82 Vo 璽 . 1X .
淡水麿紅 藻 の
一新 種 オ キ チ
モヅ ク に 就 き て
八
木 繁 一
,米 田 勇 一
ANew Species of Freshwater Rhodophyceae,
Nemalionopsis
tortUOS α
・n ・ v .
sp .
By
S .
YAGI
and
Y ,
YON 副
⊃A
愛 媛 縣 松 山 市
の東 方 約
3里 温泉郡
川 上 村吉
久の地
に「
お きち泉」
と稱
す る池 駿湧 泉
が ある。徑 6 −・
7m 許 の略
々圓
形に近
い小 湧 泉
で絶
えず 冷 凉
な る溝 水
を湧 N
し,甚
だ しい 早魃
に際
して も涸 れることな く
, 夏 期
は附 近
水 田の灌 瀧 用水 源
の一
と なつ てゐ る。 此 水 の
流
路に一
種の紅 藻
を生 ず
るこ とが
數 年 陶
八木に よつ て發
見 $れ た〇 八木は愛
媛 縣一 帯 特
に松
山市 附
近の 陸水
を調 査
申偶
々 この
紅 藻
を得
た もの で あつ て,爾 來
研究
を綴續 した る結 果
學界 未 知
の新種
であ る と確
信 するPC 到
つた。
因
つて標 本 並
びvcra 告 を 小泉 源 一 教 授
の下
に逡
附して御 教
示 を請
うた所
,
多 大
の興 味 を以
てその
檢
定 を 行はれ,He ;minthocladiaeeae (ぺ昌
モヅ ク科 )
中 の Nemalionopsisに矚する こ と を指摘された。 小
泉教 授
は更
に米
田 に該
紅薫
の生育
地 を覗 察せ しめ られ,且協同し て研究
すべ き を命
ぜられ
た。 この紅 藻
にNemaliono
那istortuosa
な る畢
名を與
へ て本
誌}⊂發 表
し得
るのは,
ひ とへ に小
泉教授の御 懇 情
に よる もの で あ リ,筆 者 等
は絡 始 直 接 間接
に適
切懇 篤
なる御 指 導
を忝
うした。特
に記 して 深 甚 な る感 謝
の意
を表
す る吹 第
で ある。
Nemalionopsis
tortuosa
は前逑の 「お き ち泉 」
に涵
養ぜ らる る淺
き流
水中の小
石に著
生 し, 其生 育
地は温泉 郡
川 上村 吉 久
及 び見奈 良
の 兩部 落
に瓦
る上 下 約
400m の流
城に過 ぎ ない。 八*
は數
年間 熱
心 に踏 査
を行
っ た が塗に新 産 地 を發 見
し得 ない で ゐ る。特
に 日陰
となる水
中を好
んで發
生す
るもの 饗 あっ て ,周 邉
の開 放
せ る「
お きち泉 」 内
に は決
して 生ず
る こと な く,泉
よVJ 數
m 距 つた下方
のbl
所tc 始
あて發 生
して ゐ る。流 田
ロ よ り下滅約
300 m の魑 域
は吉 久
に 驍する水 路で
,
其幅 H . S
m,
兩岸
は高
さ 3−
4 m の堤 防
が逼
り, その
斜
面に は小 謹 木 雜 草
が密 生
し てゐ る故, 水 面に
逵
す る 日 光は著
しく翡
め られる。
此水 流
が殆
ど乾涸せ る重信 川
の河床 地 下 を暗 渠
となつ て 癌過し西岸の
堤 防 外
測に毋る と, #處
に は見奈
良 原の 小樹 林
があっ て水
面 を疎
に蔽うてゐ るo
ホ 路
は此 邊で は幅
2−
3M,兩
岸
の高
さ1 . 5
M許
である が,樹 林
の 間を
逋 盪 す る約 Ioo mの
範 園
にのみ此粒 藻
の生育
が認
めら
れ,木
立が盡
きる と直 ちに發 生
し ない や うに な る。
此 小川
の 流 速は あ ま 聖大でな く, 水 甕に は砂 礫 を 沈 蟹 して ゐ る。
水 澀は昭 和 十五 年一
月二十 七 日午 後一
時頃の米 田の測 定に ょれ ば 8
− lo
°C で,
當 時
の氣 温
は 3“
Cを 示 して ゐた。 オ キチモ ヅクの
