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現代チベット語における動詞の分類

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現代チベット語における動詞の分類

著者 高橋 慶治

雑誌名 国立民族学博物館研究報告

巻 17

号 2

ページ 343‑368

発行年 1992‑12‑15

URL http://doi.org/10.15021/00004247

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高橋 現 代 チ ベ ッ ト語 に おけ る動 詞 の分 類

現 代 チ ベ ッ ト語 にお け る動 詞 の分 類

高 橋 慶 治*

A Classification of Verbs in Modern Tibetan

Yoshiharu TAKAHASHI

In this paper I will propose a classification of verbs in Modern Tibetan, according to the distribution of GIS Case Nouns. In an ergative language, transitive verbs require their agents to be in the ergative case, and intransitive verbs their subjects to be in the absolutive case. In Modern Tibetan, however, some transitive verbs don't require their agents to take the GIS Case Marker under certain conditions, while others always do. And some intransitive verbs allow their subjects to take the GIS Case Marker under certain conditions, while others always need to be in the Absolutive Case. These conditions are not difficult to specify; rather it's important to make clear which group each of the verbs belongs to. Tibetan verbs can be classified into four types accord- ing to the distribution of the GIS Case Noun. In addition, they can be classified in terms of volitionality, which is not marked on the verb. The classification by volitionality is secondary, but we have six types of Tibetan verbs divided in terms of the distribution of GIS Case Nouns

and the volitionality of verbs.

日本学術振興会,国 立民族学博物館共 同研究員

Key Words : Tibeto-Burman Languages, Modern Tibetan (Central Dialect) , ergativity, classification of verbs, GIS Case Marker

キ ー ワ ー ド:チ ベ ッ ト ・ ビ ル マ 系 言 語,現 代 チ ベ ッ ト語(中 央 方 言),能 格 性,動 詞       分 類,GIS格 助 詞

343

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は じめ に

1.絶 対 格 の行 為 者 を 取 り うる他 動 詞:意    志 的 他 動 詞

  1.1.動 作動 詞 の絶 対 格 行 為 者

  1.2.談 話 的 な要 因 に よるGIS格 助 詞 の       出 現

  1.3.  ま とめ

2.自 動 詞 の 主 語:動 作 主 格,対 象主 格   2,1.GIS格 の主 語 を 許 す 自動 詞

  2.2.GIS格 の主 語 を 許 さな い 自動 詞   2.3.  ま とめ

3.行 為 者(ま た は 経 験 者)名 詞 が必 ず    GIS格 助 詞 を取 る動 詞

  3.1.無 意 志 的 他動 詞   3.2.相 対動 詞 4.結 論

おわ りに

は  じ  め  に

  本 稿 は,現 代 チベ ッ ト語(中 央 方言)の 動 詞 をGIS1)格 名 詞 の 分布 に基 づ い て分 類 し よ う と試 み る も ので あ る2)。動 詞 の 分 類 に つ い て は,長 野 【1987b】な どb',動 詞 の 意 味 に基 づ く分 類 が 示 され て い るが,本 稿 で は,チ ベ ッ ト語 の 能 格性 に つ い て考 え直 す 必 要 が あ る と の考 えか ら,動 詞 が表 す 行 為 の主 体(行 為 者 な ど3))がGIS格 に な る か,絶 対 格 に な る こ とが で き るか に よ って 動 詞 を分 類 す る こ とを 考 え る。 つ ま り, GIS格 名 詞 の分 布 の 仕 方 に よ る動 詞 の分 類 を試 み る。 した が って,行 為 者 や 経 験 者 が GIS格 か 絶 対 格 で表 され な い動 詞 につ いて は,考 察 の 対 象 と しな い4)0

1)略 号

AV    助 動 詞 CONJ  接 続 詞 DANG  DANG格 助詞 GI    GI格 助 詞 GIS    GIS格 助 詞 IMP   命 令形

LA    LA格 助 詞 NAS  NAS格 助 詞 NEG  否 定 辞 NML  名 詞 化 接 辞 PL    複 数 接 辞 VBL  動 詞 化 詞

2)本 稿 は,国 立 民 族 学 博 物 館 共 同 研 究(1992〜93年 度)「 チ ベ ッ ト ・ビル マ 系 諸 民 族 の言 語   文 化 」(代 表 者:長 野 泰 彦)研 究 会 で の 発 表 資 料 に 手 を 加 え た もの で あ る。 ま た,1992年 度   文 部 省 科 学 研 究 費 補 助 金 に よ る研 究 成 果 の一 部 で あ る。 本 稿 の 例 文 は,主 と して 筆 者 が 作 例   し,イ ンフ ォ ー マ ン トの 大 谷 大 学 助 教 授 ツル テ ィ ム ・ケサ ン氏 が チ ェ ックを行 った チ ベ ッ ト   文 であ る。資 料 と して あ げ た 文 献 か らの 引用 につ いて も,ツ ル テ ィ ム氏 に 確認 した。 た だ し,   ツ ル テ ィム氏 の 判 断 と一 致 しな い も のに つ い て は 注 記 して あ る。 研 究 会 に お い て 御 意 見 を 下   さ った 共 同研 究会 の諸 先 生 と ツル テ ィム ・ケサ ン氏 に 深甚 の謝 意 を表 す る。

3)  他 動 詞 に お け るGIS格 名 詞 を 「行 為 者(広 い 意 味 で経 験 者 を含 む)」,絶 対 格 名 詞 を 「被 動   者 」,自 動 詞 の絶 対 格 名 詞 を 「主 語 」 と呼 ぶ こ と に す る 。 この よ うな 用 語 法Y'は,長 野   【1987a:8171に 指 摘 が あ る よ うに 問 題 が あ るが,本 稿 で は この用 語 法 に 従 って お く。

4)所 有 構 文 で の所 有者 や,授 受 を表 す 動 詞 で の 受 け手 はLA格 助 詞 を取 って,し か も,文 の

  主 語 的 な役 割 を 果 た す こ とが あ るが,本 稿 で は 考 察 の 対 象 と しな い 。 また,絶 対 格 名 詞 を 二

  つ 要 求 す る動 詞 もあ るが,本 稿 で は対 象 と しな い 。

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高橋    現代チベ ッ ト語における動詞 の分類

  まず,チ ベ ッ ト語 の格 助 詞 につ い て 略 述 して お きた い。 チ ベ ッ ト語 の 格 に は,絶 対 格,GIS格r  LA格,  NAS格,  LAS格,  DANG格,  GI格 な どが あ る 。 絶 対 格 は, 名 詞 の 引 用形 で あ り,格 助 詞 が付 加 され な い 形 式 で あ る。 そ の他 の格 に ごは,格 助 詞 が あ る。GIS格 は,主 と して 行 為 者 を 表 す 格 で あ る。  LA格 は,お よそ 与 格 ・位 置 格 を 表 す 。NAS格 ・LAS格 は,奪 格 で あ るが, NAS格 が 離 脱 ・行 為 の起 点, LAS格 が 比 較 の対 象 を 表 す 。DANG格 は,日 本 語 の 「と」 に あ た る共 格 で あ り,  GI格 は 属 格 を 表 す 。これ ら の名 称 は,そ れ ぞれ の格 助 詞 の文 語 形 を 基 に して い る。文 語 に お い て, GIS格,  LA格,  GI格 の 格 助 詞 に は,付 加 され る名 詞 の 語 末 の形 式 に よ って 異 形 態 が 存 在 す る。 本 稿 は,現 代 口語 を基 に した資 料 を扱 って い るが,す べ て の 例文 は文 語 形 式 で あ げ て い るの で,例 え ば,同 じGIS格 と して逐 語 訳 を 付 け て い る場 合 で も, 実 際 の形 式 は 異 な って い る こ とが あ る。

  さて,現 代 チ ベ ッ ト語 の格 助 詞 の用 法 の研 究 の多 くは,能 格 助 詞(筆 者 の用 語 では, GIS格 助 詞)を 扱 って い る。 能 格 とは,自 動 詞 の 主 語(S)と 他 動 詞 の 被 動 者(P) を 同 じ格形 式 で,他 動 詞 の 行 為 者(A)を 特 別 な 格 形 式 で 表 す 言 語 に お い て,そ の 他 動 詞 の行 為 者 が 取 る格 を言 う。 す なわ ち,形 態 上 の 格形 式 の 点 で は,S=P≠Aと い う関 係 を持 って い る こ とに な る。 チ ベ ッ ト語 に お い て は,自 動 詞 の主 語 と他 動 詞 の被 動 者 が 格助 詞 を持 た な い,名 詞 の引 用 形 式 であ る絶 対 格 を 取 り,他 動 詞 の行 為 者 が, 古 典 文 法 で具 格 助 詞 な ど と言 わ れ るGIS格 助 詞 を 取 る。 この よ うな格 助 詞 の 分 布 か

ら,チ ベ ッ ト語 は,能 格 的 な言 語 で あ る と言 わ れ る。

  言 語 類 型 論 的 に ごは,能 格 型 言語 は,日 本 語 の よ うに他 動 詞 の 行 為 者 と 自動 詞 の主 語 を 同 一 の格 形 式 で 表 す 対 格 型 言 語(S=A≠P)と 対 比 され る。 しか し,主 格 ・対 格 の対 立 は,行 為 者 ・経 験 者 ・被動 者 とい った動 詞 と項 の間 の意 味 関 係 を 抽 象 化 して, 統 語 関 係 を 示 す もの で あ るの に 対 し,能 格 の生 起 は,動 詞 と項 の意 味 関 係 を 明 示 す る

