• 検索結果がありません。

ユーザの好みと献立バランスを考慮したレシピ入替えを行うグループ向け献立推薦

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ユーザの好みと献立バランスを考慮したレシピ入替えを行うグループ向け献立推薦"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

DEIM Forum 2016 E2-1

ユーザの好みと献立バランスを考慮したレシピ入替えを行う

グループ向け献立推薦

西脇

崇文

雄一

田原

康之

大須賀昭彦

電気通信大学情報システム学研究科

182–8585

東京都調布市 調布ケ丘1–5–1

E-mail:

[email protected],

††{

sei,tahara,ohsuga

}

@is.uec.ac.jp

あらまし 本研究は,共に食事をするグループのために構成員全体の好みを考慮した献立を推薦することを目的とす

る.そのため,献立に含まれる好みでないレシピの入替えを行った後にグループ向けの献立推薦を行うことにより推

薦結果の満足度を高める手法を提案する.レシピ入替えは,各レシピ間の共起度と類似度を基に最も献立と相性の良

いレシピを見つけ出し代替レシピとすることにより実現する.複数のグループに対して推薦を行い,推薦された献立

に対するグループの満足度,入替えをした献立の妥当性の 2 つの観点から評価実験を行い提案手法の有効性を確認し

た.本研究は,多くの人が好ましいと感じるバランスを考慮しながら複数のコンテンツを組合せてグループ向けの推

薦を行う点で新規性がある.

キーワード グループ向け推薦,献立,レシピ入替え,投稿型レシピサイト

1.

は じ め に

近年,クックパッド[1]や楽天レシピ[2]など,投稿者が自由 にレシピを作成し,多数の閲覧者に作成したレシピを公開する ことができる投稿型レシピサイトが登場している. それらの投稿型レシピサイトには膨大な数のレシピが投稿さ れている.またクックパッドでは,レシピのみではなく複数の レシピを組み合わせた献立をユーザが作成して投稿すること もできる.投稿型レシピサイトは食に関する多様なコンテンツ を社会に広めることにより,私達の食生活をより豊かにしてく れる. 投稿型レシピサイトに投稿された献立を利用するためには, ユーザは投稿された献立の中から自分の目的にあった献立を検 索する必要がある.しかし,投稿型レシピサイトには膨大なコ ンテンツが存在するため,自分の目的にあった献立を見つけ出 すことが困難になりつつある.例えば,投稿型レシピサイトの 献立検索でメジャーなレシピである「カレー」をキーワードに 献立を検索すると3244件もの献立の検索結果が表示される. 上記の問題の解決のため膨大なコンテンツの中からユーザの 好みのコンテンツを見つけ出すための推薦システムの研究が進 められている.推薦システムの多くは個人のユーザを対象とし たものであるが,グループのユーザを対象とした研究も進めら れている.投稿型レシピサイトに投稿されたコンテンツの中に は,献立など,個人のユーザではなく家族や友人などグループ で消費するコンテンツも存在しており,多様なユーザのニーズ に対応するためグループを対象とした推薦システムの研究も必 要とされている. 多くのグループ向け推薦システムはグループに所属する個人 の情報を基に,個人のコンテンツへの好みを束ねあわせること によってグループ向けの推薦を実現する.しかし,献立を推薦 する場合,献立は複数のレシピが組み合わさって成立している ため,グループのメンバー中に一人でも献立に含まれたレシピ が嫌いなメンバーがいる場合,献立の全体の評価が下がってし まう.そのため,献立に含まれた嫌いなレシピ以外のレシピが 活かされないという問題がある. そこで,本研究ではグループのメンバーの材料と料理カテゴ リの好みを基に,献立のレシピから嫌いなレシピを抽出し入 替えを行い,レシピ入替えを行った献立を推薦することで,グ ループの推薦結果への満足度を向上させることを目標とする. そのための手法として,まず,献立のバランスを考慮した献 立とレシピの入替えを行う.献立にユーザの嫌いな材料やカテ ゴリのレシピが含まれていた場合,推薦対象者が嫌いな材料・ レシピカテゴリが含まれていないレシピの中から最も献立と相 性の良いレシピを代替レシピとして入替える.このことにより, 献立から嫌いなメニューを取り除きつつ,献立のバランスへの 影響を最小限に抑えることができる. 次に,献立のグループ向け推薦を実現するために,精度の高 いグループ向け映画推薦の既存手法[11]の献立推薦への応用 を行う.既存手法では映画を対象としているが,映画に対して ユーザが多くの評価を実施済みであることを前提としている. しかし,献立の場合,グループの各メンバーが多くの評価をシ ステム上で実施済みの状況を想定することは困難である.その ため本研究では,各メンバーの食の好みを用いて献立を推薦す るように手法の改善を行った. 最後に本研究ではアンケート調査により入替えをした献立の グループの満足度と,入替えをした献立の妥当性を評価した. 具体的には,レシピの入替えを行った場合の献立の推薦結果 と,行わなかった場合の献立の推薦結果の2つの結果を用意し, ユーザにアンケート調査を行うことで推薦結果の満足度を評価 した.さらに,8人の栄養士にアンケート調査を行い,入替え の前後の献立のバランスを比較することで,入替えの妥当性を 評価した.

(2)

以下に,本論文の構成を示す.2.章に本研究の背景を説明し, 3.章で提案手法の概要を,4.章で提案手法に用いるデータの事 前処理の説明を行う.本研究の提案手法は大きく2つのシステ ムに分かれ,5.章で提案手法の前半部分を,6.章で後半部分を 説明する.7.章で提案手法の評価を行い,8.章で評価結果の考 察を行う.9.章で関連研究について説明する.10.章で本研究 のまとめを説明する.

