐 (􀀵􀀵.􀁡􀁡) "􎨱􎨱􎜀􎜀Ý􎜐􎜐􀀽􀀽􀀱􀀱􂈒􂈒 􎨱􎨱􎜀􎜀Ý􀀬􀀬􀀱􀀱􎜐􎜐 􎨰􎨰􎜀􎜀Ý􀀬􀀬􀀱􀀱􎜐􎜐 (􀀵􀀵.􀁢􀁢) 油膜の粘度 É は,温度 Å が上昇するとともに, 指数関数的に減少するモデル É 􀀽􀀽􀁥􀁥􀁸􀁸􀁰􀁰 􎜀􎜀􂈒􂈒Å􎜐􎜐 (􀀶􀀶) を採用する. 油膜温度 Å の分布は,油膜のエネルギー方程式 (􀀷􀀷)を解いて求める. ĂÅ Ăè 􀀫􀀫0 ĂÅ ĂÝ 􀀫􀀫 􀀱􀀱 #

􎜂􎜂

1 􂈒􂈒Ü0 Ă# ĂÝ

􎜒􎜒

ĂÅ ĂÜ 􀀽􀀽ĂÜĂ

􎜂􎜂

+>#􀀱􀀱 􎨲􎨲 ĂÅ ĂÜ

􎜒􎜒

􀀫􀀫&AÉ#􎨲􎨲

􎜂􎜂

Ă0 ĂÜ

􎜒􎜒

􎨲􎨲 (7) 式(7)に対し,次の境界条件を与える.まず,油膜 の入口部では油膜温度は均一な混合油温度に等し いとする.また,軸受面では断熱条件(ĂÅ􎐼􎐼ĂÜ􀀽􀀽􀀰􀀰) を課し,そこを通過する熱流束はないとする.ジ ャーナル表面では,油膜温度は一様なジャーナル 表面温度に等しいとする. 混合油温度は,給油溝を流出入する潤滑油のエ ネルギーバランスを考慮して, Å􎩭􎩭􎩩􎩩􎩸􎩸􀀽􀀽, 􎩯􎩯􎩵􎩵􎩴􎩴 􎩯􎩯􎩵􎩵􎩴􎩴􀀫􀀫,􎩳􎩳􎩩􎩩􎩤􎩤􎩥􎩥 (􀀸􀀸) により算出する.ここで, ,􎩯􎩯􎩵􎩵􎩴􎩴􀀽􀀽

ě

􎨱􎨱􎐼􎐼􎨲􎨲 􎸒􎸒􎨱􎨱􎐼􎐼􎨲􎨲

ě

􎨱􎨱 􎨰􎨰􎜀􎜀Ö#0 􎜐􎜐Ǚ􎨽􎨽􎨲􎨲ǡ=Ü=5 (􀀹􀀹.􀁡􀁡) ,􎩳􎩳􎩩􎩩􎩤􎩤􎩥􎩥􀀽􀀽􀀲􀀲

ě

􎨲􎨲ǡ 􎨰􎨰

ě

􎨱􎨱 􎨰􎨰􎜀􎜀#2 􎜐􎜐Ɯ􎨽􎨽􎨱􎨱􎐼􎐼􎨲􎨲=Ü=Ý (􀀹􀀹.􀁢􀁢) 􎩯􎩯􎩵􎩵􎩴􎩴􀀽􀀽

ě

􎨱􎨱􎐼􎐼􎨲􎨲 􎸒􎸒􎨱􎨱􎐼􎐼􎨲􎨲

ě

􎨱􎨱 􎨰􎨰􎜀􎜀Ö#0Å􎜐􎜐Ǚ􎨽􎨽􎨲􎨲ǡ=Ü=5 (􀀱􀀱􀀰􀀰) ジャーナル表面温度は,ゼロネットヒートフ ローモデルを採用し,

ě

􎨲􎨲ǡ 􎨰􎨰 Ö # ĂÅ ĂÜ

􎞂􎞂

ǘ􎨽􎨽􎨱􎨱=Ý􀀽􀀽􀀰􀀰 (11) を満たす定数として求める. 油膜破断部(+ と Ă+􎐼􎐼ĂÝ がともに 􀀰􀀰 となる領 域)における縮流比 Ö は, Ö􀀽􀀽#􎩲􎩲􎩵􎩵􎩰􎩰#""􎨱􎨱􎜀􎜀Ý􎩲􎩲􎩵􎩵􎩰􎩰􎜐􎜐 􎨱􎨱􎜀􎜀Ý􎜐􎜐 (12) により求める. 油膜速度の円周方向成分 0(式(7),(9.a), (10)),油膜厚さ方向成分 1(式(7)),軸方向成分 2(式(9.b))は,それぞれ, 0 􀀽􀀽#.􎨲􎨲 􎨰􎨰

