図‑1 色彩認知3Dモデル構築フローチャート
都市中心街路におけるイメージ構造よりとらえた景観計画手法の構築
−街路ファサードにおける色彩の布置とイメージ形成との関係性Ⅰ−
日大生産工(学部) ○鈴木 紀之 日大生産工(院) 三沢 浩二 日大生産工 大内 宏友
The construction of landscape planning technique of looking at image structure in city main street
−Relation of color arrangement and image formation in street facade Ⅰ−
Noriyuki SUZUKI, Koji MISAWA, Hirotomo OHUCHI
第1軸 色彩の認知 第2軸 周辺
環境への認知度 第3軸 時間的行動特性
類型Ⅰ 類型Ⅱ 類型Ⅲ
類型Ⅳ 類型Ⅴ
‑2.0‑1.4‑0.8‑0.20.41.0
‑1.4
‑1.0
‑0.6
‑0.2 0.2 0.6 1.0
‑1.2
‑0.8
‑0.4 0.0 0.4 0.8 1.2
視感測色 視感測色 景観認知調査
行動調査 イメージ調査
属性調査 景観認知調査
行動調査 イメージ調査
属性調査
色彩認知3Dモデル構築 データ分析 数量化解析 クラスター分析
物理量分析
色相 R
B G Y
P トーン トーン 心理量分析
1軸 色彩の認知
高い ← 3軸 時間的行動特性 → 低い
トーン(V,S) 年齢
頻度 色相R
トーン(Dp,Dk,Dgr)
トーン(Lgr,L,Gr,Dl)
‑6
‑4
‑2 0 2 4
‑9 ‑7 ‑5 ‑3 ‑1 1 3 5
F1
F2 F3
F4 21 22
23
32
33 31
61 62
63
64 65 B1
B2
B3 B4
D1 D2
D3 D4 E1
E2 E3
1.はじめに
近年、都市空間におけるイメージと環境との 繋がりに対する社会的関心は高く、景観計画を 策定する際に色彩をどう扱うかは避けては通れ ない重要な課題である。人は景観をすべてその まま記憶することはなく、物理的形態が心理や 行動に影響を与え、総体として心理的景観を作 り出している。すなわち都市景観は「空間の物 理的条件下にある対象色(物体色と環境色)」
と「眺望主体である人間及びその集合のイメー ジ」との相関によって形成されているといえる。
ゆえに、都市空間における色彩構成の分析は建 物単体を対象とするのではなく、連続する建物 群を対象とすべきであり、イメージと物理的形 態の相互の関係性より景観計画は検討されるべ きである。
1.1.本研究の位置付け
これまでの都市景観における色彩に関する研 究は、景観シミュレーション画像から景観要素 の有無による印象を評価し、色彩的なまとまり について検討している研究
1)や、色彩による都 市景観のコントロールをするための様々な評価 実験
2)、建築ファサードを段階的に単純化した 画像の印象を評価する研究
3)などがあり、一方、
環境認知に関する研究は、認知・行動・形態の 相互の関係を検討し、実態圏域を考察している 研究
4)がある。しかし、都市景観における色彩 構成とその心理的評価に関する研究はされてい ても、色彩構成が与える心理的効果と外来者
の行動特性との関係性についての研究はいまだ 少なく、この関係性が分かれば景観計画に対し て非常に有効であるといえる。
1.2.既往研究のレビュー
これまでの既往研究では、東京を代表し性格 の異なる街路を有する銀座
5) 6)、原宿
5) 6)、渋 谷
6)地域を研究の対象とし、アンケート調査よ り得られた個人データを数量化Ⅲ類により分析 し、データの中に含まれている潜在的な共通因 子を抽出した。また、数量化Ⅲ類から得られた サンプルスコア−をもとにクラスター分析(最 遠隣法)を行い、データの類型化を行った。類 型化した個々の個人データを分析し、外来者の 型に類型を見出し、その地域に訪れる人が認知 している色彩を一目で把握できるモデル、色彩 認知3Dモデル
*1を構築した(図‑1)。
1.3.本研究の目的
本研究ではこれらの成果を踏まえ、外来者が 街路ファサードの色彩構成をどのようにとらえ ているのかを明確化し、都市の色彩景観計画を 行う際の判断指標にすることを目的としている。
そのため、既往研究より導き出した外来者の類
型ごとに認知している色彩と街路ファサードの
色彩の布置と行動特性との関係性について分析
及び考察する。
表‑1 調査期間・時間
銀座 10時〜14時 2000年11月 2001年1月 地域 調査時間 心理量調査期間 物理量調査期間
表‑2 被験者概要
10代 20代 30代 40代 50代以上 年齢
合計 男性 43 女性 57 性別
