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1-24 acoustic neurinoma schwannoma T1 CT 13 Schwann Schwann T MRI T1 T2 14 T1 von Hippel-Lindau von Hippel-Lindau von Hippel-Lindau epidermo

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Academic year: 2021

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(1)

すると(エネルギーを失うと)近くにある陰電子 と結合して消滅します。このとき,陽電子は 2 本 の電磁波(消滅放射線)を対側方向に放出します。 そのエネルギーは,2 本とも 0.51MeV で,合計は 電子の静止エネルギーと等しくなっています。 STEP

3

生体組織と放射線の相互作用

光電効果,コンプトン散乱,電子対生成

の 3 つの機序があり,X 線のエネルギ

ーが高いほど後二者の割合が高くなる

放射線の単位

放射線の単位には,照射線量,吸収線量,およ び生物学的な作用を考慮した吸収線量などがあり ます。 物理量は現在 MKSA 単位で表されることが多い ので,ここでも MKSA 単位で示します。吸収線量 は,1kg の空気を電離させて 1 クーロンの電荷を 発生させる X 線量で定義され,この単位はC/kgで す。これに相当する照射線量は1Gy(Gray)です。 生体に与える生物学的効果は放射線の種類により 異なるので,吸収線量に生物学的効果比をかけた もの(線量当量)が生体に対する作用を最もよく 表します。これをSv(Sievert)で表します。 STEP

4

放射線の単位

照射線量: Gy(Gray)

吸収線量: C/kg

生物学的効果比: SV(Sievert)

X 線発生装置

X 線の発生装置は通常,管球と呼ばれます。一 種の真空管で,真空管内で発生させた電子流(陰 極を加熱して発生させるので熱電子と呼ぶ)を陽 極に衝突させて阻止 X 線を発生させ,これによっ て連続 X 線を得るものです(図 1-3)。このときに, 陰極と陽極の間に電圧を加えて電子流を加速しま す。この陰極と陽極間に加える電圧を管電圧と呼 びます。例えば,ルーチンの胸部 X 線撮影に用い られる X 線の管電圧は 110 ∼ 130kVp(交流電源な ので正弦波のピークを示す。実効電圧は 1/ ) です。管電圧は X 線の透過性を決める重要な因子 で,診断の目的とする臓器により異なります。例 えば乳房撮影に用いられる X 線は 20 ∼ 30kVp 程度 の低い電圧のものです。 2 6 総 論 STEP

5

管球(X 線発生装置)

加速した電子線を陽極に衝突させて阻

止 X 線を発生させる

加速のために使用する電圧をもって X

線のエネルギーとする

X 線フィルムと X 線検出器

従来のフィルムを用いた撮影法は,フィルムに 入射したX線によって臭化銀粒子が還元されて銀 粒子となることにより,フィルムが黒くなる(黒 化する)ことを利用しています。X 線がより多く 入射した部分は黒くなります。つまり,入射する X 線量の多少により白黒のコントラストが生じる のです。実際には,増感紙(スクリーン)に X 線 を入射させ,増感紙が発光してフィルムを感光さ せます。フィルムはいわば X 線の検出器でもあり, 検出した X 線を画像化して観察する観察装置でも あります。最近のデジタル装置では,フィルムの 代わりに検出器で X 線を検出し,これが電気信号 に変換されて適当な処理が行われ,CRT や液晶モ ニタ上の画像になります。 STEP

6

X

線フィルム

受けた X 線の還元作用によりフィルム

の黒化が起きる

画像の成り立ち

(画像工学の基礎)

コントラスト(対比度)

,鮮鋭度,

粒状性

放射線画像の 3 要素といわれるものに,コント ラスト,鮮鋭度,粒状性があります。

コントラスト

contrast

(対比度)

画像上の白黒の対比がどの程度ついているのか を示すもので,濃度階調能として表されます。白 黒が 2 種類しかない二値化画像とは,ある濃度以 上は白,ある濃度以下は黒としか表されません。 一般にはグレースケール画像でいくつかの白黒が 弁別可能ですが,2 の n 乗個の白黒が濃度として 表されていれば n bit の濃度階調能があるといわれ ます。すなわち 8 bit の濃度階調能とは 2 の 8 乗 (256 個)の白黒の濃度が表現されている画像です。

鮮鋭度

sharpness どれだけ画像がシャープかを表します。もう少 し表現を変えれば,主にどれだけ細かいものが見 えているのかに関連します。陰影の辺縁を考えて みましょう。あまり細かい構造がうまく表現され ていない画像なら,辺縁はぼやけて見えます。す なわち,鮮鋭度はコントラストや粒状性などの他 の要素にも依存しますが,主にどれだけ細かいも のが見えているのかに依存するところが大きいの です。 7 第1章 放射線医学の基礎

1

図1-2 X線と物質の相互作用 核 核 核 光電効果 電子対生成 コンプトン散乱 光子 光子 光子 光電子 反跳電子 散乱線 陰電子 陽電子 (1.02MeV以上) 0.51MeV 0.51MeV 図1-3 X線管球の模式図 陰極 ターゲット (タングステン) フィラメント (タングステン) リード線 電子 X線放射窓 X線 陽極

(2)

転移性脳腫瘍

metastatic brain tumor ●概 要 他臓器の悪性腫瘍が脳に転移したものです。多 発も単発も,大脳も小脳も何でもあります。原発 巣としては,圧倒的に肺癌が多く,次いで,乳癌, 消化管癌(胃癌,大腸癌)と続きます。 ●画像所見 典型的には,リング状に造影される腫瘤が多発 して見られます(写真 1-27)。