發 生 期
は
毎 年
十一
月 初旬
で,十二
月
に は既
に相 當
の長 さ に逹 する。一 月
中 旬 乃 至二月
下 旬に亙
つ て最 も繁
茂 す る が,三月
に は漸
次衰
へ て大部
分 は清 滅
する。 し か し少數
の ものは 四,
五月
まで殘 存
するこ と が あ る
。
其 最 盛期
に は水 中の徒
渉に 困 難を覺
え る程多 量
に發
生 するの を例
とナ
るが,本 年
は微
々 た る生育 振
ljであつ た。之
は昨 夏
に於
け る栄曾 有
の旱
天 に際 し水
路の浚 泄
を拯凌
に施 行
し たる た め であるo 徇 阿 じ水 流中に Batrachospermmn (カ ハ モ ヅ ク)の
一 種
が 生 じて ゐ るが同一
の基
物に兩 紅 藻
の著 生
する こ と は比較 的
少い 。 オ キチ モ ヅ クはカh モ ヅ クよ りも附 著
の仕方
が一
層 張間であ る。
The Japanese Society for Plant Systematics
NII-Electronic Library Service
The Japanese Soolety for Plant Systematlos
June
,1940 , 83
Nemalionopsis
tortuosa
YoNEDA
et
YAGI
,nov .
sp .
和 名: オ キ チモ ヅ ク (八木新
稱 )記 載 :植 物 體
は
絲 駄にし
て 圓柱
欣,
多 少と も
捩 れつ つ波
趺に迂 曲し ,
單 獨 叉は
通常 多數
相集合 し
て叢 生 す
る。附
著 部は
特殊
の構 造を示
すこと
な く簡
單 なる小 吸
盤 歌を
なし
,又
往々短 き匍
匐 破 を出
すc 體は す
べ て柔
軟に
して 粘
滑な
るも
, 老熟 せ
るものは 粘
質
に乏 し
く多少
脆弱 と
なる。色彩 は 生
時 濃き
曙 紅褐
色であ
るが
,老
廢 期には
先端部 よ
り漸
麹 褪 色 して黄緑 と
な り, 途には
殆ど 無
色となつ て枯死 する。舐 上
に乾 燥せし め
ると よ
く附 著し
て紬 き 絲の如 くな
り殆ど
黒 色を 呈
する
。植 物 體 は 稍太 き 一
本のi 主 軸 と
見做 し
得 るも
の を有し
,そ
れよ り
盛に大
小の 側 枝 を分 岐 する
。 側 枝は 不
規則 な
る互生
にし
て,體
の下 方
に密
に上 方に疎 で
あ
るo第一 次
側 枝は
か な りの長さ
第
1圃
Nemalionopsistortuosa
YoN恥 ムet YムGI, 皿
ov .
5P.
オキチモヅ ク.
全形
(ca . 3 /
4)Yo
双EDA del・
に達
す
るも
の 多く
, 徃 々主 軸 よ
り も長 く延 伸 する。最 下
方の數 枝は
更に大
小の 第二 次
側 枝 を分 ち, 稀には 第
三
次側
枝 を も有す
るQ 體の 基部附
近には 主 軸 た
ると
側 枝た
ると を 問 は 歩
多數の小 枝 を出 す を普 通と す
。 上 方の第 一
次 側 枝は
長大
で
あ
つ て も小 枝 を分つ こと
殆ど
な く少 數の 稍 長 き第二次
側伎を
具ふ
るの
み
で ある
。枝
の先端 は
時に 鉤1
伏に曲が る
の を認 める
o すべ て腋は
多少
廣く 開
き往々 殆ど 水 罕
に近 くなるo (第 r 岡 )。 相 隣 接し
て著 生せ
る植物
體はか
くて其 枝 を相互
にゆる
く紛亂 させ
つ つ流 水に軅いて
ゐ
るの であ
る。鱧の高
さ は 概 ね S −3e
em
であ
る が稀に40cm 以 上
に達 するも
のも あ り
, 今ま で
に計
測し
得た
る最高
lt
42
cm で
あつた
o 體の太
さは
主軸
に於い て400 − 84 叩
を普通 と
すN工 工
一
Eleotronlo Llbrary84 Vo 置 . 1X .
