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<原著>看護師が触れる場所の細菌実態調査 : 清掃前後の比較 利用統計を見る

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(1)

看護師が触れる場所の細菌実態調査

−清掃前後の比較−

The Survey of Bacterial Contamination on Environmental Surfaces of the Staff Room:

A Comparison before and after Cleaning

堀口まり子

1)

,田辺 文憲

2)

,中村美知子

2)

HORIGUTI Mariko, TANABE Fuminori, NAKAMURA Michiko

要 旨

ナースステーション内の環境表面 6 ヶ所(円形テーブル,コンピューターのマウス・キーボードの Enter キー, 処置台,水道の止水栓 2 ヶ所)の細菌の付着状態と清掃前後の菌の調査を外科,内科,小児科病棟(A,B,C,D の 4 病棟)でおこなった。その結果,A 病棟はほとんど菌の検出がなかったが,B 病棟の止水栓から一般細菌, 大腸菌,真菌,C 病棟の円形テーブルから黄色ブドウ球菌,マウスから MRSA,処置台から一般細菌と黄色 ブドウ球菌,止水栓から一般細菌,黄色ブドウ球菌,大腸菌,真菌が検出された。D 病棟は,円形テーブル から黄色ブドウ球菌,マウスから一般細菌,処置台から真菌,止水栓から一般細菌,黄色ブドウ球菌,大腸菌, 真菌が検出された。4 病棟の 6 ヵ所で 1 日 1 回の清掃を 2 日続けて行った結果,4 病棟ともに菌数は減少した。 C 病棟は清掃後も菌が検出されたことから最低 1 日 1 回以上の清掃が必要であり,清掃に使用する用具はディ スポが望ましいが経費と清掃の効果を判定し有用な清掃方法の検討が必要である。

We investigated bacterial and fungal contamination status on the following 6 environmental surfaces that come into contact with nurses: round table, computer mouse, enter key of computer keyboard, medical table, and 2 stop cocks. The departments and wards which were investigated were surgery, pediatrics, and internal medicine (wards A, B, C, and D). The status of the surfaces before and after cleaning were investigated. In ward A, almost no bacteria or fungi were detected. In ward B, common bacteria, Escherichia coli, and fungi were detected on the stop cocks. In ward C, Staphylococcus aureus was detected on the round table, MRSA on the computer mouse, common bacteria and Staphylococcus

aureus on the medical table, and common bacteria, Staphylococcus aureus, Escherichia coli, and fungi on the stop cocks. In ward D, Staphylococcus aureus was detected on the round table, common bacteria on the computer mouse, fungi on the medical table, and common bacteria, Staphylococcus aureus, Escherichia

coli, and fungi on the stop cocks. After the 6 sur faces in all wards were cleaned once daily for 2 consecutive days, bacterial and fungal counts decreased in all wards. In ward C, however, the bacterial and fungal counts after cleaning were larger than those in other wards, suggesting that at least one cleaning session per day is necessary. Further studies looking at the cost of cleaning implements and cleaning effectiveness are required to fi nd the most effi cient cleaning method.

キーワード ナースステーション,細菌数,清掃 Key Words Staff Room, Environmental Surface, Cleaning

受理日:2011 年 1 月 20 日

1) 山 梨 大 学 医 学 部 附 属 病 院:University of Yamanashi Hospital

2) 山梨大学大学院医学工学総合研究部:Interdisciplinary Graduate School of Medicine and Engineering, University of Yamanashi

Ⅰ . はじめに

医学の発展や抗生物質の開発は,重篤患者や高齢者の 治療や延命を可能としている。一方,重篤患者や高齢者 は,疾患や治療の副作用から免疫能低下による易感染状 態にある。感染症が発生するには,感染起因微生物の存 在,生態の感受性部位の存在,感染させるに十分な微生 物量,感染経路の成立の条件が満たされることが必要で

(2)