症候群に伴う腫瘍

(p.59 の神経皮膚症候群の項参照) 神経線維腫症 1 型に合併するのは星細胞腫です。 特に視神経の通り道に沿って発生するのが特徴で す。この腫瘍は,神経線維腫症 1 型にみられる唯 一の腫瘍性疾患です。神経線維腫症 2 型は,髄膜 腫や神経鞘腫などの腫瘍が多発してみられます。 たくさんの腫瘍ができますが,ほとんどが良性で す。 前述のとおり,von Hippel-Lindau 病には血管芽 腫の合併を認めます。血管芽腫を見たら,逆に von Hippel-Lindau 病の存在を考えた方がよいでし ょう。腎細胞癌などのリスクもあるので,von Hippel-Lindau 病の可能性を考えるのは大切なこ とです。 結節性硬化症には,巨細胞性星細胞腫という星 細胞腫を合併します。文字通り,結節性硬化症の 大脳には多数の結節を認めます。このなかで,増 大傾向や造影効果を有するものを見たら,結節の なかに潜んだ腫瘍である可能性が高くなります。 STEP

15

症候群に伴う脳腫瘍

神経線維腫症 1 型:視神経星細胞腫

神経線維腫症 2 型:神経鞘腫,髄膜腫,

上衣腫

von Hippel-Lindau

病:血管芽腫

結節性硬化症:巨細胞性星細胞腫

45 第1章 脳・脊髄

1

1-24 右)。この充実成分の占める割合はさまざま で,餒胞壁しか染まらないことも,腫瘍の中身が しっかり染まることもあります。 下垂体腺腫とよく似た場所に発生しますが,造 影前 T1 強調像の信号強度と CT での石灰化の有無 が最大の鑑別点です。 STEP

13

トルコ鞍近傍に発生する腫瘤

下垂体腺腫,頭蓋咽頭腫,髄膜腫,動

脈瘤

【覚え方】

トルコの加 藤,ズンドウ

② ③ ④ ⑤

①トルコ鞍,②下垂体腺腫,③頭蓋咽頭

腫,④髄膜腫,⑤動脈瘤

類上皮腫

epidermoid ●概 要 胎生期に分離されるはずの上皮成分が頭蓋内に 迷入してできた腫瘍です。もともと皮膚になるは ずの組織から発生する腫瘍で,角化J平上皮で覆 われた餒胞内に液体を含んでいます。このため, 画像ではまるで餒胞のように見えます。 ●画像所見 CT で脳脊髄液と同じ程度に低濃度,MRI でも T2 強調像で脳脊髄液と同じ程度に高信号になりま す。頭蓋内の正中部にもできるのですが,実は, 最も多いのは,正中からちょっと外れた小脳橋角 部です。

聴神経鞘腫

acoustic neurinoma

(Schwann 細胞腫

schwannoma

●概 要 聴神経は第Ⅷ脳神経です。脳神経は脳から出る と末梢神経扱いになり,周囲はグリア細胞ではな く,Schwann 細胞(神経鞘)によって守られるよ うになります。この Schwann 細胞が腫瘍化した ものが神経鞘腫です。聴神経は橋から出て,内耳 道という孔に入ります。したがって,腫瘍は小脳 橋角部に発生し,典型的には内耳道を埋め尽くし て,内耳道に収まりきらなくなると,さらに橋の 周りの脳槽に腫瘤を形成します。まるでコーンの アイスクリームのような形をしているのが特徴で す(写真 1-25)。 ●画像所見 MRI の T1 強調像で低信号,T2 強調像で高信号 を呈し,造影するとよく染まります。 STEP

14

小脳橋角部の腫瘤性病変

聴神経鞘腫,髄膜腫,動脈瘤,類上皮

血管芽腫

hemangioblastoma ●概 要 脳の中の血管系細胞に由来する腫瘍で,非常に まれです。成人に多くみられる腫瘍のなかでは, 珍しく小脳半球に多くみられます。膠芽腫や髄芽 腫と同様に“芽”が付く腫瘍ですが,意外にも良 性で,播種や再発は少ない腫瘍です。この腫瘍を 見たときは,von Hippel-Lindau病を疑うことが大 切です。 ●画像所見 血管の名のとおり,造影するとよく染まる充実 成分を有します。その周囲に餒胞構造を認めるの も特徴です(写真 1-26)。 44 診断各論 右小脳半球に,よく造影される腫瘤を認める(▲)。 一部に造影されない餒胞成分を有している( ▲ )。餒胞 成分とよく染まる充実成分は血管芽腫の典型的な所見 である。 写真 1-26 血管芽腫の MRI 所見(造影後 T1 強調像) 橋前槽の腫瘍 内耳道内の腫瘍 写真 1-25 聴神経鞘腫の MRI 所見(造影後 T1 強調像) 右内耳道から橋周囲の脳槽に突出する腫瘤を認め る。内耳道の部分は,骨に囲まれているので大きくな らず( ▲ ),脳槽に飛び出た部分は大きくなっている (▲)。コーンのアイスクリームのような形である。

(3)

