• 検索結果がありません。

力の学習を支援する力表示器「Fi-Cube」の製作と授業実践

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "力の学習を支援する力表示器「Fi-Cube」の製作と授業実践"

Copied!
14
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

力の学習を支援する力表示器「Fi-Cube」の製作と授業実践

Development of the Force Indicator Unit, "Fi-Cube", in order to Promote

Students' Understanding about Force in Science Education

伊東 明彦,渡辺 一博

ITO Akihiko, WATANABE Kazuhiroo

A teaching material to demonstrate how force is acting on an object was developed in

order to promote understanding of junior high school students about the relationship

between the motion of an object and force acting on it. We named it as "Force Indicator

Cube" , abbreviated to "Fi-Cube". "Fi-Cube" can demonstrate the force acting on it by a

series of LEDs. It observes 3-dimensional acceleration of itself by an acceleration sensor

IC, and indicates it as the force acting on it.

It is designed to indicate not only the gravity on it but also the normal force from a floor

when it put stationary on the floor, although the acceleration sensor can feel only the

gravity. It is also designed to measure the tilt by the amount of the gravity acting on the

z-axis. Consequently, the "Fi-Cube" can indicate the force in various situations like as a

static object, a mechanical wagon that moves both with a constant speed and with an

acceleration, the gravity acting on a falling object, and so on.

"Fi-Cube" was tried to use in science classes at a junior high school in order to examine

the effect to promote understanding of students about motion and force. According to the

comparison of the post-test results between experimental group and control group, it is

implied that "Fi-Cube" is effective to develop students' understanding about the low of

Inertia.

1.はじめに 物理学の基本ともいえる運動方程式は,物体に働く力とその物体の運動の関係を記述している.そ の意味で力は力学の基本ともいえる.しかし,力は2つの物体間に働く目に見えない相互作用であり, 非常に抽象的な概念である.また,力を学習済みの中学生,高校生でも日常的に使う「力」という語と, *平成20年度教育学研究科2年生

(2)

物理的な力を区別できないという報告があるように,我々が日常的に感じたり使ったりする力は必ず

しも運動方程式が記述する力ではない1).その結果として,たとえばニュートンの第1法則である慣

性の法則の理解度はきわめて低いという状況が見られるのである2)

力と運動の関係を理解することが中学生,高校生にとって非常に困難であることは,極めて多くの

先行研究によって示されている.例えば,Clement(1982)は,多くの子ども達が物体の運動方向に

力が働くと考えていると指摘し,このような考え方を“Motion Implies Force”,略してMIFと呼んだ

3).相沢・蛭田(1988)は,物理初学者の大学生も同様に進行方向に力が働くという誤概念を持って いることを示した4).また,中島・堀(2000)は,高校生の物理履修者・未履修者ともに,「速 度」・「加速度」と「力」が明確に区別できていないと報告している5) このような生徒の力に対する理解困難性を改善するため,さまざまな提案がなされている.例えば, 山本ら(1994)は力よりも運動量を先に教えるべきだと述べている6).また,伊東・熊坂(2007)は, 中学校において加速度を導入し,運動の変化ということに力点を置いて力を教えることを提案してい る7).さらに,伊東ら(2008)は,力の矢印の表記にあたり,作用点を明確に記すという指導の改善 案を提案した8).しかし,これら多くの改善策にも関わらず,依然として中高生にとって力とは何か を理解するのは極めて難しい状況にあるようである. 一方,中学生や高校生にとって力概念の理解を困難にしているもうひとつの理由として,力とは何 かという定義の問題が考えられる.力は前述したように抽象的な概念であり,加速度によって間接的 に定義されるものであるが,中学校理科および高校の物理においては,力は実在し独立に測定できる ものという前提に立って教えられている.にもかかわらず,力は決して目で見ることはできないし, 運動中の物体に働いている力を直接表示することも困難である.このことが,力を理解しにくいもの にしているのではないだろうか.確かに,力は存在しかつ測定もできるという立場で力を教えること は,物理学の入門としては有用であると考えられる.しかし,この立場から説得力を持って生徒に力 を教えるには,いつどのような力が物体に働いているのかを直感的にかつ視覚的に示すことが重要で はないだろうか. 力の理解を促進するために,物体の加速度を可視化した装置が提案されているが9),運動物体に働 く力の向きと大きさの両方を視覚化した教材はこれまでに見られない.生徒に力を説明するためには, 物体に働く力の向きと大きさをダイレクトに認識できる教材が必要である. このような考えに基づいて,本研究では,力を可視化する装置“Fi-Cube”を考案した.Fi-Cube