ある1)2)。感染経路別予防策の中の接触感染は,患者と の直接的な接触,患者の周辺の物品や環境の表面を経由 した間接接触などさまざまな接触伝播経路における予防 策が必要になる3)。病原菌(以下,細菌)は医療従事者と 感染患者との接触により医療従事者や物品に付着し,医 療従事者の手指から病院内に拡散し,複数の人が出入り する場所や接触する場所・物には病気の原因となる細菌 が存在すると考えられる。そして,医療従事者が媒介と なり患者のベッド柵や円形テーブル等が細菌に汚染され る可能性がある4)。 今回,看護師が多く触れる場所の細菌の付着状態と清 掃を通して院内感染を予防する有効な方策を検討するこ とを目的とし,ナースステーション内の看護師が触れや すい環境表面(以下,場所)の細菌の付着状態と種類につ いて調査をおこなった。また,清掃をおこない清掃前と 後の細菌の付着状態を比較検討した。

Ⅱ . 目的

看護師が触れる機会の多いナースステーション内の場 所の細菌の種類と数を調査する。清掃前後の細菌の付着 状態の比較を行い清掃方法を検討することとした。

Ⅲ . 方法

1. 調査方法 1) 場所:Y 大学附属病院の外科 1 病棟と小児科 1 病棟, 内科 2 病棟 (以下,A・B・C・D 病棟 )の,計 4 病 棟のナースステーションとし,場所は,円形テー ブル,コンピューターのマウス(以下,マウス)・キー ボードの Enter キー(以下,Enter キー),点滴を 作成する処置台,水道の止水栓(以下,止水栓)を 対象とした。止水栓は A・C・D 病棟の 3 病棟はセ ンサー付であり,B 病棟は手動であった。 2) 調査期間:平成 17 年 8 月から平成 18 年 9 月であっ た。 3) 手順(図 1):実験 1 は,4 病棟ナースステーション の円形テーブルの上,マウスと Enter キーの上, 処置台の上,止水栓 2 ヶ所の計 6 ヶ所から細菌の 採取をおこない,細菌数の計測をした。実験 2 は 4 病棟のナースステーションのうち最も細菌の採取 の多い 2 病棟を実験 1 と同じ 6 ヶ所の細菌の採取 を 1 ヶ月の間隔をおき 2 回おこない細菌の付着状 態を観察した。実験 3 は,清掃を 1 日目の 7 時に 行い清掃直前と直後に実験 1 と同じ場所の 6 ヶ所 の菌の採取をおこなった。清掃は続けて 2 日目 3 日 目の 7 時におこない,3 日目の 19 時に 6 ヶ所の菌 の採取をおこなった。対象は,黄色ブドウ球菌,大 腸菌,真菌,緑膿菌,メチシリン耐性黄色ブドウ 球菌(以下,MRSA)とした。使用培地は,一般細 菌にポアメディア普通寒天培地,黄色ブドウ球菌 にポアメディアエッグヨーク食塩培地,大腸菌群 にポアメディアソルビットマッコンキー寒天培地, 真菌にポアメディアサブロー寒天培地,緑膿菌に ポアメディア NAC 寒天培地,MRSA にポアメディ ア MRSA 分離培地(栄研化学)を使用した。 2. 実験方法 1) 細菌採取:滅菌綿棒(ふきふきチェックⅡ(栄研器 材(株))と滅菌された希釈液 10ml と,拭き取り一 体型の綿棒)を使用した拭き取り法でおこなった。 ふきふきチェックⅡは,容器のラベルに必要事項 (採取日・採取場所・病棟)の記載をおこないキャッ プをはずし,ボトルの絞り部で綿球を指で軽く圧 迫し余分な希釈液を搾り取った。綿球で採取場所 表面の一定面積をふき取り,綿棒のふき取り面は その都度変えた。各場所の拭き取り方法は,円形 テ ー ブ ル の 上 と 点 滴 準 備 の 処 置 台 の 上 は,10 × 10cm の拭き取り面を決め綿球を縦方向に直線的に 10 回ふき取り,次に,綿球を横方向に直線的に 10 回ふき取った。更に,左下斜め方向直線的に 5 回 ふき取り,最後に,右下斜め方向直線的に 5 回ふ き取った。マウスは,2 × 4cm,Enter キーの上 1 ヵ 所は,1 × 1cm の面を決め,水道の止水栓は,カ ラン式で 1 時 7 時の方向の 2 ヶ所の 1 × 1cm の面 を決め,細菌の採取をおこなった。ふきふきチェッ クの容器に入れた後に容器のキャップを硬く閉め て振り混ぜ,キャップを緩めてボトルの絞り部で 綿球を軽く圧迫して,均一細菌浮遊液を作成した。 細菌浮遊液 0.1ml を各培地(普通寒天培地・エッグ 実験1 4病棟ナースステーション: 菌の採取 実験2 2病棟ナースステーション: 実験1で菌数の多い 2病棟の菌の採取 実験3 4病棟ナースステーションの 1回目の清掃直前・直後およ び清掃2日目3日目実施後の 菌の採取 図 1 細菌の採取

