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ライフサイクル評価に基づく空調システム装置容量の安全率に関する研究 [ PDF

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ライフサイクル評価に基づく空調システム装置容量の安全率に関する研究

姜 信愛 1. はじめに 空調システムの装置容量を決定する最大負荷計算は、 国土交通省が定める建築設備設計基準に基づいた計算 法が一般的である。この計算法は猛暑・厳寒の年や建物 の使われ方が変化した場合でも空調時の室内環境が当 初の目標を実現するように、計算プロセスで種々の安全率 が見込まれている。しかし、個々の安全率が重積すること によって最終的には過剰な安全率となり、結果として過大 な空調・熱源機を選定するだけでなく、空調システム全体 の制御性の悪化や非省エネな運転につながるとの指摘が 多い。空調システム設計が運用段階の性能に影響を与え ることは従来から認識されており、ライフサイクルの観点か ら空調システム設計を評価することが必要であるが、これ に関する研究は十分になされていないのが現状である。 本研究では、空調システム装置容量の安全率に応じた 室内環境とライフサイクル CO2排出量(LCCO2)をシミュレ ーションと参考文献により定量的に把握し、その計算結果 に基づいた空調システム装置容量の算定に関する基礎資 料を作成することを目的とする。 2. 空調システム仕様の設定 2.1 対象建物の概要 日本建築学会オフィス用標準問題の建物モデル 1)を基 に作成した建物を対象とする。建物モデルの概要を表 1、 建物の基準階平面図を図 1 に示す。本建物は 10 階建て であるが、簡単のため最下階と最上階を含め、全ての階の 平面は基準階の平面と同じとし、基準階が 10 層あるものと して計算を行った。 2.2 空調システム仕様の選定 建築設備設計基準(平成 18 年度版)2)に基づいて最大 負荷計算を行った。入力条件を表 2(建築設備設計基準) に示す。装置容量の安全率がライフサイクル評価に与える 影響を比較するために、表 3(建築設備設計基準)の最大 負荷計算結果の装置容量を 装置容 量 100 とし、20% ~120%の装置容量とした場合のケースと比較した(表 4)。 熱源機の種類により装置容量の安全率がライフサイクル 評価にどのような影響与えるかを検討するために、熱源機 は部分負荷率が高いほど効率が良い空冷式ヒートポンプ チラー(以下、空冷 HP)と部分負荷運転時に成績係数 (COP)のよいインバータターボ冷凍機(以下、INV ターボ 冷凍機)の 2 種類を設定している(図 2)。各システムの熱 源機は、定格 COP が同じになるように補正した。 表 1 建物モデルの概要 所在地 東京 階数 地上10階 延床面積 8265.6㎡ 基準階床面積 826.56㎡ 基準階事務室床面積 605.2㎡(東系統:302.6㎡,西系統:302.6㎡) 階高 3.6m 天井高 2.6m 窓面積比 30% N  事務室 (西系統)  事務室 (東系統) 空調機室  EV ホール  便所  便所 6300 6000 9000 6000 6300 33600 302.6m2 302.6m2 0 0 0 6 0 0 0 6 0 0 3 6 0 0 3 6 0 0 6 4 2 図 1 基準階平面図(単位:mm) 表 2 建築設備設計基準とシミュレーション計算の入力条件 表 3 建築設備設計基準と HASP による最大負荷計算結果 表 4 空調システムの仕様 建築設備設計基準 シミュレーション 在室人員 0.15人/m2 0.089人/m2 室内発熱(証明) 20W/m2(顕熱) 12.9W/m2(顕熱) 室内発熱(機器) 20W/m2(顕熱) 12.3W/m2(顕熱) ポンプ・ファン負荷係数 HASP/ACSSのデフォルト値3) (空調機負荷の0.1倍) (各定格電力の0.86,0.84倍) 気象データ 建築設備設計基準に掲載された値 標準気象データ 経年劣化 劣化係数(1.05) 実測から得られた結果 蓄熱負荷の考慮 間欠運転係数(1.1) 1時間予冷予熱運転 ポンプ・ファン発熱 室内負荷[W/㎡] 空調機負荷[W/㎡] 熱源機負荷[W/㎡] 95(東系統) 150(東系統) 115(西系統) 