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ホエイの入浴剤としての可能性 応用生物科学専攻

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文報告会,201728

ホエイの入浴剤としての可能性

応用生物科学専攻 食資源科学講座 酪農食品科学 品川 風太

1.目的

ホエイはチーズの製造過程で産出される副産物であり,原料乳やスターターに由来する有 効成分を豊富に含んでいる。しかしながら,中小規模のチーズ工場では設備や費用の面から ホエイの粉末加工が難しく,多くのホエイが廃棄物として処理されている。そこで本研究で は,ホエイの新たな利用法として,加工処理を行わずに入浴剤として使用することに着目し た。ホエイの入浴剤としての有効性を検証するため,加温したホエイが皮膚構成細胞の増殖,

分化および細胞外マトリックス産生能などに及ぼす影響を調べ,ホエイによる肌質改善効果 を評価した。

2.材料と方法

実験に用いるホエイは北海道大学北方生物圏フィールド科学センターのアグリフードセン ターでゴーダチーズを製造する際に産出されたものを用いた。まず7週齢のC57BL/6Nマウ スに麻酔としてソムノペンチルを腹腔内注射し,背部皮膚を剃毛処理した。入浴処理は38℃

に加温したホエイおよび水に麻酔下のマウス胴体を10分間浸漬することで行った。入浴処理 を毎日1回,5日間施し,最終日の入浴2時間後に背部皮膚を採取した。なお,入浴処理を 施さなかったマウスをコントロールとした。採取した皮膚からパラフィン切片を作製し,増 殖マーカーであるKi67の免疫染色を行い,表皮細胞におけるKi67陽性細胞数を測定した。

また,皮膚から抽出したmRNAを逆転写し,表皮細胞の増殖,分化および機能に関連する因 子の発現量を定量PCRによって測定した。

続いて,生後3日以内のICRマウス新生児から背部皮膚を採取して,表皮細胞と線維芽細 胞を単離,培養した。継代培養後,超音波処理および濾過滅菌した分子量3000以下のホエイ 画分を培地に添加して数日間培養した。培養後,細胞増殖活性をWST-8増殖アッセイによっ て測定した。また,各細胞の増殖,分化および機能に関連する因子の発現量を免疫染色およ び定量PCRによって測定した。

3.結果と考察

ホエイに5日間入浴したマウスでは,コントロールや水に入浴したマウスと比較して表皮 基底層の増殖細胞が有意に増加した。また,表皮細胞の培養では,高濃度ホエイ添加群で角 化マーカーであるKeratin 1などの発現が有意に増加しており,細胞の分化が促進されてい る様子も免疫染色で観察された。続いて,線維芽細胞の培地にホエイを添加したところ,細 胞増殖活性には影響を与えなかったが,真皮を構成する主要コラーゲンであるⅠ型コラーゲ ンおよびⅢ型コラーゲンの発現量がどちらも有意に増加していた。以上のことより,ホエイ は表皮細胞の増殖および分化を促進し,線維芽細胞のコラーゲン産生能を増加させる作用を 持つことが分かり,一定以上の肌質改善効果を有することが示唆された。

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