フィルムレス運用後の問題点と
その対策について
千葉県がんセンター 画像診断部 小原 信也 ・千葉県がんセンターは、昭和47年11月に設立され、今年で36年 目を迎える。 ・病院機能の変化に伴い、当センターの理念も「心と体にやさしい がん医療」に一新し、「医療を受ける人の人格と権利を尊重し、 最適ながん医療の提供を目指す」更なる改革に取り組んでい る。 ・平成18年8月に「都道府県がん診療連携拠点病院」、 平成20年7月よりDPC制度による算定。病院の概略
・平成14年5月に医事関連、検体検査、給食、薬剤管理のオーダ リングシステムを構築したところから始まる。 ・平成17年4月に新たな契約手順に従って見直しが行われ、平成 17年9月に新システム導入が決定。 ・平成17年10月より新たに電子カルテ導入準備委員会を設置し、 「チーム医療の推進と業務改善を行うツールとしての電子カル テ」として、部門システムの新規導入とマスタ登録を担当部署 の職員が行うなど、短期間に多大な負担を強いることになった が、委員会メンバーと若いスタッフの爆発的な力をもって、平成 18年4月1日に電子カルテを稼動した。当センターの医療業務IT化
・平成16年5月 PACS稼動 ・平成18年1月 フィルムレス運用開始 ・平成18年4月 電子カルテ、RIS運用開始 ・平成18年7月 RIS拡張(超音波・内視鏡部門) ・平成18年9月 RIS-PACSオーダ連携開始・ PACS拡張 ・平成19年7月 RIS拡張(手術室超音波・超音波内視鏡・HIFU) ・平成20年9月 PACS拡張画像診断部門のIT化
過去5年間経営指標の推移
過去5年間経営指標の推移
CT検査件数
情報の相互利用と標準化
Modality
PACS
RIS
HL-7 JJ1017DICOM MWM(Modality Worklist Management)
HL-7 JJ1017 ・システム間の会話に共通言語(標準規格) ・接続は当たり前で快適に利用する時代 ・電子カルテからの入力情報はシームレスに共有 Query&Retrieve Storage Commitment Storage
DICOM MPPS(Modality Performed Procedure Step)
HIS
HL7(Health Level Seven)
・医療情報の電子データ交換規約である。 ・特定の部門やシステムに特化したものではなく、いわばヘルスケア全 般におけるデータ交換標準である。 ・HL7が包含する範囲は、患者基本情報や検査情報などの臨床データだけで なく、入退院、転科、医事会計情報なども規定されており、病院業務のほとんど をカバーしている。 ・ネットワークインフラや機種に依存なし HL7はネットワーク構造の規格であるOSIの第7層(アプリケーション層)におい て、データ及びデータ交換の方法を規定した。 (encoding 、decodingは6層、5層も) ・メッセージ伝達は「院内」から「院外」へ HL7は病院施設内のシステム構築だけでなく、地域の病診連携システムのよ うな大規模システムの構築でも、大きな役割を果たす規格。HL7(Health Level Seven)
HIS-RISとのスムースな情報交換を目指し、JAHIS放射線 データ交換規約Ver1.1に準拠する形でHL7(Ver2.5)を採用した。 ※保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS) ・患者情報通知(ADT/ACK)メッセージ ・放射線検査依頼通知(ORM/ORR)メッセージ ・患者到着確認通知(ORU/ACK)メッセージ ・放射線検査結果通知(ORU/ACK)メッセージのタイミング 患者プロファイル情報(感染情報、禁忌情報など)は、検査に対し OBX(検査結果セグメント)の形で情報伝達する。
JJ1017
Ver3.0
(放射線マスタコード)
JIRA(日本画像医療システム工業会)
JAHIS(保健医療福祉情報システム工業会)
DICOM補遺10 : MWM
DICOM補遺17 : MPPS
32桁コード 前半部分(JJ1017-16M) 手技コード部(モダリティ、大分類、小分類、手技拡張) 部位コード部(小部位、左右等) 姿勢・撮影コード部(姿勢・体位・撮影方向) 後半部分(JJ1017-16S) 撮影条件等の詳細指示コード部(撮影体位、特殊指示、核種) 超音波コード部(超音波モード) 将来の拡張用領域オーダーエントリー時分解(JJ1017)
X線単純撮影 「全身骨」(多発性骨髄腫)17部位 診断装置側がJJ1017を判断することで、X線管や検出器を自動制御し、最適な 画像処理が行われる。 10000001000002000000010000000000 X線単純撮影頭部正面(A-P) 10000001000004000000010000000000 X線単純撮影頭部側面(指定なし) 10000003510002000000010000000000 X線単純撮影頚椎正面(A-P) 10000003510004000000010000000000 X線単純撮影頚椎側面(指定なし) 10000003530002000000010000000000 X線単純撮影胸椎正面(A-P) 10000003530004000000010000000000 X線単純撮影胸椎側面(指定なし) 10000003540002000000010000000000 X線単純撮影腰椎正面(A-P) 10000003540004000000010000000000 X線単純撮影腰椎側面(指定なし) 10000003200002000000010000000000 X線単純撮影骨盤正面(A-P) 1000000407L002000000010000000000 X線単純撮影左大腿骨正面(指定なし 1000000407R002000000010000000000 X線単純撮影右大腿骨正面(指定なし) 1000000683L002000000010000000000 X線単純撮影左上腕骨正面(指定なし) 1000000683R002000000010000000000 X線単純撮影右上腕骨正面(指定なし)手技詳細情報確認画面
