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Review of the subfamily Saprininae of the Palaearctic, Ethiopian and Australian Regions with proposed phylogeny of the subfamily (Coleoptera: Histeridae)

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 農 学 )    ト ー マ ス ラ ッ ク ナ ー

Review of the subfamily Saprininae of the Palaearctic,    Ethiopian and Australian Regions with proposed   phylogeny of the subfamily (Coleoptera: Histeridae)

(旧北区,エチオピァ区,オーストラリア区におけるドウガネエンマムシ亜科      ( コ ウ チ ュ ウ 目 , エ ン マ ム シ 科 ) の 系 統 お よ び分 類 学的 研 究)

学位 論文内容の要旨

  ドウガネエンマムシ亜科は ,エンマムシ科(コウチュ ウ日)では2番目に大きな亜科で,

約620種の 記 載種 が含 まれ る,世界中に広く分布 し,通常,草地や海浜の乾燥 した環境を 好むが,森林にも生息 し,なかでも派生的なグル ープは砂地生息に特化し,世 界の主要を 砂漠のほとんどから見っかる など,多様かつ特異な生息域,分布域をもつ,生息微環境は,

主に糞中か死骸中であ るが,哺乳類や鳥類の巣, アりの巣にすむものも知られ ,多様な生 態的地位をもつ.食性 は他昆虫の幼虫の捕食に限 られ,主にハエ類の捕食者で ある,家畜 の病気の潜在的媒介者 であるハエを減らすことな どから,衛生害虫・農業害虫 の天敵とし て知られ,オーストラ リアーはこの目的のために 生物防除の対象種として導入 された例も ある,本亜科は生物防 除の応用面をもち,生物地 理学,生態学などの基礎生物 学の研究対 象としても価値のある 昆虫類であるが,それらの 研究の基礎となる生活史情報 は不足して おり,適切な系統および分類の研究もなされていない.

  本研究では,ドウガ ネエンマムシ亜科について の生物学的基礎情報の整理を 目的とし,

旧北区,エチオピア区 ,オーストラリア区に分布 する全属について,分類学的 ,系統学的 研究と整理を行なった ,さらに従来の生態・生活 史情報の記録を整理,編纂し ,新たに構 築 し た 系 統 に 照 ら し 合 わ せ , 本 亜 科 の 系 統 と 生 活 様 式 の 進 化 に つ い て 論 じ た .   本亜科の分類体系は,主にReichardt(1932,1941),Wenzel (1962),KryzhanovsHj&Reichardt

(1972)の 研 究に 続く ,Mazur(1997)の高次体系 に基づぃている.本学位論文 研究に先立 ち, 修士 およ び博 士 課程 にお いて ,エ チ オピ ア区 の1属7種の記載を含む再検 討を出版し (Lackner,2009c),さらに旧 北区の全33属を扱ったモノグラフ(Lackner,2009a,b,2010) を出版した.このモノグラフは修士論文の骨子をなす.

  本研究は,これら一 連の研究の継続として,エ チオピア区とオーストラリア 区のドウガ ネエ ンマ ムシ 亜科 の23属9亜 属(125種 ) の属 レベ ルの分類学的再検討を行た ったもので ある ,再 検討 の結 果 ,両 地区と旧北区の追加を含 め、9新属と1新亜属を認め ,3種を異な る亜属に移し,2つの 新シノニムを見いだした.ま た,1種を誤同定のためオー ストラリア 区の記録から除外し,1種を シノニムから復活させた.検 討したほば全タクサ(属・亜属)

(2)

のタイプ種にっいて再記 載を行い,それぞれ口器,触 角の感覚器構造を詳細に記載,図示 した,解剖が許可された 種にっいては,雄の生殖節に っいても同様に検討した,これらの 形質状態を基に検索表を 作製した.口器,触角の感覚 器構造,雄の生殖節の描画は,その ほとんどが初発表となる.

  系統研究においては, 旧北区,エチオピア区,オー ストラリア区の検討した属に,東洋 区,新北区,新熱帯区の属(代表種のみ検討)を加え,分岐学的方法を用い,亜科内の(亜)

属間 系統 の解析をお こなった.解析には内群68属 ,外群5属,外部形態78形質 を用いた.

