消費者団体のアメリカ・モデルの ヨーロッパにおける受容と展開
The Introduction of the American Consumer Group Model to European Consumer Movements
井 上 拓 也
1.はじめに
2.消費者同盟(CU)のアメリカ・モデルと しての意義
(1)顧客消費者団体と市民消費者団体 (2) 消費者団体の2つの類型とアメリカに
おける起源
(3) 消費者団体のアメリカ・モデルとして の顧客消費者団体
(4) ヨーロッパ諸国の5つの顧客消費者団 体
3.ヨーロッパの消費者団体
(1)国際消費者機構(CI)の加入団体 (2) ヨーロッパ消費者機構(BEUC)の加
入団体
(3) 大西洋消費者対話(TACD)の加入団 体
(4) 国際消費者研究テスト機構(ICRT)の 加入団体
(5)ヨーロッパの主要な消費者団体 4.ヨーロッパの主要な消費者団体における
アメリカ・モデルの受容と展開
(1)オランダのコンジュメンテボンド(CB)
(2) イギリスの消費者協会(CA)と周辺の 団体
(3)ベルギーのテスト・アシャ
(4) フランスの消費者同盟連合(UFC)と 周辺の団体
(5) イタリアのアルトゥロ・コンスーモと 周辺の団体
5.おわりに
1.はじめに
本 稿の目的は、アメリカの消 費 者 同 盟
(Consumers Union: CU)を起源とする消費者 団体のモデル、すなわちアメリカ・モデルの、
ヨーロッパにおける受容と展開を、とくにオ ランダ、イギリス、ベルギー、フランス、イ タリアの5つの消費者団体を中心に概観する ことである1。
なおCUは、2012年以降、おもにコンシュー 概要
本稿の目的は、アメリカの消費者同盟(CU)を起源とする消費者団体のモデル、すなわちアメリカ・
モデルの、ヨーロッパにおける受容と展開を概観することである。具体的には、まず国際消費者機 構(CI)、ヨーロッパ消費者機構(BEUC)、大西洋消費者対話(TACD)、国際消費者テスト機構
(ICRT)という 4 つの国際組織への加入を基準として、ヨーロッパの主要な消費者団体を選び出す。
その上で、オランダのコンジュメンテボンド(CB)、イギリスの消費者協会(CA)、ベルギーのテ スト・アシャ、フランスの消費者同盟連合(UFC)、イタリアのアルトゥロ・コンスーモを事例と して、アメリカ・モデルの受容と展開の状況を概観する。
マー・リポーツ(Consumer Reports)を組織 名として活動している。その理由は、CUと いう本来の名称よりも、発行メディアであ る『コンシューマー・リポーツ』(Consumer Reports)の名称のほうが、アメリカ国民の 間で広く普及しているからである。しかし同 団体の、ニューヨーク州に登記された非営 利法人としての、また内国歳入庁(Internal Revenue Service: IRS)に登 録され た501(c)3 組織としての名称は、依然としてCUである。
そこで本稿では、同団体の名称をCUとして 論じていくこととする。
2. 消費者同盟(CU)のアメリカ・モデ ルとしての意義
消費者団体は、環境団体や人権団体などと 並んで、公共利益団体の1つとして位置づけ られる。公共利益団体とは、不特定多数の人々 の利益、とくに会員に限定されない利益を追 求する利益団体である。換言すれば、公共財 を実現するために、政治的・経済的・社会的 活動を行う、とくに公共政策に対する影響力 を行使する団体である2。そして消費者団体 も、消費者法制などのように、会員以外の不 特定多数の消費者、つまり一般の消費者に関 連する利益を追求している点で、公共利益団 体として見なせることになる。
そこでここでは、消費者同盟(CU)を起源
とする消費者団体のアメリカ・モデルが、公 共利益団体としての消費者団体としてどのよ うな特徴を持つかを確認する。具体的には、
消費者団体を分類し、CU、およびそれに類 する消費者団体の類型を確認しておく。
(1)顧客消費者団体と市民消費者団体 消費者団体は、これまで度々論じてきたよ うに、まずは狭義の消費者団体と広義のそれ に分類できる。このうち前者は、個人として の消費者を会員とする、純粋な意味での消費 者団体である。それに対して後者は、狭義の 消費者団体に加えて、消費者関連専門家団体、
消費者関連事業者団体、およびそれらを会員 とする連合団体を含む3。
この両者のうち、広義の消費者団体にも、
日本の全国消費者団体連絡会、アメリカの アメリカ消費者連合(Consumer Federation of America: CFA)、ドイツの消費者センター連 邦 同 盟(Verbraucherzentrale Bundesverband:
VZBV)などの連合団体のように、公共利益 団体としてきわめて重要な役割を演じてい る団体もある。しかし本稿は、より純粋な狭 義の消費者団体に注目する。そしてさらにそ れを、理念型として、会員基盤と選択的誘 因に注目することによって、顧客消費者団体
(customer consumer group)と市民消費者団体
(citizen consumer group)という2つの類型に 大別する。
このうち顧客消費者団体は、製品テストや
1 本稿で言う消費者団体のアメリカ・モデルは、前稿で述べたように、CUのスタイルに基づく、①狭義の 消費者団体、②顧客消費者団体、③総合団体、④大衆的基盤の消費者団体、⑤物質的誘因を提供する消 費者団体の5つの特徴を構成要素とし、経済的活動と政治的活動の双方を行う消費者団体である。拙稿「消 費者団体のアメリカ・モデルの再検討」『茨城大学人文学部紀要・社会科学論集』60号、2015年、37-48頁。
2 公共利益団体の対概念は、特殊利益団体であり、業界団体や専門職団体のように、少数であれ多数であ れ特定の人々の利益、とくに会員に限定される利益を追求する利益団体を意味する。
3 こうした消費者団体の分類の詳細については、拙稿「日本の消費者団体のシステム─顧客消費者団体と 市民消費者団体の間で─」日本政治学会編『年報政治学2012-II 現代日本の団体政治』木鐸社、2012年、
25頁を参照されたい。
サービス評価に基づく消費者情報の提供を通 じて、大衆基盤の多数の消費者を会員とする 消費者団体である。これらの会員は、一義的 には、雑誌ないしウェブをメディアとする消 費者情報の定期購読者であり、いわば顧客
(customer)である。したがって顧客消費者団 体は、会員にならなければ得られない経済的・ 物質的便益を選択的誘因とし、多数の会員か ら資源を獲得することによって、不特定多数 の消費者にも関連する集合行為を実現する。
そのため組織が相対的に強固であり、政府や 他の団体などへの依存が低くなる。また多数 の会員が自らの消費生活に寄与する便益を求 めるため、政策選好として、基本的に価格と 品質の両立という消費者の経済的利益を重視 する。そしてこの顧客消費者団体が、アメリカ、
ドイツを除く西欧諸国など、先進国で主流の 消費者団体となっている。
それに対して市民消費者団体は、貢献感や 連帯感といった社会的・精神的な選択的誘因 の提供を通じて、意識の高い少数の消費者を 会員とする消費者団体である。これらの会員 は、一義的には、社会への参画を志向する人々 であり、いわば市民(citizen)である。した がって市民消費者団体は、会員にならなけれ ば得られない社会的・精神的便益を選択的誘 因とし、少数の会員から資源を獲得すること によって、不特定多数の消費者にも関連する 集合行為を実現する。そのため組織が相対的 に脆弱であり、政府や他の団体などへの依存 が高くなる。また少数の会員が自らの気分的 優越に寄与する便益を求めるため、政策選好 として、消費者問題が注目されている時期に は消費者の経済的利益を重視するが、環境問 題や労働問題が注目されている時期にはその 社会的責任を重視する。そしてこの市民消費 者団体は、日本などの一部の先進国や途上国