(3)

ヨーク食塩培地・サブロー寒天培地・マッコンキー 寒天培地・NAC 寒天培地・MRSA 分離培地)に接 種し培養をおこなった。採取した浮遊液を,攪拌 器でよく攪拌した後,マイクロピペット(黄色)で, 採取した浮遊液を 0.1ml 採取し,上記の培地に滴下 した。浮遊液を滴下した培地は,ディスポスプレッ ダー(滅細菌した L 字状の平板培地表面に検体を 塗抹するもの)で培地全体にひろげた。培地は,ふ らん器 35℃で 48 時間後に,判定した。真菌は,25 ∼ 27℃で 72 時間後に判定した。コロニー数(cfu: colony forming ununits)は,同一希釈倍数の平板の 集落数を肉眼で計算し,1 × 1cm 当たりに換算し たコロニー数は cfu/cm2で表した。 2) 清掃を取り入れた実験 3 の細菌の採取,培養,判 定方法は,2. 実験方法の 1)に順じておこなった。 清掃方法は,円形テーブルは,医用不織布ガーゼ 25 × 25cm を 8 ツ織りにし,流水に浸し軽く絞っ たあと 8 ツ織りにした 1 面(6 × 6cm)で細菌の採取 場所と付近全体を拭き取り,採取場所ごとにガー ゼを新しくした。処置台の清掃は円形テーブルの 清掃手順に準じたが最後に 70%イソプロピルアル コールを使用し清掃した。止水栓は,円形テーブ ルの清掃に準じた。マウス,Enter キーは,ホコリ キャッチャー(すき間ブラシが付いたダブルブラ シ)を使用し,マウス・Enter キーの上を縦・横に ブラッシングした。細菌の採取は,清掃直前,清 掃直後,清掃を 2 日続けておこなった後の 3 回お こなった。 3. 倫理的配慮 本調査は,Y 大学医学部附属病院の病院長と看護部長 に研究の趣旨を説明し承認を得た後,当該病棟の各診療 科長,および看護師長に承認を得た。病棟の研究への参 加は自由であり,途中での中断は可能であること,調査 によって得られたデータは病棟や個人が特定できないよ う処理しプライバシーへの配慮とすること,本研究で得 られたデータは研究以外の目的で使用しないこと,を口 頭および文書にて説明し,同意が再確認できた病棟につ いては署名を得た。本学医学部の倫理委員会に提出し承 認を得た。

