■A4判/144頁/2色刷(カラー32頁)
■定価 (本体 3,500円+税)
ISBN978-4-263-44431-3
新・歯科医療における
感染予防対策 と
滅菌・消毒・洗浄
新・歯科医療における
感染予防対策 と
滅菌・消毒・洗浄
広島大学大学院医歯薬学総合研究科先進医療開発科学講座教授 広島大学大学院医歯薬学保健学研究院口腔健康科学講座 広島大学病院口腔総合診療科
伊勢崎市民病院薬剤部 ICHG研究会
医療法人ヘブロン会大宮中央総合病院特定健診科 京都府立医科大学付属病院臨床検査部・感染対策部 特定医療法人沖縄徳州会 静岡徳州病院内科 ICHG研究会
ICHG研究会代表 栗 原 英 見
仁井谷善恵 西 裕 美 新 井 裕 子 杉山香代子 村 山 郁 子 藤 田 直 久 山之上弘樹 由 良 温 宣 波多江新平
本書のポリシー
・ 患者が感染から保護されていること
・ 医療従事者が感染から保護されていること
・ 経済的・合理的な対策であること
・ 環境に配慮した対策であること
歯科医療現場では,滅菌,消毒が必要なもの,滅菌も消毒も必要 ないもの(洗浄及び乾燥でもよいもの)が混在しており,経済面や 時間,人手,環境等に配慮した感染予防対策が必要です.
本書では,国際水準にそった感染予防対策の基本的な考え方と手 順やその理由をわかりやすく解説しました.
臨床で必須の『感染予防対策』の知識が修得できる必携の一冊で す.
〒113-8612 東京都文京区本駒込1-7-10 TEL.03-5395-7630 FAX.03-5395-7633 http://www.ishiyaku.co.jp/
感染予防対策の基本7 3標準予防策(ユニバーサルプレコーション)
従来,感染症の考え方は,病原体が確認されたものだけを感染症とし,予防対策を行っ てきたが,患者の保有しているかもしれない病原体は未同定として,すべての湿性の血液・
体液・排泄物等は感染の可能性があるものとして取り扱うのが,標準予防策の考え方であ る(表 3).具体的には目視できる,湿性の血液・体液・排泄物等を取り扱う場合は,必要 に応じ,手洗い,手袋,プラスチックエプロン,サージカルマスク,ゴーグル等の着用,
針刺し事故防止対策,感染性リネン,感染性廃棄物等の取扱いを適正に行うなどである(表 4).これらの対策によって,診断には関わりなく,すべての患者に一定の質のケアが提供 でき,交差感染の予防,歯科医療従事者の保護ができる.
表 3 標準予防策(ユニバーサルプレコーション)の概念 すべての患者の血液・体液・排泄物 血液,目視できる血液の混入した唾液,創,創からの浸出液,抜去歯,耳鼻分泌液,羊水,心嚢液,腹 水,胸水,関節滑液,脳脊髄液,精液,腟分泌液,尿,便,病理組織(生検材料,手術切除材料,剖検臓 器),胎盤,等
は,感染の可能性のあるものとして取り扱う.
Link▶ LinkP8
目視できる血液の混入した唾液 標準予防策の考え方では,目視できる血液が混入しているものは,血液と同様に取り扱う.
目視できないものや,完全に乾燥したものは,感染を成立させるだけの病原体は含まれていない,
と考えてよい.
表 4 標準予防策(ユニバーサルプレコーション)の具体的対策
状 況 対 策
血液・体液・排泄物等に触れる可能性のあ
るとき 手袋を着用し,外した後は直ちに手洗いする.
血液・体液・排泄物等が飛び散る可能性の あるとき 手袋,プラスチックエプロン,サージカルマスク,ゴー
グルを着用する.
血液・体液・排泄物等が床にこぼれたとき手袋,プラスチックエプロンを着用し,次亜塩素酸ナト リウム処理を行う.
感染性廃棄物を取り扱うとき バイオハザードマークを使用し,分別・保管・運搬・処 理を行う.
針を使用したとき(針刺し事故の防止) リキャップせず,針棄てボックスに直接廃棄する.