とは,Force Indicator Cubeの略である.そして,実際に中学校の授業でFi-Cubeを用いて,生徒の

(3)

2.力表示器“Fi-Cube” 2−1.“Fi-Cube”の原理 言うまでもなく,力は運動方程式 F = m a (1) によって定義されている.つまり,ある物体に働く力 F は質量 m を比例定数として加速度 a で表さ れる.したがって,物体の加速度を可視化すれば,力を可視化したことになると考えることができる. 本研究で開発したFi-Cubeはこの考えに従ったものであり,内部に装備された加速度センサーにより 物体の加速度を測定して,これを力としてLEDの点灯で表す装置である. 図1はFi-Cubeの外観を示している.図1から分かるように,Fi-Cubeは一辺10cmのアクリル製の立 方体の箱であり,上面と1つの側面上にLEDを十字に並べてある.このLEDが何個点灯するかによ って,中心から各軸の方向に働く力の大きさを表すものである.上面のLEDは x− y 面,側面のLED は x− z 面に働く力の大きさをそれぞれ表し,各軸の正方向は,x 軸が図1の左方向,y 軸が手前方向, z 軸が上方向と設定されている. はじめに,Fi-Cubeが力表示器として持つべき要件について考えてみる.水平な机の上に置かれた 物体には,地球の重力と机から受ける垂直抗力の2つの力が働いている.机の上に静置したFi-Cube にも重力と垂直抗力が働いているはずである.したがって,この場合には,z 軸の下向きと上向きに 同じ数のLEDが点灯すればよい.また,力学台車などにFi-Cubeを載せx軸正方向にこれを押すと, 押している間のみFi-Cubeと力学台車には力が働き,x軸正方向に加速運動する.したがって,押し ている間のみx軸正方向のLEDが力の大きさに応じて点灯すればよい.Fi-Cubeは以上のような表示 が実現できるよう設計されていなければならない.

Figure 1. Photo of the force indicator developed in present study, named as "Fi-Cube". It is a cube with 10cm of each edge, made of acrylic.

Figure 2. A ideal model of 3-Dimensional Accelerometer.

(4)

