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第 8 回日韓合同サマースクールを終えて

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Academic year: 2021

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核データニュース,No.112 (2015)

第 8 回日韓合同サマースクールを終えて

東京大学大学院工学系研究科原子力専攻 重照射管理部 神野 智史 [email protected]

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

1. はじめに

日韓合同サマースクールは、人材育成のために、若い時期の交流が国際的立場の中で次 世代の日韓の協力・共同歩調に役立つという認識の下、4部会(加速器・ビーム科学、核 データ、放射線工学、炉物理)により、学生・若手研究者の交流を支援する事業として始 まった。今年の第8回は、東京大学・上坂充先生を実行委員長として東京大学と日本原子 力研究開発機構(JAEA)との主催で平成27816日から21日にかけて、東海村の いばらき量子ビーム研究センターにて開催された。東海村で開催されるとあって、その特 徴を反映した講義内容であった。60分の特別講義1件、50分の講義12件、東京大学東 海キャンパスの施設を使った実験演習を4時間、さらにJ-PARCの見学も行った。参加受 講者は日本側14名、韓国側18名であり、日本人講師9名、韓国人講師4名、そしてス タッフは11名である。尚、本スクール参加者の各大学に対して、専攻にインターンシッ プ登録をし、レポートを提出して単位取得することを勧めた。そのためスクール終了後、

修了書を発行した。

講義の始まる前日の夕方に Welcome reception として、遠くからいらした参 加者を慰労するために懇親会が開かれ た。東海村の山田修村長にもご出席頂 き、挨拶を頂いた。原発を有する日韓の 自治体同士でも交流があることを述べ て、若い頃からの交流も次世代の協力・

共同歩調において大変重要であるとの お言葉を頂いた。

会議のトピックス(III)

1.懇親会 山田修村長ご挨拶

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2. 講義内容

初日に4部会ともに関連性の深いAccelerator-driven System(ADS)に関して、JAEA 西原健冶氏から特別講義があった。その後、福井大学の島津洋一郎先生から反応度計のノ イズ低減のために、新しいフィードバック方法を理論的に展開した講義があった。午後に は学生達によるポスターセッションを行った。

二日目の午前は JAEA の佐藤達彦氏から PHITS の概要とその物理モデルについて、

KAISTGyuseong Cho先生から放射線を使った画像化手法の概要とその応用について、

そしてJAEAの木村敦氏から核データ測定の概要についての講義があった。午後はKAIST Yonghee Kim 先生から、炉物理解析における均質化誤差低減法について、KAERI Sungkyun Park氏から、加速器のビーム輸送の基礎について講義があった。

三日目午前では、韓国 KAERI から Hyeong Il Kim氏により、核データ評価計 算手法の基礎に関して、JAEAの小浦寛之 氏から 3D 核図表を用いた原子核物理と 星の元素合成や原子核の性質や起源につ いて、J-PARCの山本風海氏から3GeV 子加速器における基礎的内容や大強度化 等の今後の展望について講義があった。

午後からは J-PARC の見学を行った。

講義会場にて J-PARC 広報担当のビーン

ブロッサム氏によるJ-PARC概況説明、JAEA佐々敏信氏による核変換実験施設の概要説 明を受けた後、バスに乗車しJ-PARCのある原子力機構原子力科学研究所に向かった。最 初の見学場所、J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)では、JAEA木村敦氏、KEK 2.いばらき量子ビーム研究センターで

の講義風景

3.学生によるポスターセッション風景

4.講義に用いられた3D核図表

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俯瞰しながら、パルス中性子の発生と利用のための装置群(中性子ビームライン)、ミュー オンビームラインについての説明を受けた。次の見学場所、ニュートリノモニター棟で は、KEKMegan Friend氏による解説を聞

きながら、巨大なピットの下にあるニュー トリノ検出器を覗き込んだ。J-PARCで発生 したニュートリノは、神岡のスーパーカミ オカンデに向けられているが、その延長線 上にある韓国でニュートリノ検出を行う計 画も検討されており、韓国の学生には興味 深い見学となったようだ。