点 で意 味 レベ ル に 関 わ り,構 造 的 に は形 態 レベ ル で の語 形 変 化 で しか ない 。 能 格 型 言 語 に お い て も,統 語 的 に 見 る と対 格 型 言 語 と同様 の 現 象 を示 す こ とが 指 摘 され て い る 5) 。 さ らに,能 格 現 象 を 他 動 詞 につ い て 見 る限 り,そ れ は 意 味 関 係 を示 す もの と言 え るが,自 動 詞 は,主 語 の意 味 関 係 を 反 映 す る よ うな 格 形態 を取 らな い。1項 動 詞 で あ る 自動詞 に は 区別 す べ き他 の必 須 項 が ない か らで あ り,意 味 関 係 を抽 象化 して一 つ の 格 形 式(絶 対 格)で 表 す とい う点 で,統 語 関 係 を 明 示 す るた め の形 態 手 段 で あ る と言 え よ う。

  現 代 チベ ヅ ト語 を 単純 に能 格 型 言 語 で あ る と言 えな く して い る現 象 と して,第2章 5)cf.柴 谷 【1986:78】 。

345

(5)

で 見 る よ うに,本 来 絶対 格 で現 れ る 自動 詞 の主 語 名 詞 が,GIS格 助 詞 も取 る こ とが で き る とい う現 象 が あ る。 これ は,動 格 型 と呼 ば れ る言 語 を 特 徴 付 け る現 象 で あ るが, 最 近,自 動 詞 の分 裂 とい う考え 方 が 提 出 され て い る6)。す な わ ち,自 動 詞 の主 語 が, 動 詞 に よ って他 動 詞 の 行 為 者 名 詞 の格 形 式 と一 致 した り(S=A≠P),被 動 者 名 詞 と 一 致 した り(S=P≠A)す る 。 自動 詞 の 分 裂 は,主 語 とい う統 語 関 係 の 表 出 か ら, 他 動 詞 の 能格 現 象 に並 行 す る よ うな意 味 関 係 の 表 出 へ の 移 行 で は な い か と思わ れ る。

長 野[1987b:247】 は,チ ベ ッ ト語 が 動 格 型 で あ る と規 定 す る こ とを認 め て い な いが, 容 易 に否 定 で き る もの で も な い。

  チ ベ ッ ト ・ビル マ系 諸 言 語 に お い て は,さ ま ざ まな 能 格 的類 型 が観 察 され るが,そ の 現れ 方 につ い て も種 々の パ タ ー ンが あ る。 能 格 を表 す助 詞 が首 尾 一 貫 して現 れ る こ とは な く,能 格 の分 裂 現 象 と呼 ば れ る。 そ の よ うな分 裂 が い か な る原 因 に よ って い る か が,チ ベ ッ ト ・ビル マ系 諸 言 語 の 中 で 明 らか に な って い るわ け では な い7も   チ ベ ッ ト語 に お い て も,他 動 詞 の行 為 者 に 対 す る能 格 助 詞(GIS格 助 詞)の 生 起 は, 首 尾 一 貫 して い るわ け で は な く,分 裂 現 象 を 示 して い る。 次 例 は,zar食 べ る」 とい う動 詞 につ い て,行 為 者nga「 私 」 が, GIS格 で あ る場 合 【(1a)】 と絶 対 格 で あ る場 合

【(1b)1で あ る。

(1) a.  ngas    kha lag bzas    pa yin       私 一GIS食 事    食 べ たAV         ・私 は 食 事 を し た

  b.  nga   kha lag za     gi  yin/

      私 一 φ8)食 事     食 べ るAV         ・私 は 食 事 を す る

  チ ベ ッ ト語 の 能 格 の 分 裂 現 象 に つ い て は,長 野[1987bな ど】やDelancey【1984aな ど】な ど の 分 析 が あ る 。 分 裂 の 原 因 に つ い て,長 野 は,チ ェ イ フ[1974]を 基 に した 動 詞 の 分 類 を 提 出 し て,動 詞 の 意 味 に 基 づ く と し て い る 。長 野 が 扱 っ て い る 分 裂 現 象 は, 他 動 詞 全 般 に つ い て 階 層 的 に 能 格 助 詞 の 出 現 が ス ラ イ ド し て い る こ とを 示 す も の で, 本 稿 と は 趣 き が 異 な る 。 本 稿 で は,基 本 的 に はGIS格 助 詞 が 現 れ る も の を 考 察 の 対 象 と し,現 れ な い も の に つ い て は 扱 わ な い 。 た だ し,自 動 詞 で は,GIS格 助 詞 が 現 れ

6)  cf.  Medan[1985]0

7)cf.長 野 【1986:119‑120】,西田 【1989:818‑820】。

8)本 稿 の逐 語 訳 に お け る 「φ」 は,ゼ ロの助 詞 が あ る とい う こ とを表 して い るの では な く,

  た ん に,名 詞 が 格 助 詞 を 持 た な い絶 対 格 形 式 で あ る こ とを 表 して い る。

(6)

高 橋   現 代 チ ベ ッ ト語V'お け る動 詞 の 分類

な い もの も対 比 的 に示 す こ とに な る。 した が っ て,他 動 詞 と 自動 詞 の 一 部 をGIS格 助詞 の 分布 に基 づ い て分 類 す る も ので あ って,動 詞 全般 に 及 ぶ もの で は な い。

  DeLanceyは,能 格 の 分 裂 に つ い て 。  empathy hierarchyな どの 名詞 の意 味 的 な階 層 性 を 用 い て分 析 して い る。 筆 者 は,Delanceyの 分 類 を 否 定 す る もの で は な いが,形 式 的 な面 か らの記 述 が不 十 分 で あ る と こ ろか ら,意 味 的 ・談話 的 な要 因 を参 考 程 度 に と どめ,GIS格 助 詞 の分 布 に よ って 動 詞 を 分 類 しよ うと思 う。 た だ,本 稿 は,動 詞 そ の もの に 分裂 現 象 の全 面 的 な原 因 を 求 め る も ので は な く,分 裂 とい う現 象 を用 い て動 詞 を 分 類 した場 合,分 類 され た動 詞 が,そ れ ぞ れ どの よ うな特 徴 を持 つ か を見 てみ よ

うとい う もの で あ る。

  第1章 で は,意 志 的 な動 作 を 表 す 他 動 詞 の 行 為 者 がGIS格 助 詞 を取 らな い 例 を あ げ る。 第2章 で は,自 動 詞 の主 語 がGIS格 助 詞 を 取 りうる例 と取 りえ な い例 を 見 る。

第3章 で は,無 意 志 的 な動 作 ・状 態 を 表 す 動 詞 と,意 味 的形 態 的 に こ対 応 す る相 対 自動 詞 と相 対 他 動 詞 と につ い て,そ れ ぞれGIS格 助 詞 の 分 布 を観 察 す る。 本 稿 で は,基 本 的 に1項 動 詞 を 自動 詞,2項 動 詞 の 内,行 為 者 ・経 験 者 がGIS格 助 詞 を取 る も の を 他 動 詞 と して い る。 文 語 チ ベ ッ ト語 は か な りは っ き りと能 格 的 で あ るた め,1項 動 詞 を 自動 詞,2項 以 上 を取 って 行 為 者 をGIS格 とす る動 詞 を 他 動 詞 と言 え るが,現 代 チ ベ ッ ト語 で は,分 裂 現 象 のた め,そ の 区 別 が構 造 的 に 明 らか とは言xな い。

  本 稿 の 例文 に お い て,̀*'は,そ れ が 付 加 され た文 は不 適 格 で あ る こ とを表 し,̀?' が 付 加 され た文 は,不 適 格 で は な い も の の適 格 性 が 低 下 して い る こ とを表 す 。 また,

̀/'は ,文 末 で は 文 の区 切 りを表 す が,文 中 に用 い られ て い る場 合 は そ の 前 後 に あ る語 句 が 交 替 す る こ とを表 す 。 た だ し,前 後 の 語 句 の ど ち らか に̀*'が 付 加 され て い る場 合 は,付 加 され て い な い語 句 を用 いた 例 が 適 格 な文 に な るの に対 し,付 加 され た 語 句 を 用 い た 例 は不 適 格 な文 に な る こ とを 表 す 。

1.絶 対 格 の 行為 者 を取 り うる他 動 詞:意 志 的 他 動詞

本 章 で は,行 為 者 名 詞 が絶 対 格 化 し うる他 動 詞 を 観 察 す る。 こ こで あ げ られ る動 詞

9)本 稿 に お い て,動 詞 の 「(有)意 志 性 」 と 呼 ん で い る の は,volitionalityの 訳 で あ る 。 北 村   ・長 野 【1989:7821は 厂意 欲 性 」 と して い る 。volitionaiityは,  Hopper  and  Thompson[1980:

  252】 に よ れ ぽ,"The  effect on the patient is typically more  apparent  when  the A(gent)is   presented  as acting purposefully;"(括 弧 内 引 用 者 註)と い う こ と で あ る が,本 稿 で は,自 動   詞 に つ い て もvolitionalityを 考 え る の で,意 図 的 な 行 為 を 表 す 動 詞 を 意 志 動 詞,意 図 的 で は   な い 状 態 ・過 程 を 表 す 動 詞 を 無 意 志 動 詞 と 呼 ぶ こ と に す る 。 意 志 動 詞 は,行 為 者 に よ っ て 制   御 可 能 で あ る 動 作 を 表 し,無 意 志 動 詞 は,制 御 不 可 能 で あ る 動 作 ・状 態 を 表 す 。 こ の 対 立 は/