􎜢􎜢

􎨱􎨱􎜀􎜀Ý􀀬􀀬Ü􎜐􎜐􂈒􂈒 􎨱􎨱􎜀􎜀Ý􀀬􀀬􀀱􀀱􎜐􎜐 􎨰􎨰􎜀􎜀Ý􀀬􀀬􀀱􀀱􎜐􎜐 􎨰􎨰􎜀􎜀Ý􀀬􀀬Ü􎜐􎜐

􎜲􎜲

Ă+ ĂÝ 􀀫􀀫 􎨰􎨰􎜀􎜀Ý􀀬􀀬Ü􎜐􎜐 􎨰􎨰􎜀􎜀Ý􀀬􀀬􀀱􀀱􎜐􎜐(13.a) 1 􀀽􀀽􂈒􂈒#

ě

ǘ 􎨰􎨰

􎜂􎜂

Ă0 ĂÝ 􂈒􂈒#Ü Ă#ĂÝ Ă0ĂÜ

􎜒􎜒

(13.b) 2 􀀽􀀽􀀴􀀴È#􎨲􎨲􎨲􎨲. 􎨰􎨰

􎜢􎜢

􎨱􎨱􎜀􎜀Ý􀀬􀀬Ü􎜐􎜐􂈒􂈒 􎨱􎨱􎜀􎜀Ý􀀬􀀬􀀱􀀱􎜐􎜐 􎨰􎨰􎜀􎜀Ý􀀬􀀬􀀱􀀱􎜐􎜐 􎨰􎨰􎜀􎜀Ý􀀬􀀬Ü􎜐􎜐

􎜲􎜲

Ă+ Ă5 (13.c) により算出する. 水平剛体軸の運動方程式は,軸の自重と油膜反 力が外力として作用する場合, â􎨲􎨲 􎨰􎨰3􎩪􎩪􎴃􎴃􎴃􎴃􀀽􀀽􀀱􀀱􂈒􂈒!ƚ (14.a) â􎨲􎨲 􎨰􎨰4􎩪􎩪􎴃􎴃􎴃􎴃􀀽􀀽􂈒􂈒!ƛ (14.b) である.ただし,油膜反力 !ƚ,!ƛは, 􀀽􀀽􂈒􂈒􀀱􀀱􀀲􀀲

ě

􎨱􎨱􎐼􎐼􎨲􎨲 􎸒􎸒􎨱􎨱􎐼􎐼􎨲􎨲

ě

􎨲􎨲ǡ 􎨰􎨰 +􀁣􀁣􀁯􀁯􀁳􀁳 Ý=Ý=5 (15.a) 􀀽􀀽􂈒􂈒􀀱􀀱􀀲􀀲

ě

􎨱􎨱􎐼􎐼􎨲􎨲 􎸒􎸒􎨱􎨱􎐼􎐼􎨲􎨲

ě

􎨲􎨲ǡ 􎨰􎨰 +􀁳􀁳􀁩􀁩􀁮􀁮 Ý=Ý=5 (15.b) 式(1)~(15)までは無次元量を用いて表記した 式である.これらのもととなる式(有次元量を用 いて表記した式)を参考までに付録 B に記す.

(6)