159(西系統) 46(東系統) 63(東系統) 57(西系統) 69(西系統) 167 59 建築設備設計基準による 最大負荷計算結果 HASPによる 負荷結果の最大値 装置容量20 装置容量40 装置容量60 装置容量80 装置容量100装置容量120 冷却能力[kW] 100.8 201.6 302.4 403.2 504.0 604.8 加熱能力[kW] 101.2 202.4 303.6 404.8 506.0 607.2 冷温水量[l/min] 275.3 550.6 825.8 1101.1 1376.4 1651.7 動力[kW] 24.7 49.4 74.1 98.8 123.5 148.2 冷温水量[l/min] 275.3 550.6 825.8 1101.1 1376.4 1651.7 動力[kW] 2.465 4.271 5.500 6.489 8.060 9.950 冷却能力[kW] 100.8 201.6 302.4 403.2 504.0 604.8 冷水量[l/min] 288.3 576.6 864.9 1153.2 1441.4 1729.7 動力[kW] 15.6 31.2 46.8 62.4 78.0 93.6 冷水量[l/min] 288.3 576.6 864.9 1153.2 1441.4 1729.7 動力[kW] 2.553 4.402 5.670 6.861 8.480 10.510 冷凍能力[kW] 131.0 262.1 393.1 524.2 655.2 786.2 冷却水量[l/min] 374.8 749.5 1124.3 1499.1 1873.9 2248.6 風量 11714.8 23429.7 35144.5 46859.3 58574.2 70289.0 動力[kW] 1.100 2.200 3.300 4.400 5.500 6.600 冷却水量[l/min] 374.8 749.5 1124.3 1499.1 1873.9 2248.6 動力[kW] 5.740 10.125 13.560 16.750 19.690 22.300 加熱能力[kW] 101.2 202.4 303.6 404.8 506.0 607.2 温水量[l/min] 288.4 576.8 865.3 1153.7 1442.1 1730.5 ガス燃焼量[㎥/h] 10.1 20.2 30.4 40.5 50.6 60.7 温水量[l/min] 288.4 576.8 865.3 1153.7 1442.1 1730.5 動力[kW] 2.553 4.402 5.670 6.861 8.480 10.510 冷温水量[l/min] 240.4 480.9 721.3 961.7 1202.2 1442.6 動力[kW] 4.335 6.540 9.600 12.280 14.200 16.225 冷温水量[l/min] 260.3 520.7 781.0 1041.3 1301.7 1562.0 動力[kW] 4.547 6.860 10.640 12.920 15.000 17.275 送風機[㎥/h] 1442.6 2885.2 4327.8 5770.4 7213.0 8655.6 冷却能力[kW] 8.4 16.8 25.2 33.5 41.9 50.3 冷温水量[l/min] 24.0 48.1 72.1 96.2 120.2 144.3 動力[kW] 0.525 1.119 1.705 2.333 2.883 3.441 送風機 1562.0 3124.0 4686.0 6248.0 7810.0 9372.0 冷却能力[kW] 9.1 18.2 27.2 36.3 45.4 54.5 冷温水量[l/min] 26.0 52.1 78.1 104.1 130.2 156.2 動力[kW] 0.5810 1.2030 1.8730 2.5010 3.1060 3.7020 2次ポンプ (東) 2次ポンプ (西) 空気調和器 (東) ボイラ 冷却塔 2 台 空気調和器 (西) 各 2 台 10 台 空冷式ヒート ポンプ 1次冷温水 ポンプ INVターボ 冷凍機 1次ポンプ (冷水用) 建築設備設計基準による最大負荷計算結果に対する装置容量の割合 台 数 1次ポンプ (温水用) 10 台 空 冷 H P I N V タ | ボ 冷 凍 機 + ボ イ ラ 1 台 1 台 冷却水 ポンプ