で主流の消費者団体となっているとともに、
顧客消費者団体が主流になっている先進国に も存在する。
(2) 消費者団体の 2 つの類型のアメリカにお ける起源
顧客消費者団体と市民消費者団体という消 費者団体の2つの類型は、世界各国に見るこ とができる。しかしその原型は、歴史的には いずれもアメリカにある4。
まず顧客消費者団体の原型は、1929年に設 立された消費者研究所(Consumers’ Research:
CR)である。CRは、中立的・科学的な製品
テストに基づく消費者情報を有償提供する非 営利組織という事業の創始者となった。やが てこのCRに内紛が生じ、そこから1936年 にCUが分離独立した。そしてCUは、CRの 衰退を後目に、この事業を飛躍的な発展させ、
現在では約800万人の定期購読者、すなわち 会員を有し、年間約2億5000万ドルの予算 規模を持つ、世界で最大の消費者団体へと成 長した。CUは、CRが創始した事業を、今日 見られるようなものへと完成させたことにな る。
アメリカにおけるCUと同じ類型の代表 的な消費者団体としては、CUが全米で流通 する様々な製品の情報を提供するのに対し て、食品や健康に特化した情報を提供する公 共利益科学センター(Center for Science in the Public Interest: CSPI)が、1971年に設立された。
さらに大都市地域でサービス評価に基づく消 費者情報を提供するサービス研究センター
(Center for the Study of Services: CSS)が、CU の支援を受けつつ1974年に設立され、『コン シューマーズ・チェックブック』(Consumers’
Checkbook)を発行メディアとして活動してい る。そしてこれらの顧客消費者団体が、アメ 4 アメリカの消費者団体の概観については、拙稿「アメリカ消費者団体の組織と選好」『茨城大学地域総
合研究所年報』39号、2006年、147-175頁を参照されたい。
リカの消費者団体の主流を形成している。
それに対して市民消費者団体の原型は、
1891年に設立された全米消費者連盟(National Consumers League: NCL)で あ る。NCLは、
中産階級以上の女性消費者を会員とし、公正 な労働環境で製造された製品を証明すること によって、労働者の保護を目的として設立さ れた団体である。つまりそれは、今日で言う 倫理的消費者(ethical consumer)を当初から 志向していたことになる。NCLは、やがて消 費者問題の増大とともに、労働問題に加えて それをも関心領域に加え今日に至っている。
アメリカにおけるNCLと同じ類型の代表 的な消費者団体としては、1971年に設立さ れたパブリック・シティズン(Public Citizen:
PC)を初め、R・ネイダー(Ralph Nader)が 組織した団体がある。彼の名前は、かつて日 本だけでなく各国において、アメリカの消費 者運動を象徴する人物として知られた。しか し今日では、彼の名前はむしろ環境運動家と して知られているし、PCも環境問題を政策 選好として重視している。その意味で市民消 費者団体は、アメリカの消費者団体の主流で はない。しかしだからこそPCは、消費者団 体として認識されつつも、その政策選好の多 様さゆえに、アメリカの公共利益団体、ある いは市民運動のネットワークにおいて、各種 の組織の中心となる場合もある5。
(3) 消費者団体のアメリカ・モデルとしての 顧客消費者団体
このように本稿で述べる消費者団体、つま り個人の消費者を会員とする狭義の消費者団 体は、理念型として顧客消費者団体と市民消 費者団体に大別できる。また前者がアメリカ
や西欧諸国などの先進国で主流となっている のに対して、後者は一部の先進国や途上国で 主流となるとともに、前者が主流となってい る国にも存在する。
そしてここが重要な問題となるのだが、市 民消費者団体は、一般に、それらの国におい て、様々な態様を取りつつも、自生的・内生 的に結成されてきた。それに対して顧客消費 者団体は、アメリカを除くそれらの国におい て、意識的にアメリカのCUをモデルとして 結成されてきた。それらの消費者団体は、結 成時から今日に至るまで、あるいはその性格 を変化させた際に、CUをモデルとしてきた ことを自ら明言している。そしてCUも、国 際的な連帯の一環として、各国における自ら に準じた消費者団体の結成を支援してきた。
あるいはCUが直接に支援しない場合でも、
その支援によって結成された消費者団体が、
さらに別の団体の結成を支援してきた。と くにCU会長であったC・ウォーン(Colston Warne)は、このモデルの各国での、あるい は国際レベルでの普及のために、技術的・財 政的な支援を惜しまなかった。
アメリカにおいて、CRが創始しCUが完 成させた事業は、CUによって、アメリカ国 内においても国際的に模倣可能な顧客消費者 団体というモデルとなった。そしてこの消費 者団体のアメリカ・モデルが、西欧諸国など の先進国に導入され、各国の様々な条件の下 で展開されてきた。各国の顧客消費者団体は、
モデルの原型としてのCU、あるいはそれに よる外からの入力がなければ、それらの国に おいて結成されえなかったのである。
なお付言しておくと、CUをモデルとして 結成された消費者団体は、一国レベルのそ
5 たとえば渡辺将人は、PCのグローバル・トレード・ウォッチを、「消費者団体というリベラルな連合の 繋ぎ役」として位置づけている。しかしそれは、PCが非主流の消費者団体だから可能なことであって、
主流の消費者団体がそのような位置づけを持つことは考えにくい。渡辺将人『アメリカ政治の壁─利益 と理念の間で』岩波書店、2016年、88頁。
れに止まらない。たとえば国際消費者機構
(Consumers International: CI)は、世界各国の 主要な消費者団体の連絡組織であり、CUを 初めとする先進国の消費者団体の支援の下 に、1960年に国際消費者機構(International Organization of Consumers Unions: IOCU)と して設立され、1995年に名称を変更したもの である。つまりCIは、名称変更前後の日本 語名がともに国際消費者機構であるため気付 きにくいが、そもそもは「各国のCUの国際 組織」だったのである。このことは、CUを 起源とする消費者団体のモデルの影響の大き さを如実に示していると言えよう。
(4)ヨーロッパの 5 つの顧客消費者団体 このようにCUは、消費者団体のアメリカ・ モデル、つまり顧客消費者団体というモデル の起源として、先進国における同類型の団体 の結成に際して模倣されるとともに、それを 積極的に支援していった。
ただしこのことを逆に考えると、顧客消費 者団体というモデルは、製品テストに基づく 消費者情報を購入できる、大衆基盤とはいえ 多少なりとも経済的なゆとりあのある多数の 会員の存在を前提とする。だからこそこのモ デルは、豊かな先進国において広く導入され たものの、途上国においてはあまり導入され ていない。
そこで本稿は、20世紀半ばには豊かな社会 を実現した西ヨーロッパの主要国の消費者団 体に注目する。そして後ほど、その主要なもの の中でも、CUをモデルとした代表的な消費者 団体として、オランダのコンジュメンテボンド
(Consumentebond: CB)、イギリスのフィッチ?