2.

2. 1 想定シナリオ 本研究の提案手法は複数人のグループでともに食事をする状 況を想定する.各々のメンバーは食事の献立に対し独自の好み を持っており,メンバー全体の好みが反映された献立が検索で きればグループ全体の満足度が向上すると考えられる. 以下に例を挙げる.ここでは,ある3人家族を対象にして想 定シナリオの説明をする.3人の名前をA,B,Cとする.A とBの好きな材料は「鶏肉」で,Cの嫌いな食べ物は「玉葱」 であったとする.この家族に「ご飯」と「鶏の唐揚げ」と「玉 葱サラダ」からなる「唐揚げ定食」が推薦候補に挙げられたと する.家族内のAとBは材料に鶏肉が含まれる「鶏の唐揚げ」 があるので献立の評価は高い.しかし,Cは「玉葱」が含まれ る「玉葱サラダ」があるので献立の評価は低い.そのため,こ の家族の「唐揚げ定食」の評価は悪くなると想定されるため, 通常,システムは「唐揚げ定食」を推薦しない.提案システム では,「ご飯」と「鶏の唐揚げ」と相性の良い「ツナサラダ」と 入替えることにより,Cの嫌いな材料がなくなり,家族が献立 に満足するようになる. 2. 2 投稿型レシピサイト 図1にレシピサイトのサイト構成の例を示す.まず献立ペー ジは献立名,献立の写真,献立の説明,献立に含まれるレシピ の一覧で構成されている.レシピの一覧からは,各レシピペー ジにリンクが張られている.レシピページはレシピの写真,レ シピの説明,調理手順,調理レポート,サイト利用者,レシピ のカテゴリで構成されている. 「調理レポート」とは,サイト利用者が,写真や感想などで, 投稿されたレシピを実際に作ったことを記録する機能である. サイト利用者が「調理レポート」したレシピは,概して,サイ ト利用者の好みに合ったレシピと考えられる.レシピのカテゴ リは,「お肉のおかず」や「鍋物」など料理の分類を示すもので ある. 本研究では,投稿型レシピサイトから,献立に含まれるレシ ピ,レシピが含む材料,「調理レポート」を投稿したサイト利用 者の情報を用いる.

3.

提案手法の概要

提案手法の全体的な流れを図2に示す.提案手法は大きく分 けて,献立のレシピ入替えと,献立のグループ向け推薦の2つ のシステムに分類される.提案手法では,先に献立のレシピ入 替えを行う.献立のレシピ入替えは,推薦候補の献立に含まれ るすべての嫌いなレシピを入替えることによって,どのような 図 1 レシピサイトの構成 献立が推薦されても推薦対象者が嫌いな材料を含む献立が推薦 されることを目的とする.そのため推薦対象の献立に含まれる レシピから推薦対象者の嫌いな材料が含まれるレシピを,嫌い な材料が入っていないレシピと入替える.この際,献立のバラ ンスを崩さないレシピ入替えを行う必要がある.たとえば,あ る献立にサラダが一品だけ含まれていて,このレシピを他のレ シピと入替える場合,肉料理よりも野菜料理に入替えたい.献 立のバランスを崩さない献立のレシピを入替えるために,献立 とレシピの相性度を定義し,嫌いな材料が含まれるレシピを相 性度が高いレシピと入替えることによって,献立のバランスを 崩さないレシピ入替え手法を提案した. 次にグループ向けの献立推薦を行う.献立推薦は既存手法を 献立に応用したもので,ユーザ,レシピ,献立の類似度と関係 性のグラフを構築し,ランダムウォークという手法を用いてグ ループのメンバーの好みを組み合わせることによってグループ 向けの推薦を実現する.最終的には,推薦対象者の嫌いな材料 が入っていない,グループ全体の好みを考慮した献立がランキ ング形式で推薦される. また,本研究では材料の表記揺れを除去するために事前処理 を行った. 図 2 提案手法の流れ

4.

事 前 処 理

レシピサイトに投稿されるレシピの材料の名前は一般にユー ザの自由記述となっている.その為,同じ食材でも様々の表記

(3)

の方法が存在する.例えば,「玉葱」という食材でもひらがなで 「たまねぎ」であったり,「○玉葱」や「*玉葱」などレシピの 調理手順を表すため,材料名に記号が入っていたりする. このように,材料の表記にゆれが存在するため,実際には同 一の材料であっても,表記の違いにより異なる材料となってし まう.また,同じ食材でも表記の仕方で役割が異なる材料も存 在するため,単純に表記ゆれを除去することができない.その ため,本研究では,手作業で表記ゆれであるかどうかを判断し, リストを作成することで材料の表記ゆれを除去した.

5.