銀座 対象地域
4 37 21 9 29 100
表‑3 アンケート調査内容
属性調査 行動調査 景観認知調査
軽快な 重苦しい 親しみのある 親しみのない 暖かい 寒い 調和した 調和していない
強い 弱い 落ち着きある 落ち着きのない イメージ調査 堅い 柔らかい 秩序ある 秩序ない
(複数回答可) 明るい 暗い 変化のある 単調な 静かな うるさい 狭苦しい 広々とした 美しい 醜い 密集した 散々とした 特徴的な 平凡な
性別、年齢、職業 頻度、目的、行動範囲 色彩認知調査、ランドマーク調査
測色点
図‑2 測色用の立面図の例(晴海通り)
表‑4 色彩構成調査内容
対象通り 建物数
銀座:晴海通り・中央通り 晴海通り・中央通り沿い:182棟 1.現地調査より建物のファサードの撮影。
2.撮影した写真を統合し立面写真を作成。
3.立面写真より建物の立面図を作成。
4.数値地図データ(ZENRIN)から作成した平面図と数値地 図データに含まれる高さ情報と現地調査をもとに立面図を補正。
測色ポイントを明記したデータ記録用紙を作成。
測定個所を確認しながら、カラーチャートを用いて視感測色 調査を実施。測定は測色者と記録者がペアとなり、建物1棟づつ調 査を行う。
事前準備
測色・計測
(m)
0 10 20 30 40
0 50 100 150 200 250 (m)
PB
B N
N
YR B
R YR
G G G
PB N
R B
R N
G
アクセントカラー
図‑3 アクセントカラーの高さ分布の例(晴海通り)
2.調査対象地域及び調査内容
外来者がどのように都市景観をとらえている のか客観的な視点から解明するため、東京を代 表する都市商業地域である東京都中央区銀座地 域を調査対象地域とし調査を行った。人の景観 イメージが形成される際の心理的要因と物理的 要因の相関分析を行うため、心理的要因の分析 としてアンケート調査、物理的要因の分析とし て街路ファサードの色彩調査を行った。表‑1に 調査期間・時間帯を示す。
2.1.アンケート調査
調査対象者は一般の人々のとらえる認知を明 らかにするために、現地においてアンケート調 査を行った。なお、アンケート調査地点は偏り をなくすため、特定の地点では行わないように 留意しランダムに行った。表‑2に被験者の概要 を示す。
調査項目は、①属性調査、②行動調査、③景 観認知調査、④イメージ調査である。②の行動 調査に関しては被験者が直接白地図に図示する 圏域図示法
*2を用いて調査を行い、ランドマー ク調査は対象地域の範囲付け理由として、印象 的なもの、特徴的なものを限りなくあげてもら った。また頻度は、毎日来る〜1年に一回以下 の7段階設定を行い、目的に関しては、買物・遊 び・散歩・観光・仕事・その他の6項目に関して選 択してもらった。③の景観認知調査の色彩認 知調査に関しては、カラーチャート
*3を用い 被験者に地域の印象的な色を6色と最も印象的 な色を1色選んでもらった。④のイメージ調査 は5段階評価で回答させた。表‑3にアンケート 調査内容を示す。
2.2.街路ファサードの色彩調査
カラーチャートを用いた視感測色により街路 と面する全ての建物のファサードの色彩調査を 行った。調査対象は銀座地域のメイン通りであ る晴海通り・中央通りとし、ファサードのベー スカラー
*4とアクセントカラー
*5について調査 した。また、誘目性の強い高彩度色を多く有す るアクセントカラーの高さ分布についても調査 を行った。表‑4に調査内容、図‑2に現地撮影写 真より作成した立面図の例、図‑3に晴海通りの アクセントカラーの高さ分布図の例を示す。
3.外来者の類型
既往研究より得られた銀座地域における各 類型の行動特性と色彩認知特性を以下に示す。
【類型Ⅰ】30代の女性や社会人が多く、行動範 囲も広い。色相R、色相P、色相RP、またトーン Bの認知が高い。
【類型Ⅱ】若年層が多く、買い物を中心とした 私的な目的で銀座を訪れているが、頻度は少な い。無彩色、色相B、色相R、またトーンL、ト ーンVpの認知が高い。
【類型Ⅲ】すべて男性で、仕事を目的として銀
座を訪れ、ランドマークを面としてとらえてい
る。色相BG、またトーンVp、トーンLgrの認知
松屋 松屋
伊東屋 伊東屋
エルメスジャパン エルメスジャパン JR有楽町駅 JR有楽町駅
和光 和光
銀座4丁目交差点 銀座4丁目交差点
三愛ビル 三愛ビル
歌舞伎座 歌舞伎座
博品館 博品館
マリオン J R 新 橋 駅 J R 新 橋 駅 マリオン
中 央 通 り 中 央 通 り 外 掘 通 り 外 掘 通 り
昭 和 通 り 昭 和 通 り 松坂屋 松坂屋
晴 海 通
り 晴
海 通 り 並 木 通 り 並 木 通 り
