小学校国語科教科書に見える言語遊戯について(二〇〇九年度卒業論文要旨集)
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(2) ﹃とりかへばや物語﹄ の﹁侍りLと﹁候ふLについて. 国語学研究室 六五〇五 湯川 唯人. 国語学研究室 六五〇八 苦田恵理子. 小学校国語科教科書に見える言語遊戯について. 本研究は、平安時代末期成立の ﹃とりかへばや物語﹄ に焦点 本研究は、戦後の小学校国語科教科書に見える言語遊戯の教. 教育出版の二社ともに、多少の増減はあるが全体的に増加して. 言語遊戯を扱った教材数は、研究対象とした光村図書出版と. を当て、平安時代に丁寧語として共存した﹁侍り﹂ ﹁候ふ﹂ の材数と種類の変化を明らかにし、言語遊戯を扱う重要性を考察 違いについて摂ったものである。﹃とりかへばや物語﹄ におけ したものである。 る両者の特徴を調べ、同じ作品的特徴をもつ擬古物語などの作 品と比較することが主な調査方法である。. まず、﹃とりかへばや物語﹄は、丁寧語が﹁候ふ﹂に移り変わっきている。時代の変化に伴い言語遊戯の扱われ方も変化してい たと見られる時期の作品であるが、﹁侍り﹂ の方が多く使用さ ることが確認できた。また、低学年段階に見える言語遊戯は他. れることが分かった。それは、擬古性を表すためであった。﹃と 学年よりも多い。低学年の学習内容が言葉や文字の学習とその. りかへばヤ物語﹄ では、﹁侍り﹂が話し手や聞き手の身分に関 定着を図ることが主であることから、当然であると考えられる。. 係なく幅広く使用される一方で、﹁候ふ﹂ には助動詞的用法の 一方、言語遊戯の種類には大きな変化は無いことが明らかと 使用や話し手が聞き手より上位の場合の使用が無い。両者には なった。例えば、第一学年に見える﹁しりとり﹂は、学年段階. 場面に応じて使い分けが見られ、﹁侍り﹂よりも﹁候ふ﹂ の方 に沿って﹁二文字しりとり﹂﹁漢字しりとり﹂﹁熟語しりとり﹂ がへり下る気持ちの強い表現であると推測された。ただし、同 のように段階を踏んで取り入れられている。基になる遊びから. 教科書に見える言語遊戯は、誰もが楽しむことができ、児童. 々な遊び方へと幅を広げていくことで、言葉の面白さを感じ、 じ擬古性のある ﹃夜の寝覚﹄ では、﹁侯ふ﹂ の丁寧語の使用様が 比較的多く、﹁侍り﹂との使い分けが見られない例もある。また、児童自身が日常生活に取り入れやすくなるのである。. を通して繰り返し、日常生活に反映させることで、言葉の習熟. の気持ちにゆとりを持たせることができるだろう。児童が遊び. を図ることができると考えられる。このような面から、言語遊. ﹃松浦官物語﹄ でも、﹁候ふ﹂の丁寧語の使用が無いといった. 考察の結果、使用範囲の限定されていた﹁候ふ﹂が、次第に. ように、擬古性のある作品が全て同一の使い分けをするのでは ない。. ﹁侍り﹂と近似した特徴を表すようになるといった過程があり、 は国語科教科書において重要な役割を果たしているといえ 戯 る。 それが両者の交替の原因であると考える。. 59.
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