日本十進分類法新訂10版の概要
藤倉, 恵一
文教大学越谷図書館 : 主任司書http://hdl.handle.net/2324/1806770
出版情報:国立大学図書館協会地区協会助成事業九州地区講演会. 平成28年度, pp.1-10, 2017-03-10. 九州地区国立大学図書館協会 バージョン:published 権利関係:日本十進分類法新訂 10 版の概要
藤倉 恵一(文教大学越谷図書館主任司書) 1. 10 版刊行までの経緯 【2015 年 1 月 26 日】日本十進分類法(NDC)新訂 10 版 日本図書館協会に納品 奥付上の初刷刊行日は2014 年 12 月 25 日(改訂編集工程上の事情) さかのぼって 【1995 年 8 月 25 日】NDC9 版発行 実際の納品日はやはり遅れていた(らしい) 「8 月 25 日」は原編者もり・きよしの誕生日 さらにさかのぼって 【1986 年 5 月】9 版への改訂方針公表(石山洋委員長) 「NDC の論理構造への批判も種々提出されている.(略)委員会でも検討してみた い.ただし,(略)実際に使用している図書館に大きな負担を生じるような変更は ないようにしたい」 【1989~1993 年】9 版試案 図書館雑誌において試案を不定期掲載 「記号や構成の大幅な改変を極力避け,8 版との継続性を重視する」 【2002 年 3 月】第 28 期分類委員会始動 金中利和委員長以下委員 7 名+事務局 【2004 年 4 月】10 版への改訂方針公表(金中利和委員長) ・ 9 版改訂方針の踏襲 ・ NDC の根幹にかかわる体系の変更はしない (ただし007 と 548 の統合の可能性を検討する) ・ 書誌分類法を志向 ・ 新主題の追加(BSH,NDLSH,新刊書からの積極的な追加) ・ 項目の修正・追加 ・ 分類典拠ファイルの作成 【2008~2014 年】10 版試案公表 図書館雑誌および分類委員会ホームページ 2014 年 3 月に「改訂試案集」発行 【2009 年 3 月】第 32 期分類委員会 那須雅熙委員長以下委員9 名 【2009~2014 年】3 度にわたる説明会での公聴 【2015 年 4 月】現在の分類委員会 中井万知子委員長以下委員8 名2. 10 版の外観 新訂 9 版 新訂 10 版 (1) 判型 NCR1987 1987 年以降 B5 判 BSH4 1999 年以降 B5 判 NDC9 初版以来A5 判 (保管・運搬の困難) 3 大ツールの大きさ統一 NDC は初版以来 85 年間 菊判・A5 判だったが…… (2) ページ数 本表編 466 ページ (xlviii,418p) 一般補助表・相関索引編 435 ページ 分冊がほとんど同じ厚さでどちらかわか りづらい 第1 分冊 473 ページ (ローマ数字の前付廃止) 第2 分冊 327 ページ 索引を3 段組にしてページが節約できた 分冊の厚さに明確な違い (3) 分冊のコンテンツ ・ 本表編 ・ 一般補助表・相関索引編 本表を広げながら,付与すべき形式区分や 地理区分などを参照しやすくするため補 助表を分冊に → 実際は本表編のみ使用し,補助表を軽 視することに → 一般補助表のみで,固有補助表を掲載 していない(さらに軽視) ・第1 分冊 本表・補助表編 ・第2 分冊 相関索引・使用法編 付与作業のための第1 分冊 習熟した分類作業者は第1 分冊を使用 利用支援のための第2 分冊 初学者や作業初心者は第2 分冊を併用 (性格付けを明確にした)
新訂 9 版 新訂 10 版 (4) 分冊のコンテンツ(移動・追加) ・本表編 解説 各類概説 本表 ・一般補助表・相関索引編 一般補助表 相関索引 ・第1 分冊 本表・補助表編 序説 各類概説 本表 補助表 一般補助表 固有補助表 ・第2 分冊 相関索引・使用法編 相関索引 使用法 用語解説 事項索引 (5) 表紙の装丁 ・ロゴ位置が表紙右下 (BSH4 と同様) ラベル等がエンボスに干渉するおそれあ り ロゴ位置を右上に変更 (NCR1987 と同様) 表紙色は黒 (NCR1987 とも BSH4 とも違う色) (6) 背表紙の装丁 ・本表編 ・一般補助表・相関索引編 → 明確な順序の設定がない 第1 分冊 本表・補助表編 第2 分冊 相関索引・使用法編 → 巻次を設定し順序(主・従)を明確に ◆印を巻次の略記号に (7) 小口見出し ・相関索引のみ小口見出し ・相関索引 ・本表にも小口見出し追加 (各類および補助表)