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の特 徴 は,意 志 的 な動 作 を表 して い る 点 に あ る9)0 1.1.動 作 動 詞 の 絶 対 格 行 為 者

  長 野 【1987bなど亅で は,動 作 動 詞 のす べ てが 行 為 者 と してGIS格 名詞 を取 る と し, 能 格 の分 裂 は人 称 や ア スペ ク トに 依 ら な い と して い る10)0し か し,他 動 詞 の 内,行 為 者 名 詞 が 絶 対 格 で 現 れ る もの が あ る。 特 に,1人 称 の代 名 詞 が 未 完 了 の動 詞 の行 為 者

を表 す と き顕 著 で あ る。

(2) a.  nga  kha lag za     gi  yinf         私 一 φ 食 べ 物 食 べ るAV         ・私 は 食 べ 物 を 食 べ る

b.  ngas    kha  lag  za gi yin/

私 一GIS食 べ 物 食 べ るAV

・私 が 食 べ 物 を 食 べ る

(2a)の よ うに絶 対 格 の 行 為 者 名 詞 が現 れ る こ とが 無 標 で あ って, bの よ うにGIS格 の行 為 者 名 詞 が 現 れ る と,対 比 や 行為 者 の強 調 を表 す とい う点 で 有 標 とな る。

 完 了文 では,普 通,行 為 老 名詞 は絶 対 格 に な ら な い。 次 の 諸 例 のaは,動 詞 が 完 了 で あ り,絶 対 格 の 行 為 者 を 容認 しな い。

(3)  a.  ngas/*nga    stag  gcig  bsad     pa  yin/

        私 一GIS/私 一 φ 虎 一 つ 殺 し たAV     ・私 は 虎 を 殺 した

b.  ngas/nga    stag gcig  gsod  kyi yin/il>

    私 一GIS/私 一 φ 虎   一 つ 殺 すAV     ・私 は 虎 を 殺 す

\ 動 詞 自体 の形 態 か ら判 断 され る もの で は な い。 意 志 動 詞 が無 意 志 的 な状 態 変 化 を表 す こ とは   よ く見 られ る。 まれ に は,無 意 志 動 詞 が意 志 的 な行 為 を表 す こ と もあ る。 星   ...:168】 は,   助 動 詞 との基 本 的 な結 合 の仕 方 に よ って,意 志 動 詞 ・無 意 志 動 詞 の対 立 を 認 め て い る。 本 稿   で は,「(無)意 志 的 な 用 法」 「(無)意 志 的 な 自動 詞 ・他動 詞 」 とい った瞹 昧 な 用 語 を 用 い る   が,そ れ ぞれ の動 詞 の 基 本 的 な 用 法 を 言 って い る もの と解 釈 され た い 。

10)  「チ ベ ッ ト語 の 能 格 助 辞 の 生 起 は,近 称 遠 称 の 別 及 び ア ス ペ ク トに こは 無 関 係 で あ っ て,   splitは 専 ら動 詞 の 意味 に よっ て条 件 づ け られ る」 【 長 野  1986:127】。

11)た だ し,こ の 例 で,行 為 者 名 詞 が絶 対 格 の場 合,適 格 性 が若 干 低 下 す る よ うで あ る。 この

  類 に含 まれ る と考 え られ る動 詞 の 中 に ご,も う少 しは っき り と行 為 者 名 詞 が絶 対 格 に な る こ と

  を嫌 う動 詞 が あ る。 そ の よ うな動 詞 が表 す 動 作 は,日 常 的 に行 わ れ て い な い もの で あ る よ う

  に思 われ る。 行 為 者 名 詞 が 必 ずGIS格 で 出 現す る の で あれ ば,こ の 種 の 動 詞 を 第3章 で 見 る

  動 詞 と区 別 す る根拠 が 弱 くな る よ うV'思 わ れ るが,実 際 に は,第3章 で見 る動 詞 とは,助 動

  詞 に よ って 区別 され うる もの で あ る。

(8)

高橋   現代 チベ ッ ト語におけ る動詞の分類

  (4) a.  ngas/*nga   dbyin ji'i  skad  slob sbyong  byas  pa yin/

         私 一GIS/私 一 φ 英 語       勉 強        VBL  AV       ・私 は 英 語 を 勉 強 した

      b.  ngas/nga    dbyin ji'i  skad  slob sbyong  byed  kyi yod/

         私 一GIS/私 一 φ 英 語       勉 強        VBL  AV       ・私 は 英 語 を 勉 強 して い る

  (5)a.ngas/*nga  zhal lta  ma  gcig btsal  pa yin/

         私 一GIS/私 一 φ 女 中       一   探 し たAV       ・私 は 女 中 を 一 人 探 した

      b.ngas/nga    zhal lta  ma  gcig'tshol  gyi yin/

         私 一GIS/私 一 φ 女 中       一   探 す   AV       ・私 は 女 中 を 一 人 探 す

し か し,各 例 のbで は,未 完 了 で 絶 対 格 の 行 為 者 を 容 認 し て お り,実 際 に はGIS格 の 行 為 者 名 詞 を 用 い る よ りも 無 標 で あ る 。

  3人 称 の 行 為 者 に つ い て は,1人 称 ほ ど で は な い が,絶 対 格 に な る こ とが あ る 。 む ろ ん,次 の よ う な 例 に お い て,GIS格 行 為 者 を 取 る こ と も容 認 さ れ る 。

  (6)sgrol  ma/sgrol  mas      kha lag za     gi  red/

      〈 人 名 〉 一 φ/〈 人 名 〉‑GIS食 事    食 べ るAV       ・ ドル マ が 食 事 を す る

  (7)skabs  der      bu mo  de    snam  bu,thag  gi  yod  pas...    ro sgrung12)9      時     そ れ 一LA女 性   そ れ 一 φ 織 物     織 るAV  NML‑GIS

      ・そ の と き そ の 女 性 は 織 物 を 織 っ て い た の で …

  (8) a.  ma  byan  gyis/*φ  kha lag bzos    pa red/

      コ ッ ク   GIS/φ   食 事   作 っ たAV       ・コ ッ クが 食 事 を 作 っ た

      b.ma  byan  gyis/?φkha  lag bzo  gi  red/

      コ ッ ク  GIS/φ   食 事    作 るAV       ・ コ ッ ク が 食 事 を 作 る

12)  資 料 『尸 語 故 事(蔵 文)』 を示 す。

      349

(9)

(8a)で 見 られ る よ うに,1人 称 の行 為 者 の場 合 と同 様,完 了文 で は絶 対 格 の行 為 者 名 詞 は 許 され な い。 しか し,(8b)の よ うに未 完 了 の場 合,絶 対 格 の 行 為 者 は,容 認 度 は 下 が るけ れ ど も,不 適 格 に な るわ け では ない 。

  次 の(9)は,感 覚 を 表 す 動 詞 の例 で あ る。 「見 る」 「聞 く」 の よ うな 感 覚 を 表 す 動 詞 で は,行 為 者 はGIS格 助 詞 を取 る のが 普 通 で あ る。 しか し,次 の 例 の よ うに 絶 対 格 で 表 す こ と もで き る。

(9) a.  nga/?ngas    deb  'di  la  lta  gi  yin/

      私 一 φ/私 一GIS本   こ れLA見 るAV         ・私 は こ の 本 を 見 る

  b.  nga/ngas     deb  'di  lta  gi  yin/

      私 一 φ/私 一GIS本   こ れ 見 るAV         ・私 は こ の 本 を 読 む

lta「見 る」 は,実 際 に は 「目を 向 け る」 とい う よ うな 動 作 を 表 す もの で あ る。 そ の 場 合,視 線 の方 向を 表 す た め に は,(9a)の よ うに そ の 対 象ỲLA格 助 詞 を付 加 す る。

bは,1taが 「 読 む(黙 読 す る)」 とい う意 味 を 持 ち,こ の 場 合 は, deb'di「 この 本 」 が 絶 対 格 で表 され る。(9a)で は, GIS格 形 を用 い た文 の適 格 度 が 若 干 低 下 す るが, 行為 者 をGIS格 に よ って も絶 対 格 に よ って も表 す こ とが で き る。

  以 上 の こ とか ら,3人 称 の行 為 者 に お い て はGIS格 に な る方 が 自然 で あ る よ うに 思 わ れ るが,絶 対 格 で あ って も許 容 され る こ とが あ る。1人 称 の 行 為 者 はGIS格 に な る とか え っ て有 標 で あ り,絶 対 格 で 現れ る こ とを好 む 場 合 が あ る。 本 節 で 見 た よ う に,行 為 者 名 詞 がGIS格 で あ るか 絶 対 格 で あ るか とい う分 裂 現 象 の 直接 の き っか け は,動 詞 が 完 了 か 未 完 了 か とい うこ とに 関わ って い る。 しか し,こ こで 見 た動 詞 は,