3.2 非 定 常

ISOADI THL

モ デ ル の 解 法 の 手順 本研究では,式(1)~(15)を連立して解き,軸受 最高温度 Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸,最大油膜圧力 +􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸,偏心率 Ú,偏 心角 ñ の時刻歴を求める.これらの変動がなく なり,静的平衡状態に達したとみなすことができ るまで非定常解析を継続する.計算の大まかな流 れは次の通りである. (1) 無次元軸受設計変数 â􎨰􎨰,à􎨰􎨰,È,+>,&A を入 力し,.􎨰􎨰(􀀽􀀽à􎨰􎨰â􎨰􎨰)を計算する. (2) 基準時刻における偏心率を3􎜀􎜀􎨰􎨰􎜐􎜐 􎩪􎩪 􀀽􀀽Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴,4􎩪􎩪􎜀􎜀􎨰􎨰􎜐􎜐􀀽􀀽􀀰􀀰 (Ú􎜀􎜀􎨰􎨰􎜐􎜐􀀽􀀽Ú 􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴,ñ􎜀􎜀􎨰􎨰􎜐􎜐􀀽􀀽􀀰􀀰)とし,偏心速度 3􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀􎨰􎨰􎜐􎜐, 4􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀􎨰􎨰􎜐􎜐はいずれも 􀀰􀀰 とする.また,油膜圧力は 全面で大気圧(+􎜀􎜀􎨰􎨰􎜐􎜐􀀽􀀽􀀰􀀰),油膜温度は給油温度 (Å􎜀􎜀􎨰􎨰􎜐􎜐􀀽􀀽􀀰􀀰),油膜粘度は給油粘度(É􎜀􎜀􎨰􎨰􎜐􎜐􀀽􀀽􀀱􀀱)と する. (3) 離散時刻 èƫを刻み幅 Áè だけ進める. (4) 偏心率を暫定的に 3􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐 􎩪􎩪 􀀽􀀽ÖǖÚ􎜀􎜀ƫ􎸒􎸒􎨱􎨱􎜐􎜐􀁣􀁣􀁯􀁯􀁳􀁳 ñ􎜀􎜀ƫ􎸒􎸒􎨱􎨱􎜐􎜐4􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐 􎩪􎩪 􀀽􀀽ÖǖÚ􎜀􎜀ƫ􎸒􎸒􎨱􎨱􎜐􎜐􀁳􀁳􀁩􀁩􀁮􀁮 ñ􎜀􎜀ƫ􎸒􎸒􎨱􎨱􎜐􎜐と お き,偏 心 速 度 は 3􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐􀀽􀀽3􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎸒􎸒􎨱􎨱􎜐􎜐,4􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐􀀽􀀽4􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎸒􎸒􎨱􎨱􎜐􎜐とする.なお, 本研究では Öǖ􀀽􀀽0.9 とした. (5) 油膜厚さ #􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐の分布およびジャーナル回転 速度比 Õ􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐を式(􀀲􀀲),(􀀳􀀳)を用いて求める.ま た,#􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐は, #􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐􀀽􀀽􀀱􀀱􀀫􀀫3 􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐􀁣􀁣􀁯􀁯􀁳􀁳 Ý􀀫􀀫4􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐􀁳􀁳􀁩􀁩􀁮􀁮 Ý (16) により算出する. (6) 油膜粘度の関数 􎨰􎨰􎨱􎨱􎨲􎨲を式(4)により, "􎨰􎨰と "􎨱􎨱を 式 (5) に よ り 算 出 し た う え で DOWSONの一般化レイノルズ方程式(1)を解 き,油膜圧力 +􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐の分布を求める. (7) 縮流比 Ö􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐を式(12)により,油膜速度 0􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐 1􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐,2􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐を式(13)により,流量 , 􎩯􎩯􎩵􎩵􎩴􎩴,,􎩳􎩳􎩩􎩩􎩤􎩤􎩥􎩥 を式(9)により求める. (8) 油膜温度 Å􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐,混合油温度 Å 􎩭􎩭􎩩􎩩􎩸􎩸􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐,ジャーナ ル表面温度 Å􎩪􎩪􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐を一括して求める. (􀀸􀀸-􀀱􀀱) 油膜のエネルギー方程式(􀀷􀀷)を解き,油膜 温度 Å􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐の分布を求める. (􀀸􀀸-􀀲􀀲) エネルギー 􎩯􎩯􎩵􎩵􎩴􎩴を式(􀀱􀀱􀀰􀀰)により計算し, 混合油温度 Å􎩭􎩭􎩩􎩩􎩸􎩸􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐を式(􀀸􀀸)から算出する. (􀀸􀀸-􀀳􀀳) ジャーナル表面温度 Å􎩪􎩪􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐を,式(􀀱􀀱􀀱􀀱)を満た す定数として算出する. (􀀸􀀸-􀀴􀀴) 油膜温度 Å􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐,混合油温度 Å 􎩭􎩭􎩩􎩩􎩸􎩸􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐,ジャー ナル表面温度 Å􎩪􎩪􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐の収束判定を行う. (􀀸􀀸-􀀵􀀵) 油膜温度 Å􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐,混合油温度 Å 􎩭􎩭􎩩􎩩􎩸􎩸􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐,ジャー ナル表面温度 Å􎩪􎩪􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐の数値収束解が得られ るまで手順(􀀸􀀸-􀀱􀀱)~(􀀸􀀸-􀀴􀀴)を繰り返す. (􀀹􀀹) 油膜粘度 É􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐の分布を式(􀀶􀀶)から求める. (􀀱􀀱􀀰􀀰) 油膜粘度 É􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐の収束判定を行う. (􀀱􀀱􀀱􀀱) 油膜粘度 É􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐の数値収束解が得られるまで 手順(􀀵􀀵)~(􀀱􀀱􀀰􀀰)を繰り返す. (􀀱􀀱􀀲􀀲) 油膜反力 !ƚ􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐,!ƛ􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐を式(􀀱􀀱􀀵􀀵)により求める. (􀀱􀀱􀀳􀀳) 偏心速度 3􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐と4􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐は,完全陰解法を適 用して離散化した運動方程式(式(􀀱􀀱􀀷􀀷))によ る算出値を用いて,暫定値を不足緩和によ り更新する.なお,本研究では,数値計算を 安定させて確実に収束解を得るために,小 さな緩和係数(0.00􀀱􀀱)を採用した. 3􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐􀀽􀀽3􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎸒􎸒􎨱􎨱􎜐􎜐􀀫􀀫Áè􀀱􀀱􂈒􂈒!ƚ 􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐 â􎨲􎨲 􎨰􎨰 (􀀱􀀱􀀷􀀷.􀁡􀁡) 4􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐􀀽􀀽4􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎸒􎸒􎨱􎨱􎜐􎜐􂈒􂈒Áè!ƛ 􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐 â􎨲􎨲 􎨰􎨰 (􀀱􀀱􀀷􀀷.􀁢􀁢) (14)偏心率 3􎩪􎩪􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐と4􎩪􎩪􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐を式(18)により求める. 3􎩪􎩪􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐􀀽􀀽3􎩪􎩪􎜀􎜀ƫ􎸒􎸒􎨱􎨱􎜐􎜐􀀫􀀫Áè3􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐 (􀀱􀀱􀀸􀀸.􀁡􀁡) 4􎩪􎩪􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐􀀽􀀽4􎩪􎩪􎜀􎜀ƫ􎸒􎸒􎨱􎨱􎜐􎜐􀀫􀀫Áè4􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐 (􀀱􀀱􀀸􀀸.􀁢􀁢) (􀀱􀀱􀀵􀀵) 偏心速度 3􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐と 4􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐の収束判定を行う. (􀀱􀀱􀀶􀀶) 偏心速度 3􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐,4􎩪􎩪􎴃􎴃􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐の数値収束解が得ら れるまで手順(5)~(15)を繰り返す. (􀀱􀀱􀀷􀀷) 偏心率 Ú􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐(􀀽􀀽

ě

3 􎩪􎩪􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐􎨲􎨲􀀫􀀫4􎩪􎩪􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐􎨲􎨲)と偏心角 ñ􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐 (􀀽􀀽􀁴􀁴􀁡􀁡􀁮􀁮􎸒􎸒􎨱􎨱􎜀􎜀4 􎩪􎩪􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐􎐼􎐼3􎩪􎩪􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐􎜐􎜐)を計算する. (􀀱􀀱􀀸􀀸) 時刻 èƫ,ジャーナル回転速度比 Õ􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐,軸受 最高温度 Å􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐 􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸,最大油膜圧力 +􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐 ,偏心率 Ú􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐,偏心角 ñ􎜀􎜀ƫ􎜐􎜐などのデータを保存する. (􀀱􀀱􀀹􀀹)手順(3)~(18)までを静的平衡状態に達する まで繰り返す. フローチャートは􀁆􀁆􀁩􀁩􀁧􀁧􀀮􀀮 􀀵􀀵に示す. なお,式(1)の離散化は,解析領域である Ý5 平 面を Ý,5 各軸方向に等間隔に格子分割したうえ で,有限体積法を用いて行った.また,式(7)の離 散化は,解析領域である ÝÜ 平面を Ý,Ü 各軸方向 に等間隔に格子分割したうえで,有限体積法を用 63

(7)

