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戦 力 増 強 と 謹 券 取 引 所
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岡本
理
一
五 四 一一一 一噛 一
目次
統制強化と取引所
生産擾充と謹券資本
資金統制と謹雰取恥所
株慣菱動と統制方策
橡儂統制と謹雰取肌所
一統制強化と取引所
一般に今日の職時下︑生産の援充は識力増強の核心をなすものとして重覗せられる︒これを我が國の現歌に
ついてみるとき︑大東亜職争の途行目的を貫徹し︑東亜共榮圏を建設するため︑何より先に職力の檜強を隷か
戦力増強と誼勢取引所(岡本)噛五七
,︑五八
らねばならぬが︑これは一方において﹁國民の翼賛協力﹂と之を指導統制する﹁國内政治の強化﹂とを必要と
し︑他方において飛躍的なる﹁生産の擾充﹂をはかつて軍需物資の充分なる供給と︑國民必需物資の最低必要
量を確保することによつで成∵就され得るものである︒特に今日の職争が︑異常なる各種兵器の嚢達と顯著なる
軍事技術の向上にょり莫大なる人的︑物的の消耗を惹起せしめ︑これが補給に長期的且連績的の確保を必要と
する謂はゆる國家総力戦の性格を帯べるため︑今や生産の接充による物的職力の増強こそは︑まさに我が國︑
︑我が民族の興亡浮沈を決する程の緊急課題と稻して敢て過言でないと思はれる︒而るてかく我が國の経濟が專
ら生産の接充を通じて職力増強をはかり︑謂はゆる高度國防國家の建設に寄與すべき膣制化の要講されてゐる
ことは︑當然その部分をなす國内の企業乃至維濟機關をしてその組織の改革にともなふ薪職能の途行を以て↓
生産擾充に貢賦することを唯一の存在理由たらしめてゐるのである︒
がさて從來︑取引所はそれが且由主義的資本主義経濟の所産のゆゑに︑時代の尖端 を歩むものとしてその華々
しき存在は︑時に維濟界の心臓と稻され︑また財界の中福機關とまで謳はれ︑事實多年にわたり資本主義経濟
の獲展に大なる貢獄をしてきたのであるが︑すでに我が國においては支那事攣の勃獲以來︑職局の進展にとも
なふ統制彊化により部分的︑聞接的に影響を受け︑やがて物資に野する生産︑配給︑便格︑利潤アび消費の統
制が全面的に實施されるや︑先づ商品取引所の大部はほとんど慶絶に昂し︑次に株式取引所にありても後述の
ごとく配當制限︑費金統制の實施に從ぴ漸次その活動力を弱めちれ︑途に日本誰券取引所の設立といふ根本的
大攣革をみるに至つたのである︒周知のごとく商品取引所は米穀︑雑穀︑︑棉花︑綿練布︑生懸︑肥料︑砂糖等の
重要商品につき・その地方的乃至全國的なる需要と総とを薔所に集申してその釜なる債格を形成し・同
時に債格の干準化をはかり︑経濟的危瞼の保瞼作用をも行ふものにして︑從來の自由主義経濟のもとにおいて
は︑物資の需給關係は專ら市場便格法則によつて調節せられるのゆゑに︑これらの諸作用は商品取引所の存在
理由を與へる主要職能として重覗されたものであつた︒しかしながら本來︑商品取引所は誰雰取引所と異り︑・
生産物の最初の生産者より最後の鴻費者に至るまでの中聞の過程すなはち配給組織の内部に成立する一の経濟
機關に他ならぬゆゑ︑もしこの配給組織が何等かの統制によつて攣化を與へられるとすれば︑その影響を受け
るは當然のことΣ言はねばならぬ︒ゆゑに上述のごとき各種の統制︑就中商品に封する債格統制が實施せら
れて上場商品に公定債格が及ぶに至るや︑商品取引所の債格構成機關としての職能は當然不要に錦し︑また配
給統制が實施せられて國家計書にもとづき商晶数量や品質の指定が行はれ配給経路が特定せら轟て取引の自由
性が著しく狭めらるれば︑配給過程上の債格危瞼も皆無となり掛繋取引による保瞼作用も不要となるのであ
る︒かくて商品取引所は配給組織の攣革にともなひその職能の大部を喪失し︑しかも他面において今日の戦力
増強に寄與すべき組織も職能も有せざるため︑我が國においては先づ昭和十四年四月︑米穀配給統制法の公布
による米穀取引所の慶止を初めとし,漸次各地の商品取引所が解散を行ひ︑途に昭和十八年一月の横濱取引所
における生懸市場の清算取引申止を絡りとして︑全部その姿を消失するに至つたのである︒
戦力壇強と謹雰取引所(岡本)五九 !