Link▶ P97 Link
● 標準予防策の具体的対策のポイント a 血液・体液・排泄物等に触れる可能性のあるときは手袋を使用し,もし,手に直接触
6新・歯科医療における感染予防対策と滅菌・消毒・洗浄
歯科医療における接触感染の主な原因は,歯科医療従事者の手指を介した交差感染と医 療器具を介しての交差感染である(治療はほとんどが出血すると考えられるので).しか し,現実には歯科医療従事者自身は自分たちの手指の汚染が原因で交差感染が起こってい るという認識が薄いし,器具を介しての交差感染は,主に不十分な滅菌,消毒,洗浄によ って引き起こされている.歯科医療従事者は,まず,患者ケア時に適切に手洗いと手袋の 交換をすることがもっとも有効な手段であることを認識する必要がある.と同時に,特に リユースする器具等の滅菌,消毒,洗浄を適切に行うことである.
● 歯科診療室のハード面についての考え方 歯科診療室のハード面での感染予防対策は「ほこり」の除去や,治療中に発生したエア ロゾルの処理や血液の混入した唾液が飛散することを想定して清掃しやすいように工夫す る(例えばコード類を床に這わさないようにする,床と壁は清拭しやすい材質にするなど).
また,ユニットとユニットの間隔も考慮する.これらは,建築の設計段階でデザイン・材 質・空調等を十分に検討することが重要である.
1.空気感染と飛沫感染を混同しないこと.
2.いくつかの疾患は複数の感染経路をもつこと.
3. MRSA 感染症の接触感染において最も注意する感染経路は,医療従事者の手指を 介した交差感染である.
4. サルモネラ症(食中毒)やレジオネラ肺炎のように,二次感染を生じさせない感染 症が存在することを知ることも大切である.
空気感染と飛沫感染 空気感染は,飛沫が空気によって乾燥し 5 m 以下の小さな飛沫核となった場合は,粒子の 重さが空気と変わらないため床に落下しにくいので吸入する機会が増加する.また粒子が小さ いので吸入した場合,鼻腔・口腔・咽頭・気管支を通過して直接肺胞まで到達できる.
飛沫感染は,粒子が大きいので直ちに床に落下することと,飛沫が口腔粘膜等に付着しても 肺まで到達しない.
空気感染(空気の流れにより拡散)と飛沫感染(短い距離を飛び床に落下)を混同しないこと.
83 器具・器械の
滅菌・消毒・洗浄の実際 39)プラガー 滅菌
洗浄 → 乾燥 → 滅菌
● 洗 浄 微温湯と洗剤で洗浄する. 超音波洗浄機を使用してもよい.
● 滅 菌 オートクレーブにかける. 注意: 洗浄時の切創防
止のために,ウォッシャーディスインフェクターを 用いるとよい.
40)プラスチックスパチュラ 消毒 洗浄 → 消毒 → 乾燥
● 洗 浄 微温湯と洗剤で洗浄する.
超音波洗浄機を使用しても よい.
● 消 毒 温湯・熱湯を用いて消毒後,乾燥
させる.
洗浄・消毒・乾燥が自動にできるウォッシャーディスイ ン
フェクターを用いるとよい
.
41)プロフィーカップ,プロフィーブラシ 滅菌
洗浄 → 乾燥 → 滅菌
● 洗 浄 微温湯と洗剤を用い,溝等に付着した汚れを除去する.
超音波洗浄機を使用しても よい.
● 滅 菌 オートクレーブにかける.
● その他 プロフィーブラシはディス
ポーザブル製品を利用する.
74新・歯科医療における感染予防対策と滅菌・消毒・洗浄 16)口角鉤 消毒 洗浄 → 消毒 → 乾燥
● 洗 浄 微温湯と洗剤で洗浄する. 超音波洗浄機を使用してもよい.
● 消 毒 温湯・熱湯を用いて消毒
後,乾燥させる.
洗浄・消毒・乾燥が自動にでき るウォッシャーディスイン フェクターを用いるとよい. 17)口腔外バキューム
清拭又は洗浄
清拭
→
→ 乾燥 洗浄
● 清拭又は洗浄 目視で汚れがある場合は,
そのつど水拭きする.
また,定期的に清掃を行う
. 取り外しができる部分は微温湯と洗剤で洗浄する.