いて行い,離散化係数の修正にはべき乗法を適用 した.式(1)と式(7)はいずれも時間軸方向の離散 化には完全陰解法を適用した.Ý,Ü,5 各軸方向 の格子幅は,それぞれ,ÁÝ􀀽􀀽􀀴􀀴􀂰􀂰,ÁÜ􀀽􀀽0.025,Á5 􀀽􀀽0.05 とし,Áè は 0.01 とした. 4. 結 果 お よ び 考 察 解析対象とする真円軸受の仕様を Table 1 に示 す.ケース 3 の軸受設計変数は,文献12~14)を参考 にして,切りのよい数値とした.ケース 1,ケー ス 2,ケース 4 は,それぞれ,ケース 3 の数値を基 準として,定常ジャーナル回転角速度(有次元) í􎨰􎨰を 0.25 倍,0.5 倍,2 倍した場合に相当する. 4.1 初 期 偏 心 率 の 影 響 初期偏心率 Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴が非定常解析結果に及ぼす影響 について調べる.ケース 1 について初期偏心率 Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴を 0 あるいは 1.00(0.99􀀵􀀵 を丸めた値)とし たときのジャーナル中心の軌跡を 􀁆􀁆􀁩􀁩􀁧􀁧􀀮􀀮 􀀶􀀶 に,最大 油膜圧力 +􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸の時刻歴を 􀁆􀁆􀁩􀁩􀁧􀁧􀀮􀀮 􀀷􀀷 に示す.定常速 度に至るまでの回転数 G􎨰􎨰は 􀀸􀀸 とした.この場合, 時刻 è􀀽􀀽􀀱􀀱􀀰􀀰􀀰􀀰でジャーナル回転速度比 Õ は 􀀱􀀱,つ まり,ジャーナルは定常速度になる(􀁆􀁆􀁩􀁩􀁧􀁧􀀮􀀮 􀀴􀀴).細 線は Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴􀀽􀀽 􀀰􀀰とした場合の結果を,太線はÚ􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴􀀽􀀽 1.00 とした場合の結果を示す. 初期偏心率が Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴􀀽􀀽 􀀰􀀰の場合は,軸受中心から 鉛直下向きに運動を始める.時刻 è􀀽􀀽􀀴􀀴 になると 水平方向の油膜反力が大きさを増し,ジャーナル

Fig. 5 Flow chart for transient ISOADI THL prediction

Case 1 2 3 4 O􎨰􎨰 0.25 0.5 1 2 +> 25 50 100 200 &A 0.0025 0.005 0.01 0.02 à􎨰􎨰 1 È 1

Table. 1 Values of dimensionless variables used for transient analysis of cylindrical bearing

Fig. 6 Trajectory of journal center(Effect of initial eccentricity ratio, Case 1)

(8)

の回転方向に運動の方向を少しずつ変えていく. 時刻 è􀀽􀀽􀀲􀀲􀀰􀀰 において偏心率 Ú が最大となり,その 後は偏心率 Ú を低下させつつ偏心角 ñ を増やし ながら,静的釣合い位置に向けて移動を続ける. これに対し,初期偏心率が Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴􀀽􀀽1.00 の場合は, 鉛直下方の位置から水平右向きに運動を始める. 本研究ではジャーナル回転開始後,即座に流体潤 滑状態に移行し油膜が形成されるとしている.そ の反力の作用で,回転開始直後のジャーナル中心 は軸受面に沿う方向に移動する.ジャーナル中心 は一貫して,偏心率 Ú を低下させつつ偏心角 ñ を 増やしながら,静的釣合い位置に向けて移動を続 ける. 双方の軌跡は,偏心率 Ú􀀽􀀽0.97,偏心角 ñ􀀽􀀽􀀲􀀲􀀰􀀰􀂰􀂰 付近で一致する.このときの時刻はいずれの初期 偏心率でも è􀀽􀀽􀀳􀀳􀀰􀀰 であった.一致して以降は同じ 軌跡をたどる. ジャーナル中心の軌跡が合流するまでの間,最 大油膜圧力 +􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸は複数の時刻で極値をとる.こ のとき,偏心率 3􎩪􎩪と 4􎩪􎩪は符号を変えることなく 単調に変化するのみであったが,ジャーナル中心 の速度は,3􎩪􎩪􎴃􎴃は符号を反転する,もしくは,増加 の状態から減少の状態へ転じ,4􎩪􎩪􎴃􎴃は減少の状態 から増加の状態へ転じていた(􀁆􀁆􀁩􀁩􀁧􀁧􀀮􀀮 􀀸􀀸).このこと から,最大油膜圧力 +􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸の極値には油膜のスク イーズ膜効果が大きく関与していることがわかる. 軸受最高温度 Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸の時刻歴は 􀁆􀁆􀁩􀁩􀁧􀁧􀀮􀀮 􀀹􀀹 のように な っ た.初 期 偏 心 率 が Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴􀀽􀀽􀀰􀀰の 場 合 と Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴 􀀽􀀽1.00 の場合との差は,回転開始から è􀀽􀀽􀀲􀀲􀀰􀀰 まで の間の Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸が比較的小さいときに現れた.この ため,縦軸を対数表示にし,違いを明瞭にしてあ る.静的平衡状態に達したときの Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸は両者で 差はなかった(Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸􎨰􎨰􀀽􀀽0.772). 初期偏心率 Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴􀀽􀀽􀀰􀀰は,非定常解析を行う際に 採用されることが多い4).この場合の Å 􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸は,回 転開始直後は急激に増加し,その後,いったん低 下してから,再度,増加に転じている.これに対 し,Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴􀀽􀀽1.00 の場合の Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸は,回転開始直後は ほとんど増加せず,徐々に増加の度合いを増やし ていく.Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴􀀽􀀽1.00 の場合のこのような傾向は, 緩起動時の軸受温度において測定された実験結 果2)と定性的に一致する. 本研究では軸受温度 Å の時刻歴を求めること に重点を置いている.このため,以下では,回転 開 始 直 後 か ら の 実 験 的 な 傾 向 に 合 致 す る Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴 􀀽􀀽1.00 の場合の結果のみを示すことにする. 4.2 定 常 速 度 に 至 る ま で の 回 転 数 Gの 影 響 定常速度に至るまでの回転数 G􎨰􎨰が非定常解析 結果に及ぼす影響について調べる.ケース 1 につ いて回転数 G􎨰􎨰を 8 から 1 まで段階的に減らした 65

Fig. 8 Time history of eccentricity ratio and velocity of journal center(Case 1, G􎨰􎨰􀀽􀀽1, Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴􀀽􀀽1.00)