るが
・ よ
く發達 せ
るも
の では goo μ
を超
え る o 第一
次側
枝は 稍細
く350 −600 μ
, 第二 吹 側 枝は
更に細 く300 −400
ps
の 徑 を有 する。 何 れ も先端
に 近づ く
に從つ て漸 次 細 くな り概 ね
300 μ 前 後
の太 さ
とな
る。植
物
體の構 造ば
中 央 部 を走る髓 部と
之 を圍
繞す る
皮 暦 部と よ
り成 り (第 2 圖1
),成
長端
に て は 噴 水 型 構 造を 示
す。髓部 は
殆ど
無 色 又は
淡 きオ リー
ブ色 を呈
する所
の緊密
に
結
合せる
長 き細
胞 絲の束よ
り成る
。髓組織
の細胞 は
厚膜
にし
て繊
維 状であ
るが
決し
て癒 合 す
る
こと
な く,其形 態 は 不 規則
に して長 く,隣 接
細胞
との 隔 壁は
概 ね瘤歌
に膨
大 し
てゐ
る・其細胞 は 幅 3 − 7 μ
,4 −−
15 倍の長 さ
を有
する (
第 2 圖 2 )。 髓 部 全體 と
し第2 圓
1
,體
の横 斷
面(
xgo )・
2J盟
部の縱
斷画一 部 (
x 400) ・
3,
同 化絲
の
分 枝 歌 態 (
×」・ ・) ・
4, 同化 絲
の 下 方,
盛に Rhiz・idS を 出 す (x3SO
).
S.
Monospore
を有 す
る同 化絲 (
×400).
6,7,
8,
Monospore を有
する同化 絲
の先
端 , 多
くの短 枝を分 岐
せ り(
×400 ) ・ Y
〔〕NEDAdeL
The Japanese Society for Plant Systematics
NII-Electronic Library Service
The Japanese Sooiety for Plant Systematios
June
,1940 . 85
て の幅
は
醴の太 さ
の 彡ζ 一
屋であ
る。 皮 暦部
は
即 ち 同 化 絲よ
り成 り, 饐 部に略 々直 角に 放 射 する
。 同 化絲
は 數回
(3 − 6
回 ) 僞叉
歌 分岐を
繰 返し
て體表
に近
づく
程 密にな り,略
々mp −一
表 面に揃ひ
以て植物體
の全 面
を蔽
ふ。其 下
方の細 胞 は概し
て長 く, 徑3 − 7
ti
,2 −4
倍の 長さ
を有し
, 圓壗
形叉
は 長 楕 圓 形であ
る。之
に反 し
て上 方の 細 胞 は一
般に短
く,卵形 叉 は 洋
梨 駅で あ り,徑 4 − g μ , 1 − 2
倍の長
さを 有
する。 同 化 絲の 下 方の細胞 か
ら
は 多 くRhizoids
を出し
其 末 端は 細小
と なつ て髓 暦 内
に 終るQ 色素體 は
盤 状な
れど
往 々裂け
る こと あ
り,各細
胞に一
個叉 は
稀に 二個 を存し
, 夫
ft
・一 個
のp
γrenoid を
有 する が
檢鏡 し 難
い。 (第
2 圖3
,4
♪S
)。生殖 は無 性の
Monospore
によ
るのみ で あ
つ て他
の 器 官 は發 見さ
れ ない oMonosporeは 同化絲
の頂端細胞 か ら
造 られ . 體
の表 面に位 置す る
。Mo
・・osporangia は
略 々卵 形又 は 楕
圓形
であ
つ て , 樫9 − T2 μ
, 長さ
は18
μ に邏 する。MonosPorc
を 生 する枝は
普通
の同 化 絲
よ
りも必 す 多 少頻 繁に 分 岐し た る
短 枝にし
て繖形
歌 を な す。 (第2
圖5 −8
)。オ キ チ モ ヅ クは上 の
記 載
に よつ て明
かなる如 く
,體
は絲状に して粘
質に富
み,
絲 組 織 よ り成 り,
髄 部
よ り放
射 す る同 化絲 を具
へ , また成 長 端
が噴水 式
な る等の 點より して狹 義
の Hellnillthocladi−
aceae に 屬
す
る。 而 して 此紅 藻
の榮 養 體
の顯
微 鏡 的構 造
は Ne腐mlion (ウ ミザ ウ メ ン)に類 似 す
る も, 叉状 分枝
を行
はざ
るこ と, 粘質に富
む も彼
の如
《ジェ ラチン肌
な ら ざるこ と,
及 び]
fonospore
の み を塊 ずるこ とに よ り て考 察
せ る結 果 ,
H.