四日目の実験実習では以下の 3 テーマに 分かれて行った。①ライナックを用いた実

習では、極短電子パルス生成とパルスラジオリシス実験を行った。ライナックの原理、計 測方法を理解するために、電子パルスのパラメータを計測した。次にこの電子パルスを用 いて、放射線化学反応の追跡手法であるパルスラジオリシス法を用いて水の放射線分解 反応の測定実験を行った。②原子力材料の照射損傷評価実験では、原子力材料の健全性評 価の考え方を理解することを目的として行った。中性子照射による照射損傷について学 んだ上で、イオン加速器を利用した材料評価試験計画をどのように立案するかを学ぶた めにいくつかの演習を行った。そして被照

射試料に対して、押し込み硬さ試験を行い、

脆化の大きさを定量的に評価した。③X ンドライナック実習では、まず、加速器の原 理やX線発生方法、X線ラジオグラフィー の理解を深めるため、簡単な計算問題や PHITS によるシミュレーションを行った。

その後、3.95MeVX バンドライナックX 源でコンクリート試料の透過像撮影実験を 行い、ビーム発散を考慮して内部鉄筋直径 の推定を行った。

五日目最終日は、JAEA羽島良一氏からレーザーコンプトン散乱γ線による核物質の非 破壊測定について、JAEAの眞田幸尚氏からは福島第一原発周辺地域の放射線測定につい て、国際廃炉研究開発機構(三菱重工)の中野誠氏から福島第一原発での燃料デブリの臨 界管理について、それぞれ講義があった。

6.東京大学東海キャンパスでの実習 5.J-PARC見学風景

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3. おわりに

最終日の午後にFarewell partyを開催した。このとき初日の午後に行われたポスター発 表においての優秀ポスター賞を発表した。審査の結果 Department of Nuclear Engineering, Hanyang University, Gi Young Hanさんを表彰した。

講義の最後には受講者にアンケートを行った。その結果を表1に示す。20名から回答 があり、概ね満足頂けたようである。特に「人的ネットワークを広げるのに役だったか?」

との質問には「とても」と答えた方が60%おり、日韓交流が有意義であったことを示して いる。自由回答では「もっと実験実習をしたかった」との意見が多かった。今回3テーマ の中から 1 テーマを選んで実験をしてもらったが、時間を増やしてでも他のテーマもし たかった方が多かったようである。この意見を汲んだカリキュラムを実現するのは、実験 担当者の負担もあるので難しいところであり、今後の課題と感じた。また、「開催期間を 10 日ぐらいにして欲しい」、「日本で研究をしたい」などの、意欲あふれる意見や感想が あった。以上のように、受講者は講義や実験実習を通じた学習から、自身の研究成果報告、

最先端の研究施設の見学、さらには国際交流などを一度に体験でき、有意義なサマース クールになったと思われる。

1.アンケート結果

とても ある程度 少し いいえ 講義が自分の専門分野を深めるのに役だったか? 6 11 3 0

専門外に視野を広げるのに役だったか? 7 13 0 0 人的ネットワークを広げるのに役だったか? 12 7 1 0 国際的感覚を身につけるのに役だったか? 6 11 3 0

後輩に参加を勧めたいか? 9 11 0 0

8.ポスター賞授与式 7.懇親会風景

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謝辞

最後に、本スクールを開催するに当たり、日本原子力研究開発機構の羽島良一様、多田 健一様、国枝賢様、岩元洋介様から様々な助言、会場の準備、スクールの進行などのご支 援を頂きましたお陰で、スクールを円滑に進めることができました。日本原子力学会から は国際協力推進費を通じたご支援を頂きました。講師の先生方にはご多用にもかかわら ず、講義のために駆けつけて頂きました。東京大学原子力専攻のスタッフ・学生皆様から は受付や実験の実施などにご協力頂きました。皆様にはこの場を借りまして心より感謝 申し上げます。

9.集合写真

参照

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