Fig. 9 Time history of maximum bearing temperature (Effect of initial eccentricity ratio, Case 1, G􎨰􎨰􀀽􀀽1)

Fig. 7 Time history of maximum oil film pressure(Effect of initial eccentricity ratio, Case 1)

(9)

ときの軸受最高温度 Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸の時刻歴を 􀁆􀁆􀁩􀁩􀁧􀁧􀀮􀀮 􀀱􀀱􀀰􀀰 に 示す.図中の点線は,静的平衡状態における軸受 最高温度 Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸􎨰􎨰を表す.定常速度に至るまでの 回転数 G􎨰􎨰が 8,4,2,1 の各場合で,ジャーナル回 転速度比 Õ が 1 になるときの時刻 è は,それぞれ 100,50,25,12.5 である(􀁆􀁆􀁩􀁩􀁧􀁧􀀮􀀮 􀀴􀀴).定常ジャーナ ル回転角速度 í􎨰􎨰(有次元)が小さい場合に相当す るケース 1 では,緩起動であれ急起動であれ,軸 受最高温度 Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸は静的平衡状態における軸受最 高温度 Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸􎨰􎨰を上回ることなく Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸􎨰􎨰に近づい ていく.この時刻歴は実験結果2)の傾向と定性的 に一致している. 次は,ケース 􀀲􀀲 について回転数 G􎨰􎨰を 8 から 1 まで段階的に減らしたときの軸受最高温度 Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸 の時刻歴を 􀁆􀁆􀁩􀁩􀁧􀁧􀀮􀀮 􀀱􀀱􀀱􀀱 に示す.図中の点線は,静的 平衡状態における軸受最高温度 Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸􎨰􎨰を表す. 定常ジャーナル回転角速度(有次元)í􎨰􎨰がケース 1 の 2 倍であるケース 2 では,急起動(G􎨰􎨰􀀽􀀽􀀱􀀱)の ときに軸受最高温度 Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸が Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸􎨰􎨰をいったん上 回る結果が得られている.本研究で採用した THL モデルは熱変形を考慮しない簡易モデルで はあるが,THL 理論の本質に関わる変更は一切 加えていない.それにもかかわらず,実験的に得 られた軸受パッド温度のオーバーシュート現象3) が再現できている.このことから,非定常 􀁔􀁔􀁈􀁈􀁌􀁌 理論に関わる過去の文献において軸受パッド温度 のオーバーシュート現象3)が再現できていないの は,解析条件(軸受の仕様や運転条件,初期偏心 率)が単に適切でなかったに過ぎないと推測する. また,これらの文献においてオーバーシュート現 象3)の主因であると見込んでいる熱変形は,考慮 しなくてもこの現象を再現できることが明らかに なったため,オーバーシュート現象3)の本質では ないと考える.なお,ケース 􀀲􀀲 で初期偏心率 Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴 を 􀀰􀀰 とした場合は,G􎨰􎨰􀀽􀀽 􀀱􀀱としても軸受最高温度 Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸が Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸􎨰􎨰を上回ることはなかった. 4.3 定 常 ジ ャ ー ナ ル 回 転 速 度 の 影 響 定常ジャーナル回転角速度(有次元)í􎨰􎨰が非定 常解析結果に及ぼす影響について調べる.ケース 􀀱􀀱の í􎨰􎨰に対するケース 2,ケース 3,ケース 4 の í􎨰􎨰は,それぞれ,2 倍,4 倍,8 倍である.軸受最 高温度 Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸の時刻歴を 􀁆􀁆􀁩􀁩􀁧􀁧􀀮􀀮 􀀱􀀱􀀲􀀲 に示す.定常速 度に至るまでの回転数 G􎨰􎨰を 1 としたため,この 図は急起動時の結果に相当する.図中の点線は, 各ケースの静的平衡状態における軸受最高温度 Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸􎨰􎨰を表す.定常ジャーナル回転角速度(有次 元)í􎨰􎨰がいずれの場合も,軸受最高温度 Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸は, 時間が十分に経過した後には静的平衡状態におけ Fig. 10 Time history of maximum bearing temperature

(Effect of elapsed time of acceleration, Case 1)

Fig. 11 Time history of maximum bearing temperature (Effect of elapsed time of acceleration, Case 2)

Fig. 12 Time history of maximum bearing temperature (Effect of dimensional journal rotational speed,

(10)

る軸受最高温度Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸􎨰􎨰に落ち着くが,í􎨰􎨰が大きく

なる(ケース 2~ケース 4)とÅ􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸􎨰􎨰を上回るよう

になり,しかも,í􎨰􎨰が大きいほど Å􎩭􎩭􎩡􎩡􎩸􎩸􎨰􎨰を上回る

度合いも大きくなる.