/消費者協会(Which? -Consumers Association:
CA)、ベルギーの消費者協会/テスト・アシャ
(Association des Consommateurs-Test-Achats)、
フランスの消費者同盟連盟/クショワジー ル(Union Fédérale des Consommateurs-Que Choisir)、イタリアのアルトゥロ・コンスーモ
(Altroconsumo)を概観する。
なおこれらの5つの消費者団体は、CUと同 様に、いずれも製品テストに基づく消費者情報 を雑誌ないしウェブをメディアとして発行して いる。それぞれの代表的なメディアの名称は、
CBの『コンスメンテギズ』(Consumentengids)、
フィッチ?/CAの『フィッチ?』(Which?)、
消費者協会/テスト・アシャのテスト・アシャ
(Test-Achats)、消費者同盟連合/クショワジー ルの『クショワジール』(Que Choisir)、アル トゥロ・コンスーモの『アルトゥロ・コンスー モ』(Altroconsumo
モ』(Altroconsumo
モ』( )である6。つまりCBを除 く4団体は、CUと『コンシューマー・リポーツ』
の関係と同様に、各国の国民に普及したその メディア名を主要な組織名として活動してい る。
そこで本稿では、以下では、フィッチ?/
CAとUFC/クショワジールについては、CU と同様の事情で正式名称を採用し、CAおよ びUFCとして論じていく。またCBについて は、そのまま正式名称で論じていく。そして 他の2団体については、メディア名のほうが はるかに一般化しているため、テスト・アシャ およびアルトゥロ・コンスーモとして論じて いくこととする。
3.ヨーロッパの消費者団体
CB、CA、テスト・アシャ、UFC、アルトゥ
6 CB以下の消費者団体の各メディア名を英語・日本語で表すと、『コンスメンテギズ』は consumer
guide ・「消費者ガイド」、『テスト・アシャ』は test-buy ・『テスト・購入』、『クショワジール』は what
to choose ・「選ぶべきもの」、『アルトゥロ・コンスーモ』は alternative consumption ・「別の消費」と
いったものとなる。
ロ・コンスーモについて概観する前に、それ らを含むヨーロッパの主要な消費者団体を概 観し、そこにおけるこれらの5団体の位置づ けを確認しておく必要がある。
もっともヨーロッパの数多くの消費者団体 のうち、どの団体が主要なものであるのかを 選択する作業は、容易そうでなかなか難し い。しかしその作業をあえてする場合、選択 の基準となるのは、各団体の、4つの国際組 織、すなわち国際消費者機構(CI)、ヨーロッ パ消費者機構(Bureau européen des unions de consommateurs : BEUC)、環大西洋消費者対話
(Trans Atlantic Consumer Dialogue : TACD)、お よび国際消費者研究テスト機構(International Consumer Research & Testing : ICRT)への加入 である。そこでこの4つの国際組織に加入す
るヨーロッパの各国およびEUの団体を列挙 すると、2017年5月時点で、表1の112機 関ということになる。
この表1は、ヨーロッパの消費者に関連す る団体のかなり網羅的な表である。つまりそ こに列挙した団体には、4つの国際組織の性 格を反映して、消費者団体だけではなく、環 境団体などの公共利益団体、あるいは消費者 政策を担当する政府機関なども含まれてしま う。そこでそうした多様な消費者に関連する 団体の広がりを理解するために、まずこの4 つの国際組織について簡単に説明しておきた い。
(1)国際消費者機構(CI)の加入団体 CIは、前述のように、基本的には世界各国
表 1 ヨーロッパの消費者団体(消費者関連団体を含む)
国 原語名 日本語訳名 英語訳名 CI BE
UC TA CD
IC RT EU
European Association for the Coordination of Consumer Representation in Standardisation
標準化における消費者代 表調整のためのヨーロッ パ協会
European Association for the Coordination of Consumer Representation in Standardisation
△ ○
EU European Community of Consumer Co-operatives
ヨーロッパ消費者協同組
合連合会 European Community of
Consumer Co-operatives ○
EU European Digital Rights ヨーロッピアン・デジタ
ル・ライツ European Digital Rights ○ EU European Public Health
Alliance ヨーロッパ公衆衛生同盟 European Public Health
Alliance ○
EU Health Action International ヘルス・アクション・イ
ンターナショナル Health Action International ○ EU Knowledge Ecology
Internationa Europe
ノレッジ・エコロジー・
インターナショナル・
ヨーロッパ
Knowledge Ecology
Internationa Europe ○
EU Bureau Européen des Unions
de Consommateurs ヨーロッパ消費者機構 The European Consumer
Organization 〇 ○
アイスラ
ンド Neytendasamtökin アイスランド消費者協会 Consumer Association of
Iceland ◎ ◎ ○
アイルラ
ンド Consumers' Association of
Ireland アイルランド消費者協会 Consumers' Association of
Ireland ◎ ○
アゼルバ
イジャン Azad Ýstehlakçýlar Birliyi 独立消費者同盟 Independent Consumers
Union ○
アルバ
ニア Shoqata e Konsumatorit Konsumatorit K
Shqiptar アルバニア消費者協会 Albanian Consumers
Association ○
アルメニ
ア Սպառողների ազգային
ասոցիացիա アルメニア消費者協会 National Association of
Consumers ○
イギリス BSI (British Standards Institution) - Consumer and Public Interest Unit
英国基準協会 消費者公 共利益ユニット
BSI (British Standadrs Institution) - Consumer and Public Interest Unit
△
イギリス Citizens Advice/ National Association of Citizens Advice Bureaux
シティズンズ・アドバイ ス/全英市民助言局協会
Citizens Advice/ National Association of Citizens Advice Bureaux
〇 ○
イギリス Compassion in World World W Farming
コンパッション・イン・
ワールド・ファーミング Compassion in World
Farming ○
イギリス Financial Services Consumer Panel
金融サービス消費者パネ
ル Financial Services Consumer
Panel △ 〇
イギリス Genewatch UK グリーン・ウォッチUK Genewatch UK ○
イギリス ISEAL Alliance 国際社会環境認定表示連
合 ISEAL Alliance ○
イギリス Legal Services Consumer Panel
法務サービス消費者
フォーラム Legal Services Consumer
Panel 〇
イギリス Open Rights Froup オープン・ライツ・フォー
ラム Open Rights Froup ○
イギリス Privacy International プライバシー・インター
ナショナル Privacy International ○
イギリス Sustain サステイン Sustain ○
イギリス Which?