CT 像

前述したように,胸部 CT は,縦隔の軟部組織 にウインドウレベルとウインドウ幅を合わせた縦 隔条件表示と,肺野に条件を合わせた肺野条件表 示の 2 種類の画像を合わせて読影します。 写真 3-17a ∼ d に,縦隔条件の画像を示します。 縦隔上部のレベル(写真 3-17a)では,胸部大動 脈の 3 本の主要分枝である腕頭動脈,左総頸動脈, 左鎖骨下動脈が見られますが,その腹側に左腕頭 静脈,腕頭動脈の外側に右腕頭静脈,中央には気 管が見られます。腕頭動脈は,そのやや頭側で右 鎖骨下動脈と右総頸動脈に分岐します。それより 105 第3章 肺・縦隔

3

かわかりません(写真 3-15)。側面像もあれば判 断できますが,正面像のみでは判断できないため, 大まかに胸郭の上部,中部,下部のいずれにある のかを表現する方法として,上肺野,中肺野,下 肺野という言葉が用いられます。人によって差も ありますが,多くの場合,第 2 肋骨前縁の高さか ら上方を上肺野,第 4 肋骨前縁の高さから下方を 下肺野とし,その間を中肺野と呼びます。また, 肺尖部は鎖骨より上方の肺野を指します。 STEP

56

正常の肺血管陰影

胸壁直下一横指は見えない

下肺野が太い(立位像)

側面像

側面像の撮影では,フィルムに近い方がわずか に陰影の拡大率が小さく,ぼやけも少ないので, 病変部の左右がわかっていれば,そちらをフィル ムにつけて撮影した方がよいことになります。実 際にはあまり差がないこと,スクリーニングの撮 影では病変部位がわからないこと,心臓が左にあ ることなどから,多くの場合は左にフィルムを置 いて,右から撮影します。 側面像では,心臓は胸郭の前方に位置している のがわかります(写真 3-16)。心大血管陰影の前 縁を形成するのは右室流出路で,心陰影の後縁は 上部が左房,下部が左室で形成されます。気管や 食道内部の空気による透亮像が明瞭に同定できま す。また,右肺動脈はやや前方に,左肺動脈が左 主気管支を乗り越えて後方に走行するのがわかり ます。下肺静脈はしばしば縦隔腫瘍や肺の結節病 変と間違われることがあるので要注意です。 横隔膜は自然なカーブを描いてドームを形成 し,後部の心横隔膜角は鋭です。また,最も後方 には脊椎が見られます。脊椎椎体の濃度は,上方 に向かうに従って低下し,白っぽく見えます。こ の点に注意すると脊椎と重なる部分に異常陰影が あるときに見落としにくくなります。 ただし,側面像では,肺野は両側が重なってし まうので,肺野の細かい異常はチェックしにくく, 正面像で判断した方がよいことになります。 STEP

57

側面像のチェックポイント

心臓や横隔膜の辺縁,気管・食道のガ

ス,肺動脈,肺静脈など

104 診断各論 上行大動脈 右上肺静脈 右肺動脈 右下肺静脈 左下肺静脈 左上肺静脈 左肺動脈 上行大動脈 大動脈,肺動脈,肺静脈の立体的位置関係の把握に役立つ。左の写真は左前方から 左肺門を見,右の写真は右後方から右肺門を見る。 写真 3-14 肺門部の立体構造 S2 S1 S3 S1+2 S3 S4 S5 S2 S1 S3 S1+2 S3 S4 S5 S4 S5 S4 S5 S6 S9 S8 S10 S6 S8 S10 S9 S7 S6 S9 S8 S10 S6 S8 S10 S9 S7 肺門部 上肺野 中肺野 下肺野 肺尖野 肺門部 下 葉 肺野の区分 写真 3-15 各肺葉の正面像と肺野の区分 上 葉 中 葉 左房 後縁 左横隔膜 右横隔膜 下肺静脈 左肺動脈 気管 右肺動脈 右室流 出路 写真 3-16 正常胸部単純 X 線所見(側面像)

(4)

spicula),不鮮明です。気管支動脈や肺動脈を集 積し,切痕徴候 notch signといわれる不整な切れ 込み像(ちなみに,大きな凹凸をノッチ notch, 細かい凹凸をスピクラ spiculaと呼ぶ),それが深 くなった八つ頭状,分葉状の陰影が認められます。 特に,腺癌は胸膜への浸潤傾向が強く,胸膜を巻 き込んで胸膜陥入 pleural indentationを呈します (写真 3-60)。他方,結核のように気道散布巣によ る娘病巣を作ることはまれです。胸部 CT では, 同様の所見がより早期に検出されます。 STEP

77

腺癌

末梢肺野に腫瘤影

ノッチやスピクラを形成,胸膜陥入像

を呈する

粘液非生産性細気管支肺胞上皮癌はす

りガラス陰影を示す

5)大細胞癌 large cell carcinoma

大細胞癌も肺野型肺癌で,肺野に腫瘤影を作り ます(写真 3-61)。しばしば大きく成長し,直径 6cm を超えるので,結節影の範疇に収まらないこ ともあります。また,腺癌と異なり,胸膜陥入を 来すことはほとんどありません。大細胞癌は, 種々の組織型の癌の未分化なものと考えられ,い わばゴミ箱的な診断です。 STEP

78

大細胞癌はこれといって特徴のない腫瘤

肺リンパ腫

pulmonary lymphoma 肺には,原発性の悪性リンパ腫が発生すること や,その他の部位のリンパ腫から続発性に肺病変 を生じることがあります。画像では,結節,浸潤 影,気管支血管束の肥厚や小葉間隔壁の肥厚など のリンパ路沿いの陰影など,さまざまな画像パタ ーンを示します(写真 3-62)。また,肺門・縦隔 のリンパ節腫大を伴うことが比較的多く見られま す。