解析の結果,一致指数(cD: 0.33,保持指数(RI): 0.61,樹長485の最節約樹が23得られ,

これらの厳密合意樹を探 索し,1つの樹形を得た.合意樹から,非単系統の2つのグループ,

単系 統性 の支 持 の弱 い7つの グル ープ,計9つの 「グループ」を設定した,後 者は単系統 性が認められるが支持は 弱く,上位分類群(例えば族)として定義するには至らなかった,

これらの「グループ」は 生息微環境を同じくする属か ら構成されるものも多く,便宜的な 単位として有用と認識し,議論に用いた.

  この結果から,(1)ド ウガネエンマムシ亜科の単 系統性が認められた(外群はオオマメ エンマムシ亜科(オオマ メエンマムシ族,ツプエンマムシ族),クロップェンマムシ亜科を 用いた). (2)ほ乳類・ 鳥類の巣ヘ住み込み共生生活をおくる数属から栓る「Gnathoncusグ ルー プ」 は,亜科内 の最も原始的なタクサ群であ り,段階的に1属ごとに分岐 する側系統 群である, (3)特殊化し た砂地生息の数属は,亜科内で最も派生的な4つの「Hypocaccus, Phitonthis, Pachylopus,Dahlgreniusグループ」として認められるが,各グループの単系統性の 支持は弱く,属は互いに 近縁で急速な適応放散が起こ っていると考えられた.グループ内 には,砂地生息からさら に海鳥やコウモりのグアノ内 生息に遷移した属,ほ乳類・鳥類の 巣内生息に逆行する属な ども含まれる, (4)社会性昆 虫の巣内で生活する属(好蟻性と好 白蟻性)は,亜科内で少なくとも2度独立に生じていた.

  また,形態形質状態の系統上における特徴のある変化としては,以下が見いだされた. (1) 小顎 鬚の 内葉鉤は, 外群と本亜科の原始的な属の 多くが有する祖先形質であ る.(2)上唇 刺毛の有無は本亜科では 変化が激しいが,刺毛を有す る状態が祖先的,刺毛の消失が派生 的状 態で あり 消 失は 少な くと も2度独立に起こっ た. (3)触角球悍部(9‑11節 )の感覚器 構造は,表面に斑状の陥 没やスリット状の凹みを持ち ,内部に小嚢を持っもので,属ごと に変化が多様で特徴的で ある.この感覚器構造を有す る状態は本亜科の固有派生状態であ り,研究した全ての属で 認められた.感覚器構造は, より派生的なグループにおいて,小 斑と 小嚢 の数 は 減る 傾向 にあ った .(4)雄生殖節 の第9背板は,外群と原始的 なグループ で は2っ の 板 か ら 構 成 さ れ , 派 生 的 な グ ル ー プ で は 板 は 結 合 し1っ と な る .

(3)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Review of the subfamily SaprnlnaeofthePalaearCtiC ,     EthiopianandAuStralianRegionSWithpropOSed   phylogenyofthesubfamily ( C01eoptera : Histeridae )

( 旧 北 区 , エ チ オ ピ ァ 区 , オ ー ス ト ラ リ ア 区に お け るド ウ ガ ネエ ン マ ムシ 亜 科

     ( コ ウ チ ュ ウ 目 , エ ン マ ム シ 科 ) の 系 統 お よ び 分 類 学 的 研 究 )

   本 論 文は 、 図 79 、 表 11 、 引 用 文献 387 編 か ら なる 総 頁 433 頁 の 英文 論 文 である。 参考論 文 11 編が添えられている。

   ドウガネエンマムシ亜科は,約620 種の記載種が含まれる.世界中に分布し,草地や海浜の乾燥 した環境を好むが,森林にも生息し,派生的なグループは砂地生息に特化し,砂漠から見っかるな ど,多様かっ特異な生息域,分布域をもつ,生息微環境は,糞中か死骸中であるが,哺乳類や鳥類,

アりの巣にすむものも知られ,多様な生態的地位をもつ.他昆虫の幼虫を捕食し,主にハエ類の捕 食者である.家畜の病気の潜在的媒介者であるハエを減らすことから,衛生害虫・農業害虫の天敵 として知られ,オーストラリアへは生物防除の対象種として導入されている.本亜科は生物防除の 応用面をもち,生物地理学,生態学などの基礎生物学の研究対象としても価値のある昆虫類である が,それらの研究の基礎となる生活史情報は不足しており,適切な系統および分類の研究もなされ ていなぃ.