この よ うな分 裂 を 許 す 動 詞 で あ る。許 さな い動 詞 につ いて は,第3章 で観 察 す る。

1.2.談 話 的 な 要 因 に よ るGIS格 助 詞 の 出 現

  本 稿 は,動 詞 が本 来 的 にGIS格 行 為 者 を要 求 す るか ど うか に よっ て動 詞 を 分 類 し よ うとす る も の で あ るが,談 話 的 に 要 求 され た り,さ れ なか った りす るGIS格 助 詞 が あ る こ とも示 して お く。 特 に,談 話 的 な要 因 に よ ってGIS格 助 詞 が 現 れ る場 合 は, む しろそ れ が 有 標 で あ る と考 え られ,GIS格 助 詞 が 現 れ な い こ とが無 標 で あ る場 合 を 予 想 させ るか らで あ る。

  (10)〜(11)は,複 数 の 行為 者 が い て,そ の うちの 一 人 だ け が行 為 者 と して表 に 出

(10)

高橋  現代 チベ ッ ト語におけ る動詞の分類

て い る 場 合 で あ る。

  (10) a. rgyal pos zas   brngos  pa'i  rdzag rdzog thu ba gang   khyer  yong  nas       王 ・GIS  食 べ 物 炒 め たNML・GI      懐     一 杯 に 運 ん だ 来 るNAS       mo  la  byin/  khong  rang  yang  bzas/               ro sgrung  14       彼 女LA与 え た 彼     自 身 一 φ も  食 べ た

      ・王 は 炒 め た 食 べ 物 を 懐 い っぱ い に 運 ん で き て,彼 女 に 与 え,彼 自身 も 食       べ た       '

      b.  khong  rang  gis  yang  bzas/

      彼 自 身GISも 食 べ た           ・彼 自身 も食 べ た

  (11) a.  nga  tsho'i  nang  nas  bkra shis kyis kha lag bzas    song/

      私   PL‑GI家    NAS<人 名>GIS食 事    食 べ たAV           ・私 た ち の 家 で タ シ が 食 事 を した

      b.  nga  tsho'i  nang  nas  bkra shis   yang  kha lag bzas    song/

      私   PL‑GI家    NAS〈 人 名 〉 ・ φ も  食 事    食 べ たAV       ・私 た ち の 家 で タ シ も 食 事 を した

(10a)は,  bの よ うにGIS格 助 詞 が あ る 方 が 良 い が, yang  rも 」 に よ っ て 絶 対 格 が 容 認 され る 。(11a)は 「タ シ だ け が,食 事 を し た 」 と い う こ と で あ り, bは 「タ シ 以 外 の 人 も 食 事 を し た 」 と い う ニ ュ ア ン ス を 持 つ 。yang  rも 」 に よ っ て, GIS格 助 詞 を 省 略 す る こ と が 許 され る。(10)(11)は 談 話 的 にGIS格 助 詞 が 省 略 で き る 例 で あ

る 。

  行 為 者 に 対 比 が あ る 時 に は,GIS格 助 詞 が 用 い ら れ る 。 対 比 と い う談 話 的 に 特 別 な 意 味 を 表 す た め にGIS格 の 行 為 者 名 詞 が 用 い ら れ る と い う点 で, GIS格 助 詞 の 使 用 が 有 標 と な る 例 で あ る と 言 え る 。

  (12} ngas    kyang  dmigs  pa  dang    sgrub p'a  rim la bya'o/

      私 ・GISも     瞑 想     DANG三 昧     順 次   す る

      khyed  kyis yang  zhe rus rim la skyed  cig/      ro sgrung  5       お まxGISも   勇 気    順 次   生 む   IMP

      ・私 も瞑 想 と三 昧 を 順 次 行 う。 お ま え も 勇 気 を 順 次 起 こせ 。

351

(11)

(13)  ngad  kyis  sgor    thub  tshad  bya'o/

    私GIS戸 一LAで き る限 り す る       ・私 が で き る 限 り戸 に 何 と か す る

ro  sgrung  21

(12)も(13)も,文 脈 上 「私 」 と 「お ま え」 に 行 為 の対 比 が あ る。(13)は,「 私 が 何 とか して い る間 に,お まえ は逃 げ ろ」 とい うこ とで あ る。

  語 順 を変 更 してOSVと した場 合,行 為 者 名 詞 に 対 してGIS格 助 詞 が 使 わ れ る。

使 わ れ な い場 合,発 音 が 若 干 変 化 す る13)。行 為 者 が 代 名 詞 で表 され る場 合,必 ず, GIS格 助 詞 を 取 る。

(14)  kha lag de    bkra shis (kyis) bzos    song/

    食 事    そ れ く 人 名 〉(GIS)作 っ たAV       ・そ の 食 事 は タ シ が 作 っ た

(15)  stag 'di  ngas    bsad     pa yin/

    虎 こ れ 私 一GIS殺 したAV       ・ こ の 虎 は 私 が 殺 した

例 え ぽ(14)で は,「 タ シ」 が 新 情 報 で あ って,そ の 場 合,GIS格 は,伝Yる べ き情 報 を担 って い る の で,省 略 され に く く,GIS格 助 詞 が 省 略 され て い る よ うに 見 え る場 合 も,意 識 の 上 で 存 在 す る た め,「 タ シ」 の発 音 が変 化 して い る と意 識 され る の だ と 思 わ れ るia)0

  本 節 で は,前 節 と同 じ類 の動 詞 の 行 為 者 名 詞 が,談 話 的 な 要 因 に よ っ てGIS格 助 詞 を 省 略 す る例 と,必 ずGIS格 助 詞 を取 る例 と を見 た 。 しか し,す で に 述 べ た よ う に,こ れ らは,談 話 的 な要 因 に よ る もの で あ って,こ こで述 べ た 類 の 動 詞 の 固 有 の特 質 で は な い。 む しろ,こ の よ うな 有標 の 例 か ら,GIS格 助 詞 が 現 れ な い 文 を よ り無標 13)  この点 に つ い て は,共 同研 究 会 に お い て,イ ン フ ォー マ ン トが 厂タ シ」 とい う名 前 の綴 り   bkra shisに 引 きず られ,語 末 の 一sをGIS格 助 詞 の異 形 態 と解 釈 して い るの で は な い か とい   う指 摘 を 受 け た 。 これ は,イ ン フ ォー マ ン トも認 め,例 え ば,「 ソナ ム」 とい う名 前 で も,   そ の綴 りbsod namsに よ って 同様 の こ とが 生 じる。 これ に対 し,語 末 に 一sを持 た な い 「ドヂ   ェ」rdo rjeは,'toceeと い うよ うに 語 末 を長 く して, GIS格 助 詞 が 付 加 され て い る こ とを 明   示 す る。 とこ ろが,ma  byan厂 コ ック」 で も,  GIS格 助 詞 な しで,強 勢 を も って 発 音 され る   の で,必 ず し も綴 りに 引 きず られ て い る とは言 え な い。 この よ うな 発 音 の 変 化 は,こ れ まで   報 告 され て こ なか った よ うに 思 わ れ る の で,今 後 調 査 が 必 要 で あ る。

14)高 橋[1992】 で は,OSV語 順 の時, SVの 関 係 が 密 接 化 し,  Sが 絶 対 格 に な るな らば, an‑

  tipassive的 で あ る と考 えて いた が,や は り,そ れ に は無 理 が あ る。 格 助 詞 が な い 時 に は 語順

  が 格 関 係 の指 標 とな る以上,語 順 が 変 更 され たOSVに お い てSが 絶 対 格 で 現 れ るの は不 自

  然 で あ る。 こ の語 順 は,日 本 語 の 「XハYガ 〜 ス ル」 に あ た る と考え る。

(12)

高橋   現 代チベ ッ ト語 におけ る動詞の分類

で あ る と考え て よい 。

1.3.ま と め

  本 章 で 見 た動 詞 は,談 話 的 な要 因 に よっ てGIS格 と絶 対 格 の どち らか が 好 まれ る こ とが あ る が,そ れ を 考 慮 に 入 れ な くて も,行 為 者 が 絶 対 格 で 表 され うる もの で あ る。

この よ うな動 詞 は,有 意 志 的 な動 作 ・行 為 を表 す動 詞 で あ り,長 野[1987b】 のa類 の 動 詞 の 一部 に あ た る。 これ には,過 程 の 意 味 が 含 まれ る こ とが あ る が,行 為 者 が 絶 対 格 であ る と きは,動 作 のみ を表 して い る と考 え られ る。 つ ま り,動 詞 が表 す 動 作 に伴 う被 動 者 の 状態 変化 が,表 面 的 には 表 現 され な い,ま た は,変 化 の結 果 を含 意 しな い とい うこ と であ る。

2.自 動 詞 の主 語:動 作 主 格,対 象主 格

  自動 詞 の主 語 は原 則 と して絶 対 格 で 表 され る。 しか し,自 動 詞 の 中に も,GIS格 名 詞 で 行 為者 を表 せ る も の と,絶 対 格 名 詞 しか 用 い られ な い もの が あ る。

  第1章 で 見 た よ うに,他 動 詞 に 対 して行 為 者 を 表 すGIS格 助 詞 が 現 れ な い こ とが あ る。 そ の 場 合,被 動 者 名 詞 も現 れ なけ れ ば,格 形 式 の 点 か ら他動 詞 と 自動 詞 との区 別 は つ か な い 。 さ らに,本 章 で見 る よ うに,自 動 詞 の主 語 がGIS格 助 詞 を 取 る場 合, 他 動 詞 構 文 で 被 動 者 名詞 が な い場 合 と同 じ構 造 に な る ので,動 詞 の 自他 を 区別 す る こ