新訂 9 版 新訂 10 版 (8) 紙面構成(改ページ) 中間見出し < > を新設 ページ下部に出現した場合,中間見出し とグルーピングの内容とが乖離するこ とがあった 綱レベルの分類項目には参照や注記が多 い インデントは「半角」単位 見出しの記号を 〈 〉 に変更 ページ下部に出現した場合は,その前で 改ページ 綱レベルの分類項目がページ下部に出現し た時は改ページ インデントは「全角」単位 (9) 文字種の設定 8 版以前の文字を踏襲 外来語表記やわかち書き(発音重視) 車輌 洗滌 日蝕 罐 フリュート エレベータ スラヴ コンピュータ システム 常用漢字に変換 慣用的に用いられる表記に置き換え 車両 洗浄 日食 缶 フルート エレベーター スラブ 人名のV 音や慣用されている表記は踏襲 ヴィトゲンシュタイン コンピュータシステム
3. 10 版の構成 新訂 9 版 新訂 10 版 (1) 「解説」から「序説」「使用法」へ ・別売解説書の代替 ・1966 年「NDC のつかい方」(7 版) ・1982 年「NDC 入門」(8 版) 9 版「解説」 1) 図書館における図書の分類 2) 日本十進分類法について 3) 分類作業の進め方 4) 図書記号 5) 別置図書 付 各類概説 「分類の概説」と「使用法」が混在 Introduction Manual どこになにが書いてあるかわかりづらい 「序説」 分類とはなにか NDC とはどういうものか 「使用法」 Ⅰ NDC の一般的な適用について 分類規程を含む記号法解説 Ⅱ NDC の各館での適用について 館種ごとの具体的な使い方 それぞれに目次を設定 (2) 各類概説 各類概説は「解説」の付録 ・精粗は類ごとにバラバラ ・当たり前のことしか書いていない類と, 詳細な分類規程まで言及している類 「序説」に続いて独立したコンテンツに ・改訂担当者が執筆し,それを全体調整担 当者が整理 (3) 用語解説と事項索引 ・7・8 版準拠解説書には用語解説があった ・「解説」に登場する語には文中での解説 しかない → 重要語の出現位置や定義を再確認で きない → 「解説」が散漫になる ・NCR と同様に,分類関係用語 155 語(参 照語含め187 語)の解説を第2 分冊に収録 ・第2 分冊「事項索引」で,370 語が序説・ 各類概説・使用法・凡例・用語解説のどこ に出現するかを検索可能
4. 10 版の内容 新訂 9 版 新訂 10 版 (1) 体系にかかわる改訂方針 改訂方針(1986 年) 実際に使用している図書館に大きな負担 を生じるような変更はないようにしたい 改訂方針(2004 年) 9 版の改訂方針を踏襲する ・根幹にかかわる体系の変更はしない ただし007 と 548 の統合可能性を検討 → 本質的に体系の変更はない (2) 10 版での項目新設・削除数 ・ 288 件の項目新設(細目表に+記号のあるもの) ただし,言語共通区分など補助表の展開により細目表に追加したものも含む 純粋な新設は247 件 ・ 55 件の項目削除 546 電気鉄道 [647] みつばち(646.9 との二者択一項目) ほか,図書館学の下位でも構造を改善(など) 「NDC10 版改訂箇所一覧」 大曲俊雄編 日本図書館協会分類委員会監修 2016 年 http://www.jla.or.jp/committees/bunrui/tabid/187/Default.aspx (3) 情報学関連領域 007 情報科学 007 を使用せず 548.1,548.9 に分類する別 法を用意 ビジネス用アプリケーションは主題ごとに 分散 例 :Word はワープロ,Excel は統計, PowerPoint は経営 10 版でいちばん大きな改訂 007 情報学.情報科学 と改称 007 情報学,547.48 情報通信,548 情報 工学,694 電気通信事業それぞれの概念 を整理 547.48,548 を使用せず 007.8/.9 に分類す る別法も追加(選択肢が拡大) ビジネス用アプリケーションを 007.6 の 下に収めるよう整理