Ⅳ . 結果

1. 実験 1 の結果 4 病棟のナースステーション内の場所への細菌の付着 結果を表 1 に示した。4 病棟で共通して細菌が検出され た場所は止水栓であった。止水栓からの細菌数は,B 病 棟 は 一 般 細 菌 91cfu/cm2, 大 腸 菌 79cfu/cm2, 真 菌 478cfu/cm2,が検出され,C 病棟は,一般細菌 22cfu/ cm2,黄色ブドウ球菌,大腸菌,真菌が検出された。D 表 1 4 病棟ナースステーション内の環境表面の細菌の検出結果:実験 1 細菌数 CFU/cm2 病棟 細菌の種類 円形 テーブル マウス Enter キー 処置台 止水栓 (7 時) 止水栓 (1 時) A 一般細菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 黄色ブドウ球菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 1 大腸菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ MRSA ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 真菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 1 B 一般細菌 ̶ ̶ ̶ ̶ 56 91 黄色ブドウ球菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 大腸菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 79 MRSA ̶ ̶ ─ ̶ ̶ ̶ 真菌 ̶ ̶ ̶ ̶ 32 478 C 一般細菌 ̶ ̶ ̶ 0.01 3 22 黄色ブドウ球菌 0.19 ̶ ̶ 0.01 2 ̶ 大腸菌 ̶ ̶ ̶ ̶ 1 ̶ MRSA ̶ 0.13 ̶ ̶ ̶ ̶ 真菌 ̶ ̶ ̶ ̶ 4 4 D 一般細菌 ̶ 0.13 ̶ ̶ 217 24 黄色ブドウ球菌 0.03 ̶ ̶ ̶ 7 ̶ 大腸菌 ̶ ̶ ̶ ̶ 6 3 MRSA ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 真菌 ̶ ̶ ̶ 0.01 254 18 注 1) A・B・C・D は 4 病棟のナースステーション 注 2) 一般細菌は普通寒天培地,黄色ブドウ球菌はエッグヨーク食塩培地,大腸菌はソルビットマッコンキー寒天培地,MRSA は MRSA 分離培地,真 菌用はサブロー寒天培地を使用。 注 3)̶は細菌が検出されなかった。

(4)

病棟は,一般細菌 217cfu/cm2,真菌 254cfu/cm2が検出 された。止水栓以外では,C 病棟の円形テーブル,処置 台の上から黄色ブドウ球菌が検出され,マウスから MRSA が検出された。D 病棟は円形テーブル・マウス・ 処置台から黄色ブドウ球菌・一般細菌・真菌が検出され た。A 病棟は止水栓から黄色ブドウ球菌,真菌が検出 されたが菌数は他の病棟より少なく他の場所においても ほとんど細菌の検出はなかった。 2. 実験 2 の結果 実験 1 で細菌数の多かった B・D の 2 病棟のナースス テーション内の場所への細菌の付着結果を表 2 − 1,表 2 − 2 に示した。2 回の調査で共通して検出されたのは 止水栓であった。B 病棟は,1 回目に一般細菌,黄色ブ ドウ球菌,大腸菌が検出された。2 回目の調査では,一 般細菌 586cfu/cm2,黄色ブドウ球菌が多数,大腸菌が 618cfu/cm2,MRSA が多数,真菌が多数検出された。D 病棟は,1 回目には一般細菌 53cfu/cm2,大腸菌 68cfu/ cm2,真菌 40cfu/cm2が検出され,2 回目では一般細菌

46cfu/cm2,黄色ブドウ球菌 18cfu/cm2,大腸菌 48cfu/

cm2,MRSA33cfu/cm2が検出された。 止水栓以外には, 少量であるが B 病棟のマウスに一般細菌,真菌,Enter キーに黄色ブドウ球菌,D 病棟の Enter キーに一般細菌, 処置台に黄色ブドウ球菌が検出された。 3. 実験 3 の結果 実験 3 の清掃による細菌付着状態の変化を表 3 に示し た。A 病棟は,清掃直前に Enter キー 0.13cfu/cm2,処 置台の上 0.04cfu/cm2,止水栓 1cfu/cm2の真菌が検出さ

れたが清掃直後,清掃後は検出されなかった。B 病棟は, Enter キーから清掃直前に黄色ブドウ球菌 25cfu/cm2と 真 菌 0.13cfu/cm2が 検 出 さ れ, 止 水 栓 か ら 一 般 細 菌 5cfu/cm2,大腸菌 11cfu/cm2,MRSA3cfu/cm2,真菌