このような機能を実現するためには,単にFi-Cubeに働く加速度を表示すればよいわけではない. このことについて説明する.図2はFi-Cubeが内部に持つ加速度センサーの働きを模式的に表したも のである.加速度センサーは図2のように原理的には6本のばねで中心に吊るされた錘のようなもので ある.例えば,x軸方向に加速度運動すると,センサー内の錘は逆方向の慣性力を受け,つりあいの 位置からずれる.このずれを電圧信号として出力するのである.このとき,錘の動きとは逆方向に加 速度信号を出力していることになる.この加速度出力は質量に対応する比例定数を1とすれば,セン サーに働く力と解釈することができる.すなわち,加速度 axを用いて力 fxは, fx=ax (2) と表示することができる. しかし,地球上の物体には常に重力が働いているため,静止している場合にも図2の錘は常につり あいの位置からz 軸下向きにずれていることになる.したがって,静止している加速度センサーは上 向きの加速度,つまりは上向きの力を常に出力していることになる.この場合,加速度センサーの出 力から(2)式と同様に計算される力 fz=az (3) は床から受ける垂直抗力に対応する.この場合には加速度センサーの出力は垂直抗力のみを示してお り,重力に対応する出力は存在しない.また,加速度センサーを自由落下させると,図2の錘は中心 のつりあいの位置に戻り,加速度出力は0となる.これは,自由落下中には垂直抗力が働いていない ことを表す.しかし,働いているはずの重力に対応する加速度も出力しない.このように考えると, 加速度センサーの加速度出力だけでは決して重力を表現できないことが分かる. 物体に働く力を表示する際,重力が表示できないのでは生徒に対する説得力がない.したがって, Fi-Cubeに働く重力を表現するためには,何らかの人為的な工夫が必要となる.本研究では,z軸方 向には加速度運動をさせない,すなわち,z軸方向の加速度は重力のみによると限定的に解釈するこ とで重力を表示できるようにした.すなわち,z軸方向の加速度出力は,そのまま垂直抗力として表 示すると同時に,反対方向の重力を gz=−ax (4) となるように表示することとした. 次に,Fi-Cubeを y 軸の周りに傾けた場合を考える.このとき,加速度センサーの出力は,傾きに 応じてz 軸上向きの加速度azが徐々に減少しx 軸負方向の加速度axが徐々に大きくなっていく.これは, 式(2)及び式(3)が表す“Fi-Cube”に働く上向きの力のz 及び x 成分に対応する.このとき, 重力も x 軸方向とz 軸方向に分解されて表示されなければならない.重力のz 軸成分は,同様に式 (4)で表されるが,これとは別に重力の x 軸成分も人為的に表示してやる必要がある.そのため, Fi-Cubeでは,

(5)

(5) によって重力の x 軸成分を計算し,gzと 同様に人為的に表示させることとした. ただし,ここでgはその地点での重力加速 度であり,初期状態におけるz 軸方向の 加速度出力とする. 式(5)を用いてgxを計算して表示す る際にも,前述した制約「Fi-Cubeはz 軸 方向には加速度運動をしない」が前提とな っている.傾き以外の要因で azが変化し てしまうと,式(5)により正しくgxが 計算できないからである.Fi-Cubeを用 いる場合にはこの点に注意する必要がある. 2−2.Fi-Cubeのハードウェア 図3はFi-Cubeの内部を示す写真である.Fi-Cubeの内部には複数の基盤があり,このうちの1枚の 上に3軸加速度センサー,オペアンプ,PICなどの主要回路が置かれている.図中の○で囲んである ICが3軸加速度センサーである.また,電源として9Vの乾電池が入っている. 図4はFi-Cube内のデータの流れを示すブロックダイアグラムである.加速度センサーから出力さ れた加速度信号はまずアンプ・フィルター部を通る.加速度センサーは本来1KHz程度までの帯域を 持っているため,音も雑音として拾ってしまう.本装置では,加速度センサーからの信号をローパ ス・フィルターに通しノイズ除去を行っている.ローパス・フィルターのカットオフ周波数は,x , y 軸については約10Hz,z 軸については約0.25Hzとした.z 軸のみ異なる特性を持つのは以下のような 前述した「Fi-Cubeはz 軸方向には加速度運動をしない」という制約を実現するためである.とはいっ ても,Fi-Cubeをz 軸方向に加速度運動させないようにすることは不可能である.そこで,z 軸方向の ローパス・フィルターの時定数を長くすることにより,x , y 軸方向の周期の短い運動は検知しないよ うに設計した.これによって事実上上述の制約を実現しているのである. 加速度センサー

Figure 3. Photo of the inside of "Fi-Cube".

The IC marked with a white circle is the 3-dimensional Accelerometer.