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49-2 3. 空調システムシミュレーションプログラム構築 機器モデル、制御モデル、室熱収支モデルを組み合わ せて空調システムシミュレーションプログラムを構築した。 シミュレーションの概要を図 3 に示す。入力の機器装置容 量以外は実測値などを参考にし、出来る限り実態に近い 値を使用している。入力条件を表 2(シミュレーション)に示 す。ここで、室内負荷の算定は、HASP/ACLD/85014)を改 良して計算時間間隔を 1 時間から 1 分間に変更した非定 常熱負荷計算プログラムを用いて求めた。空調運転時間 は予冷予熱 1 時間を含め、平日 6:00~24:00、休日 6:00 ~ 20:00 と し た 。 室 内 負 荷 計 算 結 果 の 最 大 値 を 表 3 (HASP)に示す。 空調システムの各温度設定値を表 5、本システムに組み 込まれている制御を表 6 に示す。また、熱源機、ファン、ポ ンプの部分負荷特性を図 4 に示す。シミュレーションの計 算時間間隔は 1 分とし、計算期間は 1 月 1 日から 12 月 31 日、助走期間を前年の 12 月 22 日から 12 月 31 日まで とした。 4. 空調システム装置容量の安全率によるエネルギー消 費量の比較 構築したシミュレーションを用いて、装置容量の安全率 が運用時の熱源機・搬送系のエネルギー消費量及び室 内環境に与える影響について検討を行った。機器の劣化 も最大負荷計算で見込まれる安全率の一つである。空冷 HP の耐用寿命が 15 年、INV ターボ冷凍機が 20 年である が、本研究では両システムとも運転期間は 15 年とした。熱 源機は実測により得られた結果 5)を参考に経年劣化係数 を設定し、ポンプとファンに関しては 15 年間で送水・送風 能力が 20%低下すると設定する(図 5)。 4.1 空冷 HP 空調システム 1)熱源機のエネルギー消費量(空冷 HP) 空冷 HP 空調システムの装置容量別の 15 年積算エネル ギー消費量(熱源機)を図 6 に示す。空冷 HP の場合、空 調システム装置容量 100 の熱源機のエネルギー消費量に 比べて、装置容量 20 は約 0.61 倍、装置容量 40 は約 0.73 倍、装置容量 60 は約 0.80 倍、装置容量 80 は約 0.89 倍、 装置容量 120 は約 1.11 倍である。 ファン・ポンプ発熱を除く全システムの熱源機負荷は同 (a)給気風量制御 室内温度が設定値に達するよう、給気風量をPI制御で調整 (b)二次側冷水流量制御 給気温度が設定値に達するよう、二次側冷水流量をPI制御で調整 (c)熱源部分負荷率制御 熱源出口冷水温度が設定値に達するよう、熱源部分負荷率をPI制御で調整 (d)冷却塔風量制御 冷却塔出口冷却水温度が設定値に達するよう、冷却塔風量をPI制御で調整 (e)冷却水流量制御 冷却塔出入口冷却水温度差が設定値に達するよう、冷却水流量をPI制御で調整 熱源運転台数がn台である時、システム全体の処理熱量が(n-0.1)QR を超えると一台増台する(ここで、QR:一台あたりの定格処理熱量 ) システム全体の処理熱量が(n-1.2)QRを下回ると、一台減台する ※増減台実施後10分間は運転台数を変更しない (f)熱源機運転台数制御 0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 C O P [-] 部分負荷率[-] 13℃ 15℃ 20℃ 25℃ 29℃ 32℃ 冷却水出口温度 1.0 (c) INVターボ冷凍機(出口冷水温度7℃) 0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 C O P [-] 部分負荷率[-] 13℃ 15℃ 20℃ 25℃ 29℃ 32℃ 冷却水出口温度 1.0 (d) INVターボ冷凍機(出口冷水温度9℃) 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 熱源機の部分負荷特性 1.0 1.0 部分負荷率[-] 入力比補正 [-] y = 0.3951x2+ 0.2801x + 0.3103 R² = 0.9993 (a) 空冷式ヒートポンプチラー 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 ファン&ポンプの部分負荷特性 1.0 1.0 部分負荷率[-] 入力比補正 [-] y= 2.345x4-3.627x3+2.433x2- 0.265x + 0.105 R² = 0.863 (b) ファン&ポンプ 冷房期 18℃ 暖房期 30℃ 冷房期 7℃ 中間期(冷房) 9℃ 暖房期 45℃ 冷房期 26℃ 中間期(冷房) 24℃ 暖房期 22℃ 冷却塔出口冷却水温度設定値 冷房期・中間期 13℃ 冷却塔出入口冷却水温度差設定値 冷房期・中間期 5℃ 熱源出口冷水温度設定値 給気温度設定値 室内温度設定値 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 補正係数 (-) 給気ファン&還気ファン&ポンプの劣化係数 運転時間(年間) 1 2 3 4 5 6 7 0 8 91011 12 13 14 15 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 0 10000 20000 30000 40000 補正係数 (-) 冷房_劣化係数(能力) 冷房_劣化係数(入力) 暖房_劣化係数(能力) 暖房_劣化係数(入力) 運転時間(時間) 図 2 空調システムの概要 図 3 空調システムシミュレーションの概要 表 5 空調システムの各温度設定値 表 6 制御方法 図 4 各機器の部分負荷特性 図 5 機器の経年劣化係数