5cfu/cm2が検出された。清掃直後には Enter キーから 表 2-1 B 病棟ナースステーション内の環境表面の細菌の検出結果:実験 2 細菌数 CFU/cm2 病棟 細菌の種類 円形 テーブル マウス Enter キー 処置台 止水栓 (7 時) 止水栓 (1 時) B 1 回目 一般細菌 ̶ 0.13 ̶ ̶ 4 1 黄色ブドウ球菌 ̶ ̶ 0.13 ̶ ̶ 1 大腸菌 ̶ ̶ ̶ ̶ 1 2 MRSA ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 真菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 緑膿菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ B 2 回目 一般細菌 ̶ ̶ ̶ 0.01 586 61 黄色ブドウ球菌 ̶ ̶ ̶ ̶ 多数 ̶ 大腸菌 ̶ ̶ ̶ ̶ 618 20 MRSA ̶ ̶ ̶ ̶ 多数 ̶ 真菌 ̶ 0.13 ̶ ̶ 多数 41 緑膿菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 表 2-2 D 病棟ナースステーション内の環境表面の細菌の検出結果:実験 2 細菌数 CFU/cm2 病棟 細菌の種類 円形 テーブル マウス Enter キー 処置台 止水栓 (7 時) 止水栓 (1 時) D 1 回目 一般細菌 ̶ ̶ ̶ ̶ 53 27 黄色ブドウ球菌 ̶ ̶ ̶ 1 1 ̶ 大腸菌 ̶ ̶ ̶ ̶ 68 23 MRSA ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 真菌 ̶ ̶ ̶ ̶ 40 21 緑膿菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ D 2 回目 一般細菌 ̶ ̶ 0.13 ̶ ̶ 46 黄色ブドウ球菌 ̶ ̶ ̶ ̶ 7 18 大腸菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 48 MRSA ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 33 真菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 緑膿菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 1 注 1) B・D は 2 病棟のナースステーション 注 2) 一般細菌は普通寒天培地,黄色ブドウ球菌はエッグヨーク食塩培地,大腸菌はソルビットマッコンキー寒天培地,MRSA は MRSA 分離培地,真 菌用はサブロー寒天培地,緑膿菌は NAC 寒天培地を使用。 注 3) ̶は細菌が検出されなかった。

(5)

の菌の検出はなく,止水栓から真菌が 2cfu/cm2 清掃

後 2cfu/cm2検出された。C 病棟は,清掃直前に真菌が 円形テーブル 0.01cfu/cm2,Enter キー 0.13cfu/cm2,処 置台 0.03cfu/cm2検出され,清掃直後に菌の検出はなかっ

たが,3 日目の清掃後の採取で円形テーブル 0.01cfu/cm2

Enter キー 0.13cfu/cm2,処置台 0.09cfu/cm2検出され, 菌数は減少したが清掃後の細菌の検出は C 病棟からの 真菌が 6 ヶ所と他の病棟に比べて多かった。止水栓では 真菌が清掃直前 9cfu/cm2が清掃直後 4cfu/cm2,清掃後 1cfu/cm2と菌数は減少した。円形テーブルの一般細菌 0.01cfu/cm2,Enter キー 0.25cfu/cm2は清掃後検出なく,

止水栓に一般細菌 17cfu/cm2が清掃直後 3cfu/cm2,黄 色ブドウ球菌は清掃直前 2cfu/cm2が清掃直後 1cfu/cm2 検出され清掃後は検出されなかった。D 病棟は,円形テー ブルから一般細菌 0.01cfu/cm2,大腸菌 0.01cfu/cm2,真 菌 0.01cfu/cm2が検出され清掃直後はこれらの細菌の検 出はなかったが真菌が清掃後に 0.01cfu/cm2検出された。 マウスからは MRSA0.13cfu/cm2,真菌 0.13cfu/cm2 検出され清掃直後清掃後には検出されなかった。処置台 は清掃直前直後に菌の検出はなく清掃後に真菌 0.01cfu/ cm2検出された。止水栓から一般細菌 93cfu/cm2,黄色 ブドウ球菌 30cfu/cm2,真菌 47cfu/cm2が検出され清掃 直後には一般細菌 5cfu/cm2が検出され清掃後には検出 はなかった。真菌が清掃後に 1cfu/cm2検出された。