Conway-JONES and LEOPARD3)は,軸受温度の

オーバーシュート現象が見られた実験の後に,定 常ジャーナル回転角速度 í􎨰􎨰をさらに大きくした 実験を実施し,軸受すきまの消失に伴う焼付きが 生じる程度に軸受温度が上昇したことを報告して いる.Figure 12 の結果は,この実験的な傾向に 定性的に一致する結果となっている. 4.4 考 察 本研究では,軸受温度のオーバーシュート現 象3)を非定常 THL モデルにより予測できること が明らかとなった. 軸受温度のオーバーシュート現象およびこれに 付随する焼付きは,ジャーナルと軸受の熱膨張に 伴う軸受すきまの減少のために油膜温度がある程 度にまで増大したときに生じることが実験的にわ かっている3).しかし,軸受すきまが減少すると き,ゾンマーフェルト数 .􎨰􎨰とコンサリ数 &A は 増加し,ペクレ数 +> は低下する.定常 􀁔􀁔􀁈􀁈􀁌􀁌 モ デルによると,ゾンマーフェルト数 .􎨰􎨰とコンサ リ数 &A が増加すれば軸受の温度は増大し,ペク レ数 +> が減少すれば軸受の温度は低下する.つ まり,THL 理論の観点からは,軸受すきまが減少 したときに軸受温度が増大することは必ずしも自 明ではない.しかも,本研究ではジャーナルや軸 受の熱膨張に伴う軸受すきまの変化は考慮してい ない. これを受け,本節では,熱膨張に伴う軸受すき まの変化を考慮していないのに,なぜ非定常 THL モデルにより軸受温度のオーバーシュート 現象3)を予測できたのかについて,THL 理論の観 点で考察を試みる. 油膜のエネルギー方程式(式(7))によると,油 膜内での熱生成には粘性散逸項のみが寄与する. 粘性散逸項は,油膜厚さの 􀀲􀀲 乗の逆数とコンサリ 数,そして油膜速度の円周方向成分の油膜厚さ方 向へのこう配の 􀀲􀀲 乗(および油膜粘度)の積から 算出する.単純に見積もれば,軸受すきまの 􀀲􀀲 乗 に比例する.ところが,油膜速度のこう配は油膜 圧力の円周方向へのこう配にも大きく依存する (式(􀀱􀀱􀀳􀀳.􀁡􀁡)).油膜圧力の分布は DOWSONの一般 化レイノルズ方程式(1)を満たすように定まる. 式(1)の右辺は油膜圧力を発生させる要因を表す. その第 􀀱􀀱 項 .􎨰􎨰#􎴃􎴃はスクイーズ膜効果の作用によ る圧力発生の要因を意味する..􎨰􎨰#􎴃􎴃は,ジャー ナル中心の速度 3􎩪􎩪􎴃􎴃,4􎩪􎩪􎴃􎴃の変化に連動して変動す る(式(􀀱􀀱􀀶􀀶)).スクイーズ膜効果の作用が変わると, 油膜圧力の分布は変化する.つまり,ジャーナル 中心の速度が変動すると,油膜圧力分布の変化を 介して,油膜速度の分布が変わり,その結果,油 膜内の粘性散逸による熱生成に影響が及ぶことに なる. 定常ジャーナル回転角速度が小さい場合あるい は緩起動時には,ジャーナル中心が初期位置から 静的平衡位置に向けて運動する過程でジャーナル 中心の速度変化が大きくはならないので油膜内に おける熱生成は十分な大きさにはならず,軸受温 度は静的平衡状態における温度に向けて単調に増 加していく.これに対し,大きな定常ジャーナル 回転角速度に向けて急起動をする場合は,ジャー ナル中心の速度変化が大きくなるため,油膜内に おける熱生成が大きくなる.しかも,油膜温度の 時間変化(式(7)の左辺第 1 項)が考慮されている. このため,油膜温度は準静的な変化にはならず, 適正な解析条件のもとであれば,油膜に接する軸 受面の温度は静的平衡状態における温度を上回る ことになる. 軸受やジャーナルの熱膨張に伴う軸受すきまの 減少を考慮していないにもかかわらず,非定常 THL モデルでオーバーシュート現象3)を予測で きたのは,このようなジャーナル中心の運動と油 膜の粘性散逸の相互作用が適正にモデルに組み込 まれているためであると考察する. 本研究では,定常速度に至るまでの回転数 G􎨰􎨰, 定常ジャーナル回転角速度(有次元)í􎨰􎨰,および 初期偏心率 Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴と軸受温度のオーバーシュート現 象3)との関連性について調べた.ある特定の解析 条件のもとで軸受温度のオーバーシュート現象を 再現できなくても,G􎨰􎨰を小さくするだけで,それ を再現できることが 􀁆􀁆􀁩􀁩􀁧􀁧􀀮􀀮 􀀱􀀱􀀱􀀱 より明らかとなった. 一方,í􎨰􎨰を大きくする場合もその再現ができる 67

(11)