● その他
血液・体液等が付着している場合は次亜塩素酸ナトリウム液にて清拭 し,金属部分はその後 錆止めのため水拭きをする.
18)口腔内撮影用ミラー 消毒 洗浄 → 消毒 → 乾燥
● 洗 浄 微温湯と洗剤で洗浄する.
● 消 毒 温湯・熱湯を用いて消毒後,乾燥させる.
洗浄・消毒・乾燥が自動にできる ウォッシャーディスイン フェクターを用いるとよい.
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ISBN978-4-263-44243-2
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新・歯科医療における 感染予防対策と滅菌・消毒・洗浄
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1 患者主体の感染予防対策
1 患者への情報提供 2 患者の受け入れ 3 守秘義務
4 感染している歯科医療従事者
2 感染予防対策の基本
1 感染リスクと対策のレベル 2 感染のリンクと感染経路別予防対策 3 標準予防策(ユニバーサルプレコー ション)
1.手洗い/2.手袋,マスク,ゴーグルの 使用/3.白衣,プラスチックエプロン,
靴,頭髪
4 感染のハイリスク患者と歯科治療 1.糖尿病/2.血液透析/3.高血圧症/
4.心内膜炎/5.血液疾患と化学療法
3 歯科診療における 感染予防対策の実際
1 歯科診療における感染リスク 1.治療の内容/2.患者の口腔内の状況/
3.患者の全身的な条件
2 歯科診療室における感染予防対策 1.実際の手順/2.診療補助の役割分担/
3.歯科診療室のハードウェア
4 滅菌・消毒・洗浄の基本
1 歯科診療における感染リスク
1.滅菌・消毒・洗浄の定義/2.滅菌の基 本的条件/3.滅菌工程のモニタリング/
4.滅菌法/5.温湯・熱湯による消毒法 2 消毒剤使用時の基本と留意点 1.消毒剤の基本/2.消毒剤による消毒法 3 熱消毒について
4 洗浄の基本
1.使用部署での一次処理/2.血液・体液 が付着した器具・器械の洗浄方法
5 器具・器械の滅菌・消毒・
洗浄の実際
1 器具・器械の滅菌・消毒・洗浄の基本 2 器具類の滅菌・消毒処理の実際 3 印象体の消毒
6 口腔常在細菌叢と口腔ケア
1 常在細菌叢,歯周病原性細菌 1.口腔内の常在細菌叢/2.口腔の環境と 細菌の存在様式/3.細菌叢の遷移/4.口 腔感染症と原因菌/5.口腔内の日和見感 染菌/6.歯科治療とウイルス
2 うがいと口腔内消毒 1.うがい/2.口腔内消毒
7 アメニティと環境整備
1 診療部門の清掃 2 診療環境と患者の安心
8 医療従事者の感染予防対策
1 血液・体液曝露事故対策
1.血液・体液曝露事故の定義/2.血液・
体液曝露事故防止対策の基本/3.血液・
体液曝露事故後の対応/4.針刺し事故防 止対策
2 針刺し切創事故による健康被害 1.針刺し切創事故によって健康被害を生 じる病原体
3 針刺し切創事故発生後の管理 1.事故直後の処置/2.記録の作成・報告/
3.フォローアップ計画 4 歯科医療従事者の健康管理
9 廃棄物の処理
1 感染性廃棄物と非感染性廃棄物 2 感染性廃棄物の処理
コラム▶感染症法と歯科医療/空気感染と飛沫感 染/目視できる血液の混入した唾液/標準予防策
(ユニバーサルプレコーション)における血液・体 液・排泄物等の取扱いのポイント/速乾性すり込 み式手指消毒剤 エタノール+消毒有効成分の配 合意義/手袋を外したあとに手を洗う理由/手袋 とパソコン/微粒子マスクの選び方,つけ方/歯 科と心内膜炎/唾液流量と薬剤/口腔内管理と肺 炎/医療に供される水の種類/ウォッシャーディ スインフェクター・食器洗い乾燥機/生物学的モ ニタリング/消毒剤の濃度表示について/ホルマ リンガス燻蒸は消毒には使用しない/グルタラー ル・フタラール・過酢酸/医薬品とは/在宅歯科 医療/針刺し切創事故と組織的対応