X線パネル(撮影条件) 詳細情報エリア 検査名 方向名 X線管選択、検出器選択、付加フィルター、グリット イオンチャンバー 感度 アーム位置 絞りサイズ 管球位置情報 撮影条件X線管支持器カラー液晶画面
手技詳細情報確認画面の項目は手元で変更可能 ポジショニングを行いながら変更と確認ができる。オーダーエントリー時分解(JJ1017)
D-CT撮影 「胃精密検査プロトコル」
60000002900000000000010000000000単純肝臓仰臥位 60001002720200000027010000000000造影胃仰臥位画像再構成 60001002500000LP0000010000000000造影肝-骨盤 前処置の必要性 プロトコル名 詳細コメント 造影剤注入量、注入スピード 撮影開始のタイミング VR、MPRなどの再構成画像の提供オーダーエントリー時分解(JJ1017)
D-CT撮影 「大腸精密検査+胸部プロトコル」
60000002910000000000010000000000単純肝臓仰臥位 60001002810200000027010000000000造影大腸仰臥位画像再構成 60001006400000CL0000010000000000造影胸部-肝臓
MWM : Modality Worklist Management SOP Class MWM SOPクラスは、 予約済み検査情報(Worklist Item)を検索する(C-FIND) 検査前にHIS/RISで持っている予約情報、依頼情報、患者情報をモ ダリティに送信することにより、検査実施時にモダリティコンソールで 患者情報や依頼情報を入力する手間が省け、また患者氏名やIDな どの入力ミスの機会を減らすことができる。 以前は、DICOM規格のPart3に補遺10(Supplment10)として規定 現在は、DICOM規格のPart4
Annex K : Basic Worklist Management Service Class Annex K.6 : Modality Worklist SOP Class
DICOM Worklist
検査装置の変更
Study Instance UID
Study Instance UID は、MWMで通信を行う場合、RIS(MWMの SCP)がStudy Instance UID を発番する。
そこで、RISが発番したStudy Instance UID(0020,000D)を揃え ることで、1オーダに紐付けできる。
X線一般撮影
FPD &CRENBD&胆管ステント挿入
RF &ES超音波内視鏡
ES &USMPPS: Modality Performed Procedure Step MPPS SOPクラスは、 実施済み検査情報(MPPS IOD)を作成する(N-CREATE)。 更新する(N-SET)。 実施済み検査情報をHIS/RISに登録すことができる。 以前は、DICOM規格のPart3に補遺17 (Supplment17)として規定 現在は、DICOM規格のPart4
Annex F : Study Management Service Class
Annex F.7 : Modality Performed Procedure Step SOP Class Annex F.8 : Modality Performed Procedure Step Retrieve SOP Class Annex F.9 : Modality Performed Procedure Step Notification SOP class
DICOM Worklist
MPPS
[Modality Performed Procedure Step]
キーとなるタグと属性名 (0008,0050) Accession Number (0020,000D) Study Instance UID (0040,0241) Performed Station AE Title (0040,0252) Performed Procedure Step Status (0040,0260) Performed Action Item Sequence (0040,1001) Requested Procedure ID (2000,0030) Medium Type (2010,0050) Film Size ID (2100,0170) Number of Films (0018,0060) KVP (0018,1150) Exposure Time (0018,1151) X-ray Tube Current
MPPS
MPPS
・Verification Service Class ・Storage Service Class ・Query/Retrieve Service Class