(4) 000 総 記 ・ 図書館情報学の抜本的改訂は実現しなかった ・ 用語のアップデートと一部の変更・再配置 015.9/.99 対象者別サービスなど ・ 018.09 文書館に関する項目の整備 など (5) 100 哲 学 ・ 145.7 異常心理,146.8 精神療法関係の見直し 前者は用語の扱い,後者は細分展開について ・ 199 ユダヤ教 キリスト教に準じて細分展開(.1/.8) (6) 200 歴 史 ・ 国名や「平成の大合併」による市区町村名のアップデート ・ 211/219 日本地方史への時代区分の固有補助表の新設 琉球王国として独自の時代区分が存在する沖縄を除き,各都道府県の時代区分 ができる(郷土史などに有効) (7) 300 社会科学 ・ 組織や法,諸制度の名称変更 ・ 378 障害児教育をはじめ 370 教育の下位細分 (8) 400 自然科学 ・ 492.926 成人看護の疾患別対応 ・ 493.7 精神医学の見直し ・ 497 歯科学の細分展開 ・ (9) 500 技 術 ・ 546 電気鉄道を削除 施設・設備・機器→516 鉄道工学 車両→536 運輸工学 686 鉄道(事業)も含めた鉄道関係の分散を整理 546 は 547・548 に隣接(将来の空番確保も兼ねる) ・ 596 食品.料理の優先順位整理(様式)
(10) 600 産 業 ・ 農林水産業の経済・行政・経営で項目名,注記の整合 ・ 愛玩動物[ペット]の分類を見直し ・ [647] みつばち.昆虫の別法(二者択一項目)を削除 将来的に630 蚕糸業を移設する可能性検討への布石 (11) 700 芸 術 ・ 用語の現代化や音楽,室内娯楽の見直し ・ 760.9 音楽産業と 780.9 スポーツ産業の記号共通化 ・ 798.3/.4 パズル.クイズとロールプレイングゲームの細分 (12) 800 言 語 ・ 点字や手話を801.9 音声によらない伝達の下位に位置づけ(→:378) ・ 朝鮮語(韓国語)や中国語に,言語共通区分に準じた詳細な展開(一部は拡張) を実施 (13) 900 文 学 ・ 文学共通区分に準じて一部の細分展開 ・ 日本文学史の時代区分910.265 に平成時代を新設 ・ 913.6 日本の近代小説に,日本文学史の時代区分と同様の細分を可能とする細 分注記(例:913.61 明治時代) 新訂 9 版 新訂 10 版 (14) 一般補助表の定義と種類 ・細目表の全分野で適用可能なものから特 定の類に限られるものまで少なくとも一 つの類で共通に使用可能 ・部分的であっても二つ以上の類で使用さ れる Ⅰ 形式区分 Ⅰ-a 地理区分 Ⅱ 海洋区分 Ⅲ 言語区分 Ⅳ 言語共通区分 Ⅴ 文学共通区分 ・細目表の全分野で適用可能なものから 特定の類に限られるものまで部分的で あっても二つ以上の類で使用される (定義の見直し) Ⅰ 形式区分 Ⅰ-a 地理区分 Ⅱ 海洋区分 Ⅲ 言語区分
新訂 9 版 新訂 10 版 (15) 固有補助表の定義と種類 一つの類の一部分についてのみ共通に使用 される補助表 ・神道各教派(178) ・仏教各宗派(188) ・キリスト教各教派(198) ・各国・各地域の地理,地誌,紀行(291/297) ・技術・工学(510/589)経済的,経営的観点 ・建築(521/523)の図集 ・写真を除く各美術(700/739,750/759) の図集 (7 種あるにもかかわらず「解説」では 「6 種」と書かれ続けた) 一つの類またはその一部分についてのみ 共通に使用される補助表 ・神道各教派 ・仏教各宗派 ・キリスト教各教派 ・日本の各地域の歴史(沖縄県を除く)に おける時代区分(211/219) ・各国・各地域の地理,地誌,紀行 ・各種の技術・工学における経済的,経営 的観点 ・様式別の建築における図集 ・写真を除く各美術の図集 ・言語共通区分(810/890) ・文学共通区分(910/910) (16) 固有補助表の掲載箇所 細目表内の当該適用箇所(の先頭)にしか記 載がない 「解説」でも扱いが小さい (結果,軽視につながった) 細目表内の当該適用箇所(の先頭)に記載 一般補助表に続けて再録 一般補助表と同様に,本表と同一冊子と して常時参照が容易 (17) 相関索引 レイアウトは2 段組み ・29,494 件(8 版比+36%) (ちなみに) 8 版冊子 21,790 件 8 版 MRDF 30,659 件 (ただしノイズのようなものもある) レイアウトを3 段組みに ・33,367 件(9 版比+13%) → 10 版 MRDF では表記やヨミの違い に対応しさらに語を増やす予定 → 冊子体での提供はそろそろ限界が近 づいている?