とが で き な い。 しか し,こ れ は,自 動 詞 と他 動 詞 に 区別 が な い とい うこ とで は な い。

基 本 的 には,自 動 詞 は1項 動 詞 で あ り,必 須 項 が1つ に限 られ て い る。 本章 は,自 動 詞 の必 須 項 が,実 は 二 種 あ る こ とを 示 す。

2.1.GIS格 の 主 語 を 許 す 自 動 詞

  長 野 【1987b:246】 で は,「 チ ベ ッ ト語 の 場 合,『 行 く』 『来 る』 と い っ た 往 来 動 詞 に 限 っ て,‑kyis15)が 出 現 す る こ と が あ る 」 と し て い る が,行 為 者 をGIs格 で 表 せ る も の は 往 来 動 詞 に 限 ら な い 。

  ま ず,行 為 者 をGIS格 名 詞 で 表 す こ と の で き る 動 詞 を 見 る 。 こ の よ う な 動 詞 は, 意 志 的 な 動 作 を 表 す も の で あ る 。 特 に,完 了 文 の 行 為 者 は,GIS格 助 詞 を 取 る こ と が 不 自然 と は 言 え な い 。

15)‑kyisはGls格 助 詞 の 異 形 態 。 長 野 【1987blは,こ れ を 代 表 形 と し て い る 。

353

(13)

(16)  ngafngas     kyo'oto  la  bsdad   pa yinf     私 一 φ1私一GIs京 都    LA住 ん だAV       ・私 は 京 都 に 住 ん だ

(17) a.  bkra  shis (kyis) deb  nyo  ga     deb tshong  khang  la  phyin   song/

        〈人 名 〉(GIS)本   買 うCONJ本 屋       LA行 っ たAV          ・タ シ は 本 を 買 い に 本 屋 に 行 っ た

    b.  bkra  shis ¢/*kyis deb nyo  ga    deb tshong  khang  la   'gro  gi  red/

〈人 名 〉 φ/GIS  本 買 うCONJ本 屋

・タ シは本 を買 い に本 屋 に行 く

(18)  bkra shis kyis/φ sa,i   sgang  nas  langs   song/

    <人 名>GIS/φ 土 一GI上   NAS起 き るAV       ・タ シ は 地 面 か ら起 き あ が っ た

(19) bsod  nams  kyis/φ shing sdong  'og la  nyal  song/

    <人 名>GIS/φ 木     下LA寝 るAV       ・ソ ナ ム は 木 の 下 に 寝 た

LA行 くAV

動 詞 が 完 了 を表 して い る場 合,未 完 了 で あ る時 よ り他 動 性 が 高 い と され る16)が,自 動 詞 に つ い て見 れ ぽ,そ れ は,動 作 性 が 高 くな って い る と言 い換 え られ る よ うに 思 わ れ る。 も と も と動 作 性 の あ る 自動 詞 が 完 了 した 動 作 を表 す 時,そ の 行 為 者 名 詞 は GIS格 助 詞 を取 りや す い と言 え る17も

  「(他の 人 で は な く)私 が 〜 す る」 の よ うに,行 為 者 に 対 比 が あれ ぽ,未 完 了 で も GIS格 名 詞 に こな る こ とが あ る。(21)は,文 脈 上,特 に 他 の 行 為 者 と対 比 が あ る とい う もの で は な い が,「 そ の 少年 」 と 「 泣 く」 とい う行 為 の 結 び 付 きが 強調 され て い る。

(20) ngas    lha sar  'gro  gi  yin/

    私 一GISラ サ ーLA行 くAV

      ・(他 に 行 く人 が な け れ ぽ)私 が ラ サ へ 行 く

16)  cf. Hopper  and  Thompson[1980:252J  o

17)Chang&Chang【1980:22ff.]は,多 く の 例 を あ げ,̲̀with  intransitive  verbs  the ergative  is   used  to  signify  either  the  achievement  or  the  guarantee  of  an  act  directed  toward  a goal.'   【CHANG&CH梱G  1980:21]と 解 釈 し,̀goal‑directed  activity'【CHANG&CHANG  1980:19]

  と 呼 ん で い る 。

(14)

高橋   現代 チベ ッ ト語 におけ る動詞の分類

  (21)  bu   Chung  des      ngus  yong/

      少 年 小 さ い そ れ 一GIS泣 くAV       ・そ の 少 年 が 泣 く

ro  sgrung  17

上 の2例 は 有 標 で あ る と い う点 で,(16)〜(19)の 例 と は 異 な っ て お り,GIS格 助 詞 の 出 現 は 談 話 上 の 要 因 に 左 右 さ れ て い る と言 え る 。 しか し,(16)〜(21)の 例 に よ っ て,動 作 性 の あ る 自動 詞 の 主 語 名 詞 が,GIS格 助 詞 を 取 り うる こ と が 明 らか で あ る 。 こ の よ うなGIS格 助 詞 を 取 り う る 自 動 詞 の 主 語 を 「動 作 主 格 」 と呼 ぶ こ とY'す る 。

  2.2.GIS格 の 主 語 を 許 さ な い 自動 詞

  2.1節 の 動 詞 に 対 し,自 動 詞 の 中 で,主 語 名 詞 をGIS格 に で きな い も のは,以 下 に 見 る よ うに,主 語 名詞 の状 態 や 状 態 変 化(過 程)を 表 す もの で あ る。 状 態 変 化 とは, あ る状 態 の 主 体 が 別 の 状 態 に 変 化 す る こ とを表 す とい うこ とで あ る18)0例 えぽ,(22) は 生 か ら死 へ の変 化 を表 す 。 こ こ で扱 う自動 詞 は,そ の よ うな状 態 変 化 を引 き起 こす 行 為 者 を取 る こ とは な く,変 化 主 体 のみ を 項 と して 取 る動 詞 で あ る。

  (22)(24)は 主 体 の 状 態 変 化 を 表 し,(23)は 状 態 を表 して い る。

(22) nga/*ngas    shi  gi  red/

    私 ・ φ/私 一GIS死 ぬAV      ・私 は 死 ぬ19)

(23) nga/*ngas    na        gi  red/

    私 一 φ/私 一GIS病 気 で あ るAV       ・私 は 病 気 に な る

(24) nga/*ngas    chain pa  brgyab  song/

    私 一 φ/私 一GIS風 邪     VBL  AV       ・私 は 風 邪 を ひ い た

18)  cf.チ ェ イ フ[1974:100‑104】 。 19)  星 【1988:195]壱 よ,

        (nl)  ngas    shi   gi  yin/

      私 一GIS死 ぬ   AV         ・私 が 死 ん で や る

  と 言 う こ と が で き る と す る が,こ の よ うな 用 法 は 語 用 論 的 な 要 因 が 強 す ぎ,一 般 的 に は 許 さ   れ な い の で,こ こ で は 考 察 の 対 象 と し な い 。

355

(15)

以 上 の よ うな 自動 詞 に お い て,主 語 は 必 ず 絶 対 格 で あ り,GIS格 助 詞 を 取 らな い。 ま た,談 話 的 な要 因 に よ って も,GIS格 名 詞 とな らな い。 これ は,他 動 詞 に対 す る被 動 者 の 格 形 式 と 同 じで あ る。 した が って,こ の 種 の 主 語 を 持 つ 自動 詞 を2.1節 で見 た 自 動 詞 と区別 して,別 の類 を 立 て る こ とが で きる と考 え られ る。

  この よ うな動 詞 の 中で も,感 情 を 表 す動 詞 に お い て は,行 為 性 を 高 め る こ とに よ っ て行 為 者 名 詞 がGIS格 助 詞 を取 る こ とが あ る20)0

{25)a.bsod  nams  bde skyid  la  dga'po'dugj         〈 人 名 〉 一 φ<人 名>LA好 き だAV          ・ ソ ナ ム は デ キ ー が 好 き だ

    b.bsod  nams  kyis bde skyid la  dga'po  byed  kyi'dug/

        <人 名>  GIS〈 人 名>LA好 き だVBL  AV          ・ ソ ナ ム は デ キ ー に 好 意 を 示 し て い る

{26) a.  nga/?ngas   bde skyid  la  dga'po  byed  kyi  yin/

        私 一 φ/私一GIS<人 名>LA好 き だVBL  AV          ・私 は デ キ ーY'好 意 を 示 す

    b.  nga/ngas    bde skyid  la  dga'po  byed  kyi yod/

        私 一 φ/私一GIS<人 名>LA好 き だVBL  AV          ・私 は デ キ ー に 好 意 を 示 し て い る

(26a)で は,行 為 者 がGIS格 助 詞 を 取 る と適 格 性 が 低 下 す る の に 対 し, bで は, GIS格 助 詞 を 取 る こ と を 容 認 す る 。 こ れ は, bで は,実 際 の 行 為 内 容 を 意 識 して い る か ら で は な い か と考 え られ る 。

  (25a, b)に お け る よ う な 構 文 の 違 い は,動 詞 化 詞byedを 使 用 した こ と に よ る も の で あ っ て,dga'po「 好 き だ 」 自体 をGIS格 名 詞 を 取 る 動 詞 で あ る よ うに 分 類 す る