転移性肺腫瘍

metastatic lung tumor

1)血行性転移 hematogenous metastasis 肺への血行性転移は,実地臨床の場では最も頻 度の高い腫瘍です。転移経路として,肺動脈を経 129 第3章 肺・縦隔

3

3)小細胞癌 small cell carcinoma

小細胞癌も肺門型肺癌で,中枢の太い気道に発 生します。発育が早く,初診時に所属リンパ節転 移がみられることが多いです。胸部単純 X 線所見 では,縦隔および肺門部リンパ節の腫脹が著明で, 原発巣よりも目立つのが特徴です。ただし,この ような場合には,悪性リンパ腫との鑑別も必要と なります。原発巣は充実性の腫瘤影を呈し,周囲 へのリンパ管に沿う浸潤傾向も著明です(写真 3-59)。 STEP

76

小細胞癌は原発巣に比べてリンパ節腫大

が著明,遠隔転移も多い

4)腺 癌 lung adenocarcinoma 腺癌の多くは肺野型肺癌で,肺野に腫瘤(結節) 影が認められます。辺縁は毛羽立ち(棘状突起 128 診断各論 単純 X 線では右上葉内側部に結節(▲)を認める。造影 CT では右上葉内側に空 洞を有する結節(▲)を認め,その末梢に二次性変化を伴う。 写真 3-58 肺J平上皮癌による空洞形成の単純 X 線所見(左)と造影 CT 所見(右) 単純 X 線では右中肺野外側に結節影(丸囲み),右肺内リンパ節(▲),右傍気管リンパ節( ▲ ) の腫大を認める。高分解能 CT では右上葉 S3 の葉間面近くにノッチを有する結節を認め,これ に関係する血管束の肥厚(気管支血管周囲のリンパ管内進展)(▲)を伴っている。 写真 3-59 肺小細胞癌長軸進展の単純 X 線所見(左)と高分解能 CT 所見(右) 単純 X 線では右上葉内側に結節影(▲)を認める。高分解能 CT では胸膜陥入(▲)や結節内部の空洞 ( ▲ )と結節辺縁部にすりガラス陰影を認め,細気管支肺胞上皮癌成分を伴う肺腺癌と考えられる。 写真 3-60 肺腺癌による空洞形成の単純 X 線所見(左)と高分解能 CT 所見(右)

(5)

167 第4章 循環器

4

CT 所見

心臓,大血管の CT 所見を見るときには,縦隔 の軟部組織にウインドウレベルとウインドウ幅を 併せて条件に設定する必要があります。また,代 表的なスライス面にどの臓器が見えているのかを 覚えておく必要があります(写真 4-3)。 正常冠動脈像は,CT も冠動脈造影もほぼ同様 に見えます。 右冠動脈は右冠洞から分岐し,右房室間溝を下 行して後心室間溝に分布します(図 4-6 下段,写 真 4-4 左)。 左冠動脈主幹部は左冠洞から分岐し,左前下行 枝と左回旋枝に分かれ,左前下行枝は前心室間溝 を下行し,左回旋枝は左房室間溝を走行し心室後 面に分布します(図 4-6 上段,写真 4-4 右)。

MRI 所見

MRI では,血流のある大血管と心臓内腔は,撮 影方法により低信号(黒)もしくは高信号(白) で表され,心筋との区別ができます。スピンエコ ー法(血流のある領域は低信号)で撮影すると (写真 4-5),空気を含んだ気管や気管支も低信号 に見えるので,位置関係から大血管や心臓内腔と 区別する必要があります。 cine-MRI は,超音波検査や核医学検査と同様に, 左室の短軸像(僧帽弁と左室心尖部を通る長軸に 直角に交わる平面像),長軸像,4 腔像(両心房, 両心室の 4 腔が見える平面)で評価することが一 166 診断各論 左冠動脈主幹部 左冠動脈主幹部 前下行枝 心室中隔枝 鈍縁枝 後側壁枝 対角枝 対角枝 洞房結節枝 左冠動脈(右前斜位像) 左冠動脈(左前斜位像) 右冠動脈(右前斜位像) 右冠動脈(左前斜位像) 右冠動脈 円錐枝 右室枝 房室結節枝 房室結節枝 鋭縁枝 後下行枝 後下行枝 回旋枝 円錐枝 洞房結節枝 右冠動脈 鋭縁枝 右室枝 前下行枝 心室中隔枝 回旋枝 鈍縁枝 後側壁枝 図4-6 冠動脈の解剖 回旋枝 鈍縁枝 後側壁枝 左冠動脈主幹部 前下行枝 対角枝 右冠動脈 鋭縁枝 写真 4-4 正常冠動脈の 3D-CT 所見 IVC SVC AAo RVOT LA DAo LCA RV DAo LA LV RA RCA PV MV RCA RV LA LV RA DAo RCA RV LV DAo a c b d a :大動脈基部レベル b :左室流出路と僧帽弁のレベル c :心室・心房が 4 腔見えるレベル d :両心室下縁レベル

LV :左室,RV :右室,RVOT :右室流出路,LA :左房,RA :右房,AAo :上行大動脈,DAo : 下行大動脈,PV :肺静脈,SVC :上大静脈,IVC :下大静脈,LCA :左冠動脈,RCA :右冠動脈

(6)