献立のレシピ入替え

献立のレシピ入替えは,推薦対象の献立の中からグループの 嫌いな材料が含まれているレシピを,献立のバランスを考慮し た,グループの嫌いな材料が含まれていないレシピと入替える ことにより,献立をグループの満足度の高いレシピに組み替え ることを目的とする. そのため,入替え候補レシピと献立の相性度を求め,最も献 立との相性度の高い入替え候補レシピを代替レシピとする.入 替え候補レシピと献立との相性度は,5. 2節の手法により,入 替え候補レシピと献立に含まれる各レシピとの相性度を5. 2. 1 節で定義する「最小値法」か,5. 2. 1節で定義する「平均値法」 によって組み合わせることによって求める.レシピ間の相性度 は,5. 1節の手法により,レシピの共起度と類似度を組み合わ せることによって求める.相性度が高いほど2つのレシピはバ ランスが良いとする. 5. 1 レシピ間の相性度 献立と入替え対象レシピの相性度は,献立に含まれる各レシ ピと入替え対象レシピの相性度の組み合わせである.レシピ間 の相性度を求めるため,共起度と類似度の2つの指標を定義す る.レシピ間の共起度は2つのレシピが同じ献立に含まれてい る割合であり,レシピ間の類似度は2つのレシピが共通の材料 を含む割合である.共起度を求めるためには2つのレシピが同 じ献立に含まれる必要があるため,多くのレシピ間では求めら れない.共起度と類似度の2つの指標を組み合わせることに よって,同じ献立に含まれる各レシピと類似したレシピとの相 性度を求める手法を提案する.そのため,レシピをノード,共 起度と類似度をリンクの重みとしたグラフを構築し,相性度を 測る2つのレシピ間の最短経路距離の逆数を求め相性度とする. 5. 1. 1 共 起 度 レシピ間の共起度は2つのレシピが同じ献立に含まれている割 合である.レシピiを含む献立の集合をX ={m1, m2,· · · ms}, レシピjを含む献立の集合をY ={m1, m2,· · · rt}とする.レ シピiとレシピjの共起度は式によって求める. occij=|X ∩ Y | |X ∪ Y | (1) 5. 1. 2 類 似 度 レシピ間の類似度は2つのレシピが共通の材料を含む割合で ある.レシピiの材料の集合をX ={f1, f2,· · · fa},レシピj の材料のY ={f1, f2,· · · fb}とする.レシピiとレシピjの類 似度はによって求める. simij= |X ∩ Y | |X ∪ Y | (2) 5. 1. 3 レシピ間の相性度の算出 グラフを献立に含まれるレシピ毎に作成する.献立に含まれ るレシピの集合をMとして,各レシピrecipei∈ M について グラフGiを構築する.ノード間の共起度,類似度が大きいほど リンクの重みを小さくしたい.レシピをグラフGiのノードと し,recipejのノードをnjとする.任意のノードnjnkの間 のリンクの重みをlj,kとすると,リンクの重みは式3で求める. 献立に含まれるあるレシピriとの共起度が0より大きいレシピ 集合をSとし,riと各レシピrj∈ Sとをリンクでつなぎ,そ の重みを2− occijとする.また,任意のレシピrj, rk(ij, k) について,このレシピ間の類似度が0より大きい場合は,rjrkをリンクでつなぎ,その重みを2− simijとする.lj,kが設 定されていないノード間にはリンクは存在しない. ljk=    2− occj,k (occjk |= 0, i = j, j |= k) 2− simj,k (simjk |= 0, i |= j, k, j |= k) (3) 構築したグラフG上のrecipeirecipelのノード間の最短 経路の逆数を求め相性度とする.本研究ではダイクストラ法を 用いることによってグラフGiを上の最短経路距離を求めた.こ れによって、レシピ間の距離が小さいほど相性度が高くなる.. Score = 1 dijkstra(Gi, ri, rj) (4) 5. 1. 4 レシピ間の相性度の算出例 図3にレシピ間の相性度の求め方の例を示す.図3で重みが 共起度であるリンクは破線で示した.献立に含まれるレシピで ある「牛蒡サラダ」と共通の献立に含まれるレシピのノード間 のリンクの重みは,1− occijとする.「牛蒡サラダ」と共に献立 に含まれないレシピ間のリンクのは1− simijを用いて重みを 計算する.「牛蒡サラダ」と各レシピ間の最短経路を計算し,「牛 蒡サラダ」と各レシピの相性度とする. 図 3 レシピ間の相性度の計算の例 5. 2 レシピ・献立間の相性度 レシピ・献立間の相性度を求める.本研究ではレシピ・献立 間の相性度を求める手法として最小値法と平均値法の2つの指 標を定義した.

(4)