こ と は で き な い 。

  本 節 で 見 た よ う な,絶 対 格 で しか 現 れ な い 自動 詞 の 主 語 を 「対 象 主 格 」21)と呼 ぶ 。

20)感 情 を表 す 動 詞 が 絶 対 自動 詞 で あ る と言 え るか ど うか に は,感 情 の対 象 を取 る と い う点 で   疑 問 が残 る。LA格 助 詞 は,動 作 の 及 ぶ 方 向 や 物 の移 動 の到 達 点 を表 す助 詞 で あ り,授 受 動   詞 で は与 格 を表 す も ので あ って,対 格助 詞objectiveで は な い。 感 情 の 主体 を絶 対 格 で,感   情 の 対 象 をLA格 で 表 す 構 文 を チ ベ ッ ト語 の 他 動 詞 構 文 の 特 殊 な 場 合(例 え ば, an‑

  tiergative)と 見 る こ とが 可 能 か も しれ な いが,現 時 点 で,筆 者 は この 見 方 を 採 ら な い 。  LA   格 助 詞 の用 法 に つ い て は,高 橋 【1989】 を 参 照 され た い 。

21)上 の 「動 作 主 格 」 と と もに 田 窪[1987:381の 用語 で あ る。

(16)

高橋   現代 チベ ット語におけ る動詞の分類

2.3.  ま と め

  自動 詞 の主 語 がGIS格 助 詞 を取 る こ とが 可 能 な 場 合 は,以 下 の 条 件 に よる。

 ① 動 詞 が 意 志 的 な 行 為 を表 して い る こ と

  (1人 称 では,gi yin系 の 助 動 詞 を 用 い る こ とが で きる22))  ②a)完 了 文 で あ る こ と

    b)た だ し,未 完 了 で あ っ て も,主 語 に 対 比 や 意 志 の 強調 が あ る場 合

  上 に 述 べ た よ うにGIS格 助 詞 を取 りうる 自動 詞 の主 語 を動 作 主 格,絶 対 格 で しか 現 れ な い主 語 を対 象 主 格 と呼 ぶ こ とが で き る と思 わ れ る。 本来 絶 対 格 形 で現 れ て い た 自動 詞 の 主語 が,動 詞 の表 す 動 作 性 に よ って 二 つ に 分 裂 して い る。 これ に よ っ て,動 詞 自体 に,た ん に 自動 詞 と して一 つ に ま とめ られ な い 二 つ の類 が あ る と考 え て よい。

この2種 の 自動 詞 は別 々 の文 構 造 を 要 求 す る と考え..ら れ るが,そ れ ぞれ の 自動 詞 が 要 求 す る二 つ の主 格 が,田 窪 【1987】が論 じて い る 日本 語 と同様 に,統 語 上 異 な った階 層 に属 して い るか ど うか を考 察 す る こ とは,今 後 の課 題 と した い 。

3.行 為者(ま た は経 験者)名 詞 が必 ずGIS格 助詞 を取 る動 詞

 本章 で 見 る動 詞 は,必 須 項 と して 行 為者 名詞 ・経 験 者 名 詞 を取 る もの であ るが,と もにGIS格 助 詞 を 取 って 出 現 す る。 第1章 で 見 た動 詞 は,行 為 者 が 絶 対 格 で 現 れ る こ とが あ りうる動 詞 で あ った が,こ こで 見 る動 詞 は,行 為者 ・経 験 者 が絶 対 格 で現 れ るた め に 談 話 的 な要 因 が必 要 で あ る。

3.1.無 意 志 的 他 動 詞

  無 意 志 的 な 他動 詞 は,知 覚 を表 す もの と無 意 志 的 な動 作 ・行 為 を表 す もの が あ る。

と もに,次 節 で見 る相 対 動 詞 と異 な り,対 応 す る 自動 詞 が な い と い う点 で 絶 対 他 動 詞23)と 言 え る。

  知 覚動 詞 は,知 覚 の主 体 が行 為 者 で は な く経 験 者 で あ り,そ れ がGIS格 で 現 れ る。

ま た,知 覚 の対 象 は 絶 対 格 で あ る。

22)  cf.  Chang&Chang(1980:17]0

23)第1章,第2章 で見 た 動 詞 は,意 味 的 形 態 的 に対 応 す る よ うな 自動 詞 ・他 動 詞 を 持 た な い 。   そ れ に 対 し,本 章 の 次節 で 見 る動 詞 は,自 動 詞 と他動 詞 が 意 味 的形 態 的 に 対 応 して い る。 寺   村[1982:305Jは,前 者 を 絶 対 他 動 詞,絶 対 自動 詞 と し,後 者 を相 対 他 動 詞,相 対 自動 詞 と し   て 区別 して い る。

357

(17)

(27) ngas/*nga    sgrung  de    shes  kyi yod/

    私 一GIS/私 一 φ 物 語   そ れ 知 るAV     ・私 は そ の 物 語 を 知 っ て い る

(28) ngas/*nga    sgrung  de   brjed   kyi red/

    私 一GIS/私 一 φ 物 語   そ れ 忘 れ るAV     ・私 は そ の 物 語 を 忘 れ る

(29)am  chis  sman  de  shes  kyi yod pa red/

    医 師 一GIS薬    そ れ 知 るAV     ・医 師 は そ の 薬 を 知 っ て い る

(30)sngags  pa  rnams  kyis/*φtshor    te     呪 術 者    PL  GIS/φ   気 が つ くCONJ     ・呪 術 者 た ち は 気 が つ い て

(31)khyed  rang  gis  dran gso ma  byas  na     あ な た     GIS想 起     NEG  VBL  CONJ     ngas/*nga   'dzin grwa'i  nang  la     私 一GIS/私 一 φ 教 室 一GI    中    LA財 布

       sba  khug lus    kyi  red/

      忘 れ るAV

・あ なた が 思 い 出 させ な けれ ぽ私 は教 室 に財 布 を 忘 れ る

ro  sgrung  21

第1章 で見 た動 詞 では,文 脈 に 関 わ りな く,未 完 了に お い て そ の 行 為者 が絶 対 格 に な る こ とが容 認 され た が,知 覚動 詞 で は 必 ずGIS格 助 詞 を取 る。 無 意 志 的 な動 詞 に は, 1人 称 の経 験 者 に 対 してgi yin系 の助 動 詞 が 用 い られ な い。3人 称 のgi red系 の助 動 詞 が用 い られ るわ け であ るが,そ れ は,こ こで観 察 して い る動 詞 が知 覚 の対 象 を主 語 と し,GIS格 名 詞 を 道 具 的 な 項 とす る 自動 詞 で あ る こ とを 示 す もの で は な い。 行 為 ・ 状 態 に対 す る1人 称 に よ る制 御 が 不 可 能 で あ る こ とを 表 して い るだ け で あ る。 知 覚 動 詞 で は,現 在 の状 態 に つ い て 述 べ る場 合,gi yod系 の助 動 詞 が 用 い られ る こ とか ら, 助 動 詞 の選 択 に お い て経 験 者 名 詞(GIS格)が 関与 してい る こ とは 間違 い な い。 助 動 詞 の 選 択 条 件 を確 定 す る こ とは 困 難 で あ るが,選 択 に 関 与 す るGIS格 名 詞 を 必 須 項

と考 え る な ら,知 覚 動 詞 が 自動 詞 とは 言 え な い24)0

  次 の例 か らは,知 覚 動 詞 に お い て,動 詞 の完 了性 に関 わ らず,知 覚 ・感 覚 の主 体 が

GIS格 名 詞 で現 れ る こ とが わ か る。

(18)

高橋  現代チベ ッ ト語におけ る動詞の分類

(32)sngags  pa rnams  kyis/*¢bu  mo  tshor    pa red/

    呪 術 者    PL   GIS/φ   女 性   気 が つ くAV       ・呪 術 者 た ち は 女 性 に 気 が つ い た

(33)a.tshong  pa des/*de         du ba  mang  po  mthong  bzhag/

        商 人       そ れ 一GIS/そ れ 一 φ 煙     多 い     見 え る  AV       ・そ の 商 人 は 煙 を た く さ ん 見 た

    b.tshong  pa des/*de         du ba  mang  po  mthong  gi  red/

        商 人      そ れ 一GIS/そ れ 一φ 煙     多 い     見 え る   AV       ・そ の 商 人 は 煙 を た く さ ん 見 る

「見 る/見 え る 」 「聞 く/聞 こ え る 」 な ど の 感 覚 を 表 す 動 詞 は,感 覚 の 主 体 で あ る経 験 者 名 詞 がGIS格 助 詞 を 取 る 。 た だ し,1.1節 の 例(9)で 見 た よ うに こ 「見 る 」 「聞 く」

は 意 志 動 詞 で あ っ て,本 章 の 対 象 とな ら な い 。 「見 る 」 「聞 く」 と は 異 な り,「 見 え る」

「聞 こ え る」 の 場 合,見 よ う と して 見 る の で は な く,無 意 識 的 に 目 に は い る と い う こ と を 表 し て い る 。 す な わ ち,mthong  r見 え る 」 は 動 作 を 表 す も の で は な い 。  lta r見 る 」 が 動 作 を 表 す こ と が で き る の に 対 し,mthongは 感 覚 の み を 表 し て お り,こ の よ

う な 動 詞 で は,経 験 者 名 詞 は 必 ずGIS格 助 詞 を 取 る 。

   (34)は,後 続 す る 文 でGIS格 助 詞 が 省 略 さ れ る 例 で あ る 。  aで は,「 そ れ と タ シ を 知 っ て い る 」 と い う解 釈 よ り,「 タ シ も そ れ を 知 っ て い る 」 と 解 釈 す る 方 が 自 然 な の で,GIS格 助 詞 は 不 要 で あ る 。  bで は,二 つ の 解 釈 が 可 能 で あ る が,② の 解 釈 を 取