Consumers Association フィッチ?/消費者協会 Which?
Consumers Association ◎ ◎ ○ ○ イスラエ
ル לועצה הישראלית לצרכנות イスラエル消費者委員会 Israel Consumer Council ◎ イタリア Associazione Difesa Utenti
Servizi Bancari e Finanziari
銀行金融サービス利用者
協会 Banking and Financial
Services Users Association ○
イタリア Altroconsumo アルトゥロ・コンスーモ ◎ ◎ ○ ○
イタリア Associazione Consumatori Utenti
イタリア消費者利用者協
会 Italian Association of
Consumers and Users ◎ ○
イタリア Associazione per la Difesa e l’Orientamento dei Consumatori
消費者保護指向協会 Association for Consumer
Protection and Orientation ○
イタリア Comitato CODACONS コダコン委員会
Committee CODACONS
(Coordination of Environmental Protection Associations and Users 'and Consumers' Rights)
○
イタリア Consumatori Italiani per l'Europa
ヨーロッパのためのイタ
リア消費者 Italian Consumers for
Europe 〇
イタリア Federconsumatori Federazione Nazionale dei Consumatori e Utenti
イタリア消費者利用者協
会 National Federation of
Consumers and Users ○
イタリア Generazione Attiva ジェネラツィオーネ・ア
ティーバ Active Generation ○
イタリア Unione Nazionale
Consumatori イタリア消費者同盟 Consumers National Union ○
イタリア Movimento Consumatori モビメント・コンスマ
トーリ The Consumr Movement ○
ウクライナ
Державний комітет України з питань
технічного регулювання та споживчої політики
ウクライナ技術規制と消 費者保護のための国家委 員会
Ukraine State Committee for Technical Regulation and Consumer Policy
◇
エストニア Eesti Tarbijakaitse Tarbijakaitse T LIIT エストニア消費者協会 Estonian Consumers Union ◎ オースト
リア Arbeiterkammer 連邦労働会議所 Austrian Federal Chamber of
Labour 〇
オーストリア Verein fVerein fVerein füerein f r ü
Konsumenteninformation 消費者情報協会 Consumers Association of
Austria ◎ ◎ ○ ○
オランダ Consumentenbond コンジュメンテボンド Consumers Association ◎ ◎ ○ ○
カザフ
スタン Национальная Лига
Потребителей カザフスタン消費者連盟 National League of
Consumers of Kazakhstan ○ キプロス Κυπριακού Συνδέσμου
Κα Κα
Κ τανανα αλωτών キプロス消費者協会 Cyprus Consumers'
Association ◎ ◎
ギリシャ Ένωση Καταναλωτών "Η
Ποιότητα της Ζωής" 消費者協会「生活の質」 Consumers’ Association
“The Quality of Life”, ◎ ◎ ○ ギリシャ Γενική Ομοσπονδία
Κα Κα
Κ τανανα αλωτών Ελλάδας 消費者協会ニューインカ Consumers' Association New
INKA ◎ ○
ギリシャ Κέντρο Προστασίας
Καταναλωτών 消費者保護センター Consumers' Protection
Center ◎ ◎ ○
クロア
チア «POTROŠAČ» - Društvo za Zaštitu Potrošača Hrvatske
消費者−クロアチア消費
者保護組織連盟 Croatian Union of Consumer Protection Organisations ○ クロア
チア Hrvatska Udruga Za Zaštitu
Potrošača クロアチア消費者保護協
会 Croatian Association for
Consumer Protection ○ ジョージ
ア საქართველოს მომხმარებ
ელთა კავშირი ジョージア消費者同盟 Consumers Union of Georgia ○ スイス Fédération Romande des
Consommateurs フレンチ消費者連盟 French Consumer Federation 〇 ○
スイス Stiftung fur Konsmentenschutz Konsmentenschutz
K 消費者保護財団 Consumer Protection
Foundation ○
スウェー
デン Kooperativa Kooperativa K Förbundet スウェーデン消費者協同
組合 Swedish Consumer Co-
operatives ○
スウェーデン Sveriges Konsumenter スウェーデン消費者 Swedish Consumers'
Association ◎ ◎ ○ ○
スウェー
デン Sveriges Konsumenter i Konsumenter i K
Samverkan - スウェーデン消費者連合 Swedish Consumer Coalition ○ ○
スペイン Asociación de Usuarios de
Bancos Cajas y Seguros 銀行保険利用者協会 Association of Banking and
Insurance Users ○
スペイン Asociación General de
Consumidores 一般消費者協会 General Consumer
Association ○
スペイン Asociacion Valenciana de Valenciana de V Consumidores y Usuarios
バレンシア消費者・利用
者協会 Valencian Association of
Consumers and Users ○
スペイン Confederación de
Consumidores y Usuarios 消費者・利用者連合 Confederation of
Consumers and Users ◎ ◎ ○
スペイン Consejería de Sanidad y Asuntos Sociales
カスティーリャ=ラ・マ ンチャ州保健社会省消費 者局
Consumer Institute of Castilla La Mancha, Ministry of Health and Social Affairs
◇
スペイン FACUAUAU -Consumidores en Acción
FACUA−コンシューマー
ズ・イン・アクション FACUA-Consumers in
Action ◎
スペイン Federación de Usuarios y Consumidores Independientes
独立利用者消費者連盟 Federation of Independent Users and Consumers ○ スペイン Kontsumobide-Kontsumobide-K Instituto
Vasco de Vasco de
V Consumo
コンツーモビーデ−バス
ク消費者機構 Kontsumobide-Basque
Consumption Institute ◇ スペイン Organización de
Consumidores y Usuarios 消費者・利用者機構 Organisation of Consumers
and Users ◎ ◎ ○ ○
スペイン Union Nacional de
Asociaciones Espanolas スペイン協会全国同盟 National Union of Spanish
Associations ○
スロバ
キア Spoločnosť ochrany
spotrebiteľov Poprad ポプラト消費者保護協会 Consumer Protection Society
Poprad ◎
スロバ
キア Zdruzenie slovenskych
spotrebitelov スロバキア消費者協会 Association of Slovak
consumers ◎ ◎
スロベニア Zveza Potrošnikov
Slovenije スロベニア消費者協会 Slovene Consumers
Association ◎ ◎ ○ ○
セルビア Asocijacija potrošaèa Srbije セルビア消費者協会 Association of Consumers of
Serbia ○
セルビア Nacionalna Organizacija
Potrosaca Srbije セルビア消費者保護機構 National Consumer
Organisation of Serbia ○ セルビア Pokret za zastitu potrosaca
Beograd
ベオグラード消費者保護
運動 Consumer Protection
Movement of Belgrade ○ タジキス
タン Союз Потребителей
Таджикистанa タジキスタン消費者同盟 Consumers' Union of
Tajikistan ○
チェコ Občanské sdružení spotřebitelůTEST
チェコ消費者協会−テス
ト Czech Consumer Association
TEST ◎ ○ ○
チェコ Sdružení obrany spotí obrany spotí øebitelù Èeské republiky
チェコ共和国消費者保護 協会
Consumers Defence Association of the Czech Republic
◎ デン
マーク Aktiveforbrugere アクティブ・コンシュー
マーズ Active Consumers ○ ○
デンマーク Forbrugerrådet TæTæT nk デンマーク消費者委員会
−ツィンク Danish Consumer Council ◎ ◎ ○ ○ ドイツ BUKO Pharma-Kampagne