5. 2. 1 最 小 値 法 献立に含まれるレシピと入替え対象レシピの最も低い相性度 を,献立全体と入替えレシピの相性度とする.献立mに含ま れるレシピの総数をnとする.献立mに含まれる各レシピと 入替え対象レシピの相性度の集合をP = (p1, p2,· · · , pn)とす る.献立mと各レシピのスコアは式5によって求める. minScore = min(p1, p2,· · · , pn) (5) 5. 2. 2 平 均 値 法 献立とレシピの相性度を献立に含まれる各レシピとの相性度 の平均を,献立全体と入替え対象レシピとの相性度とする.そ のため,献立とレシピの相性度を式6で定義する. aveScore = ave(p1, p2,· · · , pn) = ∑n i(pi) |P | (6) 5. 2. 3 レシピ・献立間の相性度の例 「ご飯」「みそ汁」「唐揚げ」の3品からなる献立があったと する.入替え対象のレシピとして「牛丼」,「スープ」,「ハンバー グ」,「サラダ」の4品があったとする.各レシピ間の相性度の 例を表1に示した. 表 1 レシピ間の相性度の例  牛丼    スープ  ハンバーグ  サラダ  ご飯  0.2 0.33 3.33 0.45 みそ汁 1.47 0.25 0.77 0.4 唐揚げ 0.45 0.31 0.33 0.5 表2に表1の献立の相性度を,最小値法と平均値法ごとに示 した.最小値法でレシピ間の相性度を組み合わせた場合,どの レシピとも比較的相性度の良い「サラダ」が最も献立と相性度 の高いレシピとなる.一方,平均値法を用いた場合,「ご飯」と 「ハンバーグ」の相性度が高いため,「ハンバーグ」が献立と最 も相性度の高いレシピとなる. 表 2 献立・レシピ間の相性度の例  牛丼    スープ  ハンバーグ  サラダ  最小値法 0.2 0.25 0.33 0.4 平均値法 0.71 0.30 1.48 0.45 5. 3 献立のレシピ入替え 献立に含まれるグループが嫌いな材料を含むレシピを,献立と の相性度が最も高いレシピとの入替えることで献立との相性度を 考慮したレシピ入替えを行う.献立に嫌いな材料を含むレシピが 複数含まれていた場合,嫌いな材料を含む全レシピに対してレシ ピ入替えを行い,献立から嫌いな材料を含む全レシピを入替える. 献立Sに含まれるレシピの集合をS ={s1, s2,· · · , sn},入替 え対象レシピをR ={r1, r2,· · · , rl},グループの嫌いなレシピH ={s′1, s′2,· · · , s′m}とする.s′i∈ Sの場合,S′= S−{s′i} として,献立S′と各レシピrj∈ Rの相性度を求め,最も相性 度が高いレシピを代替レシピとしてS′に追加する. 5. 3. 1 献立のレシピ入替えの例 献立mに含まれるレシピを{ご飯,味噌汁,玉葱ハンバーグ, 玉葱サラダ}とする.グループの嫌いな材料を「玉葱」とする. 「玉葱」を含む「玉葱バンバーグ」を献立から取り除き,{ご 飯,味噌汁,玉葱サラダ}と相性度の最も高いレシピ,「茄子ハ ンバーグ」など,を代替レシピとして追加する.次に,「玉葱サ ラダ」を献立から取り除き,{ご飯,味噌汁,茄子ハンバーグ} と相性度が高いレシピ,「牛蒡サラダ」など,をレシピとして追 加する.最終的に献立mに含まれるレシピは,{ご飯,味噌汁, 茄子ハンバーグ,牛蒡サラダ}となる.

6.

レシピ入替後の献立のグループ向け推薦

本研究では既存研究の中で精度の高い映画向けのグループ向 け推薦手法[11]をレシピ推薦に拡張した手法を提案する.[11] の手法はユーザの映画への評価を用いて,ユーザ間,映画間の 類似度を求め,推薦対象者の好みを束ね合わせることによって 映画のグループ向け推薦を実現している.本研究では入替えを 行った献立にはユーザの評価の情報がないため,ユーザの評価 の情報の代わりに,ユーザの材料の好き嫌いから,好きな材料 が入っているレシピを,そのユーザが好むレシピとした.また, 推薦対象者と似たユーザの好みを推薦結果に反映するため,サ イト利用者間の類似度も求め,推薦手法に反映させた.献立推 薦を行うため,ランダムウォークによって,グループの食事の 好みを組み合わせ,グループ全体が満足するレシピ入替後の献 立の推薦を実現する. グループ向け献立推薦の全体の流れを図4に示す.まず,ユー ザ・レシピ・献立の関連性を表すグラフを構築する.構築した グラフとランダムウォークという手法を用いて,グラフの中か ら結びつきの強いノードを見つけ出し,グループ全体が満足す る献立として推薦する. 図 4 グラフ全体の流れ 6. 1 献立推薦のグラフの構築 図5にグラフの全体図を提示する.グラフは大きくユーザ層, レシピ層,献立層の3層に分かれている.各層はノード間の類 似度をリンクの重みとしている.本節では,類似度を求めるこ とによって各層を構築し,各層を組み合わせることで全体のグ ラフを構築する手法を説明する.

(5)

