論文内容要旨
Comparison of the magnetic resonance imaging findings of neuroendocrine and non-neuroendocrine ductal carcinoma in situ of the breast
(神経内分泌型非浸潤性乳管癌の MRI 所見 〜NE-DCIS と non NE-DCIS の比 較〜)
THE SHOWA UNIVERSITY JOURNAL OF MEDICAL SCIENCES (Vol.31 No.1 2019 年 掲載予定)
専攻名 内科系放射線科学(放射線科学分野)波多野久美
【目的】乳腺の神経内分泌型非浸潤性乳管癌(neuroendocrine-ductal carcinoma in situ: NE-DCIS)は非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ: DCIS)の特殊亜型として比較的近年に確立された疾患概念である。
NE-DCIS の診断基準は定義されていないが、Kawasaki らは免疫組織化学的 に神経内分泌マーカー(クロモグラニン A and/or シナプトフィジン)が 50%を超える腫瘍細胞に発現する DCIS としている。我々の調べた限りでは、
NE-DCIS の MRI 所見に関するまとまった報告は見られなかった。本研究は NE-DCIS と通常の DCIS(non NE-DCIS)の MRI 所見に有意な違いがあるか どうかを検討することを目的とした。
【対象・方法】2010 年 6 月から 2012 年 6 月の 2 年間に、当院において術 前に造影 MRI を施行し、病理組織診断の得られた NE-DCIS、7 症例 8 病変、
non-NE-DCIS、69 症例 71 病変を対象とした。MRI 所見では、それぞれの病 変のタイプ(mass type、 non-mass type、focus type)、造影 dynamic MRI(DCE-MRI)における time-signal intensity curve (TIC)のパターン
(washout pattern、plateau pattern、persistent pattern)、血性拡張 乳管描出の有無、マンモグラフィでは石灰化の有無について検討した。
【結果】年齢は 34 歳から 85 歳、平均 53.7 歳で全例女性であった。NE-DCIS の MRI 所見は non-NE-DCIS に比べ病変のタイプは mass タイプが、 DCE-MRI における TIC では washout パターンが有意に多かった。血性拡張乳管の描
出率に有意差はなかったが、NE-DCIS に多い傾向があった。マンモグラフ ィでは non-NE-DCIS では石灰化が 60.1%にみられたが、NE-DCIS では 0%
であり、有意差がみられた。
【結論】NE-DCIS と non NE-DCIS の MRI 所見に有意な違いがみられた。
NE-DCIS は比較的稀で新しい疾患の概念であり、治療法、予後ついてはま だ十分に解明されておらず、現時点では NE-DCIS と non-NE-DCIS を厳密に 区別することの臨床的意義は確立されていないが、症例を蓄積し予後、治 療法を確立することにより、将来、区別することがより重要になると考え る。