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49-3 じであり、熱源機の装置容量が大きければ熱源機の部分 負荷率は低い。空冷 HP の場合、部分負荷率が高いほど 効率(COP)が良くなり、装置容量が大きいほどエネルギー 消費量も多い。空冷 HP は部分負荷率が低いほど効率が 悪くなるので、夏期・冬期より低負荷の中間期の COP が低 く、装置容量の安全率が大きいほど COP が低い(図 7)。 2)搬送系のエネルギー消費量 空冷 HP 空調システムの装置容量別の 15 年積算エネル ギー消費量(搬送系)を図 8 に示す。装置容量 100 の搬送 系のエネルギー消費量に比べて、装置容量 20 は約 0.74 倍、装置容量 40 は約 0.77 倍、装置容量 60 は約 0.80 倍、 装置容量 80 は約 0.88 倍、装置容量 120 は約 1.12 倍であ り、搬送系の装置容量が大きいほどエネルギー消費量も 多い。一次ポンプは定流量であるため装置容量による影 響が大きいが、二次ポンプと空調機は変流量制御である ためその影響が小さい。 3)室内環境 装置容量 40 以上であれば未処理熱量による室内温度 への影響はないが、装置容量が最大負荷(表 3(HASP)) より小さい装置容量 20 では設定温度を満足できず、夏期 (8 月)では約 2℃、冬期(2 月)では約 1℃解離がある。ま た、冷房期の室温が設定値を下まわっているケースが見ら れるのは空調機風量下限値(外気導入量)があることより、 季節によっては低温の外気が過剰に導入されるためであ る(図 9)。 4.2 INV ターボ冷凍機空調システム 1)熱源機のエネルギー消費量(INV ターボ冷凍機) INV ターボ冷凍機空調システムの装置容量別の 15 年 積算エネルギー消費量(熱源機)を図 10 に示す。INV タ ーボ冷凍機の場合、装置容量 100 の熱源機のエネルギー 消費量に比べて、装置容量 20 は約 0.94 倍、装置容量 40 は約 1.01 倍、装置容量 60 は約 1.05 倍、装置容量 80 は 約 1.00 倍、装置容量 120 は約 1.02 倍であり、部分負荷運 転時に成績係数のよい INV ターボ冷凍機は装置容量に よる影響が小さい。 INV ターボ冷凍機は熱源出口温度が高いほど、また冷 却水出口温度が低いほど効率が良い。冷却水出口温度 は 13℃に設定したが、負荷が大きい夏期(8 月)には冷却 水出口温度が平均 28.4℃であり、部分負荷率が高いほど COP が良いため、装置容量が小さいほど COP が高くなる (図 11)。また、中間期は夏期に比べて COP が高い。 2)搬送系のエネルギー消費量 INV ターボ冷凍機空調システムの装置容量別の 15 年 積算エネルギー消費量(搬送系)を図 12 に示す。冷却塔 と冷却水ポンプを除いた両システムの搬送系の電力消費 量は同じである。一方、熱源機の違いにより冷却塔と冷却 水ポンプは変化する。装置容量が大きいほどエネルギー 消費量は大きい。 3)室内環境 INV ターボ冷凍機空調システムの室内環境に対しては、 処理熱量が空冷 HP 空調システムと同じで、装置容量の安 全率による影響の傾向も同様である(図 13)。 5. 装置容量の安全率別の LCCO2の比較 空調設備の LCCO2は①各機器の製造時に発生するも の、②設備運用時に使用するエネルギー生産時に発生す るもの、③冷凍機からの漏出フロン以外は影響が尐なく、 本研究では①+②+③を空調設備の LCCO2とする。 5.1 製造段階の CO2排出量 空調システムの各機材の製造段階に関わる CO2排出量 を図 14(空冷 HP 空調システム)、図 15(INV ターボ冷凍機 空調システム)に示す。 空調システムの各機材の製造段階に関わる CO2排出量 空冷 HP 空調システムの計算結果 図 6 熱源機 図 8 搬送系 図 9 室内温度 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 室温 [℃] 20% 40% 60% 80% 100% 120% 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000 45000 50000 20% 40% 60% 80% 100% 120% 熱源機(空冷HP) 電力消費量 [G J] 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000 45000 50000 20% 40% 60% 80% 100% 120% 熱源機(INVターボ冷凍機+ボイラ) 電力消費量 [G J] 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 20% 40% 60% 80% 100% 120% 空調機(西) 空調機(東) 2次ポンプ(西) 2次ポンプ(東) 1次ポンプ 電力消費量 [G J] 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 20% 40% 60% 80% 100% 120% 冷却塔 冷却水ポンプ 空調機(西) 空調機(東) 2次ポンプ(西) 2次ポンプ(東) 1次ポンプ 電力消費量 [G J] 0.0 2.5 5.0 7.5 10.0 12.5 15.0 17.5 20.0 22.5 25.0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 C O P [-] 20% 40% 60% 80% 100% 120% 0 0.0 2.5 5.0 7.5 10.0 12.5 15.0 17.5 20.0 22.5 25.0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 C O P [-] 20% 40% 60% 80% 100% 120% 0 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 室温 [℃] 20% 40% 60% 80% 100% 120% 図 10 熱源機 図 11 熱源機の COP 図 12 搬送系 図 13 室内温度 INV ターボ冷凍機空調システムの計算結果 図 7 熱源機の COP