(6)

アンプ・フィルター部を通った加速度信号はPIC(Peripheral Interface Controller)によってA/D 変換される.PICとはCPU,メモリ(RAM,ROM),I/Oなどが1つのICに収められ,ROMに書き 込まれたプログラムにより制御される一種のマイコンである.本研究では,A/D変換を持ち,プログ ラム容量が比較的大きく,かつ,プログラムが簡単で安価なPIC16F88を使用した.A/D変換された 信号は,PIC内で処理されて必要なLEDが点灯される.LEDの点灯もPICがコントロールしている. 図5はFi-Cubeの回路図を表している.アンプ・フィルター部には4回路構成のオペアンプLM324が 使われている.フィルター回路に用いられている抵抗及びコンデンサーの値は,前述のようにカット オフ周波数が,x , y軸については約10Hz,z 軸については約0.25Hzとなるように設定されている.ま た,PICの後にはLEDの点灯を制御するために2個のデジタルICと6個のトランジスタが置かれてい る.SW1はリセットスイッチ,SW2は斜面モード(通常モード)と平面モードを切り替えるための スイッチである.平面モードとはFi-Cubeが傾かないという前提で用いるモードであり,式(5)に よる重力のx方向分力の表示を行わないモードである.また,オペアンプ以外のICの電源VD=5Vを作 るため3端子レギュレータLM2940が用いられている. Fi-Cube1台の製作に必要な材料とその費用の概算を表1に示しておく.

(7)

2−3.Fi-Cubeのソフトウェア 前節でも述べたが,PICは内部のROMに書き込まれたプログラムによって制御される.PICにプロ グラムを書き込むためにはPICライターを用いる.本研究では,秋月電子通商製の”AKI−PIC プログラマー Ver.4”を用いた10).PICのプログラムは,アセンブラ,C言語などいくつかの言語で 記述可能であるが,本研究ではプログラムの開発が容易であるという観点からC言語によってプログ ラミングを行った. 図6はプログラムのフローチャートである.起動時およびリセットスイッチが押されたときには, 加速度センサーの0点を更正するためのルーチンが実行される.その後は,加速度測定−LEDの点灯 制御のループが無限に繰り返される.1回のループの中では,まず3軸の加速度出力がA/D変換され, 続いてそれらの値に応じて各軸のLEDが点灯する.さらに,原理で述べたように,軸方向の重力を 表示するためのルーチンが実行され,斜面モードの際には最後に軸方向の重力を表示するためのルー チンも実行される.プログラムの全文を巻末資料として掲載した. 3.「Fi-Cube」の利用法 ここでは,Fi-Cubeの様々な利用例について述べる. ア) 静止状態 図7(a)は,水平な面上に静置した場合のFi-CubeのLEDの 点灯の様子を示している.このとき,Fi-Cubeには重力と垂直 抗力が働いている.Fi-Cubeの表示を見ると,軸の正負の方向 にそれぞれ4個のLEDが点灯しており,それぞれが重力と垂直 抗力を表している.Fi-Cubeでは,1Gの加速度に対応する力の 大きさをLED4個に対応させている.すなわち,LED1個は 0.25Gに対応する力の大きさを表している. この状態から,Fi-Cubeを y 軸の周りに回転させ傾けていく と,図7(b)のように重力及び垂直抗力がそれぞれz 軸成分と 表1.“Fi-Cube”の製作に必要な材料とその費用 部品名 PIC 3軸加速度センサー プリント基板 アクリル板 電子部品 LED 合計 規格等 PIC16F88 KXM52 5枚 10cm×10cm×3mm,6枚 IC,抵抗,コネクタ等 赤,1500mcd,40個 価格 ¥230 ¥1,000 ¥2,500 ¥500 ¥1,800 ¥400 ¥6,430

Figure6. Flow chart of the control program in PIC.