6. 1. 1 ユーザ層の構築 まず,ユーザ層について説明する.ユーザ間の類似度はユー ザのレシピリストの類似度とする.ユーザにはサイト利用者と 推薦対象者の2種類が存在する.まず,サイト利用者のレシピ リストの求め方から説明する.レシピ投稿サイトには「調理レ ポート」という機能が存在し,投稿されたレシピに対して,レ シピを作ったことを紹介するレポートを投稿することができる. サイト利用者は複数のレシピに対し「調理レポート」を投稿す ることができる.「調理レポート」を投稿したサイト利用者は 作ったレシピに対して肯定的な評価をしていると考えられる. そして,同じような「調理レポート」の履歴を持つユーザは同 じような好みを持つと考えられる.そのため,レシピリストは サイト利用者が「調理レポート」したレシピの集合である. 次に推薦対象者のレシピリストの求め方を説明する.推薦対 象者はシステムに好きな材料とカテゴリを入力する.本研究で は推薦対象者の好きな材料を含むレシピ,もしくはカテゴリに 関連するレシピを推薦対象者の好むレシピとする.そのため, レシピリストは,入力した材料が含むレシピと好きなカテゴリ に含まれるレシピを含む. 最後に,レシピリストを用いてユーザ層の構築の方法を説明 する.サイト利用者と推薦対象者の合計数をmとすると,ユー ザ層はmのユーザ間の類似度の行列U として表す.ユーザi のレシピリストをXとする.ユーザjのレシピリストをY と する.ユーザiとユーザjの類似度は式7で求める.式7は ユーザのレシピリストの一致度を示す値である. Uij=|X ∩ Y | |X ∪ Y | (7) 6. 1. 2 レシピ層の構築 次に,レシピ層について説明する.レシピ投稿サイトのレシ ピは複数の献立に含まれている.レシピが含まれる献立を基に レシピ間の類似度の層を構築する.レシピの類似度は5.章で用 いた式1で求める.レシピの類似度を求めることによりユーザ が好むレシピと似たレシピが含まれる献立を推薦することがで きる. 6. 1. 3 献立層の構築 最後に,献立層について説明する.献立は複数のレシピで構 築されている.献立数をlとすると,献立層はlの献立間の類 似度の行列Mとして表す.献立iが含むレシピの集合をXと する.献立jが含むレシピの集合をY とする.献立iと献立j の類似度は,式8で求める.式8は2つの献立に含まれるレシ ピがどれだけ一致しているかという値である. Mij= |X ∩ Y | |X ∪ Y | (8) 献立に含まれるレシピの類似度を計算することで,ユーザが 好むレシピが含まれる献立と似た献立を推薦することができる. 6. 1. 4 層間のリンクの設定 ユーザ・レシピ・献立の3層はそれぞれのリンクで結ばれる. ユーザ・レシピ間のリンクは,ユーザのレシピリストにレシピ が含まれる場合につなぐ.ユーザ・レシピ間の関係はm× nの 行列U Rとして表す.ユーザiとレシピjの関係U Rijは,式9 によって表す. U Rij=    1, (ユーザiがレシピjをレポート) 0, otherwise (9) レシピ・献立間のリンクは献立にレシピが含まれている場合 につなぐ.このことによってユーザが好むレシピが含まれる献 立が推薦される.レシピ・献立間の関係はn× lの行列RMと して表す.レシピiと献立jの関係RMijは,式10に表す. RMij=    1, (献立iがレシピjを含む) 0, otherwise (10) 本研究ではグラフを隣接行列Gとして表す.隣接行列Gは 対称行列であり,一辺の長さがユーザ数,レシピ数,献立数の 合計となっている.グラフGは式11で表す. G =     U U R 0 (U R)T R RM 0 (RM )T M     (11) また,本研究では,各ノードから出ているリンク数を制限す るため,値が大きい上位10件のリンクのみを利用する.その 後,各ノードから出ているリンクの重みの合計が1となるよう にリンクの重みを正規化した. 図 5 グラフの全体 6. 2 献立推薦のアルゴリズム 献立リストの作成手法について説明する.まず,構築したグ ラフ上をリンクの重みを確率変数としてランダムに移動するポ インタを用意する.これによって,結びつきの強いノードのポ インタの訪問回数が多くなる.図6にポインタの移動のイメー ジを示す. まず,推薦対象者のノードからランダムに一つノードを選ん でポインタの出発点とする.ポインタは類似度や関連性などリ ンクの重みを確率変数としてランダムに移動を繰り返す.移動 を繰り返すごとに訪問したノードは,訪問数が1ずつ加算され ていく.また,推薦対象者と結びつきの強いノードを発見する ため,移動を繰り返す際,一定の確率aでポインタの現在位置 にかかわらず,推薦対象者のノードにポインタは移動する.こ の動作を何度も繰り返すことによって推薦対象者の近くのノー

(6)

ドほど訪問する確率が高くなる.ポインタは予め決めておいた x回の移動を行う.xの値が大きいほど推薦結果の精度が向上 する.また,xの値が大きいほど献立推薦に必要な計算時間が 増加する.移動を終えた時点でランダムウォークは終了とし, ノードの中から献立のノードのみを抽出する.献立のノードを 抽出してポインタの訪問回数の多い順にソートしてグループ向 けの献立ランキングとして推薦する. 図 6 ポインタの移動のイメージ

7.