(Bundeskoordination Internationalismus)
BUNKOファーマ・キャ
ンペーン
BUKO Pharma Campaign
(Federal Coordination of
Internationalism) ○
ドイツ Stiftung WarentestWarentestW 製品テスト財団 ○ 〇 ○
ドイツ Verbraucherzentrale Verbraucherzentrale V
Bundesverband ドイツ消費者組織連盟 Federation of German
Consumer Organisations ◎ ◎ ○ トルコ Tüketici Haklarý Dernegi トルコ消費者権利協会 Consumer Rights
Association ○
ノル
ウェー Forbrukerrådet ノルウェー消費者委員会 Norway Consumer Council 〇 ○
ハンガ リー
Fogyasztóvédelmi Egyesületek Országos Szövetsége
ハンガリー消費者保護協 会全国連盟
National Federation of Associations for Consumer Protection in Hungary
◎ 〇
ハンガ
リー Országos Fogyasztóvédelmi Egyesület
ハンガリー消費者保護協
会 National Consumer
Protection Association ○
ハンガ
リー Tudatos Tudatos T VáVáV sárlók Egyesülete 自覚的消費者協会 Association of Conscious
Consumers ◎ ○
フィンラ
ンド Kuluttaja-asiain Kuluttaja-asiain K
Neuvottelukunta 消費者諮問委員会 Advisory Council on
Consumer Affairs ○
フィンラ
ンド Kilpailu-ja KuluttajavirastoKuluttajavirastoK 競争消費者局 The Finnish Competition
and Consumer Authority 〇 フィンランド Kuluttajaliitto-
Konsumentföonsumentföonsumentf rbundet ry フィンランド消費者同盟 Consumers' Union of
Finland ○ ◎ ○
フィンラ
ンド Kuluttajat-Kuluttajat-K KonsumenternaKonsumenternaK 消費者 The Consumers ◎ フィンラ
ンド KuluttajavirastoKuluttajavirastoK フィンランド消費者局 The Finnish Consumer
Agency ◇
フランス Association Force Ouvriére
Consommateurs 消費者労働者協会 Association of Consumers
Force Workers ○
フランス Consommation, Logement
et Cadre de vie 消費・住宅・環境 Consumption, Housing and
Environment ◎ ◎ ○
フランス Union Fédérale des Consommateurs-Que Choisir
消費者同盟連盟/クエ
ショエジール Federal Consumers Union
- What to Choose ◎ ◎ ○ ○
ブルガリア
Българска национална асоциация АКТИВНИ ПОТРЕБИТЕЛИ
ブルガリア消費者協会−
アクティブ・コンシュー マーズ
Bulgarian National Consumer Association ACTIVE CONSUMERS
○ ◎ ○ ○
ベラ
ルーシ Белорусское Общество Защиты Потребителей
ベラルーシ消費者保護協
会 Belarusian Society of
Consumer Protection ○ ベルギー
Test- Test- T Achats Association des Consommateurs
テスト・アシャ−ベル
ギー消費者協会 Test-Achats ◎ ◎ ○ ○ ポーラン
ド Federacja KonsumentKonsumentK ów ポーランド消費者連盟 Polish Consumer Federation ◎ ◎ ポーラン
ド Fundacja PRO-TEST プロ・テスト財団 Pro-Test Foundation ○
ポーラン
ド Stowarzyszenie Konsumentow Konsumentow
K Polskich ポーランド消費者協会 Association of Polish
Consumers ○ ◎
ポルトガ
ル Associaçáo Portugesa para a Defesa do Consumidor
ポルトガル消費者保護協
会 Portuguese Association for
Consumer Protection ◎ ◎ ○
ポルトガ
ル Centro de Arbitragem de
Confl ictos de Consumo 消費者紛争仲裁センター Center for Arbitration for
Consumer Confl icts ○
ポルトガ
ル Direção-Geral do
Consumidor ポルトガル消費者総局 Consumer Directorate ◇
マケドニ ア
Организациј Организациј Организаци а на Потрошувачите на Македониј Македониј
Македони а マケドニア消費者機構 Consumers Organisation of
Macedonia ◎ 〇
マルタ Ghaqda Tal-Tal-T Konsumaturi Konsumaturi K マルタ消費者協会 Consumers' Association of
Malta ◎ ◎
ラトビア Latvijas Patērētāāāju Interešu ju Interešu
Aizstāvīīības Asocibas Asociācija ラトビア消費者保護協会 Latvian National Association for Consumer Protection - ◎ ラトビア Patērētāju Tiesāju Tiesā ību ību ī
Aizsardzības Centru ības Centru ī 消費者権利保護センター Consumer Rights Protection
Center ◇
リトアニ
ア Lietuvos VartotojVartotojV ų OrganizacijųAljansas
リトアニア消費者組織連
盟 Alliance of Lithuanian
Consumer Organisations 〇 リトアニ
ア Vakaru Vakaru V Lietuvos Vartotoju Vartotoju V
Federacija 西リトアニア消費者連盟 Western Lithuania Consumer
Federation ○
ルーマニア
Asociatia pentru Protectia Consumatorilor din Romania
ルーマニア消費者保護協
会 Romanian Association for
Consumers' Protection ○ ◎ ○ ルーマ
ニア
Asociatia pentru Apararea Drepturilor si Intereselor Consumatorilor
消費者権利利益保護協会 Association for the Defence of Consumer Rights and Interests
○
ルーマ
ニア InfoCons - Asocia�ie pentru Protec�ia Consumatorilor
インフォコンス−消費者 保護協会
InfoCons Association - Association for Consumer Protection
◎
ルーマ
ニア Autorităţii Naţionale pentru
Protecţia Consumatorilor ルーマニア消費者保護局 National Authority for
Consumers Protection ◇ ルクセン
ブルク Union Luxembourgeoise des Consommateurs
ルクセンブルク消費者同
盟 Luxembourg Consumers'
Union ◎
ロシア
Министр торговли и внешнеэкономического сотрудничества Республики Татарстан
タタール共和国通商対外 経済協力省
Ministry of Trade and Foreign Economic Co- operation, Republic of Tatarstan
◇
ロシア Международная Конфедерация обществ
потребителей 消費者社会共和国間連盟 Interrepublican
Confederation of Consumer Societies
◎
ロシア Союза потребителей
России ロシア消費者連盟 Consumers Union of Russia ○
の消費者団体の連絡組織であり、国連経済社 会理事会の総合諮問資格を有する国際NGO として活動し、国連の消費者政策などに影響 力を行使している7。
そこでCIの歴史を振り返ってみると、ア
メリカのCU、イギリスのCA、およびオラン
ダのCBは、1960年に、オランダのハーグで、
14国からそれらを含む17団体の参加を得て、
第1回消費者テスト国際大会を開催した。そ してこの3団体に、ベルギーのテスト・ア シャとオーストラリア消費者協会(Australian Consumers Association: ACA)を加えた5団体 が、上記のうち16団体を会員とし、ハーグ に本部を置き、IOCUを設立した。IOCUは、
7 CIについては、同組織のウェブ・サイト(http://www.consumersinternational.org/)以外には、とりあえず 以下の文献を参照されたい。Tasneem Mowjee, “Consumers Unite Internationally”, John Clark ed., Globalizing Civic Engagement: Civil Society and Transnational Action, 2003, pp.29-44, Consumers International, 50 years of the Global Consumer Movement, 2010, Matthew Hilton, “Consumers International”, Stephen Brobeck and Robert N. Mayer eds, Wtachdog and Whistleblowers: A Reference Guide to Consumer Activism, 2015, pp.137-141.