(8)

x軸成分とに分解されていく様子を見ることができる.完全に90°回転させて横倒しにすると,重力 と垂直抗力はz 軸の代わりに x 軸方向に表示されるが,これによってFi-Cubeの傾きに関わらず重力 と垂直抗力は常に上下方向に働いていることを示すことができる. イ)等速直線運動 Fi-Cubeを力学台車に載せて手で押して運動させると,運動している台車またはFi-Cubeにどのよ うな力が働いているかを表示することができる.Fi-Cubeが示すものは台車に働く力ではなくFi-Cubeそれ自体に働く力であるが,同じ運動をしているので台車に働く力を表示しているといっても 良いと考えられる.力の大きさは対象としている物体に働く重力を基準としており,重力と同じ大き さの力が働いたときLEDが4個点灯すると説明すればよい. 図7(c)は手で台車を押している写真である.この後,手を離れた台車は等速直線運動をする.等 速直線運動をしている間は台車には重力と垂直抗力のみが働いている.図7(c)のように横方向に力 が表示されるのは,もちろん台車を手で押している間だけである.このようにFi-Cubeを用いること で,いつ台車に力が働いているのかを明示でき,慣性の法則を視覚的に説明することが容易になると (a) (b) (c) (d)

Figure 7.Photos of Fi-Cube in various situations. (a)gravity and normal force (b)on the slope

(9)

考えられる. ウ)落下運動 Fi-Cubeは前述のように軸方向には加速度運動をしないという前提で設計されている.したがって, z 軸方向に自由落下させたり投げ上げたりしても正しく力を表示することはできない.その代わり, Fi-Cubeを90°回転させx 軸方向を鉛直にしてやると,自由落下や投げ上げ運動において垂直抗力が 消え,重力だけが働いていることを示すことができる.図7(d)は投げ上げ運動をしたとき,Fi-Cubeに重力のみが働いている様子を示している. エ)回転運動 Fi-Cubeを軸を中心に自由に回転させられる円盤上に固定し円盤を回転させると,Fi-CubeのLED は回転軸に向かって点灯し,Fi-Cubeに向心力が働く様子を観察することができる.一般に、回転す る物体には遠心力が働くと考えられており、実際回転座標系では遠心力が働く.ところが,円盤上に 置かれたFi-Cubeが円盤と共に円運動をするためには向心力が必要なのである.この関係を生徒が理 解することは一般には困難であると思われるが,Fi-Cubeを用いることで回転物体には確かに向心力 が働いていることを明確に示すことができると考えられる. 4.中学校における授業実践 Fi-Cubeは,力を目に見える形で提示できるので,生徒の力概念の形成を促す上で大きな効果が期 待される.実際に,Fi-Cubeの教育現場における有効性を検討するため,中学校の理科授業において Fi-Cubeを用いた授業実践を行った.ここでは,その結果について簡単に紹介する.授業内容や評価 方法等の詳細については,渡辺・他(2008) を参照されたい.11) 授業は,宇都宮大学教育学部附属中学校において,3年生2クラスを対象に,2008年6月から7月にか けて行われた.力と運動の単元において,力が働く運動,働かない運動などについてFi-Cubeを用い た4時間の授業を実施した.3年生4クラスのうち残りの2クラスについては,附属中学校教員が通常通 りの授業を行った. 図8は,授業実施後に行った評価問題の正答率を表している.設問は,慣性の法則に関するものと 斜面上の台車に働く力についての2問とした.図中で実験群と標記されているのがFi-Cubeを用いた 授業を行った2クラスの結果であり,対照群と標記されているのは通常授業を実施した他の2クラスの 結果である.図8より,Fi-Cubeを用いたクラスでは慣性の法則に関する設問の正答率が対照群より 有意に高くなっており,慣性の法則の理解にFi-Cubeの使用が有効に働いたことを示唆している. 5. おわりに 本研究では,物体に働く力を可視化するための教具として力表示器Fi-Cubeを開発した.Fi-Cube

(10)