7. 1 評 価 方 法 本節では,提案手法に対して, 提案手法によって推薦された献立のグループ満足度 入替えを行った献立の妥当性 という2つの観点から評価実験を行った.実験には,投稿型レ シピサイトであるクックパッドのデータベースを用いた.また, レシピの「調理レポート」として,クックパッドの「つくレポ」 の情報を用いた. 7. 2 比 較 手 法 提案手法を比較評価するため,ベースラインとして「オリジ ナル」と「類似度法」の手法を用いた.「オリジナル」は献立の レシピ入替えを行わずグループ向けに献立を推薦する手法であ る.献立のレシピの入替えを行わないため,献立のバランスの 良さという観点では最も精度が高い手法と考えられる.「類似度 法」は,グループが嫌いな材料を含む入替え対象レシピとユー ザの嫌いな材料を含まない全レシピとの類似度を式2によって 計算し,ユーザの嫌いな材料を含まないレシピの中から最も類 似度の高いレシピを代替レシピとして入替える手法である. 7. 2. 1 献立推薦の満足度 推薦された献立のグループの満足度の評価方法をアンケート により評価した.被験者の大学院生男女合計10人を対象とし てアンケート調査で行った.被験者はそれぞれメンバの異なる 2つのチームに所属して,4人のメンバーが所属するの5つの チームにランダムに分けてアンケート調査を行った.まず,グ ループ向け推薦を行うために必要な情報を得るため,各被験者 の好きな材料,好きなカテゴリ,嫌いな材料,嫌いなカテゴリ をアンケートにより調査した.アンケートの結果を用いて提案 手法により,データベースから各々のグループの満足度の高い 献立を推薦した.入力する好きな材料数,好きなカテゴリ数, 嫌いな材料は被験者一人につき最大で3つまでとした. 提案システムのランダムウォークのポインタが推薦対象者 のノードに戻る遷移確率aは既存手法と同じで最も制度が高 い0.15とした.推薦された献立のランキングの上位10件をグ ループの満足度が高い献立とした. 推薦された献立の妥当性を評価するために,再度,被験者に アンケートを行ない,献立を各レシピ入替え手法ごとに上位10 件の推薦結果を献立名は提示せずレシピのリストのみ提示し, 献立をランダムな順序に並べ替えで被験者に提示した.被験者 は提示された献立に対し満足度を5段階で評価した.「この献立 を食べたいか」という質問で評価を行った. 7. 2. 2 レシピ入替えの妥当性 レシピを入替えた献立が献立として成り立っているかをアン ケートにより評価した.まず,「オリジナル」,「類似度法」,「平 均値法」,「最小値法」ごとに献立の推薦を行った.その後,各 手法ごとに推薦された献立をランダムで5件ずつ,合計で20 件抽出した.被験者は8人の栄養士を対象とし, 献立は被験者 が入替えを行ったかどうかがわからないように,献立名は伏せ, レシピのリストのみを提示しランダムな順番で並び替えた.ア ンケートでは献立バランスを5段階の評価で依頼した.献立バ ランスとは献立のレシピの食べ合わせや栄養の適性をはかるも のであり,「この献立のバランスは良いか」と質問することで評 価を行った.アンケートの解答率は75%だった. 7. 3 データセット クックパッド株式会社が国立情報学研究所と協力して研究者 に提供しているデータセットを本実験では利用した. このデー タ内では,35928件の献立データがあった.献立 には献立を閲覧 したユーザによって「参考になった!」の評価が付けられており, 本実験では質の高い献立のみを推薦の対象とするために,「参考 になった!」の数が30件以上の献立のみを抽出して提案手法に よる献立推薦の対象とした.抽出された献立数は 5329件であ り,抽出された献立に含まれるレシピの件数は14645件であっ た.本実験では献立に含まれるレシピを入替えに利用するレシ ピとした. 計算時間が多大と成ることを防ぐために,入替えに 利用するレシピに「つくレポ」を投稿したユーザの中から,つ くレポ投稿数をもとに3362人を抽出して利用した.表3に評価 に使用したデータの数値をまとめる. 表 3 評価に用いたデータ数 献立数  レシピ数 ユーザ数 5329件 14645件 3362人 7. 4 評 価 結 果 7. 4. 1 献立推薦のグループの満足度 本項では,献立推薦のグループの満足度の結果を示す.グ ループの満足度は,各手法ごとに推薦した献立に対する被験者 の評価の平均点を用いた. 図7はレシピを入替える前後の献立を推薦した結果に対する 被験者の推薦結果の上位n件までの評価の平均である.n = 10 の場合,本研究のベースラインとして用いた「オリジナル」は

(7)

被験者の推薦された献立に対する評価の平均点は3.14だった. 「類似度法」は3.22だった.「平均値法」に対する評価の平均点 は2.92だった.「最小値法」に対する評価の平均点は3.26だっ た.「平均値法」はベースラインと比較して評価が低かった.「最 小値法」はベースラインである「オリジナル」と比較して評価 が高く,「類似度法」と比較しても僅差であるが評価が高かった. 以上のことから,本研究の提案手法のうち「最小値法」は「平 均値法」より献立のレシピ入替えに有効であり,ベースライン と比較しても有効であることがわかった. 表 4 推薦結果の上位 n 件までの評価の平均 オリジナル  類似度法 平均値法 最小値法 n = 1 2.94 3.00 2.88 3.29 n = 3 2.76 3.16 2.84 3.35 n = 5 2.86 3.12 2.87 3.21 n = 10 3.14 3.22 2.92 3.26 7. 4. 2 レシピ入替えの妥当性 栄養士によるレシピ入替えの前後での献立のバランスの変化 を評価した.栄養士に献立のバランスの評価を依頼した.レシ ピ入替えの前後での評価の平均の結果を表5に表した. 表 5 レシピ入替えの妥当性 オリジナル  類似度法 平均値法 最小値法 評価 3.4 2.95 2.53 3.4 被験者の各手法に対する評価の平均は「オリジナル」は3.4, 「類似度法」は2.95,「平均値法」は2.53,「最小値法」は3.4と なった.「平均値法」は評価が2.53となり,「オリジナル」の評価 である3.4と比較してバランスの評価が下がった.また,ベー スラインである「類似度法」の評価である2.95と比較しても 評価が低かった.「最小値法」は評価が3.4となり「類似度法」 と比較して評価が高かった.また,「オリジナル」と比較しても 献立のバランスの評価が同じだった.レシピ入替えを行わない 献立は最もバランスが良いと考えられるため,「最小値法」によ るレシピ入替えは,献立のバランスに影響を与えなかったと考 えられる. 7. 5 レシピ入替えの結果の例 表6に「葱」が嫌いなグループの実験データを用いた,レ シピ入替えの一例を示す.表6の「オリジナル」の「トマトと きゅうりのパクパクサラダ」に推薦対象者の嫌いな材料である 「葱」が含まれていたため,レシピ入替えの対象になった. 「類似度法」では,レシピの雰囲気が違う「☆ピリ辛レンコ ン炒め☆」に入替わった.これは,類似度を計算する際,材料 の中で「すりごま」「めんつゆ」「砂糖」などの調味料が多く一 致し,レシピ間の類似度が高くなったためと考えられる. 「平均値法」では,すでに献立に含まれている「ピーマンの 消費に超簡単焼きピーマン」と雰囲気の似た「簡単★ピーマン の肉詰め」に入替わった.これは,「ピーマンの種を簡単に取り 出す方法」など,ピーマンととても相性度の高いレシピが献立 に含まれていたため,献立に含まれるレシピとの平均的な相性 度が高くなったためと考えられる. 「最小値法」では,献立から取り除いたレシピである「トマ トときゅうりのパクパクサラダ」とレシピの雰囲気の似た「安 いトマトが激ウマに!トマトの胡麻和え」に入替わった. 表 6 レシピ入替えの結果の例 オリジナル 類似度法 平均値法 最小値法 大 根 と ひ き 肉 で 簡 単 と ろ∼り煮物 大 根 と ひ き 肉 で 簡 単 と ろ∼り煮物 大 根 と ひ き 肉 で 簡 単 と ろ∼り煮物 大 根 と ひ き 肉 で 簡 単 と ろ∼り煮物 ピ ー マ ン の 消 費 に 超 簡 単 焼 き ピ ー マン ピ ー マ ン の 消 費 に 超 簡 単 焼 き ピ ー マン ピ ー マ ン の 消 費 に 超 簡 単 焼 き ピ ー マン ピ ー マ ン の 消 費 に 超 簡 単 焼 き ピ ー マン 献 立 に 含 ま れ るレ ト マ ト と き ゅう り の パ ク パ ク サ ラ ダ ☆ ピ リ 辛 レ ン コ ン 炒 め ☆ 簡 単 ★ ピ ー マ ン の 肉 詰 め 安 い ト マ ト が激ウマに! ト マ ト の 胡 麻和え シ ピ 名 ピ ー マ ン の 種 を 簡 単 に 取 り 出 す 方 法 ピ ー マ ン の 種 を 簡 単 に 取 り 出 す 方 法 ピ ー マ ン の 種 を 簡 単 に 取 り 出 す 方 法 ピ ー マ ン の 種 を 簡 単 に 取 り 出 す 方 法

