周期性を有した路面の補修前後における橋梁の振動モニタリング
金沢大学理工研究域 正会員 深田宰史 西日本高速道路エンジニアリング関西㈱ 正会員 室井智文 西日本高速道路エンジニアリング関西㈱ 正会員 樅山好幸
1.はじめに
本研究で対象とした高速道路に架設された PC 桁橋は,大型車両の走行に伴い,車両と橋梁との連成振動に より大きな振動を生じていた.本研究では,試験車走行実験および路面計測により,その振動原因を路面凹 凸の周期性であると判断した 1).既知重量を有した試験車走行実験だけでは日々の振動状況が明らかではな いため,様々な走行速度,重量およびばね特性を有した一般の大型車両のランダム走行により,主桁がどの 程度動的に振動しているのか 2 年間の長期モニタリングにより明らかにした.さらに,その路面を補修した ことにより,主桁の振動成分がどの程度除去できたのか路面補修後のモニタリングにより明らかにした.本 研究において対象とした PC 桁橋の一般図を図-1に示す.支間長 37.470m,有効幅員 14.500m(3 車線),斜角 67°を有する PC ポストテンション単純 T 桁橋である.
F M F
F M F
A1 P1 A2
車両進行方向 450 30
37 470 100 450
38 500 450 100
100 450 47 700
48 800
12 000200 100
対象橋梁 隣接橋梁
図-1 対象橋梁の一般図 2.補修前後における路面性状
路面補修前に路面計測車により計測した路面凹凸波形を図-2に示す.これより,第 2 走行車線のみ伸縮継 手付近の路面凹凸が,10~11m の周期性を示していることがわかった. 2009 年 5 月に路面補修工事が行われ,
既設舗装 40mm を切削し,新設舗装を打ち直した.縦断方向 5m 間隔に水糸を横断方向に張ることで高さ管理 を行った.路面補修工事は,問題となっている第 2 走行車線に加えて,損傷状況を考慮して第 1 走行車線に 対しても行われた.同図に路面補修後の路面凹凸波形を示す.これにより,第 2 走行車線の周期性を有した 路面性状は改善された.対象橋梁で IRI 値を計算したところ,補修前 3.53mm/m,補修後 1.33mm/m となって いた.第 2 走行車線は,補修目標値(NEXCO 設計要領第 1 集舗装編) IRI:3.5mm/m に達していた2).
-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20
0 20 40 60 80 100 120
距離(m)
路面凹凸高(mm)
第1(補修前) 第2(補修前)
第1(補修後) 第2(補修後)
車両進行方向
A2
対象橋梁
P1 A1
隣接橋梁
図-2 補修前後における路面凹凸波形 3.モニタリング概要
モニタリングにおける橋梁の測点配置図を図-3に示す.ひずみゲージを支間中央断面の各車線下の主桁下 キーワード:モニタリング,動的応力,動的増幅率,PC 桁橋
連絡先:920-1192 金沢市角間町 金沢大学理工研究域環境デザイン学系 TEL&FAX:076-234-4605 土木学会第65回年次学術講演会(平成22年9月)
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Ⅰ‑506
フランジ下面に設置し,加速度計を第 1 走行車線と追越車線下の 主桁下フランジに設置した.また,支点部から 3m の第 1 走行車線 と追越車線下の主桁下フランジに加速度計を設置した.
4.モニタリング結果
日付を横軸として各走行車線下のひずみ値から算出した動的応 力の最大値を図-4に示す.これより,路面補修において最大動的 応力は各車線ともに 2.0-2.5N/mm2程度となっていた.これに対し て補修後においては,1.0-1.5N/mm2程度に低減している.
つぎに,日付を横軸として各走行車線下のひずみ値から算出 した動的増幅率(DIF-1)の最大値を図-5に示す.路面補修に おいて最大で静的ひずみの 3~5 倍もの大きな動的なひずみが 生じていた.これに対して補修後においては,1 倍程度まで低 減している.
5.まとめ
周期性を有した路面の影響により,大型車両のばね上振動が増幅され,その状態で橋梁上を走行したため に車両と橋梁の連成振動が励起され,橋梁が大きく加振させられていた.その路面が補修されたことにより,
その低減効果を長期モニタリングから把握することができた.
参考文献
1) 室井智文,薄井王尚,樅山好幸,深田宰史,梶川康男,幸田信則:伸縮継手付近の路面凹凸の影響を受け た大型車両と PC 桁橋の振動特性,構造工学論文集,pp.171-180,Vol.54A,2008.3. 2) 広井智,深田宰史,
樅山好幸,室井智文,岡田裕行:高速道路を走行する大型車両のばね上振動に影響を与える橋梁上の長波長 路面に対する評価方法,舗装工学論文集,第 14 巻,pp.179-187,2009.12.
P1 A2
加速度計 熱電対 ひずみゲージ
(a) 橋梁全体
第1 第2 追越
(b) 支間中央断面 図-3 橋梁の測点配置図
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
'07 /1
'07 /2
'07 /3
'07 /4
'07 /5
'07 /6
'07 /7
'07 /8
'07 /9
'07 /10
'07 /11
'07 /12
'08 /1
'08 /2
'08 /3
'08 /4
'08 /5
'08 /6
'08 /7
'08 /8
'08 /9
'08 /10
'08 /11
'08 /12
'09 /1
'09 /2
'09 /3
'09 /4
'09 /5 日付
動的応力(N/mm2)
第1走行車線 第2走行車線 追越車線
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
'09/
6 '09/
7 '09/
8 '09/
9 '09/
10 '09/
11 '09/
12 '10/
1 '10/
2 '10/
3 '10/
4 '10/
5 日付
動的応力(N/mm2)
第1走行車線 第2走行車線 追越車線
(a)路面補修前 (b)路面補修後 図-4 各走行車線における日々の最大動的応力
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0
'07 /1
'07 /2
'07 /3
'07 /4
'07 /5
'07 /6
'07 /7
'07 /8
'07 /9
'07 /10
'07 /11
'07 /12
'08 /1
'08 /2
'08 /3
'08 /4
'08 /5
'08 /6
'08 /7
'08 /8
'08 /9
'08 /10
'08 /11
'08 /12
'09 /1
'09 /2
'09 /3
'09 /4
'09 /5 日付
DIF-1(-)
第1走行車線 第2走行車線 追越車線
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0
'09/6 '09/7 '09/8 '09/9 '09/1 0
'09/1 1
'09/1 2
'10/1 '10/2 '10/3 '10/4 '10/5 日付
DIF-1(-)
第1走行車線 第2走行車線 追越車線
(a)路面補修前 (b)路面補修後 図-5 各走行車線における日々の最大 DIF-1
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