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49-4 の算出は、空気調和・衛生工学会で出版された空気調 和・衛生設備の環境負荷削減対策マニュアルの二次材料 の複合原単位 6)をもとに算出した。これらの原単位は装置 容量などを変数とした一次式の形にされており、各機材に よる一次式の係数と定数を表 7 に示す。ただし、この原単 位には基本資材の製造に関わる環境負荷が積算されて いるが、設備機器工場の加工などに関わる環境負荷は考 慮されていない。装置容量が大きいほど、製造段階の CO2 排出量も多い。同じ装置容量において、INV ターボ冷凍 機の空調システムと空冷 HP の空調システムのダクト、配管、 二次ポンプ及び、AHU の製造段階の CO2排出量は同じ で、空冷 HP の製造段階の CO2排出量は INV ターボ冷凍 機+ボイラより装置容量による影響が明確である。 5.2 運用段階の CO2排出量 空冷 HP と INV ターボ冷凍機の両空調システムの運用 段階に関わる CO2排出量を図 16、図 17 に示す。空調シス テム運用段階の CO2排出量は、電力とガスの二酸化炭素 換算係数を用いて、空調システムシミュレーションで得られ た電力・ガス消費量から換算した。両空調システムは経年 劣化により CO2排出量が増加する。 5.3 冷凍機からの漏出フロン 各熱源機の冷媒の種類と封入量はカタログを参考にし た(表 8)。冷媒回収率を 0.3 と仮定し7)、空冷 HP と INV タ ーボ冷凍機の冷媒封入量は冷却能力と封入量の割合を 合わせて計算した(図 18、図 19)。空調システムの製造・ 運用段階と冷媒漏出の CO2排出量を図 20(空冷 HP 空調 システム)、図 21(INV ターボ冷凍機空調システム)に、算 出式を式1に示す。製造段階の CO2排出量と冷媒漏出は 全体からみると小さく、運用段階の CO2排出量による影響 が大きい。 6. おわりに 空 調 シ ス テ ム の 装 置 容 量 の 安 全 率 と 未 処 理 熱 量 と LCCO2の関係を図 22 に示す。ここで、未処理熱量は在室 人員がいる時間帯の室温が装置容量の不足が原因で室 温設定値より 0.5℃以上差が生じた時の熱量とする。建築 設備設計基準は建物の室内負荷、ファン・ポンプ発熱、経 年劣化などの計算プロセスで個々の安全率が重積するこ とから装置容量が大きくなり、LCCO2と未処理熱量からみ ると建築設備設計基準の計算結果より 40%~60%小さい 装置容量を決めるのが効果的である。 【謝辞】 本研究は、空気調和・衛生工学会空気調和設備委員会熱負荷シミュレーションと装置容 量小委員会の活動の一環として行われたものである。関係各位に謝意を表します。 【参考文献】 1) 滝沢博:標準問題の提案(オフィス用標準問題),日本建築学会環境工学委員会 熱 分科会第 15 回シンポジウム,pp.35-42,1985 年 2) 国土交通省大臣官房官庁営繕部設備・環境課監修:建築設備設計基準,平成 18 年 度版,2006 年 3) 建築設備技術者協会:HASP/ACSS/8502 解説,1992 年 1 月 4) 建築設備技術者協会:HASP/ACLD/8501 解説,1986 年 2 月 5) 竹田有希:継続的な実測調査に基づく空調設備の維持・保全効果に関する研究,九州 大学大学院修士論文,2008 年 2 月 6) 佐藤正章:空気調和・衛生設備の環境負荷削減対策マニュアル,空気調和・衛生工学 会学,pp.240 -249,2001 年 3 月 7) 環境省:フロン回収・破壊法に基づく平成 17 年度の業務用冷凍空調機器からのフロン 類の回収量などの集計結果,2006 年 3 月 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 装置容量20 装置容量40 装置容量60 装置容量80 装置容量100 装置容量120 製造 冷媒漏出 運用 CO 2 排出量[ t-CO 2 ] 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 装置容量20 装置容量40 装置容量60 装置容量80 装置容量100 装置容量120 製造 冷媒漏出 運用 CO 2 排出量[ t-CO 2 ] 図 18 冷媒漏出 図 14 製造段階 表 8 熱源機の冷媒種類と投入量 図 15 製造段階 図 16 運用段階 図 17 運用段階 図 19 冷媒漏出 図 20 LCCO2 図 21 LCCO2 INV ターボ冷凍機空調システムの各段階における CO2排出量及び LCCO2 空冷 HP 空調システムの各段階における CO2排出量及び LCCO2 図 22 装置容量の安全率と未処理熱量と LCCO2の関係 0 50 100 150 200 250 300 装置容量20 装置容量40 装置容量60 装置容量80 装置容量100 装置容量120 ダクト(鋼製) 配管(SGP) 二次ポンプ AHU 空冷HP+一次ポンプ CO2 排出量[ t-CO2 ] 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 装置容量20 装置容量40 装置容量60 装置容量80 装置容量100 装置容量120 CO 2 排出量[ t-CO 2 ] 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 装置容量20 装置容量40 装置容量60 装置容量80 装置容量100 装置容量120 CO 2 排出量[ t-CO 2 ] 表 7 各機材の複合原単位係数と定数 係数 定数  空冷HP+一次ポンプ 冷却能力(kW) 31.58 509.6  ターボ冷凍機システム 冷却能力(kW) 14.42 6673.4  ボイラシステム 加熱能力(kW) 3.99 1235.5  AHU 風量(m3/h) 0.20 774.7  二次ポンプ 流量(L/min) 0.14 281.3  配管(SGP) kg-配管 3.68 0.0  ダクト(鋼製) m2-ダクト 19.49 0.0 ★:変数 変数 機器名称 CO2排出量原単位(kg‐CO2/★) 熱原機 冷媒の種類 GWP 封入量[kg/kW] 空冷HP R134a 1300 0.2667 INVターボ冷凍機 HCFC123 93 0.6042 ※ 投入量:冷却能力1kW当たりの冷媒量 CO2 排出量[ t-CO2 ]