6-38)。輪郭は凹凸が目立ち,病変部は腫脹します。 門脈腫瘍栓が発達すると背景肝が動脈優位の供血 に変化するため,造影早期に病変は肝臓と同等の 濃度を呈し見づらくなり,造影後期に相対的低吸 収を呈します(写真 6-39)。 びまん型では,単純 CT で癌を同定することは 通常困難です。造影後に癌は早期に相対的高吸収 を呈し,後期に相対的低吸収かあるいは等吸収を 呈し,同定が難しくなります。 ③ MRI MRI において,前癌病変の多くは,T1 強調像 で等あるいは高信号,T2 強調像で等あるいは低信 号を呈します。造影早期には同定できず,造影後 期に相対的低信号結節として認識できることがあ ります。 古典的肝癌になると T1 強調像では高,等,低 いずれの信号もとり,一定しません。T2 強調像で は高あるいは等信号を呈します。造影剤を使用す ると病変の明瞭さはさらに増し,造影早期に相対 的高信号を呈し,後期に低あるいは等信号を呈し ます。ダイナミック MRI では,ダイナミック CT に類似した画像が見られます。肝癌の特徴である 被膜は CT よりも MRI でより明瞭に描出されま す。古典的肝癌でも 2cm を超えると T1 強調像で 243 第6章 肝・胆・膵

6

② CT CT では,前癌病変を単純 CT や造影早期で同定 することは困難なことが多く,造影後期に相対的 低吸収結節として発見されます。古典的肝癌巣が 出現すると造影早期に肝癌巣が相対的高吸収を呈 します。 古典的肝癌になると 2cm 以下では,単純 CT で は同定できなくとも,造影早期に相対的高吸収を 呈し,後期に相対的低吸収あるいは等吸収を呈し ます。2cm を超えると,単純 CT では背景より相 対的低吸収を呈することが多いのですが,単純 CT のみでは同定が難しいため,造影 CT が必須と なります。造影早期(動脈優位相)に,背景より 低吸収を呈する被膜を有する相対的高吸収結節と して描出されます。また,被膜の外の周囲肝が肝 癌から流出した造影剤により濃染します(コロナ 濃染)。造影後期になると背景肝が高吸収化し, 癌は相対的に高吸収を呈する被膜をもつ低吸収結 節として描出されます(写真 6-37)。 塊状型は相対的低吸収を呈し,門脈腫瘍栓の発 達が乏しい場合は,造影早期に不均一な相対的高 吸収,造影後期に相対的低吸収を呈します(写真 242 診断各論

被膜を示唆する halo(▲),側方陰影 lateral shadow(})

が見られ,隔壁がありモザイクを呈している(丸囲み)。 写真 6-36 結節型肝細胞癌の超音波所見 7 秒おきに撮影(上段左→上段右→下段左→下段右の順)したものである。腫瘍の相対的濃度 が刻々と変化している。先に腫瘍の濃度が上昇し,背景肝の濃度が上昇してくるころ,腫瘍の濃 度は相対的に下がる。造影後期には,被膜が相対的高濃度の輪として描出されている。 写真 6-37 結節型肝細胞癌のダイナミック CT 所見(写真 6-40,44 と同一症例) 早期相 後期相 被膜が見られず,隣接する肝臓を置換するように発育している。背景肝も造影 早期(左)に濃染するため,腫瘍の輪郭は造影後期(右)で明瞭である。 写真 6-38 塊状型肝細胞癌の造影 CT 所見 門脈腫瘍栓(▲)により門脈血流が低下すると代償性に動脈血流が増し,その 結果,楔形の早期濃染が見られ腫瘍濃染が埋もれて腫瘍が見えなくなる( ▲ )。 写真 6-39 門脈腫瘍栓を形成した塊状型肝細胞癌の造影 CT 所見(早期相)

(7)

3)手関節 wrist joint 手関節撮影の基本も正確な正面像と側面像の 2 方向撮影です。手根骨と手指は骨の重なり合いの ため斜位像の追加となる場合があります。舟状骨 は回内位 pronation,豆状骨は回外位 supination で よく観察されます。正面像では,手根骨列の配列 をチェックする習慣をつけましょう(写真 8-11)。 側面像では,手関節不安定性を除外するため,橈 骨,月状骨,有頭骨の配列が正常であることを確 認することが重要です。 4)股関節 hip joint 正面像と側面像(施設によって撮像法が異なる) が基本です(写真 8-12)。正面像は,大腿骨を内 旋させると大腿骨頸部が正面を向くので,大転子 と小転子が重ならず,頸部を観察しやすくなりま す。 大腿骨頭壊死や Perthesペルテス 病が疑われる場合は MRI が有用です。 307 第8章 骨・軟部・脊椎

8

して描出されます。成長軟骨板における軟骨形成 性骨化が骨の長軸方向の伸張をもたらし,この成 長軟骨板が消失し骨端と骨幹端が癒合した時点で 骨の成長は終了します。 4)骨関節の正常変異 骨関節には非常に多くの正常変異があります。 ほとんどの正常変異には症状はなく,治療の必要 もありませんが,病的所見と誤認し無用な医学的 侵襲が加わらないようにしなければなりません。 異常か正常変異か判断がつかない場合は,画像ア トラスなどを参照しましょう。小児では,上腕骨 近位内側部や大腿骨内側顆上部といった腱付着部 に骨増生が生じ,病的な骨膜反応と似ることがあ るため,注意が必要です(写真 8-8)。骨盤骨の骨 化の生じていない軟骨結合も腫瘍性病変と間違わ れやすい正常変異です。手や足あるいは膝の周囲 には多数の副骨や過剰骨が存在し,骨折と紛らわ しいこともあります。副骨には,腱や靱帯などの 線維内に存在する種子骨も含まれています。種子 骨は腱,靱帯を滑らかに動かす役割があり,膝蓋 骨は人体最大の種子骨です。