・Study Content Notification Service Class ・Patient Management Service Class ・Study Management Service Class ・Results Management Service Class ・Print Management Service Class ・Media Storage Service Class ・Storage Commitment Service Class ・Basic Worklist Management Service Class ・Queue Management Service Class
Service Class
・画像データの安全な保管コミット ・Storage機能で転送した画像データと付帯情報が転送先に 正確に保存されたことを確認する機能 ・画像データの送り手がこの機能を受け手に対してリクエス トする。 ・SOPインスタンス保存の約束の性質(保存の期間、取得能 力と応答時間、容量)については文書化Storage Commitment Service Class
モダリディ 画像サーバ C-Store 画像送信 C-Action C-Event-Report-RQ 画像保管要求 画像保管結果 Storage Service Storage Commitment Service 画像を識別できるように画像ごとにSOP Instance UIDをつけて画像送信送信した画像を全て保管するようにSOP Instance UIDを送信
・ 当センターの画像サーバでは、Storage Serviceで画像を受 信後、直ちにレスポンスを返している。
この後、圧縮処理やDB登録処理を行っているが、この時のエ ラーはモダリティ側では判らなかった。
・ そこで、Storage Commitment Serviceを利用することにより、 画像に問題があり画像サーバの登録が行えない場合などの 結果が、モダリティ側で判るようになった。
・ C-ActionからC-Event-Reportを送るまでは時間を要するた め、送信側モダリティおよび画像サーバ側それぞれにタイム アウト設定がある。
Storage Commitment Service Class
Storage Commitment Service Class
IVR-CT Sensation 16
Angio (cone-beam CT) AXIOM Artis dTA 3D-WS syngo XWP
MR-2 MAGNETOM Avanto 1.5T SIEMENS(Study,Series,Image) SCフラグ CT-1 Light Speed Ultra
MR-1 SIGNA EchoSpeed 1.5T GE(Study),Archive Y/Nフラグ FCR Speedia ×2台 Fuji(Image) コミットメント送信中フラグ
RIS-PACS間のオーダ連携
・ PACS側もHL7-JJ1017コードを用いてオーダ連携を行う。 今回、実装したオーダ連携は、SWF、HL7 ORM、HL7 ADTを行った。 ・ 画像を受信すると、オーダ情報と画像情報をAccession Numberによる自動マッチングを行う。 ・ PACSは、院内情報ネットワーク端末にスムースに画像を提 供するだけでなく、レポートも一体化できる環境を整える ・ モニター診断は、患者さんが求めている情報を適切に提供で き、患者自身が治療方針の決定や治療経過を迅速に理解する ことで、積極的かつ協力的な治療が実施できる環境を提供でき、 患者-医療者間のパートナーシップが強化できる。・フィルム運用していた頃、フィルムや読影レポートが他人の子袋などに誤って混入してしまった。 ・検査時に登録した患者氏名が間違っている。
画像情報とオーダ情報のマッチングキー
・ 患者ID+AccessionNumber(OrderNo)
QA(検像)端末について 画像サーバに登録後に情報を変更できるPACSとできないPACSがあります。 各ベンダのポリシーによるが、変更できないシステムでは、QA(検像)端末を用 いて情報を確定させている。 主な機能は、濃度調整、画像順・シリーズ順調整などの画像調整機能があり、 施設によって、患者情報チェック、検査結合、検査分割などに利用している。 但し、各モダリティの近くにQA(検像)端末が必要となる。オーダ情報の受信タイミング
上位システムからのオーダ情報を連携用DBに登録し、画像サー バで常時監視することで未取込のオーダがあれば取得する。・ オーダ発生時
・ 検査開始時
・ 検査終了時、事後入力時
X線撮影時の体位と方向の変更 検査手技の変更(ERCPからENBDやステント留置) 担当技師の変更・ QA(検像)端末が画像受信時
MRI画像のオーバーレイ
MRI画像では、計測結果などを含んだ画像を生成するときに、 画像(7FE0 , 0010)のピクセルサイズと同じピクセルサイズの 情報としてオーバーレイ(60XX , 3000)を生成する。 そのときのピクセルサイズが256×256と小さいと、文字などを 画像として表示した場合に、表示が粗くなる。 元 画 像 が 512×512 ピ ク セ ル 以 上 で あ れ ば 、 あ る 程 度 の Qualityが確保できる。
MRI画像のオーバーレイ
FOV合わせ機能
GEMS FOV240mm SIEMENS
(0028,0010) Row 512 Row 320 (0028,0011) Columns 512 Columns 240
FOV合わせ機能
GEMS FOV240mm SIEMENS
その他、Table Positionを用いたスライス位置合わせ機能など http://www.chiba-cc.jp/
千葉がんでは、
モダリティーの高性能化に伴い、発生する画像デー
タ量も急激に増加しており、診療の質の向上や効率化