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然るに誰券取引所にありては商品取引所に比し著しくその間の事情を異にする︒蓋し誰雰取引所は誰券流通
ノ組織の内部に成立する経濟機關にして︑誰券資本と貨幣資本との轄換をはかり﹃また誰雰債格の構成をも行ふ
ものであるため︑たとへ生産物の配給組織に強固なる統制が加へられても商品取引所のごとき直接的な打撃を
受けす︑た穿間接的に會就業績の低下にともなふ株債の低落︑したがつて生する取引高の減少と手数料牧入の
減額をみる程度に止るからである︒尤も今後資金の配分がすべて國家意志にもとついて行はれ︑例へばその投
下並に流通が恰も生産物の計書配給にみるごとく全部國家の計書にもとづき特殊の金融機關によつて行はれ︑
その危瞼をも自ら員澹する場合には︑現在猫逸の設券取引所にその例讃をみるごとく︑その職能は大部分喪失
するに至るかもしれない︒しかし現在の我が國においては・たとへ國家の指導統制が誰券界にも強く波及し︑
從來のごとき謹雰の取引自由性は相當制限されてゐるけれども︑尚株債の公定制はとられす鴇誰雰取引所存立
の要件たる詮雰資本主義は根本的に改められす︑況んや後述のごとく生産損充資金の供給をめぐつて多数の企
業誰寡及び政府誰券が獲行せられ︑しかも之等は設券取引所を通することによつて園滑に取引せられ得︑かエ
る職能の途行が職力増彊に多大め貢献をなせる事態を思ふとき︑その存在はきはめて重要なものと言はねばな
らぬ︒宜なり︑我が政府は昭和十六年七月一日︑閣議にて決定せる﹁財政金融基本方策要綱﹂において特に
﹁有債誰券取引機構ノ合理化﹂なる項巨を掲げ﹁有債設券ノ債格ノ適正及安定ヲ圓リ又時局下必要ナル有便詮
券ノ取引ヲ圓滑ナラシメ以テ産業資金ノ流通ト國民貯蓄ノ保護二資スル爲メノ措置ヲ講ズルト共二其ノ取引ノ
︺ /
方法及機構ヲ合理化ス〜術有債誰雰業者ノ業務二關スル監督ヲ=暦嚴重ニスL(同要綱第二要領︑三︑金融政策
ノ改革(三))と公約し︑憂にこれを實行するため︑昭和十八年三月十日﹁日本誰券取引所法﹂を公布し︑之に
もとづき同年七月一日﹁日本讃券取引所﹂を設立し﹁國家経濟7適切ナル運螢=資スル爲有債謹券ノ公正ナル
慣格ノ形成及債格ノ安定二任ジ且有便謹券ノ流通ヲ圓滑ナラシムルコト﹂(同法第一條)を目的として業務開
始を行ひ︑以て從來我が取引所制度に随伴せる各般の訣陪を排除して多年の懸案を解決し︑同時にその職時盟
制化をはかつて公共性を著しく明確にしたのである︒'
いま日本詮券取引所の組織を概略窺へば次の通りである︒すなはち薪取引所は資本金二億圓(内政府出資四
千七百三十八萬圓)の螢團的性格を有する特殊法人にして︑從來我が内地に存在した十一箇所の株式取引所を
統合し︑総裁以下の役員は政府の任冤にかΣり︑役員︑使用人は公務員と看倣され︑出資者には議決灌なく︑
出資誰券には年五分の配當を政府が保誰するものである︒また取引員はすべて法人として資産信用の充實︑素
質の向上をはかること瓦し︑その佛込資本金第一種取引員(株式の實物及び清算取引)は百萬圓以上︑第ご種
取61員(株式の實物取引)︑第三種取引員(確定利附誼券の實物取引)は共に五十萬圓以上とし︑取引員の冤
許には資産のほか人的要素をも重覗して嚴選主義による不適格者の淘汰を行ふことΣした︒これにより從來の
個人取引員制度に随俘せる種々の弊害は除去せられ︑眞に取引員をして新取引所と渾然}腿となρ︑誰券債格
覧の安定とその流通の圓滑化に協力すべき公共的使命の達成に逼進せしめ得るのである︒更にまた上場誰雰につ
戦力増強と謹雰取引所(岡本)六U
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いては︑多年にわたり我が取引所の﹁癌﹂とまで謂はれた當所株の上場が新取引所の特殊法人化によつて當然
除去せられ︑またすべての上場誰券は主務大臣の認可を要し︑しかも主務大臣は上場銘柄の指定︑慶止をなし
得るなど︑きはめて之は重覗されてゐるのである︒爾費買取引については實物︑清算の爾取引を認めてゐる
が︑但し前者に重黒を置き︑清算取引にありては短期を慶止し︑また長期も東京︑大阪の二市場に限つて認め︑
したがつて他の支所市場は全部實物取引のみを行ひ得ること︑なつた︒而してか﹂る短期清算取引の慶止と長
財清算取引の一部認可とは︑曹買取引をして從來の投機偏重のものより投資本位のものへ移行せしめ︑嘗ては
﹁新東株しの取引に狂奔せし我が取引所を今後生産撲充事業株の取引に主力を注ぐことを可能ならしめるもの
である︒要之︑今日の維濟罷制下︑國家の主饅性はあらゆる部面において判然と認識せられ︑國民経濟は國家
意志の指導に服すべき段階に到達し︑國家を外にして経濟の本質は考へ得ざる状態に當面してゐるのであるか
ら︑日本誰券取引所にあつてもか・る國民共同髄に仕へる一個の生活艦として存在することが要請されるので
ある︒したがつてその主要なる職能は國家計書の下に行はれる適切なる誰券債格の統制と誰券流通の圓滑化に
協力するにあること言ふまで愚ない︒然らば日本誰雰取61所ばいかなる過程を維てか玉る職能を途行し︑以て
生産損充に貢獣し得るのであるか︒,
二生産援充と謹券資本