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Academic year: 2021

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Title Studies on cell-autonomous mechanisms for neurodegeneration in prion disease [an abstract of dissertation and a summary of dissertation review]

Author(s) 田中, 美咲

Citation 北海道大学. 博士(獣医学) 甲第14272号

Issue Date 2020-09-25

Doc URL http://hdl.handle.net/2115/79724

Rights(URL) https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

Type theses (doctoral - abstract and summary of review)

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File Information Misaki̲Tanaka̲review.pdf (審査の要旨)

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

(2)

学位論文審査の要旨

博士の専攻分野の名称:博士(獣医学) 氏名:田 中 美 咲

審査委員

主査 教授 堀 内 基 広 副査 教授 澤 洋 文

副査 教授 新 竜 一 郎(宮崎大学) 副査 准教授 小 林 篤 史

学位論文題名

Studies on cell-autonomous mechanisms for neurodegeneration in prion disease

(プリオン病における神経細胞自律的変性機構に関する研究)

神経細胞内での正常型プリオンタンパク質(PrPC)から異常型プリオンタンパク 質(PrPSc)への構造転換は、プリオン病において鍵となる病態生理学的事象のひと つである。神経細胞でのプリオンの増殖は、それ自体がプリオン病の神経病理にお ける重要なイベントであると考えられているが、プリオンの増殖に対する真の神経 細胞応答については十分に理解されていない。その一因として、プリオン感染と PrPSc の新規産生に対する神経細胞自律的な応答の解析に適した実験系が確立され ていないことが挙げられる。田中氏は、アストロサイトの増殖を抑制する神経細胞 エンリッチメント法を用いて、マウス胎仔大脳皮質および視床の初代培養神経細胞 を作出してきた。本研究ではこの初代培養神経細胞を用いて、プリオンの感染に対 する神経細胞自律的応答を解析した。

第一章では、大脳皮質および視床由来初代培養神経細胞にプリオン感染を感染 させた時の神経細胞の変化を解析した。初代培養神経細胞で産生されるPrPScは経 時的に増加したものの、これに伴う明らかな神経細胞数の減少や神経突起密度の低 下は認められなかった。小胞体ストレス応答であるUnfolded protein response (UPR)

のPERK-eIF2αシグナリング経路の活性化状態について、個々の神経細胞を免疫染

色により詳細に解析したところ、大脳皮質由来神経細胞ではPrPScとリン酸化PERK の染色シグナル数が正の相関を示し、PrPSc産生による PERK リン酸化の促進が示 唆された。しかし、PERKリン酸化に続く下流シグナルの活性化およびシナプスタ ンパク質の翻訳抑制は認められなかった。これらの結果は、神経細胞におけるPrPSc の産生は直接に小胞体ストレスを惹起し、PERK-eIF2α シグナリングの初期段階を 神経細胞自律的に活性化させるが、UPR の完全な活性化には不十分であることを 示している。

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第二章では、プリオン感染初代培養神経細胞のトランスクリプトームの変化か ら神経細胞自律的応答を解析した。プリオン感染により発現が変動した遺伝子の Gene Ontology解析およびIngenuity Pathway Analysisを用いたパスウェイ解析では、

神経変性や神経細胞死に直接つながるシグナル経路や生物学的機能の活性化は予 測されなかった。この結果は、第一章の結果と一致して、初代培養神経細胞でのプ リオンの増殖に対する神経自律的応答は、神経細胞死に至るプロセスを完全には活 性化しないことを示唆している。一方で、神経変性や神経細胞死に直接の関連は認 められないものの、細胞骨格リモデリング、あるいは脂質代謝に関連するシグナル 経路や生物学的機能が変化することが示唆された。トランスクリプトーム解析によ り、プリオン感染神経細胞において細胞・生物機能の劇的な変化は神経細胞自律的 には生じないことが示されたが、プリオン感染初代培養神経細胞の網羅的遺伝子発 現変動データはプリオン病の神経変性メカニズムを理解するうえで重要な情報と 考えられる。

この学位論文では、プリオン病における神経細胞自律的な神経変性メカニズム の解析に取り組み、プリオンの増殖自体が神経病理学的な初期変化である小胞体ス トレスの原因となるが、この初期異常は神経自律的には UPR 全体の活性化に至ら ないことを明らかにした。トランスクリプトーム解析においても、プリオンの増殖 によって明らかに影響を受ける神経細胞特異的なシグナル経路や生物学的機能が 特定されなかった。これらの結果は、プリオン病の神経変性メカニズムにおいては、

神経細胞でのPrPScの産生に加えて、非神経細胞因子が重要な役割を果たすことを 示唆している。本研究は神経変性メカニズムの完全な理解に向けて、プリオン感染 神経細胞の変化を明らかにした点で、今後の研究の発展に大きく寄与するものと思 われる。

よって、審査委員一同は、上記学位論文提出者田中美咲氏の学位論文は、北海 道大学大学院獣医学研究科規程第6条の規定による本研究科の行う学位論文の審 査等に合格と認めた。

参照

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