る場 合 は,bkra  shis「 タ シ 」 も経 験 者 と な る か らGIS格 助 詞 を 取 っ た 方 が 良 い 。

  (34)a.bsod  nams  kyis de  shes  kyi'dug/bkra  shis  yang  shes  kyi'dug/

          <人 名>  GISそ れ 知 るAV      〈 人 名 〉 一 φ も  知 るAV       ・ソ ナ ム は そ れ を 知 っ て い る 。 タ シ も知 っ て い る 。

      b.  bsod  nams  kyis khong  shes kyi'dug/  bkra shis  yang  shes kyi'dug/

       <人 名>  GIS彼     知 るAV      〈人 名 〉一 φ も  知 るAV       ・ソ ナ ム は 彼 を 知 っ て い る 。 タ シ も 知 っ て い る。

        ① ソ ナ ム は,彼 と タ シ を 知 っ て い る         ② 彼 を,ソ ナ ム と タ シ が 知 っ て い る

24)Chang&Chang【1980:29】 は, mthong「 見 え る」 やgo「 聞 こえ る」 を制 御 不 可 能 な 自動 詞    と同様 に扱 っ て い る。 しか し,そ の場 合,GIS格 助 詞 に 関 す る説 明は 容 易 に な るが,完 了 文   の時,1人 称 の 経 験 者 がGIS格 助 詞 を取 る に も関 わ らず,助 動 詞 と してbyungを 取 る こ と   につ いて の説 明 は で きな い 。mthongやgoの 特 異 性 は,こ の 点 に あ る。

359

(19)

(34)に 見 ら れ る よ うに,知 覚 動 詞 に つ い て もGIS格 助 詞 を 省 略 す る こ と が あ る 。 し か し,第1章 で 見 た 動 詞 との 違 い は,後 者 が,文 脈 上 の 条 件 が な くて も 省 略 し う る の に 対 し て,前 者 の 知 覚 動 詞 で は,そ の よ うな 条 件 が な け れ ぽ 省 略 しに くい 点 に あ る 。   無 意 志 的 な 他 動 詞 も,行 為 者 を 絶 対 格 に す る こ と は な い25)。

  (35} ngas/*nga    bod skad     shod stangs  nor    pa       私 一GIS/私 一 φ チ ベ ッ ト語 話 し方      間 違 うNML

      de  tsho nor bus    yo bsrang  byed  kyi  red/        『読 本 』26)p.185       そ れPL  〈 人 名 〉‑GIS訂 正      VBL  AV

        ・私 が チ ベ ッ ト語 の 話 し方 を 間 違 っ た ら,ノ ル ブ が そ れ ら を 訂 正 す る

  (36}  khong  gis  rgya skad  shod  stangs  nor    pa       彼     GIS中 国 語    話 し方      間 違 うNML

      de  tsho ngas  lam sang  yo bsrang  byed  kyi yod/      『読 本 』p.185       そ れPL  私 一GISす ぐ に   訂 正      VBL  AV

        ・彼 が 中 国 語 の 話 し方 を 間 違 え た ら,す ぐ に 私 が そ れ ら を 訂 正 す る

  (37) ngas/*nga    khyed  rang  gi  sba khug  brlag   gi  red/

      私 一GIS/私 一 φ あ な た     GI財 布      な くすAV

        ・私 は(あ な た の 財 布 を 持 っ て い た ら)あ な た の 財 布 を な くす だ ろ う

(37)は,「 私 は,う っ か り と あ な た の 財 布 を な く し て し ま う だ ろ う」 と い う意 味 で あ る 。

  無 意 志 的 な 用 法 で の 絶 対 他 動 詞 に は,意 志 性 をGIS格 助 詞 の 出 現 に 結 び 付 け る 要 因 が も と も と 欠 け て い る か ら,GIS格 が 意 志 性 と 関 連 し て い る と は 言 い 難 い 。

  3.2.相 対 動 詞

  相 対 動 詞 と は,形 態 的 意 味 的 に 対 応 す る 他 動 詞 と 自動 詞 の こ と で あ る2窺 例 え ば,

25)'byor「 受 け る」 の よ うに 経 験 の主 体 が受 け手 で あ る場 合, GIS格 で は な く  LA格 を取 る   こ とが あ るが,本 稿 で は考 察 の対 象 と し ない 。

        (nl) bkra shis la    yi  ge  'byor  pa red/

       <人 名>  LA手 紙   受 け る  AVI       ・タ シは手 紙 を 受 け 取 った 26)資 料 『拉 薩 口語 読 本 』 を 示 す 。

27)金 鵬 【1958]では 「自動:使 動 」 とい う対立 を持 つ 動 詞 と して 記 述 され て い る。 本稿 では,

  この よ うな対 立 が な い動 詞 を 絶 対動 詞 と呼 ん で い る の で,「 相 対 動 詞 」 とい う用 語 を用 い る。

(20)

高橋  現代チベ ッ ト語における動詞 の分類

'khor r回 る」 とskor  r回 す 」 の よ うな動 詞 で あ り

,日 本 語 で も同 様 の対 応 を な して い る こ とが 多 い。 相 対 自動 詞 の 主語 は,対 応 す る相 対 他 動 詞 の 被 動 者 に あ た り,動 詞 が表 す 過 程(状 態 変 化)の 変 化 主 体 で あ る。 相 対 他 動 詞 の行 為 者 は,そ の 変 化 を 引 き       「

起 こす 主 体 で あ る。

  相対 自動 詞 では,無 意 志 的 な動 作 を表 す 他 動 詞 的 な用 法 が あ る。 この場 合,行 為 者 名詞 は必 ずGIS格 助 詞 を 取 る。

(38) ngas    shog bu  'di  ral    song/

    私GIS紙       こ れ 破 れ るAV      ・私 が こ の 紙 を 破 っ て し ま っ た

(39} ngas    deb  ral    song/

    私 一GIS本   破 れ るAV      ・私 は 本 を 破 っ て し ま っ た

(40) ngas    sgo bye  bzhag/

    私 一GIS戸   開 くAV       ・私 は 戸 を 開 け て し ま っ た

cf. Goldstein&Nornang[1984:120J

[武 内   1978:70)Zs)

【 武 内   1978:71】

実 際 に は,ツ ル テ ィ ム 氏 は(38)〜(40)の 例 を 容 認 し な い 。Goldstein&Nornang

【1984:118】 は̀involuntary‑causative'と 呼 ん で お り,自 動 詞 で あ る と は 記 述 さ れ て い な い が,こ れ は,状 態 変 化 を 表 す 無 意 志 的 な 自 動 詞 で あ る 。 し た が っ て,(38)

〜(40)に お け る 行 為 者 は 道 具 的 で あ り,必 須 項 で は な い こ とか ら,意 味 を 明 確Y'す る た め に 助 詞 を 取 ら ざ る を え な い と言xる29}0相 対 自 動 詞 の 他 動 詞 的 な 用 法 は,他 動 詞 と し て 用 い ら れ て い る の で は な く,自 動 詞 と し て 道 具 的 な 行 為 者 を 取 っ て い る と考 え る。

  相 対 自動 詞 に お い て,そ の 主 語 はGIS格 に な れ な い 。

(41) a.  nga  'khor  song/

        私 φ回 るAV

28)武 内[1978】 で は 音 韻 表 記 で あ る が,文 語 の 綴 り に 改 め た 。

29)  Goldstein&Nornang【1984:ll8】 に ご は,̀The  pattern  is formed  by  placing  the  subj ect in the   instrumental  case̲'と あ る が,  Goldstein&Nornang口984:62】 に,̀Active  past  constructions   generally  require  the subject  to be in the instrumental  case.'と あ る の で,彼 ら は,本 稿 でGIS   格 と 言 っ て い る も の を̀instrumental  case'と 言 っ て い る だ け で,「 道 具 的 な 主 語 」 を 意 味 し て   い る わ け で は な い 。

361

(21)

    ・私 は(無 意 識 的 に)回 る b.  *ngas   'khor  song/pa  yin/

    私 一GIS回 る  AV/AV

これ は,2.2節 で 見 た 無 意 志 的 な絶 対 自動 詞 と同 じで あ る。GIS格 名 詞 の 分 布 を も と に動 詞 を 分 類 す る とい う本 稿 の 目的 か らす れ ば,両 者 を 区別 す る根 拠 は 欠 け て い るが, そ の主 語 の 性 格 が 異 な って い る と考 え られ るの で,こ こで は両 者 を 区別 す る30)0   相 対 他 動 詞 に つ い て見 る と,行 為 者 はGIS格 で 表 され,絶 対 格 名 詞 は 被 動 者 で あ

る と解 釈 され る。

(42) a.  nga  skor  gyi  yin/

        私 φ 回 すAV

        ・(私 が)私 を 回 す     b.  ngas    skor  gyi  yin/

        私 一GIS回 すAV         ・私 が(何 か を)回 す

{43} a.  nga  bskor  pa yin/(or song/}

        私 一 φ 回 したAV

        ・(私 が)私 を 回 し た     b.  ngas    bskor  pa yinj         私 一GIS回 したAV         ・私 が(何 か を)回 した