Ⅴ . 考察

本研究では,ナースステーション内の場所の,円形テー ブル,処置台,マウス,Enter キー,止水栓の調査を行っ た。先行研究1)5)6)では,水周りや水道の止水栓からの細 菌が多く検出されたとの報告があり,今回の実験でも 4 病棟で共通していたのは水道の止水栓からの細菌の検出 であり,特に手動であった B 病棟の細菌数は多かった。 止水栓からは黄色ブドウ球菌,大腸菌,MRSA,真菌が 検出されたことから,手洗い後に汚染された水道栓に触 れると手指に細菌が付着するため水道栓の共有は交差感 染の原因になり1),ペーパータオルで止水栓を閉めるこ とを周知・徹底する必要がある。病院内の水道栓はセン 表 3 清掃前後の 4 病棟ナースステーションの環境表面の細菌の検出結果:実験 3 細菌数 CFU/cm2 病棟 細菌の種類 円形 テーブル マウス Enter キー 処置台の上 (1 ヶ所) 止水栓 (7 時) 止水栓 (1 時) 直 前 直後 後 直前 直後 後 直前 直後 後 直前 直後 後 直前 直後 後 直前 直後 後 A 一般細菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 黄色ブドウ球菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 1 大腸菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ MRSA ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 真菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 0.13 ̶ ̶ 0.04 ̶ ̶ 1 ̶ ̶ 1 ̶ ̶ 緑膿菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ B 一般細菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 5 ̶ 3 黄色ブドウ球菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 25 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 大腸菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 11 ̶ ̶ 1 ̶ ̶ MRSA ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 3 ̶ ̶ 真菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 0.13 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 5 2 2 緑膿菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ C 一般細菌 0.01 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 17 3 ̶ 8 ̶ ̶ 黄色ブドウ球菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 0.25 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 2 1 ̶ 1 ̶ ̶ 大腸菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ MRSA ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 真菌 0.01 ̶ 0.01 ̶ ̶ 0.13 0.13 ̶ 0.13 0.03 ̶ 0.09 9 4 1 4 ̶ 1 緑膿菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ D 一般細菌 0.01 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 93 5 40 ̶ ̶ 黄色ブドウ球菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 30 ̶ ̶ 大腸菌 0.01 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ MRSA ̶ ̶ ̶ 0.13 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 真菌 0.01 ̶ 0.01 0.13 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 0.01 47 ̶ 1 26 ̶ ̶ 緑膿菌 ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ ̶ 注 1) A・B・C・D は 4 病棟のナースステーション 注 2) 一般細菌は普通寒天培地,黄色ブドウ球菌はエッグヨーク食塩培地,大腸菌はソルビットマッコンキー寒天培地,MRSA は MRSA 分離培地,真 菌はサブロー寒天培地,緑膿菌は NAC 寒天培地を使用。 注 3)̶は細菌が検出されなかった。 注 4) 7 時に清掃を行い,清掃直前・直後に細菌の採取を実施,清掃後は,清掃を 2 日目 3 日目の7時におこない 19 時に細菌の採取をおこなった。

(6)