     本研究では,本亜科についての生物学的基礎情報の整理を目的とし,旧北区,エチオピア区,

オーストラリア区に分布する全属にっいて,分類学的,系統学的研究と整理を行なぃ、さらに本亜 科の系統と生活様式の進化について論じた,本学位論文研究に先立ち,エチオピア区の7 種の記載 を含む再検討(Lackner ,2009c) ,旧北区の全33 属を扱ったモノグラフ(Lackner ,2009a ,b ,2010) を出版している,

     本研究は,これら一連の研究の継続として,エチオピア区とオーストラリア区の本亜科の 23

宏 一

樹 徳

昌 信

原 元

橋 澤

大 秋

授 授

授 授

教  

  教

准 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

属 9 亜 属 (125 種)の 属レベル の分類 学的再検 討を行 なったも のであ る.再検 討の結果 ,9 新属1 新亜属 , 2 つ の新シノ ニムを 認め,3 種を異 なる亜 属に移し,誤同定1 種のオーストラリア区から の除外,シノニム1 種の復活を行った.ほば全タクサ(属・亜属)のタイプ種再記載を行い,口器,

触角感覚器構造、雄の生殖節を詳細に記載,図示し検討した.これらの形質状態を基に検索表を作 製した.

     系統研究は,上記の検討した属に,東洋区,新北区,新熱帯区の数属を加え,分岐学的方法を 用い, 亜科内の (亜)属 間系統 の解析を おこな った.解析には内群68 属,外群5 属,外部形態78 形質を用いた.その結果,一致指数く CI): 0.33 ,保持指数(RI): 0.61 ,樹長 485 の最節約樹が23 得 られ,これらの厳密合意樹を得た,合意樹から,非単系統の 2 つのグループ,単系統性の支持の弱 い7 っのグループ,計9 つの「グループ」を設定した.後者は単系統性が認められるが支持は弱く,

上位分類群(例えば族)として定義するには至らなかった,「グループ」は生息微環境を同じくす る 属 か ら 構 成 さ れ る も の も 多 く , 便 宜 的 な 単 位 と し て 有 用 と 認 識 し , 議 論 に 用 い た .      この結 果から, (1 )本亜科 の単系統 性が認 められた .( 2 )ほ乳 類・鳥類の巣に共生する    「〔izathoncus グループ」は,最も原始的なタクサ群であり,段階的に1 属ごとに分岐する側系統 群であ る.( 3 )特殊 化した砂地生息の数属独,最も派生的な4 っの「Hypocaccus, Phitonthis , Pachylopus , Dahlgrenius グループ」として認められるが,各グループの単系統性の支持は弱く,属 は互いに近縁で急速な適応放散が起こっていると考えられた.(4) 社会性昆虫の巣内で生活する属    (好蟻性と好白蟻性)は,少なくとも2 度独立に生じていた.

     また,形態形質状態の系統上の変化としては,以下が見いだされた, (1) 小顎鬚の内葉鉤は,

外群と本亜科の原始的な属が有する祖先形質である,  (2) 上唇刺毛の有無は本亜科では変化が激し いが,刺毛を有する状態が祖先的,消失が派生的であり消失は少なくとも2 度独立に起こった. (3) 触角球悍部の感覚器構造は,表面に斑状の陥没やスリット状の凹みを持ち,内部に小嚢を持っもの で,変化が多様で特徴的である.この構造を有する状態は本亜科の固有派生状態であり,全ての属 で認め られた.  (4) 雄生殖節第9 背板は,外群と原始的なグループでは2 つの板から構成され,派 生的なグループでは板は結合し 1 っとなる.

   以上の ように本 研究は 、旧北区 、エチオ ピア区 、オース トラリ ア区のド ウガネエンマムシ亜 科の分 類学的・ 系統学的 な情報 の整備を もたら し、生息 環境変 化とそれ に伴う形態変化に関す る進化 学的仮説 を提示し たもの である。 本研究 の結果は 、本亜 科の属分 類・系統関係を飛躍的 に解明 し、応用 研究で利 用する 種の同定 や分類 学的位置 づけを 可能にす るなど他研究の基礎と をるも のであり 、その成 果は学 術上、応 用上、 高く評価される。よって、審査員一同は、Tomas Lackner が 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 認 め た 。

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