微分積分学および演習Ⅰ 演習問題 1
2018年度前期
工学部・未来科学部
1年 担当
:原 隆
(未来科学部数学系列・助教
)
自習課題 Seatwork
※ 必ず
1度自分なりに解いてみてから 解答をチェックすること
!!(
解答は講義用ウェブページからダウンロード出来ます
) Try to give your solutionsbefore checking the answer.You can download the answer from the webpage of this class.
問題
1-1. (逆余弦関数と逆正接関数
)逆三角関数に関する以下の設問に答えなさい。
(1) n
を整数とするとき、 逆余弦関数
arccosine functionf(x) = arccosx (nπ≤f(x)≤π+nπ)について以下の設問に答えなさい。
(a) f
の定義域
Df,値域
Efを求めなさい。
(b) y =f(x)
のグラフの概形を描きなさい
(nの偶奇で場合分け をすること
)。
※ 「n」という文字に抵抗のある人は、先ずは具体的にn= 0,1などの場合を考えてみよう。
(2) α
を実数とするとき、 逆正接関数
arctangent functiong(x) = arctanx (α≤g(x)< α+π)について以下の設問に答えなさい。
(a) g
の定義域
Dg,値域
Egを求めなさい。
(b) y =g(x)
のグラフの概形を描きなさい。
※ 「α」という文字に抵抗のある人は、先ずはα= 0,−1 2π,1
4πなど、αが具体的な数の場合を考えよう。
問題
1-2. (逆三角関数の値
)※ 試験で必ず出題されます
!!以下の逆三角関数の値を求めなさい。
(1) Arccos (
− 1
√2 )
(2) sin−1 (1
2
) (3
2π≤sin−1x≤ 5 2π
)
(3) arccos(−1) (−2π ≤arccosx≤ −π) (4) Arctan (−√ 3)
(5) tan−1(−1) (0≤tan−1x < π) (6) cos−1 (√
3 2
)
(π ≤cos−1x≤2π) (7) arcsin(0)
(1
2π ≤arcsinx≤ 3 2π
)
(8) arctan ( 1
√3
) (1
4π ≤arctanx < 5 4π
)
※(1), (4)は逆三角関数の 主値 です。
【解答】
問題
1-1.(1)
逆余弦関数
f(x) = arccosxに関する問題。
(a)
定義域
Df ={x∈R| −1≤x≤1},*1値域
Ef ={y∈R|nπ ≤y≤π+nπ} (b) nの偶奇に応じて図は以下の様になる。
(
ア
) n= 2m(偶数
)のとき
(イ
) n= 2m+ 1 (奇数
)のとき
O
x y
nπ
nπ+π
−1 1
Ef y=f(x)
= arccos(x)
Df O
x y
nπ nπ+π
−1 1 Ef
y=f(x)
= arccos(x)
Df
(2)
逆正接関数
g(x) = arctanxに関する問題。
(a)
定義域
Df =R(実数全体
)値域
Ef ={y∈R|α≤y < α+π, y̸= π2 +nπ(n
は整数
)}*2 (b)図は以下の通り。
O Df
x y
α α+π
tan(α)
Ef y=f(x) = arctan(x)
*1−1≤x≤1を満たす実数、閉区間[−1,1]など、きちんと定義域を言い表していたら正解としています。
*2y= tanxのグラフの「漸近線」x=π2 +nπ (n∈Z)にあたる部分が値域から外れます。但し、非常に微妙な部分で はありますので、今回はこの部分を抜いていなくてもおまけで正解としました。
【解説】逆三角関数
arccosx及び
arctanxの性質に関する問題。この講義では敢えて逆三角関数を考 える際には主値だけではなく、 範囲も込めて考える ということを強調したので、特に
y = arccosxのグラフに関しては 考える範囲に依ってグラフの形が変わってしまうこと を確認してもらいまし た。場合分けが少し難しいかもしれないかと思いましたが、予想以上に出来が良くてうれしい限りで す。ただ
nが偶数の場合の図と奇数の場合の図が逆になっている人 が
(少数ですが
)確認されまし た。恐らく単なる勘違いだとは思いますが、もう一度グラフを「裏返して」見たりして考え直してみ て下さい。
y= arctanx
のグラフは、他の
arcsinxや
arccosxのグラフとは大分様相が異なるのですが、敢 えてノーヒントで出題してみました。描き方に苦労している人が多く、殆どの人が
α=−π2
の場合
の図や
y=α,y =α+πがともに漸近線となっている場合の図を描いていました。そんな中にも一 般の
αの時の図を描いてくれている人もいました。お見事です。
問題
1-2.(1) Arccos (
− 1
√2 )
(
つまり
0≤Arccosx≤π)図より
Arccos (− 1
√2 )
= 3 4π.
O x
y
− 1
√2 3 4π
(2) sin−1 (1
2 ) (
3
2π≤sin−1x≤ 5 2π
)
図より
sin−1 (12 )
= 13 6 π.
O x
y
1 2
13 6 π
(3) arccos(−1) (−2π≤arccosx≤ −π)
図より
arccos(−1) =−π.O
−1 x
y
−π
(4) Arctan (−√ 3) (
つまり
−12π ≤Arctanx < 1
2π)
図より
Arctan (−√
3) =−1 3π.
O 1 x
y
−√ 3
−1 3π
(5) tan−1(−1) (0≤tan−1x < π)
図より
tan−1(−1) = 3 4π.O 1 x
y
−1 3 4π
(6) cos−1 (√
3 2
)
(π ≤cos−1x≤2π)
図より
cos−1 (√3 2
)
= 11 6 π.
O x
y
√3 11 2
6 π
(7) arcsin(0) (1
2π≤arcsinx≤ 3 2π
)
図より
arcsin(0) =π.0 O x
y
π
(8) arctan ( 1
√3
) (1
4π ≤arctanx < 5 4π
)
図より
arctan ( 1√3 )
= 7 6π.
O 1 x
y
√1 7 3
6π
【解説】 逆三角関数の値を求める問題。ポイントは 考えている範囲の中で 対応する「角度」を求め る、と言う点ですが、講義中にかなり強調したこともあってか、範囲に注目することに関してはこち らの想定を上回って皆さん非常に気を使っていらっしゃったと思います。頼もしい限りです。
むしろ単なる勘違いも含めたイージーミスの方が目立ちました
(例えば
13 6 πと
76π
の取り違え、
11 6 π
と
53π
の取り違え等
)。特に
π3
関係の角度と
π6
関係の角度は最初のうちは極めて紛らわしいの で、慣れないうちは 必ず図を描きながら 確認することをお薦めします。また、答えに「
12 π
」のよ うな
12を分母とする角度が出て来ていた人もちらほら見かけましたが、逆三角関数の値を求める問 題で分母が
12となるような角度が答となることは 非常に稀です
!!*3何枚か 主値 を勘違いしている
(或いは覚えていない
)と推察される答案も見受けられました。講 義でも述べましたが、主値は
−π
2 ≤Arcsin (x)≤ π
2, 0≤Arccos (x)≤π, −π
2 <Arctan (x)< π 2
です。これに関してはさっさと丸暗記してしまいましょう。
*3例えば 5
12π= 75◦, 11
12π= 165◦ 等の三角比の値は、高校でも(発展問題として解いたことがある人はいるかもしれ ませんが)きちんとは扱っていませんよね? したがって逆三角関数の値を求める問題でも、これらの角度が答になる ことはまずあり得ません。