SKuJA (Beih Bot.
Centl,L I,
II, S. 188 −
rgl
,Abb .
斗,FigJ −
9,1935)
の創 設
し た る Nemalionopsisなる屬
に含
まし め るべ きで あるo 唯 大小 多 數
の側按
を分
っ點
が 氏の屬の 賽己載
に一 致
しない が,
之は種
の差 別 と見な し た。本 屬
の植 物
と して は從來
僅に比倖 賓
ル ソン島 産
の一 種
N.
ShαwiSKUJA
が知 ら
れてゐ るのみ で あつ た。 N,
tortuosa
nov.
sp,
は該藻
に類
似し て ゐ る が次の如 き 諸點
に よ り匿別
し得
る・第 一
・N・
Shawi SKUJA の體
は記載
に よ れ ば 僅に6 . 5
Cln 以内
の高
さで ある が,
N.
tortuosa
は籤
かに長
大で4G
Cm 以 上に逹 する もo
が あ る。fi
=,
彼の分枝
は稍 長 脚
1倣
を少 數 分
つ に 過 ぎ ない が・ 此の 側枝
は大 小の別
が あって多數
出て ゐる。第
三, 彼
の絲 體
はあ ま り屈嵎 を 示さ ないが, 此 は稍 択れ つっ
特
殊の屈 曲
を な す。樹
Nemaiionopsistorttlo9 . ・
a の全形
は多
少 Thorea ramosissima Bor!1 (チ ス ヂ ノ リ)
に類 似
するこ とがあ るけ れ ど も, 彼の 如 き毛 状の 同化絲
琶有
しないか ら肉 眼
に て も容 易
に區
別
し得
る。併
し Ne]rta:ionopsisE ’ rhorea
と が近
縁
の屬
である こ と は H。
SKUJA の述
ぺ た 訌5
りで あ るo
R6sum6
The
algaforming
thesubject
of
this
communication
wasfeund
by S . YAGI
three
yearg
ago.
After
carefu1
examination
this
proved
tobe
a
new
species
of
the
genus
IVem
αlionoPsis
SKuJA .
The
genus
was
founded
on
a
single species
,N .
S ! tawi
SKuJA
,from
thePhllippines
,and
thisis
the
discovery
of a second representat { ve of VVemalionq
ψ∫is .
Nemalionopsis
tortuosa
YoNEDA . et
YAGI
,nov .
sp .
Frons
filif
()rmls ,
cylindracea
,lubrica
, tortuosa ,griseo − violacea
,5 − 30 ( raro
ad
42
)cm
alta
et
360 − goo
fi
crassa
;fila
alterna
et
crebro
ramosa
,rami
varle
longi・ Stratum
N工 工
一
Eleotronio Library86
medullare
medurlae.
--
simple
d' percurrent particuiar
elongate
theup
tO 40 9ooy or
bundlediameter
--.awsmg
in theor
terminal
Nom.
Hab.
The
to
Prof.
work.