を図る意味でも、大容量画像データを扱う放射線部門
の情報化が重要な要素になっている。また、最新の医
療技術を融合することで、診療放射線技師のワークフ
ロー改善にも繋がっている。
IVR-CT & cone-beam CT
http://www.chiba-cc.jp/Thin slice データの保管管理
MSCTPACS
Cone-beam CT DICOM Storage DICOM Query&Retriev MRINET Server
DICOM接続費用などの設備投資が節約できる。 http://www.chiba-cc.jp/ネットワーク型画像処理サーバ
・Thin slice データの保管や管理が容易である。
IVR-CT、Cone-beam CTなどの大容量データの一時保管 DICOM Storage、DICOM Query&Retrieve が高速である embolizationは継続的に行われるが、AngioのWSではHD容量に制限
・Non Vascular IVR
インタラクティブストリーミング配信によるリアルタイム表示 拡大表示や連続表示を行っても画質が劣化しない
・カンファレンス
情報の共有化とカンファレンス時の記録急性腹症(小腸閉塞症)
小腸閉塞症において、D-CTを用いて腸管虚血を伴う絞やく性腸閉 塞を速やかに診断する必要がある。 ・機械性腸閉塞 単純性腸閉塞 : 腸管虚血(-) 両端閉塞型腸閉塞 : 腸管虚血(-) 絞扼性腸閉塞 : 腸管虚血(+)・・・腸管虚血、腸管壊死、腸管穿孔、腹膜炎 ・機能性(麻痺性)腸閉塞 腹膜炎 電解質異常 薬剤 ・機械性腸閉塞の原因 管内性 : 胆石、食物、異物誤嚥 腸管壁由来 : 腫瘍、炎症、虚血 管外性 : 癒着、ヘルニア、腸管捻転D-CT撮影による急性腹症精査
医師が電子カルテから【急性腹症プロトコル】を選択する
オーダーエントリー時分解(JJ1017)単純肝-骨盤
60000006500000LP0000010000000000
造影小腸画像再構成
60001002750200000027010000000000
slice : 5mm(1.25mm) Injector : 150ml使用時4.6ml/sec delay : 30sec透視室Ⅰ
透視室Ⅱ
症例Ⅰ
• 84歳 男性 • 平成19年2月 幽門前庭部癌 • 平成19年10月 腹痛、嘔吐 • D-CT上、正中創の癒着によるイレウスと考えられた。 • 胃管では減圧しきれず腹水もあることからイレウス管挿入 Slab-VRKVMスイッチの活用
・コンピューターにおける基本的なユーザーインターフィス・デバイス であるキーボード(K)、ビデオ・モニタ(V)、マウス(M)の3つを切り替 えて使うための装置。 ・ラック・マウント型のサーバー・システムの集中管理など様々なシー ンで応用されている。 ・安定したモニタ画像を数百メートル程度の距離まで接続可能であ る。Keyboard/Video/Mouse switch
診療情報の共有化
千葉県がんセンターでは、電子カルテの運用開始に伴い、地域 の医療機関との間でCD-Rなどに記録した画像情報の連携(メ ディア交換)を行ってきた。それにより、検査目的を達成した他 院のデータであれば、同様の検査を再度せずに済むだけでなく、 治療方針決定に役立てる診療科もある。 そこで、施設間での情報交換にあたり技術的な標準化(異なっ た環境でも情報交換できる)と問題点について紹介する。
業務実績
医療助手 診療放射線技師フィルムディジタイザによる借用フィルムのスキャン
Analog/Digital変換のため、 ・ウィンドウィング処理に限界がある。 ・取込まれた画像は、計測や解析ができない。 ・元画像にはない情報も取込まれる。 ・特殊なフォーマットは分割読込みができない。借用フィルムのスキャン依頼
Import
画像DICOM File Header View
DICOM Tag : group4桁 + Element番号4桁 group番号 ex. 0008 検査に関するTag 0010 患者に関するTag 0018 装置の撮影条件、プロトコルなどTag 0020 検査内容などに関するTag 0028 画像、画素の情報に関するTag 奇数のgroup番号はプライベートタグ その他、ファイル書式 JPEG ,TIFF,BMP: オリジナル画像を反映。 各モダリティの測定値は反映していない。 Reference画像用 PNG : 取込むこともできない。
SUV計測(FDG-PET)
画像DICOMDIRのツリー構造
・DICOMDIR画像を開くと画像表示順がおかしい ・CD-R画像を読込んだ際に、DICOMDIRのImageNumberの順番で 表示している。しかし、DICOMDIRとDICOM画像の中の ImageNumberタグとは値が異なっており、 DICOMDIR : No.0 DICOM画像:No.5といった値が格納されて、 表示順がおかしい現象となっていた。 ・作成されたDICOMDIRがおかしい?DICOMDIRがおかしい?
・DICOM画像取り込みエラー ・DICOM画像中の患者コメント(0010、4000)の型(VR)が「FL」 のため、形式違反となっている。 ・画像タグを正規のVRである「LT]に変更 ・モダリティ装置?DICOM規格違反
・DICOM Fileが登録及び照会できない。
・Sequence Tag(SQ)の扱いで、Item(FFFE,E000)のLengthがFFFF の場合には、必ずDelimiter(FFFE,E00D)が必要。
・Item Delimiter Element が存在しない。 参考:DICOM規格Part5 Table7.5-3