(42a)は,助 動 詞 がgyi yinで あ る こ と に よ っ て,行 為 者 が 第1人 称 で あ る こ とが 明 ら か で あ る 。 した が っ て,絶 対 格 で 現 れ て い るnga厂 私 」 を 行 為 者 で あ る と解 釈 す る こ と が 可 能 な は ず で あ る 。 し か し な が ら,GIS格 助 詞 を 取 っ て い な い こ と に よ っ て 被 動 者 で あ る 回 さ れ る 対 象 と し て 解 釈 さ れ る 。bで は, ngaがGIS格 形 に な っ て い る の で,「 回 す 」 と い う行 為 が 「私 」 に よ っ て 行 わ れ て い る こ と に な る が,回 す 対 象 は 明 示 さ れ て い な い 。 助 動 詞 か ら 見 て,行 為 者 が1人 称 で あ る こ と は 明 らか な の で,ngas

「私 に よ っ て 」 を 絶 対 格 に し て も よ さ そ う な も の だ が,そ れ で は,aの よ うに 行 為 者

30)  主 語 の 性 格 を 考 慮 に 入 れ る場 合,こ の 両者 の動 詞 を構 造 的 に 区別 す る根 拠 の一 つ と して,

  名 詞 化 接 辞mkhan  r〜 す る人 」 に よ る動 詞 の 名詞 化 が あ る。 しか し,  mkhanの 用 法 につ い

  て は 今 後詳 細 な 記 述 が必 要 で あ る。 動詞 の形 態 面 か ら言 えば,対 応 す る動 詞 が あ るか ど うか

  とい う点 で 区別 で き る。

(22)

高橋   現代チベ ット語に こおけ る動詞の分類

が 明 示 さ れ て い な い と解 釈 さ れ る 。(43)は,そ の 過 去 形 で あ る 。(43a)に つ い て は, 助 動 詞 がpa  yinで あ れ ぽ,自 分 自身 で 回 した の で あ り, songで あ れ ば,誰 か 別 の 人 が 回 し た こ と に な る 。

  目 的 語 が 明 示 さ れ て い る 場 合 に は,絶 対 格 に な っ て も よ い が,好 まれ な い 。

(44) a.  nga  chu/*φ  skol    gyi  yin/

        私 一 φ 水/φ   沸 か すAV         ・私 は 水 を 沸 か す

    b.  ngas    chu/φ  skol    gyi  'nn  /         私 一GIS水/φ   沸 か すAV

        ・(同 上)

(45) a.  nga  shing sdong/*φ  gcod  kyi yin/

        私 一 φ 木/φ       切 るAV         ・私 は 木 を 切 る

    b.  ngas    shing sdong/φ  gcod  kyi yin/

        私 一GIS木/φ         切 るAV         ・(同 上)

(46) a.  nga  shog bu/*¢  dbral  gyi  yin/

        私 一 φ 紙/φ       破 る  AV         ・私 は 紙 を 破 る

    b.  ngas    shog bu/φ  dbral  gyi  yin/

        私 一GIS紙/φ     破 る  AV         ・(同 上)

  相 対 他 動 詞 は,有 意 志 的 な動 詞 と して用 い られ る も の で あ り,そ の 点 で は,第1章 で 見 た 動 詞 と同 じで あ る。(44)〜(46)に 見 られ る よ うに,1人 称 現 在 に お い て絶 対 格 行 為 者 が 生 じ うるが,実 際 に は,好 ま しい形 式 で は な い。 被 動 者 が な い 時 に も,絶 対 格 の 行 為 者 名 詞 は 容認 され な い 。 この こ とか ら,意 志 性 のあ る他 動詞 に つ い て は, 絶 対 他 動 詞 と相 対 他 動 詞 で 差 異 が あ る こ とがわ か る。す なわ ち,GIS格 助 詞 の生 起 は, 動 詞 が 表 す 動 作 の 意 志 性 に は 関 係 が な い。 相 対 他 動 詞 は,行 為 のみ で は な く,対 応 す る相 対 自動 詞 が 表 して い る過程(状 態 変 化)を 含 ん で お り,し た が って,そ の変 化 主 体 を 常 に 含 意 して い る と考え られ る。

363

(23)

  GIS格 名 詞 の分 布 と い う観 点 か ら見 る と,相 対 他 動 詞 は 無 意 志 的 な絶 対 他 動 詞 と類 似 して い る。 本 稿 で の観 察 で は,相 対 他動 詞 が文 脈 な しで絶 対 格 の行 為 者 を 許 す 可 能 性 が あ る とい う点 で のみ 異 な って い る。GIS格 名 詞 の分 布 が 若 干 異 な って い る点 が, 区別 の 強 い根 拠 とな るか ど うか は,ま だ検 討 を必 要 とす る よ うに 思 わ れ る。 した が っ て,こ れ らの動 詞 を 区別 す る主 た る根拠 は,GIS格 名 詞 の分 布 で は な く,結 び 付 く助 動 詞 に よ って い る31)0

  相対 動 詞 の観 察 に よって わ か る こ とは,状 態 変 化 とい う過 程 に お け る変 化 の 主 体 を

「期 待 して い る」動 詞 で は,そ の 変 化 を もた らす 行 為 主 体 をGIS格 で表 さな け れ ば な らな い とい うこ とで あ る。

  本章 で 見 た動 詞 の 内,相 対 自動 詞 を 除 く2種 の他 動 詞 は,と もに,被 動 者 に あ た る 名詞 句 を動 詞 自体 が 期 待 して い る と考 え られ る。 第1章 で見 た 動 詞 が 被 動 者 に 注 目せ ず,動 作 の み を 表 す 用 法 に お い て行 為 者 を 絶 対 格 形 に して い る と考 え られ る の に対 し, 本章 で見 た2種 の他 動 詞 は,被 動 者 の存 在 を前 提 とす る状 態 ・過 程 を 表 して い る こ と に よ り,そ れ を引 き起 こす 行為 者 名詞 はGIS格 に な ら ざ るを えな い 。

4.結 論

  本 稿 で の 観 察 か ら,チ ベ ッ ト語 の 他 動 詞 は,行 為 者 名 詞 がGIS格 で な けれ ば な ら な い動 詞,絶 対 格 で現 れ て も よい 動詞,自 動 詞 で あれ ぽ,絶 対 格 で な け れ ば な らな い 動 詞,GIS格 で現 れ て も よい動 詞 に分 類 で きる。

  これ を,自 動 ・他動 に絶 対 的 ・相 対 的 とい う基 準 を 加 えて 整 理 す る と表1を 作 る こ とが で き る。

  絶 対 他 動 詞 の意 志 的 な 用 法 に お い て は,動 作 のみ を 表 し,被 動 者patientが 期 待 さ れ て い な い こ とが あ る と考 え られ,そ の場 合,絶 対 格 の行 為 者 を 取 り,そ れ に 対 して, 無 意 志 的 な絶 対 他 動 詞 と相対 他動 詞 は,被 動 者 に あた る項 が な け れ ば,動 詞 が表 す動 作 ・状 態(変 化)な どが 成 り立 た な い もの と考 え られ る。 他 動 詞 は,被 動 者 を期 待 し て い るか ど うか に よ って 分裂 が生 じる と言 え る。

  自動 詞 につ い て見 る と,意 志 的 な用 法 が あ る 自動 詞 と無 意 志 的 な 用 法 が あ る 自動 詞

との間 に分 裂 が 生 じて い る。第2章 で述 べ た よ うY',絶 対 自動 詞 に 扣 い て は,意 志 的

な主 語 を 「動 作 主 格 」,無 意 志 的 な主 語 を 「 対 象 主 格 」 と区 別 で き る。 相 対 自動 詞 の

31) す なわ ち,無 意志的な絶対 他動詞 には,gi yin系 の助動詞が用い られないのに対 し,相 対

  他動詞 には用 い うる。

(24)

高 橋     現 代 チ ベ ッ ト語Y'お け る動 詞 の 分 類

表1

絶 対 他 動 詞 相 対 他 動 詞 絶 対 自 動 詞 相 対 自 動 詞

意 志  的 無 意 志 的 意 志  的 意  志  的 無 意 志 的 無 意 志 的

A GIS【 〜ABS]

GIS GIS

P ABS

.・

ABS [GIS^一]ABS

ABS ABS (【1内 は,そ の方 が 無 標 で あ る場 合 が あ る格 形 。)

主 語 は 「 対 象 主 格 」 で あ る と言 え よ う。3.2節 で述 べ た よ うに,格 形 式 に お い て は, 無意 志 的 な絶 対 自動 詞 と相 対 自動 詞 とを 区別 す る根 拠 は な いが,こ れ ら の動 詞 は 区別 して お く こ とが 有 用 であ る と考 え る。

お   わ   り  に

  最 後 に,動 詞 の完 了 性 を 基 準 に して,GIS格 助 詞 の分 布 を表 に す る と,次 の よ うに な る(表2)。 他 動 詞 に つ い て は 行 為 者 ・経 験 者 の 格 形 式 で あ り,自 動 詞 に つ い て は 主語 の格 形 式 で あ る。

  この表 か ら,行 為 者 は,未 完 了 の 時 に対 格 型 に な りや す く(行 為 者 も被 動 者 も絶 対 格 な の で,中 立 型 と言 うべ きで あ るが,こ こで は措 く),完 了 の時Y'は 動 格 型active type  Y'な りや す い(意 志 的 自動 詞 の 主 語 が 能 格 形 に な りや す い)と 言xる 。 この 点

表2

有意志的用法

無意志的用法

絶対 自動詞 絶対他動詞 相対他動詞 絶対他動詞 絶対 自動詞 相対 自動詞

impf

ABS ABS〜GIS

GIS GIS ABS ABS

pf ABS^‑GIS GIS GIS GIS ABS ABS

365

参照

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