各部位ごとの撮影法と正常像

1)肩関節 shoulder joint 単純 X 線撮影では,正面像(内旋像)(写真 8-9) と斜位像および軸位像を撮影します。 頻度の高い肩関節前方脱臼による関節窩,関節 唇損傷や肩関節腱板損傷,腱板断裂の診断には MRI が有用です。 2)肘関節 elbow joint 肘関節は,腕橈関節,腕尺関節および近位橈尺 関節からなる複合関節で,一見複雑に見えますが, それぞれの関節を 1 つ 1 つチェックするとわかり やすいでしょう。ただし,複数の関節が重なり合 うので,正確な正面像と側面像が必須です(写真 8-10)。 小児の肘関節では,橈骨の中心軸が正面像でも 側面像でも上腕骨小頭の中央を通過するかどうか を確認してください。側面像で上腕骨前縁に沿っ た線が上腕骨小頭の中 1/3 を通過しない場合,上 腕骨顆上骨折が疑われます。また,潜在的に存在 する骨折の検出にfat pad signが役立ちます。小 児の肘関節は,骨端核の出現時期に個人差がある ので,健側との比較が役立つことがあります。 306 診断各論 小児の大腿骨内側顆後面の骨不整像(▲) は,筋腱の牽引によるもので病的ではない。 写真 8-8 cortical irregularity(正常変異)の 単純 X 線所見(膝関節側面像) 1 1 3 7 2 5 6 4 1 :肩峰,2 :上腕骨頭,3 :小結節,4 :大 結節,5 :解剖頸,6 :肩甲窩,7 :外科頸 写真 8-9 肩関節の単純 X 線所見(正面像) 1 2 3 4 5 6 7 1 2 3 4 6 7 写真 8-10 肘関節の単純 X 線 2 方向撮影 1 :肘頭,2 :上腕骨小頭,3 :橈骨 頭,4 :外側上顆,5 :内側上顆,6 : 上腕骨滑車,7 :尺骨鉤状突起 側面像 正面像 1 8 2 3 4 6 5 7 9 10 10 10 10 1 : 橈 骨 , 2 : 尺 骨 , 3 : 月 状 骨 , 4 :舟状骨,5 :三角骨,6 :有頭骨, 7 :大小菱形骨,8 :有鉤骨,9 :第 1 指中手骨,10 :第 2 ∼ 5 指中手骨 写真 8-11 手関節の単純 X 線所見 (正面像) 1 8 2 3 4 5 6 7 9 2 1 3 4 正面像 側面像 1 :大腿骨頭,2 :大転子,3 :小転子,4 :大腿骨頸部,5 :転子間稜, 6 :寛骨臼,7 :坐骨結節,8 :恥骨体,9 :閉鎖孔 写真 8-12 股関節の単純 X 線 2 方向撮影

(8)

1)放射線感受性 radiosensitivity 生体内の放射線によるエネルギー付与は,主に 水と酸素に対して作用し,フリーラジカルが産生 され,そのフリーラジカルが細胞の DNA など重 要な部分を破壊することによります。体内に豊富 にある水に対して,酸素は体外から取り込まれる ため,組織内濃度は一定ではありません。酸素分 圧が高いほど,放射線感受性が高い(酸素効果) ため,貧血・肺機能障害など酸素が不足する病態 では,ラジカルの産生が少なく,放射線治療効果 も少なくなってしまいます。 腫瘍細胞(腫瘍幹細胞)の放射線感受性は,病 理組織型によって異なります。また,同じ病理組 織型によっても幅があることが知られています。 さらに,同じ腫瘍細胞であっても,細胞周期によ って感受性は異なります。感受性の高い腫瘍には, 悪性リンパ腫や小細胞肺癌などがあり,感受性の 低い腫瘍には,悪性黒色腫,膠芽腫,腎癌などが あります。 また,未分化な細胞分裂の盛んな病理像を示す 癌は,高分化で分裂像の乏しい癌に比べ,放射線 感 受 性 が 高 いこ と が 経 験 的 に い わ れ て い ま す (Bergonié-Tribondeauの法則)。 2)修 復 repair 1 回の照射と次の照射との間で,放射線による 正常細胞の傷害の一部が修復されます。分割回数 を増やすことによって,晩期の有害事象の発生率 が少なくなると考えられています。 3)再増殖 repopulation 分割照射の過程で,一部の組織では細胞増殖能 が高まります。これは正常組織と腫瘍のいずれで も認められます。特に頭頸部癌や子宮頸癌では, 治療開始から約 5 週間が過ぎると腫瘍幹細胞の再 増殖が強まるため,治療期間の延長によって局所 制御率が低下することが知られています。 4)再分布 redistribution 1 回の照射後に生き残っている細胞の一部が, 感受性の高い細胞周期に再分布することによっ て,次の照射の効果が高まります。 5)再酸素化 reoxygenation 悪性腫瘍では,栄養血管から離れた低酸素細胞 の放射線感受性は低いことが知られています。1 回照射の後,低酸素細胞に再酸素化が起こり,次 の照射に対する感受性が高まると考えられていま す。 STEP