1993年に本部をロンドンに移し、イギリス で登記された非営利法人およびチャリティと なった。そして1995年にCIと改称し、今日、
132国から計257団体の会員を擁する大規模 な国際組織へと成長した。
CIの会 員の種 類は、現 時 点で は、正 会 員(member)、準 会 員(affi liate)、支 持 会 員
(supporter)、および政府支持会員(government supporter)の4種類である。表1では、正会 員には◎、準会員には○、支持会員には△、
政府支持会員には◇を付してある。
このうち正会員は104団体、準会員は103 団体であり、CIが消費者団体の連絡組織で ある以上、基本的に消費者団体となってい る。それに対して、支持会員は10団体であ り、BEUCを初めとする関連する国際組織な どである。また政府支持会員は40団体であり、
消費者政策を担当する政府機関ないし準政府 機関である。
これらのCIの会員のうち、ヨーロッパの会 員は、39国から、正会員が32団体、準会員 が31団体、支持団体が4団体、政府支持団 体が8団体の、計75団体である。このうち、
ヨーロッパの主要な消費者団体の候補として 見なしうるのは、正会員の32団体であると 考えてよいであろう。
なおCIには、当初、アメリカの消費者団 体が数多く加入していた。しかし現在加入し ているのは、CU、消費者研究と消費者教育 の専門職の団体であるアメリカ消費者利益評 議会(American Council on Consumer Interests:
ACCI)、および肉類などの食品の安全と動
物の権利に関する活動を中心とするフード・
アニマル・コンサーンズ財団(Food Animal Concerns Trust)の3団 体だけ で ある。NCL やCFAは、かつてはCIに加入していたが、
現在では退会してしまっている。このことは、
とくに途上国の消費者団体の大量加入に伴う CIの性格の変化、および後述するTACDや ICRTといった新しい性格の国際組織の登場 が理由であると考えられる。
(2) ヨーロッパ消費者機構(BEUC)の加入 団体
BEUCは、ヨーロッパ諸国の消費者団体の 連絡組織であり、1962年に、オランダのCB、
ベルギーのテスト・アシャ、フランスのUFC、
ルクセンブルクのルクセンブルク消費者同盟
(Union Luxembourgeoise des Consommateurs)、
イタリアの全国消費者同盟(Unione Nazionale Consumatori)、ドイツのVZBVの前身である 消 費 者 協 会 連 絡 会(Arbeitsgemeinschaft der Verbraucherverbände: AgV)の6団体によって 設立された。現在では、31国から計43団体 の会員を擁する組織となっている。またその 標語が示すように、「ヨーロッパにおける消費 者の声」として欧州連合の諸機関に影響力を 行使すべく、ベルギーのブリュッセルのヨー ロピアン・クォーターの一角に本部を置いて いる8。
BEUCの会 員の種 類は、正 会 員(full member)と準会員(affi liate member)の2種 類である。このうち正会員は31団体、準会 員は12団体であり、後者には政府機関や準 政府機関も含まれる。表1では、正会員には
◎、準会員には○を付してある。当然ながら いずれも、ヨーロッパの各国からの会員であ る。したがって主要な消費者団体の候補とし て見なしうるのは、やはり正会員の31団体 であると考えてよいであろう。
(3)大西洋消費者対話(TACD)の加入団体 TACDは、アメリカとヨーロッパの消費者 団体、および関連する公共利益団体や政府機 8 BEUCについては、同組織のウェブ・サイト(http://www.beuc.eu/)以外には、Monica Goyens, “BEUC:
The European Consumer Organization”, Brobeck and Mayer eds, op.cit, 2015, pp.43-45を参照されたい。
関の連絡組織であり、1998年に、大西洋を 挟み、アメリカのCUとCFA、およびヨーロッ パのBEUCが中心となって設立された9。 その背景には、第一に、高度情報化社会、
知的財産権、金融サービス、食品の安全性と いった、とくに先進国で関心の高い消費者問 題の増大がある。また第二に、大西洋横断貿 易投資パートナーシップ協定(Transatlantic Trade and Investment Partnership: TTIP)という、
アメリカとヨーロッパ諸国に固有の大きな経 済問題がある。そして第三に、前述のような CIの性格の変化がある。要するに、欧米、と くにアメリカの主要な消費者団体にとって、
大規模化したCIが必ずしも有効な国際組織 となっておらず、それに代わる組織が必要と なったのである。
とはいえ、TACDの本部は、CIの事務所に 所在する。その意味で、TACDは、「各国の CUの国際組織」として結成されたIOCU、お よびその後身であるCIから、その性格の変 化に伴って、先進国による国際組織としての 性格を継承し機能分化した別働部隊のような ものであると考えてよいであろう。
TACDの会員の種類は、とくにランクがあ るわけではなく、アメリカの26団体、ヨーロッ パの50団体という区別があるだけである。
したがって表1では、それらの50団体すべ てに○を付してある。またこの76団体に加 えて、CIを初め、オーストラリアのACC、カ ナダのフランス語圏の消費者同盟(Union des Consommateurs)など5団体がオブザーバー となっている。
なおCUを除くアメリカの主要な消費者団 体は、CIよりもむしろTACDを国際的な連帯 の舞台として位置づけている。したがってそ こには、CFAやNCLなどはもちろん、PCな
どのネイダーに起源を持つ団体も参加してい る。このことが、TACDが、消費者政策のみ ならず広く環境政策なども対象としている背 景である。
(4) 国際消費者研究テスト機構(ICRT)の 加入団体
ICRTは、1990年に設立された、そもそも はヨーロッパの消費者団体を中心とする、世 界各国の製品テスト機関の連絡組織である。
すなわちオランダのCB、ベルギーのテスト・
アシャ、ドイツの製品テスト財団(Stifung Warentest)は、1968年に最初の共同テストを 実施し、1972年にヨーロッパ・テスト・グルー プ(European Testing Group: ETG)を設立した。