ことが 􀁆􀁆􀁩􀁩􀁧􀁧􀀮􀀮 􀀱􀀱􀀲􀀲 により示されたが,加速時間を一 定とする条件(ケース 1,ケース 2,ケース 3,ケー ス 4 のそれぞれにおいて G􎨰􎨰􀀽􀀽􀀱􀀱,􀀲􀀲,􀀴􀀴,􀀸􀀸 とする場 合に相当)のもとで í􎨰􎨰を大きくする場合は軸受 温度のオーバーシュート現象は再現できなかった. この点で,その再現に対する í􎨰􎨰の影響度は G􎨰􎨰の それに比べて小さいといえる.Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴については, Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴􀀽􀀽1.00 のときに軸受温度のオーバーシュート 現象を再現できる解析条件のもとで Ú􎩩􎩩􎩮􎩮􎩩􎩩􎩴􎩴􀀽􀀽􀀰􀀰から 計算を始めても,その再現ができない場合(􀁆􀁆􀁩􀁩􀁧􀁧􀀮􀀮 􀀱􀀱􀀱􀀱における G􎨰􎨰􀀽􀀽􀀱􀀱の条件)とできる場合(􀁆􀁆􀁩􀁩􀁧􀁧􀀮􀀮 􀀱􀀱􀀲􀀲 におけるケース 3 の条件)があることがわかった. しかし,どのような条件が揃ったときにその再現 が可能になるのかについて,明確な傾向を見いだ すことはできなかった.なお,非定常 THL 理論 に関わる過去の文献において軸受温度のオーバー シュート現象3) は再現できていないが,定常速度 に至るまでの回転数 G􎨰􎨰を小さくする,あるいは, 定常ジャーナル回転角速度(有次元)í􎨰􎨰を大きく していれば,その現象を再現できていた可能性が あることを指摘しておく. 本研究で適用したのは,あくまでも簡易モデル に過ぎない.油膜のみの温度解析を行う場合は, 軸受内部の温度をも解析対象に含める場合に比べ て,軸受面の温度変化に要する時間が 3 桁程度小 さくなることが指摘されている􀀱􀀱􀀵􀀵).軸受内部の温 度変化を考慮することになると,その温度変化に 伴う熱変形により軸受すきまの変化が生じる.解 析条件によっては,その影響度が無視できない程 度にまで大きくなる可能性がある.今後,実験結 果との定量的な一致を目指す場合には,軸受の熱 伝導方程式や熱変形に伴う軸受すきまの変化を考 慮 し た 定 常 THL モ デ ル を も と に し て 非 定 常 THL モデルを新たに構築し,それによる解析を 行う必要がある. 5. お わ り に 本研究では,急起動時の実験において報告され ている軸受温度のオーバーシュート現象3)が,ジ ャーナル中心の運動と油膜の粘性散逸の相互作用 が適正に組み込まれている非定常 THL モデルを 適用すれば,それが熱変形を考慮しない簡易モデ ルであるとしても,定性的に予測できること,熱 変形に伴う軸受すきまの変化はその本質ではなく, これを考慮しなくてもその現象の再現ができるこ とを明らかにした.これらに加えて,緩起動時の 軸受温度の時刻歴や定常ジャーナル回転速度(有 次元)が異なる場合の軸受温度の時刻歴の変化に ついても,実測値と定性的に一致する結果が得ら れることを示した. 静的平行状態に達した後の油膜特性(油膜の圧 力と温度,厚さ)は,非定常 THL 解析の初期偏心 率の値には依存しない.しかし,その値が異なる と,回転開始直後しばらくの間の油膜特性は大き く変わる.初期偏心率を 1.00 とした場合は,軸 受温度のオーバーシュート現象3)を含めた回転開 始直後からの実験的な傾向に合致する. ただし,温度解析の対象を油膜のみとする場合, 軸受内部の温度をも含める場合に比べて,軸受面 の温度変化に要する時間が 3 桁程度小さくなる15) 軸受内部の温度変化を考慮することになると,そ の温度変化に伴う熱変形により軸受すきまの変化 が生じる.解析条件によっては,その影響度が無 視できない程度にまで大きくなる可能性がある. 今後,軸受温度の値に加え,その時間的な変化に ついても実測値と定量的に一致させることを目指 す場合は,軸受の熱伝導方程式や熱変形に伴う軸 受すきまの変化を考慮した非定常 THL モデルを 新たに構築し,それによる解析を行う必要がある. 1) 畠中清史・馬場祥孝・亀山裕樹:ジャーナル表面温度の 予測精度を高める新たな熱流体潤滑モデル, トライボロ ジスト, 63, 5 (2018) 360.

2) B. KUCINSCHI& M. FILLON:An Experimental Study of Transient Thermal Effects in a Plain Journal Bearing, ASME Journal of Tribology, 121, 2 (1999) 327. 3) J. M. Conway-JONES & A. J. LEOPARD:Plain Bearing

Damage, Proc. 4thTurbomachinery Symposium, Texas

A&M University (1975) 59.

4) M. D. PASCOVICI, M. M. KHONSARI& J. Y. JANG:On the Modeling of a Thermomechanicel Seizure, ASME Journal of Tribology, 117, 4 (1995) 744.

5) M. M. KHONSARI& S. H. WANG:Notes on Transient THD Effects in a Lubricating Film, Tribology Transactions,

35, 1 (1992) 177.

6) P. MONMOUSSEAU, M. FILLON & J. FRÊNE:Transient Thermoelastohydrodynamic Study of Tilting-Pad Journal Bearings - Comparison between Experimental

(12)

Data and Theoretical Results, ASME Journal of Tribology, 119, 3 (1997) 401.

7) P. MONMOUSSEAU, M. FILLON & J. FRÊNE:Transient Thermoelastohydrodynamic Study of Tilting-Pad Journal Bearings - Application to Bearing Seizure, ASME Journal of Tribology, 120, 2 (1998) 319. 8) B.-R. KUCINSCHI, M. FILLON, J. FRÊNE& M. D. PASCOVICI:

A Transient Thermoelastohydrodynamic Study of Steady Loaded Plain Journal Bearings Using Finite Element Method Analysis, ASME Journal of Tribology,

122, 1 (2000) 219.

9) P. MONMOUSSEAU & M. FILLON : Transient Thermoelastohydrodynamic Analysis for Safe Operating Conditions of a Tilting-Pad Journal Bearing during Start-Up, Tribology International, 33, 3-4 (2000) 225. 10) M. M. KHONSARI, J. Y. JANG & M. FILLON:On the

Generalization of Thermohydrodynamic Analyses for Journal Bearings, ASME Journal of Tribology, 118, 3 (1996) 571.

11) 畠中清史・田中正人・鈴木健司:油膜の逆流とフィンガ ー状のキャビテーションを考慮したジャーナル軸受の熱 流体潤滑性能, トライボロジスト, 45, 8 (2000) 628. 12) J. FERRON, J. FRÊNE& R. BONCOMPAIN:A Study of the

Thermohydrodynamic Performance of a Plain Journal Bearing Comparison between Theory and Experiments, ASME Journal of Lubrication Technology, 105, 3 (1983) 422.

13) D. DOWSON, J. D. HUDSON, B. HUNTER& C. N. MARCH:An Experimental Investigation of the Thermal Equilibrium of Steady Loaded Journal Bearings, IMechE Journal of Engineering Tribology, 181, 3B (1966-1967) 70. 14) J. MITSUI:A Study of Thermohydrodynamic Lubrication

in a Circular Journal Bearing, Tribology International,

20, 6 (1987) 331.

15) R. S. PARANJPE & T. HAN: A Transient Thermohydrodynamic Analysis Including Mass Conserving Cavitation for Dynamically Loaded Journal Bearings, ASME Journal of Tribology, 117, 3 (1995) 369.