2

4

つの R

repair,repopulation,redistribution,

reoxygenation

放射線治療の実際

放射線治療の目的

根治的放射線治療

definitive radiation therapy

治癒を目的として治療することを根治的放射線 治療(根治照射)と呼びます。悪性腫瘍の進行度 が局所にとどまっている場合,臓器温存(機能温 存)を目的とした放射線治療が選択されます。代 表的な例として,喉頭癌(声門癌)や舌癌などが あります。切除可能であっても,患者因子として 重篤なリスクがあるため手術の適応がない場合 は,侵襲が少ない放射線治療を選択することもあ ります。 一方,悪性腫瘍が局所にとどまっていても周囲 臓器に浸潤しており,切除不可能な局所進行癌に 対しては,治癒を目的として放射線治療が行われ ます。 349 第1章 放射線腫瘍学総論

1

の選択には注意が必要となります。 3)粒子線 particle beam 陽子線や重イオン線(炭素イオン線)といった 粒子線を利用した臨床試験が行われています。こ れらの粒子線は,到達距離の末端で線量が増加す るという物理学的な特徴があり,Bragg ピークと 呼ばれています。

線量と単位

放射線治療で用いられる線量は,吸収線量と呼 ばれています。単位質量(kg)当たりに吸収され るエネルギー(J)として表され,単位はグレイ (Gy)を用います。したがって,1Gy は 1J/kg のエ ネルギー吸収に相当します。 STEP

1

ビルドアップ領域

最大線量深に達するまでの数 cm の低

線量領域

皮膚表面に近い腫瘍の治療では要注意

放射線生物学の基礎

治療可能比

therapeutic ratio(TR) 放射線治療によって悪性腫瘍の治療が可能かど うかは,悪性腫瘍の制御率と正常組織の重篤な有 害事象の発生率との関係によって決まります。つ まり,ある線量を照射したときに,高い制御率が 得られると同時に有害事象の発生率が許容範囲内 であることが必要になります。 治療可能比の概念は,線量-効果曲線によって 示すことができます(図 1-1)。

分割照射

fractionated irradiation 放射線治療の効果は総線量だけでなく,1 回線 量と分割回数,治療期間といった因子が大きく関 わってきます。通常の放射線治療は,1 日 1 回 1.8 ∼ 2Gy の照射を数十回繰り返し,治療期間は 5 ∼ 8 週間ほどになります。これを分割照射といい, 経験的に確立してきたものですが,生物学的に治 療可能比を向上させることがわかっています。分 割照射に影響を与える因子には,放射線感受性, 修復,再増殖,再分布,再酸素化などが知られて います。 348 放射線腫瘍学 100 (%) 50 腫 瘍 制 御 率 お よ び 有 害 事 象 発 生 率 総線量 40 60 80(Gy) 100 (%) 50 腫 瘍 制 御 率 お よ び 有 害 事 象 発 生 率 総線量 40 60 80(Gy)  左図では腫瘍と正常組織の線量−効果曲線が離れており,有害事象の発生率が低い線量 で腫瘍の制御が可能なため,治療可能比は良好である。一方,右図のようにお互いの線量 −効果曲線が近い,あるいは正常組織の線量−効果曲線の方が左方にある場合は,腫瘍制御 のために重篤な有害事象の発生リスクが高くなり,治療可能比は不良となる。 有害事象 腫瘍制御 有害事象 腫瘍制御 図1-1 治療可能比の概念図

(9)

強度変調放射線治療

intensity-modulated radiation therapy(IMRT) 強度変調放射線治療は,三次元原体照射のより 進化した照射法です。コンピュータによる最適化 計算によって得られる,強度を変えた複数のビー ムを組み合わせることで,正常組織を避けた線量 分布がつくれます(写真 1-5)。例えば,頭頸部癌 において唾液腺や脊髄の線量を減少させたり,前 立腺癌において直腸や膀胱の線量を減少させたり 355 第1章 放射線腫瘍学総論

1

三次元原体照射と強度変調放射

線治療

三次元原体照射

three-dimensional confor-mal radiation therapy(3D CRT)

三次元治療計画では,正常組織の照射線量を最 小にしつつ,PTV に十分な線量を照射することが 容易となりました。任意の方向から PTV の形状に 合致した照射野のビームを複数作成することによ って,PTVの形に一致した線量分布を得られます (図 1-4 の線量分布図)。このような治療を三次元 原体照射と呼びます。 354 放射線腫瘍学 線量分布図 100.0 90.0 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 0.0 3.0 6.0 9.0 12.0 15.0 18.0 21.0 24.0 27.0 30.0 33.0 36.0 39.0 42.0 45.0 48.0 51.0 54.0 57.0 60.0 63.0 66.0 69.0 72.0 75.0 78.0 81.0 84.0 87.0 90.0 93.0 96.0 99.0 102.0 105.0 108.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0 22.0 24.0 26.0 28.0 30.0 32.0 34.0 36.0 38.0 40.0 42.0 44.0 46.0 48.0 50.0 52.0 54.0 56.0 58.0 60.0 62.0 64.0 66.0 68.0 70.0 72.0 74.0 76.0 100.0 90.0 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 体   積   (%) 線 量(Gy) 線量体積ヒストグラム(DVH) 線量分布図のように,前立腺癌に前左右斜の7方向から照射することにより,DVHに示されるように 直腸と膀胱の線量を低くする。線量分布図の色囲みがPTVである。 直腸 計画標的体積 膀胱 図1-3 三次元治療計画による前立腺癌に対する治療計画 IMRT 3D CRT 線量分布図 150.0 140.0 130.0 120.0 110.0 100.0 90.0 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 0.0 3.0 6.0 9.0 11.0 14.0 17.0 20.0 23.0 26.0 29.0 31.0 34.0 37.0 40.0 43.0 46.0 49.0 51.0 54.0 57.0 60.0 63.0 66.0 69.0 71.0 74.0 77.0 80.0 体   積   (%) 線 量(Gy) 3D CRT(直腸) IMRT(直腸) 3D CRT(膀胱) IMRT(膀胱) 3D CRT (PTV) IMRT (PTV) 線量体積ヒストグラム(DVH) 線量分布図を見ると,IMRT(左)と3D CRT(右)いずれもPTV(色囲み)に一致した線量分布が 得られている。DVHで比較してみると,直腸と膀胱の高線量域がIMRTの方が少ないことがわかる。 図1-4 前立腺癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)と三次元原体照射(3D CRT)の比較