※GWP : global warming potential(地球温暖化係数 )、 CO2 の GWP が1

冷媒漏出 投入量 GWP (1- 冷媒回収率) ・・・式1 0 50 100 150 200 250 300 装置容量20 装置容量40 装置容量60 装置容量80 装置容量100 装置容量120 ダクト(鋼製) 配管(SGP) 二次ポンプ AHU ボイラシステム 遠心冷凍機システム CO 2 排出量[ t-CO 2 ] 0 200000 400000 600000 800000 1000000 1200000 1400000 6000 6500 7000 7500 8000 8500 9000 9500 10000 10500 11000 11500 12000 装置容量20(空冷HP) 装置容量40(空冷HP) 装置容量60(空冷HP) 装置容量80(空冷HP) 装置容量100(空冷HP) 装置容量120(空冷HP)

装置容量20(INVターボ) 装置容量40(INVターボ) 装置容量60(INVターボ)

装置容量80(INVターボ) 装置容量100(INVターボ) 装置容量120(INVターボ)

未処理熱量 [k W h ] 空調設備のLCCO2[t-co2] 0 50 100 150 200 250 300 装置容量20 装置容量40 装置容量60 装置容量80 装置容量100 装置容量120 CO 2 排出量[ t-CO 2 ] 0 50 100 150 200 250 300 装置容量20 装置容量40 装置容量60 装置容量80 装置容量100 装置容量120 CO 2 排出量[ t-CO 2 ]

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