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過酷な環境下での稲を発芽させよう

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Academic year: 2021

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過酷な環境下での稲を発芽させよう

生物資源科学部 生物生産学科 1年 渡邊 理子 1年 佐々木 翔渚 1年 進藤 加鈴 1年 若井 羽音

指導教員 生物資源科学部 生物生産学科 助教 曽根 千晴

1.背景・目的

三大穀物の一つであるイネは、古来より私たちの食を支えてきた。しかしながら、現在世 界的な食糧不足が問題視されている。将来的に、これまでにイネの栽培が困難であるとされ た地域でもイネの栽培が可能になれば、食料不足が解消されるのではないかと考えた。

そのために、イネが過酷な条件下で、どのように生育するのかを調査し、得られた結果か ら世界のほかの地域でのイネの栽培の可能性ついて考えていきたいと思った。

本実験では、異なる品種のイネを用いて、温度変化や種子処理などといったストレスを与 え、それぞれの品種や処理区によってどのような出芽率・成長速度の変化が現れるのかを観 察した。

2.材料および方法 2-1.材料

本実験で用いたイネの品種をそれぞれの実験ごとにまとめた。

表1実験Ⅰの試料 あきたこまち

TOG5602 TOG5514

表2実験Ⅱの試料 あきたこまち

NERICA ソルトスター

表3実験Ⅲの試料 あきたこまち

NERICA ソルトスター

2-2.方法

実験Ⅰと実験Ⅲの方法は省略する。

16 個に区切られた黒の育苗パックに稲穂粒状培土を充填した(写真 1)。稲穂粒状培土の上

にあきたこまちは 10 粒ずつ播種し、NERICA とソルトスターは 5 粒ずつ播種した(写真 2)。そ

の後、種子の上から稲穂粒状培土をかけ、播種深度 1cm とし、パックの底から底面灌水を行

った。種子処理区は対照区・浸水処理・プライミング処理を行った。プライミング処理は種

子を、12・24・36・48 時間水に浸した後、水から取り出し乾燥させた。無処理を対照区とし

(2)

た。 土壌はストレスを与えない対照区のみで行った。 栽培にはグロースチャンバーを用いた。

栽培期間中の温度は 10・20・30℃とした。

写真1 播種後の様子 写真2 播種の様子

写真3 実験Ⅰの播種の様子 写真4 グロースチャンバーでの栽培の様子

写真5 実験Ⅲの発芽の様子 写真6 実験Ⅰの冠水区の様子

3.結果

実験Ⅰ:播種後10日まで観察を行い、出芽率をグラフにまとめた。

実験Ⅲ:塩分土壌条件と温暖+乾燥条件は播種後14日まで観察を行った。寒冷条件は播種

(3)

0 20 40 60 80 100 120

0 2 4 6 8 10 12

播種後日数

(a)あきたこまち10

12h 24h 36h 48h 浸種

0 20 40 60 80 100 120

0 2 4 6 8 10 12

播種後日数

(b) あきたこまち20℃

12h 24h 36h 48h 浸種

0 20 40 60 80 100 120

0 2 4 6 8 10 12

播種後日数

(c)あきたこまち30

12h 24h 36h 48h 浸種

0 20 40 60 80 100 120

0 2 4 6 8 10 12

播種後日数

(f)NERICA 30℃

12h 24h 36h 48h 浸種

0 20 40 60 80 100 120

0 2 4 6 8 10 12

播種後日数

(d)NERICA 10

12h 24h 36h 48h 浸種

0 20 40 60 80 100 120

0 2 4 6 8 10 12

播種後日数

(e)NERICA 20

12h 24h 36h 48h 浸種

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

0 2 4 6 8 10 12

播種後日数

(g)ソルトスター10

12h 24h 36h 48h 浸種

0 20 40 60 80 100

0 2 4 6 8 10 12

播種後日数

(h)ソルトスター20℃

12h 24h 36h 48h 浸種

0 20 40 60 80 100

0 2 4 6 8 10 12

播種後日数

(l)ソルトスター30℃

12h 24h 36h 48h 浸種

後28日まで観察を行った。

なお、この成果報告書ではページ数の関係により、実験Ⅰと実験Ⅲのグラフは省略した。

実験Ⅱ:播種後10日まで観察を行い、出芽率をグラフにまとめた。

●あきたこまち ●NERICA ●ソルトスター

●無処理

0 20 40 60 80 100 120

0 2 4 6 8 10 12

播種後日数

(j)無処理

あきたこまち NARICA ソルトスター

(4)

4.結果および考察

●あきたこまち

10・20・30℃のグラフに大きな変化が得られなかった(実験Ⅱ-図a,b,c)ために、プライミ ングの効果はほとんど無いと考えられた。 どのグラフも6日目には発芽率が100%または、 100

%に近い傾向にあった(実験Ⅱ-図a,b,c)。以下のことから、前半の発芽率が悪く水の吸い込 みが遅いことが考えられた。特に温度が20℃で、プライミング処理12時間と48時間、30℃で プライミング処理24時間、浸水処理のものが適していた(実験Ⅱ-図b,c)。最終的な発芽率は どの環境下でもNERICAとソルトスターよりも安定していた。また、どの条件も対照区と似た グラフであった。よって、種の質としてはあきたこまちがよいと見込まれる。

●NERICA

どの条件の時も、播種後2日は出芽率0%であった(実験Ⅱ-図d,e,f)。しかし、播種後日数 3日では、30℃プライミング処理で24時間水に浸したものと48時間水に付けたもの以外、出芽 率が50~100%であった(実験Ⅱ-図f)。播種してから数日で発芽していることから、水を吸 い込んでからの成長が早いか水の吸収スピードが高いと考えられる。上記のプライミング処 理で24時間水に浸したものと48時間水に付けたものの発芽率が低い(実験Ⅱ-図f)のは、 プラ イミング処理の段階で芽が出たため、乾燥し枯れてしまったと考えられる。

グラフに大きな違いがみられ、10℃の時のみ全ての条件で出芽率が100%であった(実験Ⅱ

-図d)。よって、10℃の条件があっていると考えられる。また、あきたこまちとソルトスタ ーに比べて対照区の出芽率が3日で100%と一番高く最適だった(実験Ⅱ-図j)、そのため、プ ライミング処理が出芽率を上げにくいと考えられる。

●ソルトスター

NERICAほどではないが、 30℃の時唯一播種後2日で発芽するなど播種してから発芽するまで が早い(実験Ⅱ-図l)ためソルトスターも水を吸い込んでからの成長が早いか水の吸収スピ ードが高いと考えられる。

対照区では、 最終的な発芽率は70%でありあきたこまちとNERICAに比べて低かった(実験Ⅱ-

図j)。しかし、プライミング処理をすることによって、どの温度条件の時も出芽率が上がっ ているものがあった(実験Ⅱ-図g,h,l)。よって、プライミング処理によって出芽率が向上す ると考えられ、プライミング効果がほかの2品種に比べて一番高いと見込まれる。

●まとめ

あきたこまちは、全体的にどの条件や環境でも安定して栽培することができると考えられ る。それにくらべて、NERICAやソルトスターは条件や環境によってばらつきがみられた。

よって、あきたこまちが本試験の環境条件下では栽培に最も適していると考えられたが、

高温条件下では発芽率が下がることが分かった。

参照

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