行動強度
100 200
500 0 100
200
500 0
行動強度
弱 強
弱 強
20% 40% 60% 80%
図‑5 行動強度 ‑類型Ⅱ
松屋 松屋
伊東屋 伊東屋
エルメスジャパン エルメスジャパン JR有楽町駅 JR有楽町駅
和光 和光
銀座4丁目交差点 銀座4丁目交差点
三愛ビル 三愛ビル
歌舞伎座 歌舞伎座
博品館 博品館
マリオン J R 新 橋 駅 J R 新 橋 駅 マリオン
中 央 通 り 中 央 通 り 外 掘 通 り 外 掘 通 り
昭 和 通 り 昭 和 通 り 松坂屋 松坂屋
晴 海 通
り 晴
海 通 り 並 木 通 り 並 木 通 り
行動強度
100 200
500 0 100
200
500 0
行動強度
弱 強
弱 強
20% 40% 60% 80%
図‑6 行動強度 ‑類型Ⅲ 松屋 松屋
伊東屋 伊東屋
エルメスジャパン エルメスジャパン JR有楽町駅 JR有楽町駅
和光 和光
銀座4丁目交差点 銀座4丁目交差点
三愛ビル 三愛ビル
歌舞伎座 歌舞伎座
博品館 博品館
マリオン J R 新 橋 駅 J R 新 橋 駅 マリオン
中 央 通 り 中 央 通 り 外 掘 通 り 外 掘 通 り
昭 和 通 り 昭 和 通 り 松坂屋 松坂屋
晴 海 通
り 晴
海 通 り 並 木 通 り 並 木 通 り
行動強度
100 200
500 0 100
200
500 0
行動強度
弱 強
弱 強
20% 40% 60% 80%
図‑4 行動強度 ‑類型Ⅰ 表‑5 各類型の行動特性
類型Ⅴ 類型Ⅱ 類型Ⅳ 類型Ⅰ 類型Ⅲ
年齢 低 高
頻度 少 多
目的 公的 私的
が高い。
【類型Ⅳ】女性が多く、私的な目的で銀座を訪 れていて、行動範囲が比較的狭い。無彩色、色 相R、色相YR、またトーンSの認知が高い。
【類型Ⅴ】銀座を訪れる頻度が多く、仕事を目 的としている。色相R、無彩色、色相Y、またト ーンS、トーンVの認知が高い。
表‑5に各類型の行動特性を示す。
4.各類型の行動強度特性
既往研究のアンケート調査の行動調査より 銀座地域における各類型の行動範囲の強度特性 を示す。圏域図示法より得られたデータを地図 上で重ね合わせ、各類型の行動範囲の強弱(行 動強度)を4段階で表記する。
【類型Ⅰ】銀座4丁目交差点から伊東屋付近で 行動強度が最も高く、次いでマリオン・博品館 方向に向かって広がりを見せている(図‑4)。
【類型Ⅱ】銀座4丁目交差点からエルメスジャ パン付近行動強度が最も高く、次いで北方や松 坂屋方向に向かって行動範囲が広がりを見せて いる。各類型の中で最も行動範囲が広い(図‑5
)。
【類型Ⅲ】銀座4丁目交差点付近と松坂屋付近 で行動強度が最も高く、次いで中央通り、晴海 通りに向かって広がりを見せている(図‑6)。
【類型Ⅳ】銀座4丁目交差点から三原橋地下街 付近で行動強度が最も高く、次いで中央通り、
マリオン方面に向かって広がりを見せている
(図‑7)。
【類型Ⅴ】銀座4丁目交差点から伊東屋・エル
メスジャパン・松坂屋付近で行動強度が最も高
く、次いで中央通り、晴海通りを中心に銀座地
域全体に広がりを見せている(図‑8)。
松屋 松屋
伊東屋 伊東屋
エルメスジャパン エルメスジャパン JR有楽町駅 JR有楽町駅
和光 和光
銀座4丁目交差点 銀座4丁目交差点
三愛ビル 三愛ビル
歌舞伎座 歌舞伎座
博品館 博品館
マリオン J R 新 橋 駅 J R 新 橋 駅 マリオン
中 央 通 り 中 央 通 り 外 掘 通 り 外 掘 通 り
昭 和 通 り 昭 和 通 り 松坂屋 松坂屋
晴 海 通
り 晴
海 通 り 並 木 通 り 並 木 通 り
行動強度
100 200
500 0 100
200
500 0
行動強度
弱 強
弱 強
20% 40% 60% 80%
図‑8 行動強度 ‑類型Ⅴ 松屋 松屋
伊東屋 伊東屋
エルメスジャパン エルメスジャパン JR有楽町駅 JR有楽町駅
和光 和光
銀座4丁目交差点 銀座4丁目交差点
三愛ビル 三愛ビル
歌舞伎座 歌舞伎座
博品館 博品館
マリオン J R 新 橋 駅 J R 新 橋 駅 マリオン
中 央 通 り 中 央 通 り 外 掘 通 り 外 掘 通 り
昭 和 通 り 昭 和 通 り 松坂屋 松坂屋
晴 海 通
り 晴
海 通 り 並 木 通 り 並 木 通 り
行動強度
100 200
500 0 100
200
500 0
行動強度
弱 強
弱 強
20% 40% 60% 80%
図‑7 行動強度 ‑類型Ⅳ
R YR Y GY G BG B PB P RP Neutral V
S B P Vp Lgr L Gr Dl Dp Dk トーン色相
調査用カラーチャート(Hue&Tone system)