サー付に変更しつつあるが,まだすべての止水栓がセン サー付ではない。患者の診療をおこなう場所すべての変 更が望ましいと考える。また,テーブル・台・機器等に 付着している細菌は直接患者に影響を与えない3)7)が, 埃などに付着している細菌が看護師の手を介して患者が 汚染され感染する原因に成り得ることから,物品や機器 の表面の清掃とその表面を触る前後での手指衛生や衣服 の汚染をできるだけ早く取り除くことが重要である。 今回調査をおこなった 4 病棟のうち,A 病棟は全体的 に検出される菌の種類や菌数が少なかった。A 病棟は, これまでに MRSA の集団発生や MDRP(多剤耐性緑膿 菌)の発生を経験している感染症発生の危険なリスクを もった患者が入院している病棟である。看護師の手指衛 生を徹底し手袋やエプロンなどの個人防護具の使用を周 知するなど日ごろの感染予防策の実践の成果であると考 えられる。そして止水栓から細菌の検出が少なかったの は,止水栓周囲を常に拭き取るという対応と午前と午後 には必ず清掃をおこなうという定期的な清掃が効果的に 行われた結果である。今回 4 病棟に対して同じ方法で清 掃を行ったが,結果として C 病棟の清掃後の細菌の検 出が 6 ヶ所と他の病棟より多かったことから,清掃を最 低 1 日 1 回以上継続することや各場所の清掃の方法を標 準化する必要があると考えられる。 実験 3 で行った清掃前後の菌数の比較では,止水栓に 付着した菌数は多かったが清掃をおこなうことで菌数が 減少し十分な効果が得られた。方法として清掃に使用し た医用不織布ガーゼを清掃を行う度に面を変えたことも 効果につながったと考えられる。処置台の上は血管内留 置カテーテル由来の血流感染の予防策8)に準じてアル コール製剤で台の清掃をおこなったが,清掃後に真菌が 検出されたことから,アルコール製剤での清掃を丁寧に おこなうことが必要である。コンピューターのマウスや キーボード9)10)は電子機器であることからホコリキャッ チャーで行ったが,MRSA や真菌が検出されたことか ら清掃方法の工夫が必要である。電子カルテの使用が増 え,ケアを実施した直後にコンピューターのキーボード やマウスを使用する場面が増加することが予測され,ケ ア実施後はまず手洗い習慣を強化する必要があるといえ る。清掃用具については今後は医用不織布ガーゼのよう なディスポ製品の使用が望ましい11)と考えるが,経費 と合わせて清掃の効果を判定し有用な清掃方法を検討し ていく必要がある。

謝辞

本研究の調査にご協力いただきました対象の皆様,な らびにデータ収集に際して多大なご配慮をいただきまし た病院関係者の皆様に,心より感謝いたします。 文献 1) 高橋美和(2000)易感染患者病床環境の微生物学的検討─空気中 浮遊細菌および環境付着細菌を中心として─.旭川医科大学研 究フォーラム創刊号,60-68. 2) 小林寛伊,大久保憲,吉田俊介(2005)病院感染対策のポイント. 協和企画,東京,3-38. 3) 吉田製薬 文献調査チーム(2008)消毒薬テキスト,第 3 版.吉 田製薬株式会社,東京,2-3,47-62,71-84.

4) William A. Rutala, David J.Weber,and HICPAC(2008) Guideline for Disinfection and Sterilization in Healthcare Facilities, 2008. CDC, 29-31. 5) 小森由美子,福田修子,伊藤由紀,他(2003)病院環境細菌の薬 剤耐性・消毒剤抵抗性の調査と医療スタッフへのデータ還元の 効果.環境感染,18(2):240-246. 6) 上村のり子,杉江昌男 , 佐々きよみ , 他(2000)当院における病 棟・病室からの MRSA 検出状況の報告.磐田市立総合病院誌, 2 (1):38-42. 7) 日本看護協会(2004)感染管理に関するガイドブック改訂版, 15-19. 8) 坂本史衣(2008)基礎から学ぶ医療関連感染対策.南江堂,東京, 51-62. 9) 舛森直哉,国島康晴,高橋聡,他(2007)電子カルテに伴う医療 環境設備の変化.環境感染学,22(2):113-117.

10) Jane D.Siegel, Emily Rhinehart, Marguerite Jackson (2007):2007Guideline for Isolation Precautions:Preventing

Transmission of Infections Agents in Healthcare Settings. CDC, 47-48.

11)藤井昭 翻訳監修(2004)医療施設における環境感染制御に関す るガイドライン,CDC(疾病管理予防センター)および医療感染制 御対策諮問委員会(HICPAC)の推奨,INFECTION CONTROL ROUNDS,23-26.

参照

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