8.

8. 1 献立推薦のグループの満足度 本研究ではレシピ入替えの提案手法として「平均値法」と 「最小値法」の2つの手法を提案した.「平均値法」はベースラ インと比較して有効性が確認できなかった.「平均値法」は栄養 士による献立バランスの評価が低く,他の手法と比較してバラ ンスの悪い献立が推薦されたことが原因であると考えられる. 「最小値法」はベースラインと比較して有効な手法であること が確認された.「最小値法」は栄養士による献立バランスの評価 が,入替えを行わない「オリジナル」の献立とほぼ同じであり, 推薦対象となる献立からグループの嫌いな材料を取り除いたこ とによって,グループのメンバーの嫌いなレシピが推薦されな かったからであると考えられる. 結果として,本研究の提案手法のうち最も有効な献立のレシ ピ入替え手法は「最小値法」であると考えられる. 8. 2 献立入替えの妥当性 献立のレシピ入れ会の妥当性を考察する.「平均値法」は,献 立のレシピ入替えを行わない「オリジナル」と比較して献立の バランスが大きく下がった.また,「類似度法」と比較しても評 価が低かった.「平均値法」は献立に含まれる各レシピとの相性 度が平均的に高い入替え対象レシピを代替レシピとして選択し ている.そのため,献立に含まれるレシピの中に一つでも相性 度が高いレシピが存在した場合,他のレシピとの相性度が低く ても代替レシピとして選択される.そのため,相性度の低いレ シピ同士が同じ献立に含まれバランスの評価が下がったと考え られる.「最小値法」はベースライン手法である「類似度法」よ りも評価が高く,「オリジナル」と比較しても献立のバランスに 大きな変化が見られなかった.そのため,本研究で提案した献

(8)

立のレシピ入替え手法の中で,バランスを考慮したレシピ入替 え手法として有効な手法は「最小値法」であると考えられる.

9.

関 連 研 究

9. 1 レシピ推薦 高畑ら[3]はレシピの調理履歴と閲覧履歴から食材単位で嗜 好を抽出する手法を提案した.また矢島ら[4]は調理履歴や閲 覧履歴を基に,レシピの調理難易度,個人の食材の嗜好,個人 が得意とするレシピの調理法を推測し,ユーザの現在の状況に 適した ”かんたん ”なレシピを推薦する手法を提案した.これ らの研究[3] [4]はレシピの推薦を目的としており,本研究は複 数のレシピを組み合わせた献立の推薦を目的としている点で異 なる.志土地ら[5]の研究では,tf-idfの手法を応用して,同一 のカテゴリ内のレシピ群の特徴的な調理手順の抽出を行ない, 調理手順の類似度を計算することによって代替素材を発見する 手法を提案した.また,花井ら[6]の研究では,健康を意識し た代替食材を発見する手法を提案した.健康を意識したレシピ の材料の入替えを行うため,材料に含まれる栄養分などを抽出 して,入替え対象の材料との類似度を求めることによって代替 素材を発見した.しかし,これらの研究[5] [6]は,レシピの材 料を入替えることを目的としているため,レシピ入替えを目的 とする本研究には利用できない. 9. 2 献 立 推 薦 大野ら[7]の研究では,食材の雰囲気を考慮した料理推薦シ ステムの構築のため,レシピの特徴を基にレシピのクラスタリ ングを行ない,クラスタ間の類似度を求めることによってクラ スタ間の相性と雰囲気を分析した.西川ら[8]の研究では,年 齢や性別などの情報を基に,必要な栄養を考慮し,主食や副菜 で構成される一週間分の献立を推薦するシステムを構築した. 木原ら[9]は,余剰食材の使い切りを目的として,毎日の献立 を推薦する手法を提案した.冷蔵庫内の食材と食材の賞味期限 を考慮して献立を推薦することにより,廃棄食材が少ない献立 の推薦システムを構築した.しかし,これらの研究[7] [8] [9]は 個人向けの推薦を目的としている点で本研究と差異がある. 9. 3 グループ向け推薦 Berkovskyら[10]の研究ではグループ向けにレシピを推薦す る手法を提案している.まず,既存の献立推薦を用いて個人向 けにレシピを推薦して,複数のグループ構成員のレシピ推薦 結果を組み合わせることでグループ向け推薦を実現している. Kimら[11]はランダムウォークを用いたグループ向けの映画 の推薦手法を提案した.この手法はグラフの層を増やすことに より,ユーザや推薦対象のコンテンツ以外にも様々な要素を推 薦結果に反映することができるため,本研究のグループ向けレ シピ推薦に取り入れた.しかし,これらの研究[10] [11]は献立 以外のコンテンツの推薦が目的であり,本研究では献立を推薦 の対象としている点で異なる.