は,静止している物体や,等速直線運動や等加速 度運動など多彩な運動をしている物体に働く力を 視覚的に表示することができる.その有効性を検 証するために行った中学校における実験授業の結 果からは,慣性の法則の理解にFi-Cubeが有効に 働いたことを示唆するデータが得られた.力とい う抽象的で目に見えない作用を可視化すること で,生徒の理解を促進できたのではないかと考え られる.今後,力学に関する授業において様々な 実践を通しながら,Fi-Cubeの教育的効果を詳細 に検証すると共に,より効果的なFi-Cubeの利用 法について検討していきたい. なお,Fi-Cubeは宇都宮大学から特許出願中であ る(整理番号「P08-008」).本研究は,科学研究費 補助金,基盤研究(C),課題番号19500723,「生徒 の実態に基づいた中学校理科「力と運度」の指導 法の改善に関する研究」の補助を受け実施された. 謝辞 本研究の実施にあたり,宇都宮大学教育学部附属中学校の金子健治教諭には授業実践の際にご協力 いただきました.厚く感謝いたします.特許出願に際しては,宇都宮大学知的財産センターの山村正 明教授はじめ職員の方々,弁理士の大場充氏に大変お世話になりました. 文献 1)水谷佳澄,中学生の力学的な力についての認識に関する調査,宇都宮大学教育学部卒業論文 (2006). 2)熊坂英明・伊東明彦・水谷佳澄,中学生の力に関する理解度調査,宇都宮大学教育学部教育実践 センター紀要,30,483-490(2007)

3)Clement, J., Students’ preconceptions in introductory mechanics, Am.J.Phys., 50, 66-71 (1982).

4)相澤則行・蛭田幸太郎,力と運動についての初学者の直感的信念,物理教育,36,38-41

(1988).

5)中島雅子・堀哲夫,中学生及び高校生の力学概念の理解に関する基礎的研究−法物運動の物体に Figure 8. Ratio of correct answer of junior high school students after the class using Fi-Cube.Left side bars show that there is a significant effect of usage of Fi-Cube against a question concerning to "the law of inertia".

(11)

働く力を事例にして−,山梨大学教育学部紀要,5,1-12(2000). 6)山本健治・中川生一・狩野勉・宇都宮晃・宮川和也・石崎範男,物理概念形成に関する研究 (2): 変化する運動の量の理解を引き出すために,日本科学教育学会年会論文集,19,229-230 (1994). 7)伊東明彦・熊坂英明,力の理解をめざした中学校理科指導の改善について,日本理科教育学会全 国大会発表論文集,5,57,249(2007). 8)伊東明彦,吉原智久,熊坂英明,大谷直之,中学校理科「力と運動」の指導法の改善に関する研究, 宇都宮大学教育学部教育実践センター紀要,31,181-188(2008)9)矢野淳滋,半導体レーザーを使った加速度計,物理教育,44,3-6(1996). 10)AKI−PICプログラマー Ver.4マニュアル,秋月電子通商. 11)渡辺一博・伊東明彦,「力表示器」を用いた中学生の力概念の育成を目指した授業実践,日本理 科教育学会全国大会発表論文集,6,256(2008)

(12)
(13)
(14)

Figure  2 . A ideal model of  3 -Dimensional Accelerometer.

参照

関連したドキュメント

Projection of Differential Algebras and Elimination As was indicated in 5.23, Proposition 5.22 ensures that if we know how to resolve simple basic objects, then a sequence of

In [2], the ablation model is studied by the method of finite differences, the applicable margin of the equations is estimated through numerical calculation, and the dynamic

I give a proof of the theorem over any separably closed field F using ℓ-adic perverse sheaves.. My proof is different from the one of Mirkovi´c

Additionally, we describe general solutions of certain second-order Gambier equations in terms of particular solutions of Riccati equations, linear systems, and t-dependent

Compared to working adults, junior high school students, and high school students who have a 

Keywords: continuous time random walk, Brownian motion, collision time, skew Young tableaux, tandem queue.. AMS 2000 Subject Classification: Primary:

This paper presents an investigation into the mechanics of this specific problem and develops an analytical approach that accounts for the effects of geometrical and material data on

In order to solve this problem we in- troduce generalized uniformly continuous solution operators and use them to obtain the unique solution on a certain Colombeau space1. In