やがてETGは、イギリスのCAなど多くの機 関の加入を得て、1982年にロンドンのCIの 事務所に本部を置き、毎年共同テストを実施 するようになり、1990年にはICRTへと改称 した。そしてICRTは、2004年に、アメリカ のCUを初めとする世界各国の機関の加入を 得て、ヨーロッパ諸国の連絡組織から世界的 なそれへと発展したのである10。
このようにICRTにおいて、CUそれ自体は 新参者である。しかしCUを起源とする消費 者団体のアメリカ・モデルを導入した団体、
とくにヨーロッパにおけるそれを検討する上 で、ICRTはきわめて重要な位置づけを持つ。
なぜならICRTは、「各国のCUの国際組織」
として結成されたIOCU、およびその後身で あるCIから、その性格の変化に伴って、製 品テスト機関の国際組織としての性格を継承 し機能分化した別働部隊のようなものだと考 えられるからである。
ICRTの会員の種類はとくにない。その会 員数は計34団体であるが、そのうちヨーロッ
9 TACDについては、同組織のウェブ・サイト(http://tacd.org/)以外には、Rhoda H. Karpatkin and Cristian Thorun, “Transatlantic Consumer Dialogue”, Brobeck and Mayer eds, op.cit, 2015, pp.473-477を参照されたい。
10 ICRTについては、同組織のウェブ・サイト(http://www.international-testing.org/)を参照されたい。
パの会員数は24団体となっている。そこで 表1では、それらの24団体すべてに○を付 してある。なおICRTは、上記の3つの国際 組織と違って、国連、EU、あるいは各国の政 府に影響力を行使する公共利益団体としての 性格は弱い。
(5)ヨーロッパの主要な消費者団体
以上のようにCI、BEUC、TACD、ICRTに ついて概観した上で、表1のようにヨーロッ パの112機関のそれらへの加入を基準とする と、ヨーロッパの主要な消費者団体を選択す る作業が可能となってくる。すなわち主要な 消費者団体であると見なされるためには、ま ず世界的な連絡組織であるCI、およびヨー ロッパにおける連絡組織であるBEUCの正会 員となっている必要があろう。またアメリカ の消費者団体と交渉する資格という点から、
TACDの会員である必要もあろう。
そこでこの3つの国際組織への加入とい う基準を満たす消費者団体は、表1の112 機関のうち、イギリスのCA、イタリアの アルトゥロ・コンスーモ、オーストリアの オ ー ス ト リ ア消 費 者 情 報 協 会(Verein für Konsumenteninformation: VKI)、オ ラ ン ダ の CB、ギリシャの消費者協会「生活の質」(Έ CB、ギリシャの消費者協会「生活の質」(Έ CB、ギリシャの消費者協会「生活の質」( νωση Καταναλωτών “Η Ποιότητα της Ζωής”: EKPIZO)
と消費者保護センター(Κέντροέντροέ Προστασίας Καταναλωτών: KEPKA)、スウェーデンのス ウ ェ ー デ ン消 費 者(Sveriges Konsumenter)、
スペインの消費者・利用者連合(Confederación de Consumidores y Usuarios: CECU)と消費者・ 利 用 者 機 構(Organización de Consumidores y Usuarios: OCU)、ス ロ ベ ニ ア の ス ロ ベ ニ ア消 費 者 協 会(Zveza Potrošnikov Slovenije:
ZPS)、デンマークの消費者委員会ツィンク
(Forbrugerrådet Tænk)、ドイツのVZBV、フィ ンランドの消費者同盟(Kuluttajaliitto)、フ ランスの消費・住宅・環境(Consommation, Logement et Cadre de vie: CLCV)とUFC、ブ
ルガリアのブルガリア消費者協会アクティブ・ コ ン シ ュ ー マ ー ズ(Българска национална асоциация АКТИВНИ ПОТРЕБИТЕЛИ:
БНАП)、ベルギーのテスト・アシャ、ルー マ ニ ア の消 費 者 保 護 協 会(Asociatia pentru Protectia Consumatorilor din Romania: APC)の 18団体となる。
これらの18団体は、上記の3つの国際組 織に政府機関なども含まれる中で、各国にお いて非政府・非営利組織としての消費者団体 として活動している。したがっていずれも、
ヨーロッパ諸国の主要な消費者団体として位 置づけるのにふさわしい。そこでこれらの団 体については、表1において太字で表記して ある。
しかし本稿において取り上げるべきは、
ヨーロッパ諸国の主要な消費者団体の中で も、CUに起源を持つアメリカ・モデルを採 用した消費者団体、つまり製品テストに基づ く消費者情報という経済的・物質的便益を選 択的誘因とする顧客消費者団体である。とい うことは、そのような消費者団体は、上記の 18団体の中でも、製品テスト機関の連絡組織 であるICRTへの加入団体である必要がある。
そこで上記の18団体のうち、ICRTへの加 入という基準を満たす消費者団体は、イギリ
スのCA、イタリアのアルトゥロ・コンスー
モ、オーストリアのVKI、オランダのCB、
スウェーデンのスウェーデン消費者、スペイ
ンのOCU、スロベニアのZPS、デンマークの
ツィンク、フランスのUFC、ブルガリアのア クティブ・コンシューマーズ、ベルギーのテ スト・アシャの10団体に絞られる。これら の消費者団体はいずれも、CIとBEUCの正 会員であり、TACDの会員であり、またICRT の会員として製品テストに基づくメディアを 発行する、CUをモデルとする顧客消費者団 体として位置づけられる。そこでこれらの消 費者団体については、表1において網掛けに してある。
このように整理すると、実は重要な消費者 団体でありながら、この10団体に入らない 団体もある。その典型は、ドイツのVZBVで あろう。VZBVは、ドイツ国内においてはも ちろん、CIやBEUCにおいても大きな役割を 演じているが、製品テストは実施していない。
ドイツにおいては、製品テストは、非政府・
非営利の消費者団体ではなく、準政府機関で ある製品テスト財団(Stifung Warentest)が実 施しているからである。その意味でドイツは、
ヨーロッパの主要国の中では、CUを起源と する消費者団体のアメリカ・モデルを導入し なかった国であると言えよう。
いずれにせよ、ヨーロッパにおいて消費者 団体のアメリカ・モデルを導入した代表的な 団体は、上記の10団体ということになる。