10.

お わ り に

本研究ではグループの満足度の向上を目的として,投稿型レ シピサイトの献立に含まれるレシピの入替えを行う推薦システ ムの提案を行った.献立と入替え対象レシピの相性度をを求め ることによって,嫌いな材料を含まない献立とのバランスの良 いレシピと入替える手法を提案した.また,献立とレシピの相 性度を求める手法として「平均値法」と「最小値法」の2つの 手法を提案した.その後,クックパッドのデータベースに登録 された献立に嫌いな材料を含まないように入替えを行った.入 替えを行った献立を,グループ向け推薦手法を献立向けに拡張 した手法で推薦することにより,グループの満足度を向上させ る推薦システムを提案した. 提案手法は,推薦された献立に対するグループの満足度と入 替えをした献立の妥当性の2つの観点から評価をした.その 結果,ベースラインと比較して「最小値法」でレシピ入替えを 行った献立の推薦結果に対するグループの満足度が良くなった. 献立の入替えの妥当性の評価では栄養士に対し,献立のバラン スの評価を依頼した.その結果,「最小値法」によりレシピ入替 えを行った献立と入替え前の献立を比較し,バランスに大きな 変化が見られないことが確認できた.

本研究はJSPS科研費24300005, 26330081, 26870201の助 成を受けたものです.本研究では,クックパッド株式会社と国 立情報学研究所が提供する「クックパッドデータ」を利用しま した.ここに感謝の意を表します. 文 献 [1] クックパッド : http://cookpad.com/,Nov.2015 [2] 楽天レシピ : http://recipe.rakuten.co.jp/,Nov.2015 [3] 高畑真里,上田真由美,中島伸介, ”食材に対する好き嫌いを考 慮した料理レシピ推薦手法の提案,” 第 3 回データ工学と情報 マネジメントに関するフォーラム,E3-5,Mar.2011 [4] 矢嶋亜紗美,小林一郎,“ 個人の状況を考慮した“ かんたん ”なレ シピの推薦,“ ファジィシステムシンポジウム講演論文集,25th, ROMBUNNO.1C1-01,Dec.2009. [5] 志土地由香,井手一郎,高橋友和,村瀬洋,“ 料理レシピマイニ ングによる代替可能食材の発見,”電子情報通信学会論文誌 A, J94-A,7,pp.532-535,Jul.2011. [6] 花井俊介,難波英嗣,灘本明代,”健康を意識した代替食材の発 見手法, ”第 7 回データ工学と情報マネジメントに関するフォー ラム,G6-6,Mar.2015 [7] 大野礼儀,福原知宏,山田剛一,増田英孝,”献立の雰囲気を考 慮した料理推薦システムの提案,”2015 年度 人工知能学会全国 大会 (第 29 回),2H1-4,June.2015 [8] 西川智佳,伊藤孝行,永井明彦,丸山智美,”献立表自動生成 におけるユーザのフィードバックに基づく献立再調整アルゴリ ズム,2013 年度 人工知能学会全国大会 (第 27 回) ”, 3E1-1, June.2013 [9] 木原ひかり,植田真由美,中島伸介,”余剰食材の使い切りを考 慮したレシピ推薦手法の提案,”第 3 回データ工学と情報マネジ メントに関するフォーラム,E3-3,Mar.2011

[10] Shlomo Berkovsky, Jill Freyne,“Group-based recipe recom-mendations,”4th ACM Conference on Recommender Sys-tems, Pages 111-118, 2010

[11] Heung-Nam Kim, Majdi Rawashdeh, Abdulmotaleb El Sad-dik,“ Tailoring Recommendations to Groups of Users : A Graph Walk-based Approach,“ Proceedings of the 18th In-ternational Conference on Intelligent User Interfaces, Pages 15-24, 2013

参照

関連したドキュメント

これらの実証試験等の結果を踏まえて改良を重ね、安全性評価の結果も考慮し、図 4.13 に示すプロ トタイプ タイプ B

ア  入居者の身体状況・精神状況・社会環境を把握し、本人や家族のニーズに

の 立病院との連携が必要で、 立病院のケース ー ーに訪問看護の を らせ、利用者の をしてもらえるよう 報活動をする。 の ・看護 ・ケア

・性能評価試験における生活排水の流入パターンでのピーク流入は 250L が 59L/min (お風呂の

DJ-P221 のグループトークは通常のトーンスケルチの他に DCS(デジタルコードスケル

 「フロン排出抑制法の 改正で、フロンが使え なくなるので、フロン から別のガスに入れ替 えたほうがいい」と偽

本稿で取り上げる関西社会経済研究所の自治 体評価では、 以上のような観点を踏まえて評価 を試みている。 関西社会経済研究所は、 年

ヘッジ手段のキャッシュ・フロー変動の累計を半期