(10)

●有害事象 急性期の放射線有害事象として,皮膚炎や粘膜 炎,味覚障害,唾液の分泌低下などが生じます。 また,遅発性の放射線有害事象としては,上記の ほかに,皮下組織の硬結,骨壊死,腕神経麻痺な どもまれに生じます。 363 第2章 各悪性新生物における放射線治療

2

33 回)で照射します(写真 2-4)。また,早期舌癌 では組織内照射で 60 ∼ 70Gy を約 1 週間程度で照 射します。 進行期例の咽頭癌,喉頭癌,口腔癌に対し,術 後の局所再発を抑えるため,54 ∼ 70Gy を 6 ∼ 7 週 間(30 ∼ 40 回)で照射します(写真 2-5)。 進行期上咽頭癌や進行期下咽頭癌,喉頭癌に対 し,同時化学放射線併用療法を行うことがありま す。化学療法としては,シスプラチンなどの白金 製剤を用い,放射線治療としては,60 ∼ 70Gy を 6 ∼ 7 週間(30 ∼ 35 回)で照射します(図 2-1)。 疼痛緩和のための照射は,3Gy/日で計 10 回, 総線量 30Gy 程度を症状のある部位に照射します。 ●治療成績(5 年生存率) 治療成績は,表 2-4 を参照してください。 362 放射線腫瘍学 表 2-3 口腔癌の TNM 病期分類 原発巣 T1 腫瘍径 2cm 以下 T2 腫瘍径 2cm を超え,4cm 以下 T3 腫瘍径 4cm を超える T4a 下顎骨,深部舌筋,上顎洞,皮膚への浸潤 T4b 頭蓋底,翼口蓋窩,頸動脈への浸潤 所属リンパ節転移 N0 所属リンパ節転移なし N1 患側頸部単発性リンパ節転移(3cm 以下) N2a 患側頸部単発性リンパ節転移(3 ∼ 6cm) N2b 患側頸部多発性リンパ節転移(6cm 以下) N2c 両側頸部あるいは対側リンパ節転移 N3 6cm を超える所属リンパ節転移 遠隔転移 M0 遠隔転移なし M1 遠隔転移あり 表 2-4 頭頸部癌の標準治療 疾 患 標準治療 5 年生存率 副鼻腔癌 進行期:手術+術後放射線治療 35 ∼ 60 % 舌癌,口腔癌 早 期:手術単独,または放射線治療単独* 進行期:手術+術後放射線治療 60 ∼ 90 % 15 ∼ 60 % 唾液腺癌 早 期:手術単独 進行期:手術+術後放射線治療 80 ∼ 90 % 40 ∼ 60 % 上咽頭癌 早 期:放射線治療単独 進行期:化学療法同時併用放射線治療 60 ∼ 70 % 30 ∼ 60 % 中咽頭癌 早 期:手術単独,または放射線治療単独 進行期:手術+術後放射線治療 50 ∼ 90 % 10 ∼ 40 % 下咽頭癌 早 期:手術単独,または放射線治療単独 進行期:手術+術後放射線治療 (臓器温存を希望すれば,進行期でも化学療法 同時併用放射線治療) 30 ∼ 70 % 5 ∼ 20 % 喉頭癌 早 期:手術単独,または放射線治療単独 進行期:手術+術後放射線治療 (臓器温存を希望すれば,進行期でも化学療法 同時併用放射線治療) 80 ∼ 95 % 35 ∼ 60 % *早期の舌癌や一部の早期口腔癌では,セシウム針やイリジウムワイヤー といった密封小線源を用いた組織内照射で,腫瘍部に集中的に放射線治 療を行う方法で治療されることもある。 リンパ節転移の頻度は極めて 少ないため,原発巣のみを照射 野(色囲み)に含める。 写真 2-4 早期声門癌の照射野 化学 療法 化学 療法 化学 療法 化学 療法 化学 療法 化学 療法 放射線治療 60∼70Gy(6∼7週間) 抗癌薬の毎週投与例 化学 療法 化学 療法 化学 療法 放射線治療 60∼70Gy(6∼7週間) 3週に1回の抗癌薬の投与例 図2-1 化学療法同時併用放射線療法のさまざまなスケジュール a b c d 写真 2-5 進行期上咽頭癌の線量分布図 頭蓋底から頸部までを 広く,IMRT で治療する。 色囲みが GTV である。

参照

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