そこで以下では、その中でもさらに代表的な 顧客消費者団体として、上記の4つの国際 組織の結成を主導するなどした、オランダの
CB、イギリスのCA、ベルギーのテスト・ア
シャ、フランスのUFC、イタリアのアルトゥロ・ コンスーモについて、それらの設立時の状況、
およびそれらの周辺の団体や機関の状況を中 心に概観していく。
4. ヨーロッパの主要な消費者団体にお けるアメリカ・モデルの受容と展開
CUを起源とする消費者団体のアメリカ・
モデルを採用した消費者団体、つまり製品テ ストなどに基づく消費者情報という経済的・
物質的便益を選択的誘因とする顧客消費者団 体は、ヨーロッパの多くの国に存在し、それ らの国において主流の消費者団体となってい る。そこでここでは、その代表的な事例とし
て、オランダのコンジュメンテボンド、イギ リスの消費者協会(CA)、ベルギーのテスト・ アシャ、フランスの消費者連合同盟(UFC)、
およびイタリアのアルトゥロ・コンスーモに ついて概観する。論述の順番は、設立の順番 ではなく、製品テストを実施する消費者団体 となった順番である。
なおイギリス、フランス、イタリアについ ては、ここで紹介する消費者団体の他にも多 様な団体が存在するため、それらについても 言及しておく。それらの国において、アメリ カ・モデルを採用した消費者団体がどのよう な位置づけを持つのかを明らかにするために は、消費者団体間の関係、あるいは消費者団 体と政府の関係を検討しておく必要があるか らである。
(1)オランダのコンジュメンテボンド(CB)
ヨーロッパ諸国どころかアメリカ以外の国 において、消費者団体のアメリカ・モデルを 最初に自覚的に導入したのは、意外にも小国 オランダのCBであった。オランダには、主 要な消費者団体は、基本的にはCBしか存在 しない。したがってここでは、CBについて のみ概観しておく11。
CBは、1953年に、オランダ消費者同盟
(Nederlandse Consumentenbond)として設立さ れた。現在は、正式名称からオランダを外し、
コンジュメンテボンドを組織名として活動し ている。
CBの設立の経緯としては、1953年に、CU の『コンシューマー・リポーツ』に感化され た3人のオランダ人が、CBを設立し、製品 テストに基づき消費者情報を提供する会員制 の雑誌として『コンスメンテギズ』の発行を 開始した。
11 オランダの消費者団体などについては、Joop Koopman, “Dutch Consumer Movement”, Brobeck and Mayer eds., op.cit., 1996, pp.227-232; “Dutch Consumer Movement”, Brobeck and Mayer eds., op.cit., 2015, pp.173-181 を参照されたい。
CBは、1959年には10,000人の会員を集 めたが、1962年に大きな危機を迎えること となった。CBは、タバコのテストにおいて、
様々なブランドのニコチンとタールの含有量 を比較した際に、アメリカのレキシントン社 の輸入タバコについてきわめて低い評価を下 した。そのためレキシントン社のタバコの販 売は急落し、ブランドを傷つけられた同社は、
CBに対して訴訟を提起することとなった。
裁判の判決は、ブランド間でテスト方法が異 なるというCBの不備を指摘するものであり、
レキシントン社の勝訴であった。
しかしCBは、皮肉にも、この裁判を通じて、
大企業と戦う組織としてのイメージを国民に 植え付けることに成功した。『コンスメンテギ ズ』の販売は、大きく伸びた。そしてCBは、
そこから獲得した資源を活かして政治的・経 済的活動を展開し、消費生活協同組合や婦人 団体などの伝統的な消費者関連の組織が影響 力を失う中で、消費者利益の代表としての地 位を確立していったのである。
CBは、CUと同様に、テストの対象となる 企業からはもちろん、政府からの自立性も志 向した。CBは、1957年に、労働組合や婦人 団体とともに、政府に影響力を行使するため に、消費者コンタクト(Konsumenten Kontakt:
KK)を結成した。ところがKKが政府から
の補助金を受領したため、自立性を志向した CBはそこから離脱した。とはいえ以後のオ ランダでは、CBとKKが消費者団体の両翼 として活動した。そしてCBは、KKが1994 年に解散した後は、オランダで唯一の有力な 消費者団体として活動している。
CBの会員数は、1997年に65万人を超え 頂点を極めたが、その後は減少し、2015年の 時点で48万6000人となっている。CBの収 入は、基本的にこの会費収入、つまり『コン スメンテギズ』の購読料である。しかしCBは、
その一方で、たとえば製品テストで好成績を 収めた企業が、その結果を製品の広告に使
うことを有償で認めている。また消費者が製 品を購入する際にCBが仲介するサービスを 行っており、このサービスについて、消費者 は無料だが、企業からは一定の手数料を取っ ている。これらの点は、財源を確保するため のやむを得ざる手段ではあるが、企業からの 自立性を志向したCBの本来の趣旨から見る と、妥協せざるを得なかった点のようである。
CBは、国際的な連帯においても先駆的な 存在であり、前述のように、1960年にはCU およびCAとともにIOCUの結成を主導し、
1962年にはBEUCの結成を主導した6団体 の1つとなっている。また1988年には、初 代事務局長を記念したアンネ・フランセン基 金(Anne Fransen Funds)を創設し、当初は東 欧諸国の、また現在では途上国の消費者団体 を財政的に支援している。同基金は、2017年 には、チリ、インド、フィージー、エクアドル、
マレーシア、セネガルの消費者団体に、それ ぞれ1万ユーロ程を支援している。
このようにCBは、CUを起源とする消費 者団体のアメリカ・モデルを基本的に継承し た消費者団体である。またそれは、ヨーロッ パにおける、そして世界における、このモデ ルの伝道者的な役割を担ってきた。先進国の 中では相対的に小国の、アングロサクソン諸 国でもないオランダにおいて、CBが結成さ れ発展しえたことは、引き続き検討を要する 興味深い問題であると言えよう。
(2) イギリスの消費者協会(CA)と周辺の 団体
イギリスについては、CUをモデルとする CA、およびその周辺の消費者団体などとし て、消費者問題研究所(Research Institute for Consumer Affairs: RICA)、全 英 消 費 者 連 合
(National Consumer Federation: NCF)、シティ ズンズ・アドバイス(Citizens Advice)、およ びコンシューマー・フューチャーズ(Consumer Futures)を概観しておく12。