付録 A 本論文で使用した主な無次元量と有次元量との 関係は次の通りである. # 􀀽􀀽A< &A􀀽􀀽á􎩳􎩳􎩵􎩵􎩰􎩰æ<í􎨰􎨰× Dz

􎜂􎜂

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􎨲􎨲 +􀀽􀀽􀀲􀀲KP􎩪􎩪E􎩪􎩪Ĕ Ƥ +>􀀽􀀽æ<Dz<à􎨲􎨲í􎨰􎨰 .􎨰􎨰􀀽􀀽􀀲􀀲KP􎩪􎩪E􎩪􎩪 Ƥ á􎩳􎩳􎩵􎩵􎩰􎩰í􎨰􎨰

􎜂􎜂

K􎩪􎩪 <

􎜒􎜒

􎨲􎨲 0 􀀽􀀽KN 􎩪􎩪í􎨰􎨰 1 􀀽􀀽O 􎨰􎨰 2 􀀽􀀽EP 􎩪􎩪í􎨰􎨰 3􎩪􎩪􀀽􀀽ĕ<􎩪􎩪 4􎩪􎩪􀀽􀀽Ė<􎩪􎩪 5 􀀽􀀽ES 􎩪􎩪 Ü􀀽􀀽AĖ Å􀀽􀀽×􎜀􎜀/􂈒􂈒/􎩳􎩳􎩵􎩵􎩰􎩰􎜐􎜐 È􀀽􀀽􀀲􀀲KE􎩪􎩪 􎩪􎩪 à􎨰􎨰􀀽􀀽􀀲􀀲KP􎩪􎩪E􎩪􎩪 Ƥ á􎩳􎩳􎩵􎩵􎩰􎩰

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K􎩪􎩪 <

􎜒􎜒

􎨲􎨲 É 􀀽􀀽áá 􎩳􎩳􎩵􎩵􎩰􎩰 â􎨰􎨰􀀽􀀽í􎨰􎨰

Ğ

<@ è􀀽􀀽í􎨰􎨰M Õ􀀽􀀽íí 􎨰􎨰 ただし,<:軸受平均半径すきま,<Dz:潤滑油の比 熱,@:重力加速度の大きさ,A:油膜厚さ,E􎩪􎩪:軸 受幅,Ĕ:油膜圧力,K􎩪􎩪:ジャーナル半径,/:油 膜温度,/􎩳􎩳􎩵􎩵􎩰􎩰:給油温度,N:円周方向の油膜速度, O:油膜厚さ方向の油膜速度,P:軸方向の油膜速 度,PƤ:軸受荷重,ĕ􎩪􎩪:鉛直方向の偏心率,Ė􎩪􎩪:水 平方向の偏心率,S:軸方向座標,×:潤滑油の温 度粘度指数(􀀽􀀽􎜀􎜀􀀱􀀱􎐼􎐼􀀶􀀶􀀰􀀰􎜐􎜐􀁬􀁬􀁮􀁮 􎜀􎜀á􎨴􎨴􎨰􎨰􎪰􎪰􎩃􎩃􎐼􎐼á􎨱􎨱􎨰􎨰􎨰􎨰􎪰􎪰􎩃􎩃􎜐􎜐),à:潤滑油 の熱伝導率,á:油膜粘度,á􎩳􎩳􎩵􎩵􎩰􎩰:給油粘度,á􎨴􎨴􎨰􎨰􎪰􎪰􎩃􎩃: 􀀴􀀴􀀰􀀰 􀂰􀂰􀁃􀁃における油膜粘度,á􎨱􎨱􎨰􎨰􎨰􎨰􎪰􎪰􎩃􎩃:􀀱􀀱􀀰􀀰􀀰􀀰 􀂰􀂰􀁃􀁃における 油膜粘度,æ:潤滑油の粘度,í:ジャーナル回転 角速度,í􎨰􎨰:定常ジャーナル回転角速度 69

(13)

付録 􀁂􀁂 本論文で用いた式(􀀱􀀱)~(􀀱􀀱􀀵􀀵)までは,無次元量 を用いて表記してある.それらのもととなる式 (有次元量を用いて表記した式)を以下に列挙する. なお,式番号の前には,無次元量を用いた式との 対応関係が明瞭となるように,記号 B.を付した. 􀀱􀀱 K􎩪􎩪􎨲􎨲 Ă ĂÝ

􎜢􎜢

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􀀫􀀫ĂSĂ

􎜢􎜢

@􎨰􎨰

􎜂􎜂

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􎜒􎜒􎜲􎜲

􀀽􀀽A 􂋅􂋅 􀀫􀀫íĂ@ĂÝ (􀁂􀁂.􀀱􀀱)􎨱􎨱 A􀀽􀀽<􀀫􀀫ĕ􎩪􎩪􀁣􀁣􀁯􀁯􀁳􀁳 Ý􀀫􀀫Ė􎩪􎩪􀁳􀁳􀁩􀁩􀁮􀁮 Ý (B.􀀲􀀲) í􀀽􀀽

􎝈􎝈

í􎨰􎨰 􀀲􀀲

􎜢􎜢

􀀱􀀱􂈒􂈒􀁣􀁣􀁯􀁯􀁳􀁳

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í􎨰􎨰 􀀴􀀴G􎨰􎨰M

􎜒􎜒􎜲􎜲 􎜂􎜂

􀀰􀀰􂉤􂉤M􂉤􂉤 􀀴􀀴åG􎨰􎨰 í􎨰􎨰

􎜒􎜒

í􎨰􎨰

􎜂􎜂

M􀀾􀀾􀀴􀀴åGí 􎨰􎨰 􎨰􎨰

􎜒􎜒

(B.3) >􎨰􎨰􎜀􎜀Ý􀀬􀀬Ė􎜐􎜐􀀽􀀽

ě

Ǵ 􎨰􎨰 􀀱􀀱 á =Ė (􀁂􀁂.􀀴􀀴.􀁡􀁡) >􎨱􎨱􎜀􎜀Ý􀀬􀀬Ė􎜐􎜐􀀽􀀽

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Fig. 4 Variation of journal rotational speed ratio with respect to time
Fig. 5 Flow chart for transient ISOADI THL prediction
Fig. 9 Time history of maximum bearing temperature (Effect of initial eccentricity ratio, Case 1, G
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